このページの本文へ移動

貸付中の財産の売却促進について

貸付中の財産の売却促進について

令和5年6月28
財理第1877


改正令和5年12月22日財理第3436号

財務省理財局長から各財務(支)局長、
沖縄総合事務局長宛

貸付中の財産(ただし、定期借地権(借地借家法(平成3年法律第90号)第22条第1項に規定する借地権及び第23条第1項又は第2項に規定する借地権をいう。)を設定している財産を除く。以下「権利付財産」という。)については、従来から貸付料改定時等の機会を捉えて貸付相手方(以下「権利者」という。)に対して買受勧奨を行う等、売却に努めてきたところである。

権利付財産については、個々の財産の性質を踏まえつつ、引き続き、売却促進に努めていく必要があることから、売却促進のための取扱いを下記のとおり定めたので、通知する。

なお、平成21年2月19日付財理第584号「貸付中の財産の売却促進について」通達は廃止する。

また、令和5年6月28日までに、売払申請書を受理しているなど具体的な手続を進めている場合には、なお従前の例により取り扱うことができるものとする。

第1借地契約中の財産の処分促進

借地契約中の財産については、原則、買受勧奨により権利者への売却に努めることとし、財務局長、財務支局長及び沖縄総合事務局長(以下「財務局長等」という。)において権利者に対し、同時売却、共同信託、借地権と底地の交換(以下「同時売却等」という。)をしょうようする必要があると認める場合には、買受勧奨とともに同時売却等をしょうようするものとする。

ただし、再開発区域に所在(再開発事業が今後実施される蓋然性が高いと判断される区域に所在する場合を含む。)するなど、将来的に価値の増加が見込まれる財産や売却するよりも貸付けを行う方が経済合理性からみて有利と認められる場合など、財務局長等において売却すべきではないと判断した財産についてはこの限りではない。

(注1)同時売却とは、権利者が所有する借地権付建物を借地権譲渡の手続を経た上で第三者に売却する場合に、これと併せて、国が所有する底地を当該第三者(新たな権利者)に売却することをいう。

(注2)共同信託とは、権利者が所有する借地権付建物と国が所有する底地を信託会社に共同で信託することをいう。

権利者への買受勧奨

財務局長等は、貸付料改定期(契約更新期及び財務局長等が必要と認めた時を含む。以下同じ。)に、別紙様式1により買受勧奨を行うものとする。

また、財務局長等が必要と認めるときは、権利者に対して、平成13年3月30日付財理第1317号「国有財産評価基準について」通達に規定する評価方法を基に算定した価格(以下「概算価格」という。)を提示するものとする。

同時売却の手続

同時売却をしょうようした結果、権利者より同時売却の要望があった場合の手続は以下のとおりとする。

(1)権利者への説明

権利者に国が行う紹介のスキームを説明し、了解を得た上で借地権売却先の紹介を希望する旨の依頼書(別紙様式2)を提出させるものとし、以下の説明を行うものとする。

紹介とはあくまでも買受希望者を紹介するものであり、借地権を当該買受希望者に対して売却するか否か、売却価格をいくらにするのか等については、権利者の責任で判断するものであること。また、買受希望者は、国の登録会社であるとか、国が推薦する業者等ではないこと。

国及び業務委託業者が手数料等を受け取ることはないこと。

(注)ただし、以下の(4)による場合を除く。

(2)財務局等のホームページへの掲載

権利者から依頼書の提出があった場合は、直ちに、財務局、福岡財務支局又は沖縄総合事務局(以下「財務局等」という。)のホームページに、財産の所在地、地積、用途地域、建物の状況等の物件情報等を原則3ヶ月間掲載し、完全所有権での買受希望者を募るものとする(ただし、権利者がホームページへの掲載を希望しない場合を除く。)。

(3)権利者への通知

買受希望者が現れた場合は、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)第2条第2号に規定する暴力団及び警察当局から排除要請がある者か否か等の確認を行い、問題がない場合には権利者へ通知し、当該買受希望者と権利者で交渉を行わせるものとする。

(4)借地権等の売買に係る任意の宅建業者への仲介のしょうよう

上記(2)において希望者がなかった場合(権利者がホームページへの掲載を希望しない場合を含む。)又は上記(3)において交渉が成立しなかった場合には、権利者に対して、任意の宅建業者(国からの委託業者を含む。)に仲介の依頼を促すことができる。

なお、宅建業者の仲介により権利者が所有する借地権等の売買が成立した場合には、仲介手数料がかかることについて、権利者に説明すること。

(5)仲介期間

仲介期間は原則3か月間とし、この期間を経過しても売却交渉が完了しなかった場合には、再度、権利者の意向を確認した上で、延長することができるものとする。

一般競争入札の方法

上記1及び2により権利者から買受等の意思が示されなかった場合において、権利者に売却するよりも一般競争入札により売却する方が経済合理性からみて国に有利と認められるときは、権利者に対しあらかじめ伝達した上で、一般競争入札を実施することができる。

なお、一般競争入札を実施する場合の留意事項は別紙のとおり。

物納撤回期間中の財産の取扱い

物納撤回期間中においては、平成18年6月29日付財理第2640号「物納等不動産に関する事務取扱要領について」通達の定めるところにより事務を行うものとする。

公共用、公用又は公益事業の用に供する貸付中の財産の取扱い

(1)買受勧奨について

財務局長等は、貸付料改定時に、別紙様式1により買受勧奨を行うものとする。

ただし、この場合の買受勧奨は概算価格の通知は行わず買受けの意向確認のみを行うものとし、買受けの意思が示された場合においては、令和元年9月20日付財理第3206号「最適利用に向けた未利用国有地等の管理処分方針について」通達(以下「最適利用通達」という。)記-7-3-(4)に規定する処分等価格の決定手続に準じて、処分価格を決定するものとする。

(2)同意書の提出について

貸付中の財産を公共随契(予算決算及び会計令(昭和22年勅令第165号)第99条第9号及び第21号並びに予算決算及び会計令臨時特例(昭和21年勅令第558号)第5条第1項第11号の規定による随意契約をいう。)により地方公共団体等に処分を行う場合については、次に掲げる事項について、異議なく同意する旨の同意書(最適利用通達記-第7-3-(1)-ハ-(ト)に規定する同意書をいう。)を売払申請書に添付させるものとする。

契約を締結したものについては、契約金額を含む契約内容を財務局等ホームページにおいて公表すること。

上記①の公表に対する同意が契約締結の要件となること。

処分価格は、書面による見積り合せにより決定すること。

見積り合せの実施回数は契約締結期限内において、累計で5回まで行うことができるものとし、5回の見積り合せによっても国の予定価格の制限に達しない場合には、直ちに見積り合せを打ち切ること。

見積り合せの打ち切りにより権利者に損害が生じても国はその責めを負わないこと。

契約締結前に地下埋設物等の存在が明らかとなった場合には、予定価格を再算定する等の対応に相応の時間を要したことにより、これに伴って財産の売払いを申請した者に損害が生じても国はその責めを負わないこと。

(注)見積り合せの実施に先立ち、権利者に対して処分価格の概算額を提示する場合については、最適利用通達記-第7-3-(注)-(2)の規定に準じて手続を行うものとする。この場合において、平成13年3月30日付財理第1317号「国有財産評価基準について」通達別紙第3章に規定する評価方法により評定価格を算定するときは、最適利用通達記-第7-3-(注)-(2)の規定中「不動産鑑定評価」とあるのは「相続税評価額を基準として別に定める評価方法」と読み替えるものとする。

貸付料改定未済又は収納未済債権がある財産

原則、買受勧奨を留保し、貸付料改定未済又は収納未済が解消された時点で、本通達に基づき処理を行うものとする。なお、権利者の状況、意向等を踏まえ、同時売却又は同時売却先の紹介を行うことは差し支えないものとする。

第2借家契約中の財産の処分促進

財務局長等は、必要に応じ、入居状況及び建物の状況等を把握した上で、上記第1に準じた処理を行うことが適当であると認められる場合には、当該処理を実施するものとする。

なお、借家人から移転料等の支払要求があり、必要と認められる場合には、これを支払った上で、借家契約の合意解除を行うことができる。

また、財務局長等は、契約内容の精査が必要と判断されるものについては、速やかに精査を行い、法律相談等を行った上で、必要に応じ、適正な契約内容に契約変更するものとする。

第3賃貸借契約中の財産の処分促進

財務局長等は、財産の形状や権利者との経緯等を踏まえ、上記第1に準じた処理を行うことが適当であると認められる場合には、当該処理を実施するものとする。

なお、財務局長等は、財産上に賃借人所有の建物が存在するなど契約内容の精査が必要と判断されるものについては、速やかに精査を行い、貸付土地の大半に借地権の効力が及ぶと認められる場合には、随意契約の根拠に配慮するとともに、法律相談等を行った上で、必要に応じ、適正な契約内容に契約変更するものとする。なお、実質的に借地契約となっているものについては、契約変更前であっても、借地契約中の財産に準じた処理を行うものとする。

第4売却結果の公表について

公表についての事前周知

財務局長等は、買受勧奨等の機会を通じて、平成11年12月21日蔵理第 4832 号「国有財産の処分等結果の公表について」通達(以下「公表通達」という。)記-1-(4)に該当する場合には、次に掲げる事項が契約締結等の要件となることについて、権利者に対して、あらかじめ説明するものとする。

(1)契約締結後、公表通達記-別紙5に掲げる情報を財務局等のホームページに公表すること及び国が必要と認めるときには、契約相手方の法人名を公表することについて同意することが契約締結の要件となること。

(2)同時売却による場合であり、かつ、借地権等の譲渡人が法人である場合において、国が必要と認めるときは、譲渡人の法人名について公表することが借地権等の譲渡の承認の要件となること。

(注)上記(1)において、実際に国が契約相手方の法人名を公表する場合には、必要に応じ、当該法人に対して公表する目的等について説明するものとする。

同意書の徴求

売却結果を公表する対象の財産を売り払う場合には、契約を締結するまでの間に、権利者(同時売却の場合は借地権等の譲受人)から次に掲げる事項にかかる同意書(別紙様式3)を提出させるものとする。

(1)契約を締結した場合には、契約金額を含む契約内容を財務局等ホームページにおいて公表すること。

(2)上記1の公表に対する同意が契約締結の要件となること。

なお、権利者(同時売却の場合は借地権等の譲受人)が法人の場合には、「対象財産が公表通達記-1-(4)に該当した場合には、上記の同意書を提出する。」旨を売払申請書に記載した上で、提出を求めるものとする。

また、同時売却の場合であり、かつ、借地権等の譲渡人が法人である場合には、「対象財産が公表通達記-1-(4)に該当した場合には、上記1-(2)の要件に同意する。」旨を平成13年3月30日財理第1308号「普通財産貸付事務処理要領」通達記-別紙様式第2(借地権等譲渡申請書)に記載した上で、提出を求めるものとする。

第5本省協議

本通達により処理することが適当でないと認められる場合には、理財局と協議の上、処理することができるものとする。

第6書面等の作成・通知等の方法

電子ファイルによる作成

本通達に基づき、作成を行う書面等(書面その他文字、図形その他の人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。以下同じ。)については、電子ファイルにより作成を行うことができる。

電子メール等による通知等

(1)本通達に基づく通知等の手続のうち、書面等により行うこととしているものについては、電子メール等の方法により行うことができる。

(2)上記(1)の方法により通知等を行うときは、電子ファイルをもって行うものとする。

適用除外

上記1及び2の措置は、本通達に規定する手続のうち、次に掲げる場合については適用しないものとする。

(1)上記第1-2-(1)に規定する「別紙様式2」を提出させる場合

(2)上記第1-5-(2)及び第4-2に規定する同意書を提出させる場合

(3)上記第1-5-(2)-③に規定する処分価格を書面による見積り合せにより決定する場合

(4)別紙に規定する「別紙様式4」、「別紙様式5」、「別紙様式6」、「別紙様式7」及び「別紙様式8」により権利者に対し通知し、又は落札者から徴求する場合

別紙(一般競争入札を実施する場合の留意事項)

権利者への通知

(1)一般競争入札の実施時

一般競争入札を実施することとした場合には、別紙様式4により、権利者に対し入札を実施する旨を通知するものとし、入札日が決定した時は、別紙様式5により、入札日等を通知するものとする。

(注)入札を実施しようとするときは、平成24年5月22日付財理第2445号「普通財産の管理処分に係る契約からの暴力団排除について」通達記-2の規定に基づき暴力団排除に係る照会手続を行い、この結果、権利者が同通達記-1の排除対象者に該当する場合には、本手続を行わないものとする。

(2)入札結果の通知等

一般競争入札の開札結果については、直ちに別紙様式7により権利者に対し通知するものとする。また、落札された場合にあっては、所有権移転の結果について、速やかに、別紙様式8により権利者に通知するものとする(所有権移転に至った場合の通知は、内容証明郵便によること。)。

入札実施の際の留意事項

(1)入札に当たっては、借地契約を締結している旨を明示して行うものとし、落札された場合、落札者から「権利付財産の買受に関する確認書(別紙様式6)を徴した上で、売買契約を締結するものとする。

なお、入札に当たっては、あらかじめ建物登記の有無を確認することとし、未登記の場合には登記を促すものとする。

(2)入札案内書等には、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)を踏まえた上で、未利用の場合の物件情報に加えて、設定されている権利の内容、応札者が収益性等を判断するために必要とする情報(契約面積、契約期間等)等を明示する。

また、入札財産の詳細な所在地(丁目未満を含む)、登記記録記載事項(地番)、貸付料年額、権利者との契約に使用されている貸付契約書(ひな形)及び周辺図面については、入札案内書に記載することなく、入札公告から入札申込期限までの間に限り、本局、財務事務所及び出張所において、入札参加予定者に対し、閲覧した情報は入札参加の検討のため以外には利用しない旨の確認書を徴した上で閲覧させる。

なお、借受人や同居人の住所・氏名、民有建物の外観写真等は掲載しない。

(3)入札に当たっては、現地説明等は行わないこととし、権利者との接触及び敷地内への立入りをしないよう要請する。なお、職員が貸付契約の条項に基づいて現地調査(ドローン等のデジタル技術を活用した調査を含む。)を行い、入札案内書等に境界標等を確認した結果を記載するとともに、希望者には現場写真の閲覧を行わせるほか、質問に適宜対応すること。

別紙様式1~8(PDF:271KB)