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「難しいことは簡単に」

財務大臣政務官 藤原 崇

政務官に就任してはや5か月ですが、この間、とても密度の濃い時間を過ごさせて頂いています。
予算・税制だけでなく、それ以外にも多くの業務を財務省が担っていることも、恥ずかしながら政務官に就任して初めて知りました。
また職員の皆様が、本省・地方支分部局を問わず、日本国の屋台骨を支えているという使命感と責任感の下、財務省という一つのチームとして仕事に取り組まれていることについては、私自身も国民の一人として、改めて心強く感じました。
同時に、単独で仕事を進めることが多い弁護士出身の私には、皆様の様にチームで仕事をすることへの憧れがあり、その様な環境で日々仕事に取り組んでいる皆様のことを羨ましいとも個人的に思っています。
そんな私が仕事を進めていく上で大切にしている考え方は、「難しいことは簡単に、簡単なことは面白く、面白いことは深く」ということです。井上ひさし氏の言葉を基にした言葉とのことです。
難しいことをそのまま喋ることは、(丸暗記をしてしまえば)誰にでも出来る。しかし、それを他人に分かりやすく伝えるには、事柄を理解した上でかみ砕いて伝えることが必要です。また、簡単に伝えるだけでなく、興味を誘う話題を乗せることで、聞き手の関心を引き付ける。聞き手には、話を聞いた後に考える所が残る様にする。その様な意味の言葉だと解釈すると同時に、そうありたいと常々思っています。
弁護士として依頼者と向き合っていた時も、政治家として有権者の皆様とお話しする時も、国会質問の時も。常にこの言葉を頭に置いています。
専門用語などの予備知識を持たない人に分かりやすく伝えようと自分の中で考えていくと、自分自身の知識や理解があやふやであることに気付かされることもよくあります。
また、簡単に伝えるためには、話す内容のボリュームを絞ることも必要です。
行政の皆様は、正確性を重視するため、様々な前提条件や留保をつける必要などがあったりするため、どうしても文書や言葉が長くなりがちです(この文章にある「など」もその一例です)。もちろん正確性を欠くことは許されませんが、同時に、本当に相手に伝わっているのかという観点も欠かすことが出来ません。長々とした文書や話では、読み手や聞き手の注意力が失われていき、伝えるべき部分が伝わらないことがあります。
その意味では、文書を作る際にも、どこは記載を落としてどこは残すべきかを検討したりするなど、分かりやすく伝えるために工夫することが必要だと感じます。
広報は、あらゆる組織において必要な取組です。そしてそれは、財務省も同じです。
財政再建の意義やその取組は勿論、税制の仕組みや税関の水際取締対策など。他にも通常の広報だけでなく、国会答弁や上司への説明、民間に対する制度説明会など。様々な場面で人に伝えることが皆様もあると思います。
その際には、「難しいことは簡単に」という視点を持っておくと良いかもしれません。
ちなみに、私も「難しいことは簡単に」を実践していますが、「簡単なことは面白く」は実践していません。面白いことを言うにはセンスが必要で、自分にはそのセンスがないと自覚しているからです。センスがない人が無理をすると、場がしらけるだけであればまだ良いですが、取り返しのつかない失言などに繋がることもありますので、十分に気を付けましょう。