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5次のトリセツ
─FATF第5次対日相互審査で示す官民のチカラ─
─第1回:序論─

国際局 資金移転対策室 室長 奥 愛

大臣官房企画官 遠藤 祐司

資金移転対策管理官 松尾 綱紀

目次

掲載号・内容

(掲載号・内容は変更される場合があります)

(左から、遠藤企画官、奥室長、松尾管理官)

(左から、遠藤企画官、奥室長、松尾管理官)

1.はじめに(資金移転対策室紹介)

(松尾) 2028年夏に予定されるFATF(ファトフ)第5次相互審査(審査団訪日オンサイト審査)を見据え、関係省庁や民間事業者をはじめとする関係者の皆様に、約1年にわたり概要や留意点などをお伝えする機会をいただきました。

初回は序論として、国際局資金移転対策室の奥室長と遠藤企画官から、FATFや第5次対日相互審査の概要や国際場裡での議論動向などについてお伺いします。

(奥資金移転対策室長(以下、奥))財務省は、FATF全体会合において日本政府代表を務め、国内においても関係省庁間のとりまとめを担っています。財務省内では国際局資金移転対策室がFATFを担当していますので、まず当室の紹介から始めたいと思います。

資金移転対策室は、FATF第4次相互審査のオンサイト審査を目前に控えた2019年7月に、国際局国際機構課に置かれていたFATF担当ラインを拡充する形で設置されました。

室内では、私が全体を統括するとともに国内ラインを所掌し、遠藤企画官が国際ラインを統括する体制です。国際ラインは、主にFATFやAPG(アジア太平洋マネー・ローンダリンググループ:アジア太平洋地域を担当するFATF型地域体)全体会合など国際的課題に取り組みます。国内ラインは、国際会議での決定事項を受け、国内関係省庁や民間事業者と協力しFATF基準に沿った国内体制整備を担います。当室の発足前、国際局のFATF担当者は企画官以下3名でしたが、現在では総勢15名となっています。

奥 愛 国際局 資金移転対策室 室長

財務省・金融庁・財務局・日本政策金融公庫(出向)で勤務。財政経済分析や金融監督検査業務に従事。2024年7月より現職。博士(経済学、立教大学)。CAMS(公認AMLスペシャリスト)。

(遠藤大臣官房企画官(以下、遠藤))私は昨年9月に日本銀行から出向で参りました。FATF担当の大臣官房企画官は2011年から日銀出向者が担っており、自分で8代目となります。FATFに関する国際分野を担当するほか、FSB(金融安定理事会、本部スイス・バーゼル)も所掌しています。日銀在籍時には、FRB(米国連邦準備制度理事会、米・ワシントンDC)に出向しました。国際金融分野の経験を活かし、資金移転対策室でFATFやFSBの業務に貢献できることは大きな喜びです。室内には私以外にも多様なバックグラウンドを有するスタッフがいますね。

遠藤 祐司 国際局 大臣官房企画官・資金移転対策室

2006年日本銀行入行。FRB(米国連邦準備制度理事会)への出向を経て、主に金融システム・金融市場のモニタリングや金融機関考査、国際金融(バーゼル委、BIS・市場委/グローバル金融システム委、FSB等)の分野に従事。2025年9月より現職。修士(数理情報学、東京大学)。

(松尾) 当室には、財務、税関、国税出身者のほか、日銀ご出身の企画官に加え民間金融機関から3名の出向者がいる点が特徴です。マネロン等対策には金融機関の協力が欠かせませんので、金融実務の最前線を知るスタッフが室内にいることは大きな強みです。

松尾 綱紀 国際局 資金移転対策室 資金移転対策管理官

2010年以降主にFATF関連業務に従事。OECD金融企業局(2011-2015)、FATF事務局(2020-2023)へ出向。FATFプロジェクト「複雑化する拡散金融と制裁回避スキーム」共同リーダー(2024-2025)。2025年7月より現職。Queen Mary, University of London 法学修士(国際金融・銀行法)。CAMS(公認AMLスペシャリスト)。

2.FATFとは

(1)FATFの概要*1

(松尾) FATFの概要をお聞かせください。

(奥) FATFは、Financial Action Task Forceの頭文字を取ったもので、金融活動作業部会と訳されます。1989 年、G7 大蔵大臣・中央銀行総裁会議がフランス議長下で開催された際*2、当時世界的に大きな問題となっていた麻薬取引に端を発するマネロン問題の対応のため、同国を本拠に立ち上げられた多国間の枠組みです*3。FATFには38か国・地域及び2地域機関が加盟しています。それに加え、9つのFSRBs(FATF-Style Regional Bodies)の加盟国を合わせた約200か国・地域が同じ基準(FATF40の勧告、解釈ノート等)を適用し、加盟国間の履行状況を相互に審査し合っています。

設立当初はマネロン対策に主眼を置いていましたが、2001年9月の米国同時多発テロ事件を受け、その任務に「テロ資金供与対策」を加えました。また、2012年には、イランや北朝鮮による大量破壊兵器拡散活動の脅威の高まりを受け、「拡散金融対策」を第3の任務としました。

FATFのマンデート拡大

1990年4月、FATFは各国における対策を調和させる必要から、法執行、刑事司法及び金融規制の分野において各国がとるべきマネロン対策の基準として「40の勧告」を策定しました。その後、多様化する手法、新たなリスクや国際的な要請を踏まえ、FATF勧告は随時見直されています。

【FATF勧告の主な改訂】

【FATF勧告の主な改訂】

(2)FATF全体会合と意思決定プロセス、日本・財務省の役割

(松尾) 遠藤企画官は、FATF日本代表団の次席代表として全体会合に参加されています。まず、FATF会合の全体像について教えてください。

(遠藤) FATF全体会合は意思決定機関として、毎年10月、2月、6月の年3回、本部のあるOECD国際会議場で開催されます(下図参照)。FATF議長として2年の在任期間中一度は出身国で開催することとなっており、本年2月のFATF全体会合は、現議長Elisa De Anda Medrazo氏(メキシコ財務省局長)の地元メキシコシティで開催されました。本年6月からは、現副議長のGiles Thomson氏(英国財務省経済犯罪・制裁担当局長)が議長に就任予定です。

FATFの全体像

日本政府代表団は梶川光俊審議官が首席を務め、財務省のほか、警察庁・金融庁・法務省・外務省で構成されています。全体会合は1週間に渡り、常設の5つの委員会が月曜日と火曜日に、その後、水曜日から金曜日にかけ委員会での議論を基にFATFとしての意思決定を行う全体会合が開催されます。

(松尾) FATFはG7プロセスで生み出された枠組みであり、日本は創設以来のメンバーです。日本がFATFやその地域体であるFSRBにおいて果たす役割は、どのようなものでしょうか。

(遠藤) 日本がFATFやFSRBで果たす役割は、特にこの10年飛躍的に大きくなっています。

まず、日本(梶川審議官)はFATF型地域体の一つであるAPGにおいて、2024年9月から本年夏までの2年間、共同議長を務めています。APGは1997年に設立され、豪州・シドニーに本部を置き、地理的・経済的にも多様性に富んだ42の国・地域が加盟する最大のFSRBです。日本は、共同議長任期中の優先事項として「3つの柱」、(1)第5次相互審査に向けた準備、(2)太平洋島嶼国等への能力開発支援の強化、(3)金融新技術(暗号資産等)への対応を優先課題に掲げています*4

FATFにおいては、常設委員会の一つであるPDGの共同議長を日本(羽渕貴秀・金融庁国際資金洗浄対策室長)が務めています。最近では、羽渕共同議長のリーダーシップの下、金融新技術の進展を踏まえた国際送金における透明性向上を目的に、クロスボーダー送金に係るFATF勧告16の改訂を実現しました。

暗号資産やステーブルコイン、中央銀行デジタル通貨(CBDC)といった金融新技術への対応は、日本が主導的役割を果たしている分野の一つです。例えば、仲介業者を通さない個人間(P2P)取引が不正な資金移転の潜脱に悪用される可能性等を踏まえ、FATFを通じた適切な対応の必要性を一貫して主張してきました。本年2月の全体会合では、金融新技術対策を今後2年間のFATFの戦略的優先事項に盛り込むべきと日本から提案し、最終的に全会一致で採択されました。

IMFや世銀といった国際機関が出資比率に応じた資本多数決で意思決定されるのと異なり、FATFでは全会一致が必要です(コンセンサスベース)。40に及ぶメンバー間でコンセンサスを得るには、時に大変な苦労を要します。本件では、主要国に対し事前に丁寧に説明することで理解を得、議場では各国から日本提案を力強く支持する発言が相次ぎました。決議が採択された時には、今後の作業の方向性について意義のある貢献ができたことに大きな達成感を覚えました。

【FATF本部のあるOECD(経済協力開発機構、仏・パリ)とFATF全体会合の様子(FATF公式ウェブサイトより)】

【FATF本部のあるOECD(経済協力開発機構、仏・パリ)とFATF全体会合の様子(FATF公式ウェブサイトより)】

【FATF本部のあるOECD(経済協力開発機構、仏・パリ)とFATF全体会合の様子(FATF公式ウェブサイトより)】

もう一つFATFへの財務省の貢献をご紹介します。FATF関連の各種会合を運営するFATF事務局は、1989年の設立時3名でスタートしましたが*5、役割の拡大に伴い現在は90名弱の規模に成長しています*6。財務省は2008年から同事務局に継続して出向者を送り相互の知見を共有しています。松尾管理官はFATF事務局への出向経験がありますが、どのような業務を担当しましたか。

(3)FATF事務局

(松尾) 2020年から3年間FATF事務局に出向し、常設委員会の一つであるICRG(国際協力レビューグループ)に所属しました。ICRGは、ブラックリスト国(加盟国にコルレス関係停止など具体的行動を要請する国)とグレイリスト国(加盟国にモニタリングの強化を要請する国)のマネロン等対策の進捗状況を評価します。担当した中東・アフリカ地域会合は4つの地域のうち最大規模で、4か月に一度、2週間に及ぶ期間内に13か国の政府代表団との対面会合をアレンジし、報告書をまとめたこともありました。共同議長、被審査国関係者、各報告書4-5名ずつの評価者(Lead Reviewer)など、数多くの関係者と連絡を取り合う毎日でした*7

コンセンサスルールは地域会合でも適用されます。被審査国のマネロン等対策が十分な進捗を示しているかどうか評価者間で意見が一致しない場合、共同議長は共通項を探り出します。その際、FATF事務局員はFATF基準に沿った修正案を提示します。合意形成プロセスの一員となり、仲間とともに会議の成果に貢献する貴重な経験でした。

3.FATF第5次相互審査

(1)相互審査とは

(松尾) 相互審査の仕組みについてご説明ください。

(奥) 相互審査とは、40の勧告に沿ってマネロン等対策の法令がどの程度整備されているか(Technical Compliance)、11項目の有効性基準(Immediate Outcomes)に従いマネロン等対策の有効性がどれほど確保されているか、加盟国が相互に審査しあうプロセスです。

(松尾) 有効性評価を行う基準は通称「IO(アイ・オー)」と言いますが、直訳すると「即時成果」ですね。どういう意味なのでしょうか。

(奥) FATFの最終目標(High-Level Objectives)は、金融システムがマネロン・テロ資金供与・拡散金融の脅威から保護されることによる金融セクターの健全性(Financial Integrity)強化と、これを通じた安全やセキュリティへの寄与です。その最終目標を達成するための中間成果(Intermediate Outcomes)は3つに分類できます。第一に、マネロン・テロ資金供与・拡散金融の政策、調整、協力、及びそのリスク低減、第二に、犯罪収益及びテロ支援資金の金融その他分野への流入防止、またその検知・報告、第三に、マネロン、テロ資金供与の脅威が検知又は阻止されることによる犯罪者・テロリストへの制裁、不法収益や資源の剥奪です。

これら3分野の中間成果の端緒として、「最初に検知できる成果」が即時成果(Immediate Outcomes)であり、3分野を11に細分化しています。

(松尾) FATFは当初暫定的に組織された「作業部会(Task Force)」であり、条約に基づく国際機関ではありません。そのルールもあくまで「勧告(Recommendations)」であり、本来法的拘束力があるとも言えません。しかし、加盟国がお互いに勧告の遵守状況を審査し、遵守状況が芳しくない国をリスト化して公表の上、加盟国間でリスト掲載国との金融取引に慎重な対応を要請する。中でも、ブラックリスト国に対しては、コルレス取引の停止など厳しい措置を求めることで金融市場へのアクセスを認めない、といった一連の仕組みは非常に特徴的です。この点、IMFのワーキングペーパーは「グレイリスト掲載により当該国への資金流入額が対GDP比10%程度減少する」と試算しています*8

本来法的拘束力がない「勧告」を加盟国間で実質的に「拘束力ある規則」に昇華させる仕組みが「相互審査」であり、これにより最終目標である「金融市場の健全性」の実現を目指しているのだと思います。

【FATF40の勧告とIOとの関連性】

【FATF40の勧告とIOとの関連性】

(2)第5次審査概要・主な変更点

(松尾) 第3次相互審査まではFATF勧告に基づくマネロン等対策の法令整備状況のみを審査しており、第4次審査から法令の有効性評価が始まりました。第5次審査の概要を教えてください。

(奥) FATF第5次相互審査は、昨年10月全体会合のマレーシアとベルギーから始まりました。FATFとFSRBの全加盟国の審査を終えるまで、前回の第4次審査では10年を要しましたが、第5次審査は6年に短縮されています。

評価手法の面では、法令遵守状況(TC)よりも有効性評価(IO)の審査が重視されるほか、TCの審査では上表網掛けのように第4次審査後に改訂された勧告への対応が重点的に審査されます。

相互審査終了後のフォローアッププロセスは、評価に応じて「通常フォローアップ」、「重点フォローアップ」、「ICRG観察対象」に分かれますが、最上位の通常フォローアップとなるための要件が引き上げられました。また、TC、IOとも4段階のうち下位2つの評価となった項目について、達成期限を伴う重要勧告(KRA:Key Recommended Actions)が設定されることになりました。

(3)全体会合での相互審査議論

(松尾) 昨年10月のFATF全体会合で議論されたマレーシアとベルギーの相互審査報告書の結果概要と、そこで窺えた第5次審査の方向性についてご教示ください。

(遠藤) 昨年10月のFATF全体会合におけるマレーシアの議論では、合計6つが、4段階中の上から2番目の評価である「S」評価(Substantial level of Effectiveness)となり、最上位の「通常フォローアップ」に分類されました。

これに対して、ベルギーは「S」評価は2個に留まり、残り9つが4段階中の下から2番目の評価である「M」評価(Moderate level of Effectiveness)となり、「重点フォローアップ」に分類されました。

相互審査報告書

第5次審査は始まったばかりで具体的な審査傾向を見極めるには時期尚早ですが、昨年10月と本年2月の議論から、いくつか一般的な示唆は得られたと思います。

まず、先ほどお話があったように、第5次審査ではこれまで以上に有効性の確保に審査の重点が置かれています。当局及び民間(金融機関・DNFBPs*9)セクターのマネロン・テロ資金供与・拡散金融のリスク認識と低減措置、特に自身で高リスクと特定した前提犯罪や特定セクターへの取組みの一貫性に力点が置かれていました。

仮に、ある国が「サイバー詐欺」をマネロン等前提犯罪の類型として高リスクに特定したとします。その場合、国レベルで高リスクと特定したサイバー詐欺は、当局のみならず、金融機関やDNFBPsも高リスクと特定するのが自然であり、高リスクに沿った低減措置が取られるべきです。また、金融情報の分析やそれに基づく警察・司法当局の捜査・起訴等の取組みにも反映されるはずです。このように、審査団は特定された高リスク類型に対する一貫した取り組みを重視している印象です。

次に、先にお話ししたコンセンサスベースとの関連では、審査団の評価を常設委員会や全体会合で引き上げることは相当困難であると実感しました。従って、常設委員会や全体会合に持ち込む前、つまりオンサイト審査までに、審査団に対して十分な材料を提供し議論を尽くしておく必要があります。

4.FATF第5次対日審査に向けて

(1)スケジュール

(松尾) 全体会合での評価引き上げは難しく、そこに至るまでの取組みが重要なのですね。ここで第5次対日相互審査のスケジュールについてご説明ください。

(奥) 審査団が訪日して実施されるオンサイト審査は2028年6月、全体会合での採択は2029年2月と公表されています。オンサイト審査の具体的な日程は、今後FATF事務局と調整していきますが、通常は全体会合終了後に3週間程度実施されることが多いです。その前、2027年秋にオンサイト審査の基礎資料となる法令遵守状況(TC)に関する自己申告書、2028年初めに有効性評価(IO)の自己申告書を提出予定です。

オンサイト審査までまだ2年以上あると考えがちなのですが、書面審査は来年の秋から始まります。従って、読者の皆様にも実質的なプロセス開始まで残り1年余りしかない点をご理解いただければ幸いです。

(松尾) 対日審査プロセスは予想以上に早く本格化するのですね。民間事業者の皆様はどのように関わるのでしょうか。

(奥) 2つのタイミング(下図★印)で関与いただく予定です。まず、事前の準備期間には、リスクベース・アプローチに基づく顧客管理措置など、FATF基準の要請を着実に実施いただくことが重要です。加えて、オンサイト審査では、一部の金融機関・DNFBPs事業者に対して審査団が当局側の担当者を交えず直接インタビューを行います。民間事業者として、国レベルでのマネロン等のリスクをどれだけ正確に理解しているか、その上で事業者自身のリスクを如何に特定し低減措置を取っているかなどが聴取される予定です。

第5次対日相互審査のスケジュール

(2)当局・民間セクターの役割・官民連携の重要性

(松尾) 第5次対日相互審査において、当局のみならず民間事業者の皆様にもご参加いただくとなると、両者の連携が重要ですね。

(奥) その通りです。先ほど遠藤企画官が「リスク認識に基づく取組みの一貫性」について説明されました。民間事業者が正しいリスク認識に基づき低減措置を取るには、まず我々当局が、リスクに関する情報を背景や大きな枠組みを含めて民間事業者の皆様に丁寧に説明し、ご理解いただく必要があります。

(松尾) 同感です。私は、2024年7月から1年間、FATFプロジェクト「複雑化する拡散金融と制裁回避スキーム」に参加しました*10。その際、実施したパブリック・コンサルテーションでは、FATF及びFSRB加盟国内の民間事業者から450を超える回答をいただきました。最も多かった内容が「官民連携の促進が急務」というものでした。中でも印象的だったのが、「当局は疑わしい取引に係る報告書の提出を慫慂する。しかし、民間事業者にとって最も欲しい情報は、『疑わしい取引を見つけるための適切なガイダンス』である」との指摘でした。民間事業者の皆様に適切にご対応いただくには、当局の情報提供こそが重要であることを改めて実感した次第です。

(奥) 今回の連載がその一助になることを切に期待しています。

5.終わりに・次回以降の進め方

(奥) 次号から資金移転対策室の担当職員がより具体的な内容を紹介していきます。

(松尾) FATF第5次相互審査で重視される各IOの要点と審査ポイント、第4次対日審査における指摘事項、第5次審査終了国の評価、それらの分析を踏まえ日本の公的・民間セクター関係者が留意すべき点をできるだけ分かりやすくお伝えしたいと考えています。

(遠藤) 第5次相互審査の議論が全体会合で進むにつれ判例が積み重なり、分析も精緻化していくと思います。客観的で正確な分析をご提供していきたいですね。

(松尾) FATFについては既に良書が数多く出版されています。今回の連載は、FATFを担当する資金移転対策室がFATF会合への参加を通じて得られる最新の議論を踏まえた分析をご提供することで、読者の第5次対日審査準備にお役立ていただけるよう努めたいと考えています。

山田係長、花井補佐、谷津係長、三代係長、土屋補佐 高橋補佐、鳥沢係長、茅根係長、髙松係員、川﨑係員、五十嵐補佐 松尾管理官、奥室長、遠藤企画官

山田係長、花井補佐、谷津係長、三代係長、土屋補佐
高橋補佐、鳥沢係長、茅根係長、髙松係員、川﨑係員、五十嵐補佐
松尾管理官、奥室長、遠藤企画官

(第2回に続く)

(注)本稿の意見にわたる部分は執筆者の個人的見解であり、執筆者の属する組織の公式見解を示すものではない。

*1)財務省が取組むマネロン・テロ資金供与・拡散金融対策に関する情報は、「知ってる?マネロン等対策」に詳しい。
https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/amlcftcpf/2.measures.html

*2)フランス革命200周年を機に建設された新凱旋門(La Grande Arche)を会場に開催されたことから、一般に「アルシュ・サミット」と呼ばれる。

*3)2024年4月のFATF大臣声明(パラ2)において、FATFがOpen-endedなマンデートを有し活動することが確認されている。
https://www.fatf-gafi.org/content/dam/fatf-gafi/FATF/FATF-Ministerial-Declaration-2024.pdf.coredownload.inline.pdf

*4)日本共同議長下で開催されたAPG年次総会の模様につき、「ファイナンス」2025年10月号を参照。https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/2025010/202510c.pdf

*5)Financial Action Task Force 30 Years(2019), p.33 https://www.fatf-gafi.org/en/publications/Fatfgeneral/Fatf-30.html

*6)Financial Action Task Force Annual Report 2024 – 2025, p.17 https://www.fatf-gafi.org/en/publications/Fatfgeneral/FATF-Annual-report-2024-2025.html

*7)その後、地域会合間の衡平を図るため、中東は欧州・ユーラシアと統合された。

*8)Kida and Paetzold, "The Impact of Gray-Listing on Capital Flows:An Analysis Using Machine Learning", International Monetary Fund Working Paper, May 2021.

*9)特定非金融業者及び職業専門家(不動産業者、宝石貴金属業者、弁護士、公認会計士など)。

*10)FATF拡散金融プロジェクトに関しては、「ファイナンス」2025年9月号を参照。
https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/202509/202509i.html