重要施設周辺等に所在する国有財産の取扱いについて
令和5年6月30日 |
改正令和5年12月1日財理第3202号
財務省理財局長から各省各庁国有財産総括部局長、
各財務(支)局長及び沖縄総合事務局長宛
重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律(令和3年法律第84号)において規定する重要施設の周辺の区域内及び国境離島等の区域内に所在する国有財産の管理及び処分については、令和元年6月14日財政制度等審議会答申「今後の国有財産の管理処分のあり方について」の趣旨も踏まえ、下記によることとしたから通知する。
なお、令和5年6月30日までに、既に相手方から取得要望書が提出されているなど、契約に向けた具体的な交渉を開始している場合には、下記第4、第6及び第7-3にかかわらず、なお従前の例により取り扱うことができるものとする。
記
目次
第1基本方針
第2用語の定義
第3指定区域内に所在する国有財産の把握
第4未利用国有地等の取扱い
1指定区域内に所在する未利用国有地等の調査等
2施設所管省庁等及び内閣府に対する意見照会等
3意見照会の対象外とした未利用国有地等の取扱い
4未利用国有地等に係る管理処分方針の決定
5管理処分状況に関する報告
6未利用国有地等の管理及び処分に係る契約に関する事務
第5指定区域内で新たに取得した財産等の取扱い
第6未利用国有地等以外の普通財産の取扱い
第7留意事項
1法第13条第1項の規定に基づく届出
2区域の変更があった場合
3区域の指定に係る告示前の取扱い
4保全財産の取扱い
第8各省各庁所管財産の取扱い
第9国有財産総括部局長の対応
第10本省協議
第11書面等の作成・報告等の方法
1電子ファイルによる作成
2電子メール等による報告等
別添第1-1号様式指定区域内の国有財産の一覧表(普通財産)
別添第1-2号様式指定区域内の国有財産の一覧表(行政財産)
別添第2号様式国有財産売買契約に係る特約に基づく買戻権行使に関する事前通知書
別添第3号様式国有財産有償貸付契約に係る契約解除に関する事前通知書
別添第4号様式国有財産売買契約に係る特約に基づく買戻権行使通知書
別添第5号様式国有財産有償貸付契約に係る契約解除通知書
第1基本方針
重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律(令和3年法律第84号)は、国民生活の基盤の維持並びに我が国の領海等の保全及び安全保障に寄与することを目的としていることを踏まえると、指定区域内の国有財産の管理及び処分に当たっては、機能阻害行為の用に供されるリスクを抑えた方法で実施することが適当である。
他方で、国有財産については、これまでの売却等を通じてまちづくりや地域の経済活動に貢献してきたことから、引き続き地域や社会のニーズに対応しつつ、管理及び処分を行っていくことが適当である。
このため、指定区域内の国有財産の管理及び処分については、重要施設等の機能への影響に配慮するとともに、国有財産行政がまちづくりや地域の経済活動に与える影響を踏まえたバランスの取れた対応を図るものとする。
具体的には、指定区域の根拠となった重要施設の所管省庁等及び内閣府に対して、未利用国有地等の管理及び処分に係る意見照会を実施した上で、当該意見照会の結果に応じて管理処分方針を決定するほか、重要施設の所管省庁等及び内閣府と定期的に情報共有を行うこととする。
また、指定区域内に所在する国有財産の管理及び処分に係る契約の締結に当たっては、機能阻害行為の防止を図る特約を付すことによって、重要施設等の機能を阻害する土地等の利用の防止を図ることとする。
第2用語の定義
本通達において使用する用語の定義は以下による。
1法重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律(令和3年法律第84号)
2指定区域法第5条第1項又は法第12条第1項に基づき指定された注視区域及び特別注視区域
3重要施設法第2条第2項第1号に定める防衛関係施設、同項第2号に定める海上保安庁の施設及び同項第3号に定める生活関連施設
4施設所管省庁等法の対象となる重要施設を所管し、又は当該施設の管理者を所管する省庁
5国境離島等法第2条第3項に定める国境離島等
6機能阻害行為重要施設の施設機能及び国境離島等の離島機能を阻害する土地等の利用の防止に関する基本方針(令和4年9月16日閣議決定)に例示されている行為のほか、法第9条第1項及び第2項に規定する内閣総理大臣の勧告及び命令の対象となる行為
7未利用国有地平成18年3月17日付財理第1037号「財務省所管一般会計所属普通財産における未利用国有地の現状把握について」通達(以下「現状把握通達」という。)記-1の対象財産及び特定国有財産整備計画に基づき処分すべき国有財産のうち財務省所管普通財産
8未利用国有地等上記7の未利用国有地及び未利用国有地以外の財産で、財務省所管一般会計所属財産のうち、財務局長等が未利用国有地に準じて処理することが適当であると判断する財産(保全財産を除く。)
9貸付中財産貸付中の財産(令和元年9月20日付財理第3209号「普通財産を暫定活用する場合の取扱いについて」通達(以下「暫定活用通達」という。)記第3に基づく暫定活用(一時貸付け、3年超貸付け又は事業用定期借地)を行っているものを除く。)
10借地権者等上記9の貸付中財産の貸付相手方及びその相続人
11財務局長等財務局長、財務支局長及び沖縄総合事務局長
12最適利用通達令和元年9月20日付財理第3206号「最適利用に向けた未利用国有地等の管理処分方針について」通達
13公共随意契約予算決算及び会計令第99条第9号及び第21号並びに予算決算及び会計令臨時特例(昭和21年勅令第558号)第5条第1項第11号の規定による随意契約
14一般定期借地権借地借家法(平成3年法律第90号)第22条第1項に規定する借地権
15事業用定期借地権借地借家法第23条第1項及び第2項に規定する借地権
16定期借地権一般定期借地権及び事業用定期借地権
17保全財産最適利用通達記第4-1-(注)に基づき、未利用国有地等であって、当分の間、売却せずに保有し、適切に保全・管理を行うこととされている土地
第3指定区域内に所在する国有財産の把握
財務局長等は、指定区域に係る告示があったときは、指定区域内に所在する国有財産(国有財産法第2条第1項第1号に規定する不動産をいい、同項第3号に規定する不動産の従物(民法第87条第1項に規定するものをいう。)を含む。以下同じ。)を把握するため、当該告示があった日からおおむね1か月以内に指定区域内に所在する国有財産の有無を調査するものとする。
当該調査により把握した国有財産については、国有財産総合情報管理システム等を用いて対象の重要施設又は国境離島等の名称、国有財産の分類及び種類、管理機関、口座名、区分、種目、所在地、対象の重要施設からのおおよその直線距離、台帳数量、台帳価格、保全財産の該非等を整理し、第1-1号様式(指定区域内の国有財産の一覧表(普通財産))及び1-2号様式(指定区域内の国有財産の一覧表(行政財産))を作成し、本省へ報告するものとする。
ただし、次に掲げるものを除く。
①国有財産法(昭和23年法律第73号)第3条第2項第2号から第4号までに掲げる行政財産
②国有財産法施行令(昭和23年政令第246号)第4条各号に掲げる特別会計に所属する国有財産(財政投融資特別会計特定国有財産整備勘定所属普通財産を除く。)
③国有財産法施行令第5条第1項第3号に規定する引継不適当財産
④その他各省各庁所管一般会計所属普通財産
⑤国有財産法施行令第22条の2第2号に掲げる普通財産
第4未利用国有地等の取扱い
1指定区域内に所在する未利用国有地等の調査等
財務局長等は、上記第3による調査の結果を踏まえ、指定区域内に所在する各未利用国有地等(本通達第4-2-(1)の意見照会の対象外とする財産を含む。)について、指定区域に係る告示があった日からおおむね4か月以内に以下に掲げる資料の作成のために、必要な調査を実施した上で、本省へ報告するものとする。
(報告資料)
①物件調書(直近2年以内に作成したもの。なお、過去に物件調書を作成したことのない物件については、記載可能な項目のみの記載で可)
②対象財産から重要施設の外周(区域図に記載のある施設外周)までのおおよその直線距離及び位置関係が分かる図面
③対象財産の現況写真及び写真撮影方向図
④対象財産から重要施設の方向を撮影した写真
⑤その他管理及び処分の方針の判断に当たって参考となる資料
2施設所管省庁等及び内閣府に対する意見照会等
(1)施設所管省庁等及び内閣府に対する意見照会等の手続
指定区域内の未利用国有地等(以下に定める意見照会の対象外とされている財産を除く。)については、本省において、上記第4-1に基づく報告を踏まえ、施設所管省庁等及び内閣府に対して意見照会を行う。
また、財務局等(財務局、財務支局及び沖縄総合事務局をいう。以下同じ。)において決定した管理処分方針に基づく具体的な処理状況については、施設所管省庁等及び内閣府と定期的に情報共有を行う。
なお、指定区域内の未利用国有地等のうち、以下のいずれかに該当する財産は、戸建てや小規模店舗等での利用が念頭に置かれるとともに、施設所管省庁等による直接の利用を想定し難いことを踏まえ、国有財産の有効活用及び意見照会プロセスの効率化及び迅速化の観点から、意見照会の対象外とし、意見照会の対象外としたものについては、速やかに財務局長等に通知する。
①面積が一定規模以下の物件(おおむね200m2以下)
②一定の都市計画法上の制限(第一種低層住居専用地域又は第二種低層住居専用地域)を受ける物件
(2)施設所管省庁等及び内閣府への意見照会の方法
施設所管省庁等及び内閣府に対する意見照会は、次のいずれかに区分されるかを一件別に確認する方法により行う。
A:重要施設の施設機能維持の観点等からみて、施設所管省庁等において所管又は使用したい。
B:重要施設の施設機能維持の観点等からみて、立地、周辺環境、土地の規模等を踏まえると、一般競争入札による売却は、慎重な判断が必要。
C:重要施設の施設機能維持の観点等からみて、立地、周辺環境、土地の規模等を踏まえると、財務局長等において通常の管理及び処分を行うことに懸念は少ない。
3意見照会の対象外とした未利用国有地等の取扱い
(1)上記第4-2-(1)において、意見照会の対象外とした未利用国有地等の処分等の手続については、最適利用通達に基づく地方公共団体等からの取得等要望の受付を実施するものとし、同通達に基づく地方公共団体等からの取得等要望の受付期間中に取得等要望がない場合又は取得等要望者との契約締結期限までに契約が締結されない場合は、暫定活用通達記第3-3の手続を準用して、民間事業者や個人に対する事業用定期借地権(10年以上30年以下)又は一般定期借地権(50年以上)による貸付けの要望の受付を行う。ただし、特定国有財産整備計画に基づく処分すべき国有財産については、地方公共団体等からの取得等要望がない場合、その取扱いについて本省への確認を行うものとする。
(2)定期借地権による貸付けが実現しなかった場合については、一般競争入札による売払いには移行せず、現状把握通達記2-(3)に定める処分困難事由のある財産と同様に貸付け又は管理委託による暫定活用を図るほか、令和3年6月2日付財理第1789号「公的利用再検討財産の取扱いについて」通達(以下「再検討通達」という。)記第2に定める公的利用再検討財産とすることができるものとする。
(3)貸付け又は管理委託の要望が長期間ない場合等において、財務局長等が一般競争入札による売却が妥当と判断するときは、本省への確認を行うものとする。
4未利用国有地等に係る管理処分方針の決定
財務局長等は、意見照会を実施した未利用国有地等については、上記第4-2-(2)による意見照会の結果を踏まえ、以下の(1)から(3)までに規定するところにより、管理処分方針を決定する。
なお、管理処分方針の決定前であっても、貸付け又は管理委託による暫定活用は可能とする。
(1)意見照会結果が「A」の場合(所管換又は使用承認)
①施設所管省庁等から「A」の意見があった未利用国有地等については、施設所管省庁等が所管換又は使用承認の意向を示しているものであるため、所管換又は使用承認を行う。
②なお、「A」の場合は、原則として所管換又は使用承認による処理を優先することとするが、財務局長等が保全の観点から特に支障がないと認める場合であって、かつ、まちづくりや地域の経済活動の観点から公共随意契約による貸付けその他の方法により管理及び処分した方がより有益であると認められるものとして本省への確認を経た場合については、この限りではない。
(2)意見照会結果が「B」の場合(公共随意契約による貸付け若しくは売却又は民間事業者への定期借地権等を活用した貸付け)
①施設所管省庁等から「B」の意見があった未利用国有地等については、公用・公共用利用優先の考え方を原則としつつ、重要施設の機能への影響に配慮するとともに、国有財産行政がまちづくりや地域の経済活動に与える影響を踏まえ、最適利用通達に基づく地方公共団体等からの取得等要望の受付を実施する。
②最適利用通達に基づく地方公共団体等からの取得等要望の受付期間中に取得等要望がない場合又は取得等要望者との契約締結期限までに契約が締結されない場合は、暫定活用通達記第3-3の手続を準用して、民間事業者や個人に対する事業用定期借地権(10年以上30年以下)又は一般定期借地権(50年以上)による貸付けを行う。
なお、留保財産については、最適利用通達の定めるところにより処理するものとする。
③定期借地権による貸付けが実現しなかった場合については、一般競争入札による売払いは実施せず、現状把握通達における処分困難事由のある財産と同様に貸付け又は管理委託による暫定活用を図るほか、再検討通達における公的利用再検討財産とすることができるものとする。
(3)意見照会結果が「C」の場合(公共随意契約による貸付け若しくは売却、民間への定期借地権を活用した貸付け又はこれらに至らなかった場合の一般競争入札による売却)
①意見照会「B」の結果と同様に、第4-4-(2)の順で、管理及び処分を行う。
②その上で、貸付け又は管理委託による暫定活用の要望もない場合には、最終的に一般競争入札による売払いも可能とする。
5管理処分状況に関する報告
財務局長等は、指定区域内の未利用国有地等の管理及び処分状況について、毎四半期末の状況を一件別に取りまとめの上、翌四半期初月の20日までに本省へ報告するものとする。報告に当たっては、第1-1号様式(指定区域内の国有財産の一覧表(普通財産))を、四半期(3月、6月、9月、12月)毎に更新し、報告を行うものとする。
(注) 第1-2号様式(指定区域内の国有財産の一覧表(行政財産))については、各年度末の状況について、翌年度8月末までに報告を行うものとする。
6未利用国有地等の管理及び処分に係る契約に関する事務
(1)共通事項
財務局長等は、指定区域内に所在する未利用国有地等の売却又は貸付けに当たっては、指定区域内に所在する財産であることを物件調書に明記するとともに、次の特約条項を標準契約書式に加えるものとする。
(2)特約条項
イ買戻しの特約
財務局長等は、指定区域内に所在する未利用国有地等を売却する場合は、次に記載する特約を付した契約書で契約を締結するものとする。
この場合において、国境離島等に所在する国有財産を売り払うときは、「重要施設(同法第2条第2項各号に掲げる施設をいう。)の施設機能を阻害する行為」とあるのは、「国境離島等(同法第2条第3項各号に掲げる国境離島等をいう。)の離島機能を阻害する行為」と読み替えるものとする。
なお、買戻しの特約を第三者に対抗するためには、売買契約と同時に登記する必要があることに留意する。
(重要施設の施設機能を阻害する行為の禁止)
第●条乙は、売買物件を重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律(令和3年法律第84号)第9条第1項に規定する重要施設(同法第2条第2項各号に掲げる施設をいう。)の施設機能を阻害する行為の用に供し、又は供させてはならない。
2乙は、売買物件を第三者に譲渡した場合であっても、前項の義務を免れることができない。
(買戻しの特約)
第●条売買物件の利用者(乙に限られない。)に対し、内閣総理大臣から、重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律第9条第2項に基づく命令が発せられた場合、甲は、売買物件を買い戻すことができる。
2前項に定める買戻しの期間は、本契約締結の日から10年間とする。
(買戻しの登記)
第●条乙は、甲が前条第1項及び第2項の規定に基づき期間を10年とする買戻権並びに第●条第1項及び第2項に定める特約事項を登記することに同意する。
(買戻権の行使)
第●条甲は、第●条第1項に定める買戻権を行使するときは、乙が支払った売買代金を返還する。ただし、当該売買代金には利息を付さない。
2甲は、買戻権を行使するときは、乙の負担した契約の費用は返還しない。
3甲は、買戻権を行使するときは、乙が支払った違約金及び乙が売買物件に支出した必要費、有益費その他一切の費用は償還しない。
ロ貸付契約の解除条項
財務局長等は、指定区域内の財産について、新たに貸付けをする場合は、次の特約を付した契約書で契約を締結するものとする。
この場合において、国境離島等に所在する国有財産を貸し付けるときは、「重要施設(同法第2条第2項各号に掲げる施設をいう。)の施設機能を阻害する行為」を「国境離島等(同法第2条第3項各号に掲げる国境離島等をいう。)の離島機能を阻害する行為」に読み替えるものとする。
(重要施設の施設機能を阻害する行為の禁止)
第●条乙は、貸付物件を重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律(令和3年法律第84号)第9条第1項に規定する重要施設(同法第2条第2項各号に掲げる施設をいう。)の施設機能を阻害する行為の用に供し、又は供させてはならない。
2乙は、貸付物件を第三者に転貸した場合であっても、前項の義務を免れることができない。
(契約の解除)
第●条(略)
●甲は、乙が次の各号の一に該当していると認められるときは、何らの催告を要せず、本契約を解除することができる。
(7)貸付物件の利用者(乙に限られない。)に対し、内閣総理大臣から、重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律第9条第2項に基づく命令が発せられたとき
(3)売買契約に係る特約に基づく買戻権又は貸付契約に係る解除権の行使の事前手続
財務局長等は、内閣総理大臣から、売買物件又は貸付物件の利用者に対する法第9条第1項に基づく勧告があった場合には、上記第4-6-(2)の特約条項に基づく売買契約に係る特約に基づく買戻権又は貸付契約に係る解除権の行使の前提として、売払相手方(売買物件について所有権の移転登記が行われている場合は、所有権の登記名義人)又は貸付相手方に対し、第2号様式(国有財産売買契約に係る特約に基づく買戻権の行使に関する事前通知書)又は第3号様式(国有財産有償貸付契約に係る契約解除に関する事前通知書)により、内閣総理大臣から、法第9条第2項に基づく命令が発せられたときは、売買物件に係る売買契約の特約に基づく買戻権を行使し、又は貸付契約を解除することとなる旨を通知するものとする。
(4)売買契約に係る特約に基づく買戻権又は貸付契約に係る解除権の行使
財務局長等は、内閣総理大臣から、売買物件又は貸付物件の利用者に対する法第9条第2項に基づく命令が発せられたときは、第4号様式(国有財産売買契約に係る特約に基づく買戻権行使通知書)又は第5号様式(国有財産有償貸付契約に係る契約解除通知書)により、売買契約に係る特約に基づく買戻権又は貸付契約に係る解除権を行使するものとする。
第5指定区域内で新たに取得した財産等の取扱い
財務局長等は、指定区域に係る告示があった後に新たに取得した財産にあっては、上記第3から第4までに規定するところにより処理するものとし、当該区域内の財産で引受け又は所管換等により所管することとなった財産(引受け等を予定しているものを含む。)にあっては、上記第4に規定するところにより処理するものとする。
第6未利用国有地等以外の普通財産の取扱い
(1)貸付中財産の取扱い
指定区域内に所在する貸付中財産については、原則として、公共随意契約以外は売却不可とし、貸付けによる運用を継続するものとする。
また、令和5年6月28日付財理第1877号「貸付中の財産の売却促進について」通達(以下「貸付中財産の売却促進通達」という。)及び昭和48年7月27日付蔵理第3510号「特定普通財産の買受勧奨を行う場合の取扱いについて」通達(以下「特定普通財産の買受勧奨通達」という。)に規定する買受勧奨や同時売却等は実施しないものとする。
ただし、指定区域の告示時点における借地権者等に対する売却及び農地の売却については、以下の取扱いとする。
①指定区域の告示時点における借地権者等に対しては、告示があった日から10年間に限り、売却可能とする(国境離島等に所在する国有財産を除く。)。
②農地(市街化区域内に所在するものを除く。)については、権利の移転に当たって、農業委員会の許可が必要とされており、売却後も農地として継続して利用されることが想定されることを踏まえ、農業委員会の許可を条件として、現に耕作の目的に供されており、直ちに転用が見込まれない農地は売却可能とする。
イ特約条項(貸付契約の解除に係る特約)
財務局長等は、指定区域内の貸付中財産について、貸付契約の更新、貸付料の改定等の機会を捉え、上記第4-6-(2)-ロの特約を付した契約書で契約を締結し直すものとする。
ロ借地権者等に対する通知
財務局長等は、借地権者等に対して、指定区域の告示後に最初に到来する貸付料改定期における改定等の手続の際に、指定区域の告示があった日から10年間に限り、貸付中財産の売却が可能となる旨を通知するものとする。
また、指定区域の告示があった日から10年を経過する前に貸付中財産を売却する場合には、上記第4-6-(2)-イに定める特約を付すこととなる旨を通知するものとする。
ハ売払いに移行する場合の取扱い
財務局長等は、指定区域内に所在する貸付中財産の売払いをするときは、上記第4-6-(2)-イに準じて売買契約に係る特約を付した契約書で契約を締結するものとする。
売買契約に係る特約に基づく買戻権の行使の事前手続及び行使については、上記第4-6-(3)及び(4)のとおりとする。
ニ借地権等譲渡の承認の取扱い
財務局長等は、借地権等譲渡の承認をする場合は、上記第4-6-(2)-ロの特約条項を含め、借地権等の譲受人が国の定める貸付契約書の内容に同意することを借地権等譲渡の承認の条件に加えるものとする。
ホ増改築の承認の取扱い
財務局長等は、貸付財産に存する建物の増改築を承認する場合において、貸付契約書を締結し直す必要があるときは、国が定める貸付契約書の内容に同意することを増改築の承認の条件に加えるものとする。
(2)誤信使用財産及び利用困難財産の取扱い
指定区域内に所在する誤信使用財産、利用困難財産のうち単独利用困難な財産等の予算決算及び会計令(昭和22年勅令第165号。以下「予決令」という。)第99条第6号及び第22号並びに予算決算及び会計令臨時特例(昭和21年勅令第558号)第5条第1項第2号による随意契約の対象となる財産の売払い又は貸付けについては、基本的に指定区域外と同様に処理するものとする。
ただし、地番の付されていない土地を売り払う場合において、表示に関する登記を相手方が行う場合のほか、上記第4-6-(2)に規定する特約を付すことが困難な財産(無番地等)を除いては、売買契約に係る特約又は貸付契約の解除の特約を付すものとする。
(3)国境離島等に所在する貸付中財産、誤信使用財産及び利用困難財産への準用
国境離島等に所在する貸付中財産、誤信使用財産及び利用困難財産であって、指定区域内に所在する財産以外のものについては、上記第6-⑴本文及び同ただし書②並びに⑵(ただし書を除く。)の取扱いを準用する。
第7留意事項
1法第13条第1項の規定に基づく届出
財務局長等は、特別注視区域内にある土地等について、法第13条第1項に規定する所有権等の移転又は設定をする契約を締結する場合には、重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律施行令(令和4年政令第308号)第5条に規定する届出を要しない者又は第6条に規定する届出を要しない契約に当たる場合を除き、重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律施行規則(令和4年内閣府令第56号)で定めるところにより、内閣総理大臣に届け出るものとする。
2区域の変更があった場合
財務局長等は、法第5条第6項又は第12条第6項に規定する注視区域又は特別注視区域の変更があったときは、上記第3において把握した指定区域内に所在する普通財産について変更がないか確認するものとし、必要に応じて、上記第4又は第5に定める手続を行うものとする。
3区域の指定に係る告示前の取扱い
財務局長等は、法第5条第1項及び第12条第1項に基づく、注視区域及び特別注視区域の指定に係る告示の前であっても、法第2条第2項第1号に定める防衛関係施設、同項第2号に定める海上保安庁の施設及び同項第3号に定める生活関連施設に該当し得る施設周辺の未利用国有地等については、区域の指定に係る告示の有無が判明するまでの間は、上記第4-3-(1)の取扱いに留めるものとする。
4保全財産の取扱い
保全財産について貸付け又は管理委託による暫定活用をする場合は、上記第4-3-(2)を準用する。
第8各省各庁所管財産の取扱い
各省各庁の国有財産総括部局長は、上記第3ただし書に掲げる国有財産(国有財産法施行令第22条の2第1号及び第2号に掲げるものを除く。)について、原則として、本通達の定めるところにより処理することとする。
なお、上記第3に定める指定区域内に所在する国有財産の把握、上記第4-1に定める調査等は、各省各庁において対応する。
また、上記第3に定める報告、上記第4-2に定める意見照会依頼及び上記第4-5の管理処分状況に関する報告は、各省各庁より財務省宛に行うこととする。
第9国有財産総括部局長の対応
各省各庁の国有財産総括部局長は、本通達の内容について、管下の関係機関に対して周知徹底を行うとともに、各省各庁の国有財産部局等の長は、財務局長等が本通達に基づいて実施する指定区域内の国有財産の調査や物件調書の作成などに際し、財務局等から各省各庁に対して必要な資料の提出の依頼等があった場合には、適切に対応することとする。
第10本省協議
財務局長等は、本通達により処理することが適当でないと認められる場合は、本省と協議の上、個別に処理方針を定めるものとする。
第11書面等の作成・報告等の方法
1電子ファイルによる作成
本通達に基づき、作成を行う書面等(書面その他文字、図形その他の人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。以下同じ。)については、電子ファイルにより作成を行うことができる。
2電子メール等による報告等
(1)本通達に基づく報告等の手続のうち、書面等により行うこととしているものについては、電子メール等の方法により行うことができる。
(2)上記(1)の方法により報告等を行うときは、電子ファイルをもって行うものとする。