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普通財産の処分価格等の明確化に係る手続きについて

平成30年9月18
財理第3111


改正平成 30 年12月26日財理第4269号

令和 元 年 9 月20日同第3212号

2年 1 月31日同第  325号

3年 6 月11日同第1932号

財務省理財局長から各財務(支)局長、沖縄総合事務局長宛

平成30年1月19日開催の財政制度等審議会第38回国有財産分科会において、公共随契を中心とする国有財産の管理処分手続き等の具体的な見直しが取りまとめられ、処分価格等の明確化にあたり外部の有識者による第三者チェックの導入などの方向性が示された。

これを受け、普通財産(財務省所管一般会計所属普通財産、財務省及び国土交通省所管財政投融資特別会計特定国有財産整備勘定所属普通財産及び各省各庁の長から契約に関する事務の委任を受けて処理を行う特別会計所属普通財産をいう。以下同じ。)である土地の処分等(有償貸付け、交換及び売払いをいう。以下同じ。)を行うに当たり地下埋設物又は土壌汚染等の土地の物理的瑕疵(以下「地下埋設物等」という。)を原因とする価格の減価が大きいと見込まれる場合及び処分等の相手方からの損害賠償請求額が多額となる場合における事務の取扱いについては、下記によることとしたから、通知する。

なお、本通達は、平成30年10月1日以降、不動産鑑定士の募集の公告を行うもの又は処分等の相手方に和解書等を送付するものから適用する。

第1基本方針

財務局長、福岡財務支局長及び沖縄総合事務局長(以下「財務局長等」という。)は、普通財産の処分等を行うに当たっては、国が自ら地下埋設物等の撤去や除去等に要する費用(以下「対策費用」という。)を見積もることはせず、民間精通者による客観的な見積額等を徴した上で不動産鑑定士に提供するものとし、地下埋設物等を原因とする価格の減価が大きいと見込まれる場合には、有識者による第三者チェックを行うこととする。

また、処分等を行った後に地下埋設物等の存在が判明した場合において、処分等の相手方からの損害賠償請求額が多額となる場合についても、同様に第三者チェックを行うこととし、処分価格等の明確化を図るものとする。

第2対象財産

土地の調査及び鑑定評価の第三者チェック

以下のいずれかに該当する場合には、下記第4の1の手続きを行うものとする。

ただし、(2)、(3)については、財産の重要性や地下埋設物等の価格への影響を把握することが困難なもの等について、事案の内容を踏まえ、本省において第三者チェックを行うかを判断する。

(1)地下埋設物等の対策費用の見積額が3千万円以上の財産

(2)土地の概算評価額が2千万円以上かつ当該概算評価額に対する地下埋設物等の対策費用の見積額の割合が5割以上となる財産

(3)上記(1)、(2)のほか、土地の汚染状況が把握できていない場合、埋設物の存在範囲が特定できていない場合、土壌汚染と廃棄物等の汚染が複合的でリスクの把握が困難な場合等、第三者チェックを行う方が望ましいと財務局長等が判断した財産

(注)(2)の土地の概算評価額は、昭和39年4月25日付直資56、直審(資)17国税庁長官通達「財産評価基本通達」の規定に基づき職員が算定した相続税評価額とする。

損害賠償額の第三者チェック

以下のいずれかに該当する場合には、下記第4の2の手続きを行うものとする。

ただし、(2)、(3)については、上記1ただし書の規定と同様に、事案の内容を踏まえ、本省において第三者チェックを行うかを判断する。

(1)処分等の相手方からの損害賠償請求額が3千万円以上の財産

(2)財産価額が2千万円以上かつ財産価額に対する損害賠償請求額の割合が5割以上となる財産

(3)上記(1)、(2)のほか、損害賠償額の算定の基礎となる工法、工事価格に疑義が生じた場合、損害賠償責任の範囲についての判断が困難な場合等、第三者チェックを行う方が望ましいと財務局長等が判断した財産

(注)(2)の財産価額は、売払財産は土地の売買代金、貸付財産は貸付料の鑑定評価に当たって貸付料の算定の基礎として評価されている土地の評価額とする。

第3第三者チェックを依頼する有識者の選任

第三者チェックを依頼する有識者は、不動産取引や地下埋設物等に関して専門的知見を有する者を、事案毎に複数名、本省において選任する。

第4第三者チェックに係る事務手続き

土地の調査及び鑑定評価の第三者チェック

(1)地下埋設物等の調査

財務局長等は、普通財産の処分等を行うに当たっては、地下埋設物等の調査の必要性を検討するため、登記簿、旧建物関係図面、古地図、航空写真等により、土地の履歴調査を行うとともに、周知の埋蔵文化財包蔵地に当たるか否かについても調査するものとし、土地の履歴調査等の結果、地下埋設物等が存在する蓋然性が認められる場合は、民間精通者による地下埋設物等の調査を実施するものとする。ただし、引受け前又は各省各庁の長から契約に関する事務の委任を受ける前に民間精通者による地下埋設物等の調査を実施している場合は、この限りではない。

なお、地下埋設物等が存在する場合には、民間精通者に対策費用の見積書の提出を求めるものとする。

(2)第三者チェック対象財産の選定

財務局長等は、上記(1)の調査の結果を踏まえ、第2の1に該当する財産について、土地の状況が把握できる資料(図面、登記事項証明書、現況写真、土地履歴調査報告書、埋設物調査工事報告書、土壌汚染概況調査報告書、深度方向調査報告書、対策費用の見積書等をいう。以下同じ。)を本省に送付し、第三者チェックを依頼するものとする。

(3)追加調査等の実施

財務局長等は、有識者の第三者チェックにおいて追加で調査を行う必要があるとの意見が示された場合には、必要に応じて追加調査を実施した上で、追加調査の結果に係る資料を本省に送付するものとする。

(4)不動産鑑定士への評価依頼

財務局長等は、土地の調査の第三者チェックを経た後、不動産鑑定士に対し、土地の状況が把握できる資料及び土地の調査の第三者チェックにおいて有識者から示された意見を提示して評価依頼するものとする。

なお、不動産鑑定士の募集の公告に当たっては、本省と調整の上、適切に処分等のスケジュール、業務期間、仕様書の内容等を決定するものとする。

(5)鑑定評価の第三者チェックの取扱い

財務局長等は、上記(4)により不動産鑑定士に評価依頼をした場合において、平成13年3月30日付財理第1317号「国有財産評価基準について」通達別紙第2章第3の3に定める鑑定評価書等の審査を行うに当たっては、審査調書の作成をする前にあらかじめ審査前の鑑定評価書等を本省に送付し、第三者チェックを依頼するものとする。

(注)第三者チェックの結果、有識者から意見が示された場合は、不動産鑑定士に伝達し、活用を促すものとするが、土地の鑑定評価は、独立した専門職業家である不動産鑑定士が行うものであるため、鑑定評価における最終判断及び責任は不動産鑑定士が負うものであることに留意する。

損害賠償額の第三者チェック

(1)損害賠償請求額の検証

財務局長等は、普通財産である土地の処分等を行った後に地下埋設物等の存在が判明し、処分等の相手方から損害賠償請求(具体的な地下埋設物等の状況とそれに基づく損害賠償請求をする旨の表明、請求する損害額の算定の根拠及び国の責任を問う意思表示)があった場合には、処分等の相手方から提出された資料を精査し、国が支払う損害賠償額の検証を行うものとする。

(2)第三者チェック対象財産の選定

財務局長等は、上記(1)の検証の結果、上記第2の2に該当する財産について、土地の状況が把握できる資料、契約書や決議書等の事案の概要が把握できる資料、処分等の相手方から損害賠償請求に当たって提出された資料等の損害賠償額を検証するに当たって必要となる資料を本省に送付し、第三者チェックを依頼するものとする。

(3)追加調査等の実施

財務局長等は、第三者チェックにおいて外部の有識者から損害賠償額について疑義、根拠資料の不足、民間精通者による調査の必要性等の意見が示された場合には、必要に応じて、損害賠償額の見直し、処分等の相手方への追加資料の提出依頼、民間精通者による調査等を行うものとする。

(4)和解書等の取り交わし

財務局長等は、第三者チェックの結果、損害賠償額が適正と認められる場合には、処分等の相手方と和解書等の書面の取り交わしに向けて手続きを進めるものとする。

第三者チェックの方法

第三者チェックは、上記第3により選任された有識者とあらかじめ意見交換を行った上で、各分野の有識者から個々に意見等の提示を受けるものとする。

なお、財務局等の担当者(処分等の事務に従事する者、評価事務に従事する者、損害賠償金の検証に関する事務に従事する者等)は、当該意見交換に参加して事案の内容について説明するものとする。

第5留意事項

本通達に定める第三者チェックの手続きを行うことによって、処分等の手続きに一定の期間が加わることから、処分等の相手方が不測の損害を受けないよう、第三者チェックの手続きを予め十分周知・説明するものとする。

なお、財務局長等は、本通達第2の1の対象となる可能性がある財産については、原則として、令和元年9月20日付財理第3206号「最適利用に向けた未利用国有地等の管理処分方針について」通達記第7の3の(1)に規定する取得等要望の受付(平成27年12月21日付財理第4997号「介護施設整備に係る国有地の有効活用について」通達記4の(2)に規定する情報提供を行うものにあっては当該情報提供の手続き)を行うまでに上記第4の1の(1)から(3)に規定する土地の調査の第三者チェックの手続きを完了させるものとする。

第6その他

本通達により処理することが適当でないと認められる場合には、本省において判断内容等を適切に記録し保管しておくものとする。

第7書面等の作成・送付等の方法

電子ファイルによる作成

本通達に基づき、作成を行う書面等(書面その他文字、図形その他の人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。以下同じ。)については、電子ファイルにより作成を行うことができる。

電子メール等による送付等

(1)本通達に基づく送付等の手続のうち、書面等により行うこととしているものについては、電子メール等の方法により行うことができる。

(2)上記(1)の方法により送付等を行うときは、電子ファイルをもって行うものとする。

適用除外

上記1及び2の措置は、本通達第4-2-(4)に規定する処分等の相手方との和解書等の書面の取り交わしについては、適用しないものとする。