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令和7年度税制改正の大綱(1/9)

物価上昇局面における税負担の調整及び就業調整対策の観点から、所得税の基礎控除の控除額及び給与所得控除の最低保障額の引上げ並びに大学生年代の子等に係る新たな控除の創設を行う。老後に向けた資産形成を促進する観点から、確定拠出年金(企業型DC及びiDeCo)の拠出限度額等を引き上げる。成長意欲の高い中小企業の設備投資を促進し地域経済に好循環を生み出すために、中小企業経営強化税制を拡充する。国際環境の変化等に対応するため、防衛力強化に係る財源確保のための税制措置、グローバル・ミニマム課税の法制化、外国人旅行者向け免税制度の見直し等を行う。これらにより、「賃上げと投資が牽引する成長型経済」への移行を実現し、経済社会の構造変化等に対応する。具体的には、次のとおり税制改正を行うものとする。

個人所得課税

物価上昇局面における税負担の調整及び就業調整への対応

(国税)

(1)基礎控除

1基礎控除について、合計所得金額が2,350万円以下である個人の控除額を10万円引き上げる。

2上記1の見直しの結果、基礎控除の額は次のとおりとなる。

合計所得金額が2,350万円以下である個人58万円

合計所得金額が2,350万円を超え2,400万円以下である個人48万円

合計所得金額が2,400万円を超え2,450万円以下である個人32万円

合計所得金額が2,450万円を超え2,500万円以下である個人16万円

3上記1の見直しに伴い、公的年金等に係る源泉徴収税額の見直し等の所要の措置を講ずる。

(注1)上記の改正は、令和7年分以後の所得税について適用する。なお、給与等及び公的年金等の源泉徴収については、令和8年1月1日以後に支払うべき給与等又は公的年金等について適用する。

(注2)上記の改正に伴い生ずる公的年金等につき源泉徴収された所得税の額に係る超過額について、当該公的年金等(確定給付企業年金法の規定に基づいて支給を受ける年金等を除く。)の支払者から還付等をするための措置を講ずる。

(2)給与所得控除

1給与所得控除について、55万円の最低保障額を65万円に引き上げる。

2上記1の見直しに伴い、給与所得の源泉徴収税額表(月額表、日額表)、賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表、年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表等について所要の措置を講ずる。

(注)上記の改正は、令和7年分以後の所得税について適用する。なお、上記2の給与所得の源泉徴収税額表(月額表、日額表)及び賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表の改正については、令和8年1月1日以後に支払うべき給与等について適用する。

(3)特定親族特別控除(仮称)

1居住者が生計を一にする年齢19歳以上23歳未満の親族等(その居住者の配偶者及び青色事業専従者等を除くものとし、合計所得金額が123万円以下であるものに限る。)で控除対象扶養親族に該当しないものを有する場合には、その居住者のその年分の総所得金額等から次のとおりの控除額を控除する。

親族等の合計所得金額 控除額
58万円超85万円以下 63万円
85万円超90万円以下 61万円
90万円超95万円以下 51万円
95万円超100万円以下 41万円
100万円超105万円以下 31万円
105万円超110万円以下 21万円
110万円超115万円以下 11万円
115万円超120万円以下 6万円
120万円超123万円以下 3万円

2上記1の控除については、控除額が一定額以上の場合には、給与等及び公的年金等の源泉徴収の際に適用できることとする。

3その他所要の措置を講ずる。

(注)上記1の改正は令和7年分以後の所得税について、上記2の改正は令和8年1月1日以後に支払うべき給与等又は公的年金等について、それぞれ適用する。なお、給与所得者については令和7年分の年末調整において適用できることとするほか、所要の経過措置を講ずる。

(4)上記(1)から(3)までの見直しに伴う所要の措置

1同一生計配偶者及び扶養親族の合計所得金額要件を58万円以下(現行:48万円以下)に引き上げる。

2ひとり親の生計を一にする子の総所得金額等の合計額の要件を58万円以下(現行:48万円以下)に引き上げる。

3勤労学生の合計所得金額要件を85万円以下(現行:75万円以下)に引き上げる。

4家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例について、必要経費に算入する金額の最低保障額を65万円(現行:55万円)に引き上げる。

5その他所要の措置を講ずる。

(注)上記の改正は、令和7年分以後の所得税について適用する。

(地方税)

(1)給与所得控除

給与所得控除について、55万円の最低保障額を65万円に引き上げる。

(2)特定親族特別控除(仮称)

1所得割の納税義務者が生計を一にする年齢19歳以上23歳未満の親族等(その納税義務者の配偶者及び青色事業専従者等を除くものとし、前年の合計所得金額が123万円以下であるものに限る。)で控除対象扶養親族に該当しないものを有する場合には、その納税義務者の前年の総所得金額等から次のとおりの控除額を控除する。

親族等の合計所得金額 控除額
58万円超95万円以下 45万円
95万円超100万円以下 41万円
100万円超105万円以下 31万円
105万円超110万円以下 21万円
110万円超115万円以下 11万円
115万円超120万円以下 6万円
120万円超123万円以下 3万円

2その他所要の措置を講ずる。

(3)所得税における(2)から(4)までの見直しに伴う所要の措置

1同一生計配偶者及び扶養親族の前年の合計所得金額要件を58万円以下(現行:48万円以下)に引き上げる。

2ひとり親の生計を一にする子の前年の総所得金額等の合計額の要件を58万円以下(現行:48万円以下)に引き上げる。

3勤労学生の前年の合計所得金額要件を85万円以下(現行:75万円以下)に引き上げる。

4その他所要の措置を講ずる。

(注)上記の改正は、令和8年度分以後の個人住民税について適用する。

金融・証券税制

(国税)

〔延長・拡充等〕

(1)特定中小会社が発行した株式の取得に要した金額の控除等、特定新規中小企業者がその設立の際に発行した株式の取得に要した金額の控除等及び特定中小会社が発行した株式に係る譲渡損失の繰越控除等並びに特定新規中小会社が発行した株式を取得した場合の課税の特例について、次の措置を講ずる。

1特定中小会社が発行した株式の取得に要した金額の控除等、特定新規中小企業者がその設立の際に発行した株式の取得に要した金額の控除等及び特定中小会社が発行した株式に係る譲渡損失の繰越控除等について、次の措置を講ずる。

令和8年1月1日以後に特定株式を払込みにより取得をした居住者等は、その年において生じた特定株式控除未済額がある場合には、所轄税務署長に対し、その年の前年分の所得税額のうち当該特定株式控除未済額に対応する部分の金額の還付を請求することができることとする。この場合において、その取得をした特定株式の取得価額は、その年分の所得税について特定中小会社が発行した株式の取得に要した金額の控除等の適用を受けた金額(ロにおいて「適用額」という。)と本措置の適用を受けた特定株式控除未済額(ロにおいて「適用特定株式控除未済額」という。)との合計額(当該特定株式が特例控除対象特定株式に該当するものである場合には、当該合計額のうち20億円を超える部分の金額)をその取得に要した金額から控除した金額とする。

(注1)上記の「特定株式控除未済額」とは、その年分の一般株式等に係る譲渡所得等の金額と上場株式等に係る譲渡所得等の金額との合計額が、その年中に払込みにより取得をした特定株式に係る控除対象特定株式の取得に要した金額の合計額に満たない場合におけるその満たない部分の金額のうち、特定新規中小企業者に該当する株式会社等により発行される特定株式に係る控除対象特定株式の取得に要した金額の合計額に相当する金額をいう。

(注2)上記の措置は、その年の前年分の確定申告書に、特定新規中小企業者に該当する株式会社等により発行される特定株式をその年中に払込みにより取得をする見込みである旨その他の事項を記載した書類を添付して、その提出期限までに提出している等の要件を満たす場合に限り、適用できることとする。

令和8年1月1日以後に特例適用控除対象特定株式を払込みにより取得をした居住者等は、その取得をした年の翌年中に当該特例適用控除対象特定株式の譲渡をした場合(その譲渡が当該特例適用控除対象特定株式に係る上場等の日以後に行われたものである場合その他一定の場合を除く。)には、当該特例適用控除対象特定株式の取得価額は、当該特例適用控除対象特定株式に係る適用額と適用特定株式控除未済額との合計額(20億円を超える場合には、20億円)をその取得に要した金額(当該適用額と当該適用特定株式控除未済額との合計額が20億円を超える場合には、当該金額から当該超える部分の金額を控除した金額)から控除した金額とする。

特定新規中小企業者がその設立の際に発行した株式の取得に要した金額の控除等について、上記イ及びロと同様の措置を講ずる。

2特定中小会社が発行した株式の取得に要した金額の控除等及び特定中小会社が発行した株式に係る譲渡損失の繰越控除等並びに特定新規中小会社が発行した株式を取得した場合の課税の特例の適用対象となる沖縄振興特別措置法の指定会社に係る同法の規定に基づく指定期限を2年延長する。

3その他所要の措置を講ずる。

(2)非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置(NISA)について、次の措置を講ずる。

1廃止通知の提出等により、開設される非課税口座又は非課税口座に設けられる特定累積投資勘定等について、次の措置を講ずる。

廃止通知の提出等により非課税口座に設けられる特定累積投資勘定については、当該廃止通知の提出等があった日(その勘定を設定しようとする年の1月1日前に当該提出等があった場合には、同日)において設けられることとする。

非課税口座開設届出書(勘定廃止通知書又は非課税口座廃止通知書の添付等がされているものに限る。)の提出により開設された口座につき、その提出を受けた金融商品取引業者等の営業所の長が所轄税務署長から非課税口座の開設ができない旨の提供を受けた場合には、その開設された口座は、その開設の時から非課税口座に該当しないこととする。

勘定廃止通知書又は非課税口座廃止通知書の提出等により非課税口座に設けられた勘定につき、その提出等を受けた金融商品取引業者等の営業所の長が所轄税務署長から特定累積投資勘定の設定ができない旨の提供を受けた場合には、その設けられた勘定は、その設定の時から特定累積投資勘定及び特定非課税管理勘定に該当しないこととする。

2特定累積投資勘定に受け入れることができる上場株式投資信託の受益権について、次の措置を講ずる。

累積投資上場株式等の要件のうち上場株式投資信託の受益権の取得対価の額に係る要件について、次の措置を講ずる。

(イ)当該取得対価の額を1口(取得する受益権が共有持分の割合である場合には、1単位)当たり1万円以下(現行:1,000円以下)に引き上げる。

(ロ)下記ロにより、累積投資契約により取得する上場株式投資信託の受益権に含むこととされた上場株式投資信託の受益権については、当該受益権の取得対価の額に係る要件を次に掲げる要件とする。

対象商品届出書を提出する日前1月間の公表最終価格の平均が1万円以下であること。

対象商品届出書を提出する日の前日の公表最終価格が1万円以下であること。

一定の場合を除き、対象商品届出書を提出した日以後において公表最終価格が3万円以下であること。

(注)上記の「公表最終価格」とは、金融商品取引所において公表されたその日における当該上場株式投資信託の受益権の最終の売買の価格等に相当する金額をその一単位当たりの価額として計算した金額をいう。

対象となる累積投資契約により取得する上場株式投資信託の受益権には、一定額をもって取得することができる上場株式投資信託の受益権(その口数のうち最も多い口数のものに限る。)につき定期かつ継続的な方法による買付けの委託等により取得するものを含むこととする。

3その他所要の措置を講ずる。

(3)未成年者口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置(ジュニアNISA)について、居住者等が次に掲げる日のいずれか遅い日において未成年者口座を開設している場合には、同日において当該居住者等が、当該未成年者口座が開設されている金融商品取引業者等の営業所の長に未成年者口座廃止届出書の提出をしたものとみなすこととする。

1当該居住者等の未成年者口座に設けられる非課税管理勘定のうち最も新しい年分の勘定に係る非課税期間終了の日(当該勘定が設けられた日の属する年の1月1日から5年を経過する日をいう。)の翌日又は継続管理勘定に係る非課税期間終了の日(当該居住者等がその年1月1日において18歳である年の前年12月31日をいう。)の翌日のいずれか遅い日

2令和8年1月1日

(4)特定口座内保管上場株式等の譲渡等に係る所得計算等の特例等について、特定口座に受け入れることができる上場株式等の範囲に、次に掲げる上場株式等を加える。

1居住者等が金融商品取引業者等の営業所の長に対し非課税口座開設届出書(勘定廃止通知書又は非課税口座廃止通知書の添付等がされているものに限る。)の提出をしたことにより開設された口座でその開設の時から非課税口座に該当しないこととされたものにおいて管理されている上場株式等で、その該当しないこととされた日にその金融商品取引業者等の営業所に開設されている特定口座に一定の方法により移管されるもの

2居住者等が金融商品取引業者等の営業所の長に対し勘定廃止通知書又は非課税口座廃止通知書の提出等をしたことにより非課税口座に設けられた勘定でその設定の時から特定累積投資勘定及び特定非課税管理勘定に該当しないこととされたものに係る上場株式等で、その該当しないこととされた日にその金融商品取引業者等の営業所に開設されている特定口座に一定の方法により移管されるもの

(5)告知制度について、次の措置を講ずる。

1次に掲げる告知又は告知書の提出(以下「告知等」という。)をする個人が当該告知等を受ける者に対して当該個人の個人番号の告知又は告知書への記載を要しないこととする措置について、当該告知等を受ける者が、預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律(以下「口座管理法」という。)に基づき預金保険機構から当該個人の本人特定事項及び個人番号の通知を受けて当該個人の氏名、住所及び個人番号その他の事項を記載した帳簿を備えている場合には、当該個人は、本措置の適用を受けることができることとする。

利子、配当等の受領者の告知

無記名公社債の利子等に係る告知書の提出

譲渡性預金の譲渡等に関する告知書の提出

株式等の譲渡の対価の受領者の告知

交付金銭等の受領者の告知

償還金等の受領者の告知

信託受益権の譲渡の対価の受領者の告知

先物取引の差金等決済をする者の告知

金地金等の譲渡の対価の受領者の告知

特定口座開設届出書の提出をする者の告知

非課税口座開設届出書等の提出をする者の告知

国外送金等をする者の告知書の提出

国外証券移管等をする者の告知書の提出

国外電子決済手段移転等をする者の告知書の提出

2次に掲げる告知書の提出をする個人が当該告知書の提出の際に必要な本人確認書類の提示等を要しないこととする措置について、当該告知書の提出を受ける者が、口座管理法に基づき預金保険機構から当該個人の本人特定事項及び個人番号の通知を受けて当該個人の氏名、住所及び個人番号その他の事項を記載した帳簿を備えている場合には、当該個人は、本措置の適用を受けることができることとする。

国外送金等をする者の告知書の提出

国外証券移管等をする者の告知書の提出

国外電子決済手段移転等をする者の告知書の提出

3その他所要の措置を講ずる。

(6)勤労者財産形成住宅貯蓄非課税制度について、その利子所得等が非課税とされる適格払出しの範囲に、床面積が40m²以上50m²未満の認定住宅等(認定住宅、ZEH水準省エネ住宅及び省エネ基準適合住宅をいう。)のうち令和7年12月31日までに建築確認を受けたものの新築等に係る費用の支払のための払出しを加える。

(地方税)

個人住民税について、所得税における〔延長・拡充等〕(1)から(4)まで及び(6)の見直しに伴い、所要の措置を講ずる。

子育て支援に関する政策税制

(国税)

(1)生命保険料控除について、次の見直しを行う。

1新生命保険料に係る一般生命保険料控除について、居住者が年齢23歳未満の扶養親族を有する場合には、令和8年分における当該一般生命保険料控除の控除額の計算を次のとおりとする。

年間の新生命保険料 控除額
30,000円以下 新生命保険料の全額
30,000円超60,000円以下 新生命保険料×1/2+15,000円
60,000円超120,000円以下 新生命保険料×1/4+30,000円
120,000円超 一律60,000円

2旧生命保険料及び上記①の適用がある新生命保険料を支払った場合には、一般生命保険料控除の適用限度額は6万円(現行:4万円)とする。

3上記2の見直しに伴い、給与所得者の保険料控除申告書等についてその記載事項の見直しを行う。

4その他所要の措置を講ずる。

(注)一般生命保険料控除、介護医療保険料控除及び個人年金保険料控除の合計適用限度額は12万円とする(現行と同じ。)。

(2)住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除について、次の措置を講ずる。

1特例対象個人が、認定住宅等の新築若しくは認定住宅等で建築後使用されたことのないものの取得又は買取再販認定住宅等の取得(以下「認定住宅等の新築等」という。)をして令和7年1月1日から同年12月31日までの間に居住の用に供した場合の住宅借入金等の年末残高の限度額(借入限度額)を次のとおりとして本特例の適用ができることとする。

住宅の区分 借入限度額
認定住宅 5,000万円
ZEH水準省エネ住宅 4,500万円
省エネ基準適合住宅 4,000万円

2認定住宅等の新築又は認定住宅等で建築後使用されたことのないものの取得に係る床面積要件の緩和措置について、令和7年12月31日以前に建築確認を受けた家屋について適用できることとする。

(注1)「特例対象個人」とは、個人で、年齢40歳未満であって配偶者を有する者、年齢40歳以上であって年齢40歳未満の配偶者を有する者又は年齢19歳未満の扶養親族を有する者をいう。以下同じ。

(注2)「認定住宅等」とは、認定住宅、ZEH水準省エネ住宅及び省エネ基準適合住宅をいい、「認定住宅」とは、認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅をいう。以下同じ。

(注3)「買取再販認定住宅等」とは、認定住宅等である既存住宅のうち宅地建物取引業者により一定の増改築等が行われたものをいう。

(注4)上記について、その他の要件等は、現行の住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除と同様とする。

(3)東日本大震災の被災者等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例について、次の措置を講ずる。

1特例対象個人である住宅被災者が、認定住宅等の新築等をして令和7年1月1日から同年12月31日までの間に居住の用に供した場合の再建住宅借入金等の年末残高の限度額(借入限度額)を次のとおりとして本特例の適用ができることとする。

住宅の区分 借入限度額
認定住宅 5,000万円
ZEH水準省エネ住宅
省エネ基準適合住宅

2上記(2)2と同様の措置を講ずる。

(注)上記について、その他の要件等は、現行の東日本大震災の被災者等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例と同様とする。

(4)既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除について、特例対象個人が、その者の所有する居住用の家屋について一定の子育て対応改修工事をして、当該居住用の家屋を令和7年1月1日から同年12月31日までの間に居住の用に供した場合を適用対象に追加し、その子育て対応改修工事に係る標準的な工事費用相当額(250万円を限度)の10%に相当する金額をその年分の所得税の額から控除できることとする。

(注)上記について、一定の場合には連年適用ができないことその他の要件等は、現行の既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除と同様とする。

(地方税)

個人住民税について、所得税における(2)及び(3)の見直しに伴い、所要の措置を講ずる。この措置による個人住民税の減収額は、全額国費で補塡する。

土地税制

(国税)

〔廃止〕

帰還・移住等環境整備推進法人に対する土地等の譲渡に係る次に掲げる特例は、令和7年3月31日をもって廃止する(次の(2)の特例は、法人税についても同様とする。)。

(1)優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例

(2)特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の1,500万円特別控除

(地方税)

個人住民税について、所得税における〔廃止〕(1)及び(2)の見直しに伴い、所要の措置を講ずる。

租税特別措置等

(国税)

〔延長・拡充〕

(1)公益法人等に対して財産を寄附した場合の譲渡所得等の非課税措置について、次の措置を講ずる。

1申請書の提出があった日から1月以内に国税庁長官の承認をしないことの決定がなかった場合にその承認があったものとみなす特例(以下「承認に係る特例」という。)について、次の措置を講ずる。

対象範囲に、次に掲げる贈与又は遺贈(以下「贈与等」という。)を加える。

(イ)国立健康危機管理研究機構法の施行に伴い同法に基づき設立される国立健康危機管理研究機構(以下「機構」という。)に対する贈与等で、その贈与等に係る財産が一定の手続の下で機構の行う研究開発の実施等の業務に充てるための基金に組み入れられるもの

(ロ)準学校法人に対する贈与等で当該準学校法人の理事、監事、評議員その他これらの者に準ずるもの(その親族等を含む。以下「役員等」という。)以外の者からのもののうち、その贈与等に係る財産が当該準学校法人の基本金に組み入れられるもの

(ハ)新たな公益信託制度における公益信託(以下「公益信託」という。)の受託者に対するその信託財産とするための贈与等で当該公益信託の受託者及び信託管理人(これらの者の理事等を含む。)並びにこれらの者の親族等以外の者からのもののうち、その贈与等に係る財産が一定の手続の下で当該公益信託の受託者の行う公益信託事務に充てるための基金に組み入れられるもの

私立学校法の改正に伴い、全ての学校法人に対する贈与等で当該学校法人の役員等以外の者からのもののうち、その贈与等に係る財産が当該学校法人の基本金に組み入れられるものについて、承認に係る特例の対象とする。

2贈与等に係る財産を公益目的事業の用に直接供した日から2年以内に買い換える場合であっても、当該財産が上記①の基金又は基本金に組み入れる方法により管理されている等の要件を満たすときは、当該財産の譲渡収入の全部に相当する金額をもって取得した資産を当該方法により管理する等の一定の要件の下で非課税措置の継続適用を受けることができることとする。

3特定一般法人が他の公益法人等に非課税承認を受けた財産を贈与した場合における非課税の継続適用措置について、適用対象に、特定一般法人が公益目的支出計画に基づき当該財産を公益信託の信託財産とする場合を加える。

4機構に対する財産の贈与等については、国税庁長官の承認の要件について当該贈与等に係る財産がその贈与等があった日から2年を経過する日までの期間内に、機構のその贈与等に係る公益目的事業の用に直接供され、又は供される見込みであることを要件とする。

5公益法人等が贈与等に係る財産をその公益目的事業の用に直接供しなくなった場合において、当該公益法人等が、その旨その他の事項を記載した届出書に当該財産を当該公益目的事業の用に直接供しなくなったことを明らかにする書類を添付して、これを国税庁長官に提出したときは、国税庁長官は当該財産の贈与等に係る非課税承認を取り消すことができることとする。

6非課税承認の取消しにより公益信託の受託者に対して所得税を課税する場合には、当該取消しにより生じた信託財産に係る所得について、当該受託者の固有財産に係る所得等とは区別して課税することとするほか、所要の措置を講ずる。

7その他所要の措置を講ずる。

(2)債務処理計画に基づき資産を贈与した場合の課税の特例の適用期限を3年延長する。

(3)被災した法人について債務処理計画が策定された場合の課税の特例の適用期限を3年延長する。

(4)児童養護施設退所者等に対する自立支援資金貸付事業による金銭の貸付けにつき、当該貸付けに係る債務の免除を受ける場合には、当該免除により受ける経済的な利益の価額については、引き続き所得税を課さないこととする。

(5)ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業の住宅支援資金貸付けによる金銭の貸付けにつき、当該貸付けに係る債務の免除を受ける場合には、当該免除により受ける経済的な利益の価額については、その事業内容の見直し後も引き続き所得税を課さないこととする。

(6)公益法人等に寄附をした場合の所得税額の特別控除制度について、適用対象となる学校法人及び準学校法人が閲覧対象とすべき書類の範囲に、会計監査報告その他一定の書類を加える。

(地方税)

個人住民税について、所得税における〔延長・拡充〕(1)から(5)までの見直しに伴い、所要の措置を講ずる。

その他

(国税)

(1)確定拠出年金法等の改正を前提に、確定拠出年金制度等について次の見直しが行われた後も、現行の税制上の措置を適用する。

1企業型確定拠出年金制度におけるマッチング拠出について、企業型年金加入者掛金の額は事業主掛金の額を超えることができないとする要件を廃止する。

2企業型確定拠出年金の拠出限度額を次のとおりとする。

確定給付企業年金制度に加入していない者 月額6.2万円(現行:月額5.5万円)

確定給付企業年金制度の加入者 月額6.2万円(現行:月額5.5万円)から確定給付企業年金ごとの掛金相当額を控除した額

3個人型確定拠出年金制度について、60歳以上70歳未満であって現行の個人型確定拠出年金に加入できない者のうち、個人型確定拠出年金の加入者・運用指図者であった者又は私的年金の資産を個人型確定拠出年金に移換できる者であって、老齢基礎年金及び個人型確定拠出年金の老齢給付金を受給していない者を新たに制度の対象とすることとし、その拠出限度額を月額6.2万円とする。

4個人型確定拠出年金の拠出限度額を次のとおりとする。

第一号被保険者 月額7.5万円(現行:月額6.8万円)

企業年金加入者 月額6.2万円から確定給付企業年金ごとの掛金相当額及び企業型確定拠出年金の掛金額を控除した額(現行:月額2.0万円)

企業年金に未加入の者(第一号被保険者及び第三号被保険者を除く。) 月額6.2万円(現行:月額2.3万円)

5国民年金基金の掛金額の上限を月額7.5万円(現行:月額6.8万円)とする。

6その他所要の措置を講ずる。

(2)受益者等の存しない信託である法人課税信託に受益者等が存することとなった場合の所得の金額の計算について、次の見直しを行う。

1受益者等の存しない信託である法人課税信託が、受益者等が存することとなったことにより法人課税信託に該当しないこととなった場合において、当該法人課税信託が特定法人課税信託であるときは、その信託財産に属する特定株式については、当該特定株式をその該当しないこととなった時における価額により取得したものとみなして、当該受益者等の各年分の各種所得の金額を計算するものとし、当該特定株式のその時の直前の帳簿価額に相当する金額は、当該受益者等のその取得した日の属する年分の各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入しないこととする。

(注1)上記の「特定法人課税信託」とは、その信託財産に属する特定株式に係る発行法人等が委託者となる受益者等の存しない信託である法人課税信託で、当該特定株式の発行法人の役員等の勤続年数等を勘案して当該役員等が受益者等として指定されるものをいう。

(注2)上記の「特定株式」とは、一定の譲渡制限付株式以外の株式をいう。

(注3)上記(注1)の「発行法人等」とは、特定株式の発行法人、当該発行法人の役員等又は当該役員等と特殊の関係のある個人及び法人をいう。

2その他所要の措置を講ずる。

(3)所得税法及び租税特別措置法等の規定による本人確認の方法について、署名用電子証明書を送信する方法に代えて、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に規定するカード代替電磁的記録を送信する方法によることができることとする。

(4)退職手当等(老齢一時金(確定拠出年金法の老齢給付金として支給される一時金をいう。以下同じ。)を除く。)の支払を受ける年の前年以前9年内に老齢一時金の支払を受けている場合には、当該老齢一時金等について、退職所得控除額の計算における勤続期間等の重複排除の特例の対象とするほか、老齢一時金に係る退職所得の受給に関する申告書の保存期間を10年(現行:7年)とする。

(注)上記の改正は、令和8年1月1日以後に老齢一時金の支払を受けている場合であって、同日以後に支払を受けるべき退職手当等について適用する。

(5)小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除又は地震保険料控除の適用を受ける者は、現行の次に掲げる書類(以下「控除証明書」という。)の添付又は提示に代えて、当該控除証明書の記載事項を記載した明細書を確定申告書の提出の際に添付できることとする。この場合において、税務署長は、確定申告期限等から5年間、当該控除証明書の提示又は提出を求めることができることとし、当該求めがあったときは、その適用を受ける者は、当該控除証明書の提示又は提出をしなければならない。

1小規模企業共済等掛金控除の証明書

2生命保険料控除の証明書

3地震保険料控除の証明書

(注)上記の改正は、令和8年分以後の確定申告書を令和9年1月1日以後に提出する場合について適用する。

(6)退職手当等の支払をする者は、退職手当等の支払を受ける全ての居住者(現行:退職手当等の支払をする法人の役員である居住者)に係る退職所得の源泉徴収票を税務署長に提出しなければならないこととするほか、当該源泉徴収票の記載事項について所要の見直しを行う。

(注)上記の改正は、令和8年1月1日以後に提出すべき退職所得の源泉徴収票について適用する。

(7)社会医療法人制度における認定要件について、関係法令の改正により次の見直しが行われた後も、その見直し後の社会医療法人を引き続き公共法人等(所得税法別表第一)とする。

1社会保険診療等に係る収入金額の合計額が全収入金額の100分の80を超えることとの要件について、社会保険診療等に係る収入金額の範囲に補助金等に係る収入金額を加えるとともに、計算の基礎となる全収入金額を医療保健業務による収入金額(補助金等に係る収入金額を含むものとし、経常的なものに限る。)とする。

2医療診療による収入金額が患者のために直接必要な経費の額に100分の150を乗じて得た額の範囲内であることとの要件について、現行の医療診療による収入金額及び患者のために直接必要な経費の額の範囲に係る取扱いを法令上明確化するとともに、当該収入金額の範囲に補助金等に係る収入金額を加える。

3本来業務に係る費用の額が経常費用の額の100分の60を超えることとの要件について、現行の本来業務に係る費用の額及び経常費用の額の範囲に係る取扱いを法令上明確化するとともに、下限となる割合を100分の63とする。

(注1)上記の「補助金等に係る収入金額」とは、国又は地方公共団体(以下「国等」という。)から交付される補助金その他相当の反対給付を伴わない給付金(固定資産の取得に充てるためのものを除くものとし、国等に代わってその交付に係る事務を行う者から交付されるものを含む。)に係る収入金額及び国等からの委託(国等に代わってその委託に係る事務を行う者からの委託を含む。)を受けて行う事業に係る収入金額であって、医療保健業務(上記②にあっては、本来業務)に係るものをいう。

(注2)上記の「医療保健業務」とは、社会医療法人の本来業務及び附帯業務(医業及びこれに類する業務、介護サービスに係る業務並びに障害福祉サービスに係る業務に限る。)をいう。

(8)社会保険診療報酬支払基金法等の改正を前提に、社会保険診療報酬支払基金の業務範囲の見直し等が行われた後も、引き続き公共法人等(所得税法別表第一)とする。

(9)科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律の改正を前提に、先端技術研究成果活用機構(仮称)を公共法人等(所得税法別表第一)とする。

(10)独立行政法人男女共同参画機構法(仮称)の制定を前提に、独立行政法人男女共同参画機構(仮称)を公共法人等(所得税法別表第一)とする。

(11)土地改良法の改正により土地改良区、土地改良区連合及び土地改良事業団体連合会の解散時の財産処分に係る見直し等が行われた後も、引き続き公共法人等(所得税法別表第一)とする。

(12)日本学術会議法(仮称)の制定を前提に、日本学術会議の法人化により新たに設立される法人を公共法人等(所得税法別表第一)とする。

(13)厚生年金保険法の遺族厚生年金等について、厚生年金保険法等の改正を前提に、引き続き次の措置を講ずる。

1所得税を課さない。

2国税の滞納処分による差押えを禁止する。

(14)戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法の一部改正により引き続き支給されることとなる特別弔慰金について、次の措置を講ずる。

1所得税を課さない。

2国税の滞納処分による差押えを禁止する。

(15)新たなワクチン追加後の予防接種法の健康被害救済給付について、所要の法令改正を前提に、引き続き次の措置を講ずる。

1所得税を課さない。

2国税の滞納処分による差押えを禁止する。

3障害年金を受けている者等を障害者等に対する少額貯蓄非課税制度の対象者とする。

(地方税)

〈個人住民税〉

(1)退職手当等(老齢一時金(確定拠出年金法の老齢給付金として支給される一時金をいう。以下同じ。)を除く。)の支払を受ける年の前年以前9年内に老齢一時金の支払を受けている場合には、当該老齢一時金等について、退職所得控除額の計算における勤続期間等の重複排除の特例の対象とするほか、老齢一時金に係る退職所得申告書の保存期間を10年(現行:7年)とする。

(注)上記の改正は、令和8年1月1日以後に老齢一時金の支払を受けている場合であって、同日以後に支払を受けるべき退職手当等について適用する。

(2)個人住民税の申告において、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除又は地震保険料控除の適用を受ける者は、現行の次に掲げる書類(以下「控除証明書」という。)の添付又は提示に代えて、当該控除証明書の記載事項を記載した明細書を個人住民税の申告書の提出の際に添付できることとする。この場合において、市町村長は、法定納期限の翌日から5年間、当該控除証明書の提示又は提出を求めることができることとし、当該求めがあったときは、その適用を受ける者は、当該控除証明書の提示又は提出をしなければならない。

1小規模企業共済等掛金控除の証明書

2生命保険料控除の証明書

3地震保険料控除の証明書

(注)上記の改正は、令和9年度分以後の個人住民税の申告書を令和9年1月1日以後に提出する場合について適用する。

(3)退職手当等の支払をする者は、退職手当等の支払を受ける全ての納税義務者(現行:退職手当等の支払をする法人の役員である納税義務者)に係る退職所得の特別徴収票を市町村長に提出しなければならないこととするほか、当該特別徴収票の記載事項について所要の見直しを行う。

(注)上記の改正は、令和8年1月1日以後に提出すべき退職所得の特別徴収票について適用する。

(4)個人住民税について、所得税における(1)から(3)まで、(10)及び(13)から(15)までの見直しに伴い、所要の措置を講ずる。

(5)国税における諸制度の取扱い等を踏まえ、その他所要の措置を講ずる。

〈国民健康保険税〉

(6)国民健康保険税の基礎課税額等に係る課税限度額について、次のとおりとする。

1基礎課税額に係る課税限度額を66万円(現行:65万円)に引き上げる。

2後期高齢者支援金等課税額に係る課税限度額を26万円(現行:24万円)に引き上げる。

(7)国民健康保険税の減額の対象となる所得の基準について、次のとおりとする。

15割軽減の対象となる世帯の軽減判定所得の算定において被保険者等の数に乗ずべき金額を30.5万円(現行:29.5万円)に引き上げる。

22割軽減の対象となる世帯の軽減判定所得の算定において被保険者等の数に乗ずべき金額を56万円(現行:54.5万円)に引き上げる。

(注)上記の改正は、令和8年分以後の確定申告書を令和9年1月1日以後に提出する場合について適用する。