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各地の話題
姫路市
世界遺産・国宝姫路城のあるまち姫路市

姫路税関支署管理課長 竹下 多重

1.はじめに

姫路市は、兵庫県の南西部に位置する人口約52万人のまちです。

気候は、瀬戸内海式気候に属し、温暖で降水量も少なく、四季の移り変わりをよく感じることができる過ごしやすい気候に恵まれています。

世界文化遺産・姫路城とともに、旧城下町の面影が残る歴史的な街並み、海・山・川などの豊かな自然や多彩な農水産物に恵まれ、また、ものづくり産業が集積する商工業都市として発展しています。

姫路市南部では、レンコンをはじめ、網干メロン、海老芋などの地場産野菜が生産されています。また、山や川など、身近に触れ合える自然が広がる北部では、米、ゆずなどの農産物も豊富です。

2.姫路税関支署と姫路港

(1)姫路税関支署

姫路税関支署は、姫路市の南部に位置しています。昭和14年8月に神戸税関広畑派出所が設置され、昭和34年4月神戸税関姫路出張所に改称、昭和37年4月に姫路税関支署に昇格しました。兵庫県のうち、9市(姫路市、相生市、赤穂市、西脇市、小野市、加西市、宍粟市、加東市、たつの市)5郡(多可郡、神崎郡、揖保郡、赤穂郡、佐用郡)を管轄しています。

(2)姫路港

姫路港は、瀬戸内海の東部、播磨地域の中央部の姫路市臨海部に位置する国際拠点港湾で、港湾区域は、東西約18kmにわたり、面積約7,700haを有しており、隣接する重要港湾東播磨港とともに、工業港として、我が国の経済に重要な役割を果たしています。

旧くは、瀬戸内海の交通の要衝として、城下町「姫路」を支える港として発展してきましたが、大きく発展したのは戦後であり、公共岸壁の整備と併せ、工場などの立地によって専用施設の整備が進められました。また、本港は、近畿のエネルギーの供給基地でもあり、発電所・LNG基地施設等が立地しています。

姫路税関支署の東側を流れる野田川の河口に開けた旧飾磨しかま港(飾磨地区)は、旧くは「思賀麻江」と称し、瀬戸内海を往来する船はもとより、遣唐使の船も碇泊して賑わいました。江戸時代は舟運によって、世界文化遺産に指定された姫路城と結ばれ、姫路藩の「海の玄関口」として栄え、明治22年に港名を飾磨港としました。太平洋戦争に入り、軍備増強の軍需による急激な生産増強の要請に伴い、本港臨海部の工業化が急速に進み、港湾施設の整備が進められました。昭和26年1月に、飾磨港、広畑港、網干港を包含し、姫路港として重要港湾に指定され、さらに昭和34年4月開港に指定されました。

(支署から見た姫路港)

(支署から見た姫路港)

3.姫路市の名所・名物

姫路市には、紹介しきれないくらい多くの名所や美味しいものがたくさんあります。その中で代表的なものを紹介します。

(1)姫路城

姫路市といえば、世界遺産・国宝である姫路城です。

姫路城は慶長年間に建てられ、日本独自の城郭建築の技術が最高潮に達した時期の最も完成された城と言われています。昭和26年には国宝に指定、平成5年には日本で初めてユネスコ世界遺産(文化遺産)に登録されました。

白漆喰で塗り込めた優美な姿は、飛び立つ白鷺に例えられ、はくじょうとも呼ばれています。

また、大天守と3つの小天守が渡櫓で結ばれた連立式天守が完全な姿で残されており、幾重にも重なる屋根、千鳥破風や唐破風が、しろしっくいそうぬり籠造ごめづくりの外装と相まって、華やかな構成美を誇っています。城内の数ある建造物のうち、8棟が国宝に、74棟が国の重要文化財に指定されています。

姫路城では、日没から24時まで1年を通して、白漆喰が映える白色ライトアップや、カラーLED照明による季節に応じた特別演出も行っています。その様子はJR姫路駅のホームから見ることもでき、世界遺産・国宝を身近に感じることができます。

(姫路城)

(姫路城)

(2)好古園

姫路藩主の居館及び武家屋敷があった場所にあり、大小趣の異なる9つの庭園群からなる江戸の情緒を醸し出すたたずまいは時代劇などのロケ地としても使われています。

(好古園)

(好古園)

(3)しょしゃざんえんぎょう

966年、しょうくうしょうにんによって開かれた天台宗のお寺です。西国三十三霊場の第二十七番札所で西の比叡山とも呼ばれています。

国指定重要文化財である「殿でん」もあり、その先には三つの堂と呼ばれる大講堂、食堂、常行堂の3つの建物があり、映画やドラマのロケ地にもなりました。

(書寫山圓教寺)

(書寫山圓教寺)

(4)銀の馬車道

兵庫県中央部の播但地域に日本屈指の鉱山群から姫路・飾磨港までを南北に貫く1直線の道があり、銀の馬車道と呼ばれています。明治時代に国家の未来を託し切り拓いた国内初の舗装された産業道路は、鉱石を乗せた馬車や人々が行き交い、経済、技術、文化発展の礎となり日本を近代化へと牽引しました。

当時の熱き志と息遣い、そして現在へと繋がれた歴史の轍は日本遺産に認定され、さらなる未来へと繋がっています。

(5)姫路おでん

おでんにしょうが醬油をつけて食べる姫路おでん。ぴりっとした生姜とおでんがよく合います。

(姫路おでん)

(姫路おでん)

(6)えきそば

和風だしと中華麺の絶妙な組み合わせがクセになる「えきそば」。JR姫路駅在来線のホームや新幹線の改札前にも店舗があります。電車に乗る前に、小腹がすいたなと思ったら、是非食べてみてください。

(えきそば)

(えきそば)

(7)アーモンドバター

名物「アーモンドバター」。パンにアーモンドバターをたっぷり塗ってトースターで焼いたアーモンドトースト、姫路市の喫茶店の定番メニューであり、多くの喫茶店で食べることができます。

お土産店で購入することもでき、自宅でも手軽にアーモンドトーストを食べることができます。

4.おわりに

名所・名物についてご紹介してきましたが、まだまだおすすめの場所やおいしいものがたくさんあります。また、姫路税関支署管内には姫路城をはじめ、桜の名所も多数あります。これからの季節、桜を見に、おいしいものを食べに、ぜひ足を運んでみてください。

(姫路城の桜)

(姫路城の桜)

各地の話題
薩摩川内せんだい
薩摩川内市の地域資源と魅力
─港湾・自然環境・離島文化─

鹿児島税関支署川内出張所長 中山 博文

1 はじめに

薩摩川内市は、鹿児島県北西部に位置し、2004年(平成16年)10月に、川内市、薩摩郡わき町、入来町、東郷町、どういん町、里村、かみこしき村、しもこしき村、鹿島村の1市4町4村が合併して発足しました。鹿児島県内で最大の面積を有し、東シナ海に面した海岸線と、市内を東から西へ流れる川内川、さらに甑島列島を含む豊かな自然環境に恵まれています。山・川・海・島が織りなす変化に富んだ景観は、古くから人々の暮らしと産業を支えてきました。

薩摩川内市は、県内有数の港湾機能を有する川内港を擁し、エネルギー・物流・漁業の拠点として発展してきた一方、内陸部には池をはじめとする緑豊かな山々や湖が広がり、離島部である甑島では、自然と共生する独自の文化が今も大切に受け継がれています。近年では、豊かな自然環境や食文化、歴史的資源に改めて注目が集まり、観光や交流人口の拡大、移住促進など、新たな動きも見られるようになっています。

本稿では、薩摩川内市の港湾、内陸に広がる自然や温泉、離島である甑島の魅力、さらに歴史について紹介し、地域が有する多面的な魅力をお伝えします。

2 薩摩川内市の海の玄関 川内港

川内港は、薩摩川内市の産業と物流を支える中核的な港湾であり、1987年(昭和62年)4月に関税法上の開港に指定され、2010年(平成22年)11月には京泊地区が指定保税地域に指定されるなど、地域経済の発展に大きく寄与してきました。

近年では、隣接する唐浜地区において、木材の輸出量増加等に伴う船舶の大型化に対応するため、岸壁の整備や航路・泊地の浚渫といった国際物流ターミナルの整備が進められています。これにより、本年3月末から一部岸壁や用地の暫定供用が始まり、本年4月には指定保税地域の追加指定も行われるなど、さらなる利便性の向上が見込まれています。

川内港では、原材料や製品等コンテナ貨物を中心とした荷役作業が日々行われ、貨物取扱量は輸入、輸出ともに年々増加しており、これらの貨物は地域住民のみならず、県全体の生活や産業を支える「縁の下の力持ち」として、欠かすことのできない存在です。

また、川内港は甑島と本土を結ぶ重要な交通拠点でもあります。定期船の発着は、人の移動を担うだけでなく、島と本土のつながりを保ち続ける役割も果たしており、地域の暮らしを支える重要な交通基盤となっています。

整備中の川内港唐浜地区(R8.2月撮影) 提供:鹿児島県

整備中の川内港唐浜地区(R8.2月撮影) 提供:鹿児島県

3 緑豊かな自然の恩恵

(1)藺牟田池

藺牟田池は、薩摩川内市祁答院町にある火口湖で、周囲約4km、水深約3.5mの静かな浅池です。周囲は外輪山に囲まれ、独特の地形と豊かな自然環境が広がっています。

西側の一部は湿原化しており、植物が腐らず堆積してできた泥炭質の「浮島」が見られます。この浮島は国の天然記念物に指定されています。

また、藺牟田池は2005年(平成17年)にラムサール条約湿地として登録されました。絶滅危惧種であるベッコウトンボをはじめ、水生植物や水鳥が多く生息する重要な湿地として高く評価されています。ベッコウトンボの成虫は4~5月にかけて観察され、湿原はその貴重な生息環境となっています。

池周辺には散策路や外輪山の登山道が整備され、四季折々の自然に触れることができます。また、生態系保存資料施設「アクアイム」では、藺牟田池の環境保全に関する学びの場も提供されています。藺牟田池は、自然の魅力と環境教育が融合した地域の貴重な資源です。

藺牟田池 提供:薩摩川内市

藺牟田池 提供:薩摩川内市

ベッコウトンボ 提供:薩摩川内市

ベッコウトンボ 提供:薩摩川内市

(2)温泉

薩摩川内市は、県内でも有数の温泉資源に恵まれた地域で、市内各地に温泉地が点在しています。古くから地域住民の生活に溶け込み、健康や交流の場として親しまれてきました。特に樋脇地域、入来地域などでは、泉質の異なる温泉を楽しめることも特徴です。

ア 市比野温泉

薩摩川内市樋脇町にある市比野温泉は、19代藩主・島津光久が「天下の名泉」と讃えたと伝えられる、薩摩地域でも歴史ある温泉地です。300年以上の歴史をもち、静かな温泉郷として親しまれてきました。泉質はアルカリ性単純温泉で無色無臭、刺激が少なく、トロトロとした肌触りから「美人の湯」としても知られています。

温泉街には共同浴場や宿泊施設が整い、時代の移り変わりとともに姿を変えながらも、地域の生活に根ざした温泉文化が継承されています。現在も、市比野温泉は観光資源としてだけでなく、地域住民の日常の場として愛され続けています。

市比野温泉ポケットパーク 提供:薩摩川内市 温泉街にある24時間の足湯施設(無料)

市比野温泉ポケットパーク 提供:薩摩川内市
温泉街にある24時間の足湯施設(無料)

イ 入来温泉

入来温泉は、薩摩川内市入来町に位置する温泉地で、かつて領主・入来院家が管理した“殿様湯”として知られ、領主だけでなく庶民にも広く利用されてきました。長い歴史の中で地域住民に親しまれ、湯治の場としても大切にされてきた温泉です。

泉質は塩化物泉や炭酸水素塩泉など泉源により異なり、古くから温浴効果による心身の癒やしが期待される温泉として利用されてきました。温泉街は藺牟田池の西方に位置し、周辺には入来城跡や武家屋敷跡が残っています。特に日本遺産構成文化財である入来麓武家屋敷群は、歴史的な町並みと温泉地ならではの落ち着いた雰囲気が調和し、来訪者を魅了します。

現在も、入来温泉は地域住民の憩いの場であると同時に、湯治文化を静かに受け継ぐ温泉地として、薩摩川内市の歴史と暮らしを今に伝える存在となっています。

旧増田家住宅 提供:薩摩川内市 入来麓武家屋敷群にある重要文化財の一つ

旧増田家住宅 提供:薩摩川内市
入来麓武家屋敷群にある重要文化財の一つ

4 自然の宝庫 甑島

甑島は、薩摩川内市の西方約30キロの東シナ海に位置し、上甑島・中甑島・下甑島から成る列島です。8000万年前(白亜紀)の地層が露出する鹿島断崖をはじめ、島全体が国定公園に指定されるなど、貴重な自然景観に恵まれています。

島の暮らしは現在も漁業が主要産業で、年間を通して新鮮なキビナゴが水揚げされます。甑島は全国有数のキビナゴ漁場として知られ、透き通った身の刺身や素朴な干物など、海とともに生きる島ならではの食文化が息づいています。

甑島では、集落ごとに伝統行事や祭りが大切に受け継がれています。中でも下甑島の「トシドン」はユネスコ無形文化遺産に登録されており、地域ぐるみで子どもの成長を願う来訪人の伝統行事として知られています。

近年では、甑島の地質や景観に注目が集まり、国際クルーズ船の寄港やエコツーリズム、自然体験型観光も進められています。夏には、市の花であるカノコユリが島内を彩ります。カノコユリは、白から濃い桃色の花弁に鹿の子絞りのような斑点が入る華やかなユリで、花弁が大きく反り返り、芳香を放つのが特徴です。江戸時代には、医師シーボルトが日本から球根を持ち帰りヨーロッパに紹介したことをきっかけに高く評価され、多くの園芸品種の親となるなど世界のユリ文化にも影響を与えました。

甑島はそのカノコユリの国内最大規模の自生地とされ、特に下甑島西海岸のかたうらに広がる「みっちり草原」では大規模な群落が見られます。この群落は、本年2月に「甑島片野浦のカノコユリ群落」として国の天然記念物に指定され、島を象徴する風景としてさらなる注目を集めています。

甑島は、太古の地球が刻んだ地形と、島民が育んできた暮らしと文化が溶け合う“時間の層”を持つ島です。その豊かな自然と、人々の営みが調和して続いている姿こそ、甑島の最大の魅力です。

鹿島断崖 提供:薩摩川内市

鹿島断崖 提供:薩摩川内市

トシドン 提供:薩摩川内市

トシドン 提供:薩摩川内市

カノコユリ 提供:薩摩川内市

カノコユリ 提供:薩摩川内市

5 歴史と文化 川内大綱引

薩摩川内市は、薩摩藩の歴史と深く結びついた地域であり、市内には史跡や神社仏閣が点在しています。中でも、国の重要無形民俗文化財である「川内大綱引」は、毎年「秋分の日の前日」に開催される、420年以上の歴史を誇る薩摩川内市を代表する伝統行事です。

川内大綱引は、一説には関ヶ原の戦いの際に士気を高めるため17代藩主・島津義弘が始めたとされ、時代を超えて受け継がれてきました。大綱は長さ約365メートル、重さ約7トンにも及ぶ巨大なもので、藁をより合わせて作られています。綱の制作には多くの地域住民が関わり、当日の朝から綱練りが行われるなど、準備段階から地域の結束が育まれる行事でもあります。

イベント当日は市街地中心部に大綱が据えられ、「上方」と「下方」に分かれて引き合います。太鼓や掛け声が響く中、約3,000人が力を合わせて引き合う光景は壮観で、地域の人々が一体となる象徴的な行事として、市内外から多くの観客を魅了しています。

川内大綱引 提供:薩摩川内市

川内大綱引 提供:薩摩川内市

6 おわりに

薩摩川内市は、自然、産業、文化、歴史が調和した魅力的な地域です。港が人と物をつなぎ、島が自然と共生する暮らしを伝え、祭りや食文化が人々の心を結んでいます。

日常の中に息づくこうした魅力を次の世代へとつないでいくことが、地域の将来につながります。多くの方に薩摩川内市を訪れていただき、その奥深い魅力を感じていただければ幸いです。