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各地の話題
金沢市
加賀百万石の歴史と文化が息づく城下町 金沢市

大阪税関金沢税関支署管理課 管理課長 藏橋 孝至

1.はじめに

金沢市は、石川県のほぼ中央に位置する人口約45万人の中核市で、加賀百万石の城下町として発展してきた北陸地方最大の都市です。北は日本海に面し、南には白山を望む豊かな自然環境に恵まれています。市内には犀川や浅野川が流れ、四季折々の美しい景観を楽しむことができます。

金沢は、加賀藩前田家のもとで独自の文化を育み、伝統工芸や茶の湯、食文化などが現代まで受け継がれてきました。戦災を免れたこともあり、市内には武家屋敷や茶屋街、寺院群など、江戸時代の街並みが今も数多く残されています。また、日本海の豊かな漁場に育まれた海産物や、「加賀野菜」と呼ばれる伝統野菜など食の魅力も豊富で、北陸新幹線の開業以降は国内外から多くの観光客が訪れ、観光都市として注目を集めています。

2.金沢市と加賀百万石文化

石川県の歴史を語るうえで欠かせないのが「加賀百万石」です。しかし、その背景には前田家だけでなく、浄土真宗の信徒たちによる「一向一揆」の歴史もあります。15世紀末の加賀国では、一向一揆により守護大名が倒され、自ら国を治めるという全国的にも珍しい時代が続き、そのため、加賀は「百姓の持ちたる国」と呼ばれました。その後、天下統一を目指した織田信長によって一向一揆が平定され、1583年に戦国武将・前田利家が金沢城へ入城しました。これが後の加賀藩発展の礎となりました。その後、領地は能登(石川県北部)・加賀(石川県南部)・越中(富山県)へと広がり、石高は100万石を超えました。これが「加賀百万石」と呼ばれる由来です。江戸時代、加賀藩は徳川幕府に次ぐ豊かな藩として栄えました。

現在も金沢市には加賀百万石の歴史と文化が色濃く残されています。

市の中心部に位置する金沢城公園は、加賀藩前田家の居城跡として知られており、隣接する兼六園は、日本三名園の一つに数えられ、四季折々の美しい景観が訪れる人々を魅了しています。特に冬の風物詩である「雪吊り」は、金沢を象徴する景観として全国的に有名です。また、ひがし茶屋街には江戸時代の面影を残す町並みが保存されており、金箔工芸や和菓子、伝統芸能など、加賀文化を身近に感じることができます。

さらに、金沢21世紀美術館をはじめとする現代文化施設も充実しており、加賀百万石の歴史と文化に加え、現代アートが楽しめる街となっています。

3.税関の歴史と金沢港の発展

税関の歴史は江戸時代までさかのぼります。鎖国政策を続けた江戸時代には、長崎の出島が日本と西洋を結ぶ唯一の貿易港でしたが、幕末の嘉永7年(1854年)に結ばれた日米和親条約を皮切りに、日本は諸外国に対し、次々に港を開きました。安政6年(1859年)、長崎、神奈川及び箱館(函館)の港に「運上所」が設けられ、今日の税関業務につながる輸出入貨物の監督や税金の徴収といった運上業務に加え、外交事務を取り扱うことになりました。これが税関の前身です。そして明治5年11月28日(1872年)、運上所は「税関」と改められ、ここに税関が正式に発足しました。

そして金沢税関支署は、昭和25年(1950年)に金石港に設置された「七尾税関支署金石監視署」を前身とし、その後の組織改編を経て、平成2年(1990年)に現在の「金沢税関支署」となりました。以来、北陸地方における国際貿易の発展とともに、地域経済を支える重要な役割を担っています。

管内にある金沢港は、古くから日本海側の海上交通の要衝として発展し、近年では、平成17年(2005年)にガントリークレーンの供用が開始され、令和2年(2020年)には金沢港クルーズターミナルがオープンするなど、国際物流と観光の拠点としての機能強化が進められており、現在では、日本海側を代表する物流等の拠点として、地域産業や観光振興を支える重要な港湾となっています。

ここで、石川県における貿易状況を見てみると、*1令和7年の石川県の貿易額(大阪税関金沢税関支署、同七尾出張所、同小松空港出張所の合計)は、輸出総額が2,292億円で、その約半分を建設用機械や繊維機械などの機械類が占めています。一方、輸入総額は2,299億円で、石炭、織物用糸及び繊維製品、石油製品など多様な貨物が取り扱われています。このように、石川県では多様な貨物の輸出入が行われており、こうした貿易活動を支えるため、税関では、「適正かつ公平な関税等の徴収」「安全・安心な社会の実現」「貿易の円滑化」の3つの使命を掲げ、適正な税関行政の運営に取り組んでおり、金沢税関支署においても、国際物流の円滑化と水際対策の両立を図りながら、人とモノの流れを支え、地域社会と経済の発展に貢献していきます。

税関写真

税関写真

金沢港クルーズターミナル(提供元:金沢市)

金沢港クルーズターミナル(提供元:金沢市)

4.金沢市周辺の観光スポット

これまで、金沢市や税関の歴史等に触れてきましたが、ここで金沢市周辺の観光スポットをご紹介します。

○兼六園

金沢を代表する観光名所といえば兼六園です。兼六園は水戸の偕楽園、岡山の後楽園と並ぶ日本三名園の一つとして知られています。兼六園は、「宏大・幽邃・人力・蒼古・水泉・眺望」という優れた庭園に求められる六つの景観要素「六勝(ろくしょう)」を兼ね備えることから、奥州白河藩主の松平定信により、兼六園と名付けられました。春の桜、初夏の新緑、秋の紅葉、そして冬の雪吊りなど、一年を通じて異なる美しさを見せる金沢の象徴的な庭園です。

兼六園(提供元:金沢市)

兼六園(提供元:金沢市)

兼六園(提供元:金沢市)

兼六園(提供元:金沢市)

○金沢城公園

兼六園の隣に位置する金沢城公園は、加賀藩前田家の居城であった金沢城跡を整備した公園です。石川門や三十間長屋などの重要文化財が現存するほか、菱櫓や五十間長屋、橋爪門などが復元され、当時の姿を今に伝えています。多種多様な石垣は「石垣の博物館」と呼ばれるほどで、金沢城の大きな見どころとなっています。

金沢城公園(提供元:金沢市)

金沢城公園(提供元:金沢市)

○ひがし茶屋街

金沢を代表する観光地の一つであり、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。石畳の街路に伝統的な茶屋建築が立ち並び、金沢らしい風情を感じることができます。和菓子や金箔製品、伝統工芸品の店舗も多く、散策に人気の観光スポットです。

ひがし茶屋街(提供元:金沢市)

ひがし茶屋街(提供元:金沢市)

○近江町市場

約300年の歴史を持つ市民の台所として親しまれています。日本海で水揚げされた新鮮な魚介類や加賀野菜などが並び、海鮮丼や寿司など金沢ならではの食文化を楽しむことができます。

近江町市場(提供元:金沢市)

近江町市場(提供元:金沢市)

○金沢百万石まつり

毎年6月に開催される金沢百万石まつりは、金沢市最大級のイベントです。加賀藩祖・前田利家公が金沢城に入城し、金沢の礎を築いた偉業を偲んで開催され、中でも豪華絢爛な百万石行列は、金沢駅東広場の鼓門前を出発し、石川門から金沢城に入城するまで約4時間の一大パレードが繰り広げられています。

金沢百万石まつり・百万石行列(提供元:金沢市)

金沢百万石まつり・百万石行列(提供元:金沢市)

○千里浜なぎさドライブウェイ

石川県羽咋市にある千里浜(ちりはま)なぎさドライブウェイは、日本で唯一、波打ち際を自動車で走ることができる海岸です。全長約8キロメートルにわたって続く砂浜は、砂の粒子が細かく引き締まっているため、車やバイク、自転車でも走行することができます。目の前に広がる日本海の雄大な景色と、潮風を感じながら走る爽快感は千里浜ならではの魅力で、金沢市からもアクセスしやすい、石川県を代表する観光スポットです。

○地酒と食文化

石川県は良質な米と白山水系の豊かな水に恵まれ、多くの酒蔵が点在しています。

「天狗舞」「手取川」「菊姫」「加賀鳶」など全国的に知られる銘柄をはじめ、特色ある日本酒が数多く醸造されています。また、日本海の海の幸や加賀野菜との相性も良く、金沢ならではの食文化を楽しむことができます。

5.おわりに

金沢市には、加賀百万石の歴史を今に伝える文化遺産、美しい日本庭園、風情ある茶屋街、新鮮な海の幸や地酒など、多彩な魅力があります。

兼六園や金沢城公園をはじめ、歴史ある街並みを巡る散策や、伝統工芸・食文化に触れる体験を通じて、金沢ならではの奥深い魅力を感じていただけると思います。

また、近年はクルーズ船の寄港が増加し、国内外から多くの観光客が訪れるとともに、北陸地域の産業を支える国際物流拠点としての役割も一層高まっています。

世界とつながる港を有する金沢市は、魅力あふれる街です。ぜひ一度足を運んでいただき、城下町・金沢の魅力と、その発展を支える金沢港や税関の役割にも目を向けていただければ幸いです。

*1)貿易統計2025年(令和7年)分(確々報値)

各地の話題
石垣市
自然と芸能・文化・観光の国際拠点-石垣島

沖縄地区税関石垣税関支署 統括監視官(総括部門) 津波 哲也

1.はじめに

石垣市は、日本列島の最西南端にあって、12の有人島からなる八重山諸島の拠点です。また、台湾や東南アジア諸国をはじめ、広くアジア・太平洋地域の開かれた位置にあり、沖縄本島那覇から南西へ約410km(那覇空港から飛行機で約1時間)、宮古群島へは約170km、台湾へは約277kmの位置にあります。また、石垣市がある石垣島は、沖縄本島、西表島に次ぎ、県内で3番目に大きな島であり、南国特有の温暖な亜熱帯海洋性気候と透明度の高い海が魅力的で特にマンタとの遭遇率はとても高く世界中から多くのダイバーが訪れることで有名なことと、県内最高峰の於茂登(おもと)岳(526m)を中央に連なる雄大な山々とエメラルドグリーンに輝く景勝地・川平(かびら)湾が国指定名勝に指定されるなど、温暖な気候の中美しいサンゴ礁とエメラルドグリーンの海に囲まれた美しい島です。

川平湾(提供:石垣市)

川平湾(提供:石垣市)

マンタとダイバー(提供:石垣市観光交流協会)

マンタとダイバー(提供:石垣市観光交流協会)

マンタとダイバー(提供:石垣市観光交流協会)

なお、石垣市の人口は、沖縄県内の市町村で第10位(令和8年1月末現在49,450人)となっていますが、石垣市に住民票を移していない人がかなりいるのではとの話もあります。

石垣税関支署については、明治32年4月に長崎税関八重山監視署が設置されたのが始まりであり、昭和28年4月琉球政府のもと琉球税関八重山支署へ、その後、本土復帰の昭和47年5月に沖縄地区税関石垣出張所へと組織の変遷をたどり、現在、石垣空港出張所及び与那国監視署を管理下に置く八重山郡等を管轄する支署に至っています。また、当支署には大型監視艇「さきしま」が平成19年3月から配備されており、宮古島から与那国島までの広域な洋上監視取締りを行っています。

2.島の芸能・文化について

石垣島は、多彩な文化や芸能イベントのある豊かな島です。1年を通して石垣島の風土を活かしたスポーツや音楽イベントが盛んに行われています。特に夏場の7月に開催される「オリオンビアフェストIN 石垣」は、地元ミュージシャンやダンサーをはじめ、古典舞踊や民謡、また沖縄を代表するアーティストのコンサートなどがあり盛り上がる祭りとして有名です。また、8月開催の「南の島の星まつり」は、『みんなで見よう満点の天の川』をテーマに石垣島全島でライトダウンして星空を観望するエコイベントで一週間程度行われています。この祭りにも有名な地元ミュージシャンなどによるライブがあることから賑わいのあるイベントです。その他にも沖縄本島にはない石垣島独自の「とぅばらーま大会」があり、毎年旧暦の8月13日に八重山民謡の名歌「とぅばらーま」の歌唱を競う大会です。ちなみに「とぅばらーま」とは、独特な旋律に、恋や人生の悲喜をのせ愛唱する民謡のことです。

南の島の星まつり(提供:国立天文台)

南の島の星まつり(提供:国立天文台)

昨年のとぅばらーま大会のポスター

昨年のとぅばらーま大会のポスター

3.石垣港について

石垣港は、八重山圏域を背後圏とする最南端の重要港湾(開港)であり、八重山圏域の物流の約98%を取り扱っています。石垣港には、沖縄本島や本土との定期航路が就航し、八重山圏域で消費される生活物資の受入れや積み替え拠点として、また、周辺離島とのフェリーや高速船が就航し、離島住民や観光客の発着基地として機能しています。さらに、台湾等から定期的にクルーズ客船が数多く寄港し、八重山圏域の国際観光拠点としての役割も担っています。石垣港は、本土復帰と同時に港湾法に基づく重要港湾に指定されていることから、石垣市が港湾管理者として国直轄事務所(沖縄総合事務局)と連携して、港湾整備が進められてきました。

石垣港では、新港地区の機能強化を進めており、外航クルーズ船の着岸は現状、水深10.5m、延長420mの1バースで22万t級の大型客船の接岸に対応しており、令和3年4月から運用開始されています。1バースあたりのクルーズ船の着岸回数は年間250回程度が限度といわれており、需要増に応じるには2隻同時の入港を可能としなければならず、2バース目の早急な整備が進められています。

石垣港全景(提供:石垣市)

石垣港全景(提供:石垣市)

石垣港(提供:一般社団法人 日本埋立浚渫協会)

石垣港(提供:一般社団法人 日本埋立浚渫協会)

(1)石垣港の国際ターミナル整備事業

石垣港新港地区では、CIQ(税関・出入国管理・検疫)施設(延べ床面積約6,400m2)の整備が進められ、令和8年3月1日から「石垣港国際ターミナル」として供用開始されました。石垣島において、沢山の外国人観光客を迎える場所として注目されています。

CIQ施設イメージ(提供:石垣市)

CIQ施設イメージ(提供:石垣市)

CIQ施設イメージ(提供:石垣市)

(2)石垣─台湾(基隆)定期船舶の就航に向けた事業

石垣島は、台湾に地理的にも近く、観光客等の需要が見込めることや経済規模も大きいことから企業誘致等のビジネスチャンスが生まれやすいとのことです。

石垣市として、離島特有の不利性解消につなげることを考え、大量の物資を安価で輸入し、かつ、石垣の農畜産物や海産物の輸出、ビジネスの往来で必要となる継続的な人の輸送も考慮して、航空機だけではなく貨客船による定期航路の導入をサポートする事業を行っています。

令和6年から、運営法人の設立や船舶購入契約の締結など就航環境の整備が進められ、運営法人及び石垣市の「石垣-台湾(基隆)間の定期船舶の就航」の取組みにより、令和8年5月29日、貨客船「やいま丸」が初入港し、就航に至りました。石垣港から基隆港まで片道約270km、運航時間約8時間は、石垣から那覇までの距離及び所要時間より短いことから、このメリットを生かした就航船は今後益々、石垣島の経済発展に寄与していくものと期待されています。

やいま丸と航路図(提供:(株)商船やいま)

やいま丸と航路図(提供:(株)商船やいま)

4.石垣空港について

平成25年、新石垣空港(南ぬ島(ぱいぬしま)石垣空港)が開港し、路線の拡充やLCCの就航により、これまで以上に、石垣島が身近にそして便利に渡航しやすくなり年間観光客数は136万人を超え、国際線ターミナル開港により台湾や香港などアジア圏を中心に、海外からの観光客も増えています。

石垣空港における国際線については、コロナ禍の影響で運休していた香港エクスプレス(香港⇔石垣)が令和7年4月3日に復便し、同日にジンエアー(仁川⇔石垣)が新規就航、同年5月28日にチャイナエアライン(台北⇔石垣)が復便、更に同年7月17日からタイガーエア台湾(台北⇔石垣)の新規就航に繋がり、令和7年夏ダイヤで4社3路線の週16便の就航になりました。同年冬ダイヤにおいては、減便により入港機数の減少はありましたが、令和8年夏ダイヤからチャイナエアラインを除く各航空会社が再開・増便となり、夏場観光需要の高い石垣島には益々インバウンド客が増えるものと期待されています。

石垣空港(提供:沖縄県)

石垣空港(提供:沖縄県)

石垣空港国際線ターミナル(提供:石垣空港ターミナル(株))

石垣空港国際線ターミナル(提供:石垣空港ターミナル(株))

5.おわりに

石垣港は日本最南端の国際交流拠点として位置づける中核インフラ港になっています。石垣市が整備を進めてきた石垣港国際ターミナル(CIQ施設)の本格供用開始により、税関・出入国管理・検疫(CIQ)機能が一体的に整備され、大型クルーズ船の受け入れが円滑に行える体制が整っています。また、石垣空港は東アジアと直結する空の玄関口となっています。

このような海港及び国際空港がある石垣島において、更に、新たな定期船の就航により、石垣-台湾間の人的・経済的交流及び物流促進へと繋がることで、今後益々、石垣島には海外からの観光客数の増加が予想され、特産品を含めた輸出入貨物も増えていく中において、八重山諸島に不正薬物及び金等の密輸出入がないよう石垣税関支署一丸となって厳格に対応していきたいと思います。

最後に石垣島の魅力について、ここで紹介した以外にも全国的に知られる「石垣牛」はもちろん、黒マグロやパイナップルなど自然の恵みを生かした食材が豊富にあるところです。観光地でありながら、自然と共に生きるライフスタイルに惹かれて移住を選ぶ人も増えているようです。このような魅力ある石垣島へ皆さん是非、足を運んでみてはいかがでしょうか。

(参考文献)

・沖縄県庁ホームページ資料

・石垣市役所ホームページ資料

・沖縄総合事務局石垣港湾事務所ホームページ資料

・一般社団法人日本埋立浚渫協会MarineVoice21 vol329資料

・石垣市観光交流協会ホームページ資料

・商船やいまラインウェブサイト資料