平成13年3月30日 |
改正平成16年6月30日財理第2508号
同21年2月19日同第665号
同21年12月15日同第5426号
同24年3月6日同第984号
同24年5月22日同第2445号
同27年4月1日同第1626号
令和2年1月31日同第325号
同2年12月18日同第4097号
同3年2月17日同第510号
同3年9月21日同第3258号
同4年6月17日同第2197号
同5年6月23日同第1831号
財務省理財局長から各財務(支)局長、沖縄総合事務局長宛
財務省所管普通財産のうち誤信により使用が開始された等の経緯を有する不動産の取扱いについては、下記によることとしたから通知する。
また、下記第7-1に定める場合については、普通財産取扱規則(昭和40年4月1日大蔵省訓令第2号)第13条第5号に規定する「予決令第100条の3第3号に該当するものとして別に定める場合」として、契約保証金の全部を納めさせないことができることとされたので命により通知する。
おって、次の通達は廃止する。
1昭和30年9月26日付蔵管第3131号「国有畦畔について」
2昭和41年1月7日付蔵国有第21号「畦畔、のり地等の取扱いについて」
3平成7年3月8日付蔵理第758号「契約未済財産に係る当面の措置について」
記
目次
第1定義
1.誤信使用財産
2.使用者等
第2取扱方針
1.基本方針
2.処理方針
第3評価
第4評価の特例等
第5取得時効の説明等
1.折衝状況等を踏まえた対応
2.取得時効を主張された場合の対応
第6財産の現況等把握
第7売買契約
1.契約保証金及び売買代金の取扱い
2.契約書式
3.その他留意事項
第8書面等の作成等・提出等の方法
1.電子ファイルによる作成等
2.電子メール等による提出等
3.適用除外
別添既往使用料等の取扱いについて
第1定義
1.誤信使用財産
この通達において誤信使用財産とは、自己所有の財産その他自己が正当に使用することができる財産であるとの誤信により使用が開始された等の経緯を有する不動産をいう。
2.使用者等
この通達において使用者等とは、次に掲げるいずれかの通達に基づき誤信使用財産を取得することが可能な随意契約適格者をいう。
第2取扱方針
1.基本方針
財務局長、福岡財務支局長及び沖縄総合事務局長(以下「財務局長」という。)は、誤信使用財産の効率的かつ確実な処理を図る観点から、次の方針に基づいた取扱いを行うものとする。
①平成20年4月1日以降に使用者等の申請により、売却等の要請を受けた財産(以下「新規事案」という。)については、速やかに処理するものとする。
②新規事案以外の財産(以下「既存事案」という。)については、平成21年2月19日付財理第666号「誤信使用財産に係る既存事案の処理促進について」通達(以下「処理促進通達」という。)の定めるところにより速やかに処理するものとする。
ただし、処理促進通達に定めのない事項については、本通達によるものとする。
2.処理方針
誤信使用財産の処理に当たっては、原則として業務委託制度を積極的に活用し、事務処理の効率化に努めるものとする。
また、使用者等から民法第162条に基づく取得時効を援用された場合においては、平成13年3月30日付財理第1268号「取得時効事務取扱要領」通達(以下「取得時効事務取扱要領」という。)に定める処理を行うものとする。
(1)売却等の処理
①誤信使用財産については、財産の適正な管理の観点から、売買等契約を締結すべく使用者等と折衝等を行い、可及的速やかに処理するものとする。
②誤信使用財産を売却等する場合においては、使用者等に「既往使用料確認書」(別紙第1号様式)を提出させ、別添に定める既往使用料を徴するものとする。
(2)貸付への移行
(1)の手続を行ったものの、結果として売却交渉が不調となった事案については、貸付移行の措置をとるものとする。
(3)貸付契約に応じない場合
使用者等が貸付契約の締結に応じない場合については、使用者等に対し、「国有財産の使用に基づく既往使用料の支払いについて」(別紙第2号様式)により、期限を指定して既往使用料の支払及び「既往使用料支払債務確認書」の提出を求める旨を通知し、1年間、交渉を継続する。1年経過後も交渉がまとまらない場合は、可能な法的措置(不当利得返還請求等)について、必要に応じ法務局等と協議の上、対応方針を決定し、処理するものとする。
なお、明らかに交渉がまとまらないと判断される場合などは、交渉期間を短縮できるものとする。
(4)留意事項
次の各号のいずれかに該当する場合においては、処理が長期化しないよう、特に留意して処理を行うものとする。
①特定の地域等において住民等の関心が強いと考えられるもの
②当該使用者等の使用する誤信使用財産の総体としての面積又はその総体としての評価額が比較的大きいもの
③使用者等が地方公共団体であるもの
④誤信使用財産の沿革が公共物より編入された旧法定外公共物であるもの
⑤その他財務局長が必要と認めるもの
(5)暴力団排除に関する取組
①警察当局への照会
使用者等との折衝等の段階で、誤信使用財産が暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)第2条第2号に規定する暴力団の事務所その他これに類する施設の用(以下「暴力団事務所等」という。)に使用されているおそれがあると認められるときは、折衝等を中止し、平成24年5月22日付財理第2445号「普通財産の管理処分に係る契約からの暴力団排除について」通達(以下「暴排通達」という。)の記の2の規定により警察当局への照会手続を行い、この結果、暴力団事務所等として使用されている場合には、対応方針について、警察当局と協議するものとする。ただし、単独利用困難な財産を除くことができるものとする。
②契約条項の特約
契約書には、暴排通達の記の3に定める特約のうち(1)及び(2)を付するものとする。
第3評価
誤信使用財産については、使用の態様により借地権、借家権、賃借小作権、永小作権又は地上権のいずれかの権利が付着している事例に準じ評価するものとし、これらの権利相当額は、占用許可の日又は使用許可の日若しくは使用開始の日から評価時までの期間に応じ、別添の定めるところにより評価する。
第4評価の特例等
誤信使用財産の使用者等に対しては、次に掲げる資料等から取得時効が明らかに完成していると推定(必要に応じ顧問弁護士、法務局等に確認。)される財産においては、当該財産を前記第3の定めるところにより評価した額から5割相当額を控除した額をもって売却することができる。この場合、当該使用者等に取得時効事務取扱要領に基づく処理を説明し、その上で、当該使用者等が売却を希望する場合に適用することができるものとする。
なお、この場合において、既往使用料は徴さないものとする。
(1)占有の始期、継続及び態様
①近隣の居住者又は隣接地所有者の証言
②建物敷地として利用している場合においては、建物の不動産登記事項証明書又は家屋課税台帳謄本
③相続、売買、又は贈与等による占有の承継がある場合においては、戸籍謄本又は契約書の写し
(2)時効中断の有無
占有の侵奪又は国有財産であることの確認の有無
第5取得時効の説明等
1.折衝状況等を踏まえた対応
使用者等との折衝状況等を踏まえ、取得時効が明らかに完成していると推定される財産については、前記第4の規定を適用した処理を行うものとする。
2.取得時効を主張された場合の対応
使用者等から取得時効を主張された場合(前記1の説明をした場合を除く。)には、取得時効援用の手続が必要であり、手続は取得時効事務取扱要領によることも可能である旨の説明をし、速やかに取得時効援用の手続を行うよう慫慂するものとする。その際、取得時効完成の確認は、国有財産時効連絡会議等により行われることから、取得時効が完成しているとの誤解を生じさせないように留意するものとする。
第6財産の現況等把握
財務局長は、誤信使用財産の現況等を把握するため、別紙第3号様式による「誤信使用財産整理カード」(以下「整理カード」という。)を作成し、担当課に備え付けるものとする。
使用者等と交渉等を行った場合においては、整理カードにその記録をもれなく整理し、その現況を常に把握しておくものとする。
ただし、既に別紙第3号様式にかわる整理カードを作成している場合においては、従来のものを活用して差し支えない。
第7売買契約
1.契約保証金及び売買代金の取扱い
誤信使用財産を使用者等に売り払う場合において、誤信使用財産を取得することが可能な随意契約適格者から買受けの意思が示され、契約確実性が高いと認められるときは、契約保証金を納付させることなく、契約を締結し、納入告知書により売買代金及び既往使用料(以下「売買代金等」という。)を納付させることができるものとする。
2.契約書式
上記1により売買契約を締結する場合は、平成13年3月30日付財理第1298号「普通財産の管理及び処分に係る標準契約書式及び同取扱要領について」通達の別紙第2に規定する第10号書式を、次に掲げる条項について必要に応じて修正等を行うものとする。
(1)売買代金等に関する条項
第2条売買代金は、金 円、既往使用料は、金 円とする。
(2)契約保証金に関する条項
第3条削除
(3)売買代金等の支払いに関する条項
第4条乙は、売買代金及び既往使用料(以下「売買代金等」という。)を、甲の発行する納入告知書により令和 年 月 日までに甲に支払わなければならない。
(4)所有権移転に関する条項
第6条売買物件の所有権は、乙が第4条に定める期限内に売買代金等を納付した時に、売買契約締結日をもって乙に移転する。
(5)危険負担に関する条項
第9条本契約締結の時から売買代金等を納付する時までにおいて、当該物件が天災地変その他の甲又は乙のいずれの責に帰することのできない事由により滅失又は損傷し、修補が不能又は修補に過大な費用を要し、本契約の履行が不可能となったときは、甲乙双方書面により通知して、本契約を解除することができる。また、乙は、本契約が解除されるまでの間、売買代金等の支払いを拒むことができる。
2甲は、売買代金等の納付前に、前項の事由によって当該物件が損傷した場合であっても、修補することにより本契約の履行が可能であるときは、甲は、売買物件を修補して乙に引き渡すことができるものとする。この場合、修補行為によって引渡しが本契約に定める引渡しの時を超えても、乙は、甲に対し、その引渡しの延期について異議を述べることはできない。
(6)契約解除に関する条項
第13条第2項甲は、乙が第4条及び第10条に定める義務に違反したとき、又は次の各号の一に該当していると認められるときは、何らの催告を要せず、本契約を解除することができる。
(1)法人等(個人、法人又は団体をいう。)の役員等(個人である場合はその者、法人である場合は役員又は支店若しくは営業所の代表者、団体である場合は代表者、理事等、その他経営に実質的に関与している者をいう。以下「役員等」という。)が、暴力団又は暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員(以下「暴力団員」という。)であるとき
(2)役員等が、自己、自社若しくは第三者の不正の利益を図る目的、又は第三者に損害を加える目的をもって、暴力団又は暴力団員を利用するなどしているとき
(3)役員等が、暴力団又は暴力団員に対して、資金等を供給し、又は便宜を供与するなど直接的あるいは積極的に暴力団の維持、運営に協力し、若しくは関与しているとき
(4)役員等が、暴力団又は暴力団員であることを知りながらこれを不当に利用するなどしているとき
(5)役員等が、暴力団又は暴力団員と社会的に非難されるべき関係を有しているとき
(7)所有権保存登記に関する条項(買戻特約及び代金延納特約のない未登記不動産の売買契約の場合)
第○条乙は、第6条の規定により所有権が移転した後、売買物件の所有権保存登記をするものとし、甲は、乙が売買代金等を納付したことを確認した後に、所有権保存登記を承諾する書面を乙に交付する。
2乙は、前項に規定する所有権の保存登記を、甲が交付する所有権保存登記を承諾する書面を受領した日から30日以内に行わなければならない。
3乙は前項による登記を完了したときは、遅滞なく登記事項証明書を添えてその旨を甲に通知しなければならない。
3.その他留意事項
前記1により売買契約を締結する場合は、次に掲げる事項に留意すること。
(1)4月20日までに台帳整理を行うことができないおそれのある場合は、当該取扱いによる契約締結は行わないものとする。
(2)両者押印済の売買契約書は、売買代金等が納付されたことを確認した後に送付するものとする。
(3)使用者等に対し、納付期限が契約締結の日から20日以内(納付期限が行政機関の休日である場合はその翌開庁日)であることを事前に説明すること。
(4)契約を解除した場合は、その旨及び納入告知書の返却について、使用者等に通知すること。
第8書面等の作成等・提出等の方法
1.電子ファイルによる作成等
本通達に基づき、作成等を行う書面等(書面その他文字、図形その他の人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。以下同じ。)については、電子ファイルにより作成等を行うことができる。
2.電子メール等による提出等
(1)本通達に基づく提出等の手続のうち、書面等により行うこととしているものについては、電子メール等の方法により行うことができる。
(2)上記(1)の方法により提出等を行うときは、電子ファイルをもって行うものとする。
3.適用除外
上記1及び2の措置は、本通達記第2の2.(3)に規定する手続のうち、「既往使用料支払債務確認書」を徴する手続については適用しないものとする。
別添
既往使用料等の取扱いについて
1.既往使用料の取扱い
既往使用料は、次により取扱うものとする。
(1)既往使用料の請求期間
既往使用料は、使用開始時以降の期間について請求するものとする。
なお、月割計算により算定し請求することができるものとする。
①用途廃止による引受財産は、引受の日を使用開始の日とする。
②使用期間が10年以上にわたる場合においては、請求の日から遡って10年間とする。なお、財務省所管となる以前の期間は対象としない。
③月割計算により既往使用料を請求する場合においては、使用開始時を起算日としてその翌月の当該起算日に応当する日の前日(当該起算日に応当する日がないときは、その月の末日)までの期間を1か月とする。ただし、1か月未満の端数日が生じた場合においては、これを1か月としてみなすものとする。
(注1)使用期間が1か月未満の場合においては、消費税及び地方消費税相当額を加算する。
(注2)既往使用料については、10年間を限度に請求するものであるが、国が、誤信使用の事実を知ってから請求時点までの間に5年以上経過している場合には、民法第166条第1項第1号の規定により、消滅時効が完成していると主張されるおそれもあることから、いたずらに処理が遅延しないよう十分に留意し、必要に応じて時効の更新又は完成猶予に関する措置など対応すること。
(2)算定方法
イ土地(農地を除く。)及び建物の場合
(算式)S=E×R×N(又は | M | )× | 1 |
12 | 2 |
S:既往使用料
E:土地については、使用開始時の属する年の相続税評価額とし、建物については、使用開始時の時価(木造建物については、請求時の時価を日本不動産研究所の価格推移指数により修正した価格)とする。
ただし、請求期間が1年未満の場合又は本通達記の第3により算定した借地権等権利相当額控除前の評価価格(以下「評価価格」という。)が前段に記載した相続税評価額等を下回る場合においては、評価価格とすることができる。
(注)相続税評価額は、平成13年3月30日付財理第1308号「普通財産貸付事務処理要領」通達別添1「普通財産貸付料算定基準」(以下「貸付料算定基準」という。)第1-2-(1)及び第9-2-(1)に定めるところによる。
ただし、請求期間が1年以上の場合は、貸付料算定基準第1-2-⑴の規定に関わらず、使用開始時の属する年の相続税評価額を用いるものとする。
R:使用料率
原則として「4/100」とするが、これによりがたい場合においては、財務局長が定める使用料率を用いても差し支えないものとする。
N:使用開始時から請求時までの年数
なお、売却する場合は売買契約締結日の前日、貸付する場合は貸付開始日の前日までの年数とする。
M:使用開始時から請求時までの月数
ロ農地の場合
(算式)S=A × | E | × N(又は | M | )× | 1 |
10 | 12 | 2 |
S:既往使用料
A:農地の使用面積(単位:アール)
E:誤信使用している農地が所在する地域を管轄する農業委員会が情報提供する農地の使用開始時の属する年の賃借料の平均額
ただし、誤信使用されている農地が所在する地域の賃借料の情報が提供されていない場合には、農業委員会により情報提供されている使用開始時の属する年の近隣農地賃借料の平均額に比準して算定した額又は民間精通者の意見価格等をもって使用料年額とする。
なお、民間精通者の意見価格等については、賃借料に係る民間調査機関の統計資料等によっても差し支えないものとする。
N:使用開始時から請求時までの年数
M:使用開始時から請求時までの月数
(3)既往使用料を減額又は徴さないことができる場合
誤信使用財産の使用者等が無償貸付、減額貸付又は譲与の対象者であり、かつ、既往の使用実態が無償貸付、減額貸付又は譲与の対象となる用途に供されている場合においては、特に財務局長が事務処理上やむを得ないと認めるときに限り、無償貸付、減額貸付又は譲与の対象となる用途に供されていた期間中(各適用法律の施行後の期間に限る。)については、既往使用料を減額貸付の場合は減額し、無償貸付又は譲与の場合は徴さないことができる。
(4)債権の種類及び歳入科目
既往使用料の債権管理上の債権の種類及び歳入徴収上の歳入科目は、次表に掲げるところによる。
処理の態様 | 債権の種類 | 歳入科目 |
---|---|---|
売却又は貸付ける場合 | (目)物件貸付料債権 | (目)○○貸付料 |
(5)履行延期の特約
使用者等が既往使用料を一時に支払うことが困難であり、かつ支払いについて誠意を有すると認められる場合においては、「国の債権の管理等に関する法律」(昭和31年法律第114号)の規定に基づく履行延期の特約を行うことができる。
(注)履行延期の特約を行うに当たっては、昭和38年10月14日付蔵会第2899号「財務省所管債権に係る国の債権の管理等に関する法律第21条第1項の措置及び履行延期の特約又は処分に関する実施基準について」を参照。
2.評価における権利相当額の算定
誤信使用財産の評価にあたり借地権等相当額を控除する場合においては、次により求めるものとする。
借地権等相当額の算定にあたって採用する借地権等の割合は、「相続税財産評価に関する基本通達」(昭和39年4月25日付直資56.直審(資)17国税庁長官通達、以下「財産評価基本通達」という。)に定める地域別の権利割合に、次表に掲げる区分に従い「修正計数」欄の数値を乗じて求めるものとする。
(次表)
区分 | 修正計数 |
---|---|
占用許可等の日から価格時点までの経過期間(1年未満の端数は切り捨てる。以下同じ。)が20年以上の場合 | 1.0 |
占用許可等の日から価格時点までの経過期間が10年以上20年未満の場合 | 0.5+[0.05×(n-10)] |
(注1)「財産評価基本通達」に定める地域別の権利割合によることが著しく実情にそわないと認められる場合においては、民間精通者(耕作権割合の照会にあたっては、なるべく当該土地の所在する地域における農業委員会とする。)の意見による当該地域の権利割合によることができる。
(注2)「占用許可等の日」とは、占用許可の日又は、使用許可の日若しくは、使用開始の日をいう。
(注3)前記「n」については、占用許可等の日から価格時点までの経過期間とする。
(参考)
誤信使用財産は、歴史的に様々な取得等経緯を有するが、主なものの起源を次のとおり例示する。
①旧国有財産法施行に伴い各省から引き継いだ雑種財産
旧国有財産法(大正10年法律第43号)の施行に伴い、各省所管の国有財産のうち不要な財産を雑種財産として引き継いだもの
②国会議事堂等建設費に充てるために脱落地調査により新規登載等された財産
大正7年度から昭和16年度にわたる国会議事堂及び中央省庁庁舎等の建設に係る費用を調達するために、国有財産を売却する目的で脱落地調査を行い、国有財産と判明したものを国有財産台帳に新規登載等した財産のうち売却に至らなかったもの
③旧陸軍、海軍省等から引き継いだ旧軍財産
昭和20年に、旧陸軍省及び海軍省等が所管していた財産を引き継いだもの
④財産税等物納財産
昭和21年に終戦の財政再建等のため個人の資産に対する一時的な課税等が行われたことにより、税務署に収納された物納財産を引き継いだもの
⑤社寺財産
昭和22年に、神社及び寺院の境内地等の国有財産が「社寺等に無償で貸し付けてある国有財産の処分に関する法律」(昭和22年法律第53号)により、宗教法人に対して譲与等された際、申請漏れあるいは申請者が法人格を有さないなどの条件不備等により、譲与等の対象とならなかったもの
⑥昭和32年度以降の実態調査により新規登載された財産
昭和32年度以降の普通財産の実態調査により判明した国有畦畔等の脱落地を国有財産台帳に新規登載したもの
⑦法定外公共物が用途廃止され引き受けた財産
民有地内に介在する法定外公共物(里道・水路等)を、その使用者等が取得を前提に用途廃止の申請を行ったこと等により用途廃止され国土交通省(旧建設省)より引き受けたもの
⑧国有畦畔その他の脱落地
主として、田畑等の間に介在し、一般的に「畦」及び「法」と称されるもので、公図上二本の狭長線で表示されているいわゆる二線引畦畔であり、明治初年の地租改正時に民有地とされなかった土地
第1号様式、第2号様式