五国際課税
1グローバル・ミニマム課税への対応
(国税)
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(1)軽課税所得ルールに対応するため、次の措置を講ずる。
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各対象会計年度の国際最低課税残余額に対する法人税(仮称)の創設
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イ納税義務者
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(イ)内国法人は、各対象会計年度の国際最低課税残余額に対する法人税を納める義務がある。
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(ロ)外国法人は、特定多国籍企業グループ等に属する恒久的施設等(その所在地国が我が国であるものに限る。(1)において同じ。)を有する構成会社等である場合に、各対象会計年度の国際最低課税残余額に対する法人税を納める義務がある。
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ロ課税の範囲
次に掲げる法人に対して、各対象会計年度の国際最低課税残余額について、各対象会計年度の国際最低課税残余額に対する法人税を課する。
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(イ)特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等である内国法人
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(ロ)特定多国籍企業グループ等に属する恒久的施設等を有する構成会社等である外国法人
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ハ国際最低課税残余額
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(イ)内国法人に係る国際最低課税残余額
内国法人に係る国際最低課税残余額は、特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等である内国法人の各対象会計年度に係る国内グループ国際最低課税残余額に、次に掲げる割合(その特定多国籍企業グループ等に属する各種投資会社等又は導管会社等がある場合にあっては、一定の調整を加えて計算した割合)を合計した割合を乗じて計算した金額とする。
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a我が国を所在地国とする構成会社等の従業員等の数の合計数のうちにその内国法人(その所在地国が我が国であるものに限る。bにおいて同じ。)の従業員等の数が占める割合に50%を乗じて計算した割合
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b我が国を所在地国とする構成会社等の有形資産の額の合計額のうちにその内国法人の有形資産の額が占める割合に50%を乗じて計算した割合
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(注)特定多国籍企業グループ等に属する恒久的施設等を有する構成会社等である外国法人に係る国際最低課税残余額についても同様とする。
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(ロ)国内グループ国際最低課税残余額
国内グループ国際最低課税残余額は、各対象会計年度に係る特定多国籍企業グループ等のグループ国際最低課税残余額に、次に掲げる割合(その特定多国籍企業グループ等に属する各種投資会社等又は導管会社等がある場合にあっては、一定の調整を加えて計算した割合)を合計した割合を乗じて計算した金額とする。
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a我が国又は各対象会計年度の国際最低課税残余額に対する法人税に相当する税を課することとされている一定の国若しくは地域を所在地国とする構成会社等の従業員等の数の合計数のうちに我が国を所在地国とする構成会社等の従業員等の数の合計数が占める割合に50%を乗じて計算した割合
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b我が国又は各対象会計年度の国際最低課税残余額に対する法人税に相当する税を課することとされている一定の国若しくは地域を所在地国とする構成会社等の有形資産の額の合計額のうちに我が国を所在地国とする構成会社等の有形資産の額の合計額が占める割合に50%を乗じて計算した割合
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(ハ)グループ国際最低課税残余額
グループ国際最低課税残余額は、各対象会計年度に係る特定多国籍企業グループ等のグループ国際最低課税額から、その特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等に係る国際最低課税額等及びその特定多国籍企業グループ等に係る共同支配会社等に係る国際最低課税額等その他一定の金額を控除した残額とする。
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(ニ)適用免除基準
特定多国籍企業グループ等の判定対象会計年度が、特定多国籍企業グループ等に該当することとなった最初の対象会計年度開始の日以後5年以内に開始し、かつ、国際的な事業活動の初期の段階にあるものとされる対象会計年度に該当する場合等には、その判定対象会計年度に係るグループ国際最低課税残余額は、零とする。
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ニ税額の計算
各対象会計年度の国際最低課税残余額に対する法人税の額は、各対象会計年度の国際最低課税残余額(課税標準)に100分の90.7の税率を乗じて計算した金額とする。
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ホ申告及び納付等
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(イ)各対象会計年度の国際最低課税残余額に対する法人税の申告及び納付は、各対象会計年度終了の日の翌日から1年3月(一定の場合には、1年6月)以内に行う。ただし、当該対象会計年度の国際最低課税残余額(課税標準)がない場合は、その申告を要しない。
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(ロ)電子申告の特例等については、各事業年度の所得に対する法人税と同様とし、その他所要の措置を講ずる。
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ヘその他
各対象会計年度の国際最低課税残余額に対する法人税は、青色申告制度の対象外とする。ただし、更正の理由付記の対象とし、推計課税の対象外とする。
また、質問検査、罰則等については、各事業年度の所得に対する法人税と同様とし、その他所要の措置を講ずる。
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特定基準法人税額に対する地方法人税の見直し
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イ課税の対象
特定基準法人税額に対する地方法人税について、その課税の対象に特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等である法人の各対象会計年度の国際最低課税残余額に対する法人税の額(附帯税の額を除く。)を加え、その名称を国際最低課税額等に係る特定基準法人税額に対する地方法人税(仮称)に改める。
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ロその他
税額の計算、申告、納付、質問検査、罰則等については、現行の特定基準法人税額に対する地方法人税と同様とし、その他所要の措置を講ずる。
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特定多国籍企業グループ等報告事項等の提供制度の見直し
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イ提供義務者
提供義務者の範囲に、特定多国籍企業グループ等に属する恒久的施設等を有する構成会社等である外国法人を加える。
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ログループ国際最低課税額等報告事項等
本制度により提供すべき事項の範囲に、国際最低課税残余額に関する一定の事項を加える。
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ハその他所要の措置を講ずる。
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上記の改正に伴い、所要の措置を講ずる。
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適用関係
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イ各対象会計年度の国際最低課税残余額に対する法人税は、法人の令和8年4月1日以後に開始する対象会計年度から適用する。
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ロ上記
の改正は、法人の令和8年4月1日以後に開始する課税対象会計年度の国際最低課税額等に係る特定基準法人税額に対する地方法人税について適用する。
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ハ上記
の改正は、法人の令和8年4月1日以後に開始する対象会計年度に係るグループ国際最低課税額等報告事項等について適用する。
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ニ上記
の改正は、法人の令和8年4月1日以後に開始する対象会計年度の国際最低課税残余額に対する法人税について適用する。
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(2)国内ミニマム課税に対応するため、次の措置を講ずる。
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各対象会計年度の国内最低課税額に対する法人税(仮称)の創設
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イ納税義務者
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(イ)内国法人は、各対象会計年度の国内最低課税額に対する法人税を納める義務がある。
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(ロ)外国法人は、特定多国籍企業グループ等に属する恒久的施設等(その所在地国が我が国であるものに限る。(2)において同じ。)を有する構成会社等である場合又は特定多国籍企業グループ等に係る恒久的施設等を有する共同支配会社等である場合に、各対象会計年度の国内最低課税額に対する法人税を納める義務がある。
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ロ課税の範囲
次に掲げる法人に対して、各対象会計年度の国内最低課税額について、各対象会計年度の国内最低課税額に対する法人税を課する。
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(イ)特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等である内国法人又は特定多国籍企業グループ等に係る共同支配会社等である内国法人
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(ロ)特定多国籍企業グループ等に属する恒久的施設等を有する構成会社等である外国法人又は特定多国籍企業グループ等に係る恒久的施設等を有する共同支配会社等である外国法人
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ハ国内最低課税額
国内最低課税額は、特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等(その所在地国が我が国であるものに限る。)である内国法人又は過去対象会計年度においてその特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等(その所在地国が我が国であるものに限る。)であった内国法人で当該対象会計年度においてその構成会社等でないものにあっては「構成会社等に係る国内最低課税額」(注1)とし、特定多国籍企業グループ等に係る共同支配会社等(その所在地国が我が国であるものに限る。)である内国法人又は過去対象会計年度においてその特定多国籍企業グループ等に係る共同支配会社等(その所在地国が我が国であるものに限る。)であった内国法人で当該対象会計年度においてその共同支配会社等でないものにあっては「共同支配会社等に係る国内最低課税額」(注2)とする。
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(注1)特定多国籍企業グループ等に属する恒久的施設等を有する構成会社等である外国法人等にあっては構成会社等の恒久的施設等に係る国内最低課税額とし、「構成会社等に係る国内最低課税額」に準じて計算する。
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(注2)特定多国籍企業グループ等に係る恒久的施設等を有する共同支配会社等である外国法人等にあっては共同支配会社等の恒久的施設等に係る国内最低課税額とし、「共同支配会社等に係る国内最低課税額」に準じて計算する。
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(イ)構成会社等に係る国内最低課税額
構成会社等に係る国内最低課税額は、次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める金額とする。
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a特定多国籍企業グループ等に係る国内実効税率が基準税率(15%をいう。以下同じ。)を下回り、かつ、その特定多国籍企業グループ等に係る国内グループ純所得の金額がある場合 次に掲げる金額の合計額(過去対象会計年度においてその特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等(その所在地国が我が国であるものに限る。)であった内国法人で当該対象会計年度においてその構成会社等でないものにあっては、(b)に掲げる金額)
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(注1)上記の「国内実効税率」とは、(a)に掲げる金額が(b)に掲げる金額のうちに占める割合をいう。
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(a)国内グループ調整後対象租税額(我が国を所在地国とする全ての構成会社等の国内調整後対象租税額の合計額をいう。以下同じ。)
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(b)国内グループ純所得の金額
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(注2)上記の「国内グループ純所得の金額」とは、我が国を所在地国とする全ての構成会社等に係る個別計算所得金額の合計額から我が国を所在地国とする全ての構成会社等に係る個別計算損失金額の合計額を控除した残額をいう。
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(a)当期グループ国内最低課税額(国内グループ純所得の金額から我が国に係る実質ベースの所得除外額を控除した残額に基準税率から国内実効税率を控除した割合を乗じて計算した金額をいう。(b)において同じ。)に、その当期グループ国内最低課税額が算出されることとなった内国法人の寄与の程度を勘案して計算される割合を乗じて計算した金額
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(b)過去対象会計年度ごとの再計算グループ国内最低課税額(過去対象会計年度の当期グループ国内最低課税額につき再計算を行うことが求められる場合において、その過去対象会計年度の当期グループ国内最低課税額に満たない金額として計算される金額をいう。以下同じ。)に過去帰属割合(再計算グループ国内最低課税額が算出されることとなった内国法人の寄与の程度を勘案して計算される割合をいう。以下同じ。)を乗じて計算した金額
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(c)内国法人(各種投資会社等に限る。)に係る未分配所得国内最低課税額(その内国法人に係る個別計算所得金額のうち他の構成会社等に分配されなかった部分に対応する国内最低課税額として計算される金額をいう。以下同じ。)
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b特定多国籍企業グループ等に係る国内実効税率が基準税率以上であり、かつ、その特定多国籍企業グループ等に係る国内グループ純所得の金額がある場合 次に掲げる金額の合計額(過去対象会計年度においてその特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等(その所在地国が我が国であるものに限る。)であった内国法人で当該対象会計年度においてその構成会社等でないものにあっては、(a)に掲げる金額)
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(a)過去対象会計年度ごとの再計算グループ国内最低課税額に過去帰属割合を乗じて計算した金額
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(b)内国法人(各種投資会社等に限る。)に係る未分配所得国内最低課税額
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c特定多国籍企業グループ等に係る国内グループ純所得の金額がない場合 (a)及び(b)に掲げる金額の合計額(国内グループ調整後対象租税額が零を下回る場合のその下回る額が我が国に係る特定国別調整後対象租税額を超える場合にあっては次に掲げる金額の合計額とし、過去対象会計年度においてその特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等(その所在地国が我が国であるものに限る。)であった内国法人で当該対象会計年度においてその構成会社等でないものにあっては(a)に掲げる金額とする。)
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(a)過去対象会計年度ごとの再計算グループ国内最低課税額に過去帰属割合を乗じて計算した金額
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(b)内国法人(各種投資会社等に限る。)に係る未分配所得国内最低課税額
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(c)永久差異調整に係るグループ国内最低課税額(国内グループ調整後対象租税額が零を下回る場合のその下回る額から我が国に係る特定国別調整後対象租税額を控除した残額をいう。)に、その永久差異調整に係るグループ国内最低課税額が算出されることとなった内国法人の寄与の程度を勘案して計算される割合を乗じて計算した金額
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(ロ)特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等(その所在地国が我が国であるものに限る。)であった内国法人が過去対象会計年度において合併により解散した場合又は過去対象会計年度においてその内国法人の残余財産が確定した場合において、各対象会計年度における上記(イ)a(b)、b(a)又はc(a)に掲げる金額があるときは、これらの金額は、再計算グループ国内最低課税額に係る過去対象会計年度における構成会社等に係る国内最低課税額に含む。
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(ハ)その他
各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税と同様に、収入金額等に関する適用免除基準、一定の国別報告事項における記載事項等を用いた経過的な適用免除基準その他の特例を設ける。また、各対象会計年度の国際最低課税残余額に対する法人税と同様に、国際的な事業活動の初期の段階における適用免除基準を設ける。
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(ニ)共同支配会社等に係る国内最低課税額
共同支配会社等に係る国内最低課税額は、基本的に構成会社等に係る国内最低課税額と同様に計算した金額とする。
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ニ税額の計算
各対象会計年度の国内最低課税額に対する法人税の額は、各対象会計年度の国内最低課税額(課税標準)に100分の75.3の税率を乗じて計算した金額とする。
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ホ申告及び納付等
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(イ)各対象会計年度の国内最低課税額に対する法人税の申告及び納付は、各対象会計年度終了の日の翌日から1年3月(一定の場合には、1年6月)以内に行う。ただし、当該対象会計年度の国内最低課税額(課税標準)がない場合は、その申告を要しない。
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(ロ)電子申告の特例等については、各事業年度の所得に対する法人税と同様とし、その他所要の措置を講ずる。
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ヘその他
各対象会計年度の国内最低課税額に対する法人税は、青色申告制度の対象外とする。ただし、更正の理由付記の対象とし、推計課税の対象外とする。
また、質問検査、罰則等については、各事業年度の所得に対する法人税と同様とし、その他所要の措置を講ずる。
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国内最低課税額に係る特定基準法人税額に対する地方法人税(仮称)の創設
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イ課税の対象
特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等である法人又は特定多国籍企業グループ等に係る共同支配会社等である法人の各課税対象会計年度の国内最低課税額に係る特定基準法人税額には、国内最低課税額に係る特定基準法人税額に対する地方法人税を課する。
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ロ税額の計算
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(イ)国内最低課税額に係る特定基準法人税額に対する地方法人税の額は、各課税対象会計年度の国内最低課税額に係る特定基準法人税額(課税標準)に753分の247の税率を乗じて計算した金額とする。
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(ロ)国内最低課税額に係る特定基準法人税額は、各対象会計年度の国内最低課税額に対する法人税の額とする。ただし、附帯税の額を除く。
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ハ申告及び納付等
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(イ)国内最低課税額に係る特定基準法人税額に対する地方法人税の申告及び納付は、各課税対象会計年度終了の日の翌日から1年3月(一定の場合には、1年6月)以内に行う。
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(ロ)電子申告の特例等については、基準法人税額に対する地方法人税と同様とし、その他所要の措置を講ずる。
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ニその他
質問検査、罰則等については、基準法人税額に対する地方法人税と同様とし、その他所要の措置を講ずる。
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グループ国内最低課税額報告事項等の提供制度の創設
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イグループ国内最低課税額報告事項等の提供
グループ国内最低課税額報告対象法人は、特定多国籍企業グループ等の最終親会社等の名称、その特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等の所在地国の名称、その特定多国籍企業グループ等に係る国内最低課税額に関する事項その他必要な事項及び収入金額等に関する適用免除基準の適用を受けようとする旨等(以下「グループ国内最低課税額報告事項等」という。)を、各対象会計年度終了の日の翌日から1年3月(一定の場合には、1年6月)以内に、電子情報処理組織を使用する方法(e-Tax)により、納税地の所轄税務署長に提供しなければならない。
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(注)上記の「グループ国内最低課税額報告対象法人」とは、特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等(その所在地国が我が国であるものに限る。)である内国法人、特定多国籍企業グループ等に係る共同支配会社等(その所在地国が我が国であるものに限る。)である内国法人、特定多国籍企業グループ等に属する恒久的施設等を有する構成会社等である外国法人、特定多国籍企業グループ等に係る恒久的施設等を有する共同支配会社等である外国法人又は過去対象会計年度において特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等若しくは特定多国籍企業グループ等に係る共同支配会社等であった一定の法人をいう。
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ロ提供義務の免除
特定多国籍企業グループ等の最終親会社等(指定提供会社等を指定した場合には、指定提供会社等)の所在地国の税務当局がその特定多国籍企業グループ等に係るグループ国内最低課税額報告事項等の提供を我が国に対して行うことができると認められるときは、そのグループ国内最低課税額報告事項等の提供義務者である法人の提供義務を免除する。
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ハその他
グループ国内最低課税額報告事項等の提供義務者が複数ある場合の提供義務の免除、最終親会社等届出事項の提供、罰則等については、現行の特定多国籍企業グループ等報告事項等の提供制度と同様とする。
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上記の改正に伴い、所要の措置を講ずる。
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適用関係
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イ各対象会計年度の国内最低課税額に対する法人税は、法人の令和8年4月1日以後に開始する対象会計年度から適用する。
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ロ国内最低課税額に係る特定基準法人税額に対する地方法人税は、法人の令和8年4月1日以後に開始する課税対象会計年度から適用する。
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ハ上記
の改正は、法人の令和8年4月1日以後に開始する対象会計年度に係るグループ国内最低課税額報告事項等について適用する。
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ニ上記
の改正は、法人の令和8年4月1日以後に開始する対象会計年度の国内最低課税額に対する法人税について適用する。
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(3)各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税等について、次の見直しを行う。
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構成会社等の当期純損益金額に係る対象租税の額のうち外国子会社合算税制等の対象とされる他の構成会社等に係る調整後対象租税額に含まれる金額等の計算について、その対象に法人税等調整額を加える。
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再計算国別国際最低課税額の計算を行う場合において、過去対象会計年度において計上された繰延税金負債に係る調整後対象租税額のうちにその過去対象会計年度の5対象会計年度後の対象会計年度終了の日までに取り崩されなかった繰延税金負債に係る部分の金額を減額することとされる措置について、その繰延税金負債の取崩しの方法に係る特例を設ける。
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税引後当期純損益金額の計算において、構成会社等と所在地国が異なる他の構成会社等との間で取引が行われた場合に、その取引に係る金額につき独立企業間価格で行われたものとみなす調整措置について、共同支配会社等との間で行われた取引等をその対象に加える。
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税引後当期純損益金額の計算において、構成会社等と所在地国が同一である他の構成会社等との間で資産の販売が行われた場合に、その販売を行った構成会社等の取引に係る金額につき独立企業間価格相当額で行われたものとみなす調整措置について、その取引においてその資産の購入を行った構成会社等をその対象に加える。
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被分配会社等と対象導管会社等との間に他の導管会社等が介在する場合における導管会社等に係る当期純損益金額の特例の適用に当たっては、被分配会社等の所在地国における法令において他の導管会社等及び対象導管会社等の収入等がその構成員の収入として取り扱われることを要件とする。
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その他所要の措置を講ずる。
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(地方税)
法人住民税の計算の基礎となる法人税額に各対象会計年度の国際最低課税残余額に対する法人税(仮称)及び各対象会計年度の国内最低課税額に対する法人税(仮称)の額を含まないこととするほか、所要の措置を講ずる。
2外国子会社合算税制等の見直し
(国税)
内国法人の外国関係会社に係る所得の課税の特例(外国子会社合算税制)等について、次の見直しを行う。
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(1)内国法人に係る外国関係会社の各事業年度に係る課税対象金額等に相当する金額は、その内国法人の収益の額とみなして、その事業年度終了の日の翌日から4月(現行:2月)を経過する日を含むその内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入する。
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(2)申告書に添付又は保存をすることとされている外国関係会社に関する書類の範囲から次に掲げるものを除外する。
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株主資本等変動計算書及び損益金の処分に関する計算書
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貸借対照表及び損益計算書に係る勘定科目内訳明細書
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(3)居住者に係る外国子会社合算税制及び特殊関係株主等である内国法人に係る外国関係法人に係る所得の課税の特例等の関連制度につき、上記(1)及び(2)と同様の見直しを行う。
(注1)上記の改正は、内国法人の令和7年4月1日以後に開始する事業年度に係る外国関係会社の課税対象金額等(その外国関係会社の同年2月1日以後に終了する事業年度に係るものに限る。)について適用する。
(注2)内国法人の令和7年4月1日前に開始した事業年度に係る外国関係会社の課税対象金額等(その外国関係会社の令和6年12月1日から令和7年1月31日までの間に終了する事業年度に係るものに限る。)について、その外国関係会社の事業年度終了の日の翌日から4月を経過する日を含むその内国法人の同年4月1日以後に開始する事業年度において外国子会社合算税制の適用を受けることができる経過措置を講ずる。
(地方税)
個人住民税、法人住民税及び事業税について、内国法人の外国関係会社に係る所得の課税の特例(外国子会社合算税制)等の見直しに関する国税の取扱いに準じて所要の措置を講ずる。
3その他
(国税)
令和9年に開催される2027年国際園芸博覧会の公式参加者等に係る課税の特例を次のとおり創設する。
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(1)令和9年に開催される2027年国際園芸博覧会の公式参加者及びその公式参加者の博覧会関連業務(2027年国際園芸博覧会の準備又は運営に関する業務をいう。)を行う一定の外国法人(以下「公式参加者等」という。)並びに博覧会国際事務局の一定の恒久的施設帰属所得等については、法人税を課さない。
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(注)上記の「公式参加者」とは、日本国政府からの2027年国際園芸博覧会への参加の公式の招請を受け入れた国又は国際機関(外国法人に限る。)をいう。
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(2)公式参加者等に勤務する非居住者等及び博覧会国際事務局の事務局長等である非居住者の一定の給与については、所得税を課さない。
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(3)上記(1)の公式参加者等又は博覧会国際事務局の法人税の課税対象とされる国内源泉所得に係る所得の金額の全部につき法人税が非課税とされる場合に確定申告書等の提出を不要とする等の所要の措置を講ずる。
(地方税)
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(1)令和9年に開催される2027年国際園芸博覧会の公式参加者等に係る課税の特例を次のとおり創設する。
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令和9年に開催される2027年国際園芸博覧会の公式参加者及びその公式参加者の博覧会関連業務(2027年国際園芸博覧会の準備又は運営に関する業務をいう。以下同じ。)を行う一定の外国法人(以下「公式参加者等」という。)並びに博覧会国際事務局のうち、一定の博覧会関係業務のみを行う恒久的施設以外の恒久的施設を有さない者に対しては、法人住民税及び法人事業税を課さない等の所要の措置を講ずる。
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(注)上記の「公式参加者」とは、日本国政府からの2027年国際園芸博覧会への参加の公式の招請を受け入れた国又は国際機関(外国法人に限る。)をいう。
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公式参加者等又は博覧会国際事務局のうち上記
の適用を受け法人住民税及び法人事業税が非課税とされる場合に確定申告書等の提出を不要とする等の所要の措置を講ずる。
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公式参加者等若しくは博覧会国際事務局、公益社団法人2027年国際園芸博覧会協会、同協会との間に博覧会への出展参加契約を締結した者(公式参加者等を除く。以下同じ。)又は家屋貸与者が博覧会関連業務の用に供するために取得した一定の家屋に係る不動産取得税について、非課税とする措置を講ずる。
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公式参加者等若しくは博覧会国際事務局又は公式参加者等に勤務する非居住者等若しくは博覧会国際事務局の事務局長等である非居住者が取得し、又は所有する一定の自動車等に係る自動車税及び軽自動車税について、非課税とする措置を講ずる。
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公式参加者等若しくは博覧会国際事務局、公益社団法人2027年国際園芸博覧会協会、同協会との間に博覧会への出展参加契約を締結した者又は家屋等貸与者が博覧会関連業務の用に供する一定の固定資産に係る固定資産税及び都市計画税について、非課税とする措置を講ずる。
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公式参加者等若しくは博覧会国際事務局又は公益社団法人2027年国際園芸博覧会協会との間に博覧会への出展参加契約を締結した者が行う博覧会関連業務の用に供する施設に係る事業所税について、非課税とする措置を講ずる。
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国又は地方公共団体が公益社団法人2027年国際園芸博覧会協会に対して無償で貸し付け、又は使用させている土地で博覧会関連業務の用に供するものについて、国有資産等所在市町村交付金の交付対象から除外する措置を講ずる。
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(2)個人住民税、法人住民税及び事業税について、国税における諸制度の取扱いに準じて所要の措置を講ずる。