四消費課税
1外国人旅行者向け消費税免税制度(輸出物品販売場制度)の見直し
(国税)
外国人旅行者向け消費税免税制度について、次の見直しを行う。
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(1)免税方式の見直し
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輸出物品販売場を経営する事業者が、免税購入対象者に対して免税対象物品を譲渡した場合であって、その免税購入対象者がその購入した日から90日以内に出港地の税関長による確認を受けたときは、その確認をした旨の情報(以下「税関確認情報」という。)を輸出物品販売場を経営する事業者において保存することを要件として、その免税対象物品の譲渡について、消費税を免除する。
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(注)上記の改正に伴い、実務上、消費税相当額を含めた価格で販売し、出国時に持出しが確認された場合に輸出物品販売場を経営する事業者から免税購入対象者に対し消費税相当額を返金する「リファンド方式」となる。
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免税購入対象者は、購入した免税対象物品について、出国時に旅券等を提示して税関長の確認を受けるものとし、その確認を受けた免税対象物品を国外に持ち出さなければならないこととする。
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税関長は、輸出物品販売場を経営する事業者(承認送信事業者を含む。)に対し、購入記録情報ごとに、国税庁の免税販売管理システムを通じて税関確認情報を提供するものとする。
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(2)免税対象物品の範囲の見直し
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消耗品について免税購入対象者の同一店舗一日当たりの購入上限額(50万円)及び特殊包装を廃止するとともに、一般物品と消耗品の区分を廃止する。
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免税販売の対象外とされている通常生活の用に供しないものの要件を廃止するとともに、金地金等の不正の目的で購入されるおそれが高い物品については、免税販売の対象外とされる物品として個別に定める仕組みとする。
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(3)免税販売手続の見直し
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船舶観光上陸許可等により上陸する者の免税販売手続においては、上陸許可書及び旅券の提示を求めることとし、輸出物品販売場を経営する事業者は、旅券番号に基づき購入記録情報を提供するものとする。
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日本国籍を有する免税購入対象者が国内に2年以上住所等を有しないことの証明書類に個人番号カードを追加することとし、現行の証明書類については本籍の地番の記載を不要とする。また、輸出物品販売場を経営する事業者は、証明書類の種類及び国外転出等をした日を購入記録情報として送信することとし、その証明書類の保存を不要とする。
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100万円(税抜き)以上の免税対象物品については、購入記録情報の送信事項にその免税対象物品を特定するための情報(シリアルナンバー等)を加える。
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免税購入対象者が輸出物品販売場で運送契約を締結し、かつ、その場で物品を運送事業者へ引き渡す、いわゆる「直送」による免税販売方式については、従来の方式に代えて消費税法第7条の輸出免税制度により消費税を免除することができることとする。
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免税購入対象者が輸出物品販売場で購入した免税対象物品について、その免税購入対象者が別途国外へ配送する、いわゆる「別送」をしたことにより出国時に携帯していない場合に、その免税対象物品の配送等に係る書類により輸出したことを確認する取扱いを廃止する。
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(4)輸出物品販売場の許可要件の見直し
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一般型輸出物品販売場と手続委託型輸出物品販売場の許可の区分を廃止するとともに、次の見直しを行う。
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イ輸出物品販売場の許可については、適切に購入記録情報及び税関確認情報を授受できることを要件とする。
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ロ上記イの許可を受けた輸出物品販売場を経営する事業者は、承認免税手続事業者に免税販売手続を代理させることができることとする。
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ハ免税手続カウンターを設置する承認免税手続事業者に免税販売手続を代理させる場合の免税手続カウンターの設置場所については、特定商業施設の要件に代えて、免税対象物品を販売した日と同一の日に免税販売手続ができることを要件とする。
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輸出物品販売場の許可の取消要件に、購入記録情報の提供状況等が税関長の確認に支障があると認められる場合を加える。
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(5)基地内輸出物品販売場制度を廃止する。
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(6)免税購入対象者に対する即時徴収及び罰則について所要の整備を行うほか、外国人旅行者向け消費税免税制度の見直しに伴い、所要の措置を講ずる。
(注1)上記((3)を除く。)の改正は、令和8年11月1日以後に行われる免税対象物品の譲渡等について適用することとし、上記(3)
の取扱いは、令和7年3月31日をもって廃止する。
(注2)上記の改正に伴い、輸出酒類販売場制度における免税方式、免税対象酒類の範囲、免税販売手続及び許可要件並びに免税購入対象者に対する即時徴収及び罰則等について、所要の措置を講ずる。
(地方税)
外国人旅行者向け消費税免税制度の見直しに伴い、地方消費税について所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、令和8年11月1日から施行する。
2租税特別措置等
(国税)
〔延長・拡充等〕
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(1)入国者が輸入する紙巻たばこのたばこ税の税率の特例措置の適用期限を1年延長する。
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(2)新車新規登録から13・18年を経過した検査自動車に係る自動車重量税率の特例措置について、車検制度の見直しに伴う規定の整備を行う。
(地方税)
〔新設〕
〈軽自動車税種別割〉
原動機付自転車のうち、二輪のもので、総排気量が125cc以下かつ最高出力が4.0kW以下のものに係る軽自動車税種別割の税率を2,000円とする。
〔延長・拡充〕
〈自動車税環境性能割〉
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(1)都道府県の条例で定める路線の運行の用に供する一般乗合用のバスに係る自動車税環境性能割の非課税措置の適用期限を2年延長する。
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(2)公共交通移動等円滑化基準に適合したノンステップバス及びリフト付きバス並びにユニバーサルデザインタクシー(新車に限る。)に係る自動車税環境性能割の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長するとともに、期限延長に伴う所要の措置を講ずる。
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(3)バス等及び車両総重量が3.5tを超えるトラック(トレーラーを除く。)で歩行者検知機能付き衝突被害軽減制動制御装置を装備したもの(新車に限る。)に係る自動車税環境性能割の課税標準の特例措置の適用期限を2年延長する。
〈軽油引取税〉
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(4)船舶の動力源に供する軽油の引取りを行った自衛隊の船舶の使用者が、我が国と我が国以外の締約国との間の物品又は役務の相互の提供に関する条約その他の国際約束に基づき、当該締約国の軍隊の船舶の動力源に供するため行う当該軽油の譲渡に係る軽油引取税の課税免除の特例措置について、日伊物品役務相互提供協定の締結を前提に、同協定に基づきイタリア共和国の軍隊の船舶の動力源に供するため譲渡する場合を対象に加える。
3その他
(国税)
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(1)リース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例は、廃止する。なお、令和7年4月1日前にリース譲渡に該当する資産の譲渡等を行った事業者の令和12年3月31日以前に開始する年又は事業年度について延払基準の方法により資産の譲渡等の対価の額を計算することができることとするとともに、令和7年4月1日以後に開始する年又は事業年度において延払基準の適用をやめた場合の賦払金の残金を10年均等で資産の譲渡等の対価の額とする等の経過措置を講ずる。
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(2)科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律の改正を前提に、先端技術研究成果活用機構(仮称)を消費税法別表第三法人とする。
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(3)日本学術会議法(仮称)の制定を前提に、日本学術会議の法人化により新たに設立される法人を消費税法別表第三法人とする。
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(4)マンションの建替え等の円滑化に関する法律の改正を前提に、次の措置を講ずる。
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マンション除却組合(仮称)を消費税法別表第三法人とみなす。
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マンション建替組合及びマンション敷地売却組合のマンション再生組合(仮称)及びマンション等売却組合(仮称)への改組後も、引き続き消費税法別表第三法人とみなす。
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敷地分割組合の業務範囲の見直し後も、引き続き消費税法別表第三法人とみなす。
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(5)資産の譲渡等の範囲に、放送法の一部を改正する法律による改正後の放送法に規定する配信で、法律により受信者がその締結を行わなければならないこととされている契約に基づき受信料を徴収して行われるものを加える。
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(6)金又は白金の地金の課税仕入れに係る仕入税額控除の要件として保存することとされている消費税法上の本人確認書類の範囲に、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に規定するカード代替電磁的記録を加える。
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(7)関係法令の改正を前提に、改正後の社会医療法人等について、引き続き消費税法別表第三法人とする。
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(8)社会保険診療報酬支払基金法等の改正を前提に、社会保険診療報酬支払基金の業務範囲の見直し等が行われた後も、引き続き消費税法別表第三法人とする。
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(9)土地改良法の改正を前提に、土地改良事業に係る見直し等が行われた後も、土地改良区等を引き続き消費税法別表第三法人とする。
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(10)新たなワクチン追加後の予防接種法の健康被害救済給付に係る医療について、所要の法令改正を前提に、引き続き消費税を非課税とする。
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(11)他国との間で部隊間協力円滑化協定が締結されることを前提に、訪問部隊が同協定に基づき輸入する公用品等及び国内において航空機に積み込む航空機燃料については、既存の同種の協定において認められる範囲内でこれらの物品に係る内国消費税及び航空機燃料税を免除する。
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(12)農地所有適格法人の組合員等である特定農業者について、農業経営基盤強化法の改正に伴い、農地所有適格法人の議決権要件の特例が措置された後も、引き続き現行の構造改革特別区域法に規定する酒税法の特例を適用する。
(地方税)
〈自動車税・軽自動車税〉
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(1)他国との間で部隊間協力円滑化協定が締結されることを前提に、訪問部隊が同協定に基づき取得し、又は所有する自動車等に係る自動車税及び軽自動車税については、既存の同種の協定において認められる範囲内で非課税とする等の所要の措置を講ずる。
〈軽油引取税〉
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(2)他国との間で部隊間協力円滑化協定が締結されることを前提に、訪問部隊が同協定に基づき軽油の輸入をする場合及び国内において軽油の引取りを行う場合については、既存の同種の協定において認められる範囲内で軽油引取税を免除するほか、所要の措置を講ずる。
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(3)免税軽油を使用する鉄道事業又は軌道事業を営む者(エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律に基づき国土交通大臣が指定する特定旅客輸送事業者等に限る。)が、非化石エネルギーへの転換のための措置として、鉄道用車両又は軌道用車両の燃料タンクにバイオディーゼル燃料等を給油し、当該鉄道用車両又は当該軌道用車両の動力源の燃料として消費する場合について、次の措置を講ずる。
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製造の承認を受ける義務を免除する。
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軽油引取税のみなす課税を適用しないこととする。
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その他所要の措置を講ずる。
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