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予算執行調査 20年間の歩み

主計局司計課予算執行企画室長 山岸 徹/主計局司計課調査主任 田辺 達也


1.はじめに 
~20年を迎えた「予算執行調査」~
予算編成等において予算の更なる効率化を図るための有効なツールとして活用されてきた「予算執行調査」は、平成14年度に創設されてから、令和4年度で20年という節目を迎えることとなりました。
予算執行調査は、財務省主計局の予算担当職員や日常的に予算執行の現場に接する機会の多い財務局職員が、予算執行の実態を調査して改善すべき点を指摘し、予算の見直しにつなげていく取組です。
財政資金の効率的・効果的な活用のためには、予算のPDCAサイクルにおける、C(チェック)・A(アクション)機能を強化し、予算へ的確にフィードバックすることが重要です(図1. 予算編成におけるPDCAサイクル)。こうした観点から、予算査定を担当する財務省自らが実施する取組として、平成14年度から予算執行調査を実施しています。創設以来、時代の要請等も踏まえつつ調査そのもののブラッシュアップを重ねながら、1,200件を超える調査を着実に実施してきたところです。
本稿では、予算執行調査のこれまで20年間の歩みを中心に振り返りつつ、このほか、近年の調査についても触れていきます。

(コラム)
予算執行調査の法的根拠
「予算執行調査」を明文で規定している法令はありませんが、財政法及び会計法の規定をその法的根拠の背景としています。具体的には、財政法第18条*1の規定による予算の調整機能(予算調整権)や会計法第46条*2の規定による監査・報告徴収権能(いわゆる「46 監査」)など、財務大臣が有する国庫大臣としての財政総括権能を根拠(背景)として調査を実施しており、強制力のある調査ではなく、任意調査として位置付けられています。

2.20年間の歩み 
~予算の質の向上への道のり~
(1)調査の創設経緯
予算執行調査は、塩川正十郎元財務大臣(在任期間:平成13年4月26日~平成15年9月22日)の発案により始められたものです(図2. 塩川正十郎元財務大臣発言録)。
平成13年に財務大臣に就任した塩川元大臣は日頃から、いわゆる「プラン・ドゥー・シー(Plan-Do-See)」*3の「シー」を充実させることの重要性を強調していました。調査開始前年度の平成13年度には既に、個別事業予算(公共事業等)の執行状況について各地方の財務局を活用して調査するよう指示を行っています*4。調査名を掲げて正式に実施したものではありませんが、これが現在の「予算執行調査」の先駆けの一つと言えます。
平成14年度には、前年と同様の調査を正式な「予算執行調査」として制度化しています。塩川元大臣による「予算が効率的かつ効果的に執行されているかを十分に把握することが重要であり、そのために体制の強化を図る」(平成14年2月8日閣僚懇談会)という発言のとおり、同年4月1日には調査計画の策定等を行うため「予算執行評価会議」が主計局に設置され、初年度は43事業の調査を行うこととなりました。
同年6月21日に31事案、9月3日に12事案の調査結果が公表されました。例えば、単価を調査したところ「学校建築について校舎の建築基準が民間の建物と違うことが単価に影響している」「政府米の保管単価に競争原理が十分に働いていない」ということが分かりました。このように、国と民間の単価にかなりの乖離があることなどが判明し、翌年度の予算編成に向け「非常に参考になる」*5調査結果を得ました。実際に、翌年度の平成15年度予算には徹底した単価の見直し等によりこれらの調査結果を的確に反映し、総額189億円の反映額となるなど、「プラン・ドゥー・シー(Plan-Do-See)」の「シー」を強化する取組は初年度から一定の成果を果たし、財政当局として掲げる「予算の重点配分と効率化」「歳出の構造改革」に資する結果を得ています。
調査2年目となる平成15年度には特別会計事業を重点的に取り扱うこととし、18特別会計20事業を調査対象として選定しました。翌年度(16年度)予算への反映額としては、一般会計分含め51事案で492億円(歳入反映額26億円を含む)と、前年度の倍以上の反映額を計上しています。

(2)調査方針の変遷
ア 創設期から平成22年度
~年間100件の調査を実施するまで~
平成15年9月の塩川元大臣退任後も、予算執行調査は一層拡充していきます。平成16年度には53件の調査を実施し、調査結果公表日(6月22日)には後任の谷垣禎一元財務大臣から、閣僚懇談会において翌年度予算の概算要求等へ予算執行調査結果を反映するよう各府省に対し依頼しています。この段階では予算執行調査における「PDCAサイクル」が既に定着していると言えるでしょう。
さらに平成17年度調査では、平成17年3月に予算成立に合わせて調査事案をホームページで公表しました。事案の選定については一般会計及び特別会計から幅広く選定することとした一方で、「モデル事業」*6や「政策群」*7の事後評価に予算執行調査を活用する旨が閣議決定において示されたことから、実際にこれらの事業を対象とした調査にも取り組みました。
財務局による調査も拡充しつつ、着実に調査実績を積み上げてきた予算執行調査(図3. 予算執行調査件数及び反映額の推移)ですが、平成20年度からは行政支出総点検会議*8、平成21年からは行政刷新会議*9による事業仕分けといった予算の無駄削減に向けた動きと並行して進められていきます。例えば、行政支出総点検会議においては、より一層の予算執行調査の充実・強化が指摘事項として明示的に求められました*10。平成21年度調査においてそれまでで最大の73件の調査を実施すると、平成22年度調査においては、当時の菅直人元財務大臣から「予算編成過程において主要な論点になりそうな施策について積極的に対象事案に選定するなど、内容を充実させるとともに、実施件数も拡充することとし、調査の通年化を図りつつ、100件程度の調査を実施する予定としております。」*11と発言があったように、調査件数が100件の大台に乗ることとなりました(4月に83件、10月に17件の調査事案を公表)。件数だけなく調査内容についても大幅な充実・強化を図るよう、「行政経費等に係る府省横断的な調査」(行政経費等調査)や、「過去の予算執行調査のフォローアップ調査」といった新たな枠組みの調査もこの時初めて取り組んでいます(これらの調査の詳細は後述します)。さらに10月の調査事案公表時には、情報システム予算や独立行政法人の中期目標期間末の執行に関する調査を選定しています。

(コラム)予算執行調査等に係る連絡会議
予算執行調査の実施及びPDCAの取組に当たっては、実際に予算の執行を担う各府省の協力が不可欠です。財務省では、財務省主計局長及び各府省官房長クラスをメンバーとした「予算執行調査等に係る連絡会議」及び財務省主計局総務課長及び各府省会計課長クラスをメンバーとした「予算執行調査等に係る連絡会議幹事会」を設置し、予算執行の適正化・効率化や予算執行調査結果の予算編成への反映の依頼等をしてきました。

イ 平成23年度から平成29年度
~「調査の質の向上」を重視~
このように、平成22年度まで件数を伸ばしてきましたが、平成23年3月の東日本大震災発生時には調査方針を見直しています。それまで3~4月に実施していた事案公表を見送り、各府省等の繁忙度合い等を見極めつつ、対応可能な事案から順次着手することとし、65件(前年度から35件減)の調査を実施しました。
以降、予算執行調査は件数の多寡ではなく、「調査の質の向上」を主眼に実施していくこととなります。例えば平成24年度調査からは、調査結果の分析等に当たり、外部有識者(専門家)の知見の活用を推進し、より深度ある調査の実施に取り組んでいます。また、実地調査を積極的に実施し、実際に予算の執行の現場に赴くことで、より実効的な予算の効率化に努めています。
「調査の質の向上」を下支えするため、この頃から財務局の役割がより一層重要となっていきます。「財務局調査」「共同調査」(「(4)財務局の役割」参照)を合わせると、件数では平成26年度にピークを迎えました(令和4年度調査時点)。また、翌年度予算への反映額でも平成28年度調査の「水田活用の直接支払交付金」(東北財務局との共同調査)が▲296億円の反映となるなど、一定の実績を上げています。調査の実施だけでなく、調査の事案選定についても地域の財務局の目線を活用することで、現場の視点での案件の発掘も行っています。予算執行調査における財務局の役割に関しては、後ほど詳しく触れることにします。
また、年度ごとの事案選定については、引き続き特別会計の事業も含めて予算の執行状況全般を選定の対象としています。例えば平成25年度調査では、被災地の地方公共団体の事務負担等に配慮しながら新たに東日本大震災特別会計で計上する復興関連予算に係る調査を2件実施しました。

ウ 平成30年度から現在
~中長期的な観点から~
平成30年度以降の事業経費調査においては、短期的な節減効果にとらわれず、制度の根幹に踏み込んだ検討を行うためのデータ収集や課題・改善方法の洗い出し等による問題提起など、財政制度等審議会や予算編成過程における議論等に資するよう、中長期的な観点から制度改革等につなげるための調査にも取り組んでいます(図4. 財政制度等審議会提出資料における予算執行調査資料の活用例(令和3年11月1日財政制度等審議会財政制度分科会歳出改革部会配付資料))。さらに平成30年度調査からは、行政経費等調査に関して、新たに各府省の会計実務担当者による検討の場を設けるなど、引き続き調査の質の向上に向けた取組も実施しています。
しかし、令和2年度からは、新型コロナウイルス感染症の拡大を踏まえた対応を余儀なくされることとなります。調査事案の公表は3月下旬(3月31日)に行い、調査については対応可能なものから順次着手することとしたところ、調査結果の前半公表は8月31日と例年より遅れ、後半公表の一部は翌年1月と大幅に遅れました。また、5事案については調査の完了が困難となったため、制度創設以降初めて調査を中止することとなりました。令和3年度以降も新型コロナウイルス感染症の状況等を勘案しつつ調査を実施しているところです(図5. 令和5年度予算の編成等に関する建議(令和4年11月29日財政制度等審議会))。
なお、近年では、通常の予算執行調査以外の取組も行っています。その一例が、機動的な調査や各府省への情報提供です。前者は予算編成等に活用するため、財務局が主体となって、ヒアリング・データ収集、現地調査や新聞情報の収集を行うもので時期を問わず実施しています。また、後者は行政経費を対象として、予算執行の質の向上、効率的な業務運営に資するノウハウ等の各府省への情報提供を実施するものです。

(3)調査事案の選定と調査手法
ア 調査スケジュール
予算執行調査のスケジュールは、大別して「調査事案の公表」「調査結果の公表」「翌年度予算への反映状況公表」の3つに分けられます。平成26年度調査からは3~4月の調査事案公表、6~7月の調査結果公表(前半)、10月の調査結果公表(後半)とおおむね固定化されています(基本的な調査スケジュールは図6. 予算執行調査の基本スケジュール(時期はあくまで目安である)のとおり)。

(コラム)
予算執行ご意見箱
財務省では、予算の一層の効率化に向けた取組として、予算執行調査の対象案件の選定に活用するため、平成18年12月に「予算執行ご意見箱」を設置し、広く国民のみなさまの御意見を伺うこととしています。
【URL】https://www2.mof.go.jp/enquete/yosan_opinion.html
国の予算が使われている特定の施策・事業について、非効率又は成果が十分出ていないなどの御意見・御提案がありましたら是非お寄せください。

イ 事案の選定・調査の視点
次に、予算執行調査の調査方法等の各論を見ていきます。調査の視点については、調査創設時から年度ごとに定めた視点*12に基づき調査を実施してきましたが、平成21年度調査において、以下のとおり事業等の「必要性・有効性・効率性」の視点により調査を実施してからはこの考え方が定着し、令和期の予算執行調査にも指摘内容の類型として受け継がれています。
●必要性(事業等の目的が国民や社会のニーズに合致しているか、また、国の関与の必要性があるか等)について検証を行い、事業等の全部又は一部の廃止を含めた見直しや、より有効な実施方法等への見直しを求める。
●有効性(事業等の目的や目標に照らして、どのような効果が生み出されたか等)について検証を行い、事業等の全部又は一部の廃止を含めた見直しや、より有効な実施方法等への見直しを求める。
●効率性(必要な効果がより少ない資源量で得られるものが他にないか等)について検証を行い、単価設定や実施方法等の見直しを求める。
具体的な選定事案に焦点を当てると、例えば、平成15年度調査においては特別会計事業を重点的に取り扱っています。また、平成20年度調査においては、不適切な随意契約の事例等、契約の手法について特に多くの問題が指摘されていたことから、「契約」について共通の視点*13により重点的に調査を実施しました。

ウ 調査類型
予算執行調査の中心は、各府省における事業等を対象に調査を行う「事業経費調査」ですが、このほかにも予算執行調査には別の類型の調査があります。
その一つが、平成22年度調査から開始された「行政経費等に係る府省横断的な調査」(行政経費等調査)です。予算執行調査における「行政経費」とは、各府省が維持運営していくための経常的な経費(庁費、旅費など)を指しています。調査対象を「全府省」とし、行政経費について府省横断的・統一的に見直すべき事項がないか検証を行い、今後の改善点、検討の方向性を指摘するものです。また、平成22年度からは、過去に実施した予算執行調査結果の的確な反映を図る観点から、過去の調査で指摘した事項の改善状況等を確認する「フォローアップ調査」も開始しました。
ただし、調査類型にかかわらず、更なる「調査の質の向上」が普遍的に重要である点は言うまでもなく、実地調査や専門家の活用(図7. 予算執行調査における専門家の知見の活用例(平成24年度予算執行調査「土地評価基準作成鑑定評価等経費」反映状況票)。専門家の意見書を踏まえて今後の改善点等を示し、予算縮減につなげた)といった手段を適宜講じてきたところです。

エ 調査の公表
予算執行調査結果に際しては、「総括調査票」という資料を用いた公表が定着しています。一部の例外*14を除き事案ごとに総括調査票を作成しています。また、専門家の知見を活用した事案には、当該専門家から提供を受けた意見書等を公表しているものもあります。
他方、調査結果の翌年度予算への反映状況公表時には、事案ごとに反映の内容等を記載した「反映状況票」を公表しています。
さらに反映状況公表時には、予算の執行状況等に関する評価・検証を予算編成に活用した取組として、予算執行調査にとどまらず会計検査院の決算検査報告や政策評価の結果等をまとめた「予算編成におけるPDCAサイクルの取組」*15を別途公表しています。予算執行調査については、事案ごと(平成17年度予算への反映からは過年度調査分の事案も含む)における翌年度予算への反映額等を公表するなど、予算執行調査等が予算の見直しや執行の効率化等につながる取組として機能していることが分かりやすい資料となっています。

(コラム)財務省ホームページやツイッターによる発信
予算執行調査は各公表のタイミングで財務省ホームページによる発信を行っています。また、令和4年度調査からは財務省ツイッターを活用した広報も行っています(図8.)。財務省ツイッターのフォロワー数は約26.5万人(令和5年3月現在)と非常に多くの方にフォローされていることから、国民のみなさまへの周知という点で有効な手段であると考えています。

(コラム)他機関との連携
予算の執行をチェックし、その成果を事後的に評価・検証するものとして、予算執行調査のほか、会計検査院の検査結果や総務省行政評価局の行政評価・監視結果等が挙げられます。それぞれの機関がより効率的かつ効果的な調査等を実施するため、会計検査院及び総務省行政評価局との意見交換会を定期的に開催し、連携強化を図っています。
予算執行調査、会計検査、行政評価・監視それぞれの目的・性格を踏まえた上で(表1 予算の効率化に向けた主な取組)、今後も関係機関との連携を密にし*16、こうした重層的な取組によりPDCAサイクルを強化していくことが重要と言えます。

(4)財務局の役割
予算執行調査の歴史の中で、重要な役割を担い続けてきたのが、財務省の地方支分部局として全国に設置されている財務局です。
財務局による調査には2種類の類型があります。財務省主計局の予算担当職員と財務局職員が共同で実施する「共同調査」と、財務局職員が実施する「財務局調査」です。このうち「財務局調査」は、創設期から平成17年度調査までは査定の参考となる情報収集にとどまっていました。しかし、徐々に財務局内の体制が強化されたことに伴い、平成18年度調査からは「財務局調査」についても、調査事案数の拡充(11事案)とともに調査結果及び翌年度予算への反映状況の公表も行うこととしました。さらに平成19年度調査では財務局調査の開始時期を夏から春(本省調査と同時)に前倒しすることで、早期に調査が終了できるものについては概算要求段階から予算に反映させることが可能となりました。以降も、予算執行調査全体における「調査の質の向上」を図る中で、財務局による調査件数は毎年着実に実績を積み上げ続けています(表2 財務局による調査(共同調査・財務局調査)の件数の推移)。
またこれとは別に、財務局は地元情報の収集等を通じて、予算執行調査の調査事案の提案も積極的に行っています*17。
このように、財務局においても様々な面から、予算の効率化に向けて主計局の予算編成業務に参画していると言えます。


3.令和4年度予算執行調査の動き
最後に、直近の令和4年度予算執行調査における調査結果・反映状況について簡単に紹介します。
調査事案については令和4年3月25日に39件を選定し、その調査結果を7月26日(34件)及び10月7日(5件)に公表しました。新型コロナウイルス感染症の状況等も勘案しつつ、必要性・有効性・効率性の観点から調査を行い、今後の改善点・検討の方向性を指摘しています。7月公表の事案の調査結果については、財務大臣から各府省大臣に対し、令和5年度予算の概算要求や今後の予算執行に確実に反映するよう閣僚懇談会において要請しています。*18
そして、令和5年1月23日には、予算執行調査の令和5年度予算案への反映状況を公表しています。令和4年度調査の反映額は▲189億円となりました。また、過年度に実施した調査(令和3年度以前の調査)の令和5年度予算案への反映額は▲25億円となりました。(図9. 令和4年度予算執行調査の5年度予算案への反映額一覧)


4.まとめ 
~更なる予算の効率化を目指して~
以上のように、調査創設から20年の間、予算執行調査はその時々の社会情勢の変化や問題意識等に応じて調査方針の見直しを行うとともに、体制面の拡充等も行ってきました。
我が国の財政事情は依然として厳しい状況にあり、財政資金の有効活用の観点から、予算の執行状況、効果の検証について国民の関心は一段と高くなっています。そうした中で、予算の使途、効果についての説明責任とともに、PDCAサイクルの取組はますます重要になっていくものと考えます。そのための重要なツールとしての予算執行調査の役割を考えれば、この取組は終わりのないものであり、より質の高い、効果的な調査の実現を目指して引き続き取り組んでいく必要があります。

※本稿の意見に係る部分は筆者の個人的見解であり、筆者の所属する組織の見解を表すものではありません。


図表.【参考】 過年度に実施した予算執行調査の5年度予算案への反映額一覧


*1) 財政法第十八条 財務大臣は、前条の見積を検討して必要な調整を行い、歳入、歳出、継続費、繰越明許費及び国庫債務負担行為の概算を作製し、閣議の決定を経なければならない。
*2) 会計法第四十六条 財務大臣は、予算の執行の適正を期するため、各省各庁に対して、収支の実績若しくは見込について報告を徴し、予算の執行状況について実地監査を行い、又は必要に応じ、閣議の決定を経て、予算の執行について必要な指示をなすことができる。
2 財務大臣は、予算の執行の適正を期するため、自ら又は各省各庁の長に委任して、工事の請負契約者、物品の納入者、補助金の交付を受けた者(補助金の終局の受領者を含む。)又は調査、試験、研究等の委託を受けた者に対して、その状況を監査し又は報告を徴することができる。
*3) 「プラン・ドゥー・チェック・アクション(Plan-Do-Check-Action)」と並ぶマネジメントサイクルの1つ。Plan(計画)、Do(実行)、See(評価・見直し)の3つのプロセスからなる。
*4) 「閣僚懇談会におきまして、私は、予算の執行状態について、現状を点検してくれということを言いました。その具体的なことは、歳出の大きな柱である社会保障関係、公共事業、地方財政等に関する予算が確実に、しかも迅速に執行されておるかどうかということです。」(平成13年5月18日塩川元大臣閣議後記者会見における発言)
*5) 平成14年9月3日塩川元大臣閣議後記者会見における発言。
*6) 「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」(平成15年6月27日閣議決定)において導入。定量的なアウトカム目標を立て、事後に厳格な評価を行うことにより、国民への説明責任を果たすとともに、目標の効率的達成のために、事業の性格に応じた予算執行の弾力化を行い、その効率化の効果を予算に反映する予算編成のプロセス。
*7) 「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」(平成16年6月4日閣議決定)において導入。府省横断的な予算について重複排除を行い、関係府省の連携の下で積極的に政策を推進する取組。
*8) 内閣官房長官の下に有識者の参集を求め、国民の目線で無駄の根絶に向けた指摘をしていくため設置(平成20年7月29日内閣官房長官決裁)。平成21年11月17日廃止。
*9) 内閣府の下に、国の予算、制度その他国の行政全般の在り方を刷新するとともに、国、地方公共団体及び民間の役割の在り方の見直しを行うため設置(平成21年9月18日閣議決定)。平成24年12月26日廃止。
*10) 「指摘事項 ~ムダ・ゼロ政府を目指して~」(平成20年12月1日行政支出総点検会議)
*11) 「平成22年度予算執行調査について」(ファイナンス平成22年10月号)
*12) 平成14年度の調査開始時には、主計局から以下の基準を示しています。
・事業の効果が実際に実現しているか
・事業の進捗していないものの要因分析
・事業のコストが、例えば民間と比較して適切か
*13) 契約に関する調査結果(24 事業)の概要は以下のとおり。(1つの事業について複数の観点からの指摘をしている場合がある。)
○随意契約を入札等、より競争性のある契約に移行するよう見直しを求めたもの(19 事業)
○入札等競争性のある契約形態となっているものについて、入札条件等の見直しにより競争性を更に高めるよう見直しを求めたもの(16 事業)
○まとめ買いの促進など契約のやり方を工夫するよう見直しを求めたもの(17 事業)
*14) 平成21年度調査のうち庁費・旅費・謝金等及び契約に関する調査(19件)については、各事案において類似した改善点の指摘を行っていることから、19件全体について指摘内容ごとに整理した総括調査票を作成し、「各府省共通の今後の改善点・検討の方向性」について提言を行っている。
*15) 公表開始時は「予算の質の向上、効率化努力」(平成18年度予算政府案)、翌年度以降は流動的に変遷し、平成21年度予算政府案からは「徹底した予算の効率化」、平成26年度予算政府案からは「予算編成におけるPDCAサイクルの取組」という資料を公表している。
*16) 「予算の執行の調査と検査院の会計検査、それから総務省の行政評価・監視や各府省における政策評価、それぞれの目的それから性格が違っておりますので、他方こうした評価活動がより有効に実施されまして、効果的な政策の遂行や予算編成、執行が行われるために、それぞれの機関が十分に相互に連携を図っていくということが非常に重要でございます。」(平成16年3月31日参議院決算委員会における山下英利元財務大臣政務官の発言)
*17) 「新聞、報道等で問題視されているものや、その他日常において疑問を感じること等、常にアンテナを張り巡らし予算執行調査の対象とする事業の掘り起こしに努めています。また、対象事業の選定作業に際しては、期待される調査の結果を見越しての掘り起こしが必要であり、どのような調査項目を設定するかなど、調査票の内容まで考えながらの選定となります。」(「予算執行調査(財務局発足60周年記念特集「財務局の新たな役割」)」(ファイナンス平成21年12月号))
*18) 「本年度の予算執行調査につきましては、3月に調査事案を公表し、39件の調査を実施しておりますが、そのうち調査の終了した34件について、今般、調査結果を取りまとめました。そこで、今朝の閣僚懇談会におきまして、私から各大臣に対しまして今回の調査結果を令和5年度予算の概算要求や今後の予算執行に確実に反映していただくようお願いをいたしました。」(令和4年7月26日鈴木俊一財務大臣閣議後記者会見における発言)