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介護施設整備に係る国有地の有効活用について

平成 27 年12 月 21 日
財理第4997


改正平成28年3月17日財理第961号

30年3月30日同第1150号

30年7月2日同第2242号

30年12月26日同第4269号

31年3月29日同第1190号

令和元年9月20日同第3211号

2年1月31日同325号

2年6月24日同第2171号

3年6月11日同第1932号

4年5月10日同第1693号

6年2月5日同291号

財務省理財局長から各財務(支)局長、沖縄総合事務局長宛

未利用国有地等の管理処分に当たっては、令和元年 9 月 20 日付財理第 3211 号「最適利用に向けた未利用国有地等の管理処分方針について」通達(以下「最適利用通達」という。)に基づき、個々の財産の特性を踏まえながら、地域や社会の要請及び国の財政事情を勘案し、有効活用を推進することとしている。

特に社会福祉分野については、優先的売却に加え定期借地権(借地借家法(平成 3 年法律第 90 号)第 22 条第1項に規定する借地権及び第 23 条第 1 項又は第 2 項に規定する借地権をいう。以下同じ。)による貸付制度を活用した国有地の有効活用を進めることとしており、具体的な取扱いについて、令和元年 9 月20 日付財理第 3207 号「定期借地権を設定した貸付けについて」通達(以下「定借通達」という。)に定めているところである。

引き続き上記の方針に基づき国有地の有効活用を進めていくこととなるが、平成 27 年 11月 26日、「一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策」が取りまとめられ、用地確保が困難な都市部等において、賃料減額といった国有地の更なる活用などにより介護施設等整備を促進することとされたところである。

これを受け、特に都市部における介護施設整備の加速化に資するよう、定期借地権による減額貸付等を実施し、国有地の更なる活用を図るため、最適利用通達又は定借通達の規定にかかわらず、下記によることとしたので通知する。

なお、下記に掲げる事項以外の取扱いについては、これらの通達に定めるところによることを念のため申し添える。

対象期間

平成 28 年 1 月1 日から令和 8 年3 月 31 日までの間に貸付相手方へ決定通知を出す場合を対象とする。

対象地域

東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、愛知県、大阪府、兵庫県及び福岡県

対象施設

別添第1に定める施設を対象とする。なお、当該施設に別添第2に定める施設が合築又は併設される場合は、当該施設を対象施設に含める。

処分等手続き

(1)地方公共団体との連携

都市部における介護施設整備の加速化に資するよう国有地を有効に活用していくためには、地域における介護施設整備の需要や課題を十分把握し、これに的確に対応していくことが必要である。したがって、本通達に基づく処理の効果的な実施に向けて、介護施設整備の促進に資する効果的な情報提供のあり方、事業者の選定方法、国有地の処分等スケジュールなどのほか、街づくりの観点からの他の公的用途との利用調整などについて十分協議を行うなど、対象地域の地方公共団体(以下「対象地方公共団体」という。)との連携の下、適切に進めるよう努めるものとする。

(2)地方公共団体に対する情報提供

対象施設の整備に資するよう、対象地方公共団体に対し、以下のとおり情報提 供を行うものとする。

対象地方公共団体に対し、情報提供を行った財産については、情報提供後速やかに財務局等ホームページにおいて、地方公共団体に情報提供を行っている旨を掲載する。

なお、情報提供にあたって、情報提供を行う財産が最適利用通達記第2-13に規定する留保財産とされるか否かが明らかになっていない場合には、当該財産が留保財産に選定された場合は、当該財産は定期借地権による貸付により活用されることとなるとともに、その利用用途については、民間事業者や地方公共団体からの意見を踏まえつつ、介護施設整備の適否も含めて検討を行い、最適利用を図るための利用方針が決定される旨を明示する。

情報提供対象財産の選定

対象地方公共団体と協議の上、対象施設の整備に資すると認められる未利用国有地(現に引受けが行われていない場合であっても引受けが決定している国有地を含む。)を情報提供対象財産として選定する。

情報提供の実施時期

上記イにより選定した財産は、原則として、当該財産が最適利用通達記-第2-13に規定する留保財産とされる場合には、同通達記-第5-2に規定する利用方針案の作成に先立ち情報提供を行うものとし、当該財産が留保財産以外の未利用国有地等とされる場合には、同通達記-第7-3-(1)に規定する取得等要望の受付に先立ち情報提供を行うものとする。

(3)地方公共団体への情報提供後の対応

上記2の情報提供を行った後の対応については、情報提供財産が、最適利用通達記-第4に定める留保財産の選定を通じて留保財産とされるか否かを踏まえて、以下のとおり対応するものとする。

情報提供対象財産が留保財産とされる場合

最適利用通達に定める手続きを進めるものとし、同通達記-第5-2に規定する利用方針の案の作成にあたっては、対象地方公共団体への情報提供の結果も考慮し、検討を行うものとする。

情報提供財産が留保財産以外の未利用国有地等とされる場合

(イ) 対象地方公共団体への情報提供の結果、対象地方公共団体から、当該地方公共団体における対象施設の整備のための活用を検討したい旨の要望(注)があった場合、当該要望の対象となった財産については、対象地方公共団体と協議の上、最適利用通達記-第6-4に規定する個別活用財産とするものとする。

(ロ) 対象地方公共団体における検討の結果、具体的な取得等要望があった場合は、取得等要望書の提出を受け、本通達、最適利用通達及び定借通達に定める処分等の手続きを進めるものとし、具体的な取得等要望がない場合は、下記(ハ)に基づき、処分等を進めるものとする。

(ハ) 上記(イ)の要望がない財産については、最適利用通達の規定に基づき、確認文書の送付及び財務局等ホームページへの掲載を行い、処分等を進めることとするが、その際、対象地方公共団体が対象施設の整備のための活用を優先することが望ましいとの意見を有する場合は、取得等要望の受付に当たって、その旨を表示することができるものとする。

(注)対象地方公共団体による利用(借受けし社会福祉法人へ転貸する場合を含む。以下同じ。)を検討する場合のほか、対象地方公共団体が社会福祉法人を公募等により選定して利用させることを検討する場合を含む。

(4)契約締結期限の特例

介護保険法(平成 9 年法律第 123 号)第 117 条第 1 項に規定する市町村介護保険事業計画その他地方公共団体が策定する計画に沿った整備を行うため、処分等相手方への決定通知送付の日から起算して 2 年を超えて契約を締結する必要があると認められる場合は、その内容を審査のうえ、2 年を超えて必要な契約締結期限を定めることができるものとする。

定期借地権による貸付けの特例

対象地方公共団体又は社会福祉法人を貸付相手方として、対象期間内に対象地域において対象施設の用に供するため新規に定期借地権による貸付契約を締結する場合は、以下の取扱いによるものとする。

(1)貸付料

貸付期間の初日から起算して 10 年間(以下「減額貸付期間」という。)に限り、国有財産特別措置法(昭和 27 年法律第 219 号)第 3 条の規定に基づき、定借通達記4-(1)により算定した貸付料を減額する。

なお、貸付料の算定に当たっては、平成 14 年 3 月 29 日付財理第 1169 号「優遇措置の取扱いについて」通達の規定は適用せず、昭和48 年 12 月 26 日付蔵理第5722 号「国有財産特別措置法の規定により普通財産の減額譲渡又は減額貸付けをする場合の取扱いについて」通達(以下「減額通達」という。)に定めるところによる。

この場合において、減額通達記-第 1 - 2 -(2)-ロに規定する準適正規模の減額率は、5 割として算定するものとする。

(注1)貸付料を減額する期間は貸付期間の初日から起算して 10 年間に限るものとし、当該期間経過後の期間(以下「時価貸付期間」という。)の貸付料については、時価によるものとなることに留意のこと。

(注2)地方公共団体が借受けし社会福祉法人に転貸する場合、貸付料は時価によるものとなることに留意のこと。

(注3)対象施設に社会福祉法(昭和 26 年法律第 45 号)第 2 条に規定する社会福祉事業の用に供する施設で対象施設以外の施設が併設される場合、当該併設施設に係る貸付料は、時価によるものとなることに留意のこと。

(2)一時金等の取扱い

契約保証金

契約保証金の納付は要しない。

前納貸付料

(イ)上記(1)により貸付料を減額する場合において、貸付料を前納する場合の限度額は、減額措置を行わないとした場合の貸付当初の貸付料年額に貸付期間の月数(暦に従って計算し、一月に満たない端数を生じたときは、これを一月とする。以下、(ロ)において同じ。)を乗じて得た額を 12 で除して得た額(その額に 1 万円未満の端数があるときは、これを切り捨てる。以下、(ロ)において同じ。)の 2 分の 1 を限度として、貸付相手方と協議の上定めるものとする。

(ロ)上記(イ)に基づき前納される貸付料の一部(以下「前納貸付料」という。)は、以下のとおり減額貸付期間と時価貸付期間に按分した上で、各期間における貸付料にそれぞれ毎年均等に充てられるものとする。ただし、毎年の貸付料に充てる額に 1 円未満の端数が生じる場合等必要に応じ、貸付相手方と協議の上、貸付料に充てる金額を調整することができるものとする。

減額貸付期間に充当する前納貸付料

前納貸付料×A/(A+B)

時価貸付期間に充当する前納貸付料

前納貸付料×B/(A+B)

(注)上記ⅰ及びⅱの算式における記号の意味は下記のとおり。

A:貸付当初の貸付料年額(減額後の額)に減額貸付期間の月数を乗じて得た額を 12 で除して得た額

B:減額措置を行わないとした場合の貸付当初の貸付料年額に時価貸付期間の月数を乗じて得た額を 12 で除して得た額

(3)標準合意書式又は標準契約書式

上記(1)により貸付料を減額する場合の貸付契約は、別紙様式第1号国有財産有償貸付合意書(定期借地、用途指定、減額、分割納付(新規用))を標準合意書式として、公正証書により作成することとする。なお、公正証書の作成費用は、借受人の負担とする。

ただし、定借通達記3-(1)の場合の貸付契約は、別紙様式第2号国有財産有償貸付契約書(一般定期借地、用途指定、減額、分割納付(新規用))を標準契約書式として、契約を締結することができる。

国有財産有償貸付合意書又は国有財産有償貸付契約書(以下「国有財産有償貸付合意書等」という。)は、別紙様式第3号国有財産有償貸付合意書等送付文書(前納貸付料がない場合)又は別紙様式第4号国有財産有償貸付合意書等送付文書(前納貸付料がある場合)と併せて送付するものとする。

(4)改定通知

貸付料の改定通知を行う場合には、平成 13 年 3 月30 日付財理第 1308 号「普通財産貸付事務処理要領」通達記-第 1 節-第 3 -4 -(1)の規定にかかわらず、別紙様式第5号改定通知文書(前納貸付料がない場合)又は別紙様式第6号改定通知文書(前納貸付料がある場合)により通知を行うものとする。

経過措置

定借通達に定める定期借地貸付を行う事業の適正な運営の履行確保にかかる措置のうち、同通達記-6-(1)-イ及び(2)の規定は、令和2年6月24日までに契約が締結されたもの又は公的取得要望の受付を通じた審査を開始しているものについては、適用しないことができる。

特例処理

本通達により処理することが適当でないと認められる場合には、その事由を付した処理案により理財局長の承認を得て処理することができるものとする。

書面等の作成・送付等の方法

(1)電子ファイルによる作成

本通達に基づき、作成を行う書面等(書面その他文字、図形その他の人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。以下同じ。)については、電子ファイルにより作成を行うことができる。

(2)電子メール等による送付等

本通達に基づく送付等の手続のうち、書面等により行うこととしているものについては、電子メール等の方法により行うことができる。

上記イの方法により送付等を行うときは、電子ファイルをもって行うものとする。

(3)適用除外

上記(1)及び(2)の措置は、本通達に規定する手続のうち、次に掲げる場合については適用しないものとする。

記-4-(3)-ロ-(ロ)に規定する取得等要望書の提出を受ける場合

記-5-(3)-イに規定する別紙様式第1号国有財産有償貸付合意書(定期借地、用途指定、減額、分割納付(新規用))を公正証書により作成する場合又は別紙様式第2号国有財産有償貸付契約書(一般定期借地、用途指定、減額、分割納付(新規用))を作成する場合

記-5-(3)-ロに規定する別紙様式第3号国有財産有償貸付合意書等送付文書(前納貸付料がない場合)又は別紙様式第4号国有財産有償貸付合意書等送付文書(前納貸付料がある場合)を送付する場合

記-5-(4)に規定する別紙様式第5号改定通知文書(前納貸付料がない場合)又は別紙様式第6号改定通知文書(前納貸付料がある場合)により通知する場合