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大口返還財産の留保地の今後の取扱いについて

平成15年7月2
財理第2579


改正平成30年 3月30日財理第1150号

令和元年 9月20日同第3212号

3年 9月21日同第3258号

財務省理財局長から関東財務局長宛

在日米軍から返還された大口返還財産の留保地については、平成15年6月24日の財政制度等審議会答申「大口返還財産の留保地の今後の取扱いについて」の趣旨に沿って、下記のとおり取り扱うこととしたので、通知する。

基本方針

留保地の今後の取扱いについては、従来の「原則留保、例外公用・公共用利用」の基本的考え方を転換し、原則利用の考え方に基づきその活用を促進するという新しい基本方針の下で、地域の特性や土地利用計画との調和を図りつつ、都市部に残る大規模な国有地の計画的な有効活用を促進するものとする(この基本方針を「原則利用、計画的有効活用」という。)。

2 留保地の活用に向けた具体策

(1)利用計画の策定の要請

留保地の規模、立地条件、これまでの経緯等を勘案し、関係地方公共団体に対し、合理的な期間(5年程度)を設定して利用計画の策定を要請するものとする。

(注)「利用計画」とは、道路・上下水道等の都市基盤施設、公園・教育文化施設等の公的施設、住宅施設、業務施設などをどの区画にどのように整備するかを定める基本計画をいう。

利用計画の策定を円滑に進めるため、関係地方公共団体が関係行政機関の職員、学識経験者、民間有識者等で構成する連絡協議会を設置した場合において、国の参画を求められたときは、積極的に協力するものとする。

(2)関係地方公共団体等に対する支援措置

売却条件の緩和

(イ)留保地を売却する場合の売却条件については、昭和54年12月24日付蔵理第4824号「返還財産の処分条件について」通達を適用する。

(ロ)留保地を関係地方公共団体に対して時価で売り払う場合には、土地開発公社等を関係地方公共団体に含めることができる。

(注) この規定は、留保地を公園又は緑地に充てる場合に適用する。

関係地方公共団体による暫定的利用

関係地方公共団体による暫定的利用については、次のとおり取り扱うものとする。

(イ)関係地方公共団体が利用計画を策定した場合には、昭和48年10月23日付蔵理第4676号「普通財産の管理を委託する場合の取扱いについて」通達記-5-(4)に定める管理委託の期間にかかわらず、利用計画に基づく売却等を行うまでの期間の範囲内において適当と認める期間を定め、管理を委託することができる。

また、関係地方公共団体から利用計画に基づく売却等を行うまでの期間の範囲内において、有償貸付けの要望があったときは、平成13年3月30日付財理第1308号「普通財産貸付事務処理要領」通達記-第1節-第1-1-(1)の規定を適用せず、有償貸付けを認めることができる。

(ロ)関係地方公共団体における利用計画が未策定の段階においても、関係地方公共団体が自ら取得して活用する区域と民間による活用を推進する区域を画定した場合には、関係地方公共団体が自ら取得して活用する区域について、利用計画の策定期間内において具体的な利用計画が策定されるまでの間、管理委託を行い、又は有償貸付けを認めても差し支えないものとする。その後利用計画が策定された段階で、暫定的利用と利用計画との整合が図られると認められるときは、管理委託又は有償貸付けを更新することができる。

(注)留保地に係る利用計画の策定と暫定的利用の関係は、別添参考の図解を参照。

都市基盤整備用地の先行的な処分等

関係地方公共団体が留保地を道路、上下水道等の都市基盤整備用地に充てる場合には、当該関係地方公共団体の利用計画の策定又は都市計画決定等を条件に先行的な処分を行うことができる。

その他の配慮事項

(イ)関係地方公共団体が留保地を取得し、定期借地方式やPFI(Private Finance Initiative)方式等による開発事業手法を活用して公共施設を整備する場合には、昭和41年2月22日付蔵国有第339号「普通財産にかかる用途指定の処理要領について」通達の別紙の第4-5の規定は適用しない。

(ロ)関係地方公共団体が留保地を取得する場合において、用地取得や施設整備の財源上の問題から一括取得が困難なときは、延納の特約や分割取得あるいは一部有償貸付けなどを認め、利用計画の具体化を円滑なものとするよう配慮するものとする。

(3)民間に対する処分等

一般競争入札の取扱い

一般競争入札により留保地を売却する場合には、平成3年9月30日付蔵理第3603号「一般競争入札等の取扱いについて」通達の取扱いによるが、当該留保地の位置環境、立地条件等から、関係地方公共団体のまちづくり構想や土地利用計画に沿った開発が行われることを確保する必要があるときは、当該関係地方公共団体と協議を行い、土地利用条件を設定した入札あるいは提案方式による入札を実施することができる。

事業用定期借地権の設定

(イ)関係地方公共団体が民間事業者の誘致等の利用計画を策定した場合において、当該関係地方公共団体から借地借家法(平成3年法律第90号)第23条第1項又は第2項に基づく事業用定期借地権を設定することについて要請があったときは、民間の土地需要等その必要性を総合的に判断して、これを設定することができる。

(ロ)事業用定期借地権を設定する場合には、民間事業者の業種、事業計画、土地の利用形態その他の事情を総合勘案して、適切な存続期間を設定するものとする。

なお、事業用定期借地権を設定する場合の契約の取扱いについては、平成18年6月29日付財理第2640号「物納等不動産に関する事務取扱要領について」通達を準用して処理することができる。

都市計画等に関する調整

留保地の計画的かつ円滑な有効活用を図るため、関係地方公共団体に対し、必要に応じ市街化調整区域の市街化区域への編入、地区計画等の都市計画決定、あるいは景観まちづくり条例等に基づく重点地区の指定などに機動的に取り組むよう要請するものとする。

(4)国による暫定的利用の拡大

関係地方公共団体における留保地の利用計画が未策定の場合、あるいはその策定がなされても関係地方公共団体から暫定的利用の要望が出されない場合には、当該留保地の効率的、収益的な管理を図るため、その規模、立地条件あるいは利用計画の策定状況、更にはその利用計画の具体化の時期等を勘案しつつ、地域住民の福祉の向上、利便性の増進等にも配慮し、有償貸付け又は管理委託を活用して、速やかな売却の支障とならない範囲で、暫定的利用に積極的に取り組むものとする。

この暫定的利用に当たっては、広く一般を対象として、効果的な情報提供及び需要の把握に努めるものとする。また、暫定的利用の内容については、臨時的な駐車場や資材置き場等の短期間の有償貸付けに限定せず、速やかな売却の支障とならない範囲で、利用内容の多様化も検討するものとする。

なお、暫定的利用の需要が競合する場合には、公正性、公平性、経済性等に配慮し、競争原理を働かせながら、契約相手方を決定するものとする。

留保地以外の未処理の土地の取扱い

個別の処理の大綱答申等において地元地方公共団体等利用として区分された土地(昭和51年6月21日国有財産中央審議会答申「米軍提供財産の返還後の利用に関する基本方針について」の利用区分でいうA地区)で、現在まで未処理となっているものについても、留保地と同様に取り扱うものとする。

本省承認

特別の事情があるため、本通達に定めるところと異なる処理をすることが適当であると認められる場合には、理財局長の承認を得た上、当該処理をすることができるものとする。