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国有財産等の評価に係る不動産鑑定業者の選定方法について

令和元年9月24日
財理第3228


財務省理財局長から各財務(支)局長、沖縄総合事務局長宛

財務局長、福岡財務支局長及び沖縄総合事務局長(以下「財務局長等」という。)が、土地若しくは建物又はこれらに関する所有権以外の権利を、平成13年3月30日付財理第1317号「国有財産評価基準について」通達に基づき評価するに当たり、各財務(支)局及び沖縄総合事務局(財務事務所、出張所を含む。)における支出負担行為担当官及び分任支出負担行為担当官(以下「支出負担行為担当官等」という。)が、不動産鑑定業者(以下「鑑定業者」という。)に対して不動産鑑定評価、不動産価格等調査並びに精通者意見(以下「鑑定評価等」という。)を依頼する場合の取扱いについては、下記によることとしたから、通知する。

なお、本通達は、令和元年12月1日以降、鑑定業者の募集を公告するものから適用する。

第1鑑定業者の選定方法

選定要件

鑑定業者は、次に掲げる要件を満たす者の中から選定する。

(1)評価財産の評価について意見を具申するにふさわしい能力、信用を有する者

(2)職務上知り得た秘密を漏らすおそれのない者

(3)評価財産の取得又は処分等の相手方との利害関係を有しないと認められる者

選定方式

鑑定評価等の依頼に当たっては、原則として、企画競争又は価格競争のいずれかの方式によって鑑定業者を選定する。

(1)企画競争

次に掲げる場合には、企画競争により複数の鑑定業者を選定する。

評価財産の概算評価額が10億円以上(東京都23区内においては、20億円以上)の場合

(注) 土地の概算評価額は、昭和39年4月25日付直資56、直審(資)17国税庁長官通達「財産評価基本通達」の規定に基づき職員が算定した相続税評価額とし、建物の概算評価額は、国有財産台帳価格とする。

なお、賃料に係る鑑定評価等を依頼する場合において、評価財産の概算評価額は、完全所有権として算定した価額とする。

評価財産に次の特性があり、鑑定評価等に高度な技術を要すると認められる場合(ただし、評価財産の概算評価額が2千万円未満の場合は除く。)

(イ)地下埋設物又は土壌汚染等が幅広く存在し、地中リスクが大きい財産

(ロ)限定価格・限定賃料、定期借地に係る新規地代等特殊な価格類型の財産

(ハ)一般的な鑑定評価手法以外の手法・ノウハウが必要となる特殊な権利(区分地上権、地役権又は鉱泉地等)に係る財産

(ニ)大規模な建物、構造が特殊な建物又はアスベストが存する建物など、解体時等に特殊な作業工程が必要となる建物が付随する財産

(ホ)地域において通常取引されているものと比べ、著しく地積が広大な財産

評価財産に次の特性があり、その価格又は賃料について社会的関心が高いと認められる場合(ただし、評価財産の概算評価額が2千万円未満の場合は除く。)

(イ)評価財産に関して報道がなされるなど、国民一般の関心が高いと考えられる財産

(ロ)土地区画整理、再開発又は交換が行われる場合など、財産価値によって利害関係の調整が行われる財産

財務局長等が必要と認める場合

(2)価格競争

価格競争の区分

企画競争の要件に該当しない場合には、次の区分による価格競争の方法により鑑定業者を選定する。

(イ)鑑定評価等手数料の予定価格が百万円を超える場合は、一般競争入札

(ロ)鑑定評価等手数料の予定価格が百万円以下の場合は、一定の参加要件を設けつつ、ホームページ等で公告を行い、広く参加者を募る方式(以下「エリアエキスパート選定方式」という。)

参加要件

一般競争入札又はエリアエキスパート選定方式のいずれにおいても、鑑定業者の選定に当たっては、次の参加要件を設定する。

(イ)概算評価額が2千万円以上の財産においては、評価財産と同一域内で直近3年以内に地価公示鑑定評価員の実績を有すること。

(ロ)概算評価額が2千万円未満の財産においては、次のいずれかの要件を満たすこと。

評価財産と同一域内に事務所を有すること。

評価財産と同一域内で直近3年以内に鑑定評価の実績を有すること。

(ハ)評価財産に(1)ロの特性があるものの、企画競争により複数の鑑定業者を選定する必要は認められない財産においては、評価財産と同種・類似の財産を評価した実績を有すること。

(注)同一域内とは、都道府県単位を基本とし、隣接する都府県や局管内など各財務局等において設定した地域を指す。

(3)その他の方式

次に掲げるような場合であって、エリアエキスパート選定方式により難い場合又はその他の方式の方が適切と認められる場合には、評価財産に精通した複数の者を対象とする見積り合せ等により鑑定業者を選定することができる。

評価財産が山間部若しくは島嶼部等に所在する場合又は林地若しくは原野等であるために鑑定業者が著しく限定される場合。

緊急に発注を行う必要があり、エリアエキスパート選定方式を行うだけの時間的余裕のない場合。

基本的な価格形成要因に変更のない単なる時点修正の場合。

第2経費の節減等

支出負担行為担当官等において同一域内に所在する複数の評価財産の鑑定評価等を同一時期に依頼する場合は、可能な限りまとめて依頼することにより、鑑定評価等手数料の経費節減及び事務の効率化を図るものとする。

(注)支出負担行為担当官等は、評価財産の所在地、規模等を勘案して、まとめて依頼することの可否を判断するものとする。

なお、複数財産をまとめて依頼する場合、評価財産の概算評価額の合計額により鑑定業者の選定方式等について判断するものとする。

また、まとめて依頼する複数財産のうち、一件でも第1―2(1)ロ、ハ又は同項(2)ロ(ハ)に該当するものがあれば、まとめて依頼する全体について、それぞれ定める選定方式等を適用するものとする。

第3特例処理

本通達により処理することが適当でないと認められる場合には、理財局長の承認を得て処理することができるものとする。