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相続土地国庫帰属制度により国庫に帰属した土地の管理及び処分の取扱いについて

令和8年6月24日
財理第2052


財務省理財局長から各財務(支)局長、沖縄総合事務局長宛

相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(令和3年法律第25号)(以下「法」という。)に基づき国庫に帰属した土地(以下「帰属土地」という。)の管理及び処分の取扱いについては、下記によることとしたので通知する。

目 次

第1基本方針

第2用語の定義

第3取得等要望の受付手続の迅速化及び随意契約の活用

第4現状有姿による売払い

第5多様な主体との連携協力

第6本省協議

別添様式国有財産売買契約書

第1基本方針

近年、人口減少・少子高齢化の進展による土地利用ニーズの低下等から、帰属土地が増加している。帰属土地は、市場性に乏しい土地がほとんどであり、容易に売払いに至らず、長期間にわたり管理費用を要することが想定される。

帰属土地に投じる費用としては、職員の人件費をはじめ、通常の管理行為(看板設置、柵設置、草刈り、巡回)に要する費用、樹木の剪定又は伐採に要する費用、投棄物の撤去に要する費用等といった管理に要する費用のほか、測量・境界確定協議に要する費用、地下埋設物の調査に要する費用、入札対象財産の売払い促進のための広告に要する費用といった処分等に要する費用等、様々なものがある。

これらの費用は、現在及び将来の国民の負担により費用が賄われることとなるため、それぞれの土地又は地域の状況に応じて、効率的な管理を図っていく必要があるが、帰属土地の累積が見込まれる中、草刈りや巡回といった管理に要する費用の削減には限界があるほか、防災・減災の観点からも管理不全化を生じさせることのないよう、管理上必要な措置は適切に講じていかなければならない。

他方で、処分等に要する費用については、仮にこれを投じて一般競争入札に付したとしても、落札者がない可能性があることに加え、帰属土地は、不動産としては比較的価額が低廉なものが多いことを踏まえると、費用対効果を意識し、なるべく費用及び労力を投じることなく処分等の対象としていくことが適当である。

また、処分等に当たっての手続についても、仮に要望があった場合には、機を逸することのないよう可能な限り簡素化することにより、要望者の負担軽減とともに職員の事務の効率化を図り、帰属土地の地域における活用の促進と行政コストの低減を図っていくことが重要である。

これらを踏まえ、帰属土地については、令和元年9月20日付財理第3206号「最適利用に向けた未利用国有地等の管理処分方針について」通達(以下「最適利用通達」という。)、平成21年2月27日付財理第814号「財務省所管一般会計所属の未利用国有地等の売却促進について」通達、平成30年9月18日付財理第3111号「普通財産の処分価格等の明確化に係る手続きについて」通達又は昭和36年5月11日付蔵管第1195号「普通財産の簡易処理について」通達に定める手続によらず、帰属土地の特性に鑑み、地下埋設物等の調査(土地の履歴調査及び当該調査の結果、地下埋設物又は土壌汚染が存在する蓋然性が認められる場合の民間精通者による調査を含む。以下同じ。)、民間事業者による物件調書の作成及び測量・境界確定協議の業務の全部又は一部を省略して現状有姿で売払いすることができるものとするとともに、取得等要望の受付手続を迅速化した上で、法令の制限内において、本通達に定める処分等の手続を経て随意契約による売払い又は貸付けを行うことができるものとする。

ただし、帰属土地であっても、土地の形状・面積、立地、周辺環境等に照らし、通常の手続により売払いや貸付けが見込まれるもの等、本通達を適用せずに処理することが適当と認められるものについては、この限りではない。

第2用語の定義

本通達において使用する用語の定義は以下による。

相続土地国庫帰属制度法に基づき、相続又は相続人に対する遺贈により取得した土地の所有権を、法務大臣の承認を受けて国庫に帰属させることができる制度

予決令予算決算及び会計令(昭和22年勅令第165号)

財務局等財務局、財務支局及び沖縄総合事務局

財務局長等財務局長、財務支局長及び沖縄総合事務局長

第3取得等要望の受付手続の迅速化及び随意契約の活用

取得等要望の受付

帰属土地については、相続土地国庫帰属制度の運用において、申請者の承諾が得られたものは、法務局等が承認前に国の行政機関及び地方公共団体に対して寄附受けの可能性を確認していることも踏まえ、財務局長等は、国庫に帰属した後、令和3年5月24日付財理第1685号「未利用国有地等の情報提供及び国利用の要望について」通達(以下「国利用通達」という。)別添第3に定める利用要望及び最適利用通達記第7の3の(1)に定める取得等要望(以下「公的取得等要望」という。)の受付の手続を並行して行うことができるものとし、当該手続と併せて、一般の買受け又は借受けの要望(公的取得等要望以外の買受け又は借受けの要望をいい、以下「一般取得等要望」という。)を3か月間受け付け、当該要望の有無を確認することができるものとする(要望が競合したときの優先順位は、国利用通達別添第3に定める利用要望、最適利用通達記第7の3の(1)に定める取得等要望、一般取得等要望の順とする。)。

(注1)一般取得等要望のうち、「借受けの要望」とは、令和元年9月20日付財理第3209号「普通財産を暫定活用する場合の取扱いについて」通達に基づく貸付けに関する要望をいう。

一般取得等要望の受付に当たっては、平成30年3月30日付財理第1151号「国有財産の物件情報に係る公表様式について」通達別紙第6号様式「買受け及び借受けの要望を受け付ける物件」により、3か月間、財務局等のホームページへ掲載し、要望の有無を確認するものとする。その際、買受け又は借受けの可否の判断に資する観点から、所在、面積等の情報に加え、当該帰属土地の買受けの判断に当たって参考となる価格についても、当該様式に掲載の上、財務局等のホームページにおいて公表するものとする。

なお、公的取得等要望及び一般取得等要望のいずれにおいても要望がなかった帰属土地については、取得等要望の受付期間終了後も、当該様式により引き続き財務局等のホームページへ掲載し、一般取得等要望を受け付けるものとする。

(注2)買受けの判断に当たって参考となる価格は、国有財産台帳価格とする。ただし、平成13年3月30日付財理第1317号「国有財産評価基準について」通達の別紙「国有財産評価基準」第4章第1の3の(1)の④に定める取引条件による修正及び同章第2の4に定める市場修正の対象となる場合については、当該修正を行った価格とすることができる。

随意契約による売払い又は貸付け

財務局長等は、一般取得等要望の受付期間中又は受付期間後に買受け又は借受けの要望があったときは、当該受付期間中に複数の者から要望があった場合を除き、以下の(1)又は(2)の定めるところにより、随意契約により売り払い又は貸し付けることができるものとする。

ただし、以下の(1)及び(2)の定めるところにより売払い又は貸付けをするに当たっては、予定価格が予決令第99条第6号に定める金額を超えない貸付けを行う場合を除き、あらかじめ他の隣地所有者等(隣地所有者又は隣地の賃借権等を有する者をいう。以下同じ。)の買受けの要望又は借受けの要望がないことを確認するものとする。

なお、当該受付期間中に複数の者から要望があった場合は、一般競争入札に付すものとする。

また、買受けと借受けの要望が競合したときは、原則として、売払いを優先するものとする。

(1)隣地所有者等から要望があったとき

隣地所有者等から買受け又は借受けの要望があったときは、予決令第99条第22号及び令和4年6月15日付財理第2087号「普通財産の管理及び処分を行う場合において指名競争に付し又は随意契約によることについての財務大臣との包括協議について」通達の別紙1の第1の(三)の17に基づき、随意契約により売り払い又は貸し付けることができるものとする。

(2)隣地所有者等以外の者から買受け又は借受けの要望があったとき

隣地所有者等以外の者から買受け又は借受けの要望があった場合において、当該要望のあった土地を売り払い又は貸し付ける場合の予定価格が予決令第99条第5号又は同条第6号に定める金額を超えないときは、同号に基づく随意契約により売り払い又は貸し付けることができるものとする。

売払申請書等の提出

財務局長等は、一般取得等要望があったときは、平成13年3月30日付財理第1297号「普通財産取扱規則に規定する申請書等の標準様式等について」通達に定めるところにより、要望者に「普通財産売払申請書」又は「普通財産貸付申請書」の提出を求める(平成24年5月22日付財理第2445号「普通財産の管理処分に係る契約からの暴力団排除について」通達の記の2の(1)の規定に基づき、同通達の別添 1の「誓約書」を添付させることを含む。)ものとする。

第4国庫帰属財産の引受事務

現状有姿による売払いの取扱い

財務局長等は、帰属土地について上記第3の2の(1)又は(2)の規定により随意契約による売払いをするときは、測量・境界確定協議、地下埋設物等の調査、民間事業者による物件調査に基づく物件調書の作成等を行うことなく現状有姿により売り払うことができるものとする。

なお、国有財産の評価に当たっては、平成13年3月30日付財理第1317号「国有財産評価基準について」通達に基づき適正な対価を求めることを基本としており、当該価格は、財政法(昭和22年法律第34号)第9条第1項及び予決令第80条第2項の趣旨を踏まえたものでなければならない。

このため、測量・境界確定協議の省略については、地積が価格の算定に直接影響を及ぼすものであることを踏まえ、法務局に地積測量図(不動産登記令(平成16年政令第379号)第2条第3号の地積測量図をいう。以下同じ。)が備え付けられている土地(当該地積測量図に表示された地積が、分筆前の地積から実測により算出した分筆後の土地の地積を控除して残余地の地積を算定する方法(いわゆる残地求積)によって算定されているものを除く。)のほか、地籍調査事業(国土調査法(昭和26年法律第180号)第2条第5項に規定する地籍調査を行う事業をいう。)等が行われており、当該事業に基づき作成された地籍図等が不動産登記法(平成16年法律第123号)第14条第1項の地図又は同条第4項の地図に準ずる図面として法務局等に備え付けられている土地など、登記記録上の地積が当該実測成果に基づいて記録されているものを対象とする。

ただし、これらの図面の精度又は現況との整合性に疑義があることにより、当該地積を価格の算定の基礎とすることが適当でないと認められる場合その他測量・境界確定協議を省略することが相当でないと認められる場合は、この限りでない。

(注)地籍図のほか、土地改良事業又は土地区画整理事業に基づき作成された所在図や法務局の地図作成事業により作成された地図が14条地図として備え付けられている土地を想定している。

物件の調査

財務局長等は、民間事業者による物件調査に基づく物件調書の作成を省略する場合であっても、必要に応じて、職員による物件調査及び当該調査に基づく物件調書(民間事業者による物件調査に基づき作成された物件調書と同等のものに限らない。)の作成を行うものとする。

契約締結前の説明

(1)基本原則

売買契約の締結に当たっては、あらかじめ契約の内容を十分に説明するとともに、売買物件の現況及び法令等に基づく諸規制等の確認は買主の責任で行われるべきものであることを説明するものとする。

また、別添様式に定める特約条項の内容に即して、売買物件について測量・境界確定協議、地下埋設物調査、土壌汚染調査及び地盤調査等を実施していないことを説明するとともに、これらに起因するリスクについて、具体的に説明するものとする。

このほか、別添様式第8条第1項各号に掲げる事項については、その内容及び趣旨を個別に説明し、当該事項が売買物件の利用に及ぼし得る影響について、買主の理解を得るよう努めるものとする。

なお、財務局長等は、売買物件について把握している情報のうち、不動産取引において買主が当該契約を締結するかどうかを判断するために重要であると認められるものについては、その内容及び把握状況に応じ、契約締結前に可能な限り、買主に対して説明するものとする。

(2)法に基づく承認申請に係る審査の在り方及び財務局等の職員による調査状況

財務局長等は、売買物件が国庫に帰属するに当たり行われた法に基づく承認申請の審査について、令和5年2月8日付法務省民二第70号「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律の施行に伴う相続土地国庫帰属手続に関する事務の取扱いについて(通達)」等に定める取扱いに基づき行われたものであることを丁寧に説明するものとする。

また、売払いに際しての財務局等の職員による調査については、国庫に帰属した後に売り払うに当たって売買物件の現地確認は行っていないことを前提として、売払い事務を行う上で必要となる範囲に限り実施しているものであることを踏まえ、その内容及び範囲について、買主に対し丁寧に説明するものとする。

併せて、売買物件の境界については、売買に当たって現地においてその範囲を明示しておらず、測量又は境界確定協議による確認も行っていないことから、登記地積と実測面積との間に差異が生じ得ること及び隣接地との越境関係を確認していないことについても説明するものとする。

(3)資料入手時の留意事項

財務局長等は、原則として帰属土地のライフライン(地中を含む。)の状況、排水管の埋設状況及び建物解体工事を行った際の状況について積極的に資料を収集すべきであるとはいえないが、何らかの資料等により当該情報を入手した場合には、その内容及び把握状況に応じ、契約締結前に買主に対して説明を行うものとする。

このほか、地下に有体物が存在する可能性があることを示す情報を入手した場合には、その内容を説明するとともに、当該有体物が土地の利用に及ぼし得る影響及び当該有体物に関する契約上の責任の取扱いについて、分かりやすく説明するものとする。

なお、法令上の根拠がある場合、買主に不利益な事実の存在を疑うべき事情があり、売主がこれを認識していた場合等においては、買主に対して説明義務又は調査義務を負うことがあることに留意するものとする。

(4)特段の事情が存する場合

売買物件に関し特段の事情が存在し、契約書に特記事項として明記する必要がある場合には、契約締結前に当該内容を丁寧に説明するものとする。

なお、特段の事情とは、売主が把握している事情のうち、一般的な調査又は現況確認のみでは買主が容易に把握し難く、かつ、その事情を契約内容として明示しておかなければ、後日の紛争又は契約不適合責任の問題を生じ得るおそれがあるものをいう。

当該特段の事情については、その内容に応じて契約不適合責任の有無又は範囲に影響することがあるため、その点についても併せて説明するものとする。

(5)契約不適合責任に関する特約の説明

財務局長等は、契約不適合責任に関する特約については、その内容及びこれにより買主が請求できる範囲が制限されることについて、契約締結前に分かりやすく説明するものとする。

また、買主が消費者(消費者契約法(平成12年法律第61号)第2条第1項に規定する消費者をいう。以下同じ。)に該当する場合においては、当該条項の内容及び効果について、買主に誤解が生じないよう、特に丁寧に説明するものとする。

売買契約書

帰属土地について上記1に基づき売払いしようとする場合の売買契約書式は、別添様式によるものとし、原則として、登記事項証明書(不動産登記法第119条第1項に規定する登記事項証明書をいう。)、地積測量図、不動産登記法第14条第1項の地図又は同条第4項の地図に準ずる図面、物件調書(民間事業者による物件調査に基づき作成されたものに限らない。)等の資料を売買契約書に添付するものとする。

なお、売買契約書については、測量・境界確定協議や地下埋設物等の調査の実施状況その他の個別の事情を勘案し、適宜、法律相談を行い、その結果に基づき必要な修正(上記第4の3の⑷に基づき契約書に特記事項を明記する場合を含む。)を行うものとする。

第5多様な主体との連携協力

帰属土地の地域における活用を促進するに当たっては、地方公共団体のみならず、地域コミュニティや民間団体等、多様な主体との連携の強化・促進が必要であることから、土地政策推進連携協議会(所有者不明土地等対策の推進のための関係閣僚会議において決定された「所有者不明土地等対策の推進に関する基本方針」に基づく協議会をいう。以下同じ。)を活用しつつ、地方公共団体及び地域コミュニティとの連携体制の構築を図るとともに、民間事業者との連携促進を図るものとする。

具体的には、財務局長等は、帰属土地のうち、活用の可能性が認められないものを除き、その所在、現況及び当該土地の活用手段や手続等に関する情報を整理・可視化し、これらの情報について、土地政策推進連携協議会の活動等を通じて、活用の具体的なイメージが共有されやすいよう配慮した形で関係者に周知することにより、地域における多様な視点による利用ニーズの発掘を試みるとともに、地域の実情や特性を踏まえつつ、地域コミュニティを含む多様な活用主体の参画促進を図るものとする。

また、地方公共団体との情報連携の強化を図りつつ、多様な主体に対する情報発信の拡充に努めるものとし、当該情報が関係者に広く行き渡るよう配慮するとともに、情報が届きやすい適切な媒体や手段を活用することにより、帰属土地の活用に対する関心の喚起に資するよう努めるものとする。

第6本省協議

財務局長等は、本通達により処理することが適当でないと認められる場合は、本省と協議の上、個別に処理方針を定めるものとする。


別添様式(PDF:162KB)