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令和7年度税制改正の大綱(7/9)

納税環境整備

電子帳簿等保存制度の見直し

(国税)

電子取引(取引情報の授受を電磁的方式により行う取引をいう。以下同じ。)の取引情報に係る電磁的記録の保存制度について、次の見直しを行う。

  • (1)申告所得税、法人税及び消費税における電子取引の取引情報に係る電磁的記録に記録された事項に関し、隠蔽し、又は仮装された事実に基づき期限後申告等があった場合におけるその記録された事項に関し生じた申告漏れ等に課される重加算税の割合を10%加重する措置(以下「電磁的記録に係る重加算税の加重措置」という。)の対象から、特定電磁的記録であって、その保存が次に掲げる要件を満たしている場合(あらかじめ、その特定電磁的記録について届出書を提出している場合に限る。)におけるその特定電磁的記録を除外するほか、所要の措置を講ずる。

    • 1その電子取引の取引情報に係る電磁的記録の記録事項について訂正又は削除を行った事実及び内容を確認することができる特定電子計算機処理システム(訂正又は削除を行うことができないものを含む。)を使用してその電磁的記録の授受及び保存を行うこと。

    • 2その電子取引の取引情報に係る電磁的記録の記録事項(金額に係るものに限る。)を訂正又は削除を行った上で国税関係帳簿に係る電磁的記録等に記録した場合には、その訂正又は削除を行った事実及び内容を確認することができる特定電子計算機処理システム(訂正又は削除を行った上で国税関係帳簿に係る電磁的記録等に記録することができないものを含む。)を使用してその電磁的記録の授受及び保存を行うこと。

    • 3その電子取引の取引情報(請求書・納品書等の重要書類に通常記載される事項に限る。)に係る電磁的記録の記録事項とその取引情報に関連する国税関係帳簿に係る電磁的記録等の記録事項との間において、相互にその関連性を確認することができるようにしておくこと。

    • 4上記1及び2の特定電子計算機処理システムを使用してその電子取引の取引情報に係る電磁的記録の授受及び保存を行ったことを確認することができるようにしておくこと。

  • (2)上記(1)の改正に伴い、所得税の青色申告特別控除の控除額65万円の適用要件について、仕訳帳等につき国税の納税義務の適正な履行に資するものとして一定の要件を満たす電磁的記録の保存等を行っていることに代えて、特定電子計算機処理システムを使用するとともに、電子取引の取引情報に係る電磁的記録(特定電磁的記録に限る。)のうちその保存が当該特定電子計算機処理システムを使用して上記(1)の要件(上記(1)の届出書に係る要件を含む。)を満たすことができるものは当該要件に従って保存を行っていることとすることを可能とするほか、所要の措置を講ずる。

  • (注1)上記(1)の改正は令和9年1月1日以後に法定申告期限等が到来する国税について、上記(2)の改正は令和9年分以後の所得税について、それぞれ適用する。

  • (注2)上記の「特定電磁的記録」とは、次に掲げる電磁的記録をいう。

    • 1保存要件に従って保存が行われている電子取引の取引情報に係る電磁的記録

    • 2災害その他やむを得ない事情により、保存要件に従って電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存をすることができなかったことを証明した場合又は納税地等の所轄税務署長が保存要件に従ってその電磁的記録の保存をすることができなかったことについて相当の理由があると認めた一定の場合に、保存要件にかかわらず保存が行われているその電磁的記録

  • (注3)上記の「特定電子計算機処理システム」とは、国税庁長官の定める基準に適合する電子計算機処理システムをいう。

  • (注4)上記(注3)の「国税庁長官の定める基準」は、次に掲げるいずれかの電磁的記録(特定電磁的記録に限る。)を上記(1)に掲げる要件に従って保存を行うことができる機能を有していることとする。

    • 1仕入明細書又は適格請求書に記載すべき事項に係る電磁的記録の仕様としてデジタル庁が管理するものに従って提供された電子取引の取引情報に係る電磁的記録

    • 2金融機関等のいずれかに預金口座又は貯金口座を開設している預金者又は貯金者の委託を受けて、その金融機関等が行うこれらの口座に係る資金を移動させる為替取引の取引情報に係る電磁的記録

  • (注5)上記(1)の電磁的記録に係る重加算税の加重措置について、適用対象を明確化する運用上の対応を行う。

納税通知書等に係るeLTAX経由での送付

(地方税)

地方税関係通知のうち、固定資産税、都市計画税、自動車税種別割及び軽自動車税種別割の納税通知書等について、電子的に副本を送付することができるよう、次の措置を講ずる。

  • (1)納税通知書等を受けた者が電磁的方法による提供を希望する旨の申出をしたときは、地方公共団体は、当該納税通知書等により通知した事項を、eLTAXを経由し、当該申出をした者に提供することができることとする。

  • (2)過去に上記(1)の申出をした者に対して、同種の納税通知書等を送達するときは、地方公共団体は、当該納税通知書等により通知する事項を、eLTAXを経由し、当該者に提供することができることとする。

  • (3)その他所要の措置を講ずる。

  • (注1)電子的に副本を送付することができる地方税関係通知の範囲は、上記4税目の納税通知書(課税明細書、更正決定通知書及び税額変更通知書を含む。)及び納付書等のこれに附属する通知とする。

  • (注2)上記の改正は、法人に対して送達する納税通知書等については令和9年4月1日以後に送達するものから、個人に対して送達する納税通知書等については令和10年4月1日以後に送達するものから、それぞれ適用する。

その他

(国税)

  • (1)添付書面等記載事項等のスキャナ読取り等の要件の見直し等によるe-Taxの利便性の向上

    電子情報処理組織を使用する方法(e-Tax)により、申請書面等に記載すべき事項及び添付書面等に記載されている事項又は記載すべき事項を、スキャナによる読取り等により作成した電磁的記録(いわゆる「イメージデータ」)を送信する場合等の要件について、次の措置を講ずる。

    • 1その読取り等の要件を白色から黒色までの階調が256階調以上であること(現行:赤色、緑色及び青色の階調がそれぞれ256階調以上であること)とする。

    • 2そのファイル形式にJPEG(JPG)形式を加える。

  • (注1)上記2の改正は、令和10年1月1日から施行する。

  • (注2)上記の改正に伴い、電子情報処理組織を使用する方法(e-Tax)により申請等を行う際の送信可能なデータ容量を拡大する等のシステム改修を行う。

  • (注3)令和6年度税制改正で措置することとされた「GビズIDとの連携によるe-Taxの利便性の向上」について、GビズIDメンバーを活用して、企業の内部統制を担保しつつ、e-Taxの利便性の更なる向上に向けたシステム改修を行う。

  • (2)刑事手続のデジタル化との一体性に配慮した国税犯則調査手続の見直し

    刑事手続のデジタル化の実現のための法整備を前提として、令和8年度税制改正において、刑事手続のデジタル化との一体性に配慮しつつ、国税犯則調査手続のデジタル化に対応するための制度の詳細について結論を得る。

(地方税)

  • (1)法人税に関して閲覧等できる関係書類の範囲の拡大

    令和6年度税制改正により、外形標準課税の適用対象法人が見直されたことに伴い、地方公共団体が法人事業税の賦課徴収において閲覧等できる法人税に関する関係書類の範囲に、国内に恒久的施設を持たない外国法人であって事業税の納税義務者との間に完全支配関係があると認められる者に係る関係書類を追加する。

  • (注)上記の改正は、令和8年4月1日から施行する。

  • (2)軽油引取税の課税標準に係る規定の整備

    特約業者及び元売業者以外の者が製造した軽油を自ら消費し、又は他の者に譲渡した場合や、特約業者又は元売業者が軽油を自ら消費した場合における軽油引取税の課税について、課税標準から既に軽油引取税等が課された軽油等の数量を控除することを法令上明確化する。

  • (3)刑事手続のデジタル化との一体性に配慮した地方税犯則調査手続の見直し

    刑事手続のデジタル化の実現のための法整備を前提として、令和8年度税制改正において、刑事手続のデジタル化との一体性に配慮しつつ、地方税犯則調査手続のデジタル化に対応するための制度の詳細について結論を得る。