令和7年3月31日 |
財務省理財局長から各財務(支)局長、沖縄総合事務局長宛
相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(令和3年法律第25号)が施行されたことに伴い、国が長期にわたって保有、管理する財産の更なる増加が見込まれることなどを踏まえ、予算決算及び会計令臨時特例の一部を改正する政令(令和5年政令第240号)により予算決算及び会計令臨時特例(昭和21年勅令第558号。以下「予決令臨特」という。)第4条の15を一部改正し、売払いに加えて一般競争入札(以下「入札」という。)で普通財産を貸し付ける場合においても最低貸付料(予決令臨特第4条の15の規定に基づいて公告する予定価格をいう。以下同じ。)を公表することを可能とした。これを受けて、最低貸付料を公表する入札(以下「最低貸付料公表入札」という。)に係る具体的な取扱いを下記のとおり定めたので通知する。
なお、本通達の対象となる普通財産に係る貸付けの取扱いは本通達によるほか、令和元年9月20日付財理第3209号「普通財産を暫定活用する場合の取扱いについて」通達(以下「暫定活用通達」という。)及び令和5年6月30日付財理第1924号「重要施設周辺等に所在する国有財産の取扱いについて」通達(以下「重要土地通達」という。)によるものとする。
また、本通達は、令和7年4月1日以降、入札公告するものから適用する。
記
目次
第1基本方針
第2用語の定義
第3対象財産
第4貸付期間・面積の設定
第5最低貸付料公表入札の実施
第6本省承認
第7書面等の作成・提出等の方法
別紙最低貸付料を公表する一般競争入札(期間入札)の実施手続
別添様式
別添第1号様式「国有財産貸付公示書」
別添第2号様式「入札要領」
別添第3号様式「誓約書」
第1基本方針
最低貸付料公表入札は、財産の潜在的な需要者が入札参加を検討する際における判断材料となるよう、貸付料水準を事前に示し応募しやすい環境を形成することで、貸付けの促進及び管理コストの削減に寄与することを目的とする。
この目的を踏まえ、中長期的に管理コストが生じるであろう需要が見込まれない財産や処分等までに相当な期間を要する財産等について、財務局長等が適当と判断したときは、最低貸付料公表入札を実施することとする。
また、入札を実施した財産については、借受要望を募る際に借受参考貸付料等を情報提供することで、継続して需要喚起を図ることとする。
第2用語の定義
本通達において使用する用語の定義は以下による。
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1売残り財産暫定活用通達記第1-2に規定する財産
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2処分困難事由のある財産暫定活用通達記第1-3に規定する財産
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3利用困難財産暫定活用通達記第1-6に規定する財産
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4保全財産令和元年9月20日付財理第3206号「最適利用に向けた未利用国有地等の管理処分方針について」通達記第4-1-(注)に基づき、未利用国有地等(暫定活用通達記第1-1に規定する財産)であって、当分の間、売却せずに保有し、適切に保全・管理を行うこととされている財産
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5財務局等財務局、財務支局及び沖縄総合事務局
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6財務局長等財務局長、財務支局長及び沖縄総合事務局長
第3対象財産
以下のいずれかに該当する財産については、最低貸付料を公表することができる。
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1売残り財産、処分困難事由のある財産又は利用困難財産
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2平成30年3月30日付財理第1151号「国有財産の物件情報に係る公表様式について」通達第6号様式により財務局等ホームページに掲載した日から1年を経過しても借受要望がなかった財産又は前回の貸付終了から1年を経過しても借受要望がなかった財産
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3重要土地通達記第4-3-(1)及び(2)並びに第4-4-(2)-②及び③(第4-4-(3)-①で同様としている場合も含む)の規定により貸し付ける財産(同通達記第7-4の規定により暫定活用をする保全財産を含む。)
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(注1)会計法令の規定に基づき財務局長等が事務委任を受けた特別会計所属普通財産を最低貸付料公表入札に付すことを妨げない。
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(注2)借受要望がなかった財産について、最低貸付料公表入札の準備に着手した後、入札公告までの間に借受要望を受けて貸し付けた財産(最低貸付料公表入札に係る貸付始期までの間に確実な返還が見込まれるものに限る。)を最低貸付料公表入札に付することを妨げない。
第4貸付期間・面積の設定
貸付期間・面積については、貸付けの種類、財産の性質等を勘案し財産毎に設定する。
第5最低貸付料公表入札の実施
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1最低貸付料公表の取扱い
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財務局長等が最低貸付料公表入札を実施することが適当と判断したときは、入札者が入札参加者の数を認知できない方法により入札しなければならないことに留意し、入札実施にあたっては、別紙に定める手続を基本とする。
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2入札参加者の資格
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入札参加者の資格については、予算決算及び会計令(昭和22年勅令第165号。以下「予決令」という。)第70条及び第71条に規定する者、国有財産に関する事務に従事する者にあっては国有財産法(昭和23年法律第73号)第16条の規定に該当する者、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)第2条第2号に規定する暴力団及び警察当局から排除要請がある者を除くほか、特に制限しないものとする。
なお、入札参加者については、平成24年5月22日付財理第2445号「普通財産の管理処分に係る契約からの暴力団排除について」通達の記2の規定に基づき警察当局への照会手続を行うものとする。 -
3入札保証金
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入札を実施する場合には、会計法(昭和22年法律第35号)第29条の4第1項の規定により、入札保証金(入札金額の100分の5以上に相当する金額)を納付させることとする。
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4借受参考貸付料の公表
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最低貸付料公表入札を実施した財産については、財務局等ホームページにおいて借受要望を募る際に当該財産に係る情報と併せて借受参考貸付料を掲載する。
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(注)借受参考貸付料は、直近の最低貸付料公表入札において公告した最低貸付料とし、当該入札に係る「貸付けの種類」、「貸付期間」、「貸付数量」を併せて掲載する。
第6本省承認
本通達により処理することが適当でないと認められる場合には、理財局長の承認を得て処理することができるものとする。
第7書面等の作成・提出等の方法
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1電子ファイルによる作成
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本通達に基づき、作成を行う書面等(書面その他文字、図形その他の人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。以下同じ。)については、電子ファイルにより作成を行うことができる。
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2電子メール等による提出等
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(1)本通達に基づく提出等の手続のうち、書面等により行うこととしているものについては、電子メール等の方法により行うことができる。
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(2)上記(1)の方法により提出等を行うときは、電子ファイルをもって行うものとする。
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3適用除外
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上記1及び2の措置は、本通達に規定する手続のうち、次に掲げる場合については適用しないものとする。
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(1)別紙6-(1)-イ及び別添第2号様式第4条に規定する入札書等の提出
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(2)別紙6-(1)-ハに規定する手続
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(3)別紙6-(1)-トに規定する入札者への通知
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(4)別紙6-(2)-ハ及び別添第2号様式第11条に規定する開札結果の通知
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(5)別紙6-(3)-イに規定する「住民票又は法人登記の現在事項全部証明書」の提出
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(6)別添第1号様式記7-(2)及び別添第2号様式第5条に規定する手続
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(7)別添第1号様式記10に規定する契約書の作成
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(8)別添第2号様式第3条に規定する委任状の提出
別紙
最低貸付料を公表する一般競争入札(期間入札)の実施手続
本通達に基づく入札は期間入札によることとし、その実施手続は、次に定めるところによる。
(注)期間入札とは、定められた入札期間内に入札させた上、開札期日に開札を行い、落札者を決定する方法をいう。
1期間入札の決議
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(1)期間入札を実施しようとする場合には、別添第1号様式による国有財産貸付公示書に必要事項を記載の上、別添第2号様式による入札要領及び国有財産貸付契約書(案)を添付して期間入札の決議を行う。
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(2)入札書等の受付期間(以下「入札受付期間」という。)は、おおむね10日間とし、開札日は入札保証金の振込状況や入札書等の到達の確認に要する期間を見込んで設定するものとする。
2予決令第74条の規定に基づく入札の公告の取扱い
入札の公告は、原則として、入札受付期間の初日の前日から起算して10日前までに財務局等の掲示板その他適宜の場所への掲示等いずれかの方法により行い、併せて入札公告を財務局等ホームページに掲載する。
3入札要領等の閲覧と入札関係書類の交付
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(1)入札の公告を行ったときは、入札の公示期間中、財務局等その他適宜の場所に入札要領及び国有財産貸付契約書(案)等を備え付けて入札参加希望者の閲覧に供するとともに、入札参加希望者には、次の入札関係書類を交付する。ただし、入札参加希望者への入札関係書類の交付期限は、入札締切日を勘案の上適宜設定するものとする。
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【入札関係書類】
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イ国有財産貸付公示書(写)
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ロ入札要領
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ハ国有財産貸付契約書(案)
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二物件情報資料(例:位置図、案内図、貸付範囲を示した概要図)
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(注)その他財産に応じて必要な資料を交付する。ただし、定期借地権を設定した貸付けによる場合には物件調書を交付する。
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ホ入札書用紙
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ヘ振込依頼書(兼入金伝票)、保管金受入手続添付書、振込金(兼手数料)受取書用紙(3連複写)
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ト入札保証金提出書、入札保証金振込証明書用紙(2連複写)
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チ役員一覧(法人の場合のみ)
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リ封筒(入札書提出用、入札関係書類郵送用)
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(2)入札参加希望者への入札関係書類の交付に当たっては、入札書提出用封筒には入札書のみを入れた上で封をし、上記⑴-へからチとともに郵送用封筒に入れて提出するよう伝えること。
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併せて、国有財産貸付公示書、入札要領等の内容を十分周知し、間違いのない入札を行うよう注意を喚起する。
4物件の現地説明
期間入札における物件の現地説明については、原則として省略する。
ただし、現地説明を行う必要があると認める場合には、入札受付期間初日のおおむね3日前の日を定め、国の指定する場所に下見参加者を集合させ、担当職員が現地案内を行い境界杭及び境界線、貸付範囲等を明示して、これを確認させた上、都市計画上の制限(用途地域、建蔽率、容積率)並びに暫定活用通達記第3-1及び第3-2の貸付けは、建物所有以外の使用目的である場合及び一時使用目的の借地権を設定する場合に限ることについて説明する。
なお、市街化調整区域内に所在する国有地を入札に付する場合は、建築等に係る都道府県知事の許可を要するので、その旨を説明する。
5入札保証金の納付
会計法第29条の4の規定に基づく入札保証金は、財務局長等が指定する預金口座に入札者が現金を振り込む方法により納付させるものとする。
6入札の実施
期間入札の方法は次による。
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(1)入札
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イ入札者が入札書等を提出する場合には、郵送によることを原則とするが、契約担当官が指定する場所に持参することも認めるものとする。
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ロ入札書等が入った郵送用封筒を受理した場合は、郵送用封筒を開け、入札書、入札保証金提出書及び保管金受入手続添付書が貼付された入札保証金振込証明書(以下「入札保証金提出書等」という。)の有無を確認する。その際、いずれかの書類が不足しているもの、又は所定の用紙を使用しなかったものについては無効とする。
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ハ入札書等が提出された場合、「入札書等受理簿」(適宜様式)に記載し、入札保証金提出書等の写しを保管した上、入札保証金提出書等の原本を出納官吏に送付し、入札保証金の入金状況の確認を受けるとともに、入札書を整理の上、厳重に保管する。
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二入札受付期間の初日の前日までに到達した入札書等については、入札受付期間の初日に受理したものとみなす。
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ホ入札受付期間締切日の翌日以降に到達した入札書等については無効とする。
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ヘ国有財産貸付公示書及び入札要領に違反している入札書については無効とする。
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ト無効とした入札については、速やかにその旨を記載した文書を当該入札者宛に通知するとともに、出納官吏へ通知し、出納官吏において入金済となった入札保証金の返還手続をとるものとする。
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チ入札者に無効である旨通知した事績については、別途、補助簿(適宜様式)を作成し、処理内容を明確にするものとする。
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(2)開札等
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イ開札
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(イ) 開札は、国有財産貸付公示書において公示した日時及び場所に従って行う。
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(ロ) 開札場所に最低貸付料を掲示するとともに、この価格を下回る価格の入札は無効となることを明示すること。
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(ハ) 開札は、入札事務に関係のない職員を立ち会わせること。開札には入札者の立会い義務は課さないが、立ち会うことを妨げるものではない。この場合、入札関係者が入札会場へ入ることについては、入札物件に関係なく認めるものとする。
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ロ落札者の決定
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開札の結果、最低貸付料以上で最高の価格をもって入札した者を落札者と決定する。
ただし、最低貸付料以上で最高の価格をもって入札した者が警察当局から排除要請のある者であるか否かについて確定していない場合は、当該入札者を落札候補者とし、落札者の決定を留保するとともに、当該物件に係るすべての入札参加者へその旨通知する。上記排除要請が行われなかった場合は、落札候補者を落札者と決定するものとし、上記排除要請が行われた場合は、落札候補者の入札を無効とするとともに、最低貸付料以上で入札した他の者(警察当局から排除要請が行われなかった者に限る。)のうち最高の価格をもって入札した者を落札者と決定する。 -
また、落札者となる同価の入札者が2人以上あるときは、直ちにくじにより落札者を決定する。入札者がいない場合は、立会者(入札事務に関係のない職員)がくじを引くものとする。
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なお、落札者となる同価の入札者に落札候補者がいる場合には、当該落札候補者が警察当局から排除要請のある者であるか否かについて確定するまでは、くじ引きを留保する。
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ハ開札結果の通知等
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開札結果については、入札者に対して速やかに文書をもって通知するとともに、開札後速やかに財務局等のホームページにおいて入札の実施結果を公表するものとする。
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なお、落札者の決定を留保した場合には、その理由を上記文書に記すものとする。
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また、入札関係者から開札結果について問い合わせがあった場合は、落札金額について回答することとする。
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(3)落札者との契約等
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イ財務局長等は、落札決定後速やかに、落札者から、誓約書、住民票又は法人登記の現在事項全部証明書及びその他契約に必要な書類の提出を求めることとする。
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ロ落札者との契約は、原則として、落札決定の日から30日以内に行う。
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ハ落札者と契約を締結しようとするときは契約保証金として契約金額の100分の10以上に相当する金額を落札者に納付させる。
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なお、契約保証金の納付は、現金の持参又は財務局長等の指定する預金口座へ振り込む方法による。
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ただし、銀行振出小切手をもって契約保証金の納付に代えることができる。
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ニ落札者が契約保証金を納付し、契約を締結したときは、入札保証金を還付する。
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なお、財務局長等が指定する預金口座に現金を振り込む方法により契約保証金を納付した落札者が、貸付契約を締結しなかった場合には、落札者があらかじめ指定した金融機関の預貯金口座へ振り込む方法により契約保証金を還付する。
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この場合、入札保証金は国庫に帰属することに留意すること。
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ホ契約保証金は契約が終了したときに保管金請求書を提出させ還付する。
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ただし、落札者が、財務局長等が指定する預金口座に現金を振り込む方法により契約保証金を納付した場合には、落札者があらかじめ指定した金融機関の預貯金口座へ振り込む方法により契約保証金を還付する。
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ヘ落札者以外の入札者に対しては、入札者があらかじめ指定した金融機関の預貯金口座へ振り込む方法により入札保証金を還付する。
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なお、落札者の決定を留保した場合は、落札者を決定するまでの間、当該物件の入札者に係る入札保証金の還付を留保する。
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ただし、開札後、入札参加者から落札決定前に入札を辞退する旨の申出があった場合には、入札保証金を還付する。
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ト入札保証金及び契約保証金を還付する際には、出納官吏に返還依頼を行うものとする。
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(注)契約保証金を免除する場合、上記ハからホ及びトの規定のうち、契約保証金に係る部分は適用しない。
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チ落札者が契約期限までに契約を締結しない場合には、入札保証金は国庫に帰属するものとする。