財務総研トピックス

3月の研究会等

〇3月10日(火曜日):「人口減少と経済成長に関する研究会」第4回会合

財務総合政策研究所では、人口減少社会の中で豊かな経済社会を維持していくために、企業・産業、労働市場、グローバル化などの分野で、どのような対応が考えられるかについて研究・調査を行うことを目的として、「人口減少と経済成長に関する研究会」(座長:土居丈朗(慶應義塾大学教授、財務総研特別研究官))を設置しており、3月10日に第4回会合を開催しました。



報告 :
  
「企業規模と賃金、労働生産性について」(PDF:941KB)
奥 愛     財務総研総務研究部総括主任研究官
井上 俊    財務総研総務研究部研究員
升井 翼    財務総研総務研究部財政経済計量分析室員
報告 :
  
「スウェーデンの経済成長と労働生産性」(PDF:1480KB)
上田 大介   財務総研総務研究部主任研究官
三角 俊介   財務総研総務研究部研究員
報告 :
  
 
「スイスの経済構造と主要産業の現状と課題」(PDF:915KB)
佐藤 栄一郎  財務総研総務研究部総務課長
佐野 春樹   前財務総研総務研究部研究員

3月の刊行物

フィナンシャル・レビュー
題名要約
令和2年(2020年)第1号(通巻第142号)
特集「国民の安定的な資産形成を実現する資金の流れへの転換」

 本特集では、日本における家計金融資産の形成の実情や金融事業者に求められる顧客本位の業務運営ないしフィデューシャリー・デューティー(fiduciary duty)の実践に関する経済学および法学の研究を通じて、上記の政策の意義や課題、そして政策の実現への道筋などを学問的に明らかにする。

 

DP(ディスカッション・ペーパー)
題名・執筆者要約
「Intertemporal Elasticity of Substitution with Leisure Margin」(PDF:544KB)
財務省財務総合政策研究所総務研究部 主任研究官
八木橋 毅司
オールドドミニオン大学経済学部准教授 兼 中央大学国際経営学部非常勤講師
Juan Du

本論文では消費の異時点間代替弾力性(Intertemporal Elasticity of Substitution, 以下IES)の値を推計する際に余暇(leisure)も金利に反応し得ると想定すると、余暇が反応しない場合と比べてIESの推計値がどのように変わるかを検証した。具体的には消費と余暇が互いの限界効用に影響を及ぼすタイプの効用関数を想定した上で2本のオイラー方程式を用いてIESを推計した。その結果、余暇の内生化はIESの推計値を大きく下げること、また消費と余暇の間の代替を通じて上記変化が生じることがわかった。一方、家事・育児を余暇の定義から外すとIESが上昇することも合わせて判明した。結論としては個人の消費・貯蓄行動において時間配分が重要な役割を果たすことが示された。

「ふるさと納税の返礼率競争の分析」(PDF:402KB)
財務省財務総合政策研究所客員研究員
末松 智之

本稿では、租税競争の理論を用いて、自治体が返礼率を高めている要因を分析した。 その結果、ふるさと納税制度の下での返礼率設定は租税競争の性質を有しており、競争相手自治体の返礼率が高い自治体ほど返礼率も高くなり(ヤードスティック競争)、また、税控除を通じた住民税収の流出が大きい自治体ほど返礼率が高くなる(リソースフローモデル)傾向があることが示された。また、財政的・経済的に脆弱な自治体ほど返礼率を高めて寄附を集める傾向が強いこと、返礼率競争は自治体間格差を拡大させることが示された。 返礼率の上限規制を導入するという国の政策は、租税競争が有する負の財政的外部効果を抑制するためにも正当化されうるだろう。

「The Cost of Omitting the Credit Channel in DSGE Models : A Policy Mix Approach」(PDF:372KB)
財務省財務総合政策研究所総務研究部 主任研究官
八木橋 毅司

本稿は「クレジットチャネル」(=金融市場を通じた政策波及メカニズム)について、金融・財政政策当局が同チャネルを認識していない事態を想定し、金融危機が発生するシナリオ下で両当局が同時に採用する最適政策が及ぼす社会厚生上の影響について検証した。具体的にはまず政策実務で広く使われている標準的な中規模型動学的確率的一般均衡モデルをベースにクレジットチャネルを含むものと含まないものを用意し、前者をデータ生成モデル(data-generating model)、後者を近似モデル(approximating model)と定義した。次にデータ生成モデルにおいて金融危機(金融摩擦の上昇、リスクプレミアムの不安定化)が起き、続いて金融・財政政策当局者が近似モデルを用いて個別に経済安定化を図るというシナリオをシミュレーションした。その結果判明したのは、1)上記政策モデルに基づいた政策決定は社会厚生を大きく悪化させるが、政策当局はパラメター推計からは自身の政策モデルの誤りに気がつくことができない、2)仮に財政政策当局が誤りに気付いたとした場合、誤認識モデルを使用する金融政策当局者の政策変化を予期し得るという前提のもとで、金融危機に伴う社会厚生の悪化をより緩和することが可能である、3)政策当局がパラメター推計値に常識的な判断を働かせることで事態の改善を図ることが可能である、の3点である。結論としてはクレジットチャネルの誤認識に伴い生じるモデル分析上のコストは、他政策機関の政策変化の予期や推計結果のより慎重な解釈を通じて減少できることが示された。

 

財務総研トピックス(月別)