夏が来る度に思い出す記憶がある、という方は少なくないと思います。私にとって、唯一無二の「The夏の記憶」というものはなく、小学生の頃の永遠に感じられた夏休みや、中高生の頃の部活に捧げた夏から、初の海外生活での夏体験、自分が親となって迎えた初めての夏など、時代も環境も異なる記憶が、「夏」という時期に起きたという共通点でカテゴライズされています。その中から、毎年、夏の到来に喚起されて時々の心境に合ったものが思い出されるところに、自分なりの趣深さを感じます。
今月号の巻頭言で、佐藤卓さんが触れておられる「デザイン」の本質のお話。経済学的な意味での付加価値を追求すること自体は、経済社会の発展にはまだ必要です。他方、新たに価値を付加するのではなく、既に存在する価値を見出し、誰かと、何かと繋ぐことこそがデザインなのだという視点は、人が生きる意味を考える時に極めて重要な示唆を持ちえます。
既に存在する記憶を一つの画角で切り取り、今の心境や環境と結びつけながら、何がしかの物語を紡ぐこともある種のデザインであり、その意味では自分も四季折々のデザインをしながら生きているのかな、とふと思いました。
(財務省広報室長 西畠 万季人)

