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「日本経済と資金循環の構造変化に関する研究会」セミナー
概要

  • 開催日時 令和6年6月14日(金)13:00〜13:55
  • 場  所 財務省本庁舎+オンライン開催
  • 出  席  者 
(座長)
 宇南山 卓 京都大学経済研究所教授/財務総合政策研究所特別研究官
(委員)※50音順
 古賀  麻衣子 専修大学経済学部教授
 佐々木 百合 明治学院大学経済学部教授
 田中  賢治 帝京大学経済学部教授
 戸村  肇 早稲田大学政治経済学術院教授
 松林  洋一 神戸大学大学院経済学研究科教授(オンライン)
(財務総合政策研究所)
 渡部晶所長、鈴木孝介副所長、上田淳二総務研究部長等
(その他)
 財務省職員等、シンクタンク関係者等



    • 議事の概要

 宇南山座長より資料(PDF:1459KB)に基づき研究会報告書の概要を説明いただいた。
 各委員から研究会報告書のポイントや研究会全体を通じての感想などについてコメントを伺った。

(古賀麻衣子委員)
 資金循環と経済活性化の関係については、まず、現時点の経済活動拡大のためには、消費が増えた方がよいので、貯蓄や資金余剰は減
 った方がよいことになる。また、将来の経済成長のためには、今ある資金余剰をいかに将来の資本ストック形成に活かすことができる
 かが重要となる。

(佐々木百合委員)
 日本は円安・物価安の中、モノはそれなりに海外で売れていた一方で、サービス輸出はふるわず、労働もほとんど海外に流出しなかっ
 た。労働が流出しなかったのは情報不足や海外生活への躊躇が原因ではないかと考えられるが、付加価値の高いサービスの輸出はもっ
 と増やすことができたはずだ。なぜそこが育っていないのかを考えて改善していくことが、日本の成長に繋がっていく鍵になると考え
 る。

(田中賢治委員)
 経済成長の観点からは、企業が新しいビジネスに取り組み、投資を行い資金が流れていくのが望ましい。しかし新しいビジネスがなか
 なか出てこないのは、成長期待の弱さだけではなく、新陳代謝が弱いことも関係している。国内全体でリソースのアロケーションがう
 まくいっていなく、ボトルネックになっているのが労働市場だと考える。

(戸村肇委員)
 国債残高対GDP比が増えている状況が続くと、いつか国内消化の上限に達する。「政府の赤字は皆の黒字」で言う「皆」は世界の皆。
 政府の赤字で「皆」の黒字は作れるが、それは世界の皆が黒字になるということで、日本全体としては慢性的な経常赤字国になる。ひ
 いては途上国のようになると言い換えることもできると考える。

(松林洋一委員)
 対外直接投資は拡大しているが収益は国内に還流しない。解決の糸口は、「時間をかけて日本企業が真の意味でグローバル企業に進化し
 ていくこと」という点にある。海外のグローバル企業の経営手法、ビジネスモデルの習得を通じて、日本企業が真のグローバル企業と
 して進化し企業価値を高めることで、長期的に国内成長にも貢献すると考える。

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