このページの本文へ移動

国有財産評価基準について

平成13年3月30日
財理第1317


改正平成14年4月1日財理第1434号

14年11月20日同第4278号

15年4月1日同第1415号

16年3月25日同第1175号

17年3月31日同第1257号

18年3月30日同第1231号

18年11月22日同第4375号

19年6月25日同第2614号

23年5月13日同第2200号

25年10月31日同第4995号

30年9月18日同第3112号

令和元年9月24日同第3227号

2年12月23日同第4154号

4年9月30日同第3238号

5年6月6日同第1615号

財務省理財局長から各財務(支)局長、沖縄総合事務局長宛

標記のことについて、別紙のとおり定めたから、通知する。

別紙

国有財産評価基

目次

第1章総則

第1目的

第2定義

第3評価によって求める価格

第4評定価格の決定

第5書面等の作成・提出等の方法

第2章鑑定業者等による評価

第1評価の区分

第2評価の分類

不動産鑑定評価を徴する場合

精通者意見を徴する場合

第3評価の手順

基本的事項の確定、関係資料の収集及び計画的事務処理

鑑定業者等の選定及び依頼

鑑定評価書等の審査

評定価格の決定

評価調書の作成

第3章評価の特例

第1取扱方針等

処分の促進を図る必要がある場合の取扱い

緊急を要する場合等の取扱い

「相続税評価額」、「時価倍率」、「時点による修正」、「更地価格における造成・有益費等相当額」及び「借地権等割合」の求め方

第2単独利用困難な土地の評定価格の求め方

宅地

宅地造成地

その他の土地

第3堂宇敷地等の評定価格の求め方

堂宇敷地

墳墓地

海浜地

池沼

ゴルフ場等敷地

貸付中の軌道等敷地

鉱泉地

第4貸付中の財産等の評定価格の求め方

対象財産

土地の評定価格の求め方

建物の評定価格の求め方

第5緊急を要する場合等の評価

土地

自用の建物

工作物

機械

船舶

航空機

第6評定価格の決定

評定価格の求め方

端数計算

第7評価調書の作成

第4章評価替

第1評定価格の有効期間

第2評価替の方法

第3改めて鑑定評価書等を徴する場合

第4評価調書

第5章他の手法等

様式

第1号様式鑑定評価依頼書

第2号様式鑑定評価請書

第3号様式審査調書

第3-2号様式審査チェックシート

第4号様式評価調書

第5号様式単独利用困難な土地評定価格調書

第5-2号様式【倍率地域】「地積規模の大きな宅地の評価」算出調書

第6号様式貸付中の財産等評定価格調書

第7号様式緊急を要する場合等(土地)評定価格調書

第8号様式建物評定価格調書

第9号様式工作物・機械・船舶・航空機評定価格調書

第10号様式地域格差率算出調書

第11号様式個別格差率算出調書

別表

別表第1木造建物種目別価格構成割合表

別表第2地域格差比較項目表

別表第3個別格差比較項目表(A)

別表第4個別格差比較項目表(B)

別表第5個別格差比較項目表

第1章総則

第1目的

本基準は、国有財産等の評価及び審査の手順等を定め、評価事務の適正を期し、かつ、統一的な運用を図ることを目的とする。

第2定義

本基準において使用する用語の定義は以下による。

国有財産等国有財産法(昭和23年法律第73号)第2条第1項第1号から第4号までに規定する国有財産、第6号に規定する国有財産のうち不動産の信託の受益権及び国有財産となるべき財産並びにこれらに関する借地権、借家権等の権利

財務局長等財務局長、福岡財務支局長及び沖縄総合事務局長

財務局等財務局、福岡財務支局及び沖縄総合事務局

不動産鑑定評価不動産の鑑定評価に関する法律(昭和38年法律第152号)第3条第1項に規定する不動産鑑定士が行う不動産鑑定評価基準(平成14年7月3日付国土交通事務次官通知)に則った不動産の鑑定評価

鑑定評価書不動産鑑定評価による成果物

不動産価格等調査不動産の鑑定評価に関する法律第3条第1項に規定する不動産鑑定士が行う不動産鑑定評価基準に則らない不動産の価格等調査

価格調査書不動産価格等調査による成果物

精通者意見不動産の鑑定評価に関する法律第3条第2項に規定する不動産鑑定士が行う調査及び不動産鑑定士以外の民間精通者が行う調査

意見書精通者意見による成果物

10鑑定評価書等鑑定評価書、価格調査書及び意見書

11鑑定業者等不動産鑑定業者及び民間精通者

12評価財産評価対象となる国有財産等

13価格時点鑑定評価等において価格等判定の基準となる日

14単独利用困難な土地地形狭長等のため、評価土地のみでは周辺土地利用と同様の機能を十分に発揮できない土地(注1、注2)

(注1) 土地の所在する地域の利用状況等により単独利用困難か否かの考え方が異なるものであることに留意する。

(注2) 無道路地及び袋地は、公道からの位置並びに通行手段の確保の可能性及び経済性等を勘案して、単独利用困難か否かを判定する。

15一体利用地評価土地を含めて一体利用することが適当と認められる画地(土地所有関係にかかわらず、一画地として利用されているか否か、その使用の実態に応じて判定する。)

16貸付中の財産等貸付中の財産(借地借家法(平成3年法律第90号)第22条第1項に基づく定期借地権及び同法第23条に基づく事業用定期借地権が設定されたものを除く。)及び誤信使用財産

17誤信使用財産平成13年3月30日付財理第1267号「誤信使用財産取扱要領」通達第1に規定する誤信使用財産

第3評価によって求める価格

財務局長等は、国有財産等の評価に当たって、財政法(昭和22年法律第34号)第9条及び予算決算及び会計令(昭和22年勅令第165号)第80条第2項の趣旨を踏まえ、評価財産の適正な対価(以下、「評定価格」という。)を求めることを基本とする。

第4評定価格の決定

財務局長等が評定価格を決定するに当たっては、第3章に規定する場合を除き、鑑定業者等による鑑定評価書等を徴し、本基準に基づく審査等を経て、評定価格を決定する。

ただし、賃料については、他の通達の定めるところにより算定を行うが、不動産鑑定評価を徴する場合の、評価の手順については、本基準による。

第5書面等の作成・提出等の方法

電子ファイルによる作成

本通達に基づき、作成を行う書面等(書面その他文字、図形その他の人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。以下同じ。)については、電子ファイルにより作成を行うことができる。

電子メール等による提出等

(1)本通達に基づく提出等の手続のうち、書面等により行うこととしているものについては、電子メール等の方法により行うことができる。

(2)上記(1)の方法により提出等を行うときは、電子ファイルをもって行うものとする。

第2章鑑定業者等による評価

第1評価の区分

国有財産等の評価は、原則として次の1~6の区分により行う。

土地

(1)宅地

更地

建物等の定着物がなく、かつ、使用収益を制約する権利の付着していない宅地をいう。

建付地

建物等の用に供されている敷地で、建物等及びその敷地が同一の所有者に属し、かつ、当該所有者により使用され、その敷地の使用収益を制約する権利の付着していない宅地をいう。

貸家建付地

建物等の用に供されている敷地で、建物等及びその敷地が同一の所有者に属するが、建物が賃貸借に供されている宅地をいう。

借地権

借地借家法第2条第1号に規定する借地権(建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権)をいう。

底地

宅地について借地権の付着している場合における当該宅地の所有権をいう。

地上権等

上記以外の土地に係る権利をいう。

(2)宅地見込地

(3)農地(採草放牧地を含む。)

(4)林地(原野を含む。)

建物及びその敷地(土地とその定着物(建物、工作物、立木竹等)を一体で評価する場合)

(1)自用の建物及びその敷地

建物所有者とその敷地の所有者とが同一人であり、その所有者による使用収益を制約する権利の付着していない場合における当該建物及びその敷地をいう。

(2)貸家及びその敷地

建物所有者とその敷地の所有者とが同一人であるが、建物が賃貸借に供されている場合における当該建物及びその敷地をいう。

(3)借地権付建物

借地権を権原とする建物が存する場合における当該建物及びその敷地(借地権)をいう。

(4)区分所有建物及びその敷地

建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号)第2条第3項に規定する専有部分並びに当該専有部分に係る同条第4項に規定する共用部分の共有持分(区分所有建物)及び同条第6項に規定する敷地利用権をいう。

(5)その他

借家権、不動産の信託の受益権等で上記以外の権利をいう。

建物等

(1)建物

(2)工作物

(3)立木竹

機械

船舶

航空機

第2評価の分類

不動産鑑定評価を徴する場合

上記第1の1~3の評価は、原則として不動産鑑定評価による。ただし、1(3)に関しては精通者意見によることができる。

なお、やむを得ず、不動産鑑定評価を行うことができない場合等は、その理由等を明らかにした上で、不動産価格等調査によることができる。

精通者意見を徴する場合

上記第1の4~6の評価は、精通者意見による。

第3評価の手順

基本的事項の確定、関係資料の収集及び計画的事務処理

評価財産について、処分又は取得等の担当者(機関)から評価の依頼があった場合には、下記(1)及び(2)に掲げる基本的事項を確定するとともに、下記(3)に掲げる関係資料の収集を行う。

なお、上記第1の1~3については、不動産鑑定評価基準を踏まえ、下記(4)及び(5)についても設定する。

また、評価財産に係る利用計画、契約予定日等について確認を行うとともに、評価事務に要する日数のほか、不動産鑑定士等の選定、処分又は取得等の担当者(機関)における予定価格の決定、処分等相手方との折衝等の事務に要する日数を勘案の上、評価の着手日及び評価額の回答日の設定を行うなど、評価事務を計画的に行う。

(1)評価財産

評価に際しては、次のイ~トに掲げる物的事項及び権利関係(所有権及び所有権以外の権利)の態様に関する事項について資料等を基に評価財産を確定する。

土地

所在、地番、種目(地目)、地積等

建物

所在、地番、家屋番号、種目、構造、数量(建面積、延面積)、建築年月日、用途等

工作物

所在、地番、種目、構造、数量、設置年月日等

立木竹

所在、地番、樹種、樹齢、数量(材積、本数、束)等

機械

所在、地番、構造、型式、寸法、能力、製造年月日等

船舶

所在、地番、構造、寸法、能力、建造年月日等

航空機

所在、種類、構造、型式、寸法、能力、製造年月日等

(2)価格時点

不動産等の価格は、時の経過により変動しているものであることから、価格時点を確定する。

(3)関係資料

国有財産等の価格は、その現実の状態に応じて変動しうるものであるから、現実の状態が確認できる資料等を、客観性の確保に配慮しつつ、可能な限り収集する。

(4)評価条件

評価に際しては、どのような性格の価格又は賃料を求めるかにより、下記イに掲げる評価条件を設定する。

下記ロ及びハに掲げる評価条件は、それぞれに定めた要件を満たし、かつ、現実と異なる価格形成要因を前提とする必要があると認められる場合に、設定することができる。

対象確定条件

依頼目的に応じて次の(イ)~(ヘ)に掲げる条件より設定する。

(イ)現状所与

(ロ)独立鑑定評価

(ハ)部分鑑定評価

(ニ)併合鑑定評価、分割鑑定評価

(ホ)未竣工建物等鑑定評価

(ヘ)その他

想定上の条件

現実の価格形成要因と異なる状態を前提とし、①利用者の利益を害するおそれがないこと、②実現性、③合法性の不動産鑑定評価基準における3要件を、他の事情を含めて総合勘案の上設定する。

調査範囲等条件

既存の調査及び不動産鑑定士の通常の調査の範囲では事実確認が困難な場合、かつ、利用者の利益を害するおそれがないと判断される場合に設定する。

その他の条件

鑑定評価委託契約において業務上の前提条件がある場合に設定する。

(5)価格又は賃料の種類

上記(4)で定めた評価条件を踏まえ、下記イ及びロに掲げる価格又は賃料の種類を設定する。

価格

(イ)正常価格

(ロ)限定価格

(ハ)特定価格

(ニ)特殊価格

賃料

(イ)正常賃料

(ロ)限定賃料

(ハ)継続賃料

鑑定業者等の選定及び依頼

(1)鑑定業者等の選定

鑑定業者等は、令和元年9月24日付財理第3228号「国有財産等の評価に係る不動産鑑定業者の選定方法について」通達に定めるところにより選定する。

(2)鑑定業者等への評価依頼

鑑定業者等への評価依頼は、鑑定評価の基本的事項として、対象不動産、価格時点及び価格又は賃料の種類を確定した書面(別紙第1、2号様式参照)により行う。

その際、必要な関係資料を提供し、資料の作成者や背景・経緯等の基本情報について説明を行うとともに、評価条件についても適切に伝える。

また、評価財産の過去の一般競争入札における最低売却価格等の情報についても、別紙第1号様式(別紙)を活用するなどして適切に伝える。

評価の依頼に当たっては、地下埋設物等の価格形成要因が地価に及ぼす影響を十分説明するよう鑑定業者等に要請する。また、不動産市況が著しく変動していると認められる場合、あるいは、無道路地等市場性が特に劣ると認められる場合は、地価の動向を特に注視するとともに売却の難易度等の市場性の程度について慎重に検討することを鑑定業者等に要請する。

なお、評価依頼後、依頼時に定めた基本事項等の内容が変更された場合等には、必要に応じて、価格等調査ガイドライン(注)「Ⅱ.業務の目的と範囲等の確定」に定めのある「変更を明記した文書等」(いわゆる「確認書」)の取り交わしを行う。

(注) 「価格等調査ガイドライン」とは、「不動産鑑定士が不動産に関する価格等調査を行う場合の業務の目的と範囲等の確定及び成果報告書の記載事項に関するガイドライン」(平成21年8月28日付国土交通事務次官通知)をいう。

鑑定評価書等の審査

(1)審査に当たっての基本姿勢

鑑定業者等から提出された鑑定評価書等の審査は、客観的立場において行い、鑑定評価書等の内容について確認を行う。その際、不動産鑑定評価基準及び価格等調査ガイドラインに留意する。

(2)審査の方法

鑑定評価書等の審査は、原則として、書面審査(鑑定評価書等の内容についての鑑定業者等への聴取及び説明資料の徴求を含む。)によるものとする。ただし、書面審査のみでは審査の適正を期し難いと認めるときは、実地調査の上、審査を行う。

(3)審査の手順

価格形成要因の把握

物件調書等を基に物的確認や価格形成要因を把握する。

鑑定評価書等の審査事項

鑑定評価書等の審査は、次の(イ)~(ニ)に掲げる事項等について別紙第3-2号様式を活用し確認する。

(イ)依頼内容と鑑定評価書等の記載内容との整合性

評価財産の範囲

依頼に当たり設定した評価条件

(ロ)物件調書等で把握した価格形成要因と鑑定評価書等の記載内容との整合性

評価財産の物的確認

評価財産の権利態様の確認

評価財産の地域要因及び個別的要因

(ハ)表記及び計算の正確性

(ニ)鑑定評価の各段階における各種判断等の説得性

近隣地域の範囲及び近隣地域における標準的使用(標準画地の設定)

評価財産の最有効使用(土地の最有効使用、土地建物の最有効使用、同一需給圏、市場参加者等の分析)

適用した評価手法、その内容

試算価格又は試算賃料の調整(複数の評価手法を適用した場合には、各手法間の考え方及び採用数値等の整合性を含む。)

(4)鑑定評価書等の内容の是正又は再検討等の要請

事実関係に係る是正

鑑定評価書等の記載内容と依頼内容とが異なるとき及び誤認があるときは、鑑定業者等に対してその相違点を明らかにして、是正の要請をする。

疑問点、不明点に係る再検討等

鑑定評価書等の内容について、疑問点、不明点がある場合には、その内容の説明等を求めるとともに、必要に応じて再検討等の要請をする。

第三者チェックの意見の活用

平成30年9月18日付財理第3111号「普通財産の処分価格等の明確化に係る手続きについて」通達第4の1に定める第三者チェックの結果、外部の有識者から意見が示された場合は、不動産鑑定士に伝達し、活用を促す。

(5)審査調書の作成

鑑定評価書等の審査を行った後、審査内容を明らかにした審査調書を作成する。審査調書は、別紙第3号様式を標準とする。ただし、財務局等の実情により、これを修正して使用して差し支えない。

評定価格の決定

(1)上記3に定める鑑定評価書等の審査を経て、当該評価額等を基として評定価格を決定する。

なお、本基準に定めがあるものに限り当該評価額等と異なる価格を評定価格とすることができる。

ただし、複数の鑑定業者等から鑑定評価書等を徴した場合は、これらを平均した価格を基とする。

(2)一般競争入札対象財産の評定価格を求めるに当たっては、需給の状況等を考慮して、鑑定評価額を20パーセントの範囲内で修正することができる。

(3)評定価格を算定する場合の価格の端数計算(賃料の評価を除く。)は、上位4位以下の端数を四捨五入の上、上位3位をもって評定価格とする。

なお、価格計算の結果、1,000円未満となった場合には、1,000円とする。

(4)消費税の取扱い

評価に当たって、消費税法(昭和63年法律第108号)第4条第1項の規定により消費税の課税対象となる建物等の評価額は、原則として消費税相当額を含まない価格とする。

ただし、同法第6条第1項の規定により非課税となる土地等の評価において、土地の造成等課税対象となる役務の提供に係る経費等を考慮するときは、当該経費等相当額は消費税相当額(円単位未満の端数については切捨てとする。)を含めた額による。

評価調書の作成

評定価格の決定に当たっては、評価内容を明らかにした評価調書を作成する。

評価調書は、別紙第4号様式を標準とし、財務局等の実情により、これを修正して使用して差し支えない。

なお、評価調書の作成は、審査調書の作成と併せて行うものであることに留意する。

第3章評価の特例

第1取扱方針等

処分の促進を図る必要がある場合の取扱い

評価財産が、単独利用困難な土地、堂宇敷地等及び貸付中の財産等であって、財務局長等が、当該財産の特性を考慮して処分の促進を図る必要があると認める場合には、国の職員が下記第2から第4までの規定に基づき簡易な評価方法により評定価格を求めることを妨げない。

この場合、単独利用困難な土地及び堂宇敷地等を評価する場合には、需給関係による修正を加えることができる。

緊急を要する場合等の取扱い

財務局長等が、特別の事情により緊急に評価を行わなければならない場合等、第2章により処理することが適当でないと認める場合等には、国の職員が下記第5の規定に基づく方法により評定価格を求めることを妨げない。

「相続税評価額」、「時価倍率」、「時点による修正」、「更地価格における造成・有益費等相当額」及び「借地権等割合」の求め方

本章における「相続税評価額」、「時価倍率」、「時点による修正」、「更地価格における造成・有益費等相当額」及び「借地権等割合」の求め方は、次による。なお、「更地価格における造成・有益費等相当額」及び「借地権等割合」は、それを考慮する必要がある場合に適用する。

(1)相続税評価額の求め方

相続税評価額は、昭和39年4月25日付直資56、直審(資)17国税庁長官通達「財産評価基本通達」(以下「財産評価基本通達」という。)の規定によって算定された価格とする。

その際、価格時点が9月以降であるものは、その年の相続税評価額を用いる。

なお、価格時点は、評価財産の売払予定日等を考慮して適切に設定することに留意する。

(2)時価倍率の求め方

時価倍率は、原則として1.00倍とし、財務局長等が必要と認める場合は1.00倍を修正することができる。

なお、時価倍率を求めるに当たり、相続税評価額の調査時点(評価土地の価格時点の属する年の相続税評価額の場合はその年の1月、前年分の相続税評価額の場合は前年の1月)と評価土地の価格時点との間に価格水準の変動があるときは、その間の時点による修正を行う。

(3)時点による修正の求め方

時点による修正を行う場合は、次のイ~ハのうち適当と認められる方法により地価変動率を求め、取引事例価格又は相続税評価額をその地価変動率により修正する。なお、イの方法については、一般に、公示地又は基準地は、相対的に良好な取引条件を有していることに留意する。

公示価格又は基準地の標準価格を基とした変動率による。

過去の相続税路線価の変動率を基として決定した率による。

上記イ及びロを加味した変動率による。

また、上記イ~ハの算出上、公示価格、基準地の標準価格又は相続税路線価の基準日以降の変動については、これらのほか、民間の調査機関等の地価動向調査、一般的な不動産取引の状況等を考慮することができる。

さらに、イ~ハの方法により求めた地価変動率が、地域の地価変動率に即応していないと認められる場合等は、鑑定業者等による鑑定評価書等によることができる。

(4)更地価格における造成・有益費等相当額の求め方

造成・有益費等相当額は、財産評価基本通達の規定に準じて算定し、この規定により算定することができない又は適当でないときは、鑑定業者等の鑑定評価書等により求めることができる。

なお、取引事例価格を基とした価格、相続税評価額を基とした価格又は鑑定業者等の鑑定評価書等において既に造成・有益費等相当額が控除されている場合には、重複して控除することのないよう留意する。

(5)借地権等割合の求め方

借地権割合、借家権割合及び耕作権割合は、次のイ又はロにより求める。なお、評価財産が誤信使用財産である場合の借地権等割合は、「誤信使用財産取扱要領」通達による。

借地権割合及び借家権割合は、財産評価基本通達の規定に基づく割合により求める。なお、財産評価基本通達の規定に基づく地域別の借地権割合及び借家権割合によることが著しく実情に沿わないと認められる場合は、鑑定業者等の鑑定評価書等によることができる。

(注) 国有地上に存する建物を貸家にしている場合であって、当該建物に借家権が付着することにより評価上の減価要因と認められるときには、借地権割合に借家権割合を乗じて求めた率を、算式において適用することができる。

耕作権割合は、財産評価基本通達の規定に基づく割合により求める。なお、財産評価基本通達の規定に基づく地域別の耕作権割合によることが著しく実情に沿わないと認められる場合は、鑑定業者等(原則として当該土地の所在する地域における農業委員会とする。)の意見書によることができる。

(注) 上記のほか、評価財産が民有地上の国有建物である場合の借地権価格の取扱いは、昭和61年4月23日付蔵理第1686号「民有地上の国有建物の処理について」通達によることに留意する。

第2単独利用困難な土地の評定価格の求め方

単独利用困難な土地の評定価格は、宅地、宅地造成地及びその他の土地に区分し、次の1~3の算式により数量単位当たりの評定価格を求め、これに評価土地の面積を乗じて求める。

宅地

(1)一体利用地内に宅地の取引事例が調査確認された場合

(算式)

数量単位
当たりの
評定価格
  取引事
価格を基と
した価
造成
有益費等
相当
  × (1-借地権等割合) × 需給関係
によ
修正
(更地価格

取引事例価格を基とした価格の求め方

取引事例価格を基とした価格は、一体利用地について、次の算式により求める。

(算式)

取引事例価格を
基とした価
  各取
事例価格
× 事情
よる修正
× 時点
よる修正
  の合計
取引事例の数

(イ)取引事例価格の求め方

取引事例価格は、評価土地の価格時点から原則として既往5年以内の取引事例を採用する。

(ロ)事情による修正の求め方

事情による修正は、次のA~Cのとおりとする。

取引事例価格が取引の際における極度の買進み、売急ぎ又は特別な縁故関係等による特別な事情が加味されたものであるときは、これを調査の上修正する。

取引事例価格が所有権以外の権利付価格であるときは、これらの権利が付されていない土地としての価格に修正する。

取引事例価格に立木補償及び移転補償等土地の対価以外のものが含まれているときは、当該取引事例価格からこれらを控除して修正する。

需給関係による修正率の求め方

評価土地について、次の(イ)又は(ロ)の態様に応じて、需給関係による修正率を適用する。

なお、評価土地が複数の態様にまたがる場合には、態様ごとに区分したうえで、需給関係による修正率を適用する。さらに、評価土地の態様が重複する場合には、重複する態様のうち、最も低い修正率(残価率)を適用する。

(イ)評価土地が、私道敷地、高圧線下地又はがけ地以外の土地の場合

需給関係による修正率(残価率)は、50パーセントとする。

(ロ)評価土地が、私道敷地、高圧線下地又はがけ地の場合

需給関係による修正率(残価率)は、それぞれの態様別に次表に掲げる修正率による。

なお、採用した取引事例価格が、私道敷地、高圧線下地又はがけ地であって評価土地と同一の態様に属する土地に係る価格である場合は、需給関係による修正は行わない。

態様

修正率

(残価率)(%)

私道敷

10

高圧線下

30

がけ

45度以上

5

30度以上45度未満

20

15度以上30度未満

40

(2)一体利用地内に宅地の取引事例がない場合

(算式)

数量単位
当たりの
評定価格
  相続税評価額を

基とした価
造成
有益費等
相当
  × (1-借地権等割合) × 需給関係
によ
修正
(更地価格

相続税評価額を基とした価格の求め方

相続税評価額を基とした価格は、一体利用地について、次の算式により求める。

(算式)

相続税評価額を基とした価格 = 相続税評価額 × 時価倍率

(イ)相続税評価額を基とした価格の算出が困難な場合は、鑑定業者等の鑑定評価書等により求めることができる。

(ロ)評価土地が、私道敷地、高圧線下地又はがけ地の場合は、一体利用地について、財産評価基本通達で定める私道評価、がけ地補正率等の修正は行わないことに留意する。

需給関係による修正率の求め方

需給関係による修正率は、上記(1)ロにより求める。

なお、がけ地について、財産評価基本通達の規定にいう土砂災害特別警戒区域内にあるものは、特別警戒区域補正率に上記(1)ロの修正率を乗じて適用する。この場合において、財産評価基本通達の規定により、その最小値は 0.50 とすると定められているが、本基準では、単独利用困難な土地の性質に鑑み、当該最小値は適用しない。

(注) 評価土地が、倍率地域に所在する特別警戒区域内にある宅地の場合であって、市町村に一体利用地に係る固定資産税評価額への特別警戒区域の指定による減価の有無を確認し、既に考慮されている場合には、財産評価基本通達に定める土砂災害特別警戒区域内に係る規定の適用対象とならないことに留意する。

宅地造成地

宅地造成地とは、分譲又は賃貸等を目的として造成された住宅地、学校用地及び工場団地等で、造成後経過期間がおおむね5年以内のもの、分譲又は賃貸等を目的とした宅地造成中の住宅地、学校用地及び工場団地等並びに宅地造成することが決定若しくは予定されている住宅地、学校用地及び工場団地等をいう。

(注1) 宅地造成は、田、畑等宅地以外の土地を宅地とするため、道路等公共施設の新設を伴うなど相当規模の切土、盛土等の土木工事を要するものであることに留意する。

(注2) 「造成後経過期間がおおむね5年以内のもの」の判断は、宅地造成地の所在する地域の発展状況によって、造成後市街化されるまでの期間に著しく差異を生ずる場合があるので、造成後の経過期間が例えば2~3年であっても周辺が市街地として熟成しているときは、宅地として評価するものであるから留意する。

(1)宅地造成地内に宅地見込地の取引事例が調査確認された場合

宅地造成地内に宅地見込地(宅地造成前の土地(素地)をいう。以下同じ。)の取引事例が調査確認された場合には、次の算式により求める。

(算式)

数量単位
当たりの
評定価格
  取引事
価格を基と
した価
造成
有益費等
相当
  × (1-耕作権割合) × 需給関係
によ
修正
(更地価格

取引事例価格を基とした価格の求め方

取引事例価格を基とした価格は、評価土地の所在する宅地造成地内について、次により求める。

(算式)

取引事例価格を
基とした価
  各取
事例価格
× 事情
よる修正
× 時点
よる修正
× 各取
事例の面積
  の合計
取引事例の総面積

(イ)取引事例価格の求め方

取引事例価格は、評価土地の価格時点から原則として既往3年以内の取引事例のすべてを採用する。ただし、取引事例の採用に当たっては、次の①~④によっても差し支えない。

評価土地の分布状況等からみて、単一の価格によることが著しく不適当と認められる場合は、宅地造成地を適宜分割し、それぞれに対応する取引事例価格による。

複数の取引事例価格が同一年(暦年又は決算年度)内にある場合は、最後に行われた取引の取引時点を同一年内のすべての取引事例価格の取引時点とする。

評価土地の価格時点から既往1年又は2年以内に宅地見込地の価格水準を把握できる取引事例価格がある場合は、既往1年又は2年以内の取引事例価格による。

評価土地の価格時点から既往3年以内の取引事例価格がない場合は、既往5年以内の取引事例価格を採用する。

(ロ)事情による修正の求め方

事情による修正は、上記1(1)イ(ロ)により求める。

需給関係による修正率の求め方

需給関係による修正率は、上記1(1)ロにより求める。

(2)宅地造成地内に宅地見込地の取引事例がない場合

(算式)

数量単位
当たりの
評定価格
  相続税評価
を基とした価格
造成
有益費等
相当
  × (1-耕作権割合) × 需給関係
によ
修正
(更地価格

相続税評価額を基とした価格の求め方

相続税評価額を基とした価格は、一体利用地について、次の算式により求める。

(算式)

相続税評価額を基とした価格 = 相続税評価額 × 時価倍率

(イ)相続税評価額を基とした価格の算出が困難な場合は、宅地造成地に想定した標準的な規模の画地(宅地見込地の状態)について鑑定業者等の鑑定評価書等により求めることができる。

(ロ)評価土地が、私道敷地、高圧線下地又はがけ地の場合は、一体利用地について、財産評価基本通達で定める私道評価、がけ地補正率等の修正は行わないことに留意する。

需給関係による修正率の求め方

需給関係による修正率は、上記1(2)ロにより求める。

その他の土地

(1)一体利用地内に取引事例が調査確認された場合

(算式)

数量単位
当たりの
評定価格
  取引事例価格
を基とし
造成
有益費等
相当
  × (1-耕作権割合) × 需給関係
によ
修正
(更地価格

取引事例価格を基とした価格の求め方

取引事例価格を基とした価格は、一体利用地について次の算式により求める。

(算式)

取引事例価格を
基とした価
  各取
事例価格
× 事情
よる修正
× 時点
よる修正
  の合計
取引事例の数

(イ)取引事例価格の求め方

取引事例価格は、評価土地の価格時点から原則として既往5年以内の取引事例を採用する。

(ロ)事情による修正の求め方

事情による修正は、上記1(1)イ(ロ)により求める。

需給関係による修正率の求め方

需給関係による修正率は、上記1(1)ロにより求める。

(2)一体利用地内に取引事例がない場合

(算式)

数量単位
当たりの
評定価格
  相続税評価
を基とした価格
造成
有益費等
相当
  × (1-耕作権割合) × 需給関係
によ
修正
(更地価格

相続税評価額を基とした価格の求め方

相続税評価額を基とした価格は、一体利用地について、次の算式により求める。

(算式)

相続税評価額を基とした価格 = 相続税評価額 × 時価倍率

(イ)相続税評価額を基とした価格の算出が困難な場合は、一体利用地に想定した標準的な規模の画地についての鑑定業者等の鑑定評価書等により求めることができる。

(ロ)評価土地が、私道敷地、高圧線下地又はがけ地の場合は、一体利用地について、財産評価基本通達で定める私道評価、がけ地補正率等の修正は行わないことに留意する。

需給関係による修正率の求め方

需給関係による修正率は、上記1(2)ロにより求める。

第3堂宇敷地等の評定価格の求め方

堂宇敷地、墳墓地、池沼等の特殊な現況にある評価土地の1平方メートル当たりの算定評価価格は、上記第2に準じて求める。この場合において、相続税評価額を基とした価格を使用するときは、評価土地が高圧線下地又はがけ地の場合であっても、財産評価基本通達で定めるがけ地補正率等の修正を行う。

ただし、造成・有益費等相当額の控除及び借地権等割合による修正は行わず、需給関係による修正は、次の1~7に掲げる残価率及び増加修正率による。

なお、これらの土地が単独利用困難な土地に該当する場合は、原則として上記第2の規定を優先して適用するものとする。

堂宇敷地

堂宇敷地(地蔵尊、馬頭観音及び祠等の敷地)については、その状況に応じ、残価率を50パーセント程度まで見込む。

墳墓地

墳墓地(墳墓の用に供されている土地)については、その状況に応じ、残価率を50パーセント程度まで見込む。

海浜地

海浜地(表土が砂れきからなる海沿いの自然状態にある平坦な土地)については、当該土地を近隣の土地に相応した土地とするために必要とする造成費等相当額の限度内において、経済価値を参しゃくして残価率を見込む。

なお、評価土地が林地に介在する場合は、その状況に応じ、残価率を50パーセント程度まで見込む。

池沼

池沼(自然水等を貯水している土地)については、次の(1)又は(2)のいずれかによる。

(1)評価土地を近隣の土地に相応した土地とするために必要とする造成費等相当額の限度内において、その経済価値を参しゃくして残価率を見込む。

なお、評価土地が林地に介在する場合は、その状況に応じ、残価率を50パーセント程度まで見込む。

(2)評価土地を養魚池として利用し、その経済価値が高いと認められる場合は、その状況に応じ、当該土地を養魚池とするために必要とする造成費等相当額及び当該養魚池の収益力等を参しゃくして増加修正率を見込む。

ゴルフ場等敷地

ゴルフ場等敷地(ゴルフ場、遊園地、運動場、野球場及びこれらに準ずる土地)については、次の(1)又は(2)のいずれかによる。

(1)評価土地をゴルフ場等敷地とするために必要とする造成費等相当額及び当該ゴルフ場等の収益力を参しゃくして増加修正率を見込む。

(2)評価土地の経済価値が低いと認められる場合は、その状況に応じ、近隣の土地に相応した土地とするために必要とする造成費等相当額の限度内において、その経済価値を参しゃくして残価率を見込む。

貸付中の軌道等敷地

「貸付中の軌道等敷地」とは、貸付契約後、10年以上軌道敷及びプラットホーム敷として利用されている土地をいい、軌道等敷地には、車輛基地、駅舎、宿舎及び倉庫敷地は含まないものとする。

また、その一画地は、帯状の土地をその周辺の価格標準を考慮し、適宜、一定の範囲で分割して定めるものとする。

なお、需給関係による修正率は50パーセントとする。

鉱泉地

鉱泉地(鉱泉(温泉及び冷泉を含む。)の湧出口並びにその維持及び管理に必要な土地)は、一口座について、その鉱泉地と状況の類似する鉱泉地の価格若しくは取引事例価格又は鑑定業者等の鑑定評価書等を参しゃくして求める。

第4貸付中の財産等の評定価格の求め方

対象財産

貸付中の財産等で、宅地として評価する場合には以下のいずれの基準も満たすものとし、宅地以外として評価する場合には下記(2)を満たすものとする。

なお、貸付中の土地が単独利用困難な土地や堂宇敷地等に該当する場合は、原則として上記第2又は第3の規定を優先して適用するものとする。

(1)面積基準

評価財産の土地の面積が、おおむね1,000平方メートル以下のものとする。

(2)金額基準

下記2の規定に基づいて算定した評価額が、宅地として評価する場合には、おおむね5,000万円以下のものとし、宅地以外として評価する場合には、おおむね3,000万円以下のものとする。

土地の評定価格の求め方

評価財産の土地の評定価格は、次の算式により数量単位当たりの評定価格を求め、これに面積を乗じて求める。

(算式)

数量単位
当たりの
評定価格
  相続税評価額
を基とし
造成
有益費等
相当
  ×(1-借地権等割合)
(更地価格

相続税評価額を基とした価格は、次の算式により求める。

(算式)

相続税評価額を基とした価格 = 相続税評価額 × 時価倍率

なお、相続税評価額を基とした価格の算出が困難な場合は、鑑定業者等の鑑定評価書等により求めることができる。

建物の評定価格の求め方

一棟の建物の評定価格は、次の算式により数量単位当たりの評定価格を求め、これに一棟の建物の延面積を乗じて求める。

(1)国有地上の建物の場合

(算式)

数量単位当たり
の評定価格
自用の建物の
算定評価価格
×(1-借家権割合)

自用の建物の算定評価価格は、当該建物の再調達原価を求め、当該再調達原価に物理的減価による修正を加えるほか、必要に応じ機能的・経済的減価による修正を加えて求める。

(イ)評価方法

一棟の自用の建物の延1平方メートル当たりの算定評価価格は、次の算式により求める。

(算式)

V = C×M×FV

この算式中、各符号は次のとおりとする。

V・・・・・・・・算定評価価格

C・・・・・・・・再調達原価

M・・・・・・・・物理的減価による修正

FV・・・・・・・機能的・経済的減価による修正

(ロ)再調達原価の求め方

評価建物を新たに建築するものとしての標準的な再調達原価は、鑑定業者等の鑑定評価書等を基に求める。

(ハ)物理的減価による修正の求め方

評価建物の建設後の期間の経過に伴い、自然的作用による老朽及び地震・火災等の偶発的な事故により損傷している場合又は評価建物に使用者が有益費を投じている場合は、物理的減価による修正を行う。

なお、物理的減価による修正は、次のA及びBにより求めた経年による残価率及び滅失残価率の相乗積による。

経年による残価率の求め方

経年による残価率は、当該建物の実情により、定額法又は定率法のうちいずれか適当と判断される方法で次の算式により求める。

(定額法により、経年による残価率を求める場合)

(算式)

経年による残価率 =1-   1-建物残存割合 × 経過年数(注)  
建物耐用年数

(定率法により、経年による残価率を求める場合)

(算式)

経年による残価率 =(1-償却率)経過年数(注)

(注) 建物耐用年数、建物残存割合及び償却率は、減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和40年3月31日大蔵省令第15号)別表に基づき求める。

また、建物の経過年数は、当該建物の建設年月日から価格時点までの期間について月数計算により求めるものとし、この場合の月数は暦に従って計算し、1か月に満たない端数を生じたときは、これを1か月とする。

ただし、次の(A)~(C)に掲げる場合は、上記により算定した経過年数に替え、当該建物の耐用年数から当該建物の価格時点以降について現実に使用に耐えると見込まれる期間を控除した期間を、経過年数とみなして求める。

なお、「現実に使用に耐えると見込まれる期間」の具体的な判断に当たっては、鑑定業者等の意見を求め、客観的に判断する。

(A)評価建物の維持管理が特に良好なものであるとき

(B)評価建物の維持管理が特に不良等(地震・火災等により被害を受け、若しくは化学薬品を使用していたことにより、又は行政財産の用途廃止後未使用の状態となり、通常の維持管理が行われていないことにより、老朽化が著しいもの等)であるとき

(C)評価建物の構造及び仕上げの程度が著しく劣るとき

滅失残価率の求め方 

「滅失」とは、地震・火災による被害、盗難及び風水害により、建物構成部材が滅失している状態をいい、建物が滅失した場合に適用する滅失残価率は、鉄筋コンクリート造建物等(注)については、次の(A)及び(C)、木造建物については次の(B)及び(C)のそれぞれの相乗積により求める。

(注) 鉄筋コンクリート造建物等とは、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄骨造、コンクリートブロック造、無筋コンクリート造、れんが造、石造及び、これらと木造を併用する建物等をいう(以下同じ。)。

(A)鉄筋コンクリート造建物等の滅失残価率は、滅失している部分を補修するために必要な滅失補修額(概算で差し支えない。)を工種別に次の算式により求める。

(算式)

滅失残価率 =1-

滅失補修額(総額)

再調達原価(総額)

(B)木造建物の滅失残価率は、別表第1に掲げる「木造建物種目別価格構成割合表」による評価建物の各構造区分の価格構成割合に、当該構造区分の滅失割合(概算で差し支えない。)を乗じて得た計数の合計(次の算式においてSと表示する。)を求め、これに次の算式を適用して算出する。

(算式)

滅失残価率 =1-

価格構成割合の合計(100)

(C)貸付中の評価建物に使用者が有益費を投じていることが確認できる場合は、有益費投下時の資料に基づき、鉄筋コンクリート造建物等については、再調達原価に有益費投下部分の工種別価格構成割合(概算で差し支えない。)を乗じて有益費相当額を求め、また、木造建物については、各構造区分の価格構成割合に当該構造区分における有益費投下部分の割合を乗じて得た計数の合計(次の算式においてSと表示する。)を求め、それぞれ次の算式により滅失残価率を算出する。

(算式)

滅失残価率 =1-

 

有益費相当額

又は

 

再調達原価

価格構成割合(100)

(ニ)機能的・経済的減価による修正の求め方

評価建物が機能的陳腐化及び経済的不適応等となっている場合は、次のA及びBに定めるところにより、立地条件及び陳腐化等による残価率を求め、それぞれの残価率の相乗積により機能的・経済的減価による修正を行う。

なお、機能的陳腐化及び経済的不適応等が一般の不動産取引の状況からみて大きい場合は、自用の建物を、評価上取り壊すことが妥当と認められる建物として取り扱うことに留意する。

立地条件による減価

評価建物の位置、環境、日照及び通風並びにガス及び水道等供給施設の不便等により効用価値の劣る場合には、その程度に応じた残価率を見込む。

陳腐化等による減価

最近建築された建物に比し、陳腐化又は非効率化している建物である場合又は特殊用途向きの建物であるため、そのままでは一般に利用価値が少ないものである場合は、その程度に応じた残価率を見込む。

(2)借地上の建物の場合

(算式)

数量単位
当たりの
評定価格
  自用の建物
の算定評価
×(1-借家権割合)  
×   借地権
借地権
× 借家権
  × 借地の
評価建物の延面積

自用の建物の算定評価価格の求め方

自用の建物の算定評価価格は、上記(1)により求める。

更地価格の求め方

更地価格は、上記2により求める。

第5緊急を要する場合等の評価

上記第1の2に規定する緊急を要する場合等における評定価格の求め方は、以下のとおりとする。

土地

(1)宅地(更地)

評価方法

更地の算定評価価格は、不動産鑑定評価基準に規定された地域分析を行い、近隣地域内又は同一需給圏内の類似地域における評価先例の鑑定評価額から次の算式により求める。

また、評価先例において標準画地の価格が求められている場合には、評定価格ではなく、標準画地の価格を採用することができる。

なお、評価先例は、財務局等において鑑定業者等へ徴した鑑定評価書等のうち、本評価の価格時点から原則として既往3年以内のものを採用する。

(算式)

更地価格 = 評価
例の鑑定
評価
×
による
× 地域格差
によ
× 個別格差
によ
造成・
有益費等
相当

地域格差による修正の求め方

近隣地域と類似地域との間において地域格差が認められる場合は、当該評価先例の鑑定評価額を現状に即した地域格差により修正する。

地域格差による修正は、別表第2「地域格差比較項目表」を適用し、次の算式により地域格差修正率を求め、当該評価先例の鑑定評価額をその地域格差修正率により修正する。

(算式)

地域格差修正率 =

近隣地域の格差率(100)

評価先例が存する地域の格差率

なお、別表第2「地域格差比較項目表」の格差率は標準的な率であることから、同表によることが現状に即さないと認められるときは、当該修正率を超えて修正したものを採用する。

また、評価先例が近隣地域に存する場合には、地域格差による修正は行わない。

個別格差による修正の求め方

評価先例と評価土地との間において個別格差(造成・整地等による修正で考慮するものを除く。)が認められる場合は、標準画地の価格を個別格差により修正する。

個別格差による修正は、別表第3「個別格差比較項目表(A)」及び別表第4「個別格差比較項目表(B)」を適用し、次の算式により格差修正率を求め、標準画地の価格をその格差修正率により修正する。

なお、別表第3「個別格差比較項目表(A)」及び別表第4「個別格差比較項目表(B)」の格差率は標準的な率であることから、同表によることが現状に即さないと認められるときは、当該格差率を超えて修正したものを採用する。

(算式)

個別格差修正率 =

評価土地の格差率

評価先例の格差率

また、評価土地の規模が標準画地の規模を著しく上回り、評価土地を分割利用することが合理的と認められるときは、評価土地を標準的な宅地規模に区画割りするとした場合に必要となる道路、公園等の潰地による修正を次の算式により行った後、それによって生ずる想定画地について別表第3「個別格差比較項目表(A)」及び別表第4「個別格差比較項目表(B)」を適用して格差率を求める。

(算式)

修正後の評価土地の価格 = 標準画地の価格 × 潰地による修正

なお、潰地による修正は、次の算式により求める。

(算式)

潰地による修正率 = 1-

想定した道路及び公園等の面積

評価土地の面積

(2)宅地以外の土地

宅地以外の土地(建付地、貸家建付地、借地権及び底地を除く。)については、上記(1)に準じて求める。

なお、個別格差による修正については、別表第5「個別格差比較項目表」を適用する。

自用の建物

自用の建物(解体する場合を除く。)の算定評価価格は、上記第4の3(1)により求める。

工作物

工作物(解体する場合を除く。)の算定評価価格は、1メートル又は1個ごとに、上記第4の3(1)に定めるところに準じて求める。

機械

機械(解体する場合を除く。)の算定評価価格は、機械1個ごとに、上記第4の3(1)に定めるところに準じて求める。

なお、機能的・経済的減価による修正を行うに当たって、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)による検査を必要とする場合は、これに必要とする経費を考慮して残価率を見込む。

船舶

船舶(解体する場合を除く。)の算定評価価格は、船舶1隻ごとに、上記第4の3(1)に定めるところに準じて求める。

なお、機能的・経済的減価による修正を行うに当たって、船舶安全法(昭和8年法律第11号)による検査を必要とする場合は、これに必要とする経費を考慮して残価率を見込む。

航空機

航空機(解体する場合を除く。)の算定評価価格は、1機ごとに、上記第4の3(1)に定めるところに準じて求める。

第6評定価格の決定

評定価格の求め方

上記第2から第5までで決定した算定評価価格をもって、財産区分及び類型ごとの数量単位当たりの評定価格とし、評価財産の評定価格は、原則として次の①~③により求める。

相手方ごとの評定価格は、財産区分及び類型ごとの評定価格の合計額による。

財産区分及び類型ごとの評定価格は、評価単位ごとの評定価格の合計額による。

評価単位ごとの評定価格は、数量単位当たり評定価格に評価数量を乗じて求める。

なお、評価単位は、評価土地の財産区分別に、次表の「評価単位」欄に掲げる評価単位により、また、数量単位は、次表の「数量単位」欄に掲げる数量単位による。

財産の区分及び類型

評価単位

数量単位

土地

宅地及び宅地見込地

(平方メートル)

一画地

1平方メートル当たり

農地・林地

1,000平方メートル当たり

自用の建物

(平方メートル)

一棟

延1平方メートル当たり

工作物

メートル

1メートル当たり

一個

1個当たり

一個

1個当たり

一隻

1隻当たり

航空機

一機

1機当たり

端数計算

評定価格を算定する場合の価格及び修正率等の端数計算は、次の(1)及び(2)による。

(1)価格の場合

評定価格を算定する場合の価格の端数計算は、次による。

価格計算

評定価格を算定するまでの計算過程において、価格計算の結果、1円未満の端数が生じた場合は、その端数を四捨五入(評定価格を算定する過程において、相続税評価額を求める場合は、その端数を切捨てとする。)の上、円の単位にとどめる。

数量単位当たりの価格

数量単位当たりの価格が10万円を超えるものは、1,000円未満の端数を四捨五入の上、1,000円の単位にとどめることとし、その額が1万円を超え10万円未満のものは、100円未満の端数を四捨五入の上、100円の単位にとどめ、1万円未満のものは、10円未満の端数を四捨五入の上、10円の単位にとどめる。

ただし、土地等を購入により取得する場合又は建物及び工作物等を解体評価する場合において評定価格がマイナスとなるときは、上記のそれぞれの端数を切り捨てる(次のハにおいて同じ。)。

評価単位当たりの価格

評価単位当たりの価格が10億円を超えるものは、100万円未満の端数を四捨五入の上、100万円の単位にとどめることとし、その額が10万円を超え10億円未満のものは、上位4位以下の端数を四捨五入の上、上位3位にとどめ、10万円未満のものは、1,000円未満の端数を四捨五入の上、1,000円の単位にとどめる。

評定価格が 1,000円未満のものは 1,000円とする。

(2)修正率等の場合

各種の修正率又は指数は、小数点4位以下の端数を四捨五入の上、小数点3位にとどめる。

なお、格差修正率を求める場合の格差率については、小数点2位にとどめる。

第7評価調書の作成

評定価格の決定に当たっては、評価内容を明らかにした評価調書を作成する。

評価調書は、別紙第5号様式から第9号様式までを標準とし、財務局等の実情により、これを修正して使用して差し支えない。

第4章評価替

第1評定価格の有効期間

評定価格の有効期間は、他の通達に定めるものを除き、財務局長等専決事案については4か月(旧軍港市転換法(昭和25年法律第220号)に基づく事案は6か月)、本省承認事案(注)については6か月(旧軍港市転換法に基づく事案は8か月)とする。

なお、価格時点設定後、速やかな評価事務の完了に努める。

(注) 本省承認事案とは、普通財産取扱規則(昭和40年大蔵省訓令第2号)第5条に係る事項をいう。

第2評価替の方法

評価財産(賃料の評価及び第3章第2から第4までの規定を適用した評価財産を除く。)の契約予定日が価格時点から上記第1に定める期間を超えることとなるときは、公示価格又は基準地の標準価格を基とした変動率等適当と認められる方法により求めた変動率を当初の評定価格に乗じて修正を行う。

なお、これにより難い場合は、鑑定業者等の鑑定評価書等による変動率によることができる。

上記1により一般競争入札対象財産の評価替を行う場合には、評定価格の決定に当たり、当分の間、評価土地に対する市場の需給の状況に応じた修正を行うことができる。

評定価格を算定する場合の価格の端数計算は、10億円を超えるものは、100万円未満の端数を四捨五入の上、100万円の単位にとどめることとし、その額が10万円を超え10億円未満のものは、上位4位以下の端数を四捨五入の上、上位3位にとどめ、10万円未満のものは、1,000円未満の端数を四捨五入の上、1,000円の単位にとどめる。

なお、価格計算の結果、1,000円未満となった場合には、1,000円とする。

第3改めて鑑定評価書等を徴する場合

地価等に急激な変化が生じた場合、鑑定評価書の受領後新たに価格形成要因が判明した場合等評価替によることが適当でない場合には、改めて鑑定業者等による鑑定評価書等を徴する。

(注) 周辺地域の土地の公的価格(公示価格、基準値の標準価格又は相続税路線価等)が前年度比10%以上変動している場合又は前年度比5%以上の変動が同一方向に2年連続した場合等には、改めて鑑定評価書等を徴することを検討する。

第4評価調書

評価替による評価調書は、別紙第4号様式を標準とし、財務局等の実情により、これを修正して使用して差し支えない。

第5章他の手法等

財務局長等は、本基準に定めのない他の手法等によることが適当であると認められる場合には、あらかじめ、本省と意見調整の上、他の手法等により評価することができる。



第1号様式~第11号様式、別表第1~別表第5(PDF:1732KB)