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9.財政投融資の抜本的改革について

9.財政投融資の持続的改革に向けて


 (1)  持続的改革の必要性
      以上の財政投融資の改革案は、郵便貯金及び年金積立金の現行の預託義務を廃止し、
    財投機関債及び財投債による資金調達を行う新たな仕組みを導入するなど、財政投融
    資制度の抜本的な改革を内容とするものである。
      しかしながら、このような抜本的な改革を行ったとしても、財政投融資を取り巻く
    社会経済情勢は今後とも変化するものであるので、そうした状況に対応して継続的な
    見直しが様々な面で必要となることも当然予想されるところであり、今後とも改革を
    継続していくことが重要である。

 (2)  特殊法人等の規律確保策
      特殊法人等について将来にわたる規律の確保策が確立されることが、今後の財政投
    融資の必要性・役割が厳格に評価され、持続的な改革が行われていくためにも必要で
    あると考えられる。
      具体的には、特殊法人等の事業活動等について、定期的に客観的な評価・監視を行
    う仕組みが確立されることが望ましいと考えられる。
      その際、客観的な評価のためには、政策目標などをできる限り評価可能な形で提示
    することが必要であり、その場合、評価の実施は第三者も含めた複数の専門的な機関
    によって行うべきではないか、また、例えば5年ごとに機関の見直しをゼロベースで
    行うべきではないかという意見があった。また、特殊法人等の事業活動等の評価につ
    いては、事前と事後とで行うべきであり、そのためにはそれらの会計制度を民間活動
    との比較可能性の観点から、できる限り民間で採用されている企業会計に近づける努
    力が必要ではないか、さらに、財政投融資の全体像の把握のため、連結ベースでの財
    務諸表の作成について研究を行うべきではないかという意見もあった。
      こうした評価に向けての試みは、政策決定の透明性を高めるとともに、財政投融資
    の出口に当たる特殊法人等のみならず、財政投融資全体に対する規律の確保に資する
    ものとして有効であると考えられる。
      また、特殊法人等については、国民に分かりやすい形での一層のディスクロージャ
    ーを推進する必要がある。その際、可能な限り民間の基準を上回る一層のディスクロ
    ージャーを進めるべきではないかという意見もあった。
      なお、財政投融資の問題は、その対象となっている特殊法人等に対する規律の確保
    に集約することができるとの意見もある。この観点からみると、財政投融資の資金調
    達のあり方の見直しは規律確保のための一つの手段であるが、さらに、欧米諸国にお
    ける最近の動き(ニューパブリックマネージメント(New Public Management)) をも
    参考にして、検討を深めていくべきではないかという意見もあった。
    (注)ニューパブリックマネージメントとは、従来とは異なる以下のような新たな行
        政手法により公共目的を達成していくべきであるとする考え方である。この新た
        な行政手法について必ずしも確立した定義はないが、業績成果を重視した意思決
        定、多面的な政策手段の活用、競争的環境の創出、業績の分析を通じたアカウン
        タビリティーの確保、企業的な会計・運営の導入などを指向することを基本的な
        内容としている。


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