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国有財産法第28条第1号及び第2号の規定により普通財産を譲与する場合の取扱いについて

昭和49年4月18日
蔵理第1695


改正昭和 51年9月 7日蔵理第 3719号

同 58年3月 25日同 924号

同 58年5月 18日同第 1805号

同 59年8月 10日同第 2808号

平成4年6月 4日同第 2205号

同 13年3月 30日財理第 1296号

同 24年5月 22日財理第 2445号

令和3年6月 11日同第 1932号

大蔵省理財局長から各財務局長、沖縄総合事務局長宛

国有財産法(昭和23年法律第73号。以下「法」という。)第28条第1号及び第2号の規定により普通財産を譲与する場合の取扱いについては、下記によることとしたから、通知する。

この通達の趣旨は、国有財産法及び国有財産特別措置法の一部を改正する法律(昭和48年法律第67号。以下「改正法」という。)が施行されたことに伴い普通財産を譲与する場合の取扱基準を定め、もって事務処理の適正化を図ることにある。

おって、次の通達は廃止する。

昭和33年10月14日付蔵管第2758号「普通財産(廃道敷)の譲与について」

昭和34年4月3日付蔵管第794号「国有財産法第28条第1号の規定による普通財産の譲与について」

昭和36年9月22日付蔵管第2187号「国有財産法第28条第1号、第2号及び第3号の解釈及び適用について」

昭和44年2月13日付蔵理第510号「国有財産法第28条第1号及び第2号の規定により譲与すべき財産について」

譲与の相手方

(1)法第28条第1号の規定に基づく譲与の相手方は、公共団体に限られるが、この場合における公共団体は必ずしも公共用財産の用途廃止によって生じた普通財産(以下「用途廃止財産」という。)の従前の管理者のみに限らず、管理者以外の公共団体であっても、事実上当該用途廃止財産の維持及び保存の費用を負担した公共団体である場合には、当該公共団体をその費用の負担した費用の額の範囲内において譲与の相手方として取扱うものとする。

(2)法第28条第2号の規定に基づく譲与の相手方は、公共用財産の用途に代わるべき他の施設(以下「代替施設」という。)を直接自己の負担において設置した公共団体又は私人(その相続人その他の包括承継者を含む。以下同じ。)であるが、この場合には、当該公共団体又は私人が代替施設を国に寄附した場合に限り、譲与の相手方として取扱うものとする。

譲与することができる財産の範囲

(1)負担した費用の額

法第28条第1号に規定する負担した費用

(イ)法第28条第1号に規定する「維持及び保存の費用」とは、公共用財産の原状を維持し、又は滅失き損を防止するために要した修繕費等の費用(境界確認及び不法占拠使用の排除に要した費用を含む。)をいい、「負担した費用」とは、当該財産が公共的用途に供されていた期間中に公共団体が負担した維持及び保存の費用とする。

なお、費用の額の確認については、その額が証明できる最小限の資料によるものとし、事務の簡素化に努めるものとする。

(注)一級河川については、次の資料により負担した費用の額及びその水系名が確認できる場合には、それによって差し支えない。

    • 指定区間外(国土交通省直轄管理部分)について都道府県が費用負担した場合は、国土交通省の費用負担証明書

    • 指定区間(都道府県管理部分)について都道府県が費用負担した場合は、当該都道府県の地方自治法第233条第1項に規定する決算(その説明書等を含む。)等

(ロ)法定公共用財産(河川法(昭和39年法律第167号)等公共物管理に関する特別法が適用又は準用される公共用財産)が用途廃止された場合においては、河川にあっては同一水系、道路にあっては同一路線、その他にあっては用途廃止前の公共用財産の区域の指定における同一指定区域において負担した費用の合計額を、当該用途廃止財産に係る負担した費用の額とすることができる。

(注)「河川にあっては同一水系」とは、一級河川については、河川法第4条第1 項の水系を指定する政令(昭和40年政令第43号)により指定された水系の区分に従い、同一水系に属するすべての河川を含むものであり、上流、下流、支川、派川の別は問わない。

(ハ)普通河川(河川法の適用又は準用のない河川)が用途廃止された場合においても法定河川に準ずる取扱いが適当と認められるときは、上記(ロ)によることができる。

ロ 法第28条第2号に規定する負担した費用の額は、公共団体又は私人が代替施設を設置するために負担した費用の額に限るものとする。

(注) 「代替施設を設置するために負担した費用の額」に用地費を算入するときは、当該用地費の額はその用地買収費によることとする。

法第28条第1号及び第2号に規定する負担した費用の額には、国庫補助金及び譲与の相手方以外の者が負担した費用の額は、含まないものとする。

法第28条第1号及び第2号に規定する負担した費用の額には、公共用財産の維持及び保存をし、又は代替施設を設置するため、公共団体若しくは私人が所有している財産を提供した場合における当該財産の価額をも算入することができる。

この場合における算入する価額は、公共団体が維持及び保存の行為のために提供した財産を国に寄附したとき又は公共団体若しくは私人が代替施設を国に寄附したときの時価額によることができるものとする。

(注)なお、前記(ロ)(注)の場合において用地買収費が明らかでない場合又は用地買収費が明らかな場合であっても買収時点が古いとき、その他用地買収費によることが適当でないときは、この二の後段の規定により処理するものとする。

法第28条第2号に規定する代替施設を設置した場合に、その代替施設の工事が国の事業として行われたときは、公共団体又は私人が当該工事について負担金を支出した場合であっても、公共団体又は私人において代替施設を設置したことにはならないから、法第28条第2号の規定に基づき用途廃止財産を譲与することはできない。

ただし、この場合であっても当該工事が、公共用財産の維持及び保存のためになされたものであれば法第28条第1号の規定に基づき公共団体において公共用財産の維持及び保存の費用を負担したものとして、支出した負担金の範囲内で、当該用途廃止財産を譲与することは可能である。

(2) 譲与することができる財産の価額の算定方法

法第28条第1号又は第2号の規定に基づく譲与はそれぞれ次に掲げる算式により算定した価額に対応する財産の範囲内とする。

ただし、次に掲げる算式により算定した価額が、譲与時における用途廃止財産の評価額を超えるときは、当該用途廃止財産の譲与時の評価額を限度とする。

法第28条第1号の規定に基づく場合

X=

譲与時の用途廃止財産の評価額

×

用途廃止財産の維持及び保存のために負担した費用の額

用途廃止時の用途廃止財産の評価額

法第28条第2号の規定に基づく場合

X=

譲与時の用途廃止財産の評価額

×

用途廃止財産の代替施設の設置のために負担した費用の額

用途廃止時の用途廃止財産の評価額

(注)Xは譲与することができる財産の価額を示す。

なお、用途廃止時は、用途廃止財産の引継通知書に記載されている用途(又は公用)廃止年月日とする。

(3)旧法定外公共用財産を譲与する場合の譲与することができる財産の価額の合算

一定期間内(公共団体からの譲与申請前おおむね1年間)に複数の旧法定外公共物(用途廃止された法定外公共用財産)を引き受けた場合においては、それぞれの財産について「譲与することができる財産の価額」を算定し、その合計額の範囲内で当該引き受けに係る財産のうちから財務(支)局長(沖縄総合事務局長を含む。)財務事務所長及び出張所長(以下「財務局長等」という。)が特定した財産を譲与することができるものとする。

(注1)譲与する財産を特定するに当たっては、旧法定外公共用財産の引受け時に公共団体の要望を参酌するものとし、特定後、当該公共団体にその旨通知する。

(注2)財務局長が特定した財産以外の財産については、引受後、速やかに売払い等の処理をし、全体の管理処分事務を遅延させないよう配慮する。

(注3) 譲与できる財産の価額の合計額が財務局等が特定した財産を下回る場合には、当該特定した財産から当該合計額相当分を譲与し、上回る場合には、当該特定した財産のすべてを譲与し、上回る額については、次回以降に繰り越さないものとする。

(注4) 負担した費用の額の確認に当たっては、譲与申請書に別紙様式1による「用途廃止明細書」を添えて提出させることとし、これにより負担した費用を確認する。

用途廃止財産等の評価額

用途廃止時の土地の評価額は、用途廃止時を価格時点とし、「国有財産評価基準」により求めるものとする。

ただし、評価資料の収集が困難等のため用途廃止時を価格時点として評価することが困難と認められるときは、譲与時を価格時点として求めた評価額を、用途廃止時まで時点修正による修正をして求めた評価額によることができるものとする。また、公共団体又は私人が所有していた財産を提供して、公共用財産の維持及び保存の行為をしたとき又は代替施設をしたときの当該財産の評価については、維持及び保存の行為のために提供した財産を国に寄附したとき又は代替施設を国に寄附したときを価格時点として求めるものとする。

(注1)旧法定外公共用財産に係る境界確認に要した費用については、時点修正は行わない。

(注2)代替施設が単独利用困難な土地である場合は、「国有財産評価基準」より需給関係等の修正を行うものとする。

暴力団排除に関する取組

契約締結にあたっては、平成24年5月22日付財理第2445号「普通財産の管理処分に係る契約からの暴力団排除について」通達の記の3に定める特約のうち(1)及び(2)を付すものとする。

その他

(1)代替施設の寄附を受けたことにより、用途廃止財産を法第28条第2号の規定に基づき譲与した場合には公共用財産となった当該代替施設が後日用途廃止された場合であっても既に公共団体又は私人の経済上の負担を考慮した処理がなされたものであるから、これを重ねて法第28条第3号の規定に基づく譲与はしないものとする。

ただし、第2号に定める負担した費用の額が、同号の規定に基づき譲与した用途廃止財産の用途廃止時の価額を超える場合には、その超える額の範囲内において譲与できるものとする。

(2)第28条第1号及び第2号の規定に基づく譲与が数次にわたって行われる場合においては、公共団体又は私人の負担した費用の額に重複して計算することのないように、別紙様式2による「用途廃止財産譲与事跡簿」を備えて記録しておくものとする。

書面等の作成等・提出等の方法

(1)電子ファイルによる作成等

本通達に基づき、作成等を行う書面等(書面その他文字、図形その他の人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。以下同じ。)については、電子ファイルにより作成等を行うことができる。

(2)電子メール等による提出等

イ. 本通達に基づく提出等の手続のうち、書面等により行うこととしているものについては、電子メール等の方法により行うことができる。

ロ. 上記イの方法により提出等を行うときは、電子ファイルをもって行うものとする。

(3)適用除外

上記(1)及び(2)の措置は、本通達記2(3)(注4)に規定する「譲与申請書」の提出を求める場合については適用しないものとする。

別紙様式1、2(PDF:98KB)