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国有港湾施設等処理要領等の取扱い等について

昭和37年3月31日
蔵管第889


改正平成18年12月26日財理第5084号

大蔵省管財局長から各財務局長宛

国有港湾施設等の処理については、昭和37年2月24日付蔵管第388号及び港管第266号「国有港湾施設等処理要領について」通達(以下「処理要領という。)並びに「荷さばき施設等のうち公共用財産として処理するもの等について」通達(以下「付属通達」という。)(以下あわせて「新通達」という。)によるものとしたが、その取扱いについては、下記によることとされたい。

なお、新通達の実施に伴い、港湾管理者に管理委託した公共用財産の使用収益について、別紙のとおり、大蔵省管財局長と運輸省港湾局長との間において、覚書が交換されたから通知する。

第1新通達の趣旨

新通達は、昭和29年9月22日蔵管第2939号「国有港湾施設の処理について」通達及び同日付蔵管第2940号「荷さばき施設のうち公共用財産として処理するもの及び国有港湾施設処理要領の取扱いについて」通達(以下あわせて「旧通達」という。)を全文改正し、未処理の国有港湾施設等を国有財産法、港湾法等の法律に基づき適正に処理するための基準を整備するとともに、旧通達以外の国有港湾施設等の処理に関する他の通達を吸収し、国有港湾施設等の全体をその取扱いの対象として規定したものである。したがつて、新通達及びこの通達の定めるところにより、懸案の処理を促進するようとくに留意されたい。

第2新通達の主要な改正点

新通達が従来の取扱いを改め、又は新たに規定を置いた点は、主として次の点である。

処理する財産の範囲の明確化

処理する財産の範囲を明確にし、新たに次に掲げるものを含めることとした。

(1)直轄工事により生ずる港湾施設

(2)大蔵省所管の旧軍用港湾施設等

(3)公有水面埋立てにより国有に帰属した港湾施設

(4)国が施行する内国貿易設備に関する港湾工事に因り生ずる土地又は工作物の譲与又は貸付及び使用料の徴収に関する法律(以下「内国貿易設備に関する法律」という。)の規定により処理する土地又はエ作物

(5)その他、特に新通達により処理することが妥当と認められる財産

1に伴つて、1の(1)に掲げるもの及び港湾管理者が設立されたときにおいて国の所有に属する港湾施設の譲渡又は譲与に関し規定を置いた。

財産区分及び処理方法の改正

(1)公共用財産の範囲を改め、公共的に使用される荷さばき施設、旅客施設、船舶補給施設及び港湾役務提供用船舶を公共用財産とすることとした。なお、内国貿易設備に関する法律第2条の規定により無償貸付けする土地又はエ作物は、同法の規定によらず港湾法第55条の規定により港湾管理者に管理委託を行なうこととした。

(2)普通財産は、港湾厚生施設について当分の間管理委託するほかは、すべて貸付けにより処理することとした。

(3)関連する処理として、税関との共用上屋等多用途財産の処理につき規定を設けた。

旧軍用港湾施設等の取扱いを新通達に吸収し、一般の国有港湾施設等の処理の特例として規定した。

国有財産特別措置法第2条等、国有港湾施設等の処理について港湾法等と競合して適用される他の法律の規定との関係を明らかにした。

その他、改正に伴う経過措置の規定を置いたほか、字句の修正をはかる等規定を整備した。

第3新通達の取扱いに留意すべき事項

新通達の取扱いについては、次の点に留意するものとする。

処理する財産の範囲

(1)旧通達では、処理する財産の範囲について明確な規定を欠いていたため、たとえば、直轄工事により生ずる港湾施設の取扱いにつき疑義を生じる等の問題があつたので、新通達では、処理の対象となる範囲を明確に規定するとともに、他の通達で個別に処理することとなつていた国有港湾施設等をこれに加えて、国有港湾施設等をもうら的に処理の対象とすることとしたものである。

(2)処理要領の記の第1の(2)に掲げる土地又はエ作物は、港湾法施行前に国が施行した港湾工事により生じたものであつて、それが港湾施設である場合には、港湾法第55条の国有港湾施設に該当するものである。なお、これは、大正9年勅令第82号「国二於テ施行スル内国貿易設備二関スル港湾工事二因リ生スル土地又ハエ作物ノ下付又ハ貸付及使用料ノ徴収二関スル件」に基づき、公共団体に命令書を下付して行なった港湾工事により生じた土地又はエ作物を含む意味である。

(3)処理要領の記の第1の(4)に掲げる国有港湾施設は、港湾管理者が設立されたときにおいて、国の所有に属する港湾施設であつて、港湾法第52条又は北海道開発のためにする港湾工事に関する法律第3条に規定する直轄工事により生じた港湾施設以外の国有の港湾施設がすべて含まれる。したがつて、大蔵省が所管する旧軍用港湾施設はもちろん、合衆国軍隊に提供中の港湾施設、公有水面埋立免許の条件により国有に帰属せしめられた土地等もこれに該当する。なお、農林省が所管する食糧倉庫、防衛省又は海上保安庁が使用する外かく施設又はけい留施設等公用財産である港湾施設は、形式的にはこれに該当するが、港湾の管理運営と直接的な関係を有するものではないから、使用省庁と所管省庁とが異なるもの等新通達により処理する必要があるものを除き、とくに処理の対象とする必要はない。

(4)処理要領の記の第1の(5)の運輸省所管に属する公用財産は、港湾法施行前において国が直接経営していた港湾等における国有の施設で港湾施設には該当しないが、所管換又は引継ぎ等の処理を要するものをいう。

(5)処理要領第1の(6)のその他、とくにこの要領により処理することが妥当と認められる財産は、処理要領の記の第1の(1)から(5)までに該当しないが、その施設の実体からみて他の国有港湾施設等と同様に処理することが妥当と認められるものをいう。これに該当するものは、さしあたり、奄美群島復興特別措置法第5条の規定により鹿児島県知事が国の機関として行なう港湾工事により生ずる港湾施設、運輸大臣が行なう直轄工事以外の港湾工事(安全保障諸費によるもの等)により生ずる港湾施設等が考えられる。

土地、工作物等の譲渡又は譲与

処理要領の記の第2の土地、工作物等について運輸大臣が行なう譲渡又は譲与は、港湾法第53条等に規定する処分であつて、国有財産の処分は、大蔵大臣が行なう原則に対する例外である。これについては、とくに国有財産法第8条に規定する引継ぎ不適当財産としての処理を行なう必要はない。

財産の所管及び処理

(1)公用財産

処理の対象とする財産に直轄工事により生じた土地又は工作物のうち公用のため国において必要なものを加えたのは、上記のとおり処理の対象とする財産の範囲を拡張したことによるものである。また、旧通達では、所管換と同様所属替についても規定していたが、これは各省庁内部の異動であるので省略した。

(2)公共用財産の範囲

公共用財産として運輸省が所管する財産の範囲を改め、従来普通財産で港湾管理者に管理委託していたもので、実質的に公共的に使用されるものは、公共用財産としたものである。

(イ)基本的施設及び臨港交通施設については、旧通達と同様である。

(ロ)荷さばき施設については、旧通達の要件を改め、荷さばき上屋のほかに、新たに荷さばき地を加えた。これらの荷さばき施設の公共性の判定にあたつては、当該施設の使用の実態に主眼を置き、当該施設の位置、構造等及び当該施設が所在する港湾の港湾施設の状況等を勘案し、港湾機能の増進を図るよう実情に応じ弾力的に行なうものとする。荷役機械については、昭和30年5月19日蔵管第1589号「荷さばき施設のうち公共用財産として処理する財産について」通達から新通達に吸収したもので、同趣旨である。なお、これらの荷さばき施設をいつたん公共用財産として処理した後も、使用の実態が非公共的になつた場合は、事情変更による再処理を行なうよう留意されたい。

(ハ)旅客施設については、一般旅客の待合等に使用されるもので、港湾管理者が直接管理運営し、営利を目的としないものは、実質的には道路等の交通施設に類するものとして、公共用財産とするものである。

なお、旅客待合所等の一部に食堂、売店、通船業者の連絡所等を設置する場合は、国有財産法第18条の行政財産の目的外使用として処理することとするが、この場合には、当該使用が旅客施設の効用の発揮のために真に有益であるかどうか、本来の用途又は目的を阻害しないものであるかどうかについて判定し、施設の大部分が恒久的に他の用途に使用されるなど行政財産の実体を喪失するに至るようなときは、事情変更による再処理を行なうよう留意されたい。

(ニ)船舶補給施設及び港湾役務提供用船舶は、その施設を使用して港湾管理者が提供する役務の公共性にかんがみ、とくに公共用財産とするものである。

(ホ) 国有地の上に、港湾管理者所有の公共用荷さばき上屋を設置する場合の当該敷地等、港湾管理者が設置運営する公共施設の敷地については、それが当該施設と一体となつて公共的に使用される点にかんがみ、公共用財産として処理することとした。この場合において、「同種の港湾施設」とは、当該施設が国有であれば、当然公共用財産として処理されるべきものをいう。

(3)公共用財産の処理

公共用財産については、運輸省から港湾管理者に管理委託する点は、旧通達と同様である。内国貿易設備に関する法律の規定により公共の用に供するため国有として存置する土地又は工作物は、港湾法第55条の規定により処理することとしたが、この意味は、港湾管理者に管理委託(公共団体に無償貸付けするのではなく)するという意味であつて、港湾管理者が未設立の場合は、内国貿易設備に関する法律第2条の規定により処理してさしつかえない。なお、公共用財産である荷さばき施設等の管理運営に必要な土地については、当該荷さばき施設等に含めて処理してさしつかえないものとするが、その範囲は必要最少限度にとどめるよう留意されたい。

(4)普通財産

旧通達では、普通財産の管理委託をかなり認めていたが、新通達では、普通財産は原則として管理委託は行なわず貸付けにより処理することとし、例外的に、港湾厚生施設に限つて、港湾の現況にかんがみ、当分の間管理委託することとした。

港湾法第55条の規定により国有港湾施設を処理する場合には、「一般公衆の利用に供するため必要なもの」に限られるから、民有建物の敷地等は、港湾管理者のみに貸付けすべき法律上の制限はない。したがつて、この場合は、通常の普通財産の貸付けであつて、港湾管理者以外の者に貸付けすることをさまたげないものであるが、港湾の管理運営との関連にかんがみ、運輸省に協議することとした。

なお、この種の普通財産のうち、港湾管理者がその造成のための費用を負担しているものについては、昭和33年3月19日蔵管第819号「国有港湾施設の処理に関する覚書について」通達及び昭和33年12月20日蔵管第3444号「国有港湾施設のうち運輸省から引き継がれた普通財産の取扱について」通達により、転貸条件付で港湾管理者に貸付けし、貸付料は当該財産の建設又は改良費負担率相当分を減額することとしてきたが、この取扱いは今後も継続する方針であるから、これに該当する普通財産の処理にあたつては、新通達によるほか、上記通達によることとされたい。

(5)関連する処理

旧通達では、税関と共用する荷さばき上屋について、これを普通財産とし、税関使用部分は税関に使用承認し、残余の部分は、港湾管理者に管理委託するなど、多用途財産の処理が使用の実態と相異する事例が見られたので、新通達では、多用途財産をその使用区分に従つて区分することとし、その区分の基準を定めたものである。二階建以上の多階建の建物及びその敷地の区分については、建物は、その使用区分に従つて区分し、敷地は、その上の建物が国有であると否とを問わず、一階を港湾管理者が直接管理運営する公共用荷さばき上屋として使用する場合は、公共用財産として処理することとした。

旧軍用港湾施設の特例

旧軍用港湾施設の処理は、昭和29年12月25日蔵管第3974号「旧軍用港湾施設の処理について」通達により行なわれてきたが、これを新通達に吸収し、一括転活用を要する他の財産の存在等これらの港湾施設の特殊性にかんがみ、一般の国有港湾施設の処理の特例として規定したもので、従前と同趣旨である。なお、これにより一括転活用等の処理を行なう場合には、港湾機能を阻害することのないよう関係機関と連絡を密にすることに留意されたい。

財産範囲の決定等

財産範囲の決定及び事情変更による再処理は、旧通達と同様の趣旨であるが、港湾施設については、使用関係の変化により、財産区分と使用の実態とが遊離する場合が多いと思われるから、使用の実態に応じて弾力的に再処理を行なうようとくに留意されたい。なお、処理要領の記の第5の3の(2)は、公共用財産を用途廃止のうえ大蔵省に引継ぐ場合のほか、国において公用に供する必要が生じたものを使用省庁に所管換する場合も含む趣旨である。

他の法律との関係

国有財産特別措置法第2条は、臨港施設として普通財産の無償貸付けを規定しているが、この普通財産が港湾法第55条の国有港湾施設に該当するときは、処理要領により公共用財産として処理することとする。

ただし、港湾管理者が未設立の場合は、無償貸付けしてさしつかえない。

旧軍港市転換法第5条等との関係は、同条等が旧軍港市転換事業等の用に供するため必要な普通財産の公共団体に対する譲与を規定しているため、それらの譲与にあたつては、国有港湾施設等の適正な処理を目的とする新通達との関連を考慮し、著しく処理が背ちすることのないよう留意する趣旨である。

経過措置

新通達は、事情変更による再処理の規定を除き、旧通達により処理済みの財産には適用しないこととした。これに伴つて、新通達と旧通達とでは取扱いが若干異なるため、処理時期の前後によつて処理の方法が異なることになるので、旧通達によって新通達と異なる方法で処理された財産については、事情変更による再処理の規定を適用し、新通達に定める方法で再処理を行なつて調整することとされたい。

第4処理の方式

新通達による処理(事情変更による再処理を含む。)は次に掲げる方式により行なうこととする。

現地処理

新通達による現地処理は、財務局、税関、海運局、港湾建設局その他港湾業務に関係のある各省庁の地方支分部局及び港湾管理者の関係機関において協議によりとり進めることとする。この協議は、公共用財産については海運局又は港湾建設局が、普通財産については財務局が主宰する。なお、国有港湾施設等の処理は、港湾の管理運営と重要な関係を有するので、現地処理にあたつては、港湾管理者の意見を充分尊重することとされたい。

本省処理

現地において協議がととのわない事案は、財務局及び海運局又は港湾建設局からそれぞれ本省に連絡し、本省間において解決をはかるものとする。

本省協議

新通達により国有港湾施設等を港湾管理者に貸付けし、管理を委託し、又は売払いする場合には、管財局長の承認を要するものとする。

第5その他、新通達及びこの通達の運用に関し、取扱いに疑義があるときは、適宜本省に連絡するほか、税関、海運局、港湾建設局その他関係各省庁の地方支分部局との間で連絡を密にし、処理に遺漏のないようつとめることとする。