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還流する地下資金―犯罪・テロ・核開発マネーとの闘い― 9 国家自身が生み出すテロ資金

IMF法務局 上級顧問  野田 恒平

図表.本章の範囲

要旨
■テロ資金規制の議論において現実問題として前提とせざるを得ないのは、一部の国家自身が様々な態様でテロを支援しているという実態。その理解のためには、「テロ組織」や「支援」といった概念にも、様々な態様があることを理解する必要。
■サウジアラビア、イラン、パキスタンといった国々は、建国の理念に根差した国内政治の構造及び地政学的なパワーバランスの中で、テロ対策に関しては特に難しい立場に立たされている。この地域の政治的機微は、アフガニスタン情勢にも影響。
■テロ資金のチャンネルとして慈善団体(NPO)があるが、文化的差異もあり我が国においては十分な認識が持たれていない。またテロ資金規制は、資金チャンネルの多様化等の課題も多いものの、対テロの取組み全体を促進している面も大きい。

アフガニスタンの不幸な現代史は、9.11に始まるものではなく、その20年以上前のソ連による侵攻の際に、既に決せられていたと言えるだろう。1979年、ブレジネフは内紛が絶えなかったアフガニスタンを東側陣営に繋ぎ止めるため、軍事侵攻を決める。その後10年にも及んで泥沼化した戦争は、結局、社会基盤の破壊と混乱のみを残した。そして、もう一つの負の遺産がある。ソ連への対抗上、米国を始めとした各国が膨大な支援を行った、ムジャーヒディーンと呼ばれるジハディスト達である。この中から誕生したアル・カーイダは、後に当の米国に対しても牙を剥くこととなる。
前章では、イスラエルに関わる一連のテロ事件が、国際的なテロ防圧に向けた議論を喚起し、それが現在のテロ資金供与規制に繋がっている旨を見てきた。しかしそれは、「テロ」概念に対する共通理解の不在という根源的な不安定性を抱えたまま、9.11のモメンタムを得て性急に組み上げられたガラス細工の櫓でもある。中東問題、隣国同士の軋轢、そしてアフガニスタン情勢と対立軸が錯綜する中、国家はしばしば、自らの覇権を維持・拡大する代理勢力として、他国の立場からはテロリストとみなされる組織を、直接・間接に支援している。テロ資金規制との関係でも、「テロ」という共通の悪を取り締まろう、というプラス総和の共働作業は、地表面で起きているゲームの一部分に過ぎない。そのやり取りの裏側で暗示されているのは、お互いの「テロ支援」に対し、テロ資金規制というアングルから斬り込んでいこうとする各国の間での、厳しい駆け引きである。

写真:ソ連で18年間に亘り最高権力者の座にあったレオニード・ブレジネフは、1979年にアフガニスタンへの侵攻を決定したが、このことが今日に続く同地域の地政学的不安定性の要因となった。(出典:Anefo, CC0)
1.テロの国家的支援というパラダイム
テロに対する国家からの支援については、機微な問題ではあるものの、FATFもその蓋然性については認めざるを得ない状況にある*1。議論の前提として、まずは「支援」という言葉の持つ意味を考える必要がある。国家がテロを支援していると聞くと、政府が一丸となってテロ組織を支援しているという図式のみを想定しがちであるが、支援の仕方には、直接的・積極的に資金や滞在場所を供与するような関与から、その活動を暗黙に認め、放置するという間接的・消極的なものまで様々な類型があり得る。また、そもそも国家というものを、常に日本のように秩序だった存在として想定できるとは限らない。テロを支援する主体というのもまた、政府内の一部の勢力であったり、または有力な宗教家のような、政府機構の外にありながら実際にはそれと同視し得るような強い影響力を持つアクターまで、様々である(図表1 国家によるテロ支援の様々な形態(概念図・Byman(2005・2008), Kirchner(2016)等をベースに筆者作成))*2。
もう一つの前提として、そもそも国家・武装勢力・テロ組織などといった行為主体へのラベリング自体が、時代によって、また見る者の立場によって変わり得るものであるという事実がある。この点は、前章で取り上げた、テロリズムやテロリストという基本概念に対する、国際的なコンセンサスの不在という問題に関わる。加えて現実的にも、ある組織の性格付けはその支配力とともに変わっていかざるを得ないという面もある。最近の例では、一度はアフガニスタンの支配を追われたタリバーンは、その関係者が国連の制裁対象となり、我が国の国際テロリスト財産凍結法*3において「国際テロリスト」として公告されたが、メディアを含めた一般的な呼称は「イスラム主義勢力」となっていた。そして、今般の政権奪還に伴い、タリバーンは再び「国家」を体現する位置付けに回帰しつつある。また、パレスチナ自治区のガザ地区を実効支配するハマスをどう位置付けるかも、悩ましい論点である。EUは2001年になって始めてハマスをテロ指定し、これによって今まで大手を振って活動していた団体が一斉に取締りの対象になる等、混乱を呈した。この指定の合法性については、長らく司法部門において係属していたが、2021年11月に欧州司法裁判所は指定を是認する判断を下した*4。なお我が国においても、テロ組織を法的に認定する法制度は存在しておらず、この点は正にハマスに対する政府認識に係る国会答弁の中で、明言されている*5。存在するのは、前掲の財産凍結法や公安調査庁の公表資料等における、個別的なリスティングのみである。一見所与と思える行為主体の分類は、国際的にも国内的にも、実は非常に不安定なものなのである。
さて、なぜそもそも国家はテロを支援するのであろうか。その理由としては(1)自分達が奉ずるイデオロギーを拡散するという理念的側面、(2)周辺国の勢力を減殺し自国の地政学立場を有利に運ぶ、ないしは(3)国内における政治的支持を高めるという実利的側面が考えられ、それらは多くの場合、相互排他的ではなく重なり合っている。そして最も重要な点は、これらの目的を追求するに当たり国家自身が表に出ないことによって、国際政治の舞台において他国との正面衝突を避けるという、リスク回避ができる点である*6。今日のテロ資金規制を考えるに当たり、特にテロ支援との関係で重要な国は、サウジアラビア、イラン、パキスタンの3か国であるが、これらの国は、何れもそのような誘因を強く持つ国家だ。この3か国は、微妙に形態は違えど、それぞれイスラム教を建国の基礎に持っており、国内にはその教義を強く守護しようとする保守派がいる。次に、これらの国は地政学的に覇権を争う隣国が存在する。スンニ派のサウジアラビアとシーア派のイランはペルシャ湾を挟んで対峙し、英国からの独立時にヒンズー教国のインドと袂を分かったパキスタンは、現在に至るまで同国との間で国境紛争を抱える。他方で、正にそのような覇権競争を有利に運ぶため、サウジアラビアとパキスタンは現実政治においては米国と近い関係にある。正反対に、イランはイスラム革命の経緯から世界有数の反米国家であるが、それが故に、翻って欧州とは一定の良好な関係を維持したい。そうであれば、政府が矢面に立って軍事行動を起こすのではなく、関連する地域でのテロ活動を裏から支援することが「賢明な」選択となる。
以下、テロ支援という視点から、FATFの中でも重要な位置付けにある上記3か国に係る歴史的経緯と現状を概観してみたい。FATFとの関係では、これらの国の内、イランとパキスタンはいわゆる「リスト掲載国」である(第4章・図表3.ブラックリスト及びグレイリスト掲載国(2021年10月時点)(再掲・筆者作成)参照)。一方、サウジアラビアはどちらかと言えば優等生として振る舞おうとし、特にイランに対しては、米国・イスラエル等と並んで厳しい態度で臨む傾向がある。しかし、これらの国家自身が時に他国からテロ支援の疑いを向けられ、それを否定し続けている点は共通している。後に見るイランのように、中枢の要人が支援を認めるケースでも、その対象がテロ組織であるとは断じて言わない。更に前述の通り、政府の中の限られた一部の勢力や有力アクターが個別に支援しているような場合、そもそも政府として、支援の実態を把握していない可能性も高い。なお、米国は「テロ支援国家」という直接的な呼称を用いて特定の国を名指ししている。現在はシリア・キューバ・イラン・北朝鮮の4か国が指定され、その資産が凍結対象となっているところ、その対象資産の概要は毎年の議会報告に掲載されている*7。一方で、このリストには親米国家であるサウジアラビアやパキスタンといった国は含まれていない等、その基準は政治的なものであり客観的に欠けるとも批判される*8。
国家テロ支援は、現代の国際政治において最も大きな闇の一つとも呼べる部分であり、正確な全体像は謎に包まれている。とは言え、この背景につき全く関知していないというのでは、現在のテロ資金規制を巡る国際場裡での議論の本質は理解できない。情報の確度については慎重に留保しつつも、地下資金対策を見ていく上では一定の認識を持つことが必要であることに、疑いの余地はないであろう*9。

図表1.国家によるテロ支援の様々な形態(概念図・Byman(2005・2008), Kirchner(2016)等をベースに筆者作成)
図表2.これまで指摘されてきた、国家からテロ組織等への支援関係。それぞれの態様や規模について、確定的な情報や解釈がないことには、十分に留意する必要。(Byman(2005, 2008), The 9/11 Commission Report(2004), 多谷(2016)等をベースに筆者作成)
図表3.ブラックリスト及びグレイリスト掲載国(2021年10月時点)(再掲・筆者作成)

2.テロ支援に係る地域主要国の関係性
サウジアラビア
まず最初に取り上げるべきは、どの国を差し置いてもサウジアラビアだ。2017年3月12日に同国のサルマン国王が来日した際、我が国のメディアは、まず国王が飛行機から専用のエスカレーターで降り立つ姿を映し、1,000人を超える随行団の様子とともに、賑やかに報じた。しかしその表層を一枚めくれば、サウジアラビアは、ある意味でこの地域の国々が抱える矛盾を、最も極端な形で表現している国家と言える。サウード家は、イスラム教原理主義の先駆けとも言える厳格なワッハーブ派の教義を基盤に、メッカ・メディナの二聖モスクの守護者としてアラビア半島の統治を確立した。サウジアラビアは、このような建国の理念故に、国内には常に過激な保守派を抱えてきた。特に1979年11月にメッカのアルハラム・モスクが、サウード家の支配を腐敗・堕落したものとして否定する武装集団によって支配された末に、パキスタン国軍やフランス特殊部隊等の助けも借りて鎮圧した事件は、国内の亀裂を露呈する結果となった。犯人達の一部は、宗派の違いこそあれ、イスラム国家を樹立したイラン・イスラム革命の影響を受けていたとされる。
イスラム教世界の中心とも言える権威あるモスクに、外国人も含めた軍が投入されるという空前絶後の出来事を契機に、国内融和策として国の教育部門の運営は保守派の手に委ねられることとなった。結果として、教育を通じて国内で保守的なイスラム主義が再生産され続け、それが国家機構の中にも深く根付いていく構図が生まれ、他方でパキスタン等の国外友好国には、宗教学校の設立のため資金提供が行われることとなる。同時に、国内でのサウード家への批判の矛先をそらす知恵として、同じ時期に発生したソ連のアフガン侵攻が利用された。「宗教を否定する邪悪な共産主義者」からムスリムの同胞を守るジハードへと血気盛んな若者たちを駆り立て、いわば厄介払いをした訳である。
しかし、サウード家の支配が批判される根本的な理由は、アフガン戦争を経ても何も変わることはなかった。それは、第二次世界大戦後に石油の採掘・供給を軸として確立された、経済から安全保障までに至る、米国との強い繋がりである。米国は、ことサウジアラビアに関しては石油利権や親米・反ソ性といった実利を重視し、体制の非民主性といった理念の点は脇にのけてきた。一方で、サウジアラビアも米国への依存を深めていく*10。しかし湾岸戦争に際して、異教徒である米軍の駐留を認めたことは、保守的な教義を奉ずる層にとっては一線を超える暴挙だった。特に、英雄視されることを夢見てアフガンから帰還したジハディスト達は、「出戻りの過激分子」として、ただでさえサウジの体制から疎まれる存在となっていた中、この事態をきっかけに、母国に対し完全に失望する。こうして、また多くの若者たちがアフガニスタンやその隣国パキスタンに渡り、武装勢力に合流していった。その内の一人が、アル・カーイダの創始者であるウサマ・ビン・ラーディンである*11。そして国内、更には体制の中にも、親米路線に割り切れぬ思いを抱え、密かに彼らに宗教的理念として共感する者達が多く存在するのである*12。
このような歴史を振り返れば、9.11の実行犯19人の内15人がサウジアラビア出身者で、その中には滞在先の米国で、駐在サウジ外交官と接触していた者がいる疑惑が報告されていること*13、そして、同国からアル・カーイダを含む過激派への資金提供が、何らかのチャンネルにより行われていたとの指摘があることについても、むしろ自然なことと溜飲が下がる。但し、国家全体としてはサウジアラビアは依然強固な親米国である。そして9.11の米国調査委員会報告書は、サウジアラビア政府の資金提供を検討した部分が、その機微性から長らく非公開とされていたが、2016年7月15日、同国政府の法的責任を問う事件遺族の声にも押され、その全容が明らかになった。結論として報告書は、サウジアラビア政府が、組織としても高官個人としてもアル・カーイダへの資金提供に関わっていたという証拠は発見できなかった、とした。しかし同時に「一部の政府には、アル・カーイダの資金調達活動に目をつぶり、見て見ないふりをしたアル・カーイダ同調者がいたかも知れない」、「この結論は、サウジアラビア政府が重要なスポンサーになっている慈善金が、アル・カーイダの資金に転用された可能性を排除するものではない…アル・カーイダは肥沃な資金調達の地盤をサウジアラビアに見つけていた。同国では極端な宗教見解が一般的であり、また慈善寄付は文化の本質であるとともに、非常に緩い管理下にある」として、先述の『弱い支援』の可能性までは否定しなかった*14。報告書は、性急な見解の提示は避けつつも、サウジアラビアという国が持つ二面性について、相当に明瞭な形で警鐘を鳴らしたのである*15。
公正を期すために付言すると、サウジアラビア政府は特に9.11以降、国内外の圧力を受け、FATF基準に準拠した形で慈善団体に対する規制や金融機関による水際措置の強化を進めている。2019年6月には、FATF本体の正式メンバーともなった。この国は、イスラム原理主義の伝統的理念と、親米路線という現代国家としての国是の間で、股裂き状態にある。テロ対策に関しては他の政策分野に輪を掛けて、一国の立居振舞に対し、単純化した理解はできないのである。

写真:1979年、武装集団によって占拠され、煙が上がるメッカのアルハラム・モスク(出典:Public Domain)

イラン
イランは、サウジアラビアと宗派的・地政学的に対抗関係にある、地域のもう一つのイスラム教大国である。第二次世界大戦後、国民の支持の下で石油国有化を断行しようとしたモサデク政権は、1953年に英米の情報機関が画策したクーデターにより排除されたが、このことは、今に続く同国民の反米感情の源泉となった。その後に打ち立てられた親米パフラヴィー朝による圧政に、国民の嫌悪は次第に蓄積し、ついには1979年、国外追放されていた宗教指導者のホメイニ師を迎え入れてのイスラム革命という形で噴出する。世界で唯一とも言える、純粋なイスラム法の支配を体現する体制であるイランは、同時に、そのシーア派という教義ゆえに周辺のイスラム教国とは軋轢を生じさせる存在でもあるという矛盾を抱える。こうしてイランは、イラク・スンニ派政権との戦争をまたぎ、その理念を「テロ支援」という形で輸出していくことになる*16。
2009年には、イランのラリジャニ国会議長が、「ヒズボラとハマスへの支援を隠すつもりはない。ここに、公に宣言する」「(支援の理由は)彼らが自らの領土を守るために戦っているからである」と述べた。対するヒズボラの側も、2012年に最高指導者ナスララが、イランから支援を受けている旨を公式に認めた*17。そして、このような言説の中では、ヒズボラやハマスは「テロリスト」とは位置付けられていない。イランは現在、マネロン・テロ資金対策に対する取組みが不十分な国として、FATFによっていわゆるブラックリストに掲載されているが、ここで障害となっている主要な要素の一つが、同国のテロ資金対策法に入れられた、いわゆる「自由の戦士条項(Freedom Fighter Clause)」である。これは、「外国の支配、植民地主義、人種差別主義の終結を目指す」組織については、規制対象としないという、いわばホワイトリスト化のための例外規定である。当然これは、実質的にテロ資金対策をザルにすることであるとして、米国を中心に強い非難を受けている*18。なお、ソ連とのアフガニスタン戦争の最中、当時の米国レーガン大統領はムジャーヒディーンを「自由の戦士」として、全く同じ表現で褒め称え、その代表者達をホワイトハウス内の大統領執務室にまで迎え入れていることは、歴史の皮肉である。更にイランは、スンニ派のアル・カーイダを、宗派の違いを乗り越え反米という点を軸として支援している可能性についても、米国を中心に指摘されている*19。
しかし、イランは現代の国際舞台で孤立している国では決してない。特に、産油国という性質上、欧州を含む西側先進諸国との関係も非常に深い。そして、長引く米国からの経済制裁は経済を困窮させており、国内改革を進めることで経済を立て直そうとする、体制内部の勢力も存在する。イランは、政権内部で保守派と穏健派が絶え間なくせめぎ合う、複雑な国内政治を抱えているのであり、選挙の度に政権の方針は大きく転換されることも多い。テロ資金規制についても、保守派の揺り戻しにより常に骨抜きにされる危険を抱えている中、国内でテロ資金規制を進めようとする立場の体制内要人からも、上記の自由の戦士条項問題は、それが悩ましい論点である旨認める発言がなされている*20。このような国内の葛藤は、拡散金融との関連性において、欧米との核開発交渉にも影を落とす根深い問題であるが、この点については後続の章でも取り上げる。

写真:イラン・イスラム革命の最中に、テヘラン大学で座込みを行う聖職者(出典:Khamenei.ir, CC BY 4.0)

パキスタン
最後にもう一つ無視できない国が、日本により地理的に近いパキスタンである。パキスタンは、英国からの独立に当たってインドとは別の道を選び、イスラム教の国として生きていく道を選んだ。しかし、インドとの比較でどうしても看過されがちであるが、パキスタンも、多様な民族・言語・宗派を抱える国家である。逆に言うと、この国はこのような複雑なモザイクを、「ムスリムであること」を唯一の膠(にかわ)として貼り合わせた、極めて不安定な国である。特に国土の北西部には、伝統的に「連邦直轄部族地域(FATA:Federally Administered Tribal Areas)と呼ばれてきた地域がある。この地域は、アフガニスタンと国境を接し、それをまたぐ形でパシュトゥーン人が居住しているが、憲法により実質的な自治が認められ、パキスタン中央政府の支配が及んでいない。アフガニスタンとの関係では、この地域は常に前哨と位置付けられてきており、今もってテロリストの温床と言われる。
しかし、ここのテロリスト達は純粋に自生してきた訳ではなく、背後にはパキスタン政府の実質的な支援があると言われてきた。パキスタンには、実はソ連侵攻時からアフガニスタンのムジャーヒディーンを支援する強い誘因があった。それは、袂を分かった隣国・インドとの対抗関係である。血の繋がった兄のような存在でありながら戦禍まで交えてしまったインドに対し、パキスタンは絶え間ない脅威を感じている。インドとの関係を有利に運ぶことは、この国の外交・安全保障において最大のプライオリティと言える。インドとの有事の際には、背後のアフガニスタンからは物資面での支援を確保し、場合によっては一時退却し態勢を立て直す後方基地となって貰いたい。逆にパキスタンにとっての悪夢は、アフガニスタンでイスラム主義者達が敗北して世俗的な政権が誕生し、更にそれがインドと友好関係を結んでパキスタンが挟撃される構造ができ上がることであり、このような事態は何としてでも防がねばならない。「戦略的深度(Strategic Depth)」を追及するという意味を込め、SD政策と称するこの工作を主に担ってきたのが、旧宗主国である英国の指導の下で創設された、軍統合情報局(ISI:Directorate for Inter-Services Intelligence)と呼ばれる情報機関である。このISIは、安全保障政策においては大統領を凌駕する実質的権限を持っているとすら言われている。なお直近の戦争においては、タリバーンを支援するパキスタンに対し、カシミール紛争との関係もあってインドは北部同盟を支持し、さながら印パの代理戦争の様相を呈した。
一方インドへの恐怖は、同時に、この地域を地政学的に重視する米国との友好関係を維持しようという動機をも生み出す。国力で劣る大国と伍していくためには、それを更に凌ぐスーパー・パワーである米国からの経済的・軍事的援助は欠かせない。1998年8月のケニア・タンザニアでの米国大使館爆破事件、更に9.11を経て、米国はアル・カーイダを支援するタリバーンを標的とし、ソ連侵攻時からは一転して「テロ掃討」への協力を各国に呼び掛けるようになっていた。そして、このような米国の要請に従わないという選択肢は、パキスタンにはなかったのである。これ以降、同国は米軍へ協力を提供し、また、FATA地域でのテロ組織掃討作戦を強力に展開していくことになるが、深層においてはパキスタンは依然として、苦しい「両面作戦」を強いられている。同国の、時として支離滅裂にも見える振舞いは、このような機微を前提にしなければ理解できない*21。この点は、サウジアラビアとほぼパラレルな構図である。文民政権と軍を軸とした体制内の対立も深刻化している。そして米国の視点から見た時、タリバーンへの対抗に加えパキスタンを抱き込んでおきたいもう一つの理由は、イランの影響力の東方拡大阻止であるが、この点は他ならぬサウジアラビアとも共通の関心事項である。それが証拠に、サウジアラビアから流れ込む大量の慈善団体の資金を通じて、パキスタン各地にはスンニ派の宗教学校が数多く設立されているのである。
なお、脅威の認識は多くの場合相互的なものであり、印パ関係についても例外ではない。インドは、自国内で発生したテロのいくつかは、パキスタン政府機関の支援によるものではないかとの疑いを持っている。直近かつ最大の事件は、2008年に170人以上が犠牲になったムンバイ・テロ事件であり、インド国内ではこの事件を中心に、特にISIの関与を追及する声が立法・行政両府から上がっているほか*22、米国議会調査局もパキスタン政府の関与の可能性に関心を向ける等、パキスタンを巡る国際関係に暗い影を落としている*23。現在、パキスタンはイランと同様、特にテロ資金規制が不十分であるとしてリスト掲載されてしまっているが、国際場裡でパキスタンに対し最も強硬な態度でこの点を指弾するのは、インドである。また、前章で取り上げた包括的テロ防圧条約の草案作業に歴史的に最も熱心なのも、やはりインドだ。インドは、パキスタンへの脅威に対処する一つの方途として、テロ資金規制という土俵を最大限に活用しようとしているのである。言うまでもなく、FATFは技術的議論の場であり、政治を正面から持ち込むことはご法度である。会議においては、あくまでテクノクラートとしての領分を逸脱しないよう、議論は時に熱を帯びつつも、慎重に言葉が選ばれながら進行する。その建前を崩したが最後、この枠組み自体が崩壊しかねないことを、どの国も良くわきまえているからである。しかし、テロ資金規制の隠されたアジェンダが、「国家的テロ支援」の抑込みを巡る駆引きであることは、当事国全てが了知する事実なのだ。

写真:パキスタンとインドが別々の国家として独立することを主張したジンナー(左)は、ヒンズー・イスラム両教徒を包摂した統一的独立を主張するガンジーと会談を行うが妥協には至らず、最終的にジンナーの意見に従って国境が画されることとなった。(出典:Public Domain)

3.テロ資金のチャンネルと今日的課題
さて、ここまでで何度か「慈善団体」という言葉が登場した。テロ資金のチャンネルを理解するためには、このキーワードは避けて通れない*24。FATF基準のテロ資金規制関連規定は、リスクの把握から取引モニタリング等の水際措置、事後的な捜査・訴追に至るまでの各段階につき、概ねマネロン規制の枠組みに沿って組み立てられてきた。他方でテロ資金規制固有の、大きな付加的要素とも言えるのが、この慈善団体ないしはNPOの規制であり、基準の中でも勧告8及び有効性指標10の一部として、独自の準則が設けられている。これらに関しては、先般の相互審査における日本の評価は非常に厳しく、特に勧告8については40ある勧告の内で、我が国が最低評価である不遵守(NC:Non-Compliant)を突き付けられた、唯一のものである。
実際官民ともに、日本の現状ではテロ資金のチャンネルとなるリスクという視点でNPOを見る意識は乏しいが、これには無理からぬ部分もある。イスラム圏の慈善団体は、「ザカート(喜捨)」と呼ばれるイスラム法の概念に根差した長い歴史を有しており、その規模及び社会への浸透度は、日本とは全く比較にならない。そして国によっては、喜捨は法的義務として税のような役割を果たしており、所管官庁が直接に統制している例すらある。この豊富な資金源が、同じイスラム法の中の「ジハード(聖戦)」に対する極端な解釈と結び付いた時、その一部がテロ資金として流れて行くという構図が生まれる*25。このような現実は、日本社会の中では実感を持って理解しづらい。イスラム圏の外でも、多くのムスリム人口を抱える欧米ではこのような慈善団体が存在し、9.11後には、テロ資金支援と関わりがあるとして複数の団体が摘発を受け、閉鎖に追い込まれた*26。EUにおいてハマスがテロ組織に指定され、関連する慈善団体が取締りを受けたのも、この時期である。我が国の状況を、これと同一平面で比較することは適切ではない。しかし、そもそもなぜNPOにテロ資金リスクがあり、FATF基準との関係で問題とされるのか、という認識が十分に広まっていない実態こそ、正にFATF審査で突かれたアキレス腱と言えよう。
他方で、近年のテロ事件を見ると、このような資金チャンネルさえ必要としないような、ローンウルフ(一匹狼)型のテロリストが増加している。彼らは、ナイフや大型車両といった、安価で身近な手段を用いることも多い。また、資金集めはSNS等を通じて更に「薄く広く」の様相を呈してきているところ、これらは、伝統的なチャンネル以上に捕捉しづらい*27。加えて、政治的な極右思想等、テロの動機も多様化しており、こうした団体も、従来のテロ組織と比肩し得る資金ネットワークを構築しつつあるとされる*28。こうして見ると、テロ資金規制は各国の政治的立場の違いという、根源的な脆弱性を抱えるものであることに加え、今日的な課題も積み増されていく一方である。
しかし、このような様々なレベルの制約を認識してなお、テロ資金規制はテロ防圧に対し、個別の実行犯の摘発では生み出せない大きな効果を期待できるものである。米国が9.11後に、「対テロ戦争」の中軸の一つに資金規制という金融面での闘いを据え、尚且つ強力に国際的枠組みに敷衍していったことが、その何よりの証左である(第8章参照)。また、FATFという土俵の上で、対立する国家同士は曲がりなりにも席を並べ、議論のテーブルについている。テロ支援を指摘されるイランやパキスタン、またサウジアラビアといった国も、それぞれの立ち位置から、国内でのテロ資金対策を少しずつではあるが進めてきている。決して一枚岩ではない彼らの体制内で、テロ防圧を推進しようとする勢力は、世界の地下資金対策の枠組みを、またとない健全な外圧と考えていることは間違いない。
これに加えて、テロ資金供与防止条約が、世界のテロ対策にもたらし得る、大きな進展を指摘する向きもある。今一度、前章で見た、同条約が資金供与を規制している対象を確認してみよう。ここではテロ資金供与の対象として、他条約を根拠とする行為類型(付属書列挙事項)とは別に、政府等に対する脅迫の意味を込めた文民への攻撃等といった、ある程度実質化された基準が含まれている*29。もっともここでも、そのような行為が「テロ」であると真正面から規定されている訳ではない。しかし、国際的な合意の下で、規制対象が単なる「テロ的な行為」の束からはほんの半歩だけ拡張され、包括的なテロ防止条約への足掛かりとなり得る普遍的概念の片鱗が提示されていることには、法的観点からも一定の意義を認めることができる*30。
言うまでもないが、そもそもテロリズムは長い歴史から連なる民族問題や差別、社会・経済的格差等を背景とした根深い問題であり、一つの方面からのアプローチで解決できるようなテーマではない。しかしその中にあってテロ資金規制は、テロリズムの悲劇をなくすという多くの人々の願いに対し、気が滅入るような限界と同時に希望に満ちた可能性をも、提示しているのである。
冒頭で触れたアフガニスタン侵攻に際して、ソ連は「社会主義陣営全体の利益のためには、そのうち一国の主権を制限できる」という制限主権論を理論的な盾とし、これは別名ブレジネフ・ドクトリンとしても知られる。2022年2月、ロシアのプーチン大統領は、法的正当性を強弁し、ウクライナの主権を蹂躙する形で軍事行動を開始した。正に、目の前で歴史が繰り返されている。このような武力による暴挙を、更なる武力ではない方法で抑える為に、最も強力と言われるのは金融制裁である。次章では、FATF基準にも取り込まれたこの金融制裁というツールの実効性について、検証していきたい。

写真:他のいくつかの国と並び、サウジアラビアでは喜捨(ザカート)は法的義務であり、内国税及び関税と併せて、国家の財政基盤の一部として管理されている。写真は、同国政府の喜捨・税務・関税庁ホームページ。(出典:Zakat, Tax and Customs Authority, Saudi Arabia)

※本稿に記した見解は筆者個人のものであり、所属する機関(財務省及びIMF)を代表するものではありません。


図表4.テロ資金供与防止条約の構造(再掲・概念図、筆者作成)

*1)Emerging Terrorist Financing Risks, FATF, October 2015
*2)Daniel Byman, Deadly Connections – States that Sponsor Terrorism, Cambridge University Press, 2005
Daniel Byman, The Changing Nature of the State Sponsorship of Terrorism, Analysis Paper Number 16, The Saban Center for Middle East Policy at the Brookings Institution, May16, 2008
Magdalena Kircher, Why States Rebel:Understanding State Sponsorship of Terrorism, Verlag Barbara Budrich, March 2016, Chapter 1 through 4
Daniel Byman, The Changing Nature of the State Sponsorship of Terrorism, Analysis Paper Number 16, The Saban Center for Middle East Policy at the Brookings Institution, May16, 2008
Magdalena Kircher, Why States Rebel:Understanding State Sponsorship of Terrorism, Verlag Barbara Budrich, March 2016, Chapter 1 through 4
*3)正式名称は「国際連合安全保障理事会決議第1267号等を踏まえ我が国が実施する国際テロリストの財産の凍結等に関する特別措置法」
*4)欧州理事会ホームページhttps://www.consilium.europa.eu/en/policies/fight-against-terrorism/terrorist-list/
Molly Quell, Top EU court returns Hamas to terror list after 3-year break, Courthouse News Service, November 23, 2021
吉村祥子編著『国連の金融制裁:法と実務』東信堂、2018年8月30日、第8章(柳生一成)
Molly Quell, Top EU court returns Hamas to terror list after 3-year break, Courthouse News Service, November 23, 2021
吉村祥子編著『国連の金融制裁:法と実務』東信堂、2018年8月30日、第8章(柳生一成)
*5)衆議院議員鈴木宗男君提出パレスチナのガザ地区を実効支配しているハマスに対する政府の認識等に関する質問に対する答弁書(内閣衆質171第19号・2009年1月23日)、同第三回質問に対する答弁書(内閣衆質171第94号・2009年2月13日)
*6)Daniel Byman (2005 & 2008), op.cit.
Daniel Byman & Sarah E. Kreps, Agents of Destruction? Applying Principal-Agent Analysis to State-Sponsored Terrorism, International Studies Perspectives, February 2, 2010
Daniel Byman & Sarah E. Kreps, Agents of Destruction? Applying Principal-Agent Analysis to State-Sponsored Terrorism, International Studies Perspectives, February 2, 2010
*7) State Sponsors of Terrorism, Bureau of Counterterrorism, US Department of State
TERRORIST ASSETS REPORT Calendar Year 2020 Twenty-ninth Annual Report to the Congress on Assets in the United States Relating to Terrorist Countries and Organizations Engaged in International Terrorism, Office of Foreign Assets Control U.S. Department of the Treasury, September 8, 2021
TERRORIST ASSETS REPORT Calendar Year 2020 Twenty-ninth Annual Report to the Congress on Assets in the United States Relating to Terrorist Countries and Organizations Engaged in International Terrorism, Office of Foreign Assets Control U.S. Department of the Treasury, September 8, 2021
*8)Stephen D. Collins, State-Sponsored Terrorism:In Decline, Yet Still a Potent Threat, Politics & Policy, Volume 42, No.1, The Policy Studies Organization, March 21, 2014
*9)なお、サウジアラビアとイランの対立関係については、米国公共放送ネットワーク・PBSがドキュメンタリーを制作しており、2020年には大手動画サイトでも無料公開された(タイトル:Bitter Rivals - Iran and Saudi Arabia)。全体で3時間近くに及ぶ長編であるが、両国の外務大臣への直接インタビューを軸に、客観的な視点と豊富な現地取材で構成され、イラクやパキスタン等他の周辺国との関係性もカバーされた、非常に秀逸な内容である。
*10)板垣雄三編『「対テロ戦争」とイスラム世界』岩波書店、2002年1月18日、P.95-100(酒井啓子)
*11)保坂修司『サウジアラビア:変わりゆく石油王国』岩波書店、2005年8月19日
多谷千香子『アフガン・対テロ戦争の研究:タリバンはなぜ復活したのか』岩波書店、2016年3月25日、P.26-37
多谷千香子『アフガン・対テロ戦争の研究:タリバンはなぜ復活したのか』岩波書店、2016年3月25日、P.26-37
*12)Daniel Byman (2005), op.cit. P.224-238
*13)Willian Roberts, Families expect US release of FBI report on Saudi role in 9/11, Al Jazeera, Sep 10, 2021
*14)“It does not appear that any government other than the Taliban financially supported al Qaeda before 9/11, although some governments may have contained al Qaeda sympathizers who turned a blind eye to al Qaeda's fundraising activities. Saudi Arabia has long been considered the primary source of al Qaeda funding, but we have found no evidence that the Saudi government as an institution or senior Saudi officials individually funded the organization.(This conclusion does not exclude the likelihood that charities with significant Saudi government sponsorship diverted funds to al Qaeda.)Still, al Qaeda found fertile fund-raising ground in Saudi Arabia, where extreme religious views are common and charitable giving was both essential to the culture and subject to very limited oversight. Al Qaeda also sought money from wealthy donors in other Gulf states.”(Chapter 5.4, 9/11 Commission Report, The National Commission on Terrorist Attacks Upon the United States, July 22, 2004)
邦訳については住山一貞『9/11レポート 2001年米国同時多発テロ調査委員会報告書』(ころから社・2021年9月11日)に依拠。なお、訳者の住山氏は9.11でご子息を亡くされ、その後、ライフワークとして本報告書の翻訳に取り組まれた。故人への哀悼の意と、訳者の営為に対する心からの敬意を表する。
邦訳については住山一貞『9/11レポート 2001年米国同時多発テロ調査委員会報告書』(ころから社・2021年9月11日)に依拠。なお、訳者の住山氏は9.11でご子息を亡くされ、その後、ライフワークとして本報告書の翻訳に取り組まれた。故人への哀悼の意と、訳者の営為に対する心からの敬意を表する。
*15)9/11 Commission Report(2004), op.cit., Chapter12.2
*16)Daniel Byman(2005), op.cit., P.79-115(Chapter 4 Iran and the Lebanese Hizballah)
Boaz Ganor, Global Alert:The Rationality of Modern Islamist Terrorism and the Challenge to the Liberal Democratic World, Columbia University Press, 2015, P.69-72
金恵京『無差別テロ:国際社会はどう対処すればよいか』岩波書店、2016年1月19日、P.31-32
Boaz Ganor, Global Alert:The Rationality of Modern Islamist Terrorism and the Challenge to the Liberal Democratic World, Columbia University Press, 2015, P.69-72
金恵京『無差別テロ:国際社会はどう対処すればよいか』岩波書店、2016年1月19日、P.31-32
*17)公安調査庁『国際テロリズム要覧2021』が、2012年2月7日付ロイター通信及び2009年12月4日付毎日新聞をそれぞれ引用。
*18)もっとも、このような条項はイラン固有のものではなく、アラブ諸国連合の内務・法務大臣間でエジプト・カイロにおいて1998年に締結された「テロ抑止の為のアラブ協定(Convention for Suppression of Terrorism)」においても謳われており、かつ締約国は、協定上これに正面から反する形での留保は付けられないとも読めることが、加盟国間での論争を呼んだ経緯もある。
“All cases of struggle by whatever means, including armed struggle, against foreign occupation and aggression for liberation and self-determination, in accordance with the principles of international law, shall not be regarded as an offence. This provision shall not apply to any act prejudicing the territorial integrity of any Arab State.”(Article 2, a)
“No Contracting State may make any reservation that explicitly or implicitly violates the provisions of this Convention or is incompatible with its objectives.”(Article 41)
前掲・板垣(2002)P.163-168(松永泰行)
“All cases of struggle by whatever means, including armed struggle, against foreign occupation and aggression for liberation and self-determination, in accordance with the principles of international law, shall not be regarded as an offence. This provision shall not apply to any act prejudicing the territorial integrity of any Arab State.”(Article 2, a)
“No Contracting State may make any reservation that explicitly or implicitly violates the provisions of this Convention or is incompatible with its objectives.”(Article 41)
前掲・板垣(2002)P.163-168(松永泰行)
*19)9/11 Commission Report(2004), op.cit., Chapter7.3
Michael S. Smith II, The Al-Qaeda-Qods Force Nexus:Scratching the Surface of a“Known Unknowns”, Kronos, April 29, 2011
ロイター通信『米国務長官、イランを非難 「アルカイダの新たな拠点」』、2021年1月12日
Michael S. Smith II, The Al-Qaeda-Qods Force Nexus:Scratching the Surface of a“Known Unknowns”, Kronos, April 29, 2011
ロイター通信『米国務長官、イランを非難 「アルカイダの新たな拠点」』、2021年1月12日
*20)Maziar Motamedi, Iran’s FATF debate heats up as nuclear deal remains in limbo, Aljazeera, March 3, 2021
*21)水谷章『苦悩するパキスタン』花伝社、2011年3月30日
進藤雄介『タリバンの復活:火薬庫化するアフガニスタン』花伝社、2008年10月22日、P.37-42, 163-169, 194-274(「第III部 不安定化する隣国パキスタン」)
前掲・多谷(2016)P.58-62, P.64-107(「第III部 パキスタンとアフガニスタン」), P.172-206(「第V部 破綻国家化するパキスタン」), P.120-127(「アフガン戦争―ISIとイスラム武装勢力の活躍」)
広瀬崇子・堀本武功編著『アフガニスタン:南西アジア情勢を読み解く』明石書店、2002年1月20日、P.57-122(第2部 パキスタンから見たアフガニスタン問題)
Daniel Byman (2005), op.cit., P.155-185 (Chapter 6 Pakistan and Kashmir)
9/11 Commission Report(2004), op.cit., Chapter 6.2
進藤雄介『タリバンの復活:火薬庫化するアフガニスタン』花伝社、2008年10月22日、P.37-42, 163-169, 194-274(「第III部 不安定化する隣国パキスタン」)
前掲・多谷(2016)P.58-62, P.64-107(「第III部 パキスタンとアフガニスタン」), P.172-206(「第V部 破綻国家化するパキスタン」), P.120-127(「アフガン戦争―ISIとイスラム武装勢力の活躍」)
広瀬崇子・堀本武功編著『アフガニスタン:南西アジア情勢を読み解く』明石書店、2002年1月20日、P.57-122(第2部 パキスタンから見たアフガニスタン問題)
Daniel Byman (2005), op.cit., P.155-185 (Chapter 6 Pakistan and Kashmir)
9/11 Commission Report(2004), op.cit., Chapter 6.2
*22)インド下院議会議事録:Fourteenth Loksabha, Session 14, December 11, 2008
インド外務省報道官発言:Pakistan’s ‘state actors’ should stop supporting terrorism:India, The Hindu, February 16, 2016
インド外務省報道官発言:Pakistan’s ‘state actors’ should stop supporting terrorism:India, The Hindu, February 16, 2016
*23)K. Alan Kronstadt, Terrorist Attacks in Mumbai, India, and Implications for U.S. Interests, Congressional Research Service, December 19, 2008
*24)Best Practices Paper on Combating the Abuse of Non-Profit Organisations(Recommendation 8), FATF, June 2015
Risk of terrorist abuse in non-profit organisations, FATF, June 2014
Emile van der Does de Willebois, Nonprofit Organizations and the Combatting of Terrorism Financing, Working Paper No.208, 2010
Risk of terrorist abuse in non-profit organisations, FATF, June 2014
Emile van der Does de Willebois, Nonprofit Organizations and the Combatting of Terrorism Financing, Working Paper No.208, 2010
*25)Nadim Kyriakos-Saad, Manuel Vasquez, Chady El Khouy & Arz El Murr, Islamic Finance and Anti-Money Laundering and Combating the Financing of Terrorism(AML/CFT), WP/16/42, IMF, February 2016
Financing of Recruitment for Terrorist Purposes, FATF, January 2018
Terrorist Financing in West and Central Africa, FATF/GIABA/GABAC, October 2016
Financing of the Terrorist Organisation Islamic State in Iraq and the Levant(ISIL), FATF, February 2015
Financing of Recruitment for Terrorist Purposes, FATF, January 2018
Terrorist Financing in West and Central Africa, FATF/GIABA/GABAC, October 2016
Financing of the Terrorist Organisation Islamic State in Iraq and the Levant(ISIL), FATF, February 2015
*26)一例として、米国のIslamic American Relief Agency(IARA-USA)
*27)Stephen D. Collins(2014), op.cit.
*28)Ethnically or Racially Motivated Terrorism Financing, FATF, June 2021
*29)テロリズムに対する資金供与の防止に関する国際条約第2条第1項(b)
*30)安藤貴世『国際テロリズムに対する法的規制の構造:テロリズム防止関連条約における裁判管轄権の検討』国際書院、2020年4月7日、P.82-84