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BEPS防止措置実施条約に関する資料

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BEPS防止措置実施条約の概要及び経緯

1.概要
○ 本条約は、BEPSプロジェクトにおいて策定されたBEPS防止措置のうち租税条約に関連する措置を、本条約の締約国間
 の既存の租税条約に導入することを目的としている。
○ 本条約の締約国は、租税条約に関連するBEPS防止措置を多数の既存の租税条約について同時かつ効率的に実施する
 ことが可能となる。
○ 本条約により導入可能なBEPS防止措置は、@租税条約の濫用等を通じた租税回避行為の防止に関する措置、及び、A
 二重課税の排除等納税者にとっての不確実性排除に関する措置から構成される。
○ 本条約の各締約国は、既存の租税条約のいずれを本条約の適用対象とするかを任意に選択することができ、また、本条
 約に規定する租税条約に関連するBEPS防止措置の規定のいずれを既存の租税条約について適用するかを所定の制限の
 下で選択することができる。


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2.経緯
○ 2014年9月:BEPS報告書において、多数国間条約交渉のためのマンデートの策定を勧告。
○ 2016年11月24日:参加国による条文の採択。
○ 2017年6月7日:署名式(於パリ)において我が国を含む67カ国・地域が署名。
○ 2018年5月18日:第196回国会(平成30年通常国会)で承認。
○ 2018年7月1日:先に批准書等を寄託した5カ国・地域について発効。以後、批准書等を寄託した国・地域について順次発
              効。
○ 2018年9月26日:我が国が受託書を寄託。これにより、本条約は我が国について2019年1月1日に発効。
○ 2018年9月27日現在:82カ国・地域が署名。内、15カ国・地域が批准書等を寄託。

BEPS防止措置実施条約の概要及び経緯(PDF:108KB)


BEPS防止措置実施条約のポイント

1.本条約によって導入されるBEPS防止措置
 本条約によって既存の租税条約に導入されるBEPS防止措置は、@租税条約の濫用等を通じた租税回避行為の防止に関する措置、及び、A二重課税の排除等納税者にとっての不確実性排除に関する措置から構成され、具体的には、BEPSプロジェクトの以下の行動計画に関する最終報告書が勧告する租税条約に関連するBEPS防止措置が含まれます。
 行動2:ハイブリッド・ミスマッチ取極めの効果の無効化
 行動6:租税条約の濫用防止
 行動7:恒久的施設認定の人為的回避の防止
 行動14:相互協議の効果的実施

2.本条約の適用対象となる租税条約
 本条約の各締約国は、その既存の租税条約のいずれを本条約の適用対象とするかを任意に選択することができます。
 本条約は、各租税条約の全ての締約国がその租税条約を本条約の適用対象とすることを選択したものについてのみ適用され、各租税条約のいずれかの締約国が本条約の締約国でない場合、又は、その租税条約を本条約の適用対象として選択していない場合には、本条約はその租税条約については適用されません。

3.BEPS防止措置の選択及び適用
 本条約の各締約国は、本条約に規定する租税条約に関連するBEPS防止措置の規定のいずれを既存の租税条約について適用するかを所定の要件の下で選択することができます。
 本条約に規定する租税条約に関連するBEPS防止措置の規定は、原則として、各租税条約の全ての締約国がその規定を適用することを選択した場合にのみその租税条約について適用され、各租税条約のいずれかの締約国がその規定を適用することを選択しない場合には、その規定はその租税条約については適用されません。
 なお、本条約の各締約国が適用することを選択した本条約の規定は、原則として、本条約の適用対象となる全ての租税条約について適用され、特定の租税条約についてのみ適用すること又は適用しないことを選択することはできません。
 本条約に規定する租税条約に関連するBEPS防止措置の規定が既存の租税条約について適用される場合には、本条約の規定が、既存の租税条約に規定されている同様の規定に代わって、又は、既存の租税条約に同様の規定がない場合にはその租税条約の規定に加えて、適用されます。

4.選択の通告

 本条約の各締約国は、@既存の租税条約のうち本条約の適用対象とするものの一覧、及び、A本条約に規定する租税条約に関連するBEPS防止措置の規定のうち適用することを選択するものの一覧を、署名時又は批准・受諾・承認の時に寄託者(OECD事務総長)に通告しなければならず、署名時に通告しない場合には、これらの暫定の一覧を署名時に提出しなければなりません。
 寄託者は、各締約国からの通告等を公表することとされています。
 


BEPS防止措置実施条約の署名国

《2018年9月27日現在、82か国・地域》

アイスランドアイルランドアラブ首長国連邦アルゼンチンアルメニア
アンドライスラエルイタリアインドインドネシア
ウクライナウルグアイ英国エジプトエストニア
オーストラリアオーストリアオランダ(注2)ガーンジーカザフスタン
カナダガボンカメルーン韓国キプロス
ギリシャクウェートクロアチアコートジボワールコスタリカ
コロンビアサウジアラビアサンマリノジャージージャマイカ
ジョージアシンガポールスイススウェーデンスペイン
スロバキアスロべニアセーシェルセネガルセルビア
チェコ中国(注3)チュニジアチリデンマーク
ドイツトルコナイジェリア日本ニュージーランド
パキスタンパナマバルバドスハンガリーフィジー
ノルウェーフィンランドフランスブルガリアブルキナファソ
ペルーベルギーポーランドポルトガルマルタ
マレーシアマン島南アフリカメキシコモーリシャス
モナコラトビアリトアニアリヒテンシュタインルーマニア
ルクセンブルクロシア

(注1)下線は、本条約の批准書等を寄託した国・地域(15か国・地域)を示す。

(注2)オランダはキュラソーが締結した租税条約を本条約の対象とすることを通告している。

(注3)中国は香港が締結した租税条約を本条約の対象とすることを通告している。


BEPS防止措置実施条約の我が国の選択の概要

 本条約の適用に関する我が国の選択の概要は、以下のとおりです。
 
1.我が国が本条約の適用対象として選択している我が国の租税条約の相手国・地域(39か国・地域)
アイルランドアラブ首長国連邦イスラエルイタリアインド
インドネシアウクライナ英国エジプトオーストラリア
オランダカザフスタンカナダ韓国クウェート
サウジアラビアシンガポールスウェーデンスロバキアチェコ
中国ドイツトルコニュージーランドノルウェー
パキスタンハンガリーフィジーフィンランドフランス
ブルガリアポーランドポルトガル香港マレーシア
南アフリカメキシコルクセンブルクルーマニア
 
 (注)下線は、本条約の批准書等を寄託した国(8か国、2018年9月27日現在)を示す。

2.我が国が適用することを選択している本条約の規定
 @ 課税上存在しない団体を通じて取得される所得に対する条約適用に関する規定(第3条)
 A 双方居住者に該当する団体の居住地国の決定に関する規定(第4条)
 B 租税条約の目的に関する前文の文言に関する規定(第6条)
 C 取引の主たる目的に基づく条約の特典の否認に関する規定(第7条)
 D 主に不動産から価値が構成される株式等の譲渡収益に対する課税に関する規定(第9条)
 E 第三国内にある恒久的施設に帰属する利得に対する特典の制限に関する規定(第10条)
 F コミッショネア契約を通じた恒久的施設の地位の人為的な回避に関する規定(第12条)
 G 特定活動の除外を利用した恒久的施設の地位の人為的な回避に関する規定(第13条)
 H 相互協議手続の改善に関する規定(第16条)
 I 移転価格課税への対応的調整に関する規定(第17条)
 J 義務的かつ拘束力を有する仲裁に関する規定(第6部)

3.我が国が適用しないことを選択している本条約の規定
 @ 二重課税除去のための所得免除方式の適用の制限に関する規定(第5条)
 A 特典を受けることができる者を適格者等に制限する規定(第7条)
 B 配当を移転する取引に対する軽減税率の適用の制限に関する規定(第8条)
 C 自国の居住者に対する課税権の制限に関する規定(第11条)
 D 契約の分割による恒久的施設の地位の人為的な回避に関する規定(第14条)

BEPS防止措置実施条約の我が国の租税条約に対する適用関係

 本条約は、各租税条約の両締結国がその租税条約を本条約の対象とすることを選択し、かつ、本条約が両締結国について発効する場合に、順次、その租税条約について適用されることになります。
 また、本条約の規定のうち各租税条約に適用される規定及び各租税条約に対する本条約の適用の開始については、各締結国の選択に応じて異なります。
 これまでに本条約の批准書等を寄託した国・地域と我が国との間の租税条約に対する本条約の適用関係の詳細については、下記の表をご覧ください。

 (注1)本条約は、各国が批准書等を寄託した日に開始する3カ月の期間が満了する日の属する月の翌月の初日に、その国
      について、発効します。
 (注2)我が国が2018年9月26日に受託書を寄託したことにより、本条約は、我が国について、2019年1月1日に発効 
   します。
 (注3)下記の表中の適用関係は、我が国が2018年9月26日に提出した留保及び通告並びに相手国・地域が下記の日に提
   出した留保及び通告に基づいています。
 (注4)下記の表中の「統合条文」は、各租税条約の規定(改正議定書によって改正された場合には改正後の規定)とその
   租税条約について適用される本条約の規定及び各租税条約に対する本条約の適用の開始について記載しています。
 (注5)下記の表中の「統合条文」は、各租税条約の規定(改正議定書によって改正された場合には改正後の規定)とその
  租税条約について適用される本条約の規定とを統合した条約の形式で表示した文書です。本条約は、本条約の各租税条
  約に対する適用関係の把握を容易にするために便宜的に作成されたものであり、法的効力を有しません。

 相手国・地域留保及び通告の提出日 本条約の適用関係
 イスラエル2018年9月13日 概要   統合条文(準備中)
 英国2018年6月29日 概要   統合条文(準備中)
オーストラリア2018年9月26日概要   統合条文(準備中)
 スウェーデン2018年6月22日 概要   統合条文(準備中)
スロバキア2018年9月20日概要   統合条文(準備中)
 ニュージーランド2018年6月27日概要   統合条文(準備中)
フランス2018年9月26日概要   統合条文(準備中)
 ポーランド2018年1月23日概要   統合条文(準備中)

BEPS防止措置実施条約の条文等

 ・BEPS防止措置実施条約の条文
  「税源浸食及び利益移転を防止するための租税条約関連措置を実施するための多数国間条約」(和文(PDF:1811KB)英文(PDF:280KB)
 ・BEPS防止措置実施条約の署名国及び締結国の留保及び通告の一覧(OECDホームページ(英文)へのリンク)
 ・我が国の留保及び通告の一覧(和文(仮訳)(PDF:256KB)英文(PDF:236KB)

参考情報