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普通財産の管理を委託する場合の取扱いについて

昭和48年10月23日
蔵理第4676


改正平成12年6月22日蔵理第2223号

18年4月28日財理第1789号

24年5月22日同第2445号

令和元年9月20日同第3211号

2年12月18日同第4097号

3年4月12日同第1247号

4年6月7日同第2006号

5年12月22日同第3436号

大蔵省理財局長から各財務(支)局長、沖縄総合事務局長宛

国有財産法(昭和23年法律第73号)(以下「法」という。)第26条の2の規定により普通財産の管理を委託する場合の取扱いについては、下記によることとしたから、通知する。

1.管理委託の目的

普通財産の管理委託は、普通財産の有効な利用を図るため特に必要があると認められる場合であって、普通財産の管理の適正化を図る観点から、当該財産を処分等(売払い及び貸付けをいう。以下同じ。)するまでの間の暫定的な措置として、地域福祉向上のために一般公衆の利用に供すること、又は財産の維持保全を図ることを目的とする。

ただし、管理委託は、いたずらに私人の営利目的に適用を拡大することの無いよう、十分に留意すること。

また、当該財産の使用収益について有償貸付によるべき場合は、これを行わないものとする。

(注)「一般公衆の利用に供する」とは、多目的広場、緑地、児童の遊び場、緊急時の避難場所、オープンスペース等、地域住民その他不特定多数の者に公平な利用機会がある用途に供することをいい、利用者が、専ら管理委託を受ける者(以下「管理受託者」という。)に限定される用途に供することを含まない。

2.対象財産

(1)処分等相手方を決定した財産

令和元年9月20日付財理第3206号「最適利用に向けた未利用国有地等の管理処分方針について」通達(以下「最適利用通達」という。)記-第7-3-(3)により処分等相手方を決定した財産及び旧軍港市国有財産処理審議会又は旧軍港市国有財産処理地方幹事会に付議して処分等相手方を決定した財産のうち処分等を行うまでの間、暫定活用可能と認められる財産

(2)売残り財産

平成3年9月30日付蔵理第3603号「一般競争入札等の取扱いについて」通達(以下「入札通達」という。)別紙Ⅰ-2(同通達別紙Ⅱ-2において準用する場合を含む。)の手続により売却に至らなかった財産

(3)処分困難事由のある財産

最適利用通達記-第2-1に規定する処分困難事由のある財産のうち暫定活用可能と認められる財産

(4)個別活用財産

最適利用通達記-第6-4に規定する財産のうち暫定活用可能と認められる財産

(5)留保財産

最適利用通達記-第4に規定する留保財産のうち暫定活用可能と認められる財産

(6)利用困難財産

平成14年3月22日付財理第1182号「財務省所管普通財産に係る国有財産総合情報管理システム(台帳記録・決算機能)の実施について」通達別表に規定する利用困難財産

(7)社寺財産

昭和42年7月24日付蔵国有第1196号「社寺境内地等として使用されている普通財産の処理について」通達記2に規定する第1種に該当する境内地等

(8)公共的な用途に供されている財産

昭和43年3月25日付蔵国有第399号「公共的な用途に供される普通財産の取扱いについて」通達別紙第6-1に規定する処理を留保することができる財産

3.管理委託の目的に応じた分類

上記2の財産は、以下の目的の場合に限り、暫定的に管理委託を行うことができるものとする。

(1)地域福祉向上のための管理委託

児童の遊び場、緊急時の避難場所、オープンスペース等として一般公衆の利用に供するため、管理を委託することが適当であると財務局長、福岡財務支局長、沖縄総合事務局長(以下「財務局長等」という。)が認めるとき。

地域住民の生活環境の維持のため管理保全をする必要がある財産、文化的価値を保存していく必要がある財産、又は山間へき地等遠隔地に所在する財産で、地域福祉向上の観点からその管理を委託することが、財産の適正な管理に資すると財務局長等が認めるとき。

(2)財産の維持保全を図るための管理委託

処分等相手方を決定した財産の維持保全を図るための管理委託

上記2-(1)の財産を処分等するまでの間、当該財産の維持保全を図るため、下記4-(1)の相手方に管理を委託することが適当であると財務局長等が認めるとき。

なお、当該財産を管理委託する場合は、相手方が処分等後の利用に必要な事前調査等(利用用途自体の工事を除く。)を行うことを認めることができるものとする。

処分等するまでの間の財産の維持保全を図るための管理委託

上記2-(2)、(3)及び(6)の財産であって、令和元年9月20日付財理第3209号「普通財産を暫定活用する場合の取扱いについて」通達(以下「暫定活用通達」という。)記-第2の規定に基づき、財務局等(財務局、福岡財務支局、沖縄総合事務局をいう。以下同じ。)ホームページに掲載してから1年を経過しても借受要望がなかったものについて、処分等するまでの間の当該財産の維持保全を図るため、下記4-(2)、(3)又は(4)に対して管理を委託することが適当であると財務局長等が認めるとき。

(注)上記2-(2)の財産については、借受要望の確認に加えて、入札通達記-2-(6)ただし書の規定に基づき財務局等ホームページに掲載してから1年を経過しても買受要望のなかった財産が対象となることに留意すること。

4.管理委託の相手方

普通財産の管理を委託する場合の相手方は、次に掲げる者とする。

(1)最適利用通達記-第7-3-(3)により決定した処分等相手方及び旧軍港市国有財産処理審議会又は旧軍港市国有財産処理地方幹事会に付議して決定した処分等相手方

(2)地方公共団体

(3)町内会、地域自治会等の地縁による団体(以下「町内会等」という。)

(4)上記(1)から(3)のほか、管理義務を遂行する観点から財務局長等が適当と認める者

(注1)地域福祉向上の観点から、不特定多数の利用に供することを目的として管理を受託しようとする者にあっては、国有財産の維持保全に係る費用等の負担能力を勘案して相手方を選定するものとする。

(注2)上記4-(4)の相手方に管理委託を行おうとする場合は、当分の間、上記3-(2)-ロの場合を除き、本省と協議を行うこととする。

5.処分等するまでの間の財産の維持保全を図るための管理委託に関する手続

財務局長等は、上記3-(2)-ロによる管理委託を行おうとする場合には、財産が所在する地域の市区町村及び町内会等に対して、管理委託の要望の有無を確認(町内会等が活動していない地域にあっては、市区町村のみの確認)するものとし、その結果、市区町村又は町内会等に対する管理委託が困難であると認められる場合に限り、上記4-(4)の相手方に対して管理委託を行うことができるものとする。

この場合において、上記4-(4)の相手方の選定に当たっては、公平性を確保するとともに、管理委託を行う前に相手方に対して、国有財産の処分等の勧奨を行うものとする。

(注1)上記の実施方法としては、例えば、市区町村又は町内会等から意見を聴いた上で、国有財産の隣接又は近隣の土地所有者、国有財産が所在する地域において空き地・空き家の利活用に取り組んでいる特定非営利活動促進法(平成10年法律第7号)第2条第2項に規定する特定非営利活動法人、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成18年法律第48号)第ニ章に規定する一般社団法人又は同法第三章に規定する一般財団法人等の法人を探索・選定することが考えられる。

(注2)管理委託の期間中も、引き続き、下記11-(1)の規定に基づき、財務局等ホームページへの物件情報等の掲載を継続するほか、下記9-(1)-ハの規定に基づき、管理委託の相手方との契約に当たっては、国において管理委託中の財産の処分等を決定した場合には、管理委託中であっても契約を解除することについて、事前に十分な説明を行うものとする。

(注3)利用困難財産のうち、暫定活用通達の対象とならない財産についても、上記手続を準用して、上記4-(4)の相手方に対して管理委託を行うことができるものとする。

6.管理委託契約等

(1)普通財産の管理を委託する場合の契約書式については、平成13年3月30日付財理第1298号「普通財産の管理及び処分に係る標準契約書式及び同取扱要領について」通達の別紙の第2の第30号書式によるものとする。

(2)上記2-(1)に該当する財産を管理委託する場合は、契約解除の条項を次のように修正する。

(契約解除)

第17条甲は、次の各号の一に該当するときは、第4条に定める管理委託の期間にかかわらず、何時でも本契約の全部又は一部を解除することができる。

(1)乙が本契約に定める義務に違反したとき、又は委託物件の管理が良好でないと認められるとき。

(2)甲が○○により通知した○○契約にかかる契約締結期限までに契約が見込まれなくなったとき。

(3)上記2-(7)及び(8)に該当する財産を管理委託する場合は、契約を更新することができることとし、契約を更新する場合、管理委託の期間及び違約金の条項を次のように修正する。なお、契約の更新に当たっては、必ず現地調査を行い、その利用状況の把握に努めるものとする。

(管理委託の期間)

第4条管理委託の期間は、前条に規定する管理委託の日から令和日までの年間とする。

2 前項に定める管理委託の期間の満了する2か月前までに、甲が本契約の変更等に関し特段の意思表示をしない場合には、第16条に定める違約金の金額に関する部分を除き、本契約を更に年間更新する。

3 前項の規定は、同項の規定により更新した管理委託契約を更に更新する場合に準用する。

(違約金)

第16条乙は、第4条に規定する期間中に、次の各号に定める事由が生じたときは、それぞれの号に定める金額を違約金として甲に支払わなければならない。

(1)第8条第1項、第9条第1項、第10条、第11条第1項、第12条第1項並びに前条第1項及び第4項に定める義務に違反したとき金(1割)円

(2)第1条第3項に定める義務に違反したとき金(3割)円

2乙は、第4条第2項又は第3項の規定により本契約が更新された場合において、更新した期間にかかる違約金については、甲の定める基準により算定した金額によることに同意する。なお、金額については甲が通知する。

3前2項の違約金は、第19条に規定する損害賠償金の予定又はその一部と解釈しない。

(4)契約締結の日をもって管理委託の日とし、管理受託者は、管理委託の日以降その管理の責に任ずるものとする。

管理委託の期間は、原則として管理委託の日から2年間とする。ただし、相手方の事業計画の実施上の事情等特別の事情がある場合には1年以上3年以内の期間内で財務局長等が適当と認める期間を定めることができる。

なお、引き続き、管理を委託することが適当であると認められるときは、同じ管理受託者に対して再度管理委託することができる。

(5)管理受託者が受託財産を使用又は収益しようとする場合には、あらかじめ、次に掲げる事項を記載した申請書を提出させるものとする。

なお、上記申請書の提出があった場合には、その使用又は収益の目的及び方法によっては、国有資産等所在市町村交付金の客体となる可能性があるため、必要に応じて市町村等に照会して、客体となる場合には、その使用収益を認めないこととする。

使用又は収益しようとする受託財産の範囲

使用又は収益の目的及び方法

使用又は収益の期間

使用又は収益による予定収益及び費用の額

(6)管理の委託に当たっては、管理委託の趣旨の徹底を図り、又、管理受託者が当該財産の管理を受託し、暫定的に利用に供していることを対外的に明らかにするため、次に掲げる内容を現地看板等に常時表示させることを要請する。なお、表示方法及び表示内容は財産の実情に応じて、適宜変更することができることとする。

国から管理を受託していること

管理受託者及び委託者の名称及び連絡先

管理委託の期間

国において処分等の要望を受け付けていること

(7)暴力団排除に関する取組

契約を締結するに当たっては、平成24年5月22日付財理第2445号「普通財産の管理処分に係る契約からの暴力団排除について」通達(以下「暴排通達」という。) の記-2の規定に基づき警察当局への照会手続を行うものとする。

契約書には、暴排通達の記-3に定める特約を付するものとする。

7.国庫納付

法第26条の2第4項の規定に基づき国に納付させる額は、国有財産法施行令(昭和23年政令第246号)第15条の4、平成18年財務省告示第193号及び同第194号により算定する。

8.使用又は収益の変更

管理受託者が受託財産の使用又は収益の内容を変更する必要が生じた場合には、あらかじめ文書により国の承認を受けさせなければならない。この場合において、管理受託者が地域福祉向上に資するため、受託財産を短期間、展示会、見本市、植木市等の行事に供する場合又は、受託財産の利用に資するため、その地上又は地下に構造が簡易な構築物で撤去が容易なものを設置する場合等に限り、これを承認することができる。

9.契約解除等

(1)次の各号の一に該当する場合には、管理委託契約を解除するものとする。

管理受託者が、契約に定める義務に違反した場合又は、当該受託財産の管理が良好でないと認められる場合

国又は地方公共団体等において、公用、公共用又は公益事業の用に供するため受託財産を必要とする場合

国において管理又は処分等をすることを決定した場合

暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)第2条第2号に規定する暴力団の事務所その他これに類する施設の用途に供した場合

相手方が暴排通達の記-1の排除対象者に該当した場合

(2)上記(1)-イの場合であって、真にやむを得ない事情があると認められるときは、すみやかに是正措置を講じさせるとともに、下記10に定める違約金を徴すべき場合は、違約金を徴した上で、管理委託契約を継続してもさしつかえないものとする。

10.違約金の徴求

管理受託者が、次の各号の一に該当する行為をした場合には、(1)から(6)までについては契約締結時の見積評価格の1割に相当する額を、(7)については契約締結時の見積評価格の3割に相当する額を違約金として徴するものとする。

(1)国の承認を得ないで、受託財産の地上又は地下に建物その他の構築物を設置した場合

(2)国の承認を得ないで、受託財産を第三者に使用又は収益させた場合

(3)国の承認を得ないで、受託財産の原状を変更した場合

(4)管理委託契約に定める受託財産の実地調査若しくは実地監査(いずれもドローン等のデジタル技術を活用した方法を含む。)を拒み、妨げ、又は管理状況及び使用収益の状況についての報告を怠った場合

(5)受託財産の使用又は収益に当たって営利を目的としていると認められる場合

(6)国の承認を得ないで、受託財産を使用目的以外の用途に供した場合

(7)暴力団の事務所その他これに類する施設の用途に供した場合

11.管理委託期間中の対応

(1)上記2-(2)から(6)の財産については、管理委託の期間中も、随時、財務局等 のホームページなどを活用することにより、売払い(上記2-(3)から(6)の財産を除く)、一時貸付け、3年を超える貸付け(上記2-(6)の財産を除く)及び事業用定期借地権を設定した貸付け(上記2-(6)の財産を除く)の要望の把握に努めることとする。

(2)管理委託中の財産について、処分等の要望があった場合は、管理受託者に十分な説明を行った上、2か月以上の予告期間を設けて契約の全部又は一部を解除することとする。

なお、一時貸付けの要望の場合は、管理受託者の承諾が得られれば、速やかに契約の全部又は一部を解除し、一時貸付け終了後、再度管理委託契約を締結するよう努めることとする。

12.本省承認

特別の事情があるため、この通達により処理することが適当でないと認められる場合には、その特別な事情及び詳細な理由を付した処理案につき理財局長の承認を得て処理することができる。