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BEPS行動計画に関する最終報告書の公表についての財務大臣談話


平成27年10月5日

財務大臣談話


  1. 平成25年7月にOECD租税委員会(議長:浅川財務省財務官)がとりまとめた「税源浸食と利益移転(BEPS: Base Erosion and Profit Shifting)行動計画」を受け、昨年9月の第一弾報告書に続き、本日、最終報告書が公表され、G20財務大臣・中央銀行総裁会議に提出された。このBEPSプロジェクトは、私自身G7やG20などの場で議論を積極的に主導し、日本政府も強く支持し、OECDなどの場で議論を先導してきた。国際課税に関する国際的な協力の歴史において転機となるBEPSプロジェクトの成果が、各国の協力の下、結実の第一歩となったことを歓迎する。

  2. 近年、グローバルな経済活動の構造変化に各国の税制や既存の国際課税ルールが追いつかず、多国籍企業の活動実態とルールの間にずれが生じている。こうした中、多国籍企業がこのようなずれを利用することで、課税所得を人為的に操作し、課税逃れを行うこと(BEPS)がないよう、各国の税制の調和を図ると共に、国際課税ルールを経済活動の実態に即したものとする必要がある。BEPSプロジェクトの最終報告書は、その実現のため、実体面及び企業の透明性の向上や不確実性の排除といった手続面も含めた15の行動計画の下、包括的にBEPSに対応する諸措置を勧告している。日本は、本プロジェクトのこのような問題意識に強く共感し、また、とりまとめられた対応策を高く評価している。これらの対応策により、企業間において公正な競争条件が整い、納税者の公平感や税制に対する信頼が確固たるものとなるであろう。

  3. この最終報告書を受け、今後は実施段階(「ポストBEPS」)に入っていくが、BEPSプロジェクトの真価は、グローバルに協調して実施されてはじめて発揮される。各国が、税制を堕落させることなく、BEPSプロジェクトの合意を着実に実施することを期待する。日本としても、引き続き、実施に向け適切な対応をしていく。また、BEPSプロジェクトの成果が広く国際社会で共有されるよう、引き続き国際的な議論を先導し、途上国を含む幅広い国とOECDや関係する国際機関が協調するポストBEPS枠組みの構築に貢献していきたい。