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地籍調査への対応及びその成果の利・活用について

昭和57年6月10日
蔵理第2170


改正平成12年12月26日蔵理第4631号

13年 3 月30日財理第1296号

15年 2 月27日同第 658 号

18年11月22日同第4375号

21年12月22日同第5538号

令和元年 6 月28日同第2319号

3年 9 月21日同第3258号

大蔵省理財局長から各財務(支)局長、沖縄総合事務局長宛

国土調査法(昭和26年法律第180号)第2条第1項第3号に規定する地籍調査に対しては、地籍調査を実施する者(以下「調査実施者」という。)と密接な連携を保持しつつ下記により対応するとともに、その成果の利・活用を図ることとされたい。

なお、昭和56年11月20日付蔵理第4393号「地籍調査への対応及びその成果の利活用について」通達は廃止する。

1.事務処理体制の整備

(1)財務(支)局、沖縄総合事務局、財務事務所及び出張所(以下「財務局等」という。)は、都道府県国土調査担当部局及び調査実施者と密接な連絡を取り、地籍調査の実施地域及び実施時期等をあらかじめ把握して、財務局等の事務処理計画を立てる等、地籍調査に円滑に対応することができるよう体制を整えるものとする。

(2)財務局等は、都道府県国土調査担当部局及び調査実施者が、地籍調査の実施地域、実施時期、現地調査の立会期日及び閲覧の期間等地籍調査の実施計画を定めたときは、その内容をなるべく早期に財務局等に通知するよう必要に応じて依頼しておくこととする。

2.準備調査

財務局等は、地籍調査地域内の国有財産台帳に記録されている財務省所管一般会計所属普通財産(以下「台帳記録財産」という。)について、立会い、閲覧等の便に資するため、必要に応じ、登記簿、公図等の資料の調査及び収集をするよう努めるものとする。

(注1)「登記簿、公図等の資料」とは登記簿及び旧土地台帳附属地図又は不動産登記法(平成16年法律第123号)第14条に定める地図のほか、過去における周辺の国有地の処分状況に関する資料、土地改良事業等に関する資料、公共物の台帳、旧土地台帳、絵図、古文書等土地の所有等に関する資料をいう。

(注2)脱落地についても、必要であり可能であれば、台帳記録財産に準じて資料を調査収集するよう努めるものとする。

3.調査実施者に対する協力依頼

財務局等は、国有地に係る地籍調査に適切に対応するため、調査実施者に対し次の事項について協力を依頼するものとする。

(1)台帳記録財産については、財務局等が送付する財産の沿革、所在、地番、数量、実測済み又は実測未済の別等を明らかにした一覧表及び実測図等をしんしゃくして一筆地調査を行うこと。

この場合において、財務局等から送付した一覧表及び実測図等の内容が現況と著しく相違するなど一筆地調査の参考資料として用いることが困難であるときは、その旨財務局等に連絡すること。

(注1)「実測済み」の土地とは、次に掲げる土地をいい、「実測未済」の土地とは「実測済み」の土地以外の土地をいう。

隣接地主との書面による境界確定協議の結果に基づき面積測量を行った土地

隣接地主との書面による境界確定協議は了していないが、現に貸付中の普通財産等で、当該普通財産の長年にわたる利用状況、位置、形状等からみて信頼ができると認められる面積測量図及び地形測量図等(以下「実測図」という。)がある土地

(注2)「実測図等」とは、実測図のほか準備調査で収集した資料をいう。

(注3)調査実施者に送付する一覧表は、別紙様式1によるものとし地籍調査の実施地域内に所在する普通財産を全てを記載するものとする。実測図等は、調査実施者と協議の上、必要に応じて添付するものとする。

(注4)「財務局等が送付する一覧表及び実測図等をしんしゃくして一筆地調査を行う。」とは、調査実施者において、一覧表及び実測図等の信頼度の高い場合はこれらを参考資料として一筆地調査を行うことを意味し、当該一覧表及び実測図等により信頼度の高い図簿等がある場合にはそれらを参考資料として一筆地調査を行うことを妨げるものではない。

(注5)財務局等は、財務局等から送付した一覧表及び実測図等を参考資料として一筆地調査を行うことが困難である旨調査実施者から連絡を受けた場合は、調査実施者の申出の内容、根拠及び財務局等の有する資料の信頼度並びに本通達記5の(3)に定める修正の申出の基準等を総合勘案の上、その取扱いについて調査実施者と打ち合わせるものとする。

(2)地籍調査の過程で、一覧表に掲げた土地以外の土地であって、各省各庁の所管に係る国有地(公共物を含む。)又は民有地等所有者が明らかな土地以外の土地(以下「脱落地」という。)を発見したときは、遅滞なく財務局等に通知するとともに、財務局等と協議の上、一筆地調査を行うこと。

(3)台帳記録財産及び脱落地に係る調査図素図並びに地籍図原図及び地籍簿案を作成したときは、その写しの作成に協力すること。

(注1)脱落地は、地籍調査作業規定準則(昭和32年総理府令第71号)第34条に規定する「新たに土地の表題登記をすべき土地」とは必ずしも一致しないことに留意すること。

(注2)脱落地を発見した旨調査実施者から通知を受けた場合は、原則として普通財産として一筆地調査を行なうことを要請するものとするが、所有権について争いがある場合は、所有者不明の土地として取り扱うことを要請するにとどめてもやむを得ないものとする。

(注3)調査図素図、地籍図原図及び地籍簿案の写しは、現地調査の立会い、国土調査法第17条の規定に基づく地図及び簿冊の閲覧並びに台帳整理等の便に資するため作成しようとするものである。調査実施者に対する協力依頼にあっては、財務局等における必要性及び地籍調査の実施地域の実情を踏まえ、調査実施者の過重な負担にならないよう十分留意すること。

なお、台帳整理を行う上で面積測定成果簿(面積測定の成果が記載された簿冊)が必要となる場合は、その写しを作成するものとするが、この場合の調査実施者に対する協力依頼に当たっても同様に留意するものとする。

4.立会い

(1)財務局等は、次に掲げる土地等で調査実施者から立会いを強く要請されている場合等においては、現地調査に立会いするものとする。

土地の境界又は所有権について争いのある土地、調査実施者から一覧表及び実測図等を参考資料として一筆地調査を行うことが困難である旨通知があった土地

調査実施者から特に問題がある旨の通知があった土地

(2)境界については、関係法令、財務局等の有する図面、公図その他の資料、従前からある境界標識、地形、土地の利用状況、地方の慣習、利害関係者及び公正なる第三者の意見等を総合的に勘案して判断する。

なお、境界に争いがある場合は、昭和33年4月25日付蔵管第1222号「普通財産実態調査事務の処理について」通達の別冊「普通財産実態調査事務処理要領」の定めるところにより、境界確定協議を行い、国土調査法第17条第1項の規定により公告されるまでの間に当該境界を明らかにするよう努めるものとする。ただし、それまでの間に協議が不調の場合は、地籍調査作業規定準則第30条に規定する「筆界未定」の取扱いをするよう要請すること。

5.閲覧

(1)財務局等は、国土調査法第17条の規定に基づき地図及び簿冊が一般の閲覧に供されるときは、これを閲覧するものとするが、調査実施者から閲覧を強く要請された場合を除き、業務の必要又は繁閑等に応じ省略しても差し支えない。

(2)閲覧は、台帳記録財産及び脱落地に係る地籍図原図及び地籍簿案と国有財産台帳及び台帳付属図面並びに公図写(以下「台帳等」という。)との間で、所有者、所在、地番、地目、地積、地形及び位置を照合する方法によって行う。

なお、仮閲覧を行う場合は閲覧と同様の方法で照合し、仮閲覧を行ったときは、本閲覧も行うことに留意する。

(3)閲覧の結果、次に掲げる事実があった場合は、原則として国土調査法第17条第2項の規定に基づき修正を申し出るものとする。

実測済みの土地については、台帳等の記載内容に比し一定限度を超える数量の減少(宅地の場合2%・その他3%を限度とする。)又は経済価値の変動をもたらすような地形若しくは位置の相違がある場合

実測未済の土地については、台帳等の数量の記載内容に比しおおむね30%を超える数量の減少又は著しい地形若しくは位置の相違がある場合

(注)「著しい地形の相違がある場合」とは、例えば台帳付属図面等の地形が整形であるのに対し地籍図原図の地形が不整形となっている場合などをいい、「著しい位置に相違がある場合」とは、例えば台帳付属図面等では、甲地と隣接しているのに対し地籍図原図では乙地に隣接している場合などをいう。

脱落地については、地籍図原図に表示されていない場合又は財務省所管一般会計所属の普通財産以外の土地として処理されている場合

(注)「普通財産以外の土地として処理されている場合」とは、脱落地が地籍図原図及び地籍簿案に表示されているもののその所有者が財務省以外の者と表示されている場合、及び所有者が不明の土地として地籍図原図のみに表示されている場合をいう。

6.台帳の整理等

地籍調査の成果が認証されたときは、当該成果に基づき速やかに台帳の整理を行うものとする。

なお、地籍調査の成果において「喪失」の台帳整理を行った場合における会計検査院法(昭和22年法律第73号)第27条の規定に基づく亡失の報告は、昭和33年3月28日付蔵管第912号「普通財産の滅失き損の通知について」通達の規定にかかわらず別紙様式2の普通財産亡失報告書によるものとし、計算証明規則(昭和27年会計検査院規則第3号)第65条第2号に規定する証拠書類は当該亡失報告の写しを調書とすることができる。

7.地籍調査関係資料の保存

調査の実施過程に関する記録及び3の(3)により作成した簿冊、図面その他地籍調査に関する資料を調査地域ごとに整理し、保存するものとする。

8.地籍調査完了地域内に所在する土地の取扱い

既に成果が認証された地籍調査の地域内に所在する台帳記録財産及び脱落地については、5及び6の規定に準じて処理するものとする。

ただし、台帳記録財産が平成14年3月22日付財理第1182号「財務省所管普通財産に係る国有財産総合情報管理システム(台帳記録・決算機能)の実施について」別表における管理態様が要確認に該当する財産である場合には、昭和33年4月25日付蔵管第1222号「普通財産実態調査事務の処理について」の規定により処理するものとする。

9. 書面等の作成等・送付等の方法

(1)電子ファイルによる作成等

本通達に基づき、作成等を行う書面等(書面その他文字、図形その他の人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。以下同じ。)については、電子ファイルにより作成等を行うことができる。

(2)電子メール等による送付等

本通達に基づく送付等の手続のうち、書面等により行うこととしているものについては、電子メール等の方法により行うことができる。

上記イの方法により送付等を行うときは、電子ファイルをもって行うものとする。

別紙様式1、別紙様式2(PDF:58KB)