このページの本文へ移動

物納等有価証券に関する事務取扱要領について

平成22年6月25日

財理第2532


改正平成23年2月14日財理第 627 号

23年6月17日同第2894号

24年5月22日同第2446号

25年6月27日同第3092号

29年4月 3日同第1167号

令和元年6月27日同第2229号

2年12月23日同第4154号

4年6月20日同第2203号

5年6月12日同第1657号

5年12月22日同第3431号

財務省理財局長から各財務(支)局長、沖縄総合事務局長宛

物納等有価証券に関する事務取扱を下記のとおり定め、平成22年7月1日から適用することとしたから、通知する。

なお、この通達の趣旨は、物納等有価証券の取扱いに関する通達を整理・統合し、併せて同取扱いの明確化を図ることにある。

次に掲げる通達は廃止する。

平成13年3月30日付財理第1299号「物納等有価証券の取扱要領について」

平成18年6月29日付財理第2641号「物納等有価証券に関する事務取扱要領について」

目次

第1基本方針

第2用語の定義

第3物納申請有価証券の調査事務

物納申請有価証券の調査の実施

税務署等との連絡調整

第4物納等有価証券の引受事務

物納有価証券の引受け

国庫帰属有価証券の引受け

物納等有価証券の所属替

第5物納等有価証券の管理事務

株主権の行使

清算中の会社の株式の管理

名義書換失念株等の取扱い

株主優待券等の取扱い

金融商品市場での取引の有無について変更があった場合の取扱い

第6物納等有価証券の処分事務

金融商品市場で取引のある有価証券(上場国債を除く。)

非上場株式

非上場新株予約権

金融商品市場で取引のない公社債(転換社債型新株予約権付社債を含む。)

金融商品市場で取引のない信託の受益権等

国債

単元未満株式

第7関東財務局長による大量保有報告書等の提出

第8物納等有価証券の管理状況に係る報告

第9無実体法人の発行に係る有価証券の取扱い

無実体法人の定義

国有財産台帳からの除却

実態調査の実施要領

有価証券現物の取扱い

第10特例処理

第11経過措置

第12書面等の作成・提出等の方法

別添金融商品市場で取引のある有価証券の処分に係る委託証券会社の選定方法について

第1基本方針

次の考え方を基本として、物納申請された有価証券及び物納された有価証券の事務処理に取り組む。また、相続人の不存在等のため国庫に帰属された有価証券の事務処理については、これに準じて取り扱う。

適正かつ円滑な事務処理

物納申請があった有価証券の調査及び引受けに当たっては、物納者の利害に深く関与するものであることから、税務署等と緊密な連携をとりながら、適正かつ円滑な事務処理に努める。

迅速かつ確実な事務処理

相続税法(昭和25年法律第73号)において物納申請から許可又は却下までの処理期間が定められ、この期間内に物納の許可又は却下が行われない場合は、当該物納が許可されたものとみなされることを踏まえ、迅速かつ確実な事務処理を行う。

早期の処分

物納有価証券は、相続税の金銭による納付が困難な場合に限り、金銭に代わるものとして納付されたものであることから、早期の処分に向け計画的に取り組む。

なお、非上場株式で随意契約により処分するものについては、随意契約適格者に対し買受けを勧奨する等処分の促進を図る。

適正な管理

物納有価証券を処分するまでの間においては、その価値の保全を図る観点から、株主権の行使を含め、適正な管理を行う。

第2用語の定義

本通達において使用する用語の定義は以下による。

物納申請有価証券相続税法第41条に基づき物納申請された有価証券

物納有価証券同法同条に基づき物納が許可された有価証券

国庫帰属有価証券相続人の不存在等のため民法等により国庫帰属された有価証券

物納等有価証券物納申請有価証券、物納有価証券、国庫帰属有価証券及び物納された株式の管理中に当該株式の株主として割り当てられた新株予約権

上場株式金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第16項に規定する金融商品取引所において上場されている株式(同法第67条の11第1項に規定する店頭売買有価証券登録原簿に登録されている株式を含む。)

非上場株式上場株式以外の株式

金融商品市場金融商品取引法第2条第17項に規定する取引所金融商品市場

振替社債等社債、株式等の振替に関する法律(平成13年法律第75号。以下「社債等振替法」という。)第2条に規定する社債等のうち、その権利の帰属が、同法の規定による振替口座簿の記載又は記録により定まるもの。ただし、金融商品市場で取引のある有価証券を除く。

信託の受益権等国有財産法(昭和23年法律第73号)第2条第1項第6号に規定する信託の受益権及びこれに準ずるもの

10名義書換失念株株式の処分後において、譲受人の名義書換未済により、株主が発行会社の株主名簿上、財務大臣又は大蔵大臣名義となっている株式

11配当金等株式等に対する金銭配当、株式分割及び清算分配金等

12管理処分適否及び劣後判断物納申請有価証券が相続税法第41条第2項等に基づく管理処分不適格財産及び同条第4項等に基づく物納劣後財産に該当するかの判断

13調査依頼相続税法第42条第2項等の規定により税務署等が行う調査に当たり、税務署等が管理官庁としての意見に関して財務局等に求める調査の依頼

14補完相続税法第42条第8項の規定により、税務署等が物納申請者に物納申請書の訂正又は物納手続関係書類の訂正若しくは提出を求めること

15条件付許可相続税法第42条第30項の規定により税務署等が物納申請有価証券の性質その他の事情に照らし必要があるときに条件を付して行う許可

16随意契約適格者予算決算及び会計令臨時特例(昭和21年勅令第558号。以下「予決令臨時特例」という。)第5条第1項第8号に該当する者(注)

(注)令和4年6月15日付財理第2087号「普通財産の管理及び処分を行う場合において指名競争に付し又は随意契約によることについての財務大臣との包括協議について」通達の別紙1の第2の4(1)から(3)に掲げる者については、予決令臨時特例第5条第2項の規定に基づく財務大臣協議が整っている。

17税務署等税務署及び、税務署から国税局又は沖縄国税事務所へ事務を引き継ぐものにあっては国税局又は沖縄国税事務所

18財務局等財務局、財務支局、沖縄総合事務局、財務事務所及び沖縄総合事務局財務出張所

19財務局長等財務局長、財務支局長及び沖縄総合事務局長

第3物納申請有価証券の調査事務

物納申請有価証券の調査の実施

(1)調査の実施

財務局等は、税務署等から「物納申請財産調査依頼書」により、物納申請有価証券の管理処分の適否等について調査依頼を受けた場合には、「物納申請有価証券調査票」(別紙第1号様式)により所要の調査を行う。

なお、「物納申請財産調査依頼書」に添付される書類は以下のとおりである(ハ及びニは非上場株式のみに添付)。

物納事務整理票

物納財産目録

相続税法施行規則(昭和25年大蔵省令第17号)第22条第2項第6号に規定する以下の書類

(イ)非上場株式に係る法人の登記事項証明書

(ロ)非上場株式に係る法人の株主名簿の写し

(ハ)税務署長が次に掲げる行為を求めた場合には、これを履行することを物納申請者が約する書類(以下「物納財産売却手続書類提出等確約書」という。)

金融商品取引法その他の法令の規定により一般競争入札に際し必要なものとして定められている書類(有価証券届出書及び目論見書等)を発行会社が税務署長に求められた日から6ヶ月以内に提出すること。

株式の価額を算定する上で必要な書類を速やかに提出すること。

非上場株式に係る法人の決算書(物納の許可の申請の日前2年間に終了した事業年度に係るものに限る。)

(2)管理処分適否及び劣後判断に係る基準

財務局等は、管理処分適否及び劣後判断を行う場合には、「管理処分適否・劣後判断に係る審査分担表」(別表第1)に留意する。

なお、物納申請有価証券が非上場株式である場合には、上記(1)の「物納申請財産調査依頼書」の添付書類を確認する。また、当該非上場株式が物納劣後財産の要件である事業の休止をしている法人に係る株式に該当するかについては、個別事情に即して発行会社からのヒアリングや現地調査等を行い、適切に判断する。

(3)税務署等に対する回答

財務局等は、上記(1)の調査結果について、調査依頼を受けた日の翌日から20日以内を目途に、次により税務署等に回答する。

また、税務署等や物納申請者から照会があった場合には、迅速かつ適切に対応する。

なお、相続税法基本通達42-9の規定により、物納申請財産が多数である場合又は非上場株式の各種照会手続若しくは財産の性質、形状その他の特徴により審査等に相当の期間を要すると認められる場合には、可能な限り早期に税務署等と調整するものとする。

補完を求める必要がない場合の取扱い

「物納申請有価証券に係る調査の回答について」(別紙第2号様式)により回答する。

なお、管理処分不適格と回答する場合には、税務署等が物納申請者に通知する物納却下通知書に、管理処分不適格とする理由の写しが添付されることから、その記載内容は物納申請者にとって理解しやすいものとなるよう努める。

補完を求める必要がある場合の取扱い

「物納申請有価証券に係る補完事項連絡票」(別紙第3号様式)により回答する。

なお、当該連絡票に添付する理由書の写しは、税務署等が物納申請者に通知する補完通知書に添付されることから、上記イのなお書きと同様に対応する。

(4)条件付許可の通知等

上記(3)のイの「物納申請有価証券に係る調査の回答について」(別紙第2号様式)による回答は、条件付許可の請求を兼ねるものとし、非上場株式について回答する場合には、上記(1)のハの「物納財産売却手続書類提出等確約書」で約された行為の履行を条件とする旨を記載する。

なお、税務署等が物納申請者に条件付許可を行った場合には、税務署等から財務局等に当該許可通知書の写しを添えて通知されることに留意する。

(5)補完済事項の確認

財務局等は、上記(3)のロによる回答後、税務署等から補完済通知書を受理した場合には、その確認調査を行い、当該調査の結果を上記(3)のイの「物納申請有価証券に係る調査の回答について」(別紙第2号様式)により税務署等に回答する。

なお、税務署等から補完済通知書を受理した日から10日以内を目途に回答する必要があることから効率的に審査する。

税務署等との連絡調整

財務局等は、国税局及び沖縄国税事務所との間において、「物納事務連絡会」を定期的に開催するなど連絡調整に努める。

第4物納等有価証券の引受事務

物納有価証券の引受け

(1)上場株式(「上場株式の振替による物納引受・所属替等の流れ」(別表第2-1)参照)

財務局等は、以下の手順により、物納者が財産を保有する証券会社の口座(以下「物納者名義の口座」という。)から、関東財務局が上場株式の管理処分を委託している証券会社(以下「委託証券会社」(注)という。)に開設している財務大臣名義の口座(以下「取引口座」という。)に振替を行わせる。

(注)委託証券会社の選定手続は、別添「金融商品市場で取引のある有価証券の処分に係る委託証券会社の選定方法について」により行う。

財務局等は、上記第3の1の(3)において、管理処分が適当である旨を「物納申請有価証券に係る調査の回答について」(別紙第2号様式)により税務署等に回答する場合には、取引口座の名義等を併せて通知する。

財務局等は、税務署等を通じて、物納者が物納者名義の口座を保有する証券会社に送付する振替指図書の写しを入手し、当該物納者の氏名、株式の銘柄、株数、振替元の証券会社名及び振替依頼日等を把握し、電子メール等により関東財務局へ送付する。

関東財務局は、物納者名義の口座から取引口座へ振替が行われた後、証券会社から株式等増加に係る通知を受領し、財務局等に送付する。

財務局等は、当該通知に基づき、速やかに「振替内容について」(別紙第4-1号様式)を作成し、税務署等に送付する。

財務局等は、税務署等から送付される物納財産明細書及びその他関係書類を添付した物納財産引継書の内容を確認した後、速やかに「物納有価証券引受書」(別紙第4-2号様式)を作成し、税務署等に送付する。

(2)金融商品市場で取引のある有価証券(上場株式を除く。)

上記(1)と同様に、物納者名義の口座から取引口座に振替を行わせる。

(3)有価証券の現物

財務局等は、物納財産引継書に添付されている証券現物(登録国債又は社債等登録法(昭和17年法律第11号)の規定により登録した社債等については、登録済通知書又は登録済証)、物納財産明細書及びその他関係書類の内容を確認後、速やかに「物納有価証券引受書」(別紙第4-2号様式)を作成し、税務署等に送付する。

(4)振替社債等(「振替社債等の物納引受・所属替等の流れ」(別表第2-3)参照)

財務局等は、振替社債等の発行法人等の本店の住所を管轄とする他の財務局等(以下「他の財務局等」という。)に対し、以下の手順により、口座管理機関(社債等振替法第2条第4項に規定する口座管理機関をいう。以下同じ。)に取引口座を開設させ、物納者が財産を保有する口座管理機関の口座から、当該他の財務局等が開設した口座管理機関の口座に振替を行わせる。

財務局等は、税務署等から調査依頼を受けた場合において、他の財務局等に対し、連絡及び調整を行い、速やかに取引口座を開設させる。その際、財務局等は、必要に応じて他の財務局等と上記第3の1の(3)本文の日数について調整する。

財務局等は、上記第3の1の(3)において、管理処分が適当である旨を「物納申請有価証券に係る調査の回答について」(別紙第2号様式)により税務署等に回答する場合には、口座管理機関名等を併せて通知する。

財務局等は、税務署等を通じて、物納者が物納者名義の口座を保有する口座管理機関に送付する振替指図書の写しを入手し、当該物納者の氏名、当該有価証券の区分、数量、振替元の口座管理機関名及び振替依頼日等を把握し、電子メール等により他の財務局等へ送付する。

他の財務局等は、物納者名義の口座から他の財務局等の取引口座へ振替が行われた後、口座管理機関から振替社債等増加に係る通知を受領し、財務局等に送付する。

財務局等は、当該通知に基づき、速やかに「振替内容について」(別紙第4-1号様式)を作成し、税務署等に送付する。

財務局等は、税務署等から送付される物納財産明細書及びその他関係書類を添付した物納財産引継書の内容を確認後、速やかに「物納有価証券引受書」(別紙第4-2号様式)を作成し、税務署等に送付する。

(5)国有財産台帳の整理

財務局等は、物納財産引継書に添付されている物納財産明細書を確認の上、収納日をもって増減事由「租税物納」として国有財産台帳に登録する。

国庫帰属有価証券の引受け

財務局等は、次の事項を記載した国庫帰属有価証券の引継書をもって財産管理人等から引き受ける。

当該有価証券の区分、銘柄、数量、価格

引継ぎの事由

その他参考となる事項

引継ぎの確認を了したものについては、国に帰属した日をもって増減事由「帰属」として国有財産台帳に登録する。また、「物納有価証券引受書」(別紙第4-2号様式)を作成し、財産管理人等に送付する。

物納等有価証券の所属替

財務局長等は、普通財産取扱規則(昭和40年大蔵省訓令第2号)第67条に基づき、所属替を行おうとするときは、「有価証券所属替調書」(別紙第5号様式)を作成し、所属替を行う。

なお、金融商品市場で取引のある有価証券を関東財務局長に所属替をする場合は、原則として別表第2-1「上場株式の振替による物納引受・所属替等の流れ」及び別表第2-2「有価証券(現物)受渡しの流れ」の手順に従って処理する。

また、振替社債等を他の財務局長等に所属替をする場合は、原則として別表第2-3「振替社債等の物納引受・所属替等の流れ」の手順に従って処理する。

第5物納等有価証券の管理事務

株主権の行使

(1)財務局長等は、国有財産である物納有価証券の管理及び処分を的確に行う観点から、物納有価証券については、その処分までの間、良好な状態で維持されるよう株主権を行使する。特に、経営者に法令や定款に明らかに違反する重大な行為があると認められる場合には、積極的に株主権を行使する。

ただし、上場株式については、国の議決権保有割合が僅少と認められる場合には、原則として株主権を行使しなくとも差し支えない。

なお、非上場株式については、上場株式に比して開示情報が乏しいため、株主権を適切に行使する観点から、株式の引受時、決算時期又は株主総会開催時期等の機会を捉えて、会社の経営・財務状況等について説明を聴取するなど、適時適切な情報収集に努める。

(2)財務局長等は、株主総会に当たっては、事前に会社の経営・財務状況及び議決事項の内容を調査した上で、対応方針を決定する。

特に、次に掲げる議決事項に係る対応方針の決定に際しては、次の点に留意する。

定款の変更、資本の減少、会社の合併、株式交換、株式移転、会社の解散など会社法(平成17年法律第86号)上の特別決議又は特殊決議に係る議決事項については、株式価値の保全に与える影響等に関して、会社とのヒアリングを通じて慎重に把握する。

配当金に係る議決事項については、会社の利益及び内部留保の状況、役員報酬、同業他社の配当水準との比較等を踏まえ、会社の配当が著しく少ないと思われる場合には、会社に対して明確な理由の説明を求める。

(3)財務局長等又はその代理人の株主総会への出席の有無については、会社の経営・財務状況、議決事項の内容(特に上記(2)のイ及びロに該当する内容)及び国の議決権保有割合等を総合的に勘案して、決定する。なお、代理人を出席させる場合には、当該出席者に「命令書」(別紙第6号様式)を交付する。

また、財務局長等又はその代理人は、株主総会に出席する場合には、物納有価証券の管理及び処分を的確に行う観点から、必要に応じて株主発言を行う。特に、国の議決権保有割合が高い場合、配当金が著しく少ないと思われる場合、又は大幅かつ急速に財務状況が悪化している場合には、積極的に株主発言を行う。

清算中の会社の株式の管理

財務局長等は、清算財務諸表等に基づき、清算中の会社について清算業務が適正かつ迅速に処理されているか否かを検討し、分配金の確保に努める。

名義書換失念株等の取扱い

(1)上場株式

配当金等があった場合又は新株予約権の割当てがあった場合には、すべて国がこれらを一旦取得することとし、適正な権利者から返還請求があれば社債等振替法第133条第2項の規定に基づき、原則として以下のとおり取り扱う。

請求者から返還の請求があった場合には、請求者から名義書換対象元株券や売買計算書等の証拠資料の提出を行わせ、審査を実施する。

上記イの審査の結果、請求者が正当な権利者と認められる場合、当該株式の管理会社(株主名簿管理人)に対して、共同請求を行う。

共同請求に基づく口座振替手続が終了した後、管理会社から口座を移管した旨の通知書を送付させる。

配当金の返還請求があった場合には、上記ハの通知書により名義書換日等を確認の上、元株及び分割株に係る配当金返還額を算定し、請求者に返還する。

(2)非上場株式

「国有財産売買契約書」(別紙第10号様式)において、「買受人が名義書換を怠ったため、売買物件から生ずる果実又は利益を受けることができない場合に、この果実又は利益は国に帰属する。」と規定するものとし、これにより売買契約を締結した場合には、一旦取得した配当金等について返還する必要はない。

ただし、株式分割等により交付された株式、清算分配金及び新株予約権については、正当な権利者から返還請求があった場合には、これを返還する。

(3)名義書換失念株等整理簿の整備

財務局等は、名義書換失念株等、配当金等及び新株予約権の処理経過を明らかにするため、「名義書換失念株等整理簿」(別紙第7号様式)を備える。

株主優待券等の取扱い

発行会社が配当金等以外で株主に配付する株主優待券や商品券等については、物品管理法(昭和31年法律第113号)において定める物品に該当することに留意して、物品管理官において適切に管理又は処分が行われるよう財務局等会計課と連携し対応する。

金融商品市場での取引の有無について変更があった場合の取扱い

非上場株式が新規上場した場合など、金融商品市場での取引の有無について変更があり、所属替を行う必要が生じた場合は、普通財産取扱規則第67条を準用する。

第6物納等有価証券の処分事務

金融商品市場で取引のある有価証券(上場国債を除く。)

(1)処分方針

関東財務局において委託証券会社と委託契約を締結し、金融商品市場を通じて速やかに処分する。その際、当該有価証券の市場価格及び金融商品市場全般の市場価格の動向並びに当該有価証券の発行会社の財務状況等を十分考慮する。

ただし、金融商品取引法第2章の2に基づく公開買付(以下「公開買付」という。)が行われているときには、公開買付価格と当該株価等を比較衡量して、当該公開買付に応じる方が有利と判断される場合には、当該公開買付に応募して、当該株式を会計法(昭和22年法律第35号)第29条の3第4項に基づく随意契約により処分する。

(2)処分基準

前日の金融商品市場の終値(前日の当該株式の取引がなかった場合は直近日の終値)の90%に相当する額以上の価格を予定価格とし、当該予定価格以上の価格で処分する。

(3)上場株式(上場新株予約権を含む。)の処分手続

株式の預託

(イ)株式の処分の委託に当たっては、当該株式を委託証券会社に預託する。

(ロ)当該委託証券会社と契約を締結した後、速やかに、前会計年度における委託証券会社の取引口座から当該委託証券会社の取引口座に、預託する株式の振替を行わせるとともに、取引残高報告書を徴する。

(ハ)株式を追加預託する場合は、上記第4の1の(1)の手順によりこれを行うとともに、当該委託証券会社より取引残高報告書を徴する。なお、この場合には、物納者の氏名、株式の銘柄、株数、振替元の証券会社名及び振替依頼日等を予め当該委託証券会社に通知する。

(ニ)委託証券会社から、毎月、株式の預託実績を報告させ、その内容を検査する。預託実績の検査確認後、当該委託証券会社からの請求に基づき、引受業務委託手数料を速やかに支払う。

(ホ)なお、委託証券会社との委託契約を解除した場合には、当該委託証券会社から取引残高報告書を徴し報告内容を確認の上、当該委託証券会社の取引口座から関東財務局が指定する証券会社の口座に振替を行わせる。

処分見込株式調書の作成

株式の処分に当たっては、処分する株式の銘柄、数量及び指示価格を記載した「処分見込株式等調書の交付について」(別紙第8号様式)(以下「株式等調書」という。)を委託証券会社あて交付する。

なお、当該委託証券会社から株式の処分に係る参考意見を聴取することができる。

株式の処分

株式等調書を交付後、委託証券会社をして、株式等調書に記載した株式について、指示価格以上の価格をもって金融商品市場において普通取引による処分を行わせる。

なお、株式等調書の指示価格については、日々の金融商品市場の動向を踏まえて毎日見直す。

処分した株式に係る書面の徴求

株式の取引が成立したときは、委託証券会社から直ちに金融商品取引法第37条の4第1項に定める書面を徴求する。

なお、処分した株式の一株当たりの単価が、当該株式の取引日の終値等と比較して著しく差異がある等必要と認める場合には、当該委託証券会社から、当該株式の価格につき金融商品取引所等の証明書を提出させる。

処分代金の納入等

(イ)売却業務委託手数料の算出

上記ニの書面又は証明書を受領し、処分した株式の数量に一株当たりの価格を乗じた金額(以下「約定代金」という。)が確定した後、契約内容に基づき、委託証券会社に支払う売却業務委託手数料を算出する。

(ロ)納入の告知

約定代金から上記(イ)の売却業務委託手数料を差し引いた売払代金については、委託証券会社に対し、歳入徴収官事務規程(昭和27年大蔵省令第141号)第9条又は第10条の規定に基づき、文書による納入の告知又は口頭による納入の告知を直ちに行い(注)、取引成立の日から4営業日以内にこれを納入させる。

(注)売却業務委託手数料は、歳入徴収官事務規程第6条の規定に基づき、相殺調査決定をするとともに、同規程第12条の規定に基づき、相殺超過額の納入告知を行う。

(ハ)処分株式の引渡し

処分株式の引渡しについては、委託証券会社に、取引口座から処分先の口座に取引成立の日から4営業日以内に振替を行わせることにより実施する。

国有財産台帳の整理

委託証券会社から、処分代金の納付及び処分株式の引渡しの確認を了したものについては、増減事由「売払」として国有財産台帳を整理する。

(4)上場株式以外の金融商品市場で取引のある有価証券の処分手続

上記(3)と同様に、委託証券会社に処分を行わせる。なお、処分に当たって委託証券会社に交付する調書については、上記(3)のロの「株式等調書」を適宜準用する。

処分できずに償還期日を迎えた有価証券については、当該有価証券が管理されている口座管理機関等に償還手続を行い換金する。

非上場株式

(1)処分方針

当該非上場株式の処分に係る随意契約適格者から買受意向が示されているもの以外は、速やかに一般競争入札により処分する。

随意契約により処分する場合、早期処分を図るため、株主総会等の機会をとらえて会社役員等に積極的な買受勧奨を行う。

契約を締結するに当たっては、「普通財産の管理処分に係る契約からの暴力団排除について」通達(平成24年5月22日付財理第2445号)の記の2の規定に基づき、申請等の際に契約相手方から「誓約書」(別紙第9号様式)を提出させ、警察当局へ照会を行うものとする。

(2)処分基準

「物納等有価証券(非上場株式等)の処分に係る評価基準について」通達(平成13年3月30日付財理第1300号。以下「評価通達」という。)に基づき算定した基準価格を予定価格とし、当該予定価格以上の価格で処分する。また、処分は「国有財産売買契約書」(別紙第10号様式)によるものとする。

(3)相続税物納により取得した非上場株式の処分手続(「非上場株式の売却フロー」(別表第3)参照)

買受意向の確認

財務局等は、随意契約適格者に対して、当該非上場株式の収納日から起算して1ヶ月以内を回答期限として「国所有株式の購入希望に関する照会について」(別紙11-1号様式)を通知し、「回答書」(別紙11-2号様式)により非上場株式の買受意向の有無及び買受相手方を確認する。

随意契約による処分

(イ)見積り合せの実施

財務局等は、上記イの買受意向の確認を行った結果、随意契約適格者から買受けを希望する旨の回答があった場合には、その購入時期、購入株数及び購入資金の調達方法等を確認し、買受けの実行可能性について検討を行う(注)。

買受けの実行可能性が十分に認められる場合には、上記第3の1の(1)のハの「物納財産売却手続書類提出等確約書」に基づく履行請求により、税務署等を通じて物納者等から速やかに評価資料を提出させ、予定価格を作成の上、買受希望者と見積り合せを実施する。

(注)購入時期については、原則として、収納日から1年以内とする。

買受希望者から分割購入の申出があった場合には、当該買受希望者の資産及び事業等の状況を確認し、一時に買い戻すことが困難であり、将来の買受けが確実に見込まれる場合に限ってこれを認めることができる。

なお、この場合には、条件付許可の履行請求期間が物納許可後5年であることに留意し、当該買受希望者から分割購入の計画等を示した買受計画書を提出させるよう努める。

(ロ)有価証券売払申請書の提出

契約手続に当たっては、契約相手方に「有価証券売払申請書」(別紙第12号様式)を提出させる。

一般競争入札による処分

財務局等は、上記イの買受意向の確認の結果、随意契約適格者から買受希望がなかった場合、又は随意契約により処分予定であったものについて、価格について合意できなかったこと、処分相手方が買受けを辞退したこと等により、処分できない場合には、以下の手順により、速やかに一般競争入札により処分する。

(イ)許可条件の履行請求

財務局等は、税務署等に「物納有価証券に係る許可条件の履行通知書」(別紙第13号様式)を通知し、上記第3の1の(1)のハの「物納財産売却手続書類提出等確約書」に基づき物納者に対して履行請求を行う。

また、税務署等への通知に当たっては、一般競争入札の実施時期を十分考慮し、下記(ロ)の履行内容及び履行期限を明確に記載する。

なお、物納者が当該期限までに履行しない場合には、物納許可が取り消され、物納有価証券の返還手続が生じることに留意する。

(ロ)履行内容

入札公告を実施するまでに、金融商品取引法の定めるところにより、物納者から、有価証券届出書又は有価証券通知書を内閣総理大臣に対して提出すること。

目論見書又はこれに代わる情報開示資料(事業報告書等)を財務局等に提出すること。

(注)有価証券届出書及び目論見書等については、下記の(ハ)、(ニ)及び(ホ)の手続の中で、発行会社において訂正届出書の提出が必要となる場合があることに留意する。

株式の評価に必要な資料を財務局等に提出すること。

(ハ)一般競争入札の実施手続

一般競争入札は期間入札によるものとし、入札関係書類の交付、入札の方法、開札、落札者の決定及び契約等の具体的な実施手続については、当分の間、理財局長と協議の上、決定する。

なお、落札者の決定については、予決令臨時特例第4条の10の規定によるものとし、発行会社から、開札の結果に基づく有価証券届出書等の訂正届出が内閣総理大臣に受理された後、15日経過後に行う。

(ニ)予算決算及び会計令(昭和22年勅令第165号。以下「予決令」という。)第99条の2及び第99条の3の規定に基づく随意契約の取扱い

一般競争入札に付しても入札者がないとき、又は再度の入札をしても落札者がないときは、予決令第99条の2の規定に基づいて、随意契約により処分することができる。

なお、この場合においては、契約保証金及び履行期限を除くほか、当初競争に付するときに定めた予定価格その他の条件を変更することができないことに留意する。

落札者が契約を締結しないときは、予決令第99条の3の規定に基づいて、その落札金額の制限内で随意契約により処分することができる。

なお、この場合においては、履行期限を除くほか、当初競争に付すときに定めた条件を変更することができないことに留意する。

(ホ)再度公告入札の取扱い

上記(ニ)の随意契約によっても成約できなかった財産については、買受希望者を探索した上で、随意契約による処分に努めるものとするが、処分できなかった場合には、再度、評価資料の提出を求め、評価替を行い入札に付すものとする。

(注)上記(ニ)及び(ホ)に基づき随意契約により処分し、又は処分手続をとる場合には、上記(イ)における有価証券届出書等若しくは訂正届が必要となる場合があるので、留意する。

予定価格の有効期間

予定価格の有効期間(予定価格をもって売買契約の締結が可能な期間)は、1年間とする。なお、財務局長等が適当と認める場合は当該期間中に評価替を行うことができる。

株券の引渡し

契約相手方から売買代金の全額の納入があった場合には、当該株券を引き渡す。

なお、引渡しに当たっては、契約相手方から株券の受領書を徴する。

国有財産台帳の整理

相手方に株券の引渡しを了したものについては、増減事由「売払」として国有財産台帳を整理する。

物納許可の取消し

財務局等が、上記ハの(イ)により物納者に対して許可条件の履行請求を行い、当該物納者が履行通知書に定められた期限までに所要の措置を履行しない場合には、税務署等は当該物納許可を取り消すこととなる。この場合、以下の手順により、物納財産引継書等の返戻手続を行う。

なお、物納財産引継書等の返戻は、税務署等から当該株式を引き受けた財務局等が行うことに留意する。

(イ)物納財産引継書等の返戻

財務局等は、税務署等から、「物納財産引継取消書」の通知及び物納者に送付される「物納許可取消しの通知」の写しの送付を受けた場合には、「物納有価証券に係る引継関係書類の返戻について」(別紙第14号様式)により、物納財産引継書、当該株券及びその他の引継関係書類(以下「引継関係書類」という。)を、速やかに税務署等に返戻する。

なお、当該税務署等から、引継関係書類の返戻後には当該書類を受領した旨の「受領書」が送付され、税務署等が当該書類を物納者に引き渡した後には、その旨の書面「株券引き渡しの完了について」が送付されることに留意する。

(ロ)国が取得した配当金の返還

財務局等は、収納日の翌日から当該許可取消しまでの期間内に、当該非上場株式から生じた配当金を受け取っている場合には当該配当金額を物納者へ返還する。

(ハ)国有財産台帳の整理

税務署等から上記(イ)の書面「株券引き渡しの完了について」が送付されたものについては、株券の引渡日をもって、増減事由「租税物納取消・撤回」として国有財産台帳を整理する。

(4)国庫帰属により取得した非上場株式の処分手続

一般競争入札により処分することが困難又は適当でないと認められる場合には、随意契約により処分するものとし、「国所有株式の購入について」(別紙第15号様式)により、随意契約適格者に対し適宜買受勧奨を行う。

非上場新株予約権

(1)処分方針

原則として、一般競争入札を行う。

一般競争入札により処分することが困難又は適当でないと認められる場合には、随意契約適格者に対し適宜買受勧奨を行う。なお、当面買受能力のある買受人が見当たらない新株予約権については、株主総会等の機会をとらえて会社役員等に積極的な買受勧奨を行う。

また、暴力団を排除する取組として、上記2(1)ハに準じて取り扱うものとする。

(2)処分基準

評価通達に基づき算定した基準価格を予定価格とし、当該予定価格以上の価格で処分する。また、処分は「国有財産売買契約書」(別紙第10号様式)によるものとする。

金融商品市場で取引のない公社債(転換社債型新株予約権付社債を含む。)

(1)処分方針

発行法人の財務状況、債券市場の動向、当該債券の満期までの所有期間及び当該債券の価格動向((注)利回り計算式を参照)等を考慮し、償還満期まで保有するより処分することが有利と判断される場合には処分する。

(注)利回り計算式(所有期間利回りが最終利回りを上回る場合は、処分することが有利)

所有期間利回り r+(P2-C-P1)÷t1 ×100
P1
最終利回り r+(100-P1)÷t2 ×100
P1

r=年利率( % )

P1=額面100円当たりの取得単価(円)

収納価格に既経過利息が含まれる場合には、これを除外して単価を計算する。国庫帰属となったものは、帰属日における取引価格。

P2=額面100円当たりの取引価格(円)

評価時期における取引価格。

t1=収納日又は帰属日の翌日から評価時までの年数(1年未満は経過日数÷365)

t2=収納日又は帰属日の翌日から償還日までの年数(1年未満は残日数÷365)

C=額面100円当たりの手数料

(2)処分基準

評価通達に基づき算定した基準価格の95%に相当する額以上の価格を予定価格とし、当該予定価格以上の価格で処分する。

金融商品市場で取引のない信託の受益権等

(1)処分方針

取得後速やかに当該受益証券が管理されている口座管理機関に解約手続を行い換金する。

(2)処分基準

解約申込時点における当該受益証券の基準価格の動向及び商品特性を十分踏まえて、適正な価格による処分に努める。

なお、予定価格の積算については、主計局通達「随意契約による場合の予定価格について」(昭和44年12月17日蔵計第4438号)に基づき、省略して差し支えないものする。ただし、その場合においては、市場価格調査等を行い、解約日における基準価格等を記載した資料を当該商品の解約申込みに係る決議書に添付する。

国債

(1)財務局長等は、税務署等から国債を引き受けた場合には、理財局長(国債業務課)に対し、「政府所有国債の買入銷却について」(別紙第16号様式)により、「政府ノ所得ニ帰シタル有価証券ノ換価方法並歳入ニ納付又ハ資金ニ組入手続」(大正12年蔵理第3207号)の規定に基づく買入消却の請求を行う。

(2)財務局長等は、上記(1)の買入消却の請求に対し、理財局長(国債業務課)の承認を受けた場合には、日本銀行と買入消却に係る必要書類及び買入実行日を調整し、買入実行日に日本銀行へ買入消却代金納入についての納入告知書(国債現物の場合は当該国債を添付)を提出する。

単元未満株式

(1)処分方針

会社法第192条第1項の規定による当該株式の発行会社に対する買取請求又は委託証券会社との委託契約により、速やかに処分する。

(2)処分基準

会社法第193条第1項の規定に基づき算定した価格で処分する。

(3)処分手続

買取りの請求

買取請求に当たっては、当該株式の発行会社において定める単元未満株式買取請求書(以下「請求書」という。)を、当該会社に提出する。

なお、当該会社に株主名簿管理人(会社法第123条に規定する株主名簿管理人をいう。)がある場合や、委託証券会社との委託契約により処分する場合は、請求書の提出を省略して差し支えない。

納入の告知

処分金額から買取手数料又は売却業務委託手数料を差し引いた代金については、歳入徴収官事務規程第9条又は第10条の規定に基づき、文書による納入の告知又は口頭による納入の告知を直ちに行い(注)、これを納入させる。

(注)売却業務委託手数料は、歳入徴収官事務規程第6条の規定に基づき、相殺調査決定をするとともに、同規程第12条の規定に基づき、相殺超過額の納入告知を行う。

株券の引渡し

請求の相手方が株券発行会社(会社法第117条第7項に規定する株券発行会社をいう。)である場合は、上記ロの処分代金の納入と引き換えに、株券を引き渡す。

国有財産台帳の整理

処分代金の納入があったものについては、増減事由「売払」として国有財産台帳を整理する。

第7関東財務局長による大量保有報告書等の提出

関東財務局長は、金融商品取引法第27条の26の規定に定める基準日(各月の15日及び末日(これらの日が土曜日に当たるときはその前日とし、これらの日が日曜日に当たるときはその前々日とする。))から5日以内に、同法第27条の23に規定する大量保有報告書等を、株券等の大量保有の状況の開示に関する内閣府令(平成2年大蔵省令第36号)第19条に規定する関東財務局長に提出しなければならない。

第8物納等有価証券の管理状況に係る報告

財務局長等は、毎四半期末に、物納等有価証券の保有又は処分の状況を確認し、その状況を、次により理財局長に報告する。

報告書名

期間

作成時期

提出期限

様式

非上場株式の保有状況

毎四半期

毎四半期末

翌月10日

別紙第17号様式

有価証券の処分実績調

毎四半期

毎四半期末

翌月10日

別紙第18号様式

第9無実体法人の発行に係る有価証券の取扱い

無実体法人の定義

国の所有する有価証券のうち、その発行法人が次の(1)~(3)のいずれかに該当して実体がないと認められるものを「無実体法人」という。

(1)法人が存在するものの実体がなく、又は休業状態で再開の見込みがなく、かつ、財産が発見されていないもの

(2)解散法人であって、清算能力がないため清算手続を行わないで実体が消滅し、かつ、財産が発見されていないもの

(3)法人の所在が不明であり、かつ、財産が発見されていないもの

国有財産台帳からの除却

発行法人の実態調査を行った結果、当該法人が無実体であると判定された有価証券については、「出資金回収不能」として国有財産台帳から除却する。

実態調査の実施要領

次の各事項を、下記の調査対象につき、書面、実地その他の方法により調査する。なお、オンライン会議等のデジタル技術を活用した調査を行うことを妨げるものではない。

調査対象については、実態把握のため有効と思われるものを適宜選定する。

なお、調査結果は、「法人実態調査票」(別紙第19号様式)により、記載する。

調査事項

調査対象

①法人商号

  • 有価証券現物等

商号変更等の有無の確認

②法人の設立年月日

  • 有価証券現物等

③資本の総額又は発行する株式総数

  • 有価証券現物等

④1株の金額

  • 有価証券現物等

⑤物納者の住所、氏名

  • 有価証券現物

  • 物納有価証券引継書

  • 寄託日本銀行

株券裏面に記載された物納時の最終名義人が物納者と推測される。

物納者の住所等は電話帳、人名簿等によって把握することがある。

⑥収納税務署等

  • 有価証券現物

  • 物納有価証券引継書及び物納財産現物明細書

  • 寄託日本銀行

現物の裏面に寄託日本銀行名を捺印又は記入しているものがあれば、これにより収納税務署を推定することができる。

⑦評価税務署等

  • 収納税務署等

⑧寄託日本銀行

  • 有価証券現物

  • 物納有価証券寄託書(又は受託書)

⑨法人の住所又は事務所の所在地

  • 物納財産(有価証券)評価調書

  • 物納者

  • 法人の役職員又は役職員であった者

  • 収納税務署

  • 法務局

⑩法人の役職員又は役職員であった者の住所、氏名、現職

  • 有価証券現物

  • 物納者

  • 役職員又は役職員であった者

  • 収納税務署

  • 法務局

取締役氏名は株券の絶対的記載事項である。

⑪法人の状況

  • 物納財産評価調書

  • 物納者

  • 役職員又は役職員であった者

  • 収納税務署

法人の状況については、次のような内容を含む。

法人の事業

物納当時から現在までの資本金額、資産、負債、営業状況等の変遷及び今後におけるそれらの見通し

有価証券現物の取扱い

上記2の国有財産台帳からの除却と併せて、有価証券の現物(株券、社債券等)は、寄託中の日本銀行より速やかに払出しの上、裁断等により処分する。

第10特例処理

財務局長等は、物納等有価証券に関する事務取扱が本通達の定めにより難い場合においては処理案に詳細な理由を付して、理財局長と協議する。

第11経過措置

平成29年3月31日以前に物納許可を申請した有価証券の範囲については、平成29年改正前の相続税法の規定が適用される。

また、平成18年3月31日以前の相続分に係る有価証券については、平成18年改正前の相続税法が適用され、非上場株式について上記第3の1の(4)の条件付許可制度が適用されないことから、当該条件付許可制度が適用されない事案に係る第3の1の(2)の「管理処分適否及び劣後判断に係る基準」及び第6の2の(1)の「非上場株式の処分方針」については、以下のように取り扱う。

管理又は処分をするのに不適当な基準

(1)次に掲げる有価証券は、管理又は処分をするのに不適当な有価証券とする。

質権その他の担保権の目的となっている有価証券

所有権の帰属等について係争中の有価証券

共有となっている有価証券。ただし、共有者全員が持分の全部を物納する場合を除く。

譲渡に関して法令に特別の定めのある有価証券

収納時において利払期の到来していない利札が切り取られている国債、地方債又は社債

譲渡に関して定款に制限がある株式又は出資による権利

売却できる見込みのない有価証券

(2)税務署等から非上場株式の収納の適否につき調査依頼があった時における取扱いについては、当該株式以外に物納に充てるべき財産がなく、かつ、当該株式につき次に掲げる①又は②のいずれかに該当すると認められる場合には、当該株式は上記(1)の⑦に該当しないものとして処理する。

株式発行会社について(ⅰ)直近2期における総資本経常利益率、売上高経常利益率及び総資本回転率のいずれか2つの指標が「法人企業統計調査」(指定統計第110 号)における同業種の直近2年度の平均比率を超えていること、(ⅱ)直近2期における当期利益(税引後)がマイナスとなっていないこと、(ⅲ)直近2期において配当可能利益(当期未処分利益及びその他資本剰余金)があること、のいずれの要件も満たし、売払いが確実に見込まれるなど、経営内容等から収納を適当と認める場合

なお、判定に当たっては、次の点に留意すること。

(イ) 「総資本経常利益率」、「売上高経常利益率」及び「総資本回転率」は、それぞれ物納申請時における発行会社の直近2期の決算書により、次の計算式により求めることとし、物納申請時に公表されている「法人企業統計年報」の業種別財務営業比較表における同業種の直近2年度の平均比率で検証する。

イ 総資本経常利益率 = 経常利益 ×100
総資本(期首・期末平均)
ロ 売上高経常利益率 = 経常利益 ×100
売上高
総資本回転率 売上高
総資本(期首・期末平均)

また、「当期利益(税引後)」及び「配当可能利益(当期未処分利益及びその他資本剰余金)」についても当該時点における発行会社の直近2期の決算書により確認する。

(ロ) 金融商品取引法により、一般競争入札による売出し価格が1千万円を超える場合には、発行会社が有価証券通知書又は有価証券届出書を内閣総理大臣に提出しなければならないとされていることから、収納価格が1千万円を超える株式の物納に際しては、有価証券通知書等の提出につき発行会社の協力が得られるか否かも勘案する必要がある。

なお、発行会社から協力を取り付ける場合は、「物納財産売却手続書類の提出の同意について」(別紙第20号様式)の提出を受けることにより行う。

(ハ) 経営内容等の調査に当たっては、法令に基づき業務停止命令等の行政処分を受けていないこと、国税に関する犯則事件で告発を受けていないこと、法律の規制等を遵守していること等、社会的批判を受けることのない法人であるか否かについても留意する。

物納後当該株式を買い受ける希望を有する者がいることが確認できる場合

なお、当該確認は、随意契約適格を有する買受希望者から当該株式の購入時期及び購入資金の手当方法を記載した「物納株式購入に関する申出書」(別紙第21号様式)の提出を受けることにより行う。

非上場株式の処分方針

(1)原則として、一般競争入札を行う。

(2)一般競争入札により処分することが困難又は適当でないと認められる場合には、「国所有株式の購入について」(別紙第15号様式)により、随意契約適格者に対し適宜買受勧奨を行う。

なお、これに該当する場合であって、当面買受能力のある買受人が見当たらない株式については、株主総会等の機会をとらえて会社役員等に積極的な買受勧奨を行う。

第12書面等の作成・提出等の方法

電子ファイルによる作成

本通達に基づき、作成を行う書面等(書面その他文字、図形その他の人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。以下同じ。)については、電子ファイルにより作成を行うことができる。

電子メール等による提出等

(1)本通達に基づく提出等の手続のうち、書面等により行うこととしているものについては、電子メール等の方法により行うことができる。

(2)上記(1)の方法により提出等を行うときは、電子ファイルをもって行うものとする。


別表第1~3、別紙第1号様式~第21号様式、別添、別添第1号様式~第6号様式(PDF:1208KB)