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BEPS防止措置実施条約のポイント

1.本条約によって導入されるBEPS防止措置

  本条約によって既存の租税条約に導入されるBEPS防止措置は、①租税条約の濫用等を通じた租税回避行為の防止に関する措置、及び、②二重課税の排除等納税者にとっての不確実性排除に関する措置から構成され、具体的には、BEPSプロジェクトの以下の行動計画に関する最終報告書が勧告する租税条約に関連するBEPS防止措置が含まれます。
  行動2:ハイブリッド・ミスマッチ取極めの効果の無効化
  行動6:租税条約の濫用防止
  行動7:恒久的施設認定の人為的回避の防止
  行動14:相互協議の効果的実施

2.本条約の適用対象となる租税条約

  本条約の各締約国は、その既存の租税条約のいずれを本条約の適用対象とするかを任意に選択することができます。
  本条約は、各租税条約の全ての締約国がその租税条約を本条約の適用対象とすることを選択したものについてのみ適用され、各租税条約のいずれかの締約国が本条約の締約国でない場合、又は、その租税条約を本条約の適用対象として選択していない場合には、本条約はその租税条約については適用されません。

3.BEPS防止措置の選択及び適用

  本条約の各締約国は、本条約に規定する租税条約に関連するBEPS防止措置の規定のいずれを既存の租税条約について適用するかを所定の要件の下で選択することができます。
  本条約に規定する租税条約に関連するBEPS防止措置の規定は、原則として、各租税条約の全ての締約国がその規定を適用することを選択した場合にのみその租税条約について適用され、各租税条約のいずれかの締約国がその規定を適用することを選択しない場合には、その規定はその租税条約については適用されません。
 なお、本条約の各締約国が適用することを選択した本条約の規定は、原則として、本条約の適用対象となる全ての租税条約について適用され、特定の租税条約についてのみ適用すること又は適用しないことを選択することはできません。
 本条約に規定する租税条約に関連するBEPS防止措置の規定が既存の租税条約について適用される場合には、本条約の規定が、既存の租税条約に規定されている同様の規定に代わって、又は、既存の租税条約に同様の規定がない場合にはその租税条約の規定に加えて、適用されます。

4.選択の通告

  本条約の各締約国は、①既存の租税条約のうち本条約の適用対象とするものの一覧、及び、②本条約に規定する租税条約に関連するBEPS防止措置の規定のうち適用することを選択するものの一覧を、署名時又は批准・受諾・承認の時に寄託者(OECD事務総長)に通告しなければならず、署名時に通告しない場合には、これらの暫定の一覧を署名時に提出しなければなりません。
  寄託者は、各締約国からの通告等を公表することとされています。

5.本条約の署名国

  2017年6月7日にパリで開催された署名式において本条約に署名した国・地域は次の67か国・地域です。
アイスランド アイルランド アルゼンチン アルメニア アンドラ
イスラエル イタリア インド インドネシア ウルグアイ
英国 エジプト オーストラリア オーストリア オランダ
ガーンジー カナダ ガボン 韓国 キプロス
ギリシャ クウェート クロアチア コスタリカ コロンビア
サンマリノ ジャージー ジョージア シンガポール スイス
スウェーデン スペイン スロバキア スロベニア セーシェル
セネガル セルビア チェコ 中国 チリ
デンマーク ドイツ トルコ 日本 ニュージーランド
ノールウェー パキスタン ハンガリー フィジー フィンランド
フランス ブルガリア ブルキナファソ ベルギー ポーランド
ポルトガル マルタ マン島 南アフリカ メキシコ
モナコ ラトビア リトアニア リヒテンシュタイン ルクセンブルク
ルーマニア ロシア