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物納等不動産に関する事務取扱要領について

平成18年6月29日
財理第2640


改正平成18年11月22日財理第4375号

21年2月19日同585号

21年12月15日同第5426号

23年5月23日同第2199号

23年6月30日同第2905号

24年5月22日同第2445号

24年6月28日同第3132号

25年6月28日同第3146号

26年6月23日同第2982号

27年4月1日同第1626号

28年6月23日同第2094号

令和元年9月20日同第3210号

2年1月31日同325号

2年3月23日同第1028号

2年12月14日同第3992号

2年12月18日同第4097号

3年2月17日同510号

3年6月2日同第1788号

3年9月21日同第3258号

4年5月10日同第1693号

5年6月28日同第1877号

5年12月22日同第3436号

財務省理財局長から各財務(支)局長、沖縄総合事務局長宛

所得税法等の一部を改正する等の法律(平成18年法律第10号)により、物納制度の改正が行われたことを踏まえ、平成18年4月1日以降行われる相続に係る物納不動産等に関する事務取扱いについては、下記によることとしたから、通知する。

なお、本通達による取扱いは、平成18年7月1日から適用するものとし、所要の経過措置は以下に定めるところによる。

おって、平成8年6月28日付蔵理第2422号「物納財産等に係る定期借地契約の取扱いについて」通達は、令和元年9月20日付財理第3210号をもって廃止する。

第1基本方針

第2用語の定義

第3物納申請不動産の調査事務

物納申請不動産の調査の実施

経過措置

税務署等との連携

第4物納不動産の引受事務

第5物納の撤回に関する事務

税務署等から調査依頼を受けた場合の取扱い

国が支出した有益費の取扱い

物納の撤回承認に伴う登記手続

国有財産台帳の整理

第6物納許可条件の履行要求及び物納許可取消しに関する事務

許可条件の履行要求

物納許可取消し

第7物納等不動産の管理事務

権利付不動産の取扱い

民有地上の物納建物の取扱い

配偶者居住権付建物等の取扱い

第8物納農地の取扱い

第9本省承認

第10書面等の作成・通知等の方法

電子ファイルによる作成

電子メール等による通知等

適用除外

第1基本方針

次の考え方を基本として、物納申請された不動産又は物納許可された不動産の事務処理に取り組むものとする。

事務処理の適正かつ円滑化

物納申請があった不動産の調査及び引受に当たっては、物納申請者及び権原に基づいて使用収益する者の利害に深く関与するものであることから、税務署等と緊密な連携をとりながら、適正かつ円滑な事務処理に努めるものとする。

事務処理の迅速化

相続税法(昭和25年法律第73号)において物納申請から許可又は却下までの処理期間が定められ、この期間内に物納の許可又は却下が行われない場合は、当該物納が許可されたものとみなされることを踏まえ、迅速かつ確実な事務処理を行うものとする。

売却等早期処理

物納不動産は、相続税の金銭による納付が困難な場合に限り、金銭に代わる物として納付されたものであることから、売却等早期処理に向け計画的に取り組むものとする。

なお、権利の目的となっている不動産については、権利者に対し買受を勧奨する等売却の促進を図るものとする(注)。

(注)配偶者居住権者に対しては、当分の間、買受勧奨ではなく意向確認に留めることとする。

また、物納不動産が風景地保護協定の目的となる土地の場合には、速やかに環境省への所管換を行うものとする。

適正な管理

収納された物納不動産を処理するまでの間においては、権利付不動産にあっては権利者への貸付けを適正に継続する等の措置を講じ、その他の不動産にあっても当該財産の状況に応じ適正な管理に努めるものとする。

なお、物納不動産が風景地保護協定の目的となる土地の場合には、環境省への所管換までの間において必要となる管理について、環境省に対して所要の対応を求めるものとする。

第2用語の定義

本通達において使用する用語の定義は以下による。

物納申請不動産相続税法第41条に基づき物納申請があった不動産

物納不動産同法同条に基づき物納が許可された不動産

物納等不動産物納申請不動産及び物納不動産

管理処分適否及び劣後判断物納申請不動産が相続税法第41条第2項等に基づく管理処分不適格財産及び同法同条第4項等に基づく物納劣後財産に該当するかの判断

調査依頼相続税法第42条第2項等の規定により税務署等が行う調査に当たり、税務署等が管理官庁としての意見に関して財務局等に求める調査の依頼

補完相続税法第42条第8項の規定により、税務署等が物納申請者に物納申請書の訂正又は物納手続関係書類の訂正若しくは提出を求めること

措置相続税法第42条第20項の規定により、税務署等が物納申請者に1年を超えない範囲内で期限を定めて廃棄物の撤去その他物納申請不動産を収納するために必要な措置を命じること

条件付許可相続税法第42条第30項の規定により税務署等が物納申請不動産の性質その他の事情に照らし必要があるときに条件を付して行う許可

権利付不動産賃借権その他の不動産を使用する目的となっている不動産(風景地保護協定の目的となる土地を除く。)

10権利者権原に基づいて物納不動産を使用収益する者

11物納の撤回相続税法第46条の規定により、税務署等が物納許可した権利付不動産について当該許可を受けた日の翌日から1年以内の申請により承認した場合に認められる金銭納付(延納を含む。)への変更

12標準契約書式平成13年3月30日付財理第1298号「普通財産の管理及び処分に係る標準契約書式及び同取扱要領について」通達に規定する契約書式

13税務署等税務署及び、税務署から国税局又は沖縄国税事務所へ事務を引き継ぐものにあっては国税局又は沖縄国税事務所

14財務局等財務局、財務支局、沖縄総合事務局、財務事務所、財務局出張所、財務支局出張所、沖縄総合事務局財務出張所及び財務事務所出張所

15財務局長等財務局長、財務支局長及び沖縄総合事務局長

16風景地保護協定の目的となる土地所得税法等の一部を改正する法律(平成26年法律第10号)附則第128条第20項に基づき物納が許可された財産

17配偶者居住権民法(明治29年法律第89号)第1028条に基づく、被相続人の配偶者において居住していた建物の全部について無償で使用及び収益する権利

18配偶者居住権者配偶者居住権に基づき、建物を無償で使用及び収益する者

19配偶者居住権付建物配偶者居住権の目的となっている建物

20配偶者居住権付建物等配偶者居住権の目的となっている建物及びその敷地

21市町村交付金国有資産等所在市町村交付金法(昭和31年法律第82号)に基づく国有資産等所在市町村交付金

第3物納申請不動産の調査事務

物納申請不動産の調査の実施

(1)税務署等から調査依頼を受けた場合の取扱い

(注)風景地保護協定の目的となる土地における税務署等の物納の許可に当たっては、本調査依頼が行われないことに留意するものとする。

調査の実施

財務局等は、物納申請不動産に係る調査事務に当たっては、「管理処分適否・劣後判断に係る審査分担表」(別表第1)に留意するものとする。これにより、財務局等は税務署等から調査依頼を受けた場合には、物納手続関係書類等の添付状況を確認した上で、財産の現況把握、物納申請者等からの聞き取り調査、専門家への意見照会及び地方公共団体への確認等を通じて税務署等に管理処分適否及び劣後判断に関する意見を回答するために必要な調査に早期に着手し、効率的に実施するものとする。

当該調査に当たっては、「物納申請不動産調査表」(別紙第1号様式)、「提出書類審査一覧表」(別表第2)及び「管理処分不適格・劣後財産要件審査表」(別表第3)を作成し、適切な実施と記録の保存に努めるものとする。

なお、現地調査においては、下記(2)-ロ及びハの事後に必要となる措置事項や許可条件等についても可能な限り物納申請者等にあらかじめ説明しておくものとする。

行政の標準的な処理期間

相続税法第42条第2項の規定により、税務署等において物納申請書の提出期限の翌日から起算して原則として3ヶ月以内に物納の許可又は却下が行われることを踏まえ、財務局等は、税務署等から調査依頼書を受けた日から概ね15日以内を目途に現地調査(ドローン等のデジタル技術を活用した調査を含む。以下同じ。)を実施し、税務署等に対する収納の適否回答は現地調査後概ね20日以内を目途に行うこととする。このため、早期に調査に着手するとともに、下記3-(1)により適切な進行(期日)管理に努めるものとする。

物納申請不動産の調査事務等に係る標準的な処理期間は「標準処理期間(3ヶ月)の事務フロー」(別表第4)のとおりとする。

なお、現地調査の日程は、調査依頼を受けた後、財務局等が税務署等と調整の上決定するものとする。

(注)相続税法基本通達42-9の規定により、物納申請不動産が多数である場合(一つの物納申請で10物件を超える場合を目安とする。)、物納申請不動産が遠方に所在する場合及び財産の性質、形状その他の特徴により審査等に相当の期間を要すると認められる場合には、上記の標準的な処理期間を超える処理期間の延長が認められることから、税務署等と調整するものとする。

管理処分適否及び劣後判断に係る基準

財務局等は、物納申請不動産について、管理処分適否及び劣後判断を行う場合には、これらの要件が相続税法施行令(昭和25年政令第71号)及び同法施行規則(昭和25年大蔵省令第17号)に具体的に規定されていることを踏まえ、その具体的な判断は、「管理処分適否・劣後判断に当たっての留意事項等」(別表第5)に留意して個別事情に即して行うものとする。

また、財務局等において補完すべき事項又は措置すべき事項の有無を判断する場合においても、上記留意事項に留意して行うものとする。

(2)税務署等に対する回答

財務局等は、税務署等に対し、次により管理処分適否及び劣後判断に関して意見を回答するものとする。

補完又は措置を求める必要がない場合の取扱い

「物納申請不動産に係る調査の回答について」(別紙第2号様式)により回答するものとする。なお、管理処分不適格と回答する場合に添付する理由書の写しは税務署等が物納申請者に通知する物納却下通知書に添付されることから、その記載内容は物納申請者にとって理解し易いものとなるよう努めるものとする。また、税務署等や物納申請者から照会があった場合には、迅速かつ適切に対応するものとする。

補完又は措置を求める必要がある場合の取扱い

「物納申請不動産に係る補完・措置事項連絡票」(別紙第3号様式)により回答するものとする。このうち、措置期限の設定については、税務署等が措置通知を発した日の翌日から起算して1年を超えない範囲内において、物納申請者において措置事項を了することができると認められる期間(原則として1~3ヶ月)を税務署等と調整して決定するものとする(注)。

なお、当該連絡票に添付する理由書の写しは税務署等が物納申請者に通知する補完又は措置通知書に添付されるものであることから、上記イのなお書きと同様に対応するものとする。

(注)相続税法基本通達42-11により、措置事項の例示として、①現状を維持するために必要な土留め、崩落防止措置、②越境樹木の枝打ち、倒木等の撤去、③地下埋設物、土壌汚染物質等の除去、④ゴミその他の投棄物の撤去、が定められている。

条件付許可の通知

相続税法基本通達42-14の規定により、物納許可後、物納不動産の収納のために必要な所有権移転手続等を行うことのほか、通常の現地調査等により地下埋設物、土壌汚染又は飛散性アスベスト等(以下「地下埋設物等」という。)がないことが確認できない場合には、条件(収納後、地下埋設物等の存在が判明したときには、当該地下埋設物等の除去や当該除去費用の支払を行うこと)を付して許可が行われることとなる。したがって上記(1)-イの調査においては、当該土地の状況(利用状況、表土の状況及び廃棄物等の有無など)、周囲の状況を確認するほか、物納申請者に過去の利用経緯等を聞き取りし、地下埋設物等の蓋然性を把握するよう努めるものとする。

上記イの別紙第2号様式の回答をするときは、以下の条件を「許可条件」欄に記載するものとする。

【「許可条件」欄への記載内容】

物納許可の通知に当たっては、以下の許可条件を物納申請者に通知されたい。

●市●町●-●の宅地及び同地の建物については、現地調査による目視確認(ドローン等のデジタル技術を活用した確認を含む。)や物納申請者等からの聴取により地下埋設物(廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第2条第1項(定義)に規定する廃棄物その他の物で除去しなければ通常の使用ができないものをいいます。)、及び土壌汚染(土壌汚染対策法(平成14年法律第53号)第2条第1項(定義)に規定する特定有害物質その他これに類する有害物質により汚染されていることをいいます。)並びに飛散性アスベスト等の存在の有無について確認しましたが、地下埋設物及び土壌汚染並びに飛散性アスベスト等が存在しないことが明らかではないことから、相続税法第42条第30項の規定に基づき、次の条件を付して本件物納申請を許可します。

物納申請財産について地下埋設物又は土壌汚染(以下「地下埋設物等」といいます。)の存在することが判明した場合には、物納申請者は、当該地下埋設物等について撤去等工事(地下埋設物の撤去、場外搬出、処分及び埋め戻し)又は土壌浄化工事を行うこと。

なお、国で当該撤去等工事又は土壌浄化工事の措置を早急に講じる必要があると判断し、やむを得ず国又は国から売買等により所有権を取得した者(以下「国等」といいます。)が当該工事を実施した場合で、国から当該工事費用等について物納申請者に請求がなされた場合には、その費用について支払うこと。

物納申請財産について飛散性アスベスト等が存在することが判明した場合には、物納申請者は、当該飛散性アスベスト等について撤去等工事を行うこと。

なお、国で当該撤去等工事の措置を早急に講じる必要があると判断し、やむを得ず国等が当該工事を実施した場合で、国から当該工事費用等について物納申請者に請求がなされた場合には、その費用について支払うこと。

(注)土地又は建物のみの物納の場合には、適宜修正すること。

(注1)税務署等が許可を行った場合には、財務局等に当該許可書の写しを添えて通知される。

(注2)物納不動産が風景地保護協定の目的となる土地の場合にあっては、税務署等からの通知の際に、許可書の写しに加え「収納確認書」及びその他の関係書類が添えられているか別表第2を参考に確認するものとする。

(3)補完済・措置済事項の確認

財務局等は、税務署等から補完済・措置済通知書を受理した場合には、その確認調査を行い、当該調査の結果を別紙第2号様式により税務署等に回答するものとする。

なお、税務署等から補完済・措置済通知書を受理した日から10日以内を目途に回答する必要があることから効率的に審査するものとする。

経過措置

平成18年3月31日以前の相続に関しては改正前の相続税法が適用されるが、上記1のとおり、改正後の相続税法において物納処理期間や管理処分適否及び劣後判断の要件等が法定化されたことによって、物納の円滑化と物納手続の迅速化・明確化が図られることになった趣旨を踏まえ、今後、これらの事案について調査依頼を受ける場合には、税務署等と緊密な連携を図りつつ、以下のように取り扱うものとする。

(1)管理処分適否及び劣後判断に係る基準

上記1-(1)-ハの規定に基づき行うものとする。なお、物納劣後財産に該当する不動産が申請された場合には、税務署等において新法の取扱いに準じて他に適当な財産があるかどうかの調査が行われ、他に適当な財産があると認められる場合には当該財産の変更要求が行われることに留意するものとする。

(2)類型区分の廃止

平成13年3月30日付財理第1265号「物納等不動産事務取扱要領」通達に定める類型区分は適用せず、税務署等においては物納申請者に対して財務局等に調査依頼するまでの間に物納手続関係書類の提出を求めることとされているため、調査依頼を受けた財務局等においては、上記1-(1)-イ及びロを考慮の上、処理するものとする。

(3)使用する様式

税務署等との間で取り交わす様式は、本通達に規定するものを用いるものとする。ただし、改正後の相続税法においては、従前の「地下埋設物がない旨の確認書」などの提出が許可条件に代えられたことや、工作物・樹木の放棄書などの任意で徴していた確認書類等が物納申請書の中の確認事項に代えられたことなど、物納申請者への通知内容や法的な効力が変更されたものがあり、これらについては、従前の様式を用いることに留意するものとする。

(4)処理期間

上記1-(1)-ロの処理期間及び1-(2)-ロの措置期限を考慮した期間設定を行うことにより、迅速かつ的確な進行(期日)管理に努めるものとする。

(5)長期補完未済事案

上記(4)により長期補完未済事案の新規発生を防ぐとともに、既存の長期補完未済事案については、財務局等と税務署等が相互に協力して発生原因を分析し、早期収納に向けた改善策を検討することにより処理促進に努めるものとする。

税務署等との連携

物納関係事務の処理に当たっては、税務署等と円滑な連携を図ることが不可欠であることから、次のように取り扱うものとする。

(1)物納不動産に係る事務処理の進行(期日)管理

財務局等及び税務署等は所定の処理期間内に処理を了する必要があることから、物納財産毎に処理期間の延長事由等を正確に把握した上で、相互に連携しながら、適切な進行(期日)管理に努めるものとする。

このため、財務局等は、税務署等から定期的に物納申請受付状況等に関するデータを受け、財務局等の事務処理状況とともに国有財産総合情報管理システムにおいて管理し、また、税務署等に対して財務局等の事務処理状況等を定期的に伝えることなどにより、相互に適切な進行管理に努めるものとする。

(2)物納事務連絡会の開催等

財務局等は、国税局及び沖縄国税事務所との間において、物納事務連絡会を定期的に開催する等連絡調整に努めるものとし、また次のような場合に当該連絡会等意見交換の場を活用し早期解決に努めるものとする。

財務局等及び税務署等における処理期間の遵守、処理期間延長の取扱い、許可条件の履行請求その他適正かつ円滑な事務処理の実施のために調整が必要な場合

納税者から物納申請却下処分等について不服審査等が行われた場合

長期間にわたり事務処理が進展しない事案が相当生じる場合

第4物納不動産の引受事務

財務局等は、税務署等から物納財産引継書を受理した場合において、当該引継書に添付されている「物納財産明細書」及び「登記事項証明書及び登記識別情報」の内容を確認の上、直ちに当該登記を了した日をもって国有財産台帳に記録するものとする。

財務局等は、当該記録手続に併せて、税務署等に対し「物納不動産の引受けについて」(別紙第4号様式)により引継ぎを受けた旨を通知するものとする。

(注)登記数量と実測数量が異なる場合の取扱い

法務局に備える地図の誤差の限度については、不動産登記規則第10条第4項において引用する国土調査法施行令別表第4に掲げる精度区分によるものとしていることから、登記数量と実測数量の地積差が誤差の範囲内である場合においては、物納申請者に必ずしも地積更正登記を求めなくとも差し支えない。

地積更正登記を求めない場合においては、引継及び引受数量は登記数量、価格は収納価格とする。

ただし、税務署等は引継書の添付書類である物納財産明細書の備考欄に実測数量を記載することとなっており、財務局等における国有財産台帳の整理においても、数量は実測数量、価格は収納価格により行うものとする。

第5物納の撤回に関する事務

物納許可された権利付不動産について、当該許可を受けた者が、許可後、物納に係る相続税を金銭納付することに変更する場合の取扱いは、以下によるものとする。

税務署等から調査依頼を受けた場合の取扱い

財務局等は、税務署等から、「物納撤回申請不動産現況調査依頼書」により物納の撤回を申請された不動産に係る調査依頼を受けた場合には、速やかに所要の調査(注)を行った上、「物納撤回申請不動産に対する調査の結果について」(別紙第5号様式)により税務署等に回答するものとする。

税務署等においては、物納の撤回申請のあった日の翌日から起算して原則として3ヶ月以内に当該申請の承認又は却下が行われることに留意するものとする。

(注)財務局等は、①賃借権等の設定状況、②換価の状況、③公用又は公共の目的のための使用状況又は使用見込み、④物納許可不動産の一部の場合は、残余財産の管理処分上の支障の有無、⑤下記2の有益費について調査することとなる(法律の定めにより、当該不動産が換価済みの場合及び公用若しくは公共の用に供されており若しくは供されることが確実であると見込まれるときは、物納の撤回は行われない。)

国が支出した有益費の取扱い

相続税法第46条第9項に規定する国が支出した有益費があるときは、定められた期限内に納付すべき相続税及び当該費用を完納することを条件に物納の撤回が承認されることに留意して、不動産の価値が増加するような改良又は利用のために投じられた費用の額を適切に算定し、別紙第5号様式により税務署等に回答するものとする。

(注)この場合の債権の種類及び歳入科目は、「金銭引渡請求権債権」及び「雑収」とする。また、有益費に係る納入告知書の送付は、税務署等が行う金銭による相続税納付の通知書の送付時期と調整を図るよう留意するものとする。

物納の撤回承認に伴う登記手続

(1)納税者に対する通知

財務局等は、税務署等から「物納撤回承認通知書」を受けた場合で、当該物納不動産について国への所有権移転登記を了しているときには、当該納税者に対し「物納の撤回承認に伴う登記手続等について」(別紙第6号様式)を通知するものとする。

(2)所有権抹消登記の嘱託

財務局等は、物納の撤回承認を受けた納税者が「所有権抹消登記嘱託請求書」(別紙第7号様式)及び関係書類を提出した場合には、遅滞なく、その所有権の抹消登記を嘱託するものとする。

(3)税務署等に対する通知

財務局等は、所有権抹消登記を了した場合には、物納の撤回承認を受けた納税者に対し速やかに当該登記の完了を通知するとともに、税務署等に対し「物納撤回不動産の処理結果について」(別紙第8号様式)を通知するものとする。

国有財産台帳の整理

財務局等は、上記(3)の所有権抹消登記を了したことを確認の上、国有財産台帳を、当該登記日をもって「租税物納取消・撤回」として「減」の整理を行うものとする。

第6物納許可条件の履行要求及び物納許可取消しに関する事務

許可条件の履行要求

財務局等は、物納不動産の地下埋設物等を、①売却前に確認したときには「地下埋設物等の撤去等の履行要求の事務フロー」(別表第6)に基づき、②売却後に確認したときには「売却後に地下埋設物等の存在が判明した場合の撤去等費用の支払請求の事務フロー」(別表第7)に基づき、それぞれ処理するものとする。

また、税務署等との協議の結果、物納許可条件の履行を物納者に求めることになる場合には、財務局等は、「物納財産に係る許可条件の履行通知書」(別紙第9号様式)により税務署等に物納者への履行要求を依頼するものとする。

(注)相続税法(昭和25年法律第73号)第48条第2項において、税務署等が、条件付許可の通知を発した日の翌日から起算して5年を経過する日までに物納者への履行要求の通知をしたときに限り、物納許可の取り消しができるとされていることから、税務署等に履行要求を依頼する際には、期限を過ぎることがないよう留意すること。

物納許可取消し

条件付許可を受けた物納者が、税務署等から通知される履行要求通知書に定められた期限までに所要の措置を履行しない場合は、当該許可は取り消されることとなり、また、その場合には、所要の返還手続を行うこととなる。これらの取扱いは以下によるものとする。

(1)物納許可取消しの通知を受けた場合の取扱い

財務局等は、税務署等から、相続税法第48条第2項の規定による「物納許可取消しの通知」及び「物納財産引継取消書」の通知を受けた場合は、「物納不動産に係る引継ぎ書類の返戻について」(別紙第10号様式)により、当該物納不動産に関する物納財産引継書その他の関係書類を速やかに返戻するものとする。なお、これに対して、税務署等からは「受領書」が送付されることとなる。

(2)国が支出した有益費の取扱い

上記第5-2に係る有益費がある場合には、上記(1)による税務署等への関係書類の返戻に併せて、当該許可取消しを受けた者に1ヶ月以内の期限を設定し、納入告知書により当該費用に相当する金銭の納付を請求するものとする。

ただし、この請求に当たっては、相続税法施行令第25条の6第1項の規定に基づき物納日の翌日から当該許可取消しまでの期間内に国が当該物納不財産から取得した利益に相当する金額を有益費から控除すること、また、有益費を上回る利益を取得している場合は相続税法第53条第7項の規定により有益費を上回る利益に相当する金銭を返還することになるので留意するものとする。

なお、有益費に関する債権の種類及び歳入科目、並びに有益費の算定は上記第5-2に基づくものとし、返還金に関する歳出科目は「賠償償還及び払戻金」とする。

(3)国有財産台帳の整理

上記第5-4に準じて国有財産台帳の整理を行うものとする。

第7物納等不動産の管理事務

権利付不動産の取扱い

国は、権利付不動産について、物納者である前所有者(以下「前主」という。)の貸主としての地位を承継するので、前主及び権利者が締結している契約の始期、期間、賃貸料の額、特約条項等の契約条件を確認の上、税務署等より引受後直ちに、当該権利者に対し次の措置を執るものとする。

(1)引受後の事務

財務局等は、次に定めるところにより、国が前主の地位を承継したこと及び物納引受後に係る貸付料の額並びに納付方法、物納の撤回申請可能な期間(以下「撤回期間」という。)について、権利者に対し、通知するものとする。

なお、通知に当たっては、当該財産について、物納者から物納の撤回を申請しない旨の意向を文書により徴している場合を除き、撤回期間中に物納者から売却を受けるよう勧めるとともに、撤回期間経過後において、国から購入することが困難な場合には、将来、一般競争入札に付して第三者に売却する可能性があることを明示するものとする。

権利付不動産に係る賃貸料が、消費税及び地方消費税の課税の対象とならない場合又は消費税及び地方消費税の課税の対象となり前主の定めた賃貸料に消費税及び地方消費税の相当額が含まれている場合にあって、撤回期間中における国の貸付料が物納前に前主が定めた賃貸料と同額のときは、別紙第11号様式の1によるものとする。

権利付不動産に係る賃貸料が、消費税及び地方消費税の課税の対象となるが前主の定めた賃貸料に消費税及び地方消費税の相当額が含まれていない場合又は下記(2)-ロ-ただし書きを適用する場合にあって、撤回期間中における国の貸付料について物納前に前主が定めた賃貸料の額を変更するときは、別紙第11号様式の2によるものとする。

なお、この場合においては、変更後の賃貸料をもって新たな貸付料とする旨の一部変更契約を行うものとする。

(2)貸付契約の変更に係る事務

財務局等は、撤回期間経過後1ヶ月以内に標準契約書式のうち、借地契約の場合には第14号書式、借家契約の場合には第18号書式による貸付契約の変更の申入れを行うものとする。(注)

ただし、物納の撤回不可能な物納不動産である場合においては、引受後6ヶ月以内に行うものとする。

なお、標準契約書式に定める特約(貸付料に関するものを除く。以下同じ。)につき借受人との合意が得られない場合には、当該特約を従前の契約に定める内容に変更し、標準契約書式を適宜修正の上、貸付契約の変更契約を締結するものとする。

ただし、合意に至らなかった特約については、次回貸付料改定時に再度貸付契約の変更の申し入れを行うものとする。

(注)平成24年5月22日付財理第2445号「普通財産の管理処分に係る契約からの暴力団排除について」通達(以下「暴排通達」という。)の記-3に定める特約のうち(1)及び(2)を付した契約書とする。

ただし、平成25年4月1日以降に相続開始となる物納不動産の場合には、上記に加え、暴排通達の記-1-(1)に該当する者のみを排除対象者として、暴排通達の記-3-(3)に定める特約を付した契約書とする。

撤回期間経過後の土地及び建物の貸付料は、上記(1)-イ又はロに定める貸付料をもって引き続き貸付料年額とし、2年間(前主との契約において貸付料の改定日を定める特約があり、改定日が国と契約の変更を行った日から2年以内に到来する場合においては当該改定日までの間)据え置くものとする。ただし、貸付料を据え置くことが一定地域の民間実例等の実情に照らして不適当と認める場合には、貸付料の改定を行うことができるものとする。

借受人が上記イの貸付契約の変更に応じない事案の貸付料については、上記ロに準じて貸付料を算定するものとする。

また、上記ロの貸付料適用期間経過後の貸付料については、平成13年3月30日付財理第1308号「普通財産貸付事務処理要領」通達(以下「貸付通達」という。)の記-第1節-第3の規定に準じて貸付料の改定を行うものとする。

なお、借受人が上記イの貸付契約の変更に応じない事案に係る貸付料改定が諸般の事情により遅延した場合にあっては、貸付通達に準じて処理するものとする。

(3)駐車場等の管理の取扱い

物納申請不動産が駐車場等として利用されている場合(賃貸借契約が締結されている場合を除く)、収納後当該不動産を処分するまでの間において暫定活用を図ることが可能であることから、原則として、その利用されている状態で収納するものとする。

収納後においては、処分する時期を考慮して、貸付の相手方(管理者)を一般競争入札により選定して暫定活用を継続するものとする。

(注)物納申請者が不動産業者等に管理業務を委託している場合には、一般競争入札により貸付の相手方を選定するまでの間は、従前の受託者と随意契約によることとして差し支えない。

なお、随意契約等に当たっては、後記(7)に留意すること。

(4)物納集合住宅等の管理事務

管理方式

物納集合住宅等の場合において、従前の管理状況のほか、建築年次、規模、構造等を勘案しつつ各々の実態に応じ、原則として、次のいずれかの管理方式によるものとする。

(イ)一括賃貸方式

一括賃貸方式とは、国が不動産貸付業者等に対し物納集合住宅等を一括貸付し、当該貸付業者等が入居者の募集及び入居者への転貸並びに物納集合住宅等の全般的な管理を行う方法であり、財務局等は、物納前から一括賃貸借契約が締結されている場合においては、当該借受人を引き続き一括借受者とするものとする(注1)。

また、物納前から一括賃貸借契約が締結されていないが同契約を締結することが適当であると認められる場合であって、転借人になることの入居者の承諾徴求や一括賃貸借契約の締結について物納申請者の協力(注2)が得られるときには、一括賃貸方式によるものとする。なお、一括借受者は、原則として、次の方法により決定するものとする。

(注1)一括借受者については、後記(7)に留意するものとする。

(注2)この場合における物納申請者の協力は任意のものであり、管理処分適否及び劣後判断に影響を与えるものではなく、また行政における標準的な処理期間や物納申請者における物納手続関係書類の整備に係る延長期限等に十分配慮して行うことに留意するものとする。

財務局等は都道府県単位に設立されている社団法人宅地建物取引業協会等に協力を求め、一括借受者の候補者の推薦を受けた者のうちで、暴排通達の記-2の規定に基づき警察当局への照会手続を行い、その結果、同通達の記-1の排除対象者に該当しないことが確認された者の中から、物納申請者が適当と認めるものを一括借受者とするものとする。

また、物納申請者により財務局等が適当と認める一括借受者の選定が可能な場合においては、その選定した者を一括借受者とするものとする。

なお、この場合であっても、①と同様に暴排通達の記-2の規定に基づき警察当局への照会手続を行うものとする。

上記①又は②によっても、一括借受者を選定できない場合は、財務局等において下記(ロ)の管理業務委託方式による管理を行うものとする。

(ロ)管理業務委託方式

管理業務委託方式とは、国と入居者(賃借人)とが直接賃貸借契約を締結し、建物の管理業務を国において別途民間管理業者に委託する方法であり、前記(イ)の一括賃貸方式によらない場合においては、原則としてこの方式とするものとする。

また、管理受託者は、原則として、次の方法により決定するものとする。

物納前から民間管理業者との間で管理業務委託契約が締結されている場合で、当該管理業者が業務を確実に遂行すると認められ、かつ、財産管理上引き続き当該管理業者との間で委託契約を締結することが適当であるときには、一般競争入札等により新たな委託業者を選定するまでの間、財務局等は当該管理業者との間で管理業務委託契約を締結するものとする。

(注)引き続き物納前からの民間管理業者と契約する場合は、後記(7)に留意すること。

物納前に管理業務の委託がなされておらず、新たに管理業務を委託する必要が認められる場合には、財務局等において一般競争入札等により民間管理業者を決定するものとする。

(注)管理業務委託方式による場合においては、次の管理業務を委託する。

1.設備管理業務

建物表層部の外観点検

屋外施設の外観点検及び清掃

電気設備の点検

給排水設備、消防・防災設備等の外観点検及び法定点検

2.賃借人への対応

賃借人からの苦情等に対応(居住者間の苦情を除く。)

賃借人の退去時の立会

3.その他の事務

物納前から民間管理業者が共益費を入居者より徴収して諸費用を賄っていた場合等で、物納後も継続してこれらの業務に従事させることが適当と認められるときは、当該業務を委託する。

貸付契約等の取扱い

(イ)契約書式

一括賃貸方式による場合

物納の撤回期間満了後に、国との間で貸付契約を変更する場合における契約書式は標準契約書式に定める第20号書式を基にするものとし、暴排通達の記-3に定める特約のうち(1)及び(2)を付すものとする。

ただし、平成25年4月1日以降に相続開始となる物納不動産の場合には、上記に加え、暴排通達の記-1-(1)に該当する者のみを排除対象者として、暴排通達の記-3-(3)に定める特約を付すものとする。

管理業務委託方式による場合

ⅰ)物納引受後に、国との間で管理業務委託契約を改めて締結する場合における契約書式は、別紙第12号様式によるものとする。

ⅱ)入居者(賃借人)及び国との間で締結する場合における契約書式は、標準契約書式に定める第19号書式によるものとし、暴排通達の記-3に定める特約のうち(1)及び(2)を付すものとする。

ただし、平成25年4月1日以降に相続開始となる物納不動産の場合には、上記に加え、暴排通達の記-1-(1)に該当する者のみを排除対象者として、暴排通達の記-3-(3)に定める特約を付すものとする。

(ロ)損害保険の付保

損害保険の内容

財務局等は、多数の居住者の生活拠点となっている物納集合住宅等において不測の事故が発生した場合において、施設の復旧あるいは賠償に多大な費用負担を余儀なくされる恐れがあることから、国及び管理主体のコスト負担を極力軽減するため、各々の管理方式を設定するとき、施設の内容及び規模に応じて、「損害保険の内容」(別表第8)に定める損害保険を付保させるものとする。

付保の方法

ⅰ)財務局等は、管理方式が一括賃貸方式であり、物納前から損害保険に加入しており、当該物納申請の許可が見込まれるときには当該一括借受者に対して次の措置を講じるよう依頼するものとする。

保険期間が物納の撤回期間満了日後にまで及んでいる場合においては、被保険者の変更手続を行うとともに、物納撤回満了日以降の保険契約期間にかかる保険料を清算するものとする。

保険期間が物納撤回満了日前に満了する場合においては、物納の撤回期間満了日まで保険契約を延長するものとする。

ⅱ)財務局等は、管理方式が一括賃貸方式であり、損害保険に加入していないがその付保の必要性が認められる場合においては、一括借受者に収納日を契約始期とする損害保険契約を締結するよう依頼するものとする。

ⅲ)財務局等は、上記イ-(ロ)により管理業務委託契約を締結する場合においては、管理受託者として管理上の過失に伴う賠償責任を担保するため、国を共同被保険者とする賠償責任保険を付保させるものとする。

(ハ)貸付料又は委託手数料の算定方法

一括賃貸方式による場合

財務局等は、貸付通達に基づき貸付料を算定する場合において、民間の取引慣行に準拠して損害保険を付保させることを条件とした貸付料を算定するものとする。

管理業務委託方式による場合

財務局等は、管理住宅戸数に応じた民間に於ける委託手数料(月額賃料に対する割合)の実態について、上記イ-(イ)-①の協会を通して調査の上、決定するものとする。

なお、給水貯水槽の清掃点検及び消防用設備点検等については、特殊な技術が必要とされること又は資格を有する技術員が必要とされること等から、委託手数料に一律に加算することがなじまないため、別途積算の上、決定するものとする。

(5)定期借地権(借地借家法第22条第1項の規定に基づく定期借地権又は同法第23条の規定に基づく事業用定期借地権)が設定されている財産の取扱い

基本事項

物納に伴う契約変更は、国が前主の地位を承継したことに伴い、国と権利者との合意に基づき、公正証書等による原契約の一部を変更するものであり、権利者と締結する貸付契約書にその旨を明記した上、公正証書等原契約書の写しを添付するものとする。

貸付期間

貸付期間は、当該契約の変更を行う日を始期とし、原契約の期間満了日をその終期とする。

貸付料

(イ)貸付料基礎額は、近傍類似の民間賃貸実例又は民間精通者(不動産鑑定業者等)の意見価格等を参考として、算定するものとする。

(ロ)貸付料年額は、貸付料基礎額又は貸付通達の別添 1「普通財産貸付料算定基準」(以下「貸付料算定基準」という。)の第1-1-(3)の規定を準用して求めた額とするものとする。この場合において、当該規定中「改定前の直近分として通知している貸付料」とあるのは、「契約の変更を行う前の貸付料年額」と読み替えるものとする。

特約事項

(イ)定期借地契約であることに鑑み、次の特約事項を付すものとする。

貸付期間満了後契約の更新は行われないこと。

建物改築による貸付期間の延長は行われないこと。

貸付期間が満了したとき又は貸付契約が解除されたときに、建物の買取り、必要費及び有益費の償還を請求できないこと。

国の承認を得て貸付物件を第三者に転貸し又は貸付相手方が建設した建物その他工作物に賃借権その他の使用若しくは収益を目的とする権利を設定する場合には、当該第三者との間で締結する契約において、建物の敷地が定期借地権に基づくものであり、貸付期間の満了により借地権が消滅し、建物を取り壊すことを明示すること。

(ロ)借地契約の終了時の確実な返還を担保するため、次の特約事項を付すとともに、これに違反した場合は、貸付料年額(貸付料算定基準の第1-1-(3)による措置を講じているものについては第一年次の貸付料年額)を違約金(当該違約金の額が10,000円未満の場合には、10,000円とする。)として徴する旨の特約を付すものとする。

貸付期間が満了するときは貸付期間満了日まで、又は貸付契約が解除されたときは、国の指定する期日までに、貸付物件上の建物その他工作物を除去し、貸付物件を原状に回復し、国に更地で返還すること。

(ハ)事業用定期借地契約の場合は、権利者と締結する貸付契約書に事業内容を明記したうえ、次の特約条項を付すものとする。

貸付契約書に定めた事業内容を変更しようとするときは、事前に変更内容を書面によって申請し、国の承認を受けなければならないこと。

(ニ)暴力団排除に関する取組として、暴排通達の記-3に定める(1)及び(2)の特約事項を付すものとする。

ただし、平成25年4月1日以降に相続開始となる物納財産の場合には、上記に加え、暴排通達の記-1-(1)に該当する者のみを排除対象者として、暴排通達の記-3に定める(3)の特約事項を付すものとする。

契約書式

変更契約を締結する場合の契約書式は、別紙様式第13号国有財産有償貸付契約書(一般定期借地、時価、分割納付(物納財産用))又は別紙様式第14号国有財産有償貸付契約書(事業用定期借地、時価、分割納付(物納財産用))によるものとする。

定期借地権の譲渡及び増改築等の取扱いについて

(イ)定期借地権の譲渡

定期借地権の譲渡の承認申請があったときは、貸付通達の記-第4節-第2-1の規定により処理するものとし、定期借地権等の譲渡の承認に当たっては、借地権等の譲渡において名義書換承諾料の授受の慣行のある地域に所在する場合にかかわらず、名義書換承諾料の徴求は行わないものとする。

なお、本件取扱いについては、今後の定期借地契約における民間取引の動向に留意するものとする。

(ロ)増改築等

貸付相手方が貸付土地上の建物の増改築等を行う場合には、貸付通達記-第4節-第3-1の規定にかかわらず、国への承認申請は要しないものとするが、事前に増改築等の理由及び計画を記載した書面を通知させるものとする。

(6)暴力団排除に関する取組

物納申請者が不動産業者等に管理業務を委託している場合等においては、当該管理者が暴排通達の記-1に規定する排除対象者に該当するか否か、暴排通達の記-2の規定に基づき警察当局への照会を行い、この結果、排除対象者に該当しないことが判明した場合には、一般競争入札により貸付の相手方を選定するまでの間、従前の受託者と随意契約によることとして差し支えない。

なお、警察当局への照会の結果、排除対象者であることが確認された場合には、物納申請者に管理者の変更の協力(注)を要請するものとする。

(注)この場合における物納申請者の協力は任意のものであり、管理処分適否及び劣後判断に影響を与えるものではなく、また行政における標準的な処理期間や物納申請者における物納手続関係書類の整備に係る延長期限等に十分配慮して行うことに留意するものとする。

一般競争入札等により管理者を選定するに当たっては、暴力団を排除するため、暴排通達に基づき必要な措置を講ずるものとする。

民有地上の物納建物の取扱い

財務局等は、物納申請された建物が民有地上にある場合は、前主の借地権者としての地位を承継するので、前主と当該土地所有者が締結している契約の始期、期間、賃借料の額、支払条件、特約条項等の契約条件について検討し、国に不利とならないよう適切な借地契約を締結するものとする。

配偶者居住権付建物等の取扱い

財務局等は、配偶者居住権が配偶者の居住権を保護するための方策として設けられた趣旨を踏まえつつ、物納申請時に配偶者居住権者から提出された「配偶者居住権に関する確認書」(別表第9、以下「確認書」という。)に基づき、配偶者居住権付建物等の管理等に努めることとする。

なお、配偶者居住権付建物等については、以下の取扱いによるものとする。

(1)引受後の事務

財務局等は、配偶者居住権者に対し、国が前主の地位を承継したこと等を別紙第15号様式により通知するものとする。

(2)配偶者居住権者の用法遵守義務

財務局等は、今後の配偶者居住権者の用法遵守義務の確認を適切に行うため、物納申請時の用法の把握に努めるものとする。

(3)配偶者居住権の存続期間

配偶者居住権の存続期間は、民法第1030条により、終身又は遺産の分割の協議、遺言に別段の定めをしたときはその定めるところによる。

(4)市町村交付金相当額、土地使用料相当額等の求償

財務局等は、配偶者居住権付建物等に係る市町村交付金及び土地使用料(敷地が国有財産でない場合に限る。)は、民法第1034条に定める配偶者居住権者が負担する通常の必要費であることから、上記費用を支出した際は、直ちに別紙第16号様式に基づき、配偶者居住権者に対し、期限を設定し、その相当額を求償するものとする。

財務局等が、配偶者居住権者に上記イに基づく求償をしたにも関わらず、配偶者居住権者から納付期限までに納付されない場合には、求償金額に納付期限の翌日から納付した日までの日数に応じて民法第404条所定の利率により算出した延滞金を加算した金額の支払いを求めるものとする。

なお、配偶者居住権の最終年度に係る市町村交付金相当額の求償事務については、配偶者居住権の存続期間経過後となることが想定されるため、事務に支障をきたすことのないよう配偶者居住権者の移転先等を確認すること。

(5)配偶者居住権付建物の修繕等の取扱い

財務局等は、配偶者居住権者から、民法第1032条第3項に定めるとおり配偶者居住権付建物について増改築又は模様替(通常の修繕及び軽微な現状変更(具体的な例示として、別紙第15号様式別添2に掲げる設備の修理又は取替え等)を除く。以下「増改築等」という。)の申請があった場合には、必要性等を判断し認めることができる。

配偶者居住権付建物の使用及び収益に必要な修繕に係る費用については、配偶者居住権者が負担する。ただし、災害等による大規模な修繕が必要となった場合の費用については、財務局等は、配偶者居住権者と協議し承認した場合に限り負担するものとする。

財務局等が、配偶者居住権者の負担に属する通常の必要費を負担した場合は、直ちに別紙第16号様式に基づき、配偶者居住権者に対し、期限を設定し、その相当額を求償するものとする。

(6)配偶者居住権付建物を第三者に使用又は収益させる場合の取扱い

民法第1032条第3項に定めるとおり配偶者居住権付建物について第三者への使用又は収益の申請があった場合に、必要性等があると判断したときは、普通財産取扱規則(昭和40年4月1日付大蔵省訓令第2号)第30条第4項の規定により、財務大臣への承認申請を行うものとする。

(注)配偶者居住権者の占有補助者と考えられる配偶者居住権者の家族や家事使用人については第三者に該当しないと解されていることに留意すること。

(7)配偶者居住権付建物等の適正な管理

財務局等は、配偶者居住権者に対し、必要に応じ配偶者居住権付建物の使用及び収益の状況等に関し確認し報告を求め、適正な管理に努めるものとする。

あわせて、配偶者居住権者に対し、適宜、配偶者居住権付建物等の取得要望や移転の計画など、今後の見通しに係る意向の確認を行うものとする。

(8)配偶者居住権付建物等の処分

財務局等は、配偶者居住権の立法趣旨を踏まえ、原則として買受勧奨は実施しないこととする。

ただし、入札により第三者に売却することが適当と判断されるものについては、その実施に努めることとする。実施に当たっては「貸付中の財産の売却促進について」通達(令和5年6月28日付財理第1877号)に準拠して、配偶者居住権者に事前通知等を行うこととする。

(9)配偶者居住権の消滅及びその後の手続き

財務局等は以下の事由に該当する場合には、相当な期間を定めて是正の催告をし、その期間内に是正されないときは、配偶者居住権を消滅させることができる。

(イ)配偶者居住権者が善良な管理者の注意義務等に違反して使用及び収益した場合

(ロ)配偶者居住権者が、財務局等の承認を得ずに、配偶者居住権付建物の増改築等をし、又は第三者に使用若しくは収益をさせた場合

配偶者居住権者から、存続期間の満了前に配偶者居住権を消滅させる旨の意向が確認された場合には、配偶者居住権に係る放棄の申出書(別紙第17号様式)の提出を求めるものとする。

上記イ、ロにより存続期間満了前に配偶者居住権が消滅した場合は、存続期間満了までの対価は支払わないものとする。

上記イ、ロのほか、民法第1030条に基づき定められた期間の満了により配偶者居住権が消滅したときは、財務局等は配偶者居住権者に対して速やかに建物内の動産を撤去の上、当該建物を返還させるとともに、配偶者居住権に係る抹消登記の承諾書(別紙第18号様式)を徴求し、速やかに登記の抹消手続きを行うこととする。

また、配偶者居住権者が死亡した場合、又は民法第1036条による第616条の2の準用により、配偶者居住権付建物が全部滅失等した場合には、配偶者居住権は消滅することから、その場合においても、登記の抹消手続き(単独申請)を行うこととする。

(10)配偶者居住権者への説明

  財務局等は、必要に応じ、確認書の内容について民法第1028条以下の趣旨を踏まえ、配偶者居住権者へ説明することとする。

第8物納農地の取扱い

財務局等は、物納農地(採草放牧地を含み、物納された風景地保護協定の目的となる土地を除く。)について、当該物納農地が所在する地域の都市計画上の用途区分に応じ、次に掲げる事項に留意の上、処分するものとする。

なお、物納農地が所有権以外の権原に基づいて耕作の事業を行う土地(所有権に基づいて耕作の事業を行う土地を耕作の事業を行う権利を除いて物納し所有権以外の権原に基づいて耕作の事業を行う土地となった場合を含む。)又は所有権以外の権原に基づいて採草放牧の事業を行う土地(所有権に基づいて採草放牧の事業を行う土地を耕作又は養畜の事業を行う権利を除いて物納し所有権以外の権原に基づいて採草放牧の事業を行う土地となった場合を含む。)である場合においては、権利者に対して当該物納農地の売却(売却が困難である場合においては貸付け)を行うものとする。また、権利者の同意がある場合においては、当該権利の付着した農地として、一般競争入札により農耕適格者に売却するものとする。

物納農地を農地として売却する場合(ただし、売却する場合の相手方は、農耕適格者に限られる。)においては、農地法第3条第1項に基づく許可が必要となることから、あらかじめ農業委員会その他必要な関係者と所要の調整を行うものとする。

物納農地を転用する目的で売却する場合においては、農地法第5条第1項に基づく許可又は届出が必要となることから、あらかじめ農業委員会その他必要な関係者と所要の調整を行うものとする。

第9本省承認

財務局長等は、物納等不動産に関する事務取扱が本通達の定めにより難い場合においては処理案に詳細な理由を付して、理財局長と協議するものとする。

第10書面等の作成・通知等の方法

電子ファイルによる作成

本通達に基づき、作成を行う書面等(書面その他文字、図形その他の人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。以下同じ。)については、電子ファイルにより作成を行うことができる。

電子メール等による通知等

(1)本通達に基づく通知等の手続のうち、書面等により行うこととしているものについては、電子メール等の方法により行うことができる。

(2)上記(1)の方法により通知等を行うときは、電子ファイルをもって行うものとする。

適用除外

上記1及び2の措置は、本通達に規定する手続のうち、次に掲げるものについては適用しないものとする。

(1)記第5-3-(2)に規定する「所有権抹消登記嘱託請求書」(別紙第7号様式)及び関係書類の提出

(2)記第6-2-(2)に規定する納入告知書による請求

(3)記第7-1-(1)に規定する権利者に対する通知

(4)記第7-1-(5)-イに規定する物納に伴う契約変更

(5)記第7-3-(1)に規定する配偶者居住権者に対する別紙第15号様式による通知

(6)記第7-3-(4)-イ及び記第7-3-(5)-ハに規定する別紙第16号様式による必要費の求償

(7)記第7-3-(9)-イに規定する是正の催告

(8)記第7-3-(9)-ロに規定する配偶者居住権に係る放棄の申出書(別紙第17号様式)の提出

(9)記第7-3-(9)-ニに規定する配偶者居住権に係る抹消登記の承諾書(別紙第18号様式)の提出

別表第1~別表第9、別紙第1号~別紙第18号