このページの本文へ移動

民有地上の国有建物の処理について

昭和61年4月23
蔵理第1686


改正昭和61年 6 月10日蔵理第2282号

平成 4 年12月14日同第4650号

同13年 3 月30日財理第1296号

令和 3 年 9 月21日同 第3258号

大蔵省理財局長から各財務(支)局長、沖縄総合事務局長宛

国以外の者の所有する土地の上に所在する普通財産である建物(以下「民有地上の国有建物」という。)を当該建物敷地の所有者(以下「地主」という。)又は当該建物の賃借人(以下「借家人」という。)に売払い等する場合の取扱いについては、下記によることができることとしたので、通知する。

なお、この通達の趣旨は、民有地上の国有建物の処理促進を図ることにある。

おって、次の通達は廃止する。

昭和43年3月27日付蔵国有第435号「民有地上に所在する普通財産(旧軍工員宿舎等の建物)を処分する場合の取扱いについて」

昭和44年7月31日付蔵理第3291号「民有地上の国有建物を処分する場合における借地権価格の取扱いについて」

昭和47年6月26日付蔵理第2749号「民有地上の物納建物の評価の特例について」

第1借地権価格の取扱い

民有地上の国有建物が次の各号の一に該当する場合においては、当該建物価格に借地権価格を加算しないことができるものとする。

(1)旧軍から引継ぎを受けた建物で、現在居住の用に供するため有償貸付けしているものを売払いするとき。

(2)行政財産の用途廃止により引き受けた民有地上の国有建物を地主に対して売払いする場合において、次の各号の一に該当するとき。ただし、敷地の借受けに当たって借地権利金を支払っている場合を除く。

借受契約において、国が借地を特定の具体的な用途に使用し、かつ、当該用途に使用しなくなったときは貸借期間が満了し、国は借地を返還しなければならないことが明確に約定されている場合

借受契約において、国は借地を当初の借受目的の用途以外の用途に使用しないことが明確に約定されている場合で、借受目的が限定的、一時的であり、当該貸借期間が借地借家法第3条(ただし、借受けの始期が同法施行前である場合にあっては、廃止前の借地法第2条第2項)に定める借地権の存続期間より短期間のうちに終了することが明らかに予想された場合

(注) 例えば貸借期間を、具体的な建設計画の存する新庁舎の完成までと定めている場合又は数年のうちに終了する見込のある国の特定事業が継続する間と定めている場合等

敷地の借料が固定資産税額程度を超えない低額な場合で、地主にとって収益性が極めて低いと認められるとき等地主が犠牲的に土地を提供しているものと認められる場合

(注) この号の適用に当たっては、経済的な犠牲にとどまらず、例えば住民感情等からみて通常その設置に難色を示される刑務所、結核療養所等のような特殊な施設の設置に当たり、国又は地方公共団体の強い説得の結果、敷地が提供された場合も含めて差し支えない。

上記のほか、借受契約締結の経緯及び契約内容からみて、上記各号に定める場合と同様の趣旨に即しており、借地権価格を加算することが適当でないと認められる場合

民有地上の国有建物が有償貸付している物納財産であり、かつ、耐用年数が満了している木造建物であって、当初の貸付契約締結の日から、当該建物及び当該敷地の価格時点までの経過した期間(以下「経過期間」という。)が20年以上である場合においては当該建物価格に加算する価格は、次により算定した額によることができるものとする。

借地権価格×【1-〔0.4+0.05×(n-20)〕】

(注1) この場合においては、通常の借地権価格から当該借家人の存在により評価として減額される価格相当分を控除した額を借地権価格として算定する。

(注2) nは経過期間とする。ただし、nが30年を超えるものについては、30年にとどめる。

(注3) 経過期間の計算に当たって、1年未満の端数が生じた場合においては、当該端数は切り捨てる。

(注4) 物納引受後から貸付けに移行するまでの間、その建物が貸付契約等の手続未済であったものを含む。

第2国有建物の取扱い

次の各号の一に該当する民有地上の国有建物を、地主に対して存置する建物として売払う場合の建物価格は存置する建物としての価格と解体する建物としての価格の平均価格まで修正できるものとする。

(注) 本規定は、地主から当該建物の解体撤去要求があった場合であって、地主に対して売払うこととなったときに限り適用するものとする。

(1)当該建物敷地の借受けが使用貸借契約によっている場合であって、法律又は契約条項に基づき原状回復のうえ借地を返還しなければならないとき

(2)当該建物敷地の借受けが借地契約又は賃貸借契約によっている場合であって、法律又は契約条項に基づき原状回復のうえ借地を返還しなければならないときであり、かつ、「借地借家法」(平成3年法律第 90 号)第 13 条 又は第 14 条の規定に基づく建物買取請求権を行使し得ないとき

次の各号の一に該当する民有地上の国有建物を地主が自己の負担で解体撤去する場合においては、地主から解体撤去工事の申請書の提出を受け、これを承認することによって処理することができるものとする。

(1)1の(1)に該当する建物について、地主が当該建物の売払いに応じないとき

(2)1の(2)に該当する建物について、地主が当該建物の売払いに応ぜず、かつ、第1 の1により借地権価格を加算しないことができるとき

第3その他

本通達の適用に当たっては、法務局又は顧問弁護士の意見を徴する等、慎重に処理すること。

民有地上の国有建物の処理に伴って工作物を処理する場合においては、第2の規定に準じることができるものとする。

民有地上の国有建物については、次に掲げる者に売り払うものとする。

(1)地主が買受けを希望し、借家人に異議がない場合は地主。

(注)この場合、国は事前にその旨を借家人に通知する。

(2)借家人が買受けを希望し、地主に異議がない場合には借家人。

(注)この場合、一定期限内に、借家人に地主の承諾書を取付けさせ、国に提出させる。

(3)地主及び借家人がともに買受けを希望する場合において、借家人が一定の期間内に地主を説得した上承諾書を取付けたときは借家人、承諾書を取付けることができなかったときは地主。

借地権価格及び建物価格は「国有財産評価基準」により求めるものとする。

書面等の作成・提出等の方法

(1)電子ファイルによる作成

本通達に基づき、作成を行う書面等(書面その他文字、図形その他の人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。以下同じ。)については、電子ファイルにより作成を行うことができる。

(2)電子メール等による提出等

本通達に基づく提出等の手続のうち、書面等により行うこととしているものについては、電子メール等の方法により行うことができる。

上記イの方法により提出等を行うときは、電子ファイルをもって行うものとする。

(3)適用除外

上記(1)及び(2)の措置は、本通達記第2の2に規定する手続のうち、解体撤去工事の申請書を徴する手続については適用しないものとする。