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「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」2/6


第3章 認識及び測定



25 取得原価主義
 貸借対照表に記載する資産の価額は、原則として、当該資産の取得原価を基礎として計上しなければならない。



26 無償取得資産の評価
 譲与、贈与その他無償で取得した資産については、公正な評価額をもって取得原価とする。



27 有価証券の評価基準及び評価方法

 有価証券の取得原価は、購入代価に手数料等の付随費用を加算し、これに平均原価法等の方法を適用して算定した金額とする。

 有価証券は、独立行政法人が保有する目的により、次のように区分し、評価差額等について処理した上、それぞれ区分ごとの評価額をもって貸借対照表価額としなければならない。

 

(1

) 売買目的有価証券
  時価の変動により利益を得ることを目的として保有する有価証券(以下「売買目的有価証券」という。)は、時価をもって貸借対照表価額とし、評価差額は当期の損益として処理する。(注20)

 

(2

) 満期保有目的の債券
  満期まで所有する意図をもって保有する国債、地方債、政府保証債、その他の債券(以下「満期保有目的の債券」という。)は、取得原価をもって貸借対照表価額とする。ただし、債券を債券金額より低い価額又は高い価額で取得した場合において、取得価額と債券金額との差額の性格が金利の調整と認められるときは、償却原価法に基いて算定された価額をもって貸借対照表価額としなければならない。(注21)(注22)(注23)

 

(3

) 関係会社株式
  関係会社株式は、取得原価をもって貸借対照表価額とする。ただし、当該会社の財務諸表を基礎とした純資産額に持分割合を乗じて算定した額が取得原価よりも下落した場合には、当該算定額をもって貸借対照表価額とし、評価差額は当期の費用として処理するとともに、翌期首に取得原価に洗い替えなければならない。

 

(4

) その他有価証券
  売買目的有価証券、満期保有目的の債券及び関係会社株式以外の有価証券(以下「その他有価証券」という。)は、時価をもって貸借対照表価額とし、評価差額はその全額を資本の部に計上し、翌期首に取得原価に洗い替えなければならない。なお、資本の部に計上されるその他有価証券の評価差額については、資本の部に計上される他の剰余金と区分して記載しなければならない。(注20)

 満期保有目的の債券及びその他有価証券のうち市場価格のあるものについて時価が著しく下落したときは、回復する見込があると認められる場合を除き、時価をもって貸借対照表価額とし、評価差額は当期の費用として処理しなければならない。
 市場価格のない株式については、発行会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下したときは、相当の減額をなし、評価差額は当期の費用として処理しなければならない。

 



注20> 時価について
 時価とは、公正な評価額をいい、市場において形成されている取引価格、気配又は指標その他の相場に基づく価額をいう。市場において形成されている取引価格、気配又は指標その他の相場がない場合には、合理的に算定された価額を公正な評価額とする。

 



注21> 償却原価法について
 償却原価法とは、債券を債券金額より低い価額又は高い価額で取得した場合において、当該差額に相当する金額を償還期に至るまで毎期一定の方法で貸借対照表価額に加減する方法をいう。なお、この場合には、当該加減額を受取利息に含めて処理する。

 



注22> 満期保有目的の債券とその他有価証券との区分

 

 その他有価証券とは、売買目的有価証券、満期保有目的の債券及び関係会社株式以外の有価証券であり、長期的な時価の変動により利益を得ることを目的として保有する有価証券や、政策的な目的から保有する有価証券が含まれることになる。

 

 余裕資金等の運用として、利息収入を得ることを主たる目的として保有する国債、地方債、政府保証債、その他の債券であって、長期保有の意思をもって取得した債券は、資金繰り等から長期的には売却の可能性が見込まれる債券であっても、満期保有目的の債券に区分するものとする。

 



注23> 満期保有目的の債券の保有目的の変更について
 満期保有目的の債券を償還期限前に売却した場合には、次に掲げる場合を除き、当該売却した債券と同じ事業年度に購入した残りの満期保有目的の債券の全てについて、保有目的の変更があったものとして売買目的有価証券に振り替えなければならない。

 

 

(1

) 満期保有目的の債券を購入した中期目標期間後の中期目標期間において、中期計画上の資金計画において、満期保有目的の債券の売却収入を財源とした事業計画が策定されている場合であって、当該事業計画に従って売却した場合

(2

) 満期保有目的の債券を購入した中期目標期間後の中期目標期間において、金利情勢の変化に対応して、より運用利回りの高い債券に切り換えるため、又は独立行政法人が定める信用上の運用基準に該当しなくなったことに伴い、運用基準に該当する他の債券に切り換えるために売却した場合



28 たな卸資産の評価基準及び評価方法

 製品、半製品、原材料、仕掛品、商品等のたな卸資産については、原則として購入代価又は製造原価に引取費用等の付随費用を加算し、これに個別法、先入先出法、平均原価法等のうちあらかじめ定めた方法を適用して算定した取得原価をもって貸借対照表価額とする。

 ただし、販売用不動産を除き、時価が取得原価よりも下落した場合には時価をもって貸借対照表価額としなければならない。

 たな卸資産である販売用不動産については、時価が著しく下落したときは、回復の見込があると認められる場合を除き、時価をもって貸借対照表価額としなければならない。(注24)(注25)(注26)

 なお、たな卸資産の評価方法は毎事業年度継続して適用しなければならず、みだりに変更してはならない。

 



注24> 販売用不動産の時価について
 販売用不動産のうち、通常の業務活動の循環過程にある資産については、販売見込額から販売経費等見込額を控除した(開発後販売する資産については、完成後販売見込額から造成・建設工事原価の今後発生見込額及び販売等経費見込額を控除した)正味実現可能価額をもって時価とし、通常の業務活動の循環過程から外れていると認められる資産(例えば、事業を中止しその後の方針が未定の資産や、経済状況等から相当期間売れ残っているような資産)については、事業の中止、相当の売れ残り等を前提とした、決算日における公正な評価額をもって時価とする。

 



注25> 販売用不動産に係る時価の著しい下落の判断基準について
 時価が著しく下落したときとは、次のいずれかに該当する場合である。ただし、販売用不動産の時価の下落割合がおおむね30%未満であるときは、著しく下落していないものとすることができる。

 

 

(1

) 販売用不動産の時価が取得原価に比して相当程度下落しており、その評価減が財務諸表に重要な影響を与えると認められる場合

(2

) 開発計画の中止等の方針変更があり、又は長期間に亘り造成等の工事が中断しており、販売用不動産に相当程度の時価の下落が生じていると認められる場合

 



注26> 販売用不動産に係る時価の回復可能性に関する判断基準について
 時価の回復可能性の具体的判断に当たっては、対象資産の個別的な回復可能性の検討が必要である。例えば、当該不動産に関する土地利用規制の解除、開発計画の 認可、計画道路や鉄道等の具体的計画が確認できるため、相当の期間内に時価がおおむね取得原価以上となる見込みがあることが必要である。
 なお、経済全体の状況、地価の動向等のマクロ的要因についても判断材料とすることができる。



29 貸付金等の貸借対照表価額

 売掛金、貸付金、割賦元金等の債権の貸借対照表価額は、取得価額から貸倒引当金を控除した金額とする。なお、貸倒引当金は、資産の控除項目として貸借対照表に計上するものとする。

 貸倒引当金は、債務者の財政状態及び経営成績等に応じて、次のように区分し、それぞれ区分ごとの貸倒見積高をもって計上しなければならない。

 

(1

) 一般債権(経営状態に重大な問題が生じていない債務者に対する債権をいう。)については、債権全体又は同種・同類の債権ごとに、債権の状況に応じて求めた過去の貸倒実績率等合理的な基準により算定する。

 

(2

) 貸倒懸念債権(経営破綻の状態には至っていないが、債務の弁済に重大な問題が生じているか又は生じる可能性の高い債務者に対する債権をいう。)については、債権の状況に応じて、次のいずれかの方法により貸倒見積高を算定する。ただし、同一の債権については、債務者の財政状態及び経営成績の状況等が変化しない限り、同一の方法を継続して適用する。

 

 

 債権額から担保の処分見込額及び保証による回収見込額を減額し、その残額について債務者の財政状態及び経営成績を考慮して貸倒見積高を算定する方法

 債権の元本の回収及び利息の受取りに係るキャッシュ・フローを合理的に見積もることができる債権については、債権の元本及び利息について元本の回収及び利息の受取りが見込まれるときから当期末までの期間にわたり当初の約定利子率で割り引いた金額の総額と債権の帳簿価額との差額を貸倒見積高とする方法

 

(3

) 破産更生債権等(経営破綻又は実質的に経営破綻に陥っている債務者に対する債権をいう。)については、債権額から担保の処分見込額及び保証による回収見込額を減額し、その残額を貸倒見積高とする。
 



30 債務保証の会計処理

 独立行政法人が民間企業等の債務の保証を行っている場合は、債務保証の履行によって損失が生じると見込まれる額を保証債務損失引当金として計上しなければならない。

 保証債務損失引当金の額は、主たる債務者の財政状態、担保価値の評価、プロジェクトの損益の見込、他の保証人の負担能力等を総合的に判断して見積もらなければならない。

 決算日における債務保証の総額は注記しなければならない。また、保証債務の明細、増減、保証料収益との関係並びに保証債務損失引当金の増減を附属明細書において明らかにしなければならない。



31 有形固定資産の評価

 有形固定資産については、その取得原価から減価償却累計額を控除した価額をもって貸借対照表価額とする。

 有形固定資産の取得原価には、原則として当該資産の引取費用等の付随費用を含めて算定した金額とする。

 政府からの現物出資として受入れた固定資産及び特殊法人等から承継した固定資産については、個別法の現物出資又は権利義務承継の根拠規定に基づき評価委員が決定した価額を取得原価とする。

 償却済の有形固定資産は、除却されるまで残存価額又は備忘価額で記載する。



32 無形固定資産の評価

 無形固定資産については、当該資産の取得のために支出した金額から減価償却累計額を控除した価額をもって貸借対照表価額とする。(注27)

 



注27> ソフトウェアについて

 

 ソフトウェア(コンピュータを機能させるように指令を組み合わせて表現したプログラム等をいう。以下同じ。)を用いて外部に業務処理等のサービスを提供する契約等が締結されている場合のように、その提供により将来の収益獲得が確実であると認められる場合には、適正な原価を集計した上、当該ソフトウェアの制作に要した費用に相当する額を無形固定資産として計上しなければならない。

 

 法人内利用のソフトウェアについては、完成品を購入した場合のように、その利用により将来の収益獲得又は費用削減が確実であると認められる場合には、当該ソフトウェアの取得に要した費用に相当する額を無形固定資産として計上しなければならない。

 

 機械装置等に組み込まれているソフトウェアについては、当該機械装置等に含めて処理する。



33 リース資産の会計処理

 リース取引に係る会計基準については、リース取引をファイナンス・リース取引とオペレーティング・リース取引の二種類に分け、ファイナンス・リース取引については、通常の売買取引に係る方法に準じて会計処理を行い、オペレーティング・リース取引については、通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理を行い、かつ、リース期間の中途において当該契約を解除することができるオペレーティング・リース取引を除き、次に掲げる事項を財務諸表に注記する。(注28)

 

(1

) 貸借対照表日後一年以内のリース期間に係る未経過リース料

 

(2

) 貸借対照表日後一年を超えるリース期間に係る未経過リース料

 



注28> リース資産の表示方法について

 

 ファイナンス・リース取引とは、リース契約に基づくリース期間の中途において当該契約を解除することができないリース取引又はこれに準ずるリース取引で、借り手が、当該契約に基づき使用する物件(以下「リース物件」という。)からもたらされる経済的便益を実質的に享受することができ、かつ、当該リース物件の使用に伴って生じるコストを実質的に負担することとなるリース取引をいう。オペレーティング・リース取引とは、ファイナンス・リース取引以外のリース取引をいう。

 

 独立行政法人におけるファイナンス・リース取引の会計基準については、独立行政法人が公共性等共通の性格を持ち、一の統一した制度の下に存在するものであって、その比較可能性を考慮した場合、企業会計原則では認められている「通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理」を選択的に認めることは適切ではないことから、通常の売買取引に係る方法に準じた処理を行うものとする。



34 外貨建取引の会計処理

 外貨建取引は、原則として、当該取引発生時の為替相場による円換算額をもって記録する。(注29)(注30)

 在外事務所における外貨建取引については、原則として、主たる事務所と同様に処理する。ただし、外国通貨で表示されている在外事務所の財務諸表に基づき独立行政法人の財務諸表を作成する場合には、在外事務所の財務諸表の費用及び収益(費用性資産の費用化額及び収益性負債の収益化額を除く。)の換算については、期中平均相場によることができる。

 外国通貨、外貨建金銭債権債務及び外貨建有価証券については、決算時において、次の区分ごとの換算額をもって貸借対照表価額とする。

 

(1

) 外国通貨については、決算時の為替相場による円換算額

 

(2

) 外貨建金銭債権債務については、決算時の為替相場による円換算額

 

(3

) 外貨建有価証券の換算額については、保有目的による区分に応じ、次により換算した額

 

 

 満期保有目的の外貨建債券については、決算時の為替相場による円換算額

 売買目的有価証券及びその他有価証券については、外国通貨による時価を決算時の為替相場により円換算した額

 関係会社株式については、取得時の為替相場による円換算額。ただし、当該会社の財務諸表を基礎とした純資産額に持分割合を乗じて外国通貨により算定した額が外国通貨による取得原価よりも下落した場合には、当該算定額を決算時の為替相場により円換算した額

 外貨建有価証券について時価の著しい下落又は実質価額の著しい低下により評価額の引下げが求められる場合には、当該有価証券の時価又は実質価額は、外国通貨による時価又は実質価額を決算時の為替相場により円換算した額とする。

 決算時における換算によって生じた換算差額は、当期の為替差損益として処理する。ただし、外貨建有価証券換算差額については、時価の著しい下落又は実質価額の著しい低下により、決算時の為替相場による換算を行ったことによって生じた換算差額は、当期の有価証券の評価損として処理するほか、次に定めるところにより処理するものとする。

 

(1

) 満期保有目的の外貨建債券について決算時の為替相場による換算を行うことによって生じた換算差額は、当期の為替差損益として処理する。

 

(2

) 売買目的の外貨建債券について決算時の為替相場による換算を行うことによって生じた換算差額は、当期の有価証券評価損益として処理する。

 

(3

) 外貨建の関係会社株式について決算時の為替相場による換算を行うことによって生じた換算差額は、当期の有価証券評価損益として処理する。

 

(4

) 外貨建のその他有価証券について決算時の為替相場による換算を行うことによって生じた換算差額は、資本の部に計上し、翌期首に取得原価に洗い替える。

 



注29> 取引発生時の為替相場について
 取引発生時の為替相場とは、取引が発生した日における直物為替相場又は合理的な基準に基づいて算定された平均相場、例えば取引の行われた月又は週の前月又は前週の直物為替相場を平均したもの等、直近の一定期間の直物相場に基づいて算出されたものとする。ただし、取引が発生した日の直近の一定の日における直物為替相場、例えば取引の行われた月若しくは週の前月若しくは前週の末日又は当月若しくは当週の初日の直物為替相場によることも認められる。

 



注30> 外国通貨による記録について
 外貨建債権債務及び外国通貨の保有状況並びに決済方法等から、外貨建取引について当該取引発生時の外国通貨により記録することが合理的であると認められる場合には、取引発生時の外国通貨の額をもって記録する方法を採用することができる。この場合には、外国通貨の額をもって記録された外貨建取引は、各月末等一定の時点において、当該時点の直物為替相場又は合理的な基礎に基づいて算定された一定期間の平均相場による円換算額を付するものとする。



35 法人税等の期間配分に係る会計処理

 法人税その他利益に関連する金額を課税標準とする税金(以下「法人税等」という。)が課される独立行政法人において、一時差異等(貸借対照表に計上されている資産又は負債の額と課税所得計算上の資産又は負債の額との差額及び将来の課税所得と相殺可能な繰越欠損金等をいう。以下同じ。)があるときは、次の各号に定めるところにより法人税等の額を適切に期間配分しなければならない。(注31)(注32)

 

(1

) 一時差異等に係る税金の額は、将来の会計期間において回収又は支払が見込まれない税金の額を除き、繰延税金資産又は繰延税金負債として貸借対照表に計上しなければならない。

 

(2

) 繰延税金資産又は繰延税金負債の金額は、回収又は支払が行われるものと見込まれる期の税率に基づいて計算するものとする。

 

(3

) 繰延税金資産と繰延税金負債の差額を期首と期末で比較した増減額は、当期に納付すべき法人税等の調整額として計上しなければならない。

 繰延税金資産及び繰延税金負債の発生原因別の主な内訳については、注記しなければならない。

 



注31> 法人税等の範囲
 法人税等には、法人税のほか、都道府県民税、市町村民税及び利益に関連する金額を課税標準とする事業税が含まれる。

 



注32> 繰越欠損金の扱い
 繰越欠損金に係る繰延税金資産は法人の運営状況から近い将来課税所得が発生することが確実に見込まれる場合に限り計上することができることに留意する。



36 原価計算の基準

 製造等の業務を行う独立行政法人における製品等の製造原価は、適正な原価計算基準に従って算定されなければならない。(注33)

 



注33> 原価計算の基準について
 製造等の業務を行う独立行政法人は、製造等の業務の種類、業務の規模等を勘案し、一般に公正妥当と認められた原価計算の基準に従い、合理的な原価計算手続を定めなければならない。



37 責任準備金の計上基準

 保険事業又は共済事業等を運営する独立行政法人は、保険契約又は共済契約等に基づく将来における債務の履行に備えるため、責任準備金を積み立てなければならない。

 責任準備金は、保険数理等に基づいた合理的な基準に従って積み立てなければならない。(注34)

 



注34> 責任準備金の積立ての基準について
 責任準備金の積立ての基準は、独立行政法人が運営する保険事業又は共済事業等に係る将来給付見込額、予定運用利回り等のほか、想定されるリスクを適切に反映した合理的な基準として定めなければならない。



38 退職給付引当金の計上方法

 退職給付引当金は、退職給付債務に未認識過去勤務債務及び未認識数理計算上の差異を加減した額から年金資産の額を控除した額を計上しなければならない。

 退職給付債務は、独立行政法人の役員及び職員の退職時に見込まれる退職給付の総額のうち、期末までに発生していると認められる額を一定の割引率及び予想される退職時から現在までの期間に基づき割り引いて計算する。(注35)(注36)

 退職給付債務には、退職一時金のほか、厚生年金基金から支給される年金給付、退職共済年金に係る整理資源負担及び恩給負担金に係る債務が含まれる。(注37)

 未認識過去勤務債務とは、退職給付水準の改訂等に起因して発生した退職給付債務の増加又は減少部分のうち、費用処理(費用の減額処理又は費用を超過して減額した場合の利益処理を含む。次において同じ。)されていないものをいう。未認識過去勤務債務は、平均残存勤務期間内の一定年数で均等償却することができる。

 未認識数理計算上の差異とは、年金資産の期待運用収益と実際の運用収益との差異、退職給付債務の数理計算に用いた見積数値と実績との差異及び見積数値の変更等により発生した差異のうち、費用処理されていないものをいう。未認識数理計算上の差異は、平均残存勤務期間内の一定年数で均等償却することができる。

 年金資産の額は、厚生年金基金が運用している年金資産を期末における公正な評価額により計算する。

 複数の事業主により設立された厚生年金基金に加入している場合においては、退職給付債務の比率その他合理的な基準により、独立行政法人の負担に属する年金資産等の計算を行うものとする。

 職員数三百人未満の独立行政法人については、退職給付債務のうち、退職一時金に係る債務については、期末要支給額によることができる。(注38)

 



注35> 退職給付の総額のうち期末までに発生していると認められる額
 退職給付の総額のうち期末までに発生していると認められる額は、退職給付見込額について全勤務期間で除した額を各期の発生額とする方法その他役員及び職員の勤務の対価を合理的に反映する方法を用いて計算しなければならない。

 



注36> 割引率について
 退職給付債務の計算における割引率は、安全性の高い長期の債券の利回りを基礎として決定しなければならない。

 



注37> 整理資源について
 整理資源に係る退職給付債務の額については、退職共済年金の給付等の事務を行っている国家公務員共済組合連合会において、年金の財政再計算の際に見積もられた額を基礎として計算する。

 



注38> 簡便法による退職給付債務の見積について
 職員数三百人未満の独立行政法人については、退職一時金に係る債務については、期末要支給額によることができるが、年金債務については、簡便法によることは認められない。



39 費用配分の原則

 資産の取得原価は、資産の種類に応じた費用配分の原則によって、各事業年度に配分しなければならない。

 有形固定資産は、当該資産の耐用年数にわたり、無形固定資産は、当該資産の有効期間にわたり、減価償却の方法によって、その取得原価を各事業年度に配分しなければならない。

 減価償却の方法は、有形固定資産及び無形固定資産のいずれについても定額法によるものとする。
 ただし、国からの財源措置が予定されない独立採算の業務運営が行われる独立行政法人において、製造業務に使用される機械装置等については、定率法によることができる。



40 発生主義の原則

 独立行政法人に発生したすべての費用及び収益は、その支出及び収入に基づいて計上し、その発生した期間に正しく割り当てられるように処理しなければならない。

 なお、未実現収益は、原則として、当期の損益計算に計上してはならない。



第4章 財務諸表の体系



41 財務諸表の体系

 独立行政法人の財務諸表の体系は、次のとおりである。

 

(1

) 貸借対照表

 

(2

) 損益計算書

 

(3

) キャッシュ・フロー計算書

 

(4

) 利益の処分又は損失の処理に関する書類

 

(5

) 行政サービス実施コスト計算書

 

(6

) 附属明細書



42 セグメント情報の開示

 独立行政法人における開示すべきセグメント情報は、当該法人の事業内容等に応じた適切な区分に基づくセグメント情報とする。

 開示すべき情報は、事業収益、事業損益及び当該セグメントに属する総資産額とする。(注39)

 



注39> セグメント情報の開示について

 

 独立行政法人においても、その業務の内容が多岐にわたる場合、説明責任の観点から、その業務ごとのセグメントに係る財務情報を開示する必要がある。

 

 また、開示すべき情報についても、国民その他の利害関係者に対する説明責任を果たすため、主要な資産項目、主要な事業費用及び国又は地方公共団体による財源措置等の内訳を積極的に開示する必要がある。

 

 セグメントの区分については、一律かつ統一的に設定することは逆にその意味を失わせることにもなりかねないため、運営費交付金に基づく収益以外の収益の性質や複数の業務を統合した法人における業務の区分を参考にしつつ、各法人において個々に定めていくこととする。



43 貸借対照表の作成目的

 貸借対照表は、独立行政法人の財政状態を明らかにするため、貸借対照表日におけるすべての資産、負債及び資本を記載し、国民その他の利害関係者にこれを正しく表示するものでなければならない。



44 損益計算書の作成目的

 損益計算書は、独立行政法人の運営状況を明らかにするため、一会計期間に属する独立行政法人のすべての費用とこれに対応するすべての収益とを記載して当期純利益を表示しなければならない。

 損益計算書は、通則法第44条にいう利益又は損失を確定するため、当期純利益に必要な項目を加減して、当期総利益を表示しなければならない。



45 キャッシュ・フロー計算書の作成目的

 キャッシュ・フロー計算書は、独立行政法人の一会計期間におけるキャッシュ・フローの状況を報告するため、キャッシュ・フローを一定の活動区分別に表示しなければならない。(注40)

 



注40> キャッシュ・フロー計算書の位置付けについて
 キャッシュ・フロー計算書は、一会計期間におけるキャッシュ・フローの状況を一定の活動区分別に表示するものであり、貸借対照表及び損益計算書と同様に独立行政法人の活動の全体を対象とする重要な情報を提供するものである。このようなキャッシュ・フロー計算書の重要性にかんがみ、独立行政法人の財務諸表の一つに位置付けられる。



46 利益の処分又は損失の処理に関する書類の作成目的

 利益の処分又は損失の処理に関する書類は、独立行政法人の当期未処分利益の処分又は当期未処理損失の処理の内容を明らかにするために作成しなければならない。



47 行政サービス実施コスト計算書の作成目的

 行政サービス実施コスト計算書は、納税者である国民の行政サービスに対する評価・判断に資するため、一会計期間に属する独立行政法人の業務運営に関し、行政サービス実施コストに係る情報を一元的に集約して表示する。(注41)

 



注41> 行政サービス実施コスト計算書について

 

 行政サービス実施コスト計算書は、独立行政法人の業務運営に関して国民が負担するコストを集約し、情報開示の徹底を図り、納税者である国民の行政サービスに対する評価・判断に資するための書類である。独立行政法人の損益計算書は法人の運営状況を表示する書類であり、ここに計上される損益は、法人の業績を示す損益であって必ずしも納税者にとっての負担とは一致しない。例えば、運営費交付金収益が増えると、独立行政法人の損益にはプラスにはたらくが、納税者の負担は逆に増加する。また、損益計算を通じない場合の減価償却相当額、引当金を計上しない場合の退職給付増加見積額、国又は地方公共団体の財産や出資等を利用することから生じる機会費用等、独立行政法人の損益計算書等には計上されないが、広い意味で最終的に国民の負担に帰すべきコストも存在する。行政サービス実施コスト計算書は、これらのコストを集約表示する書類である。

 

 なお、表示すべき行政サービス実施コストには、政府内の企画立案部門の費用等までは含まないものとし、「第24行政サービス実施コスト」で示した項目に限定する。

 

 行政サービス実施コスト計算書は、独立行政法人独自の計算書類であり、独立行政法人の財務諸表の一つに位置付けられるものとする。

 
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