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誤信使用財産に係る既存事案の処理促進について

平成21年2月19日
財理第666


改正平成24年3月6日財理第984号

27年3月17日同第1264号

30年3月30日同第1143号

令和元年6月28日同第2319号

2年1月31日同325号

2年12月18日同第4097号

3年3月23日同988号

3年6月11日同第1932号

6年3月29日同第1008号

財務省理財局長から各財務(支)局長、沖縄総合事務局長宛

財務省所管普通財産のうち誤信により使用が開始された等の経緯を有する不動産の取扱いについては、平成13年3月30日付財理第1267号「誤信使用財産取扱要領」通達(以下「誤信使用通達」という。)の定めるところにより処理を図っているところであるが、一層の適正な管理処分のため、特に誤信使用通達記の第2の1②に定める既存事案として区分されるものについては、計画的かつ効率的に処理すべく、下記のとおり当面の取扱いを定めたので遺漏のないよう処理されたい。

第1定義

「財務局長等」とは、財務局長、福岡財務支局長及び沖縄総合事務局長をいう。

「財産特定済財産」とは、国有地が登記済の財産及び国有地が登記未済であるが買受申請者が申請者自身による登記を確約している財産(以下「登記済財産」という。)又は国有地は特定されているが登記嘱託に使用できる地積測量図があり、今後国による登記が必要な財産等(以下「登記未済財産」という。)をいう。

「位置推定可能財産」とは、上記2以外の財産で、国有地が登記未済であるものの実測図が存在する財産又は国有地の実測図はないが既存資料から財産特定の可能性がある財産をいう。

「位置推定不能財産」とは、上記2及び3以外の財産で、既存資料からでは国有地を特定することが著しく困難と判断される財産をいう。

第2財産の分類

財務局長等は、既存事案に関する処理計画を策定するため、平成20年12月31日現在で既存事案として区分されている財産について、既存資料に基づき態様別に分類した上で、別紙第1号様式を作成するものとする。

第3処理計画の策定

処理計画

(1)第1次計画

財務局長等は、原則として後述の優先順位の区分に従い、既存事案の3ヵ年の処理計画(対象年度は、平成21~23年度とする計画。(以下「第1次計画」という。))を策定の上、別紙第2号及び第3号様式を作成し、平成21年3月末日までに理財局長に報告するものとする。

(2)第2次計画

財務局長等は第1次計画期間の処理実績を踏まえ、第2次計画(対象年度は、平成24~26年度とする計画。(以下「第2次計画」という。))を策定の上、別紙第4号様式を作成し、平成24年4月末日までに理財局長に報告するものとする(第6の2に定める報告を兼ねる)。

なお、第2次計画期間終了時までに、原則として全事案について、占使用確認等の調査を実施するものとする。

(3)第3次計画

財務局長等は、第2次計画期間の処理実績を踏まえ、第3次計画(対象年度は、平成27~29年度とする計画。(以下「第3次計画」という。))を策定の上、別紙第4号様式を作成し、平成27年4月末日までに理財局長に報告するものとする(第6の2に定める報告を兼ねる)。

なお、第3次計画期間終了時までに、原則として買受等の意思確認を実施するものとする。

(4)第4次計画

財務局長等は、第3次計画期間の処理実績を踏まえ、第4次計画(対象年度は、平成30~令和2年度とする計画。(以下「第4次計画」という。))を策定の上、別紙第4号様式を作成し、平成30年4月末日までに理財局長に報告するものとする(第6の2に定める報告を兼ねる)。

なお、第4次計画期間終了時までに、原則として買受勧奨等を実施するものとする。

(5)財務局長等は、第4次計画期間の処理実績を踏まえ、必要があると認められる場合は、第5次計画(対象期間は令和3年度から5年以内とする。)を策定の上、別紙第4号様式を作成し、令和3年4月末日までに理財局長に報告するものとする(第6の2に定める報告を兼ねる)。

なお、第5次計画期間終了時までに、全事案について買受勧奨等を実施するものとする。

(注)第5次計画の計画期間を5年未満で策定した場合、その進捗状況を踏まえ、必要があると認められる場合は、本省と調整の上、計画期間の合計が5年を超えない範囲内で、その計画期間を延長し、処理することができる。この場合、計画最終年度の翌年度4月末日までに理財局長に報告するものとする(計画期間の再延長を行う場合も同様とする)。

処理方針

財務局長等は、処理のための折衝の端緒が比較的明確なもの及び誤信使用通達記の第2の2の(4)留意事項に該当するもの等を優先して取り組むために、次の区分により優先順位付けを行うとともにそれぞれの区分に沿って処理を行うものとする。

ただし、処理状況に応じ、売却等の最終的な処理に向け、それぞれの区分の処理目標を超える処理を積極的に行うよう努めるものとする。

なお、第1次計画期間中の処理目標を達成できなかった財産については、原則として、第2次計画期間の初年度(24年度)中に当該処理を行うものとする。

更に、第2次計画期間中の処理目標を達成できなかった財産については、原則として、第3次計画期間の初年度(27年度)中に当該処理を行うものとする。

重ねて、第3次計画期間中の処理目標を達成できなかった財産については、原則として、第4次計画期間の初年度(30年度)中に当該処理を行うものとする。

第4次計画期間までに買受勧奨等に至らなかった財産(以下「計画未達財産」という。)については、第5次計画期間終了までに、全事案について買受勧奨等を実施するものとしていることを踏まえ、必ずしも、第5次計画期間の初年度(令和3年度)中に当該処理を行うことを要しないものとする。

また、個別の財産の優先順位は変更しないものとするが、各財務局等におけるストック件数及び処理が容易な財産の分布等の実情を踏まえ、処理目標を後退させることのない範囲において、優先順位に関わらず処理を行うことができるものとする。この場合、上記第3の1の(2)、(3)、(4)又は(5)の処理計画提出時に当該処理計画の策定方針(処理計画の策定方針についての概要、処理目標を後退させていないことの確認結果及びその他参考事項等が記載された任意の様式。)を併せて提出するものとする。

優先順位1位

財産特定済財産で、かつ、平成20年12月31日までに占使用者に対し、概算価格若しくは概算貸付料(以下「概算価格等」という。)を提示済みのもの又は買受け若しくは貸付けを受ける意思(以下「買受け等の意思」という。)が示されたものについては、原則として第1次計画期間中に占使用者に対し改めて全件買受け等の意思の確認を行い、買受け等の意思確認した場合、速やかに概算価格等の提示を行うものとする。ただし、改めて買受け等の意思を確認する必要がないと判断される場合は、占使用者に対し、直ちに概算価格等の提示を行うものとする。

優先順位2位

財産特定済財産で、かつ、平成20年12月31日時点において登記済財産(前述の優先順位1位の対象財産を除く。)については、原則として第1次計画期間中に全件占使用状況確認を実施し、占使用されていることが確認された場合は、占使用者の特定に努め、買受け等の意思の確認を行うものとし、占使用されていないことが確認された場合は、直ちに国有財産の管理態様の変更を行うものとする。

優先順位3位

財産特定済財産で、かつ、前述の優先順位1位及び2位以外のものについては、原則として第2次計画期間末までに全件占使用状況確認及び登記を終了させることを目途として、計画を策定するものとする。計画期間中に占使用状況の確認を実施し、占使用されていることが確認されたものは、占使用者の特定に努め、買受け等の意思の確認を行うものとし、占使用されていないことが確認された場合は、直ちに国有財産の管理態様の変更を行うものとする。

優先順位4位

位置推定可能財産については、原則として第2次計画期間末までに全件現地調査を終了させることを目途として、計画を策定するものとする。現地調査の結果、財産の特定はされたが占使用されていないことが確認されたもの又は財産の存在が確認されなかったものは、直ちにそれぞれ当該結果に基づき国有財産の管理態様の変更又は抹消を行うものとする。また、占使用されていることが確認された財産のうち、おおむねその5割について、第2次計画期間末までに占使用者を特定し、買受け等の意思の確認を行うものとする。

優先順位5位

位置推定不能財産については、原則として第2次計画期間末までに、全件現地調査を終了させることを目途として、計画を策定するものとする。現地調査の結果、財産の特定はされたが占使用されていないことが確認されたもの又は財産の存在が確認されなかったものは、直ちにそれぞれ当該結果に基づき国有財産の管理態様の変更又は抹消を行うものとする。

その他

占使用者により国有地の存在が否認されている財産及び取得時効を主張されているものについては、第1次計画期間中に事実確認を実施し、当該結果に基づき処理をするものとする。

なお、前述の優先順位1位から5位の財産については、国有地の存在を否認又は取得時効を主張された都度、処理をするものとする。

第4処理方法

上記第3の2に基づく誤信使用財産の処理に当たっては、歳入確保、維持管理コスト抑制の観点から、引き続き売却を優先するが、売買契約が締結できない場合、占使用者との間に契約関係がない状況が続くことは財産管理の観点から適切でないことから、折衝等に当たっては、以下のとおり行うものとする。

期限の設定等について

一定の折衝後、意思確認等を行う場合には、次のとおり回答期限を設定するとともに、売買契約が締結できない場合には、貸付契約締結に向けた処理に移行する手続を明確化するなど、処理の長期化を防止するものとする。

(1)買受けの勧奨

買受けの意思確認を行う際は、占使用者からの回答期限を設定し、買受けに応じない場合(回答期限までに回答がない場合を含む。)には買受けの意思がないものとして、貸付契約に移行する旨を文書(別紙通知文書例示1)で通知するものとする。買受けの回答期限については、意思確認(第1次処理計画開始以降の意思確認のことをいう。)を初めて行うものは原則として3ヵ月以内、意思確認(第1次処理計画開始以降の意思確認のことをいう。)が2回目以降の場合は原則として1ヵ月以内とする。

なお、明らかに買受けの意思がないと認められる場合には、下記(2)貸付への移行から行うことができるものとする。

また、これまでの折衝状況等を踏まえ、買受けの意思確認を行うことなく、概算価格等を通知することもできるものとし、その場合は下記②の処理手続を準用するものとする。

占使用者から買受けの意思が示され、概算価格等を通知する場合も、意思確認の回答期限を設定し、文書(別紙通知文書例示2)で通知するものとする。買受けの回答期限は原則として3ヵ月以内とし、回答期限までに買受けに応じない場合、又は回答がない場合には買受けの意思がないものとして、貸付契約に移行する旨を当該文書に併せて明記するものとする。

(2)貸付への移行

買受けの意思がない場合(回答期限までに買受けの回答がない場合を含む。)は、原則として3ヵ月以内の借受けの回答期限を設定するとともに、概算貸付料等を文書(別紙通知文書例示3)で通知し、貸付に移行するものとする。

(3)貸付契約に応じない場合

上記(2)の貸付契約の締結に応じない場合(期限までに借受けの回答がない場合を含む。)には、借受けの意思がないものとして、誤信使用通達記の第2の2の(3)に定める処理を行うものとする。

(4)その他

占使用者との折衝の経緯等から契約締結の見込みがある場合等には、上記の回答期限等を延長しても差し支えないが、処理の長期化を防止する観点から必要最小限に止めるものとする。

占使用者から折衝等を拒否された場合には、その理由を確認するものとする。当該理由が事情やむを得ないものと判断できない場合、又は回答がない場合には、占使用者に誤信使用通達記の第2の2の(3)に定める既往使用料の支払及び「既往使用料支払債務確認書」の提出を求める旨を通知するとともに、可能な法的措置(不当利得返還請求等)について、必要に応じ法務局等と協議の上、対応方針を決定し、処理を行うものとする。

なお、当該理由が事情やむを得ないものと判断できる場合(疾病、相続の発生等により折衝ができない場合等)には、原則として上記(3)の対応によるものとするが、過去の折衝の経緯等を勘案の上、個別に判断することも差し支えないものとする。

測量

誤信使用財産に係る既存事案(取得時効事務取扱要領に基づき処理を行うものを除く。)については、原則として国において測量をするものとする。なお、新規事案(誤信使用通達記の第2の1①に規定する新規事案をいう。)についても、既存事案に隣接しているなど、同時に測量することが合理的と判断される場合等には、国で測量することもできるものとする。

評価

評価については、誤信使用通達記の第3及び第4の定めるところにより処理を行うものとする。

第5取得時効の説明等

取得時効の説明については、誤信使用通達記の第5の定めるところにより行うものとする。

なお、誤信使用通達記の第5の2の場合については、取得時効の説明後、原則として3ヵ月を経過しても手続がされない場合には、折衝を再開するものとする。この場合も買受け・借受けを文書(別紙通知文書例示4)にて同時に勧奨するものとし、回答期限を原則として3ヵ月以内で設定する。回答期限までに占使用者から明確な意思が示されない場合には、上記第4の1の(3)の対応に移行するものとする。

第6進行管理及び報告等

進行管理

本業務の事務処理に当たっては、別紙第5号様式に基づき、一件別に財産の進行管理を行うものとし、現況等の把握については誤信使用通達記の第6の1により行うものとする。

報告

(1)前年度実績及び修正処理計画

財務局長等は、前年度実績及び当該実績を踏まえた修正処理計画を策定の上、別紙第4号様式を作成し、毎年4月末日までに理財局長へ報告するものとする(第3の1の(5)の報告を兼ねる)。

(2)一件別進行状況

財務局長等は、一件別の進行状況について別紙第5号様式により、毎年度3月末時点のものを翌月末までに理財局長へ報告するものとする。

なお、計画未達財産のうち、毎年度期首時点に策定した計画の達成が困難と見込まれる財産については、その理由を合わせて報告するものとする。

第7書面等の作成・報告等の方法

電子ファイルによる作成

本通達に基づき、作成を行う書面等(書面その他文字、図形その他の人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。以下同じ。)については、電子ファイルにより作成を行うことができる。

電子メール等による報告等

(1)本通達に基づく報告等の手続のうち、書面等により行うこととしているものについては、電子メール等の方法により行うことができる。

(2)上記(1)の方法により報告等を行うときは、電子ファイルをもって行うものとする。

適用除外

上記1及び2の措置は、本通達に規定する手続のうち、次に掲げる場合については適用しないものとする。

(1)記第4に規定する手続のうち、国有財産の買受けの意思についての回答書を徴する場合

(2)記第5に規定する手続のうち、国有財産の買受け・借受け意思についての回答書を徴する場合

別紙第1号様式~別紙第5号様式、別紙通知文書例示1~4