教えて!マネロン・
テロ資金供与・拡散金融対策
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マネロンとは?
マネー・ローンダリング(Money Laundering:資金洗浄)の略称です。
マネロンとは一般に、犯罪によって得られた収益を、他人名義の口座へ振込入金することや、偽名を使用して盗品等を売却すること等で、その出所や真の所有者が分からないようにして、捜査機関による収益の発見や検挙を逃れようとする行為をいいます。
※不法な収益を生み出す犯罪であって、その収益がマネロンの対象となるものを前提犯罪といいます。数字で知る!
世界におけるマネロンの総額は世界全体GDPの約2~5%と推計されています。
出典:国連薬物犯罪事務所(UNODC)
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テロ資金供与とは?
テロ行為の実行資金、テロ組織の活動資金等のために、資金や場所等を収集・提供等する行為のことをいいます。
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拡散金融とは?
大量破壊兵器(核・化学・生物兵器)等の開発、保有、輸出等に関与するとして資産凍結等措置の対象となっている者に、資金または金融サービスの提供をする行為のことをいいます。
数字で知る!
拡散金融対策としては、国連安保理決議の要請等に基づき、外為法及び国際テロリスト等財産凍結法による資産凍結措置の対象として、北朝鮮の核関連計画関係者・イランの各活動等に関与する者等300以上の個人・団体が指定・規制されています。
- なぜマネロンは問題?
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マネロンが行われると、犯罪によって得られたお金が、将来の犯罪やテロの発生、ひいては健全な事業活動・市民活動の阻害につながりかねません。
このように、安全なくらしを守り、経済の健全な発展を実現するため、国際社会と足並みをそろえつつ、マネロンを防止することが大切です。 - 比較で知る!
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上記の説明をまとめると、以下のように整理されます。
マネロン テロ資金供与 拡散金融 資金の出所 犯罪によって得られた収益 資金の出所は問わない 資金の出所は問わない 資金等移転の目的 犯罪によって得られた収益の出所や真の所有者を分からないようにすることで、捜査機関による犯罪収益の発見や検挙を逃れるため テロリズムの実行、テロリストの活動支援のため 大量破壊兵器の拡散行為(開発や取引等)の支援のため
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FATF(ファトフ)とは?
Financial Action Task Force(金融活動作業部会)の略称です。
1989年のアルシュ・サミット経済宣言を受け、マネロン対策の国際基準策定・履行を担う多国間枠組みとして設立されました。2001年の米国同時多発テロ事件を受けて、その任務にテロ資金供与対策が追加され、さらに2012年2月のFATF勧告改定により、大量破壊兵器の拡散に関する資金供与対策等が追加され今日に至ります。FATFの活動指針は、FATF担当大臣が承認するFATFマンデートに定められています。
FATFには38か国・地域と2地域機関が加盟しており、年に3回の全体会合にて、FATFの活動に関する事項を決定しています。FATFは、国際基準の遵守が不十分な国・地域を特定し、改善状況をモニターするため、「行動要請対象の高リスク国・地域」(いわゆるブラック・リスト)、「強化モニタリング対象国・地域」(いわゆるグレイ・リスト)を公表しています。
(FATF加盟国一覧)
2024年9月時点
アイスランド、アイルランド、アルゼンチン、イスラエル、イタリア、インド、インドネシア、英国、オーストリア、オランダ、カナダ、韓国、ギリシャ、豪州、サウジアラビア、シンガポール、スイス、スウェーデン、スペイン、中国、デンマーク、ドイツ、トルコ、日本、ニュージーランド、ノルウェー、フィンランド、ブラジル、フランス、米国、ベルギー、ポルトガル、香港、マレーシア、南アフリカ、メキシコ、ルクセンブルク、ロシア、欧州委員会(EC)、湾岸協力理事会(GCC)世界の地域ごとに、9つのFSRB(FATF-style regional bodies:FATF型地域体)が置かれており、FSRBに加盟する国・地域もFATF加盟国と同様に、FATF勧告に則った相互審査を実施しており、FATF勧告は世界200以上の国・地域に適用されています。アジア・大洋州地域に置かれているFSRBであるAPG(Asia/Pacific Group on Money Laundering:アジア太平洋マネー・ローンダリング対策グループ)がシドニーに所在し、日本はAPGにも加盟し、APGの活動に参加しています。
年表
マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策の動き
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2008年10月
第3次対日審査報告書公表
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2012年2月
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2014年6月
日本に関するFATF声明の公表
(マネロン対策等の不備への迅速な対応を要請) -
2014年10月
FATFで第4次審査を受けた初めての国を採択
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2014年11月
改正犯罪収益移転防止法の成立、改正テロ資金提供処罰法の成立、国際テロリスト財産凍結法の成立
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2014年12月
国のリスク評価書を初めて策定・公表
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2016年5月
仮想通貨交換業者にマネロン等対策を義務付けるための改正犯収法の成立
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2017年6月
改正組織犯罪処罰法の成立
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2018年2月
銀行等向けマネロン・ガイドラインを策定
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2018年10月
FATFが暗号資産をFATF勧告の対象とすることを明確化する勧告改定
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2021年8月
第4次対日審査報告書公表
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2022年9月
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2022年12月
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2023年10月
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2024年3月
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2024年10月
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