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「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」5/6


第8章 利益の処分又は損失の処理に関する書類



70 表示区分

 利益の処分に関する書類は、当期未処分利益と利益処分額に分けて表示しなければならない。中期目標の期間の最後の事業年度においては、積立金振替額も加えて表示しなければならない。

 損失の処理に関する書類は、当期未処理損失、損失処理額及び次期繰越欠損金に分けて表示しなければならない。



71 利益の処分に関する書類の科目

 当期未処分利益は、前期繰越欠損金が存在するときは、当期総利益から前期繰越欠損金の額を差し引いて表示しなければならない。

 利益処分額の区分には、積立金及び目的積立金を内容ごとに表示するものとする。



72 損失の処理に関する書類の科目

 当期未処理損失は、前期繰越欠損金が存在し、当期総損失を生じた場合は当期総損失に前期繰越欠損金を加えて表示し、前期繰越欠損金が存在し、その額よりも小さい当期総利益を生じた場合は、前期繰越欠損金から当期総利益を差し引いて表示しなければならない。

 損失処理額の区分には、当期未処理損失を埋めるための各積立金の取崩額を積立金ごとに表示しなければならない。

 各積立金を取り崩しても当期未処理損失が埋まらないときは、その額は繰越欠損金として整理しなければならない。



73 通則法第44条第3項による承認の額
 
利益の処分に関する書類において、目的積立金として整理しようとするときは、「独立行政法人通則法第44条第3項により主務大臣の承認を受けた額」(承認前にあっては「独立行政法人通則法第44条第3項により主務大臣の承認を受けようとする額」)としてその総額を表示しなければならない。(参考)

 



参考> 経営努力認定の考え方について

 

 利益の処分に関する書類における「独立行政法人通則法第44条第3項により主務大臣の承認を受けた額」(承認前にあっては「独立行政法人通則法第44条第3項により主務大臣の承認を受けようとする額」)は、独立行政法人の当該事業年度における経営努力により生じたとされる額である。

 

 上記1の額の処分先としては、独立行政法人自体の動機付け確保の観点から、主務大臣の承認を得て中期計画で定められることとなるが、独立行政法人の公的な性格により、その処分内容についてはいかなるものであっても認められるというものではなく、合理的な使途でなければならない。

 

 「独立行政法人通則法第44条第3項により主務大臣の承認を受けた額」が、独立行政法人の経営努力により生じたものであることについては、業務運営の財源を運営費交付金に依存する独立行政法人にあっては、独立行政法人が自らその根拠を示すものとする。

 

 具体的には、以下の考え方によるものとする。

 

 

(1

) 運営費交付金及び国又は地方公共団体からの補助金等に基づく収益以外の収益(「第24 行政サービス実施コスト」に定める、業務費用から控除すべき収入をいう。)から生じた利益については、経営努力により生じたものとする。

(2

) 中期計画(年度計画)の記載内容に照らして、本来行うべき業務を効率的に行ったために費用が減少した場合には、その結果発生したものについては、原則として経営努力によるものとする。(本来行うべき業務を行わなかったために費用が減少したことと認められる場合には、経営努力によらないものとする。)

(3

) その他独立行政法人において経営努力によることを立証した場合は、経営努力により生じたものとする。

   



74 利益の処分に関する書類及び損失の処理に関する書類の様式
 利益の処分に関する書類及び損失の処理に関する書類の標準的な様式は、次のとおりとする。

 

第74 利益の処分に関する書類及び損失の処理に関する書類の様式



第9章 行政サービス実施コスト計算書



75 表示区分

 行政サービス実施コスト計算書は、コストの発生原因ごとに、業務費用、損益外減価償却相当額、引当外退職給付増加見積額、機会費用、(控除)法人税等及び国庫納付額に区分して表示しなければならない。

 業務費用は、損益計算書における費用相当額を計上し、更にこれより運営費交付金に基づく収益及び国又は地方公共団体からの補助金等に基づく収益以外の収益を差し引いて業務費用を計上する。

 機会費用は、国又は地方公共団体の財産の無償又は減額された使用料による貸借取引から生ずるものと、政府出資又は地方公共団体出資等から生ずるもの、国又は地方公共団体からの無利子又は通常よりも有利な条件による融資取引から生ずるものとを区別して表示する。

 (控除)法人税等及び国庫納付額は、業務費用に計上されている法人税等の額に法人税等調整額を加減した額及び国庫納付額を控除項目として計上する。



76 行政サービス実施コスト計算書の様式

 行政サービス実施コスト計算書の標準的な様式は、次のとおりとする。

 

第76 行政サービス実施コスト計算書の様式



77 注記事項

 行政サービス実施コスト計算書には、次の事項を注記しなければならない。(注52)

 

(1

) 国又は地方公共団体の財産の無償又は減額された使用料による貸借取引の機会費用があるときは、その計算方法

 

(2

) 政府出資又は地方公共団体出資等の機会費用があるときは、計算に使用した利率

 

(3

) 政府又は地方公共団体からの無利子又は通常よりも有利な条件による融資取引の機会費用があるときは、計算に使用した利率

 



注52> 機会費用計算の注記について
 機会費用の計算に当たっては、一定の仮定計算を行うものとする。

 

 

(1

) 国又は地方公共団体の財産を無償又は減額された使用料による貸借取引の機会費用は、例えば近隣の地代や賃貸料等を参考に計算を行い、その計算方法を注記する。

(2

) 政府出資又は地方公共団体出資等の機会費用は、資本金のうち政府出資金及び地方公共団体出資金の合計額に「第80 運営費交付金の会計処理」、「第81 施設費の会計処理」及び「第82 補助金等の会計処理」による会計処理を行った結果資本剰余金に計上された額を加算し、「第86 特定の償却資産の減価に係る会計処理」による損益外減価償却累計額(目的積立金を財源として取得した償却資産に係る損益外減価償却累計額を除く。)を控除した政府出資及び地方公共団体出資等の純額に一定の利率を乗じて計算する。一定利率については、国債の利回り等を参考にしつつ、簡明な数値を用いることとし、その計算方法を注記する。

(3

) 政府又は地方公共団体からの無利子又は通常よりも有利な条件による融資取引の機会費用は、当該融資の各事業年度における平均残高に通常の調達利率と実際の融資利率との差の利率を乗じて計算することとし、その計算方法を注記する。



第10章 附属明細書及び注記



78 附属明細書

 独立行政法人は、貸借対照表及び損益計算書等の内容を補足するため、次の事項を明らかにした附属明細書を作成しなければならない。(注53)

 

(1

) 固定資産の取得及び処分並びに減価償却費(「第86 特定の償却資産の減価に係る会計処理」による損益外減価償却相当額も含む。)の明細

 

(2

) たな卸資産の明細

 

(3

) 有価証券の明細

 

(4

) 長期貸付金の明細

 

(5

) 長期借入金及び(何)債券の明細

 

(6

) 引当金の明細

 

(7

) 法令に基づく引当金等の明細

 

(8

) 保証債務の明細

 

(9

) 資本金及び資本剰余金の明細

 

(1

0) 積立金等の明細及び目的積立金の取崩しの明細

 

(1

1) 運営費交付金債務及び運営費交付金収益の明細

 

(1

2) 国等からの財源措置の明細

 

(1

3) 役員及び職員の給与の明細

 

(1

4) 開示すべきセグメント情報

 

(1

5) 上記以外の主な資産、負債、費用及び収益の明細

 



注53> 附属明細書による開示について

 

 安定供給を確保する目的で保有する備蓄資産については、備蓄量、貸借対照表価額及び時価を明らかにしなければならない。

 

 セグメント情報との関係、国民に対する情報開示等の観点から、独立行政法人が実施する業務の目的ごとに固定資産をグルーピングして表示することが適切な場合は、業務の目的ごとに固定資産の状況を明らかにしなければならない。

 

 有価証券については、流動資産に計上した有価証券と投資有価証券を区分し、さらに売買目的有価証券、満期保有目的の債券、関係会社株式及びその他有価証券に区分して記載するほか、その他の関係会社有価証券を保有する場合は当該有価証券は区分して記載しなければならない。

 

 長期貸付金については、関係法人長期貸付金とその他の貸付金に区分して記載しなければならない。

 

 債務保証基金等、他の資産と区分して運用することが、当該資金を拠出(出資、出えんを含む。)した者から要請されている特定の運用資産については、当該資産の運用状況を明らかにしなければならない。

 

 引当金の明細において、資産の控除項目として計上される引当金については、当該資産の総額との関係を明らかにしなければならない。



79 注記

 独立行政法人の財務諸表には、重要な会計方針、重要な債務負担行為、その作成日までに発生した重要な後発事象、固有の表示科目の内容その他独立行政法人の状況を適切に開示するために必要な会計情報を注記しなければならない。

 重要な会計方針に係る注記事項は、まとめて記載するものとする。その他の注記事項についても、重要な会計方針の注記の次に記載することができる。(注54)(注55)(注56)

 



注54> 附属明細書及び注記における開示について
 独立行政法人の財務諸表は、広く国民にとってわかりやすい形で会計情報を開示するものでなければならないが、一方で、各種専門家にとって高度な分析に耐えられるような詳細な情報が含まれていなければならない。このため、貸借対照表や損益計算書等はいたずらに複雑なものとならないように留意しつつ、詳細な情報を附属明細書及び注記によって、開示していくものとする。

 



注55> 重要な会計方針の開示について

 

 会計方針とは、独立行政法人が財務諸表の作成に当たって、その会計情報を正しく示すために採用した会計処理の原則及び手続並びに表示の方法をいう。

 

 会計方針の例としては次のようなものがある。

 

 

(1

) 運営費交付金収益の計上基準

(2

) 減価償却の会計処理方法

(3

) 退職給付に係る引当金及び見積額の計上基準

(4

) 法令に基づく引当金等の計上根拠及び計上基準

(5

) 有価証券の評価基準及び評価方法

(6

) たな卸資産の評価基準及び評価方法

(7

) 債券発行差金の償却基準

(8

) 外貨建資産及び負債の本邦通貨への換算基準

(9

) 未収財源措置予定額の計上基準

(1

0) 行政サービス実施コスト計算書における機会費用の計上方法

 

 なお、重要な会計方針を変更した場合には、次の各号に掲げる事項を前項による記載の次に記載しなければならない。

 

 

(1

) 会計処理の原則又は手続を変更した場合には、その旨、変更の理由及び当該変更が財務諸表に与えている影響の内容

(2

) 表示方法を変更した場合には、その内容

 



注56> 重要な後発事象の開示について

 

 財務諸表には、その作成日までに発生した重要な後発事象を注記しなければならない。後発事象とは、貸借対照表日後に発生した事象で、次期以降の財政状態及び運営状況に影響を及ぼすものをいう。重要な後発事象を注記事項として開示することは、当該独立行政法人の将来の財政状態や運営状況を理解するための補足情報として有用である。

 

 重要な後発事象の例としては、次のようなものがある。

 

 

(1

) 独立行政法人の主要な業務の改廃

(2

) 中期計画の変更

(3

) 国又は地方公共団体からの財源措置の重大な変更

(4

) 火災、出水等による重大な損害の発生