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国家公務員宿舎の市町村ごとの需要と供給の状況に応じた対応等について

令和4年3月22日
財理第1163


財務省理財局長から各財務(支)局長、沖縄総合事務局長宛

財政制度等審議会答申「今後の国有財産の管理処分のあり方について」(令和元年6月14日)の趣旨を踏まえて、今後、下記により、国家公務員宿舎(以下「宿舎」という。)における市町村(特別区を含む。以下同じ。)ごとの必要戸数を的確に把握し、需要と供給に乖離がみられる市町村についてはその改善に向けて対応を行うこととしたから、通知する。

なお、平成16年5月28日付財理第2065号「合同宿舎の計画的な整備について」通達は廃止することとする。

また、本年3月22日までに、設置、廃止等について協議を開始しているなど具体的な手続を進めている宿舎については、なお従前の例により取り扱うことができるものとする。

おって、「国家公務員宿舎の市町村ごとの需要と供給の状況に応じた対応等について」は、別添のとおり各省各庁官房長等に通知したから了知されたい。

目 次

第1基本方針

第2用語の定義

第3宿舎の需要と供給の把握について

第4市町村ごとの需要と供給の状況に応じた対応

基本的な考え方

継続使用宿舎と改修留保宿舎の選定

選定に当たっての基準等

合同宿舎における継続使用宿舎の維持整備の取扱いについて

改修留保宿舎の維持整備等の取扱いについて

需要と供給の均衡に向けた検討

第5住戸規格別の需要と供給の状況に応じた対応

既存宿舎の模様替等

既存宿舎の有効活用等

第6書面等の作成・提出等の方法

電子ファイルによる作成

電子メール等による提出等

第7本省承認

第1基本方針

宿舎の設置戸数と必要戸数の現状を市町村ごとに見た場合、近年の行政需要の変化に伴い宿舎需要が変化していることなどにより、宿舎が不足している市町村が見られる一方、未入居が増加している市町村も見られ、需要と供給に乖離がみられる市町村が見受けられる。また、住戸規格別の需要と供給についても、独身者用宿舎や単身赴任者用宿舎が不足し、世帯者用宿舎には余剰が生じている傾向が見られる。

こうした状況の改善を図るため、毎年度、市町村単位で宿舎の需要と供給を把握することで、宿舎の需要と供給のすう勢を的確に把握し、今後も長期にわたり継続して使用する宿舎(以下「継続使用宿舎」という。)の選定を行い、それ以外の宿舎を、今後は大規模改修工事を行わず必要最小限度の改修を行う宿舎(以下「改修留保宿舎」という。)として選定した上で、市町村ごとの宿舎の需要と供給の状況に応じて必要な対応を計画的及び段階的に進めていくこととする。

すう勢的に宿舎が供給過多となっている市町村においては、継続使用宿舎を見極め、予算の範囲内において、当該宿舎について必要な改修を行っていくこととする。

すう勢的に宿舎が需要過多となっている市町村においては、原則として既存の宿舎を継続使用宿舎として取り扱うものとし、不足する宿舎については借受又は建設の方法により確保することとする。

また、国家公務員宿舎法(昭和24年法律第117号)第8条の規定に基づく宿舎の設置計画については、市町村ごとの需要と供給の均衡に向けた対応と整合性が図られた計画を定めることとする。

住戸規格別の需要と供給について、その均衡を図る観点から、既存の世帯者用宿舎について、独身者用宿舎又は単身赴任者用宿舎への規格変更を伴う模様替の検討を行うものとする。ただし、改修予算が限られている中で、需要と供給の均衡を図るには長期間を要することから、併せて、国家公務員宿舎法施行規則(昭和34年大蔵省令第10号)第11条の規定などに基づき、世帯者用宿舎の有効活用の促進を図ることとする。

第2用語の定義

この通達において、次に掲げる用語の定義は、それぞれ以下に定めるところによる。

(1)「法」とは、国家公務員宿舎法をいう。

(2)「令」とは、国家公務員宿舎法施行令(昭和33年政令第341号)をいう。

(3)「規則」とは、国家公務員宿舎法施行規則をいう。

(4)「財務局長等」とは、財務局長、福岡財務支局長及び沖縄総合事務局長をいう。

(5)「財務局等」とは、財務局、福岡財務支局及び沖縄総合事務局をいう。

(6)「総括部局長」とは、国有財産に関する事務を総括する部局等の長をいう。

(7)「維持管理機関」とは、法第5条に基づいて省庁別宿舎の維持及び管理を行う各省各庁の長及び法第7条第1項及び第2項に基づいて各省各庁の長から事務委任を受けた職員(令第5条の規定に基づく財務大臣との協議が整った職員に限る。)並びに法第7条第1項から第3項までの規定に基づいて合同宿舎の維持及び管理を行う財務局長等及び財務局長等から事務の委任を受けた財務事務所長、財務局出張所長、福岡財務支局出張所長、沖縄総合事務局出張所長及び財務事務所出張所長をいう。

(8)「貸与状況調査」とは、昭和59年8月27日付蔵理第2992号「電子計算システム関係事務取扱要領について」通達に規定する宿舎の貸与状況に関する報告をいう。

(9)「規格」とは、1貸与の専用面積に見合う規格(規則第6条第2項に規定する規格)をいう。

(10)「住宅事情調査」とは、昭和49年2月23日付蔵理第351号「国家公務員等の住宅事情調査について」通達に規定する調査をいう。

(11)「職務の級」とは、一般職の職員の給与に関する法律(昭和25年法律第95号)別表第一イ行政職俸給表(一)の職務の級をいう。

第3宿舎の需要と供給の把握について

理財局長は、毎年度、市町村単位での宿舎の需要と供給の状況を把握し、以下の①、②及び③の資料を作成する。

また、当該資料については、各省各庁の官房長等に通知した令和4年3月22日付財理第1163号「国家公務員宿舎の市町村ごとの需要と供給の状況に応じた対応等について」通達に基づき各省各庁の総括部局長から提出された「必要戸数調書」(別添1)と併せて、財務局長等あて毎年10月末までに送付する。

「必要戸数調書」及び9月1日時点の貸与状況調査における「設置戸数」に基づき、市町村単位で宿舎(規格別を含む。)の需要と供給の状況を把握し、作成した官署別必要戸数と宿舎入居者の差異一覧(別添2)。

住宅事情調査の結果に基づき、各官署の職員の平均通勤時間及び官署ごとの宿舎入居状況の調査を行い、作成した官署別通勤時間一覧(別添3)及び官署別入居状況表(別添4)。

9月1日時点の貸与状況調査において設置されている合同宿舎及び省庁別宿舎の宿舎一覧表(別紙1)。

第4市町村ごとの需要と供給の状況に応じた対応

基本的な考え方

財務局長等は、上記第3により送付された①、②及び③の資料を分析し、毎年度、市町村単位で宿舎の需要と供給の状況を的確に把握した上で、需要と供給がすう勢的に乖離している状態が認められる場合は、以下の方針に沿って計画的及び段階的な対応を行うものとする。

なお、財務局長等は、法第8条の2の規定に基づき各省各庁から提出される宿舎設置に関する要求について、市町村ごとの需要と供給の状況や改善に向けた対応の方向性と整合的かどうか、適切に審査を行うものとする。

(1)需要過多となっている市町村について

すう勢的に宿舎の必要戸数が設置戸数を上回り、需要過多となっている市町村においては、中長期的な需要が見込まれる場合、令和4年3月22日付財理第1164号「国家公務員宿舎の設置及び維持整備に関するコスト比較について」通達(以下「コスト比較通達」という。)に基づき、借受と建設のコスト比較を実施し、より経済合理性を有する方法で必要な宿舎の確保を検討するものとする。

また、宿舎を新たに設置する場合の手続については、平成14年7月23日付財理第2813号「宿舎設置要求参考調書等の提出について」通達及び平成14年7月23日付財理第2814号「国家公務員宿舎法第4条第2項宿舎の設置計画に関する事務について」通達に基づき取り扱うものとする。

既存の宿舎については、原則、継続使用宿舎として、引き続き適切に貸与を行うものとする。ただし、建築年次、老朽度、立地条件、周辺の官署の所在状況等を勘案した結果、貸与率向上の見込みがない宿舎や、老朽化が著しく今後長期間の使用を見込むことができない宿舎については、改修留保宿舎として差し支えないものとする。

(2)供給過多となっている市町村について

すう勢的に宿舎の設置戸数が必要戸数を上回り、供給過多となっている市町村においては、老朽度、貸与率、近隣官署の状況、今後の入居見込み等を勘案し、継続使用宿舎を選定することとし、それ以外の宿舎を改修留保宿舎として選定する。

継続使用宿舎と改修留保宿舎の選定

(1)財務局長等は、上記1の基本的な考え方を踏まえつつ、上記第3の資料及び下記3を参考にした上で、管内の各宿舎を継続使用宿舎又は改修留保宿舎に選定するものとする(以下「財務局選定案」という。)。

(2)財務局選定案の検討に当たっては、市町村単位で需要過多又は供給過多となっている場合であっても、当該市町村に隣接する市町村等と一体で見た場合に宿舎の必要戸数と設置戸数がおおむね一致する場合は、財務局等において関係する部局にヒアリングを実施し、官署別必要戸数入替え表(別紙2)により必要戸数の入替え調整を行うことができるものとする。

(3)財務局長等は、上記(1)の省庁別宿舎に係る財務局選定案について、当該省庁別宿舎の維持管理機関に対し通知し、必要に応じて通知事項に関して協議するものとする。財務局長等は、当該協議が整わなかった省庁別宿舎については、下記(5)の宿舎一覧表(別紙1)にその理由を記載し、理財局長あて報告するものとする。

なお、改修留保宿舎とした省庁別宿舎について、建築年次、老朽度、立地条件、周辺の官署の所在状況等を勘案した結果、合同宿舎へ所管換を行うことにより貸与希望者の増加が見込まれる場合においては、財務局等と当該省庁別宿舎の維持管理機関及び理財局との間において協議を行った上で、具体的な対応を検討するものとする。

(4)前年度の継続使用宿舎又は改修留保宿舎の判定を変更する必要がある場合は、財務局等と理財局との間において調整を行った上で、当該判定を変更するものとする。

(5)財務局長等は、上記(1)から(4)により調整を行い選定した継続使用宿舎及び改修留保宿舎について、宿舎一覧表(別紙1)を作成し、官署別必要戸数入替え表(別紙2)と併せて、毎年12月24日までに理財局長あて報告するものとする。

(6)理財局は、上記(3)において、財務局等と維持管理機関との間で協議が整わなかった場合は、関係する各省各庁の総括部局と調整を行い、当該省庁別宿舎の取扱いを決定する。

(7)理財局長は、上記(6)の調整結果を踏まえて上記(5)の宿舎一覧表(別紙1)を整理し、官署別必要戸数入替え表(別紙2)とあわせて、翌年2月末日までに各省各庁の総括部局長及び財務局長等あて送付する。

選定に当たっての基準等

財務局長等は、継続使用宿舎及び改修留保宿舎の選定に当たっては、当該市町村における宿舎の需要と供給の状況を踏まえつつ、以下の(1)から(3)の事項を総合的に勘案するものとする。

(1)老朽度

以下の①又は②に該当する宿舎は、老朽度が低いと判断する。

なお、老朽度合いが著しい部位や箇所を個別に把握している場合は、マイナス要因(老朽度が高くなる要因)として判断するものとする。

建築年次の浅いもの。

①に該当しない場合であっても、改修履歴等から、安全性、耐久性及び居住性がより高いと判断されるもの。

(2)立地条件

以下の①から③のいずれかに該当する宿舎は、立地条件が適当と判断する。

各官署の住宅事情調査の実態からみて、業務継続体制の確保の観点から必要な距離圏に所在し、通勤圏(別添3-2又は3-3における「平均通勤時間」)内に所在するもの。

高度利用が可能な地域に所在するもの。

自然災害が及びにくい地域に所在するもの(地方公共団体が作成するハザードマップ等に危険性の記述がないもの。)。

(3)需要

以下の①又は②に該当する宿舎は、需要が高い宿舎と判断する。

建築年次にかかわらず現在の入居率が高いもの(入居率については、直近の貸与状況調査を指標とする。)。

新たな行政需要や周辺の開発状況から、今後の宿舎需要が見込まれるもの。

合同宿舎における継続使用宿舎の維持整備の取扱いについて

財務局長等は、昭和44年2月24日付蔵理第643号「合同宿舎の維持整備について」通達(以下「維持整備通達」という。)に基づき、継続使用宿舎として選定された合同宿舎の計画的かつ効率的な維持整備を進めるものとする。また、老朽化した宿舎を中心として、現在の一般的な住居と比較し著しく仕様が劣る設備については、計画的かつ効率的に更新を行うものとする。

改修留保宿舎の維持整備等の取扱いについて

(1)財務局長等は、改修留保宿舎として選定された合同宿舎については、原則として大規模改修工事は行わず必要最小限度の改修を行うことに留意するものとする。ただし、入居者の生活に著しく支障を来すような場合は、必要に応じて財務局等と理財局との間において調整を行った上で、必要な対応を図るものとする。

(2)改修留保宿舎として選定された省庁別宿舎については、大規模改修工事は行わず必要最小限度の改修を行うことに留意し、財務局等と当該省庁別宿舎の維持管理機関との間において調整を図ることとする。

(3)改修留保宿舎については、原則として1住宅ごとに選定することとする。

ただし、複数の棟を有する住宅のうち、各棟の建築年次が大きく異なり一部の棟のみが著しく老朽化している場合や、市町村単位での需要と供給の状況を踏まえ一部の棟を継続して使用する必要がある場合等、全ての棟を改修留保宿舎とすることが適当と認められない場合は、一部の棟のみを改修留保宿舎として選定することができるものとする。

なお、改修留保宿舎の選定に当たっては、改修留保宿舎の敷地の範囲が無道路地とならないように留意するものとする。

また、継続使用宿舎として選定する棟については、建築基準法(昭和25年法律第201号)に適合しない状態にならないか、同法第42条第1項第5号に基づく道路が介在していないか等を確認し、その範囲等を適切に決定するよう留意するものとする。

需要と供給の均衡に向けた検討

財務局長等は、宿舎がすう勢的に需要過多及び供給過多となっている市町村について、当該市町村内の宿舎の状況や官署の要望等の的確な把握に努め、需要と供給の均衡に向けた具体的な方策を検討するものとし、財務局等と理財局との間において協議を行うものとする。

理財局は、財務局等において検討した方策について、緊急性、必要性等を確認する等、調整を行う。

第5住戸規格別の需要と供給の状況に応じた対応

財務局長等は、上記第3の「必要戸数調書」(別添1)などにより、市町村単位での住戸規格別の需要と供給の状況を的確に把握した上で、以下の1及び2の両面から対応を行うものとする。

既存宿舎の模様替等

継続使用宿舎として選定された長期の使用が見込まれる世帯者用宿舎について、独身者用宿舎又は単身赴任者用宿舎への住戸規格の変更を伴う模様替を行うことが可能か検討を行うものとする。

住戸規格の変更を伴う模様替を検討する際に、多額の費用を要する場合には、維持整備通達に基づき借受とのコスト比較を実施し、必要な場合には借受への移行を検討するものとする。なお、模様替を実施する場合には、設置計画の策定手続を要することに留意する。

既存宿舎の有効活用等

(1)世帯者用宿舎について、未入居が継続している戸番がある場合は、規則第11条第2項及び第3項の規定に基づき、職務の級が2級以下の職員に対し規格cの貸与を行う等、既存宿舎の有効活用を図るものとする。

(2)規格aの宿舎が不足している場合で、貸与を希望する独身者への宿舎貸与の必要性が認められる場合には、平成13年3月23日付財理第1032号「宿舎の貸与に関する取扱いについて」通達の規定に基づき、規格aの宿舎は、職務の級が2級以下又はこれらに準ずる独身者への貸与を優先するものとする。

第6書面等の作成・提出等の方法

電子ファイルによる作成

本通達に基づき作成等を行う書面等(書面その他文字、図形その他の人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。以下同じ。)については、電子ファイルにより作成等を行うことができる。

電子メール等による提出等

(1)本通達に基づく提出等の手続のうち、書面等により行うこととしているものについては、電子メール等の方法により行うことができる。

(2)上記(1)の方法により提出等を行うときは、電子ファイルをもって行うものとする。

第7本省承認

本通達により処理することが適当でないと認められる場合には、理財局長の承認を得て処理することができるものとする。

別添1~別紙2(PDF:219KB)

(別添)

国家公務員宿舎の市町村ごとの需要と供給の状況に応じた対応等について

令和4年3月22日

財理第1163号

財務省理財局長から各省各庁官房長等宛

財政制度等審議会答申「今後の国有財産の管理処分のあり方について」(令和元年6月14日)の趣旨を踏まえて、今後、国家公務員宿舎(以下「宿舎」という。)における市町村(特別区を含む。以下同じ。)ごとの真に公務のために必要な宿舎戸数(以下「必要戸数」という。)を的確に把握し、需要と供給に乖離がみられる市町村についてはその改善に向けて対応を行う必要があるため、宿舎に入居することが認められる職員の類型に該当する者を対象とし、必要戸数の調査方法や省庁別宿舎に関する取扱いを下記のとおり定めたことから、通知する。

基本的な考え方

各省各庁の国有財産に関する事務を総括する部局の長(以下「総括部局長」という。)は、毎年度、各官署における市町村単位での宿舎の必要戸数を的確に把握するものとする。

国家公務員宿舎法(昭和24年法律第117号。以下「法」という。)第5条に基づいて省庁別宿舎の維持及び管理を行う各省各庁の長及び法第7条第1項及び第2項に基づいて各省各庁の長から事務委任を受けた職員(国家公務員宿舎法施行令(昭和33年政令第341号)第5条の規定に基づく財務大臣との協議が整った職員に限る。)(以下「維持管理機関」という。)は、市町村単位での宿舎の需要と供給の状況に応じて、当該省庁別宿舎における建築年次、老朽度、立地条件、周辺の官署の所在状況等を総合的に勘案し、財務局、福岡財務支局及び沖縄総合事務局(以下「財務局等」という。)と調整した上で、今後も長期にわたり継続して使用する宿舎(以下「継続使用宿舎」という。)の選定を行い、それ以外の宿舎を、今後は大規模改修工事を行わず必要最小限度の改修を行う宿舎(以下「改修留保宿舎」という。)として選定するものとする。

また、各省各庁の長は、市町村ごとの需要と供給の状況や改善に向けた対応の方向性に留意した上で、法第8条の2の規定に基づく宿舎設置に関する要求を行うものとする。

住戸規格別の需要と供給について、その均衡を図る観点から、既存の世帯者用宿舎について、独身者用宿舎又は単身赴任者用宿舎への規格変更を伴う模様替の検討を行うものとする。ただし、改修予算が限られている中で、需要と供給の均衡を図るには長期間を要することから、併せて、国家公務員宿舎法施行規則(昭和34年大蔵省令第10号。以下「規則」という。)第11条の規定などに基づき、世帯者用宿舎の有効活用の促進を図ることとする。

市町村単位での必要戸数の調査

(1)各省各庁の総括部局長は、各官署の市町村単位における宿舎の必要戸数について、以下の①、②、③及び④に留意した上で調査を行い、その結果を必要戸数調書(別紙)により理財局長あて毎年9月20日までに報告することとする。

なお、必要戸数は「独身者用」、「単身赴任者用」、「世帯者用」の別に計上するものとする。

必要戸数の計上に当たっては、配分希望地は、昭和49年2月23日付蔵理第351号「国家公務員等の住宅事情調査について」通達(以下「住宅事情調査」という。)の別紙第2-1-(1)の住宅事情調査票に基づく、当該年度の6月1日時点における宿舎への居住実態に合わせることを原則とする。

ただし、①により計上した必要戸数について、他職員と比較して著しく官署への通勤時間を要している場合は、当該必要戸数の配分希望地を官署の通勤圏内(注1)の任意の市町村に振り替えることができるものとする。

また、当該年度の6月1日時点において、宿舎に入居することが認められる職員の類型(注2)に該当し、貸与を希望しているにもかかわらず、宿舎に入居できていない職員がいる場合は、官署の通勤圏内の任意の市町村を配分希望地として、必要戸数を計上できるものとする。

(注1)「官署の通勤圏内」とは、住宅事情調査における官署への通勤時間がおおむね平均通勤時間の範囲内であることをいう。

(注2)「宿舎に入居することが認められる職員の類型」とは、以下をいう。

離島、山間へき地に勤務する職員

頻度高く転居を伴う転勤等をしなくてはならない職員

居住場所が官署の近接地に制限されている職員

災害、テロ、経済危機、武力攻撃等を含め、政府の迅速な対応が求められる事件・事故等が発生した際、各省庁が定める業務継続計画( BCP )等に基づき緊急参集する必要がある職員

国会対応、法案作成及び予算等の業務に従事し、深夜・早朝における勤務を強いられる本府省職員

前年度の2月末までに理財局長から送付される官署別必要戸数入替え表の内容を反映するものとする。

(2)財務局長、福岡財務支局長及び沖縄総合事務局長(以下「財務局長等」という。)は、上記(1)の必要戸数調書(別紙)及び9月1日時点における貸与状況調査(昭和59年8月27日付蔵理第2992号「電子計算システム関係事務取扱要領について」通達に規定する宿舎の貸与状況に関する報告)に基づき、市町村単位での宿舎の需要と供給の状況を把握するものとする。

なお、市町村単位で需要過多又は供給過多となっている場合であっても、当該市町村に隣接する市町村等と一体で見た場合に宿舎の必要戸数と設置戸数がおおむね一致する場合は、財務局等と関係する部局との間において調整を行った上で、必要戸数の入替え調整を行うことができるものとする。

(3)各省各庁の部局は、上記(2)の必要戸数の入替え調整についてヒアリングを受けた場合、入替えにより必要戸数に計上する市町村が官署の通勤圏内となっているかを確認する等して、適切に調整を行うものとする。

継続使用宿舎と改修留保宿舎の選定

(1)財務局長等は、市町村単位での宿舎の需要と供給の状況に応じて、管内の各宿舎を継続使用宿舎と改修留保宿舎に選定する(以下「財務局選定案」という。)。

省庁別宿舎については、財務局長等が維持管理機関に対し通知を行い、必要に応じて協議を行うものとする。

(2)維持管理機関は、上記(1)についての協議を受けた場合、各省庁別宿舎の財務局選定案について、建築年次に加えて以下のイからハの事項を総合的に勘案し、下記5「改修留保宿舎の維持整備等の取扱いについて」にも留意した上で確認を行うものとする。

老朽度

以下の①又は②に該当する宿舎は、老朽度が低いと判断する。

なお、老朽度合いが著しい部位や箇所を個別に把握している場合は、マイナス要因(老朽度が高くなる要因)として判断するものとする。

建築年次の浅いもの。

①に該当しない場合であっても、改修履歴等から、安全性、耐久性及び居住性がより高いと判断されるもの。

立地条件

以下の①から③のいずれかに該当する宿舎は、立地条件が適当と判断する。

各官署の住宅事情調査の実態からみて、業務継続体制の確保の観点から必要な距離圏に所在し、通勤圏内に所在するもの。

高度利用が可能な地域に所在するもの。

自然災害が及びにくい地域に所在するもの(地方公共団体が作成するハザードマップ等に危険性の記述がないもの。)。

需要

以下の①又は②に該当する宿舎は、需要が高い宿舎と判断する。

建築年次にかかわらず現在の入居率が高いもの(入居率については、直近の貸与状況調査を指標とする。)。

新たな行政需要や周辺の開発状況から、今後の宿舎需要が見込まれるもの。

(3)維持管理機関は、改修留保宿舎として選定した省庁別宿舎について、財務局等から合同宿舎への所管換や建物の有効活用について検討等の依頼を受けた場合は、具体的な対応について調整を行うものとする。

(4)各省各庁の部局長は、当該省庁別宿舎における前年度の継続使用宿舎又は改修留保宿舎の判定を変更する必要がある場合は、財務局長等と協議の上、当該判定を変更するものとする。

(5)上記(2)において調整が整わなかった場合は、各省各庁の総括部局と理財局との間において調整を行い、当該省庁別宿舎の取扱いを決定するものとする。

継続使用宿舎の維持整備の取扱いについて

維持管理機関は、継続使用宿舎について、貸与率の向上を図るとともに計画的かつ効率的な維持整備を進めるものとする。また、老朽化した宿舎を中心として、現在の一般的な住居と比較し著しく仕様が劣る設備については、計画的かつ効率的に更新を行うものとする。

改修留保宿舎の維持整備等の取扱いについて

(1)維持管理機関は、改修留保宿舎として選定された省庁別宿舎について、原則として大規模改修工事は行わず必要最小限度の改修を行うことに留意するものとする。ただし、入居者の生活に著しく支障を来すような場合は、必要な対応を図るものとする。

(2)改修留保宿舎については、原則として1住宅ごとに選定することとする。

ただし、複数の棟を有する住宅のうち、各棟の建築年次が大きく異なり一部の棟のみが著しく老朽化している場合や、市町村単位での需要と供給の状況を踏まえ一部の棟を継続して使用する必要がある場合等、全ての棟を改修留保宿舎とすることが適当と認められない場合は、一部の棟のみを改修留保宿舎として選定することができるものとする。

なお、改修留保宿舎の選定に当たっては、改修留保宿舎の敷地の範囲が無道路地とならないように留意するものとする。

また、継続使用宿舎として選定する棟については、建築基準法(昭和25年法律第201号)に適合しない状態にならないか、同法第42条第1項第5号に基づく道路が介在していないか等を確認し、その範囲等を適切に決定するよう留意するものとする。

住戸規格別の需要と供給の状況に応じた対応

維持管理機関は、上記2の「必要戸数調書」などにより、市町村単位での住戸規格別の需要と供給の状況を的確に把握した上で、以下の(1)及び(2)の両面から対応を行うものとする。

(1)既存宿舎の模様替等

継続使用宿舎として選定された長期の使用が見込まれる世帯者用宿舎について、独身者用宿舎又は単身赴任者用宿舎への住戸規格の変更を伴う模様替を行うことが可能か検討を行うものとする。

住戸規格の変更を伴う模様替を検討する際に、多額の費用を要する場合には、令和4年3月22日付財理第1164号「国家公務員宿舎の設置及び維持整備に関するコスト比較について」通達に準じてコスト比較を実施するなどし、必要な場合には借受への移行を検討するものとする。なお、模様替を実施する場合には、設置計画の策定手続を要することに留意する。

(2)既存宿舎の有効活用等

世帯者用宿舎について、未入居が継続している戸番がある場合は、規則第11条第2項及び第3項の規定に基づき、職務の級が2級以下の職員に対し規格cの貸与を行う等、既存宿舎の有効活用を図るものとする。

規格aの宿舎が不足している場合で、貸与を希望する独身者への宿舎貸与の必要性が認められる場合には、平成13年3月23日付財理第1032号「宿舎の貸与に関する取扱いについて」通達の規定に基づき、規格aの宿舎は、職務の級が2級以下又はこれらに準ずる独身者への貸与を優先するものとする。

書面等の作成・提出等の方法

(1)電子ファイルによる作成

本通達に基づき作成等を行う書面等(書面その他文字、図形その他の人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。以下同じ。)については、電子ファイルにより作成等を行うことができる。

(2)電子メール等による提出等

本通達に基づく提出等の手続のうち、書面等により行うこととしているものについては、電子メール等の方法により行うことができる。

上記①の方法により提出等を行うときは、電子ファイルをもって行うものとする。

別紙(PDF:82KB)