新型コロナウイルス感染拡大の経済社会に及ぼす影響と変化に関する調査研究

 財務総合政策研究所では、新型コロナウイルス感染症の拡大が我が国の経済社会全体に及ぼす影響と予想される変化について考察するため、経済、財政、金融、生活、労働、産業など様々な観点から調査研究を行っております。


調査研究

感染症と経済学(PDF:2335KB)

「財務総研リサーチ・ペーパー」(2020年08月)


<要旨>

 目下、新型コロナウイルスによる感染症(COVID-19)が世界的に大きな脅威をもたらしている。本稿では、感染症に関する経済研究の諸潮流を概観しつつ、現在 COVID-19 がもたらしている経済危機に関する主要な経済研究と直近の研究結果とを補足する形式でサーベイを行った。取り扱う研究としては、スペイン風邪を主な対象とした感染症の社会的影響に関する実証研究、社会的距離拡大戦略(Social Distancing)等の感染症抑止策についての実証研究、感染症を組み込んだ経済モデル分析を含む。本稿の目的は、サーベイを通じて感染症と経済学の関係を把握し、今後の経済を考える上での材料を提供する事にある。

財務総合政策研究所総務研究部研究官

橋 済

昭和恐慌時の財政を振り返る〜新型コロナウイルスの影響を受けて〜(PDF:764KB)

「財務総研スタッフ・レポート」(2020年07月)


<要旨>

 新型コロナウイルスによる経済への影響が拡大し、世界恐慌以来の景気後退となる可能性が指摘されている。本稿では比較の一助とするため、世界恐慌を受けた昭和恐慌当時の財政政策に焦点を当てて整理する。関東大震災後の積極的な財政支援に伴う震災手形の処理を要因の一つとして昭和金融恐慌が発生した。その後、金本位制への復帰を目指し緊縮路線がとられる中、世界恐慌そして昭和恐慌が発生したが、この時期の井上財政の経験から、危機の中における対応の難しさを読み取ることができる。また、高橋財政については、戦後の研究において様々な指摘がなされており、その評価の背景を踏まえて読み解く必要がある。

財務総合政策研究所研究員

市川 樹

財務総合政策研究所総括主任調査官兼財政史室長

鶴岡 将司

新型コロナ感染症拡大で考える東京への人口一極集中とコロナ後の変化(PDF:745KB)

「財務総研スタッフ・レポート」(2020年07月)


<要旨>

 今回の新型コロナウイルス感染症の問題は、企業が最も集積し人口密度が高い東京都に、感染拡大リスクという新たな課題をもたらした。企業や雇用者は感染症の拡大を抑制する取組みとして、対面接触や通勤リスクを避けるためのテレワークといった代替技術を積極的に取り入れてきた。こうした変化は、「東京一極集中」の流れを緩和する一つのきっかけとなる可能性がある。

財務総合政策研究所総括主任研究官

奥 愛

前財務総合政策研究所研究員

永井 里奈

マクロ環境と国債管理リスク−コロナショックとリーマンショック時の比較−((PDF:1371KB)

「ディスカッション・ペーパー」(2020年07月)


<要旨>

 コロナショックをはじめ危機対応に必要な資金調達は、国債増発に頼らざるを得ない状況にある。危機に際しては、マクロ環境に大きな変化が起こる。国債管理政策の視点からも、景気の見通しの大幅な悪化はリスクプレミアム上昇につながりうるし、名目金利と関連が強い物価の動向やその不確実性にも注意を払う必要がある。本稿では、国債管理コスト・リスクという視点から、マクロファイナンスアプローチを使ってリーマンショックとコロナショック時の比較を行う。

財務総合政策研究所総括主任研究官

小枝 淳子

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大後の産業構造の方向性―日本企業の労働生産性を踏まえた分析―((PDF:511KB)

「ファイナンス」(2020年07月)


<要旨>

 新型コロナ感染症拡大や人口減少に直面している日本が持続的な経済成長を実現するためには労働生産性の向上が必須となる。企業規模が大きくなると労働生産性が高まる傾向があるという先行研究の結果を踏まえ、『経済センサス‐活動調査』及び『法人企業統計調査』の企業レベルデータを利用し、さらに業種別に分析した。その結果、(1)企業規模が大きくなると労働生産性が高まる傾向があること、(2)企業規模が大きくなっても労働生産性が必ずしも高くならない業種がある背景の一つとして正社員比率の違いが考えられること、(3)ICT装備率が高まるほど労働生産性が高まっていること、を確認した。

財務総合政策研究所総括主任研究官

奥 愛

前財務総合政策研究所研究員

井上 俊

財務総合政策研究所財政経済計量分析室員

升井 翼

コロナショックと教育・経済格差についての考察(PDF:461KB)

「財務総研スタッフ・レポート」(2020年07月)


<要旨>

 新型コロナウイルスの感染拡大は、社会のシステム、人々の生活に大きな影響を及ぼしている。外出自粛要請により、経済・雇用が不安化する中で、働き方が変わり、教育の在り方にも大きな変革が迫られている。こうした観点から今般の危機を見ると、所得や雇用・教育機会の減少により、人々の間の格差拡大が懸念される。本稿の目的は、今般の新型コロナウイルスの流行が社会経済の格差にもたらす影響について現状を整理するとともに、先行研究から得られた知見を基に考察することである。

財務総合政策研究所研究官

橋 済

財務総合政策研究所主任研究官

高橋 尚吾

新型コロナウイルスの感染拡大と妊娠・出産への影響
〜危機後のベビーブームは「都市伝説」なのか?〜(PDF:642KB)

「財務総研スタッフ・レポート」(2020年07月)


<要旨>

 新型コロナウイルスの感染が拡大する中で、巷間、ベビーブームの到来に関する議論が散見されるが、感染症と出生行動については、身体的要素、心理的要素、経済的要素といった様々な要素を介し複雑に関係しあっているものと考えられる。本稿では、過去の感染症その他の災害や世界金融危機などの経済ショックと出生行動との関係に係る分析をとりあげつつ、今般の感染症拡大が出生行動にもたらす影響について考察する。

財務総合政策研究所総務課長

佐藤 栄一郎

新型コロナウイルス感染拡大とデジタル規制緩和〜感染拡大を契機とした規制緩和とデジタル技術活用の現状〜(PDF:898KB)

「財務総研スタッフ・レポート」(2020年06月)


<要旨>

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大を契機に、感染予防の観点から、デジタル技術の活用や規制緩和が進んだ。本稿ではその規制緩和の状況を整理するとともに、デジタル活用の状況を諸外国との比較により検証した。我が国は、デジタル活用に必要となるインターネットなどのインフラ整備状況は諸外国と比べても高水準にあるにも関わらず、デジタル技術の活用に関しては多くの分野で大きな後れをとっている。今後の非常事態に備えるためにも、デジタル化を推し進め、諸外国からの後れを早急に取り戻していくことが求められる。

財務総合政策研究所研究員

井上 俊

感染症の歴史〜感染拡大要因と社会経済に与える影響〜(PDF:390KB)

「財務総研スタッフ・レポート」(2020年06月)


<要旨>

 地球の長い歴史において感染症は幾度となく流行を繰り返してきたが、現代においても人類に甚 大な健康被害をもたらし続けている。本稿では、環境破壊や温暖化、都市化による過密、交通機関の 発達などといった感染症拡大の社会要因について整理するとともに、われわれ人間が生活する社会経 済にどのような影響を及ぼしてきたのか、過去の感染症を例に挙げつつ分析している。

財務総合政策研究所主任研究官

森 友理

財務総合政策研究所研究官

橋 済

新型コロナウィルス感染拡大に伴うサプライチェーンへの影響とその対応策(PDF:522KB)

「財務総研スタッフ・レポート」(2020年06月)


<要旨>

 感染症拡大によるサプライチェーンの混乱は、供給網の寸断に世界的な経済活動の停滞による需 要減が組み合わさり、東日本大震災など過去の教訓が必ずしも通用しないものとなった。このよう な中、製造業のグローバル戦略において中国依存を減らす傾向が加速するという見方がある一方で、 今回のような輸送網の断絶リスクに対応するため中国での一貫生産が増加するという見方もある。 また、各国の囲い込みが過熱している医療用品等については、感染収束のための国際協調が不可欠 なことに加え、公的在庫の積増し、日本国内への生産移管等の対応が求められる。

財務総合政策研究所主任研究官

水尾 佑希

財務総合政策研究所副所長

高見 博

新型コロナウイルス感染症拡大に伴う家計の決済行動の変化(PDF:547KB)

「財務総研スタッフ・レポート」(2020年06月)


<要旨>

 新型コロナウイルス感染症拡大により日常の消費活動の態様やそれに伴う決済手段に大きな変化が生 じている。すなわち、現金を介した感染リスクが意識され、店舗における現金受取りの一時停止や中央銀 行によるコンタクトレス決済の推奨などが一部の国で見られた。また、外出自粛に伴いe-commerce の利 用が増加したことを背景に、キャッシュレス決済の利用が増加している可能性がある。今般の感染拡大を 機にキャッシュレス決済は加速局面を迎えることも考えられるが、他方でこれに伴って生じる恐れがあ るデジタル・ディバイド問題などの課題についても適切に対処していくことが求められる。

財務総合政策研究所主任研究官

上田 大介

テレワークの推進とその効果
〜感染症抑制、生産性向上、ワークライフ・バランス〜(PDF:363KB)

「財務総研スタッフ・レポート」(2020年05月)


<要旨>

 新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化する中で、テレワークは、感染拡大の大幅な抑制に資す るとともに、事業の継続性を確保し生産性を一定程度維持できるツールとして注目されている。テ レワークを全ての産業・業種に一律に適用することは困難であるが、生産性の向上やワークライフ・ バランスの実現などの観点から、個々の事情に応じて丁寧に活用することができれば、感染収束後 の経済成長に貢献する一つの「イノベーション」となることも期待できる。

財務総合政策研究所総務課長

佐藤 栄一郎

新型コロナウィルスの感染拡大と夫婦間の家事・育児分担の現状と課題
〜スイスにおける実態と分析、そして日本の現状〜(PDF:347KB)

「財務総研スタッフ・レポート」(2020年05月)


<要旨>

 新型コロナウィルス感染拡大によって余儀なくされた休校や在宅勤務によって、家族とともに暮らす時間が長くなる中で、夫婦間の不公平な家事・育児分担の問題が改めて浮き彫りとなっている。本稿では、スイスの事例をとりあげつつ、不公平の問題点やそのような状況をもたらす要因、また分担の現状に対する満足度に影響を及ぼす要素について先行研究を紹介し、さらに、日本の状況もとりあげつつ、今後の分担の検討につなげていく。

財務総合政策研究所総務課長

佐藤 栄一郎

財務総合政策研究所連絡調整係員

高橋 文加

新型コロナウイルス感染症拡大後のあるべき日本の労働政策の方向性(PDF:408KB)

「財務総研スタッフ・レポート」(2020年5月)


<要旨>

 現在の日本は、主要国と比較すると社会支出の中でも積極的労働市場政策への公的支出が少なく、かつ今後重要性が増すと考えられる職業訓練に対する公的支出も少ない。しかも、現在の職業訓練の対象業種の中には、新型コロナウイルス感染症の拡大により、今後継続的に需要が低下すると予想される業種が散見される。こうした需要の変化は、今後しばらく続くことが見込まれることから、職業訓練の内容を見直すことが求められる。

財務総合政策研究所総括主任研究官

奥 愛

 

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