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令和5年度税制改正の大綱(1/10)

家計の資産を貯蓄から投資へと積極的に振り向け、資産所得倍増につなげるため、NISAの抜本的拡充・恒久化を行うとともに、スタートアップ・エコシステムを抜本的に強化するための税制上の措置を講ずる。また、より公平で中立的な税制の実現に向け、極めて高い水準の所得について最低限の負担を求める措置の導入、グローバル・ミニマム課税の導入及び資産移転の時期の選択により中立的な税制の構築を行う。加えて、自動車重量税のエコカー減税や自動車税等の環境性能割等を見直す。租税特別措置については、それぞれの性質等に応じ適切な適用期限を設定する。具体的には、Ⅰのとおり税制改正を行うものとする。

また、防衛力強化に係る財源確保のための税制措置について、Ⅱのとおり決定する。


令和5年度税制改正


個人所得課税

金融・証券税制

(国税・地方税)

〔延長・拡充〕

(1)非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置(NISA)について、次の措置を講ずる。

1非課税累積投資契約に係る非課税措置(つみたてNISA)の勘定設定期間を令和5年12月31日までとする。

2特定非課税累積投資契約に係る非課税措置について、次の措置に改組する。

居住者等が、金融商品取引業者等の営業所に開設した非課税口座に特定累積投資勘定(仮称)を設けた日以後に支払を受けるべき特定累積投資勘定(仮称)に係る株式投資信託(その受益権が金融商品取引所に上場等がされているもの又はその設定に係る受益権の募集が一定の公募により行われたものに限る。以下「公募等株式投資信託」という。)の配当等(当該金融商品取引業者等がその配当等の支払事務の取扱いをするものに限る。)については、所得税及び個人住民税を課さない。

居住者等が、金融商品取引業者等の営業所に開設した非課税口座に特定累積投資勘定(仮称)を設けた日以後にその特定累積投資勘定(仮称)に係る公募等株式投資信託の受益権の譲渡等をした場合には、その譲渡等による譲渡所得等については、所得税及び個人住民税を課さない。また、当該公募等株式投資信託の受益権の譲渡等による損失金額は、所得税及び個人住民税に関する法令の規定の適用上、ないものとみなす。

居住者等が、金融商品取引業者等の営業所に開設した非課税口座に特定非課税管理勘定(仮称)を設けた日以後に支払を受けるべき特定非課税管理勘定(仮称)に係る上場株式等の配当等(当該金融商品取引業者等がその配当等の支払事務の取扱いをするものに限る。)については、所得税及び個人住民税を課さない。

居住者等が、金融商品取引業者等の営業所に開設した非課税口座に特定非課税管理勘定(仮称)を設けた日以後にその特定非課税管理勘定(仮称)に係る上場株式等の譲渡等をした場合には、その譲渡等による譲渡所得等については、所得税及び個人住民税を課さない。また、当該上場株式等の譲渡等による損失金額は、所得税及び個人住民税に関する法令の規定の適用上、ないものとみなす。

特定非課税累積投資契約(仮称)とは、上記イからニまでの非課税の適用を受けるために居住者等が金融商品取引業者等と締結した公募等株式投資信託の受益権の定期かつ継続的な方法による買付け等に関する契約で、その契約書において、次に掲げる事項が定められているものをいう。

(イ)公募等株式投資信託の受益権の管理は、特定累積投資勘定(仮称)(当該契約に基づき非課税口座で管理される公募等株式投資信託の受益権の記録を他の取引に関する記録と区分して行うための勘定で、令和6年以後の各年に設けられるものをいう。)において行うこと。

(ロ)当該特定累積投資勘定(仮称)は、原則として各年の1月1日において設けられること。

(ハ)当該特定累積投資勘定(仮称)には、現行の累積投資勘定に受け入れることができる公募等株式投資信託の受益権のうち、次に掲げる公募等株式投資信託の受益権のみを受け入れること。

その居住者等の非課税口座に特定累積投資勘定(仮称)が設けられた日から同日の属する年の12月31日までの間に当該金融商品取引業者等への買付けの委託等により取得した公募等株式投資信託の受益権で、当該期間内の取得対価の額の合計額が120万円を超えないもの(公募等株式投資信託の受益権を当該特定累積投資勘定(仮称)に受け入れた場合に、当該合計額、同年において特定非課税管理勘定(仮称)に受け入れている買付けの委託等により取得した特定上場株式等の取得対価の額の合計額及び特定累積投資勘定基準額(仮称)(特定累積投資勘定(仮称)及び特定非課税管理勘定(仮称)に前年に受け入れている上場株式等の購入の代価の額等をいう。以下同じ。)の合計額が1,800万円を超えることとなるときにおける当該公募等株式投資信託の受益権を除く。)

その特定累積投資勘定(仮称)に係る公募等株式投資信託の受益権の分割等により取得する公募等株式投資信託の受益権

(ニ)上場株式等の管理は、特定非課税管理勘定(仮称)(当該契約に基づき非課税口座で管理される上場株式等の記録を他の取引に関する記録と区分して行うための勘定で、特定累積投資勘定(仮称)と同時に設けられるものをいう。)において行うこと。

(ホ)当該特定非課税管理勘定(仮称)には、次に掲げる上場株式等のみを受け入れること。

その居住者等の非課税口座に特定非課税管理勘定(仮称)が設けられた日から同日の属する年の12月31日までの間に当該金融商品取引業者等への買付けの委託等により取得した特定上場株式等で、当該期間内の取得対価の額の合計額が240万円を超えないもの(特定上場株式等を当該特定非課税管理勘定(仮称)に受け入れた場合において、次に掲げる場合に該当することとなるときにおける当該特定上場株式等を除く。)

(a)当該合計額及び特定非課税管理勘定基準額(仮称)(特定非課税管理勘定(仮称)に前年に受け入れている上場株式等の購入の代価の額等をいう。)の合計額が1,200万円を超える場合

(b)当該期間内の取得対価の額の合計額、その年において特定累積投資勘定(仮称)に受け入れている買付けの委託等により取得した公募等株式投資信託の受益権の取得対価の額の合計額及び特定累積投資勘定基準額(仮称)の合計額が1,800万円を超える場合

(注)上記の「特定上場株式等」とは、その上場株式等を上場している取引所から整理銘柄として指定されているものその他の内閣総理大臣が財務大臣と協議して定めるもの及びその投資信託約款等において一定のデリバティブ取引に係る権利に対する投資として運用を行うこととされていることその他の内閣総理大臣が財務大臣と協議して定める事項が定められているものに該当しない上場株式等をいい、公募等株式投資信託にあっては、その投資信託約款において、信託契約期間を定めないこと又は20年以上の信託契約期間が定められていること及び収益の分配は1月以下の期間ごとに行わないこととされており、かつ、信託の計算期間ごとに行うこととされていることが定められているものに限る。

その特定非課税管理勘定(仮称)に係る上場株式等の分割等により取得する上場株式等

(ヘ)当該金融商品取引業者等は、現行の非課税累積投資契約に係る非課税措置の基準経過日における住所等の確認と同様に確認を行うこと。

(ト)その他一定の事項

金融商品取引業者等から税務署長への非課税口座内上場株式等の購入の代価の額等その他の事項の一定のクラウドを利用した提供及び税務署長から金融商品取引業者等への非課税口座内上場株式等の購入の代価の額等の合計額その他の事項の提供について定めるほか、所要の措置を講ずる。

(2)未成年者口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置(ジュニアNISA)について、非課税管理勘定が設けられた日の属する年の1月1日から5年を経過する日の翌日に設けられる継続管理勘定がある場合には、原則として当該非課税管理勘定に係る上場株式等は当該継続管理勘定に移管されることとする。この場合において、同日に当該上場株式等を当該継続管理勘定に移管しないときは、当該継続管理勘定を設けた未成年者口座が開設されている金融商品取引業者等の営業所の長に対し、その旨その他の事項を記載した書類の提出(当該書類の提出に代えて行う電磁的方法による当該書類に記載すべき事項を記録した電磁的記録の提供を含む。)をしなければならないこととする。

(国税)

〔拡充等〕

(3)特定中小会社が設立の際に発行した株式の取得に要した金額の控除等の特例の創設

1中小企業等経営強化法施行規則の改正を前提に、その設立の日の属する年において次に掲げる要件を満たす株式会社により設立の際に発行される株式(1において「特定株式」という。)を払込みにより取得をした居住者等(当該株式会社の発起人に該当すること及び当該株式会社に自らが営んでいた事業の全部を承継させた個人等に該当しないことその他の要件を満たすものに限る。)は、その取得をした年分の一般株式等に係る譲渡所得等の金額又は上場株式等に係る譲渡所得等の金額からその特定株式の取得に要した金額の合計額(当該一般株式等に係る譲渡所得等の金額及び当該上場株式等に係る譲渡所得等の金額の合計額を限度とする。)を控除する特例を創設し、特定中小会社が発行した株式の取得に要した金額の控除等及び特定新規中小会社が発行した株式を取得した場合の課税の特例と選択して適用できることとする。この場合において、その取得をした特定株式の取得価額は、当該控除をした金額のうち20億円を超える部分の金額をその取得に要した金額から控除した金額とする。

その設立の日以後の期間が1年未満の中小企業者であること。

販売費及び一般管理費の出資金額に対する割合が100分の30を超えることその他の要件を満たすこと。

特定の株主グループの有する株式の総数が発行済株式の総数の100分の99を超える会社でないこと。

金融商品取引所に上場されている株式等の発行者である会社でないこと。

発行済株式の総数の2分の1を超える数の株式が一の大規模法人及び当該大規模法人と特殊の関係のある法人の所有に属している会社又は発行済株式の総数の3分の2以上が大規模法人及び当該大規模法人と特殊の関係のある法人の所有に属している会社でないこと。

風俗営業又は性風俗関連特殊営業に該当する事業を行う会社でないこと。

2特定中小会社が発行した株式に係る譲渡損失の繰越控除等の適用対象となる株式の範囲に、上記1の特定株式を加える。

3その他所要の措置を講ずる。

(4)エンジェル税制について、次の措置を講ずる。

1特定中小会社が発行した株式の取得に要した金額の控除等及び特定中小会社が発行した株式に係る譲渡損失の繰越控除等について、次の措置を講ずる。

中小企業等経営強化法施行規則の改正を前提に、居住者等が、特定株式(次に掲げる要件を満たすものに限る。)を払込みにより取得をした場合には、その取得をした特定株式の取得価額から控除する特定中小会社が発行した株式の取得に要した金額の控除等の適用を受けた金額から、その特定株式の取得に要した金額の合計額とその取得をした年分の一般株式等に係る譲渡所得等の金額及び上場株式等に係る譲渡所得等の金額の合計額(20億円を超える場合には、20億円)とのいずれか低い金額を控除するものとする。

(イ)中小企業等経営強化法に規定する特定新規中小企業者に該当する株式会社により発行される株式又は内国法人のうち設立の日以後10年を経過していない中小企業者に該当するものその他一定の要件を満たすものにより発行される株式で投資事業有限責任組合契約に従って取得若しくは電子募集取扱業務により取得をされるものに該当すること。

(ロ)当該株式を発行した株式会社(その設立の日以後の期間が5年未満のものに限る。)が、設立後の各事業年度の営業損益金額が零未満であり、かつ、当該各事業年度の売上高が零であること又は前事業年度の試験研究費その他中小企業等経営強化法施行令第3条第1項に規定する費用の合計額の出資金額に対する割合が100分の30を超えることその他の要件を満たすものであること。

適用対象となる特定新規中小企業者(上記イ(ロ)の要件を満たす株式会社に限る。)の特定の株主グループの有する株式の総数が発行済株式の総数の6分の5を超える会社でないこととの要件については、特定の株主グループの有する株式の総数が発行済株式の総数の20分の19を超える会社でないこととする。

適用対象となる特定新規中小企業者に該当する株式会社に係る確認手続において、次に掲げる書類については、都道府県知事へ提出する申請書への添付を要しないこととする。

(イ)株式の発行を決議した株主総会の議事録の写し、取締役の決定があったことを証する書面又は取締役会の議事録の写し

(ロ)個人が取得した株式の引受けの申込み又はその総数の引受けを行う契約を証する書面

2特定新規中小会社が発行した株式を取得した場合の課税の特例について、次の措置を講ずる。

適用対象となる特定新規中小企業者(上記1イ(ロ)の要件を満たす株式会社に限る。)の特定の株主グループの有する株式の総数が発行済株式の総数の6分の5を超える会社でないこととの要件については、特定の株主グループの有する株式の総数が発行済株式の総数の20分の19を超える会社でないこととする。

適用対象となる特定新規中小企業者に該当する株式会社に係る確認手続において、次に掲げる書類については、都道府県知事へ提出する申請書への添付を要しないこととする。

(イ)設立の日における貸借対照表

(ロ)税理士が署名した法人税の確定申告書に添付された別表一の写し及び事業等の概況に関する書類の写し

(ハ)株式の発行を決議した株主総会の議事録の写し、取締役の決定があったことを証する書面又は取締役会の議事録の写し

(ニ)個人が取得した株式の引受けの申込み又はその総数の引受けを行う契約を証する書面

3その他所要の措置を講ずる。

(5)特定の取締役等が受ける新株予約権の行使による株式の取得に係る経済的利益の非課税等(ストックオプション税制)について、適用対象となる新株予約権に係る契約の要件のうち当該新株予約権の行使はその付与決議の日後10年を経過する日までの間に行うこととの要件を、一定の株式会社が付与する新株予約権については、当該新株予約権の行使はその付与決議の日後15年を経過する日までの間に行うこととするほか、所要の措置を講ずる。

(注)上記の「一定の株式会社」とは、設立の日以後の期間が5年未満の株式会社で、金融商品取引所に上場されている株式等の発行者である会社以外の会社であることその他の要件を満たすものをいう。

(6)資金決済に関する法律の改正に伴い、次の措置を講ずる。

1特定信託受益権の譲渡をした者がその譲渡の対価の支払を受ける場合において、その対価が金銭以外のものであるときは、その者は次に掲げる告知を要しないこととする。

株式等の譲渡の対価の受領者等の告知

信託受益権の譲渡の対価の受領者の告知

2特定信託受益権の譲渡を受けた者等がその譲渡の対価の支払等をする場合において、その対価が金銭以外のものであるときは、その者は次に掲げる調書の提出を要しないこととする。

株式等の譲渡の対価等の支払調書

信託受益権の譲渡の対価の支払調書

名義人受領の株式等の譲渡の対価の調書

3電子決済手段等取引業者は、顧客の依頼に基づき、当該電子決済手段等取引業者の営業所等に設定された電子決済手段の管理に係る勘定(以下「国内電子決済手段勘定」という。)から国外において電子決済手段等取引業を営む者の営業所等に設定された電子決済手段の管理に係る勘定(以下「国外電子決済手段勘定」という。)に電子決済手段の移転をした場合又は国内電子決済手段勘定に国外電子決済手段勘定から電子決済手段の移転を受けた場合には、これらの移転に係る電子決済手段の価額が100万円以下であるときを除き、当該電子決済手段等取引業者は、その移転に係る電子決済手段の種類、価額その他の事項を記載した調書を、当該電子決済手段等取引業者の営業所等の所在地の所轄税務署長に提出しなければならないこととする。

(注)上記の制度は、令和6年1月1日以後に行われる電子決済手段の移転について適用する。

4特定信託受益権を所得税法上の有価証券の範囲から除外することとするほか、所要の措置を講ずる。

(地方税)

〔拡充等〕

(3)特定中小会社が発行した株式に係る譲渡損失の繰越控除等の適用対象の拡充

1中小企業等経営強化法施行規則の改正を前提に、その設立の日の属する年において次に掲げる要件を満たす株式会社により設立の際に発行される株式(1において「特定株式」という。)を払込みにより取得をした個人住民税の所得割の納税義務者(当該株式会社の発起人に該当すること及び当該株式会社に自らが営んでいた事業の全部を承継させた個人等に該当しないことその他の要件を満たすものに限る。)が、その払込みにより取得をした特定株式の譲渡をしたことにより生じた特定株式に係る譲渡損失について、特定中小会社が発行した株式に係る譲渡損失の繰越控除等の適用対象に加える。

その設立の日以後の期間が1年未満の中小企業者であること。

販売費及び一般管理費の出資金額に対する割合が100分の30を超えることその他の要件を満たすこと。

特定の株主グループの有する株式の総数が発行済株式の総数の100分の99を超える会社でないこと。

金融商品取引所に上場されている株式等の発行者である会社でないこと。

発行済株式の総数の2分の1を超える数の株式が一の大規模法人及び当該大規模法人と特殊の関係のある法人の所有に属している会社又は発行済株式の総数の3分の2以上が大規模法人及び当該大規模法人と特殊の関係のある法人の所有に属している会社でないこと。

風俗営業又は性風俗関連特殊営業に該当する事業を行う会社でないこと。

2特定中小会社が発行した株式に係る譲渡損失の繰越控除等について、次の措置を講ずる。

中小企業等経営強化法施行規則の改正を前提に、適用対象となる株式の範囲に、特定株式(次に掲げる要件を満たすものに限る。)を加える。

(イ)中小企業等経営強化法に規定する特定新規中小企業者に該当する株式会社により発行される株式又は内国法人のうち設立の日以後10年を経過していない中小企業者に該当するものその他一定の要件を満たすものにより発行される株式で投資事業有限責任組合契約に従って取得若しくは電子募集取扱業務により取得をされるものに該当すること。

(ロ)当該株式を発行した株式会社(その設立の日以後の期間が5年未満のものに限る。)が、設立後の各事業年度の営業損益金額が零未満であり、かつ、当該各事業年度の売上高が零であること又は前事業年度の試験研究費その他中小企業等経営強化法施行令第3条第1項に規定する費用の合計額の出資金額に対する割合が100分の30を超えることその他の要件を満たすものであること。

適用対象となる特定新規中小企業者(上記イ(ロ)の要件を満たす株式会社に限る。)の特定の株主グループの有する株式の総数が発行済株式の総数の6分の5を超える会社でないこととの要件については、特定の株主グループの有する株式の総数が発行済株式の総数の20分の19を超える会社でないこととする。

3その他所要の措置を講ずる。

(4)個人住民税について、所得税における〔拡充等〕(5)及び(6)の見直しに伴い、所要の措置を講ずる。

極めて高い水準の所得に対する負担の適正化

(国税)

(1)その年分の基準所得金額から3億3,000万円を控除した金額に22.5%の税率を乗じた金額がその年分の基準所得税額を超える場合には、その超える金額に相当する所得税を課する措置を講ずる。

(注1)上記の「基準所得金額」とは、その年分の所得税について申告不要制度を適用しないで計算した合計所得金額(その年分の所得税について適用する特別控除額を控除した後の金額)をいい、「基準所得税額」とは、その年分の基準所得金額に係る所得税の額(分配時調整外国税相当額控除及び外国税額控除を適用しない場合の所得税の額とし、附帯税及び上記(1)により課す所得税の額を除く。)をいう。

(注2)上記(注1)の「申告不要制度」とは、次に掲げる特例をいう。

1確定申告を要しない配当所得等の特例

2確定申告を要しない上場株式等の譲渡による所得の特例

(注3)上記(注1)の合計所得金額には、源泉分離課税の対象となる所得金額を含まないこととする(NISA制度及び特定中小会社が設立の際に発行した株式の取得に要した金額の控除等の特例において非課税とされる金額も含まない。)。

(2)上記(1)の適用がある場合の所得税の確定申告書の記載事項を定めるほか、所要の措置を講ずる。

(注)上記の改正は、令和7年分以後の所得税について適用する。

土地・住宅税制

(国税)

〔延長・拡充〕

(1)短期所有土地の譲渡等をした場合の土地の譲渡等に係る事業所得等の課税の特例について、適用停止措置の期限を3年延長する。

(2)漁港漁場整備法の改正を前提に、同法の漁港施設に関する事業に必要な土地等について、引き続き収用交換等の場合の譲渡所得の5,000万円特別控除等に係る簡易証明制度の対象とする(法人税についても同様とする。)。

(3)空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除の特例について、次の措置を講じた上、その適用期限を4年延長する。

1本特例の適用対象となる相続人が相続若しくは遺贈により取得をした被相続人居住用家屋(当該相続の時からその譲渡の時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていたことがないものに限る。)の一定の譲渡又は当該被相続人居住用家屋とともにする当該相続若しくは遺贈により取得をした被相続人居住用家屋の敷地等(当該相続の時からその譲渡の時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていたことがないものに限る。)の一定の譲渡をした場合において、当該被相続人居住用家屋が当該譲渡の時から当該譲渡の日の属する年の翌年2月15日までの間に次に掲げる場合に該当することとなったときは、本特例を適用することができることとする。

耐震基準に適合することとなった場合

その全部の取壊し若しくは除却がされ、又はその全部が滅失をした場合

2相続又は遺贈による被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地等の取得をした相続人の数が3人以上である場合における特別控除額を2,000万円とする。

3その他所要の措置を講ずる。

(注)上記の改正は、令和6年1月1日以後に行う被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋の敷地等の譲渡について適用する。

(4)低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の100万円特別控除について、次の措置を講じた上、その適用期限を3年延長する。

1適用対象となる低未利用土地等の譲渡後の利用要件に係る用途から、いわゆるコインパーキングを除外する。

2次に掲げる区域内にある低未利用土地等を譲渡する場合における低未利用土地等の譲渡対価に係る要件を800万円以下(現行:500万円以下)に引き上げる。

市街化区域又は区域区分に関する都市計画が定められていない都市計画区域(用途地域が定められている区域に限る。)

所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法に規定する所有者不明土地対策計画を作成した市町村の区域

(注)上記の改正は、令和5年1月1日以後に行う低未利用土地等の譲渡について適用する。

〔縮減等〕

(1)優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例について、次の見直しを行った上、その適用期限を3年延長する。

1適用対象から特定の民間再開発事業の用に供するための土地等の譲渡を除外する。

2開発許可を受けて住宅建設の用に供される一団の宅地の造成を行う者に対する土地等の譲渡に係る開発許可について、次に掲げる区域内において行われる開発行為に係るものに限定する。

市街化区域

市街化調整区域

区域区分に関する都市計画が定められていない都市計画区域(用途地域が定められている区域に限る。)

(2)既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え及び交換の場合の譲渡所得の課税の特例について、買換資産である中高層の耐火建築物の建築に係る事業の範囲から、上記(1)1の特定の民間再開発事業を除外する。

(地方税)

〔延長・拡充等〕

(1)短期所有土地の譲渡等をした場合の土地の譲渡等に係る事業所得等の課税の特例について、適用停止措置の期限を3年延長する。

(2)個人住民税について、所得税における〔延長・拡充等〕(2)から(4)までの見直しに伴い、所要の措置を講ずる。

〔縮減等〕

(1)優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例について、次の見直しを行った上、その適用期限を3年延長する。

1適用対象から特定の民間再開発事業の用に供するための土地等の譲渡を除外する。

2開発許可を受けて住宅建設の用に供される一団の宅地の造成を行う者に対する土地等の譲渡に係る開発許可について、次に掲げる区域内において行われる開発行為に係るものに限定する。

市街化区域

市街化調整区域

区域区分に関する都市計画が定められていない都市計画区域(用途地域が定められている区域に限る。)

(2)個人住民税について、所得税における〔縮減等〕(2)の見直しに伴い、所要の措置を講ずる。

租税特別措置法等

(国税)

〔延長・拡充〕

(1)肉用牛の売却による農業所得の課税の特例の適用期限を3年延長する(法人税についても同様とする。)。

(2)児童養護施設退所者等に対する自立支援資金貸付事業による金銭の貸付けにつき、当該貸付けに係る債務の免除を受ける場合には、当該免除により受ける経済的な利益の価額については、その事業内容の見直し後も引き続き所得税を課さないこととする。

(3)ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業の住宅支援資金貸付けによる金銭の貸付けにつき、当該貸付けに係る債務の免除を受ける場合には、当該免除により受ける経済的な利益の価額については、引き続き所得税を課さないこととする。

(4)子育て世帯等臨時特別支援事業の「支援給付金」として給付される給付金(既に給付されたものを含む。)について、次の措置を講ずる。

1所得税を課さない。

2国税の滞納処分による差押えをしない。

(地方税)

〔延長・拡充〕

(1)肉用牛の売却による農業所得の課税の特例の適用期限を3年延長する。

(2)個人住民税について、所得税における〔延長・拡充〕(2)から(4)までの見直しに伴い、所要の措置を講ずる。

その他

(国税)

(1)事業所得者等の有する棚卸資産や事業用資産等につき特定非常災害の指定を受けた災害により生じた損失(以下「特定被災事業用資産の損失」という。)について、次に掲げるものの繰越期間を5年(現行:3年)に延長する。

1青色申告者でその有する事業用資産等(土地等を除く。)のうちに特定被災事業用資産の損失額の占める割合が10%以上であるものは、被災事業用資産の損失による純損失を含むその年分の純損失の総額

2青色申告者以外の者でその有する事業用資産等(土地等を除く。)のうちに特定被災事業用資産の損失額の占める割合が10%以上であるものは、その年に発生した被災事業用資産の損失による純損失と変動所得に係る損失による純損失との合計額

3上記1及び2以外の者は、特定被災事業用資産の損失による純損失の金額

(2)個人の有する住宅や家財等につき特定非常災害の指定を受けた災害により生じた損失について、雑損控除を適用してその年分の総所得金額等から控除しても控除しきれない損失額についての繰越期間を5年(現行:3年)に延長する。

(3)給与所得者の特定支出控除の特例について、次の措置を講ずる。

1その支出が、本特例の対象となる研修費又は資格取得費に該当するものである場合において、教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練に係るものであるときは、現行の給与等の支払者によるその支出が特定支出に該当する旨の証明の書類の確定申告書等への添付に代えて、キャリアコンサルタントによるその支出が特定支出に該当する旨の証明の書類の確定申告書等への添付ができることとする。

2その他所要の措置を講ずる。

(4)国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の適用がある場合の納税猶予について、次の措置を講ずる。

1納税猶予の適用を受けようとする者が質権の設定がされていないこと等の要件を満たす非上場株式を担保として提供する場合において、その者が当該非上場株式を担保として提供することを約する書類その他の書類を税務署長に提出するときは、その株券を発行せずにその担保の提供ができることとする。

2納税猶予の適用を受けようとする者は、その有する質権の設定がされていないこと等の要件を満たす持分会社の社員の持分について、その者が当該持分会社の社員の持分を担保として提供することを約する書類その他の書類を税務署長に提出する場合には、その担保の提供ができることとする。

3その他所要の措置を講ずる。

(注)上記について、贈与等により非居住者に資産が移転した場合の譲渡所得等の特例の適用がある場合の納税猶予についても同様の措置を講ずる。

(5)個人事業者がその事業を開始し、又は廃止した場合に行う届出書等の提出を一括で行えるよう、次の見直しを行う。

1個人事業の開業・廃業等届出書について、その提出期限をその事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限とするとともに、事務所等を移転する場合のその提出先を納税地の所轄税務署長とするほか、記載事項の簡素化を行う。

2青色申告書による申告をやめる旨の届出書について、その提出期限をその申告をやめようとする年分の確定申告期限とするとともに、記載事項の簡素化を行う。

3次に掲げる届出書等について、記載事項の簡素化を行う。

納期の特例に関する承認の申請書

青色申告承認申請書及び青色専従者給与に関する届出書

給与等の支払をする事務所の開設等の届出書

(注)上記1の改正は令和8年1月1日以後の事業の開始等について、上記2の改正は令和8年分以後の所得税について、上記3イの改正は令和9年1月分以後の承認申請について、上記3ロの改正は令和9年分以後の所得税について、上記3ハの改正は令和9年1月1日以後の事務所の開設等について、それぞれ適用する。

(6)給与所得者の扶養控除等申告書について、その申告書に記載すべき事項がその年の前年の申告内容と異動がない場合には、その記載すべき事項の記載に代えて、その異動がない旨の記載によることができることとする。

(注)上記の改正は、令和7年1月1日以後に支払を受けるべき給与等について提出する給与所得者の扶養控除等申告書について適用する。

(7)給与所得者の保険料控除申告書について、次に掲げる事項の記載を要しないこととする。

1申告者が生計を一にする配偶者その他の親族の負担すべき社会保険料を支払った場合のこれらの者の申告者との続柄

2生命保険料控除の対象となる支払保険料等に係る保険金等の受取人の申告者との続柄

(注)上記の改正は、令和6年10月1日以後に提出する給与所得者の保険料控除申告書について適用する。

(8)給与等の支払をする者が、その支払を受ける者に対し、給与所得の源泉徴収票又は給与支払明細書の交付に代えてその源泉徴収票又は給与支払明細書に記載すべき事項を電磁的方法により提供するための要件であるその支払を受ける者の承諾手続に、その支払を受ける者に対し期限を定めてその承諾を求め、その支払を受ける者がその期限までにこれを拒否する旨の回答をしない場合には、その支払をする者はその承諾を得たものとみなす方法を加える。

(9)源泉徴収票の提出方法について、次の見直しを行う。

1給与等の支払をする者が、市区町村の長に給与支払報告書を提出した場合には、その報告書に記載された給与等について税務署長に給与所得の源泉徴収票を提出したものとみなす。

2上記1の見直しに伴い、給与所得の源泉徴収票の税務署長への提出を要しないこととされる給与等の範囲を、給与支払報告書の市区町村の長への提出を要しないこととされる給与等の範囲と同様に、年の中途において退職した居住者に対するその年中の給与等の支払金額が30万円以下である場合のその給与等とするほか、これに伴う所要の措置を講ずる。

3公的年金等の源泉徴収票の提出方法についても同様の措置を講ずる。

(注)上記の改正は、令和9年1月1日以後に提出すべき給与所得及び公的年金等の源泉徴収票について適用する。

(10)支払調書等の提出義務者のうち電子情報処理組織(e-Tax等)又は光ディスク等による提出義務制度の対象とならない者が、支払調書等の書面による提出に代えてその支払調書等に記載すべき事項を記録した光ディスク等の提出をするための要件であるその者が受けるべき所轄税務署長の承認を不要とするほか、これに伴う所要の措置を講ずる。

(11)金融サービスの提供に関する法律の改正を前提に、金融経済教育推進機構(仮称)を公共法人等(所得税法別表第一)とする。

(12)原子力発電における使用済燃料の再処理等の実施に関する法律の改正を前提に、使用済燃料再処理機構の業務範囲の見直し等が行われた後も、同機構を引き続き公共法人等(所得税法別表第一)とする。

(13)福島国際研究教育機構の設立に伴い、同機構を公共法人等(所得税法別表第一)とする。

(14)高等学校等就学支援金の支給に関する法律の高等学校等就学支援金について、所要の法令改正を前提に、引き続き次の措置を講ずる。

1所得税を課さない。

2国税の滞納処分による差押えを禁止する。

(15)母子及び父子並びに寡婦福祉法の高等職業訓練促進給付金について、所要の法令改正を前提に、引き続き次の措置を講ずる。

1所得税を課さない。

2国税の滞納処分による差押えを禁止する。

(16)介護保険法の介護給付について、所要の法令改正を前提に、引き続き次の措置を講ずるほか、所要の措置を講ずる。

1所得税を課さない。

2国税の滞納処分による差押えを禁止する。

(17)生活困窮者自立支援法の生活困窮者住居確保給付金について、所要の法令改正を前提に、引き続き次の措置を講ずる。

1所得税を課さない。

2国税の滞納処分による差押えを禁止する。

(18)戦没者等の妻に対する特別給付金支給法の一部改正により引き続き支給されることとなる特別給付金について、次の措置を講ずる。

1所得税を課さない。

2国税の滞納処分による差押えを禁止する。

(19)健康保険法の出産育児一時金等について、所要の法令改正を前提に、引き続き次の措置を講ずる。

1所得税を課さない。

2国税の滞納処分による差押えを禁止する。

(20)駐留軍関係離職者等臨時措置法、国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法及び労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律施行規則等の一部改正により引き続き支給されることとなる労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の職業転換給付金(事業主に対して支給されるものを除く。)について、次の措置を講ずる。

1所得税を課さない。

2国税の滞納処分による差押えを禁止する。

(地方税)

〈個人住民税〉

(1)事業所得者等の有する棚卸資産や事業用資産等につき特定非常災害の指定を受けた災害により生じた損失(以下「特定被災事業用資産の損失」という。)について、次に掲げるものの繰越期間を5年(現行:3年)に延長する(個人事業税についても同様とする。)。

1青色申告者でその有する事業用資産等(土地等を除く。)のうちに特定被災事業用資産の損失額の占める割合が10%以上であるものは、被災事業用資産の損失による純損失を含むその年分の純損失の総額

2青色申告者以外の者でその有する事業用資産等(土地等を除く。)のうちに特定被災事業用資産の損失額の占める割合が10%以上であるものは、その年に発生した被災事業用資産の損失による純損失と変動所得に係る損失による純損失との合計額

3上記1及び2以外の者は、特定被災事業用資産の損失による純損失の金額

(2)個人の有する住宅や家財等につき特定非常災害の指定を受けた災害により生じた損失について、雑損控除を適用してその年分の総所得金額等から控除しても控除しきれない損失額についての繰越期間を5年(現行:3年)に延長する。

(3)個人住民税における給与所得等に係る特別徴収税額の納期の特例に関する承認の申請書について、記載事項の簡素化を行う。

(注)上記の改正は、令和9年1月分以後の承認申請について適用する。

(4)給与所得者の扶養親族等申告書について、その申告書に記載すべき事項がその年の前年の申告内容と異動がない場合には、その記載すべき事項の記載に代えて、その異動がない旨の記載によることができることとする。

(注)上記の改正は、令和7年1月1日以後に支払を受けるべき給与等について提出する給与所得者の扶養親族等申告書について適用する。

(5)給与支払報告書等の提出義務者のうちeLTAX又は光ディスク等による提出義務制度の対象とならない者が、給与支払報告書等の書面による提出に代えてその給与支払報告書等に記載すべき事項を記録した光ディスク等の提出をするための要件であるその者が受けるべき市町村長の承認を不要とするほか、これに伴う所要の措置を講ずる。

(6)個人住民税について、所得税における(3)及び(14)から(20)までの見直しに伴い、所要の措置を講ずる。

(7)国税における諸制度の取扱い等を踏まえ、その他所要の措置を講ずる。

〈国民健康保険税〉

(8)国民健康保険税の後期高齢者支援金等課税額に係る課税限度額を22万円(現行:20万円)に引き上げる。

(9)国民健康保険税の減額の対象となる所得の基準について、次のとおりとする。

15割軽減の対象となる世帯の軽減判定所得の算定において被保険者等の数に乗ずべき金額を29万円(現行:28.5万円)に引き上げる。

22割軽減の対象となる世帯の軽減判定所得の算定において被保険者等の数に乗ずべき金額を53.5万円(現行:52万円)に引き上げる。