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WCO(世界税関機構:World Customs Organization)

1. 概要

 WCOは、各国の税関制度の調和・統一及び国際協力の推進により、国際貿易の発展に貢献することを目的として、1952 年に設立された国際機関です(本部:ブリュッセル(ベルギー))。主要任務としては、(1)関税分類や税関手続に関する諸条約の作成・見直しを行い、これらの統一的解釈を示すこと、(2)国際貿易の安全確保及び円滑化等に関するガイドライン等を作成・推進すること、(3)WTO(世界貿易機関)が主管する関税評価及び原産地規則に係る協定の統一的解釈及び適用のため、技術的検討を行うこと及び、(4)不正薬物及び知的財産侵害物品等の監視・取締りの国際協力、関税技術協力の推進を行うこと、があります。2024年7月現在、186か国・地域がメンバーとなっており、我が国は1964 年に加入しました。関税局・税関はWCOと連携・協力を図りながら、税関制度の調和・統一及び税関行政に関する国際協力を推進しています。


2. WCOの主な活動

 (1)HS条約(商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約)の管理
 HS(Harmonized System)条約は、1988年1月から発効しており、2024年7月現在、我が国をはじめ160か国・地域及びEUが加盟しています。HSコードを使用している国・地域は、未締約国を含め計200以上で、国際貿易の98%を超える取引にHSコードが利用されていることから、世界中の貿易にとってHSコードは不可欠なものとなっています。WCOでは、分類の統一的適用及び技術の進歩等に対応するために、HS条約及びHS条約の附属書である、あらゆる商品を組織的・体系的に分類するための品目表の改定・策定の他、個別商品に係る分類決定等を行っています。

 (2)改正京都規約(税関手続の簡易化及び調和に関する国際規約)の管理
 各国の税関手続の簡易化・調和を進めることにより、貿易コスト削減、通関手続の予見性向上、ひいては国際貿易の円滑な発展を図ることを目的とした条約であり、1973年に京都でのWCO総会で採択された京都規約が更新、改正され、2006年2月に発効しました。2024年7月現在の締約国は136か国・地域及びEUです。

 (3)国際貿易の安全確保及び円滑化のためのWCO SAFE基準の枠組み
 2001年の米国同時多発テロ以降、税関当局が、国際貿易の安全確保と円滑化を両立させるために実施すべき方策を検討し、基準としてとりまとめたものであり、2005年6月に採択されました。その後、安全管理と法令遵守の体制が整備された事業者(AEO:認定事業者)に関するガイドラインが追加されました。2024年7月現在、実施の意図表明国は171か国・地域及びEUです。

 (4)密輸対策・テロ対策の推進
 不正薬物、知的財産侵害物品、テロ関連物品等に対する施策の共有などを通じ、各国税関当局の取組みの強化を推進しています。

 (5)技術協力(キャパシティ・ビルディング)の推進
 知的財産侵害物品取締り、貿易円滑化等に係る途上国税関のキャパシティ・ビルディングを推進しています。


3. 関税局・税関のWCOへの貢献

 2009 年1月から2023年12月までの15年間は、我が国の御厨邦雄氏が、アジア出身者として初めてWCO 事務総局長に就任していました。現在、我が国は、WCOの事務局本部及び地域組織 に対して21名の職員を派遣し、WCO の政策立案・実施に深く寄与しています。資金面においても大きく貢献しており、WCOの運営経費となる分担金は、2024/2025年度は米国、中国に次いで、第3位(全体の約6%)であり、WCO が行う技術協力の財源となる関税協力基金は、2022/2023年度は全体の約21%を拠出しています。また、我が国は、WCOの主要政策課題を検討する政策委員会のメンバー、及び、財政事項を検討する財政委員会のメンバーであり、WCOにおける重要な議論に積極的に関与しています。


4. WCOトピックス

5. 関連リンク