スイス連邦との租税条約を改正する議定書のポイント
1.租税に関する課税当局間の情報の交換
両国の課税当局間において、租税に関する国際標準に基づく情報の交換を実施できることとなり、銀行機密に関する情報についても交換が可能となります。
2.投資先の国における投資所得に対する課税の軽減又は免除
投資所得(配当、利子、使用料)については、以下のとおり、投資先の国における課税を軽減又は免除しています。
配当 利子 使用料 現行条約 10%(持株25%以上)
15%(その他)免税(政府等)
10%(その他)10% 改正条約 免税(持株50%以上)
5%(持株10%以上)
10%(その他)免税(政府、銀行等)
10%(その他)免税 3.租税回避行為の防止のための規定の導入
投資所得について、投資先の国における課税を免除する範囲が大幅に拡大したことに伴い、条約の特典の濫用による租税回避行為のおそれが増大することから、これを防止するため、以下のような規定を設けています。
(1) 特典の制限に関する規定
条約の特典を受けることができる者を一定の要件を満たす者に限定しています。
(2) 条約の特典の濫用のための取引と認められる取引に関する規定
投資所得に関して、取引の形態や目的に照らしてその取引が条約の特典の濫用と認められる場合には、条約の特典を認めないこととしています。
4.その他
上記のほかに以下のような規定を設けています。
(1) 両国間で課税上の取扱いが異なる団体に関する規定
(2) 移転価格課税の処分の期間制限(課税年度終了時から7年(国内法令がこれより以前の期間制限を定めている場合には、その国内法令に定める期間制限)に関する規定
(3) 匿名組合契約に係る所得に対する課税の取扱いに関する規定