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南の(ぱいぬ)島々 八重山(やいま)諸島 vol.2

石垣税務署 総務課長 花城 護


はじめに
石垣税務署は、石垣島の中心市街地のほぼ中央に位置し、石垣市、竹富町、与那国町の1市2町を管轄しています。
その歴史は、明治29年11月に官政改革で八重山郡役所から独立し、八重山税務署としての設置に始まり、戦後米軍統治下の「八重山民政府財務部」などを経て、昭和47年5月に現在の「石垣税務署」に改称されました。
八重山諸島は、琉球諸島の最南・最西部にあって、宮古諸島と台湾との中間に位置し、大小30余の島々(うち有人島12)からなります。気候は亜熱帯海洋性気候に属し、石垣島の年平均気温は25度、湿度は78.1%と高く、諸島周辺を流れる黒潮の影響で1年中の気温変化は小さい。年間降水量は2,000ミリを超えるが、梅雨期と6月~10月の台風襲来時に降雨が集中するため、その時期に雨量が少ないと干ばつになりやすい。台風はマイナスのイメージが強いが、台風のもたらす雨は夏場の渇水期における大切な水資源であり、また、台風が海水をかくはんすることによって、海水温の上昇を抑え、白化現象によるサンゴの死滅を防ぐ効果もあり、サンゴ礁育成の支えにとなっています。

管内の名所
今回は、管内の5つの有人島をご紹介します。
〔石垣島〕
石垣島は、沖縄本島、西表島に次ぎ、沖縄県内で3番目に大きな島で、八重山諸島の政治・経済・教育・文化の中心地です。石垣島と周辺の有人離島をつなぐ島めぐりの拠点が「石垣島離島ターミナル」です。天候の良い日は、早朝から各離島へ向かう多くの観光客で賑わっています。
石垣島を代表する景勝地といえば、内海の小島に囲まれた「川平湾」です。その美しさは絶景で人気の観光スポットとなっています。
その他のスポットとしては、石垣島最西端の御神崎(うがんざき)灯台、東岸沿いの玉取崎(たまとりざき)展望台、石垣島最北端の平久保崎(ひらくぼざき)展望台など、石垣の海を一望できる景勝地などがあります。
また、石垣島の海は透明度が高く、特にマンタやウミガメが見られるとして、世界中から多くのダイバーが訪れることで有名です。
写真: 石垣島の川平湾

〔西表島〕※石垣島離島ターミナルから約40分
沖縄本島に次いで2番目に大きく、八重山諸島で最も深い森をかかえている西表島。日本一のマングローブ原生林を有し、亜熱帯の自然が広がる島には、イリオモテヤマネコをはじめ、カンムリワシやセマルハコガメなどの国指定の天然記念物などの多くの貴重な生き物が生息し、「東洋のガラパゴス」とも呼ばれるほどです。日本最後の秘境を全身で感じてみてはいかがでしょうか。
その他のスポットとしては、仲間川のマングローブ、ピナイサーラの滝、浦内川、マリユドゥの滝、カンビレーの滝など、その他にも数多くの名所があります。ちなみに貴重生物の宝庫の島ですので、島内での車の運転はくれぐれも気を付けてください。
写真: 西表島の仲間川カヌーツアー

〔与那国島〕※石垣空港から約30分
日本最西端の島。波が荒く昔は渡ることが困難な島であったことから、別名「渡難(どなん)島」とも呼ばれていたそうです。沖縄本島よりも台湾の方に近く、気象条件が良ければ西方水平線上に台湾の影が見えることもあります。
体高が小さく大人しい性格の「与那国馬」という在来種がおり、島内で放牧されていて各所で見かけることができます。
ダイビングの名所としても有名な島で、特に冬場に見られるハンマーヘッド(シュモクザメ)が人気で、多くのダイバーが訪れており、さらには、昭和61年に発見された世界的にも有名なダイビングスポット「海底遺跡」もあります。
また、TVドラマや映画化された「Dr.コトー診療所」のロケ地としても有名で、舞台となった「志木那島診療所」の内部を見学できます。
写真: 与那国島の海底遺跡

〔竹富島〕※石垣島離島ターミナルから約15分
竹富島はサンゴの石垣に囲まれた赤瓦屋根の古民家、屋根上のシーサー、白砂の道、沖縄の原風景に触れることができる島で、その集落は国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されている。のんびりと島内を散策するのもよし、レンタサイクルで島内を巡るのもよし、水牛車にゆれながら集落を回るのもこの島ならではの楽しみ方といえます。
その他のスポットとしては、青い海と真っ白な砂浜のコントラストが島内で最も美しいといわれる「コンドイビーチ」や星の砂で有名な「カイジの浜」などがあります。
写真: 竹富島の水牛

〔小浜島〕※石垣島離島ターミナルから約30分
八重山諸島のほぼ中央に位置していることから「八重山のテンブス(「へそ」のこと)」とも呼ばれ、島中央の大岳(うふだき)からは、与那国島を除く8つの島が一望できるパノラマ展望台があります。
島内にはサトウキビ畑が広がっており、のどかでゆったりとした島時間を味わうことができます。
写真: 小浜島の風景

おわりに
日本最南・最西端の地から、八重山諸島の有人離島をいくつかご紹介しましたが、当署管内には、今回ご紹介できなかった離島や魅力的な観光スポットがたくさんあります。みなさんも、是非一度は、大自然に囲まれながら、ゆったりとした島時間をじっくりと味わってみてはいかがでしょうか。
今日も「南の(ぱいぬ)島々」があなたを待っています。


青い海と世界遺産、受け継がれる琉球ロマン

北那覇税務署 総務課長 中釜 敬


はじめに
北那覇税務署は、沖縄本島の南部地域と中部地域の境目に位置し、南東約360km先に北・南大東島、西約100km先に久米島など、本島南部の離島を合わせて2市2町6村を管轄しています(管内人口約295,000人)。
昭和42年、琉球政府主税局のもと、那覇税務署から分離独立し、那覇市の北部に開設されたことから「北那覇」の名称となりました。その後、昭和50年に浦添市に移転し、現在に至ります。
管内には、琉球王国時代の政治・外交・文化の中心地であった古都首里があり、一方、昭和62年に返還された米軍牧港住宅地区の跡地を造成し、大型商業施設、博物館・美術館、官庁が建ち並ぶ那覇新都心もあります。

管内の名所
琉球の歴史と文化が育んだ稀代の古城施設
〔首里城〕
琉球王朝の王城である沖縄県内最大規模の城で、周辺には玉陵(たまうどぅん)、園比屋武御嶽(そのひゃんうたき)石門などの文化財があります。平成12年12月に「琉球王国のグスク及び関連遺産群」として世界遺産に登録されました。
令和元年の火災により正殿を始めとする多くの復元建築と収蔵・展示されていた工芸品が全焼・焼失しましたが、県内外や世界中の方からの応援や支援により令和8年の完成を目指して復興工事が進められています。
写真: 火災前の首里城正殿
映画等の舞台や背景に使われる美しい島々

〔大東諸島〕
主な島は、北大東島、南大東島及び無人の沖大東島で、起源は今から約4800万年前、現在のニューギニア諸島付近で誕生し、フィリピンプレートにのって北上してきました。
八丈島からの開拓民から受け継がれた文化と沖縄本島からの移住者の文化が融合した、歴史ロマンと壮大な自然に包まれた大東諸島は、今もなお、動き続けています。
写真: 燐鉱石貯蔵庫跡(北大東島)

〔粟国島〕
アワの産地だったことが島名の由来となった、たくさんの祈りの場がある神秘の島。赤瓦古民家と琉球石灰岩の石垣、そして樹齢300年と言われるフクギの大木もあるフクギ並木が印象的な島です。また、近年はミネラルの豊富な天然塩が脚光を浴びています。

〔久米島〕
日本の渚百選に選ばれた「イーフビーチ」、真っ白な砂の島「ハテの浜」、亀の甲羅のような岩石群の国指定天然記念物「畳石」などの景観地や13箇所の城(グスク)などがあり、自然、歴史に溢れています。
写真: 久米島の畳石

〔渡名喜島〕
面積が沖縄県最小(約4km2)の渡名喜村には、沖縄の伝統的な赤瓦の家屋が多数残っており、島の集落全体が「重要伝統的建造物群保存地区」に指定されています。

〔慶良間諸島〕
渡嘉敷島、座間味島、阿嘉島、慶留間島の有人島と多数の無人島から成る慶良間諸島は、世界でも屈指のダイビングスポットであり、冬場のホエールウォッチングでも人気の高い地域です。平成26年には、全国で31番目の国立公園に指定されました。
写真: 慶良間諸島 阿嘉島 北浜ビーチ
伝統工芸

〔久米島紬〕
平成16年に重要無形文化財に指定された久米島紬は、15世紀後半に始まったとされ、江戸時代には「琉球紬」という名で、もてはやされました。
紬絣技法は、久米島から日本全国に伝播されていき、久米島は紬発祥の里といわれています。
明治36年の地租条例・国税徴収法の施行まで、租税の代わりとしての「貢納布」でもありました。
伝統を踏襲し、一貫して手作業を一人の織子(島の母ちゃん達)が織り上げる紬は、母ちゃん達の想いが込められ、豊かな風合いとしなやかな着心地の逸品です。

〔紅型〕
沖縄では「びんがた」と平仮名表記が多く、琉球王国時代、王族や士族の衣装として摺込みの手法で染められていました。その起源は13世紀頃ともいわれ、沖縄で生まれ育った唯一の染め物です。
琉球王府の保護の下で、東洋花布としての中国の市場では貴重な交易品でした。
芸術性が高く華麗な紅型は、成人式の晴れ着とされるなど、現代の若者にも重宝されています。
写真: 紅型の琉装

〔うらそえ織〕
平成18年に始まった「うらそえ織」は、桑の栽培から養蚕、糸引き、染色、商品化まですべてを浦添市内で行っており、織り方や柄に伝統的な縛りがない分、絹の風合いに加え、自由な作風が魅力的です。

沖縄が誇る銘酒、泡盛
島酒(しまざけ)として愛されている泡盛は、琉球王朝時代、国の行事や交易品として使われる御用酒として、王府の厳しい管理の下、「首里三箇」と呼ばれた首里城近くの3つの地区(現在の那覇市首里崎山町、赤田町、鳥堀町)の焼酎職のみに製造が認められていました。
泡盛の大きな特徴は、米を原料とし、黒麹菌で造った米麹のみを用い、仕込みは1回だけの全麹仕込み、単式蒸留機で蒸留する、の4つです。
そして、「古酒に育つ」ことが大きな魅力であり、このようなお酒は世界でも例をみません。
大切に管理していけば、10年、20年の古酒を家庭で育てることができ、古酒の豊潤な味わいと甘い香りを堪能できます。
また、ハブと薬草を漬け込み、薬膳酒として古くから愛飲されている「ハブ酒」は、アミノ酸やミネラルなど栄養素が豊富に含まれており、男性・女性を問わず幅広く健康への効能があると言われています。
飲み方は多種多様。瓶詰めでもそれなりに熟成するともいわれています。ぜひ、4号(720ml)瓶で無二の古酒に育ててみてはいかがでしょうか。
写真: 自家製ハブ酒


発展する地域
〔沖縄西海岸道路〕
沖縄本島の大動脈である国道58号と国道331号の渋滞解消を目的に、平成30年に沖縄西海岸道路が開通しました。沿線には県内最大級となる商業施設も建設され、浦添市等の沿線各都市の発展も期待されています。
海上、海中を通る道路は、爽快な景色が楽しめ、ドライブにも最適です。

〔ゆいレール〕
鉄道のない唯一の県として知られていた沖縄県ですが、平成15年に「沖縄都市モノレール(愛称:ゆいレール)」が開業しました。日本最南端の駅と最西端の駅を持ち、開業当初は、沖縄の玄関口の那覇空港から古都首里を結ぶ全長約13kmの路線でしたが、延伸工事を経て、令和元年には浦添市前田の「てだこ浦西駅」までの17kmとなりました。
この区間延長により、管内に4駅が新設され、駅周辺はまちづくりが進められており、地域の発展が期待されています。
写真: 終点のてだこ浦西駅
写真: 駅舎には沖縄らしさを表現したアートガラスなどを設置

おわりに
美しい海に囲まれた島々の自然と歴史、そして新しい文化が融合した管内は、琉球の歴史ロマンが溢れ、発展する沖縄が見られる魅力的なエリアとなっています。


豊かな自然の森「やんばる(山原)」

名護税務署 総務課長 城間 智雄


はじめに
名護税務署は、沖細本島北部の1市2町9村を管轄し、管轄総面積は825.47km2と沖縄国税事務所管内では最も広く、世帯数57,192世帯、人ロ128,713人となっています。
その歴史は古く、明治29年11月に「収税署」として沖縄県知事の監督の下に国頭(くにがみ)郡役所内に設置されていましたが、官制改革により「国頭税務署」と改組され大蔵省管轄になった後、戦後、「北部地方税務署」として発足し、昭和27年琉球政府の設立と同時に現在の「名護税務署」に改称されました。

管内の名所
〔やんばる国立公園〕
沖縄本島北部地域は「山々が連なり森の広がる地域」を意味する「やんばる(山原)」と呼ばれ、平成28年9月にはこの地域が国内33箇所目の国立公園となる「やんばる国立公園」として指定されました。また、「やんばる国立公園」一帯は、令和3年1月に「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」として世界自然遺産に登録されました。
やんばる国立公園には国内最大級の亜熱帯照葉樹林が広がり、国頭村、大冝見(おおぎみ)村、東(ひがし)村を中心とする一帯は、ノグチゲラやヤンバルクイナをはじめとする多種多様な固有動植物や希少種が生息・生育しています。地元の人に聞くと、雨上がりの早朝にヤンバルクイナを見ることがあるとのことですが、なかなか運よく目にすることはできません。しかし、国頭村の「安田(あだ)くいなふれあい公園」内にはヤンバルクイナの生態展示学習施設があり、1羽だけですがいつでも見ることができます。1時間毎に食事タイムがあり、その都度愛くるしいヤンバルクイナが目の前にやってきます。
写真: 生態展示学習施設のヤンバルクイナ

〔沖縄ちゅら海水族館〕
国頭郡本部(もとぶ)町の本部半島の西、国営海洋博公園内に「沖縄ちゅら海水族館」はあります。昭和50年に開催された沖縄国際海洋博覧会で水族館が建築されましたが老朽化が著しかったため、平成14年11月に新しく立て直して「沖縄ちゅら海水族館」がオープンしました。
現在では沖縄観光の目玉となっており、国内外から多くの観光客が訪れています。ちなみに「ちゅら」の意味は「きれいなこと」「美しいこと」です。
水族館の入口ではジンベイザメのモニュメントがお出迎え。いやがおうにも期待が高まります。
水族館の中に入ると、目の前にサンゴ礁の海が広がり色とりどりの魚達が眩しく泳ぎ回っています。そして圧巻なのがジンベイザメです。雄大に泳ぐその姿は見るものを圧倒し何時間でも見ていられます。その他にもサメや深海魚の展示等盛りだくさん。地元の入場者は年間パスポートを購入して何度も訪れている方もいます。2回来れば元がとれるのでお勧めです。
水族館の外ではマナティーやウミガメの展示、オキちゃん劇場(イルカショー)が無料で楽しめ、夕方には沖に見える麦わら帽子のような伊江島と夕日のコントラストが南国情緒を一層引き立てます。
写真: 沖縄ちゅら海水族館のジンベイザメ

〔沖縄そば・本部そば街道〕
沖縄のソウルフードといえば沖縄そばを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。蕎麦粉を使わず小麦粉で作られた麺に、鰹出汁と豚出汁をブレンドしたスープ、そして三枚肉やソーキ(豚の軟骨)、てびち(豚足)や中身(豚モツ)、かまぼこ等様々なトッピングが食欲をそそります。
名護税務署管内にも数多くの沖縄そば屋が軒を連ねていています。その中でも国頭郡本部町の山間の県道84号線沿いは「本部そば街道」と呼ばれ、沖縄そば屋が数多く出店されています。もともと本部町の渡久地(とぐち)港は鰹漁が盛んで、沖縄そばの出汁をとる鰹が豊富に捕れることや、観光客が数多く往来する等の理由で沖縄そば屋が増えました。人気店も数多くあり、開店前から行列ができるお店や、スープが無くなり早々と閉店するお店もあります。観光ガイド等では「そばマップ」を掲載しており、どのお店にしようか目移りします。是非自分好みの沖縄そばを探してみてはどうでしょうか。
写真: 沖縄そば(三内肉・ソーキ・カマボコ)

〔古宇利大橋・古宇利島〕
国頭郡今帰仁(なきじん)村の古宇利(こうり)島と名護市の屋我地(やがじ)島を結ぶ古宇利大橋は、平成17年2月に開通しました。全長1.96kmで通行料金の要らない橋としては、県内2番目の長さになります。エメラルドグリーンの海に架かった古宇利大橋は絶好のドライブコース。とはいえ、よそ見をせずに安全運転を心がけて下さい。
古宇利島は直径約2kmで10分もあれば車で1周できるほどの大きさです。橋の付け根には天然のビーチがあり、シーズンになると海水浴を楽しむ家族連れや観光客で賑わっています。また、島の北側にはテレビCMで有名になったティーヌ浜の通称ハートロックが海上にそびえています。見る角度によりハート型に見えるため、訪れた人は思い思いにカメラを向けています。
写真: 沖縄本島から望む古宇利大橋と古宇利島

おわりに
ちゅら海に囲まれた沖縄、その沖縄で豊かな自然と食文化に恵まれた名護税務署の名所はいかがでしたか。マンゴーやパイナップル、シークワーサー等の南国の果実、名護税務署管内にある多銘柄の泡盛、充実したリゾート施設etc・・・。まだまだ書き足りない魅力たっぷりのやんばるです。
沖縄を訪れる際には是非やんばるまで足を運んで下さい。
(写真撮影:名護税務署職員)