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令和5年度税制改正の大綱(3/10)

法人課税

成長と分配の好循環の実現

(国税)

(1)特別新事業開拓事業者に対し特定事業活動として出資をした場合の課税の特例について、次の措置を講ずる。

1対象となる特定株式に、発行法人以外の者から購入により取得した特別新事業開拓事業者の株式でその取得により総株主の議決権の過半数を有することとなるものを加える。

(注1)上記の特定株式に係る対象となる取得価額の上限は、200億円とする。

(注2)上記の特定株式の要件は、次のとおり現行要件を見直した要件とするほか、現行の特定株式の要件と同様とする。

特定株式の保有見込期間要件における保有見込期間の下限及び特定事業活動に係る証明の要件のうち特定事業活動を継続する期間は、5年とする。

取得価額要件は、5億円以上とする。

特別新事業開拓事業者を内国法人に限定する。

令和5年4月1日以後に特別新事業開拓事業者に出資をして本特例の適用を受けた後に取得するその特別新事業開拓事業者の株式は対象外とする。

(注3)上記の特定株式に係る特別勘定の取崩し事由は、次のとおり現行の取崩し事由を見直した事由とするほか、現行の取崩し事由と同様とする。

特定株式の取得から5年を経過した場合には、特別勘定の金額を取り崩して、益金算入する。ただし、その取得の日から5年以内に、いずれかの事業年度において、売上高が1.7倍かつ33億円以上となったこと等の要件に該当することとなった場合は、この限りでない。

対象法人を合併法人とする合併により特定株式に係る特別新事業開拓事業者が解散した場合には、特別勘定の金額を取り崩して、益金算入する。

対象法人が特定株式に係る特別新事業開拓事業者の総株主の議決権の過半数を有しないこととなった場合には、特別勘定の金額を取り崩して、益金算入する。

上記イただし書の場合において、特定株式の取得の日から5年を経過した後に現行の取崩し事由(特定事業活動に係る継続証明がされなかったこととの事由及び特定株式を組合財産とする投資事業有限責任組合等の出資額割合の変更があったこととの事由を除く。)に該当することとなったときは、その事由に応じた特別勘定の金額を取り崩して、益金算入する。

上記イただし書の場合において、特定株式を組合財産とする投資事業有限責任組合等の出資額割合が減少したときは、その減少割合に応じた特別勘定の金額を取り崩して、益金算入する。

上記イただし書の場合において、特定株式につき剰余金の配当を受けたときは、その受けた額の25%相当額の特別勘定の金額を取り崩して、益金算入する。

(注4)上記の特定株式については、特定事業活動に係る継続証明の要件に、対象法人による株式の取得の時に特別新事業開拓事業者が営んでいた事業を引き続き営んでいること等の要件を加える。

2払込みにより取得した特定株式について、対象となる取得価額の上限を50億円(現行:100億円)に引き下げる。

3既にその総株主の議決権の過半数の株式を有している特別新事業開拓事業者に対する出資を対象から除外するとともに、既に本特例の適用を受けてその総株主の議決権の過半数に満たない株式を有している特別新事業開拓事業者に対する出資についてその対象を総株主の議決権の過半数を有することとなる場合に限定する。

4その他所要の措置を講ずる。

(2)試験研究を行った場合の税額控除制度(研究開発税制)について、次の見直しを行う(所得税についても同様とする。)。

1一般試験研究費の額に係る税額控除制度について、次の見直しを行う。

税額控除率を次のとおり見直し、その下限を1%(現行:2%)に引き下げた上、その上限を14%(原則:10%)とする特例の適用期限を3年延長する。

(イ)増減試験研究費割合が12%超

11.5%+(増減試験研究費割合-12%)×0.375

(ロ)増減試験研究費割合が12%以下

11.5%-(12%-増減試験研究費割合)×0.25

令和5年4月1日から令和8年3月31日までの間に開始する各事業年度の控除税額の上限について、増減試験研究費割合が4%を超える部分1%当たり当期の法人税額の0.625%(5%を上限とする。)を加算し、増減試験研究費割合がマイナス4%を下回る部分1%当たり当期の法人税額の0.625%(5%を上限とする。)を減算する特例を設ける。

(注)試験研究費の額が平均売上金額の10%を超える場合には、上記の特例と試験研究費の額が平均売上金額の10%を超える場合における控除税額の上限の上乗せ特例とのうち控除税額の上限が大きくなる方の特例を適用する。

試験研究費の額が平均売上金額の10%を超える場合における税額控除率の特例及び控除税額の上限の上乗せ特例の適用期限を3年延長する。

基準年度比売上金額減少割合が2%以上等の場合における控除税額の上限の上乗せ特例は、適用期限の到来をもって廃止する。

2中小企業技術基盤強化税制について、次の見直しを行う。

増減試験研究費割合が9.4%を超える場合の特例を増減試験研究費割合が12%を超える場合に次のとおりとする特例に見直した上、その適用期限を3年延長する。

(イ)税額控除率(12%)に、増減試験研究費割合から12%を控除した割合に0.375を乗じて計算した割合を加算する。

(ロ)控除税額の上限に当期の法人税額の10%を上乗せする。

試験研究費の額が平均売上金額の10%を超える場合における税額控除率の特例及び控除税額の上限の上乗せ特例の適用期限を3年延長する。

基準年度比売上金額減少割合が2%以上等の場合における控除税額の上限の上乗せ特例は、適用期限の到来をもって廃止する。

(注)税額控除率は、17%を上限とする(現行と同じ。)。

3特別試験研究費の額に係る税額控除制度について、次の見直しを行う。

関係法令の改正を前提に、対象となる特別試験研究費の額に、特別新事業開拓事業者との共同研究及び特別新事業開拓事業者への委託研究に係る試験研究費の額を加え、その税額控除率を25%とする。

(注1)上記の「特別新事業開拓事業者」とは、産業競争力強化法の新事業開拓事業者のうち同法の特定事業活動に資する事業を行う会社(既に事業を開始しているもので、一定の投資事業有限責任組合を通じて又は国立研究開発法人から出資を受けていること、設立後15年未満で研究開発費の額の売上高の額に対する割合が10%以上であること等の要件に該当するものに限る。)で、その経営資源が、その特定事業活動における高い生産性が見込まれる事業を行うこと又は新たな事業の開拓を行うことに資するものであることその他の基準を満たすことにつき経済産業大臣の証明があるものをいう。

(注2)共同研究及び委託研究の範囲は、現行の研究開発型ベンチャー企業との共同研究及び研究開発型ベンチャー企業への委託研究と同様とする。

対象となる特別試験研究費の額に次の要件の全てを満たす試験研究に係る(ロ)aの額を加え、その税額控除率を20%とする。

(イ)その法人の役員又は使用人である次の者(以下「新規高度研究業務従事者」という。)に対して人件費を支出して行う試験研究であること。

博士の学位を授与された者で、その授与された日から5年を経過していないもの

他の者(その法人との間に一定の資本関係がある者を除く。)の役員又は使用人として10年以上専ら研究業務に従事していた者で、その法人(その法人との間に一定の資本関係がある者を含む。)の役員又は使用人となった日から5年を経過していないもの

(ロ)aの額がbの額のうちに占める割合(以下「新規高度人件費割合」という。)を前期の新規高度人件費割合で除して計算した割合が1.03以上である法人が行う試験研究(工業化研究を除く。)であること。

試験研究費の額(工業化研究に係る試験研究費の額を除く。)のうち新規高度研究業務従事者に対する人件費の額

試験研究費の額のうちその法人の役員又は使用人である者に対する人件費の額

(ハ)次のいずれかに該当する試験研究であること。

その内容に関する提案が広く一般に又はその法人の使用人に募集されたこと。

その内容がその試験研究に従事する新規高度研究業務従事者から提案されたものであること。

その試験研究に従事する者が広く一般に又はその法人の役員若しくは使用人に募集され、その試験研究に従事する新規高度研究業務従事者がその募集に応じた者であること。

対象となる特別試験研究費の範囲から、研究開発型ベンチャー企業との共同研究及び研究開発型ベンチャー企業への委託研究に係る試験研究費を除外する。

特別試験研究費の対象となる特別研究機関等との共同研究及び特別研究機関等への委託研究について、特別研究機関等の範囲に福島国際研究教育機構を加える。

4試験研究費のうち対価を得て提供する新たな役務の開発に係る試験研究のために要する一定の費用について、既に有する大量の情報を用いる場合についても対象とする。

5試験研究費の範囲から、性能向上を目的としないことが明らかな開発業務の一部として考案されるデザインに基づき行う設計及び試作に要する費用を除外する。

6分割等があった場合の調整計算の特例の適用を受けるための手続の見直しその他の所要の措置を講ずる。

(3)法人が大学、高等専門学校又は一定の専門学校を設置する学校法人又は準学校法人の設立を目的とする法人(以下「学校法人設立準備法人」という。)に対して支出する寄附金のうち次のいずれにも該当するもので、その学校法人設立準備法人から財務大臣に対して届出があった日から令和10年3月31日までの間に支出されるものを、指定寄附金とする。

1その学校法人又は準学校法人の設立前に、その設立に関する認可があることが確実であると認められる場合においてされる寄附金で、その設立のための費用に充てられるものであること。

2募集要綱に、学校法人設立準備法人の設立後5年を超えない範囲内において募集要綱で定める日までに大学、高等専門学校又は一定の専門学校の設置に係る認可を受けなかった場合には、残額を国又は地方公共団体に寄附する旨の定めがあること。

(地方税)

(1)法人住民税及び法人事業税について、国税(1)の取扱いに準じて所要の措置を講ずる。

(2)国税(2)の見直し及び延長に伴い、税額控除制度を中小企業者等に係る法人住民税に適用する。

(3)法人住民税及び法人事業税について、国税(3)の取扱いに準じて所要の措置を講ずる。

地域における活力

(国税)

(1)中小企業者等の法人税の軽減税率の特例の適用期限を2年延長する。

(2)中小企業投資促進税制について、次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。

1対象資産から、コインランドリー業(主要な事業であるものを除く。)の用に供する機械装置でその管理のおおむね全部を他の者に委託するものを除外する。

2対象資産について、総トン数500トン以上の船舶にあっては、環境への負荷の低減に資する設備の設置状況等を国土交通大臣に届け出た船舶に限定する。

(3)中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度(中小企業経営強化税制)について、関係法令の改正を前提に特定経営力向上設備等の対象からコインランドリー業又は暗号資産マイニング業(主要な事業であるものを除く。)の用に供する資産でその管理のおおむね全部を他の者に委託するものを除外した上、その適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。

円滑・適正な納税のための環境整備

(国税)

(1)法人が特別徴収義務者として納付する森林環境税に係る延滞金の額並びに法人が第二次納税義務者として森林環境税及び森林環境税に係る延滞金等を納付し、又は納入したことにより生じた損失の額は、損金の額に算入しないこととする。

(2)公益法人等が普通法人等に移行する場合の所得の金額の計算について、累積所得金額又は累積欠損金額の計算において資産の帳簿価額から減算する負債帳簿価額等に資本金等の額を加算することとする。

(3)通算子法人の残余財産の確定の日が通算親法人の事業年度終了の日である場合におけるその通算子法人の法人税及び地方法人税の確定申告書の提出期限について、次の見直しを行う。

1その通算子法人の残余財産の確定の日の属する事業年度の確定申告書の提出期限をその事業年度終了の日の翌日から2月以内(現行:同日から1月以内又は同日から1月以内に残余財産の最後の分配若しくは引渡しが行われる場合にはその行われる日の前日まで)とする。

2通算親法人が確定申告書の提出期限の延長の特例の適用を受けている場合には、その通算子法人の残余財産の確定の日の属する事業年度についても特例の適用があるものとする。

(注)上記の改正は、令和5年4月1日以後に現行の提出期限が到来する確定申告書について適用する。

(4)青色申告の承認申請書について、記載事項の簡素化を行う。

(注)上記の改正は、令和9年1月1日以後に開始する事業年度について適用する。

(5)青色申告書による申告をやめる旨の届出書について、その提出期限をその申告をやめようとする事業年度の確定申告書の提出期限(現行:その申告をやめようとする事業年度終了の日の翌日から2月以内)とするとともに、記載事項の簡素化を行う。

(注)上記の改正は、令和8年1月1日以後に開始する事業年度について適用する。

(地方税)

通算子法人の残余財産の確定の日が通算親法人の事業年度終了の日である場合におけるその通算子法人の法人事業税の確定申告書の提出期限について、次の見直しを行う。

(1)その通算子法人の残余財産の確定の日の属する事業年度の法人事業税の確定申告書の提出期限をその事業年度終了の日から2月以内(現行:同日から1月以内又は同日から1月以内に残余財産の最後の分配若しくは引渡しが行われる場合にはその行われる日の前日まで)とする。

(2)その通算子法人の残余財産の確定の日の属する事業年度について、法人事業税の確定申告書の提出期限の延長の特例を適用できることとする。

(3)その他所要の措置を講ずる。

(注)上記の改正は、令和5年4月1日以後に現行の提出期限が到来する法人事業税の確定申告書について適用する。

その他の租税特別措置等

(国税)

〔新設〕

令和5年4月1日から令和6年3月31日までの間に産業競争力強化法の事業再編計画の認定を受けた法人が同法の特定剰余金配当として行う現物分配で完全子法人の株式が移転するものは、株式分配に該当することとし、その現物分配のうち次の要件に該当するものは、適格株式分配に該当することとする(所得税についても同様とする。)。

(1)その法人の株主の持株数に応じて完全子法人の株式のみを交付するものであること。

(2)その現物分配の直後にその法人が有する完全子法人の株式の数が発行済株式の総数の20%未満となること。

(3)完全子法人の従業者のおおむね90%以上がその業務に引き続き従事することが見込まれていること。

(4)適格株式分配と同様の非支配要件、主要事業継続要件及び特定役員継続要件を満たすこと。

(5)その認定に係る関係事業者又は外国関係法人の特定役員に対して新株予約権が付与され、又は付与される見込みがあること等の要件を満たすこと。

〔拡充等〕

(1)地域経済牽引事業の促進区域内において特定事業用機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度について、次の措置を講じた上、その適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。

1特別償却率及び税額控除率を引き上げる措置について、次の措置を講ずる。

本措置の対象に、次の要件の全てを満たす場合を加える。

(イ)その承認地域経済牽引事業者のその承認地域経済牽引事業について主務大臣の確認を受ける事業年度の前事業年度及び前々事業年度における平均付加価値額が50億円以上であること。

(ロ)その承認地域経済牽引事業が3億円以上の付加価値額を創出すると見込まれるものであること。

(ハ)労働生産性の伸び率及び投資収益率が一定水準以上となることが見込まれること。

本措置の対象から、承認地域経済牽引事業の実施場所が特定非常災害に基因して事業又は居住の用に供することができなくなった建物又は構築物が所在していた区域内である場合等に先進性に係る要件を満たすこととする特例により主務大臣の確認を受ける場合を除外する。

2承認地域経済牽引事業の主務大臣の確認要件について、次の見直しを行う。

次の運用の改善を行う。

(イ)要件の判定において売上高を計算する場合には、需要の変動等による影響を勘案した計算方法を用いることとする。

(ロ)先進性に係る要件について、評価委員の評価精度の向上に向けた措置を講ずる。

経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律の規定により特定重要物資として指定された物資の製造に係る事業については、サプライチェーンの強じん化に資する類型に該当しないものとして取り扱うこととする。

対象事業を行う承認地域経済牽引事業者(以下「対象事業者」という。)が取得する予定の減価償却資産の取得予定価額がその対象事業者の前事業年度における減価償却費の額の10%以上の額であることとの要件を、対象事業者が取得する予定の減価償却資産の取得予定価額がその対象事業者の前事業年度における減価償却費の額(その対象事業者が連結会社である場合にあっては、これに、同一の連結の範囲に含まれる他の会社の前連結会計年度における減価償却費の額の合計額を加えて得た額)の20%以上の額であることとの要件に見直す。

(2)特定船舶の特別償却制度について、次の見直しを行った上、その適用期限を3年延長する(所得税についても同様とする。)。

1外航船舶について、次の見直しを行う。

海上運送法の改正を前提に、同法の認定外航船舶確保等計画(仮称)に従って取得等をした同法の特定外航船舶(仮称)の特別償却率を次のとおりとする。

(イ)特定先進船舶である特定船舶に該当する船舶(現行:18%(日本船舶については、20%))

海上運送法の本邦対外船舶運航事業者等(仮称)の対外船舶運航事業の用に供される船舶30%(日本船舶については、32%)

上記a以外の船舶28%(日本船舶については、30%)

(ロ)特定先進船舶以外の特定船舶に該当する船舶(現行:15%(日本船舶については、17%))

上記(イ)aの船舶27%(日本船舶については、29%)

上記(イ)bの船舶25%(日本船舶については、27%)

(注)上記の改正は、海上運送法の改正法の施行の日以後に取得等をする船舶(同日前に締結した契約に基づいて取得する船舶を除く。)について適用する。

特定先進船舶について、液化天然ガスを燃料とする船舶を加え、耐食鋼を用いた船舶を除外する。

対象船舶から匿名組合契約等の目的である船舶貸渡業の用に供される船舶(海上運送法の認定先進船舶導入等計画に従って取得等をした同法の先進船舶を除く。)を除外する。

事業の経営の合理化及び環境への負荷の低減に係る要件の見直しを行う。

2内航船舶について、対象を総トン数500トン以上(現行:300トン以上)の船舶に限定する。

(3)特定事業継続力強化設備等の特別償却制度について、次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。

1対象資産に耐震装置を加える。

2令和7年4月1日以後に取得等をする資産の特別償却率を16%(現行:20%(令和5年4月1日以後は、18%))に引き下げる。

(4)特定都市再生建築物の割増償却制度について、次の見直しを行った上、その適用期限を3年延長する(所得税についても同様とする。)。

1対象となる民間都市再生事業計画のうち特定都市再生緊急整備地域以外の都市再生緊急整備地域における民間都市再生事業計画の認定要件について、次の見直しを行う。

都市再生特別措置法施行令の改正を前提に、その都市再生事業の施行される土地の区域の面積要件を0.5ha以上(現行:原則1ha以上)に引き下げる。

地方の魅力向上又は地域の活性化等に資する機能を整備することとの要件を加える。

2特定都市再生緊急整備地域内において行われる都市再生事業の要件のうちその都市再生事業の施行される土地の区域内に整備される建築物の延べ面積要件を75,000heihoumeter.gif以上(現行:50,000heihoumeter.gif以上)に引き上げる。

〔延長〕

(1)特定原子力施設炉心等除去準備金制度の適用期限を3年延長する。

(2)短期の土地譲渡益に対する追加課税制度の適用停止措置の期限を3年延長する。

(3)退職年金等積立金に対する法人税の課税の停止措置の適用期限を3年延長する。

〔廃止・縮減等〕

(1)デジタルトランスフォーメーション投資促進税制について、次のとおり主務大臣の確認要件の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。

1生産性の向上又は新需要の開拓に関する要件を、売上高が10%以上増加することが見込まれることとの要件に見直す。

2取組類型に関する要件を、対象事業の海外売上高比率が一定割合以上となることが見込まれることとの要件に見直す。

(注)令和5年4月1日前に認定の申請をした事業適応計画に従って同日以後に取得等をする資産については、本制度を適用しないこととする。

(2)港湾隣接地域における技術基準適合施設の特別償却制度は、所要の経過措置を講じた上、令和5年3月31日をもって廃止する。

(3)関西文化学術研究都市の文化学術研究地区における文化学術研究施設の特別償却制度について、施設規模要件を4億円以上(現行:3億5,000万円以上)に引き上げた上、その適用期限を2年延長する。

(4)共同利用施設の特別償却制度について、建物の取得価額要件を600万円以上(現行:400万円以上)に引き上げた上、その適用期限を2年延長する。

(5)特定地域における工業用機械等の特別償却制度について、次の見直しを行う(所得税についても同様とする。)。

1半島振興対策実施地域に係る措置について、対象地区から過疎地域に係る措置の対象地区を除外した上、その適用期限を2年延長する。

2離島振興対策実施地域に係る措置について、離島振興法の一部を改正する法律による改正後の離島振興法の離島振興計画において産業振興促進事項に記載されている地区(過疎地域に係る措置の対象地区を除く。)及び事業に係る措置に改組した上、その適用期限を2年延長する。

(注)上記の離島振興計画は、離島振興法の離島振興基本方針に適合している旨の通知を受けたものに限る。

3奄美群島に係る措置について、対象地区から過疎地域に係る措置の対象地区を除外した上、その適用期限を1年延長する。

(6)医療用機器等の特別償却制度について、医療用機器に係る措置の対象機器の見直しを行った上、制度の適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。

(7)事業再編計画の認定を受けた場合の事業再編促進機械等の割増償却制度について、次の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。

1対象となる認定事業再編計画から、その認定事業再編計画に係る事業再編がその法人の保有する施設の相当程度の撤去又は設備の相当程度の廃棄のみを行うものである場合における当該認定事業再編計画を除外する。

2割増償却率を、機械装置については35%(現行:40%)に、建物等及び構築物については40%(現行:45%)に、それぞれ引き下げる。

(8)対外船舶運航事業を営む法人の日本船舶による収入金額の課税の特例(トン数標準税制)について、関係法令の改正を前提に、次の措置を講じた上、令和7年3月31日までに日本船舶・船員確保計画について認定を受けた対外船舶運航事業を営む法人に対して適用できることとする。

1純トン数に応じた利益の金額の計算の基礎となる100純トン・1日当たりのみなし利益の金額を次のとおり見直す。

区分

日本船舶

特定準日本船舶

1,000純トン以下

130円(現行:120円)

195円(現行:180円)

1,000純トン超
10,000純トン以下

110円(現行:90円)

165円(現行:135円)

10,000純トン超
25,000純トン以下

70円(現行:60円)

105円(現行:90円)

25,000純トン超

40円(現行:30円)

60円(現行:45円)

2日本船舶・船員確保計画において日本船舶及び船員の確保の目標として記載すべきその計画期間における日本船舶の隻数の増加の割合を船隊規模に占める日本船舶の隻数の割合に応じて最大140%以上(現行:120%以上)とする等の所要の見直しを行う。

(9)農業経営基盤強化準備金制度及び農用地等を取得した場合の課税の特例について、対象となる特定農業用機械等から取得価額が30万円未満の資産を除外した上、農業経営基盤強化準備金制度の適用期限を2年延長する(所得税についても同様とする。)。

(10)法人の一般の土地譲渡益に対する追加課税制度について、次の措置を講ずる。

1適用除外措置(優良住宅地の造成等のための譲渡等に係る適用除外)について、次の見直しを行った上、その適用期限を3年延長する。

対象から特定の民間再開発事業の用に供するための土地等の譲渡を除外する。

開発許可を受けて住宅建設の用に供される一団の宅地の造成を行う者に対する土地等の譲渡に係る開発許可について、次に掲げる区域内において行われる開発行為に係るものに限定する。

(イ)市街化区域

(ロ)市街化調整区域

(ハ)区域区分に関する都市計画が定められていない都市計画区域(用途地域が定められている区域に限る。)

2適用停止措置の期限を3年延長する。

(11)特定の資産の買換えの場合等の課税の特例について、次の見直しを行った上、その適用期限を3年延長する(所得税についても同様とする。)。

1既成市街地等の内から外への買換えを適用対象から除外する。

2航空機騒音障害区域の内から外への買換えについて、譲渡資産から令和2年4月1日前に特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法の航空機騒音障害防止特別地区又は公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律の第二種区域となった区域内にある資産を除外する。

3長期所有の土地、建物等から国内にある土地、建物等への買換えについて、東京都の特別区の区域から地域再生法の集中地域以外の地域への本店又は主たる事務所の所在地の移転を伴う買換えの課税の繰延べ割合を90%(現行:80%)に引き上げ、同法の集中地域以外の地域から東京都の特別区の区域への本店又は主たる事務所の所在地の移転を伴う買換えの課税の繰延べ割合を60%(現行:70%)に引き下げる。

4一定の船齢の日本船舶から環境への負荷の低減に資する一定の日本船舶への買換えについて、次の見直しを行う。

外航船舶について、次の見直しを行う。

(イ)譲渡資産に係る船齢要件を20年未満(現行:25年未満)に引き下げる。

(ロ)買換資産に係る環境への負荷の低減に係る要件について、建造の後事業の用に供されたことのない国際総トン数1万トン以上の船舶にあっては特定船舶の特別償却制度における事業の経営の合理化及び環境への負荷の低減に係る要件と同様とする等の見直しを行う。

内航船舶について、次の見直しを行う。

(イ)譲渡資産に係る船齢要件を23年未満(現行:25年未満)に引き下げる。

(ロ)買換資産に係る環境への負荷の低減に係る要件を見直す。

港湾の作業船について、譲渡資産に係る船齢要件を30年未満(現行:35年未満)に引き下げた上、譲渡資産から平成23年1月1日以後に建造された船舶を除外する。

譲渡資産及び買換資産が同一の用途である場合に限定する。

5先行取得の場合、特定の資産の譲渡に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例及び特定の資産を交換した場合の課税の特例を除き、譲渡資産を譲渡した日又は買換資産を取得した日のいずれか早い日の属する3月期間の末日の翌日以後2月以内に本特例の適用を受ける旨、適用を受けようとする措置の別、取得予定資産又は譲渡予定資産の種類等を記載した届出書を納税地の所轄税務署長に届け出ることを適用要件に加える。

(注)上記の「3月期間」とは、その事業年度をその開始の日以後3月ごとに区分した各期間をいう。

6先行取得の場合の届出書について、その記載事項を上記5と同様とする見直しを行う。

7その他所要の措置を講ずる。

(注)上記5及び6の改正は、令和6年4月1日以後に譲渡資産の譲渡をして、同日以後に買換資産の取得をする場合の届出について適用する。

(12)株式等を対価とする株式の譲渡に係る所得の計算の特例について、対象から株式交付後に株式交付親会社が同族会社(非同族の同族会社を除く。)に該当する場合を除外する(所得税についても同様とする。)。

(注)上記の改正は、令和5年10月1日以後に行われる株式交付について適用する。

(13)認定事業適応法人の欠損金の損金算入の特例は、認定期限が到来したため、その規定を削除する。

(14)投資法人に係る課税の特例における再生可能エネルギー発電設備に係る措置について、設立に際して公募により発行した投資口の発行価額の総額が1億円以上であることとの要件を除外した上、再生可能エネルギー発電設備の取得期限を3年延長する。

(15)震災特例法に係る被災代替資産等の特別償却制度について、対象資産を漁船に限定した上、その適用期限を3年延長する(所得税についても同様とする。)。

(注)法人が、やむを得ない事情により令和5年4月1日前に対象資産を事業の用に供することができなかった場合には、同日から令和7年3月31日までの間に事業の用に供する一定の資産について従前どおり適用を受けることができる経過措置を講ずる。

(地方税)

〔新設〕

株式会社脱炭素化支援機構に係る法人事業税について、政府の出資金に相当する金額を資本金等の額から控除する資本割の課税標準の特例措置を5年間に限り講ずる。

〔延長・拡充等〕

(1)国税〔拡充等〕(1)の見直し及び延長に伴い、特別償却制度を法人住民税及び法人事業税に、税額控除制度を中小企業者等に係る法人住民税に適用する。

(2)電気供給業を行う法人の事業税の課税標準である収入金額を算定する場合において控除される収入金額の範囲に、次の収入金額を追加する課税標準の特例措置を3年間に限り講ずる。

1小売電気事業者が一般送配電事業者又は配電事業者から託送供給を受けて電気の供給を行う場合の当該電気の供給に係る収入金額のうち、当該電気の供給に係る託送供給の料金として支払うべき金額に相当する収入金額

2配電事業者が電気工作物を一般送配電事業者から譲り受けるなどして託送供給を行う場合の配電事業者又は一般送配電事業者の託送供給に係る収入金額のうち、当該電気工作物の譲り受け等に係る費用として支払うべき定期支払額に相当する収入金額

(3)銀行等保有株式取得機構に係る法人事業税の資本割の課税標準の特例措置の適用期限を3年延長する。

〔縮減等〕

(1)国税〔廃止・縮減等〕(1)の見直し及び延長に伴い、特別償却制度を法人住民税及び法人事業税に、税額控除制度を中小企業者等に係る法人住民税に適用する。

(2)認定事業適応法人の欠損金の損金算入の特例は、認定期限が到来したため、法人事業税の関係規定を削除する。

その他

(国税)

(1)資金決済に関する法律の改正に伴い、同法の電子決済手段のうち同法の特定信託受益権を法人税法上の有価証券の範囲から除外することとするほか、所要の措置を講ずる。

(2)土地改良法の改正による土地改良区から一般社団法人又は認可地縁団体への組織変更制度の創設に伴い、次の措置を講ずる。

1公共法人が事業年度の中途において公益法人等又は普通法人に該当することとなった場合には、その該当することとなった日の前日に事業年度が終了し、これに続く事業年度はその翌日から開始するものとする。

2公共法人が普通法人に該当することとなった場合には、その該当することとなった日前の所得の金額の累積額又は欠損金額の累積額を、益金の額又は損金の額に算入する。

3その他所要の措置を講ずる。

(3)国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入制度について、対象となる国庫補助金等の範囲に国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法に基づく助成金で省エネAI半導体及びシステムに関する技術開発事業(仮称)等に係るものを加える(所得税についても同様とする。)。

(4)企業再生に関する税制について、次の措置を講ずる(次の1イ及び2の措置は、所得税についても同様とする。)。

1事業再構築のための私的整理法制が整備されることを前提に、次の措置を講ずる。

個別評価金銭債権に係る貸倒引当金制度について、貸倒引当金の繰入事由に金銭債権に係る債務者についての事業再構築のための計画が成立したことに基づいてその弁済を猶予され、又は賦払により弁済されることを加え、その場合の繰入限度額をその金銭債権の額のうち5年以内に弁済されることとなっている金額以外の金額とする。

欠損金の繰越控除制度について、控除限度額がその繰越控除前の所得の金額となる事実に事業再構築のための計画が成立したことを加える。

仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額及び地方法人税額の還付の特例について、還付請求の対象となる事実に事業再構築のための計画が成立したことを加える。

2個別評価金銭債権に係る貸倒引当金制度について、企業再生税制の適用対象である再生計画認可の決定があったことに準ずる事実が本制度の対象となる事由であることを明確化する。

3再生計画認可の決定があったことに準ずる事実が生じた場合で資産の評価損益の計上を行わないときは、民事再生等一定の事実による債務免除等があった場合に青色欠損金等の控除後に繰越欠損金を損金算入できる制度の適用があることを明確化する。

(5)暗号資産の評価方法等について、次の見直しを行う(次の2の見直しは、所得税についても同様とする。)。

1法人が事業年度末において有する暗号資産のうち時価評価により評価損益を計上するものの範囲から、次の要件に該当する暗号資産を除外する。

自己が発行した暗号資産でその発行の時から継続して保有しているものであること。

その暗号資産の発行の時から継続して次のいずれかにより譲渡制限が行われているものであること。

(イ)他の者に移転することができないようにする技術的措置がとられていること。

(ロ)一定の要件を満たす信託の信託財産としていること。

2自己が発行した暗号資産について、その取得価額を発行に要した費用の額とする。

3法人が暗号資産交換業者以外の者から借り入れた暗号資産の譲渡をした場合において、その譲渡をした日の属する事業年度終了の時までにその暗号資産と種類を同じくする暗号資産の買戻しをしていないときは、その時においてその買戻しをしたものとみなして計算した損益相当額を計上する。

4その他所要の措置を講ずる。

(6)福島国際研究教育機構の設立に伴い、次の措置を講ずる(次の2の措置は、所得税についても同様とする。)。

1福島国際研究教育機構を公共法人(法人税法別表第一)とする。

2特定公益増進法人の範囲に福島国際研究教育機構を加える。

(7)金融サービスの提供に関する法律の改正を前提に、金融経済教育推進機構(仮称)を公益法人等(法人税法別表第二)とする。

(8)原子力発電における使用済燃料の再処理等の実施に関する法律の改正を前提に、次の措置を講ずる。

1使用済燃料再処理機構の業務範囲の見直し等が行われた後も、同機構を引き続き公益法人等(法人税法別表第二)とする。

2原子力発電施設解体準備金制度は、所要の経過措置を講じた上、廃止する。

(9)水産業協同組合法等の改正を前提に、漁業協同組合等が行う漁場の安定的な利用関係の確保のための組合員等の労働力を利用して行う漁場の総合的な利用を促進する事業に係る員外利用の制限の緩和が行われた後も、漁業協同組合等を引き続き協同組合等(法人税法別表第三)とする。

(10)法人が使用人に対して支給するつみたてNISA奨励金で所得税法の給与等に該当するものは給与等の支給額が増加した場合の税額控除制度の対象となる給与等に該当することを明確化する(所得税についても同様とする。)。

(地方税)

(1)土地改良法の改正による土地改良区から一般社団法人又は認可地縁団体への組織変更制度の創設に伴い、所要の措置を講ずる。

(2)電気事業法等の改正に伴い、次の措置を講ずる。

1一定の要件を満たす蓄電用の電気工作物を用いて電気を放電する事業を電気事業法上の発電事業と位置付けることに伴い、所要の措置を講ずる。

2関係法令の改正を前提に、非化石証書(固定価格買取制度の対象となる電気に対して発行するものを除く。以下同じ。)の発行対象に、水素・アンモニア・CCS(注)火力由来の電気が追加された後も、引き続き非化石証書に係る現行の事業税の税制上の措置を適用する。

(注)Carbon dioxide Capture and Storage:二酸化炭素回収・貯留

(3)国税における諸制度の取扱い等を踏まえ、その他所要の措置を講ずる。