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令和6年度税制改正の大綱(5/10)

国際課税

各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税等の見直し

(国税)

各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税等について、次の見直しを行うこととする。

(1)構成会社等がその所在地国において一定の要件を満たす自国内最低課税額に係る税を課することとされている場合には、その所在地国に係るグループ国際最低課税額を零とする適用免除基準を設ける。

(2)無国籍構成会社等が自国内最低課税額に係る税を課されている場合には、グループ国際最低課税額の計算においてその税の額を控除する。

(3)個別計算所得等の金額から除外される一定の所有持分の時価評価損益等について、特定多国籍企業グループ等に係る国又は地域単位の選択により、個別計算所得等の金額に含める。

(4)導管会社等に対する所有持分を有することにより適用を受けることができる税額控除の額(一定の要件を満たすものに限る。)について、特定多国籍企業グループ等に係る国又は地域単位の選択により、調整後対象租税額に加算する。

(5)特定多国籍企業グループ等報告事項等の提供制度について、特定多国籍企業グループ等報告事項等を、提供義務者の区分に応じて必要な事項等に見直す。

(6)外国税額控除について、次の見直しを行う。

1次に掲げる外国における税について、外国税額控除の対象から除外する。

各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税に相当する税

外国を所在地国とする特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等に対して課される税(グループ国際最低課税額に相当する金額のうち各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税に相当する税の課税標準とされる金額以外の金額を基礎として計算される金額を課税標準とするものに限る。)又はこれに相当する税

2自国内最低課税額に係る税について、外国税額控除の対象とする。

(7)その他所要の措置を講ずる。

(地方税)

法人住民税の計算の基礎となる法人税額に各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税の額を含まないよう所要の措置を講ずる。

外国子会社合算税制等の見直し

(国税)

(1)内国法人の外国関係会社に係る所得の課税の特例(いわゆる「外国子会社合算税制」)におけるペーパー・カンパニー特例に係る収入割合要件について、外国関係会社の事業年度に係る収入等がない場合には、その事業年度における収入割合要件の判定を不要とする。

(2)居住者に係る外国子会社合算税制及び特殊関係株主等である内国法人に係る外国関係法人に係る所得の課税の特例等の関連制度につき、上記(1)と同様の見直しを行う。

(地方税)

個人住民税、法人住民税及び事業税について、内国法人の外国関係会社に係る所得の課税の特例(いわゆる「外国子会社合算税制」)等の見直しに関する国税の取扱いに準じて所要の措置を講ずる。

非居住者に係る暗号資産等取引情報の自動的交換のための報告制度の整備等

(国税)

(1)非居住者に係る暗号資産等取引情報の自動的交換のための報告制度の整備

1令和8年1月1日以後に報告暗号資産交換業者等との間でその営業所等を通じて暗号資産等取引を行う者は、当該暗号資産等取引を行う際(令和7年12月31日において報告暗号資産交換業者等との間でその営業所等を通じて暗号資産等取引を行っている者にあっては、令和8年12月31日までに)、その者(その者が特定法人である場合には、当該特定法人及びその実質的支配者等。(1)において「特定対象者」という。)の氏名又は名称、住所又は本店等の所在地、居住地国、居住地国が外国の場合にあっては当該居住地国における納税者番号その他必要な事項を記載した届出書を、当該報告暗号資産交換業者等の営業所等の長に提出しなければならない。

(注1)上記の「報告暗号資産交換業者等」とは、暗号資産交換業者、電子決済手段等取引業者(電子決済手段を発行する者を含む。)及び金融商品取引業者のうち一定のものをいう。

(注2)上記の「暗号資産等取引」とは、暗号資産等(暗号資産、資金決済に関する法律第2条第5項第4号に掲げる電子決済手段又は一定の電子記録移転有価証券表示権利等をいう。3において同じ。)の売買、暗号資産等と他の暗号資産等との交換若しくはこれらの行為の媒介等又は暗号資産等の移転若しくは受入れに係る契約の締結をいう。

(注3)届出書に記載すべき事項は、電磁的方法による提供も可能とする(下記2の異動届出書についても同様とする。)。

(注4)報告暗号資産交換業者等の営業所等の長は、届出書に記載されている事項を確認しなければならない(下記2の異動届出書についても同様とする。)。

2上記1の届出書を提出した者は、居住地国等について異動を生じた場合には、異動後の居住地国その他必要な事項を記載した届出書((1)において「異動届出書」という。)を、異動を生じた日等から3月を経過する日までに、報告暗号資産交換業者等の営業所等の長に提出しなければならない。当該異動届出書の提出をした後、再び異動を生じた場合についても、同様とする。

3報告暗号資産交換業者等は、上記1の届出書又は異動届出書((1)において「届出書等」という。)に記載された事項のうち居住地国等と異なることを示す一定の情報を取得した場合には、その取得の日から3月を経過する日までに、当該届出書等を提出した者に対し異動届出書の提出の要求をし、その提出がなかったときは、当該情報に基づき住所等所在地国と認められる国又は地域の特定をしなければならない。当該要求又は特定後に再びそのような情報を取得した場合についても、同様とする。

4報告暗号資産交換業者等は、その年の12月31日において、当該報告暗号資産交換業者等の営業所等を通じて暗号資産等取引を行った者(外国金融商品取引所において上場されている法人等を除く。)が報告対象契約を締結している場合には、特定対象者の氏名又は名称、住所又は本店等の所在地、居住地国等及び居住地国等が外国の場合にあっては当該居住地国等における納税者番号、暗号資産等の売買等に係る暗号資産等の種類ごとに、暗号資産等の名称並びに暗号資産等の売買の対価の額の合計額、総数量及び件数その他必要な事項((1)において「報告事項」という。)を、その年の翌年4月30日までに、電子情報処理組織を使用する方法(e-Tax)又は光ディスク等の記録用の媒体を提出する方法により、当該報告暗号資産交換業者等の本店等の所在地の所轄税務署長に提供しなければならない。

(注)上記の「報告対象契約」とは、暗号資産等取引に係る契約のうち次に掲げる者のいずれかが締結しているものをいう。

租税条約等の相手国等のうち一定の国又は地域(ロにおいて「報告対象国」という。)を居住地国等とする者(ロにおいて「報告対象者」という。)

報告対象国以外の国又は地域を居住地国等とする特定法人で、その実質的支配者が報告対象者であるもの

5報告暗号資産交換業者等は、特定対象者の居住地国等に関する事項その他必要な事項に関する記録を作成し、保存しなければならない。

6届出書等の不提出若しくは虚偽記載又は報告事項の不提供若しくは虚偽記載等に対する罰則を設けるほか、報告制度の実効性を確保するための所要の措置を講ずる。

7外国居住者等に係る暗号資産等取引情報の自動的な提供のための報告制度を整備する。

8その他所要の措置を講ずる。

(2)非居住者に係る金融口座情報の自動的交換のための報告制度等の見直し

1報告金融機関等について、次の見直しを行う。

報告金融機関等の範囲に、電子決済手段等取引業者及び特定電子決済手段等を発行する者を加える。

(注)上記の「特定電子決済手段等」とは、次に掲げるものをいう。

(イ)資金決済に関する法律第2条第5項第1号から第3号までに掲げる電子決済手段

(ロ)物品等の購入等の代価の弁済のために使用することができる財産的価値(一定の通貨建資産に限るものとし、電子決済手段、有価証券及び前払式支払手段等を除く。)であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの

報告金融機関等に係る収入割合要件について、投資法人等に係る収入割合の計算の基礎となる有価証券等に対する投資に係る収入金額の範囲に暗号資産等に対する投資に係る収入金額を加えるほか、所要の措置を講ずる。

2特定取引の範囲に、次に掲げる取引を加える。

特定電子決済手段等(上記1イ(注)(イ)に掲げるものに限る。)の管理に係る契約の締結

特定電子決済手段等(上記1イ(注)(ロ)に掲げるものに限る。)の発行による為替取引に係る契約の締結

(注1)特定取引から除外される取引の範囲に、報告金融機関等との間でその営業所等を通じて上記イ及びロに掲げる取引を行う者の有する当該取引に係る特定電子決済手段等のうち、その合計額の90日移動平均値が100万円を超えることがないと認められる一定の要件を満たすものである場合における当該取引を加える。

(注2)報告金融機関等は、当該報告金融機関等の営業所等を通じて上記イ及びロの特定取引を行った者の有する当該特定取引に係る特定電子決済手段等の合計額の90日移動平均値が、その年中のいずれの日においても100万円を超えなかった場合には、当該特定取引に係る契約に関する報告事項については、当該報告金融機関等の本店等の所在地の所轄税務署長に提供することを要しない。

暗号資産、電子決済手段又は電子記録移転有価証券表示権利等の預託に係る契約の締結

(注)報告金融機関等は、令和7年12月31日以前に当該報告金融機関等との間でその営業所等を通じて上記イからハまでの特定取引を行った者で同日において当該特定取引に係る契約を締結しているものに係る特定対象者につき、既存特定取引に係る特定手続と同様の手続を実施しなければならない。

3社債、株式等の振替に関する法律の改正に伴い、特定取引から除外される取引の範囲に、振替特別法人出資に係る特別口座の開設に係る契約の締結を加える。

4特定法人から除外される法人に係る収入割合要件について、法人に係る収入割合の計算の基礎となる投資関連所得の範囲に暗号資産等(暗号資産等デリバティブ取引を含む。)に係る所得を加えるほか、所要の措置を講ずる。

5我が国及び租税条約の相手国等の双方の居住者に該当する者について、当該租税条約上の双方居住者の振分けルールにかかわらず、我が国及び当該相手国等の双方を居住地国として取り扱う。

6新規特定取引等に係る特定手続について、次の見直しを行う。

報告金融機関等は、令和8年1月1日以後に当該報告金融機関等との間でその営業所等を通じて特定取引を行う者が届出書を提出しなかった場合には、特定対象者につき、既存特定取引に係る特定手続と同様の手続を実施しなければならない。

報告金融機関等は、特定対象者に関する事項の変更等があることを知った一定の場合には、当該特定対象者の一定の情報を取得するための措置を講じなければならない。

7報告金融機関等による報告事項の提供について、次の見直しを行う。

報告対象外となる者の範囲に、外国金融商品取引所において上場されている法人等と一定の関係がある組合等を加える。

報告事項の範囲に、次に掲げる事項を加える。

(イ)特定取引を行う者の署名等がなされたものであることその他の一定の要件の全てを満たす新規届出書等が提出されているか否かの別

(ロ)特定取引に係る契約が報告金融機関等と複数の者との間で締結されているものであるか否かの別等

(ハ)特定法人とその実質的支配者との関係

(ニ)特定取引に係る契約を締結している者と当該特定取引に係る報告金融機関等(一定の組合契約に係る組合等に係るものに限る。)との関係

(ホ)特定取引の種類

(ヘ)新規特定取引又は既存特定取引の別

8その他所要の措置を講ずる。

(注)上記の改正は、令和8年1月1日から施行する。

その他

(国税)

(1)対象純支払利子等に係る課税の特例(いわゆる「過大支払利子税制」)の適用により損金不算入とされた金額(以下「超過利子額」という。)の損金算入制度について、令和4年4月1日から令和7年3月31日までの間に開始した事業年度に係る超過利子額の繰越期間を10年(原則:7年)に延長する。

(2)子会社からの配当と子会社株式の譲渡を組み合わせた租税回避を防止するための措置(子会社株式簿価減額特例)によりその有する子法人の株式等の帳簿価額から引き下げる金額の計算を行う場合に、その子法人から受ける対象配当金額のうち特定支配関係発生日以後の利益剰余金の額から支払われたものと認められる部分の金額を除外することができる特例計算について、特定支配関係発生日の属する事業年度内に受けた対象配当金額(その特定支配関係発生日後に受けるものに限る。)についても、その特例計算の適用を受けることができることとする。

(3)外国金融機関等の店頭デリバティブ取引の証拠金に係る利子の課税の特例の適用期限を3年延長する。

(4)非居住者又は外国法人が振替特定目的信託受益権のうち社債的受益権に該当するものにつき支払を受ける剰余金の配当等の非課税措置は、適用期限の到来をもって廃止する。

(地方税)

(1)国税(1)の見直しに伴い、法人住民税及び法人事業税について、国税の取扱いに準じて所要の措置を講ずる。

(2)個人住民税、法人住民税及び事業税について、国税における諸制度の取扱いに準じて所要の措置を講ずる。