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所長挨拶

財務総合政策研究所は、昭和60年5月に財政金融研究所として設立され、平成12年に現在の名称に変更し、昨年で研究所創立40周年を迎えました。財務省のシンクタンクとして、財政経済に関する調査・研究のほか、開発途上国に対する知的支援、海外の研究機関との研究交流、法人企業統計等の統計調査、財政史の編纂、財務省職員の研修等を行っています。

我が国は現在、生産年齢人口の急速な減少、国際秩序の動揺と地政学リスクの高まり、サプライチェーンの脆弱化、AIを始めとする破壊的な技術革新の急速な進展といった構造的かつ複合的な環境変化に直面しております。
 こうした中、我が国経済についてみれば、企業所得は堅調に推移、雇用者所得も名目・実質共に増加しており、所得の増加が消費や投資を生み出す民間主導の循環が生まれつつあります。
 しかし、中東情勢を始めとして、我が国経済の先行きに大きな影響をもたらし得る海外のリスク要因は引き続き存在し、同時に、少子化と人口減少といった国内の構造的な課題も残っており、「成長型経済」への本格的な移行には、更なる取組強化が必要であります。
 内外の課題克服に向け、「強い経済」と「財政の持続可能性」を一体的に実現し、グローバルな情勢も踏まえた政策課題に的確に応える財政・経済政策を企画・立案していく必要があります。このためには、内外経済情勢や政策手段に対する幅広い視点からの調査・研究が不可欠です。

 

調査・研究

当研究所では、こうした現状に基づく政策部局の問題意識や理論的裏付けの重要性を踏まえ、中長期的財政・経済、金融・資本市場、国際経済・各国経済等の研究を行っており、その成果を「 フィナンシャル・レビュー 」、「研究会の報告書」、「ディスカッション・ペーパー」など各種論文等として刊行するとともにホームページにおいても公表しています。これに加え、行政データの利活用の一環として、税関が保有する輸出入申告データを活用した研究にも取り組んでいます。

 

知的支援・研究交流

当研究所は、開発途上国に対する知的支援や海外の研究機関等との研究交流にも力を入れています。

具体的な知的支援の取組みとしては、ウズベキスタンやカンボジア等の開発途上国の行政官や政府系金融機関職員等の人材育成を目的とした技術協力を行っています。その他、東南アジア及び中央アジア諸国等を対象に、日本の財政・経済に関する知識・経験の提供を行う受入型セミナー等も実施しています。

また、韓国、中国、インド、ベトナムの研究機関との間でワークショップ等の開催を通じた研究交流を行っているほか、開発途上国の政府職員や研究者等を客員・実務研究員として受け入れています。その他、中国、インド、ASEANに関する有識者を招いた研究会も開催しています。

 

統計調査

当研究所では、二つの統計調査を実施しています。「 法人企業統計調査 」は、約33,000社を対象として法人の活動実態を把握し、「 法人企業景気予測調査 」は、約14,400社を対象として企業の景況感を調査します。いずれも報道関係者や市場関係者、有識者等が注目する政府統計となっており、公表時においては研究所のホームページに多くのアクセスが寄せられます。

 

財政史の編纂

当研究所は、財務省の行政事績を史録として編纂した「 財政史 」を刊行し、財務行政の企画、立案と学術研究等の用に供しています。これまでに『明治財政史』から『平成財政史−平成元〜12年度』まで7シリーズ全117巻を刊行しました。令和2年度からは平成13年度以降の平成時代の後半を対象とする財政史の編纂に取り組んでおり、令和7年度より順次刊行しています。

 

研修

当研究所は、より効果的かつ効率的な行政運営に必要な専門知識や技能を習得させるため、財務本省及び財務局職員に対する総合的な研修を行っています。昨年度は、346コースの研修を実施し、延べ14,963名が参加しました。研修運営においては、行政を取り巻く環境の変化に応じて、内容の充実・強化を図るとともに、研修受講機会拡大の観点から、オンラインやオンデマンドを活用した研修の実施に努めています。

 

当研究所では、行政官だけではなく専門的な知識を有する公募による研究者など、多様なスタッフを揃えています。更に大学や民間研究機関等の研究者とも相互に連携した研究を実施しています。これらを基礎とした知的な蓄積を基に、当研究所は今後とも、調査・研究、国際的な研究交流活動や能力構築・人材育成に、各部局と連携して積極的に取り組んでいきたいと考えています。皆様方の御理解と温かい御支援を引き続きよろしくお願い申し上げます。

 

令和8年8月    財務省財務総合政策研究所長    小宮 敦史

 

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