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豪州と中国の二国間関係~豪中対立の行方~

国際局地域協力課国際調整室調整第一係 吉田 有希

〈エグゼクティブサマリー〉
政治面での豪中関係の歴史的推移(38~42ページ)
1972年のウィットラム首相による国交樹立以降、豪中関係は、中国の人権問題等により政治的緊張が走ることもあったが、経済面では順調に推移してきた。2013年の豪中間での戦略的パートナーシップ締結、2014年の包括的・戦略的パートナーシップへの格上げ、2015年の豪中FTA成立等により、揺るぎない経済関係を構築したかにみえた。しかし、2017年頃から中国による対内投資や内政干渉により、豪州内で中国に対する経済安全保障・政治上の懸念が高まっていく。そして、2020年、新型コロナウイルスの発生源について豪州が独立した調査を求めたこと、これに反発した中国が豪州品への貿易制裁を課したこと等により、豪中関係は決定的に悪化した。
豪中の経済関係(42~46ページ)
豪州は財の輸出入の両面において、中国に大きく依存している一方、中国も豪州の鉄鉱石や石炭等に大きく依存している。しかし、上記の依存状態にもかかわらず、中国による貿易制裁を受けた豪州の各品目は、一部品目を除き代替先の確保に成功しており、貿易制裁の豪州経済への影響は今のところ限定的である。また、豪州にとって中国は、サービス(旅行、特に留学)の輸出先としての重要性も高まっており、対中旅行サービス輸出額は、2019年には二位のインドの2倍以上にまで拡大した。中国による豪州への直接投資額は相対的に大きくはない(国別6位)ものの、不動産に投資が集中(約7割)しているのが特徴的である。これに対し、豪州は安全保障の観点から、近年、外国投資規制を相次いで強化している。
豪州国民の対中認識(世論)(46~48ページ)
豪州国民の対中認識は近年大幅に悪化し、2021年には「安全保障上の脅威」との認識が「経済上のパートナー」との認識を上回るに至った。2016年と2021年の世論調査を比較すると、「中国の軍事行動」より「中国の経済成長」の項目において認識の悪化が顕著であり、このことから中国の軍事面より中国の経済面が豪州国民の認識の変化に影響を与えたと考えられる。
今後の豪中関係の展望(48~49ページ)
豪中関係は貿易、投資、政治、及び国内世論のいずれの面を見ても悪化の一途をたどっている。この傾向は今後も続くのだろうか。豪州の対中輸出上最も重要な鉄鉱石は、中国の政策転換により中長期的に減退が見込まれており、中国人留学生がパンデミック収束後も以前と同等の規模で豪州に戻ってくるかも不透明である。上記の要素が豪州の態度に今後どのように影響するか注視する必要がある。また、豪州国民は概ね現政権の対中強硬政策を支持しており、現在の中国に対する対抗姿勢に一定程度超党派での合意があることを踏まえると、現在の対中姿勢は今後も維持されると考える。たとえ、今年5月までに実施される予定の豪州連邦総選挙により政権交代が生じたとしても、これまで党派ごとに対中政策の一貫した方針が見受けられないことを踏まえると、やはり豪州の対中方針が直ちに変更するとは考えがたい。

1.はじめに
昨今の国際社会において、中国の存在感は年々大きくなっている。気候変動や途上国の債務問題など様々な国際課題はいずれも中国を抜きにして解決は困難だ。異なる政治体制・価値観を持つ中国のような大国を、国際課題解決に向けて建設的に関与させるとともに、国際秩序の中で責任ある行動を取るよう促すには、日本と共通の価値観を持つ国々との連携をより密にしていく必要がある。その際、これらの国々の対中政策とその背景にある政治・経済関係や世論の動向等を把握することは非常に重要となる。
こうした問題意識をもって、今事務年度の国際調整室では、担当する主要先進各国の対中政策・関係を掘り下げ、レポートとしてまとめ、発信する。ドイツに焦点を当てた第一弾*1に続く第二弾のレポートでは、豪州と中国との政治・経済関係の歴史的推移、及び国内世論の動き等の把握を通じて、豪中関係の現状とその背景を分析し、今後の豪中関係について考察する。
なお、本稿で述べる意見は、著者個人の見解であり、所属組織の見解を代表するものではない。


2.政治面での豪中関係の歴史的推移*2

1.ウィットラム(労働党)政権
(1972-1975年) ― 豪中関係の始まり
戦後、台湾(中華民国)と国交を樹立していた豪州において、ウィットラム氏は1954年に豪州の国会議員として初めて中国(中華人民共和国)の承認を提唱した。その後、1972年12月に約20年ぶりに成立した労働党政権の党首・首相として、ウィットラム氏は就任後僅か数週間で中国との国交を樹立した。ウィットラム首相による豪中国交樹立以降、豪州と中国は徐々に経済的な結びつきを強めていった。

2.ホーク(労働党)政権(1983-1991年)― 天安門事件を巡る動き
しかし、豪中関係は常に順調であったわけではなく、中国の人権問題が影を落とした時期もあった。1989年6月の天安門事件を受け、ホーク首相は涙ながらに中国に抗議する演説を行い、豪州に合法的に滞在している全ての中国人の一時入国許可の延長を表明*3。さらに、豪州内の全ての中国人留学生のビザ延長を決定。ホーク首相の人道的観点からの中国への抗議と対応は、中国共産党の脅威から逃れた人々による豪州内の中国人コミュニティ形成を促し、今日の豪州における経済発展の礎を築く上での一助となった。他方、同首相は、豪中の経済関係を強化することの長期的有用性は認識しており、中国との経済関係は継続させた。

3.ハワード(自由党)政権(1996-2007年)― 米中両立路線
ハワード政権は同盟国である米国との安全保障体制を強化しつつ、経済的に密接な関係にある中国との連携も維持。1996年の台湾海峡危機において、豪州政府は米国の海軍配備を迅速に支持し、2007年に安倍首相が提唱した日米豪印戦略対話(QUAD)についても支持を表明するなど同盟国である米国や日本との関係強化を推進。同時に、ハワード首相は中国との関係維持にも成功。1996年と2007年に豪州を訪問したチベットのダライ・ラマ氏との面会等により、一時的に中国との緊張が高まったものの、ハワード首相は江沢民国家主席と何度も会談し両国間の関係修復を図った結果、豪中関係は改善。2003年には米国の大統領以外で初めて外国首脳として胡錦濤国家主席が豪州議会にて演説を行うなど、ハワード政権時の豪中関係は概ね良好に推移した。

4.ラッド*4(労働党)政権(2007-2010年,2013年) ― 豪中関係の緊張の高まり
知中派でもあるラッド首相は豪中関係を重視していたが、中国の「真の友人」として中国の人権問題を指摘する態度が逆に中国の反感を買い、豪中関係の緊張を招いた。ラッド首相は、対中政策への影響を考慮し2008年に日米豪印戦略対話から脱退を表明するなど中国との関係を重視。さらに、2008年の訪中時には北京大学において堪能な中国語で講演を行い、北京五輪ボイコットに反対する旨を表明、チベットでの重大な人権問題については、平和的な対処と対話が最善だと述べた。実際に、日米同様、2008年の北京五輪に豪州も参加。
しかし、胡錦濤国家主席との会談においてチベット問題を取り上げるなど中国国内の問題について度々苦言を呈するラッド首相に対して、中国は徐々に懸念を抱くようになった。2009年、内外のウイグル人を代表する「世界ウイグル会議」の総裁である女性活動家、ラビア・カーディル氏の入国を豪州政府が許可したことを受け、中国は予定していた外務次官の豪州訪問を取り止めた。また、中国の国有企業である中国アルミ業公司(チャイナルコ)による英豪系資源大手リオ・ティント社を巡る買収闘争の後、リオ・ティント社の従業員がスパイ容疑で中国当局に拘束され、最大懲役14年の判決を受けたことも、この時期、豪中関係が冷え込む一因となった。

5.ギラード(労働党)政権(2010-2013年)― 対中関係修復の動き
豪州初の女性首相となったギラード氏は、ラッド政権時に悪化した豪中関係の修復を試みた。2011年の初訪中の際に、ギラード首相は中国の胡錦濤国家主席に対して「戦略的パートナーシップ」を提案。以降、2年にわたる熱心な働きかけの結果、ギラード首相は2013年4月の訪中時に習近平国家主席と「戦略的パートナーシップ設立」に合意し、豪中関係を大きく進展させることになった。この際、年次首脳会談や、豪州の財務大臣及び貿易・投資・観光大臣と中国の国家発展改革委員会主任による「戦略的経済対話」*5を新たに開催することで一致。また、両国は豪ドルと人民元の直接取引を行うための通貨協定にも署名した*6。
他方、ギラード首相は中国に対して全ての分野において寛容であったわけではない。事実、ギラード首相は安全保障上の懸念から、国内のブロードバンド網計画への中国・ファーウェイの参入を排除している。

6.アボット(自由党)政権(2013-2015年)― 豪中関係の繁栄
アボット政権は、豪中経済関係の深化を実現。2014年に習近平国家主席が訪豪した際に、二国間関係のハイレベルかつ戦略的・包括的な性質を強調するために、豪中関係を「戦略的パートナーシップ」から「包括的・戦略的パートナーシップ」に格上げすることに同意した。また、この際に大筋合意された豪中FTAについても、国有企業を除く中国からの対豪投資について米国並みの審査基準に緩和することや農産物やサービス分野での中国市場の開放を含む形で2015年末に成立。さらに、同年12月に発足したAIIB(アジアインフラ投資銀行)についても、日本や米国等が加盟を見送る中、豪州は原加盟国として参加した。

7.ターンブル(自由党)政権(2015-2018年)― 安全保障上の懸念の高まり
親中派として知られるターンブル氏が首相に就任したことで、豪中はますます関係を深めるかと思われたが、豪州国内に徐々に広がり始めていた中国に対する安全保障上の懸念が一気に顕在化し、豪中間の緊張が高まることとなった。
就任直後の2015年10月、豪州の準州ノーザンテリトリーが中国企業とダーウィン港の商業用港湾施設についての賃貸契約を締結した。ダーウィン港は米海兵隊の駐留拠点に程近い安全保障上非常に重要な港湾であり、当時、米国オバマ大統領はターンブル豪首相に対して明確に不満を表明。同事案以降、対内投資に対する規制がさらに強化されることとなった。2015年の外国投資・不動産買収規制(Foreign Acquisitions and Takeovers Act 1975)改正により、外国投資審査制度が整備された。豪州政府は、同制度に基づき、中国企業による農地買収や電力公社の買収を「国益に反する」として阻止。また、上記のダーウィン港に関する契約が外国投資審査制度の対象外であった反省点を踏まえ、外国投資・不動産買収規制の審査対象に、州政府機関が当事者となる契約も含めることとした。さらに、2018年には「重要インフラ保安法」(Security of Critical Infrastructure Act 2018)が成立。電力、港湾、水力、ガスの重要インフラに関する国家安全保障上のリスク管理を目的とし、当該重要インフラの所有権や運用状況の透明性向上及び政府と重要インフラ運営者との間の協力促進を図った*7。
中国の脅威は経済分野を超え、政治や教育分野にも及んだ。2017年、中国政府による南シナ海の領有権主張を事実上支持する発言をしていたサム・ダスチャリ豪上院議員(野党・労働党)が、中国人実業家の支援を受けていた事実が発覚。党内重役を辞任、最終的には議員を辞任する事態となった。また、中国人実業家が豪州の各政党に政治献金を行っていた疑いも取り沙汰された。さらに、同年には、豪州保安情報機構(ASIO)のルイス長官が中国を念頭に大学への外国政府による干渉を警告。一連の事件を受け、豪州政府は、外国政府又は外国企業に代わって政治的な活動を行う場合に、依頼者や活動内容等の情報の登録及び開示を義務づける「外国影響力透明化法」(Foreign Influence Transparency Scheme Act 2018)等を導入した。
中国政府は豪州政府の一連の対応を「中国を敵視する政策」とみなし、両国の関係は悪化。2018年、豪ビショップ外務大臣と会談した中国の王毅国務委員は、「豪州側が関係を正常化し健全な発展を実現したいのであれば色眼鏡を外す必要がある」と強調し、今回の関係悪化はあくまでも豪州側の問題であるとの姿勢を示した。

8.モリソン(自由党)政権(2018年~現在)― 豪中関係の決定的な悪化
モリソン政権においても、中国との関係は改善するどころか、さらに悪化。モリソン首相が2020年3月に新型コロナウイルスの発生源について独立調査を求めたことに大きく反発した中国は、豪州に対し様々な貿易制裁を発動。さらに、2021年5月に中国は、2014年から開催してきた「戦略的経済対話」に基づく全ての活動の無期限停止を発表。
これに対し、豪州は、中国との対話を再開したい意向を示す一方、中国の威圧に屈しないという強気な姿勢を維持。2020年12月に外国関係法(Australia’s Foreign Relations(State and Territory Arrangements)Act 2020)を制定し、豪の州や準州、及び大学等が外国政府と取決めを締結する際の外務大臣への事前通知及び外務大臣からの承認取得を義務付けた。当法を根拠に、豪州のペイン外相は2021年4月、ビクトリア州が2018年に独自に中国と結んだ「一帯一路」構想参加協定を破棄。さらに、先述した豪州の準州ノーザンテリトリーが中国企業と2015年に独自に締結したダーウィン港の賃借契約についても、安全保障上の観点から利用制限を含めた見直しを検討している*8。
また、豪州は、中国の人権問題に対しても懸念を示している。中国の「香港国家安全維持法」導入を受け、モリソン政権は豪州内に滞在する香港市民のビザの一律2025年までの延長、及び香港市民からの今後のビザ申請に対して永住権取得につながる期限5年のビザを発給する意向も示した。さらに、2021年5月末に開催された豪州とニュージーランドによる首脳会談では、香港の人々の権利と自由への制限や自治権の侵害、新疆ウイグル自治区の人権問題について重大な懸念を共同で表明し、国連等への自由なアクセスを認めるよう中国に要請した。2021年12月、中国政府が人権侵害等の複数の問題に対応していないとして、米国に続き2022年の北京五輪への外交ボイコットを表明。
さらに中国に対峙するべく豪州は同盟国との多国間連携も強化。ラッド政権時に脱退したQUAD構想については2019年に日米豪印4か国外相会談が実現。2021年4月には初の首脳会談が開催され、「自由で開かれたインド太平洋」実現に向け、ワクチンやインフラ等様々な分野での4か国の連携強化を確認。また、米英と共同で安全保障の枠組み「AUKUS」も立上げ公表し、防衛面でも関係を強化。

9.まとめ
1972年の国交樹立以降の豪中の政治関係を巨視的に振り返れば、2014年の包括的・戦略的パートナーシップ締結や、2015年の豪中FTA成立を経てピークに達した後、中国による豪州への直接投資や内政干渉への警戒感が高まり、2020年に新型コロナウイルスの発生源を巡る議論で決定的に悪化したことがわかる。なお、これまでの保守連合及び労働党政権の対中姿勢をみると、中国の人権問題や安全保障上の懸念、あるいは米国のスタンス等、その時々の情勢に影響を受けているものの、二大政党間で大きな、そして一貫した相違は見受けられない。


3.豪中の経済関係
前章では、歴代の豪州政権の対中政策を振り返ることで政治的側面から豪中関係について確認した。歴代首相による中国との経済関係強化は、豪州に約30年にわたる経済成長に大きく貢献した。本章では、前章で言及した密接に結びつく豪中の経済関係について、財・サービスの貿易と対内投資の両面から概観する。

1.貿易 ―依存しあう豪中

(1)財の輸出入
豪州の主要輸出先国の推移(図1 豪州の主要輸出先国の推移)を見ると、2001年には第1位が日本、そして米国、韓国と続き、中国は4位であった。しかし、この状況は、この20年で大きく変化する。日米韓の割合がほぼ横ばいで推移した一方、中国は特にリーマンショック後の2009年以降大きく伸長し、日本を追い抜き第1位の輸出先国となった。その後も対中輸出は増加し、足元で中国の占める割合は40.8%(2020年)となり、中国は豪州にとって最重要の貿易パートナーとなった。同様の傾向は豪州の主要輸入先国の推移(図2 豪州の主要輸入先国の推移)においてもみられる。中国は2000年代半ばに日本・米国を易々と抜き去り、2020年現在、全体の28.8%を占める。また、2000年代には一国が突出して高いシェアを持つことはなかった豪州の貿易相手は、2010年代以降、中国の存在感が他と比較して圧倒的に大きくなったことも分かる。
一方、中国の主要輸出入先国の推移(図3 中国の主要輸出先国の推移、図4 中国の主要輸入先国の推移*9)をみると、足元2020年でも豪州との貿易額は輸出では2.1%、輸入では5.1%を占めるに過ぎず、中国の輸出先国に占める割合の順位は10位以下である。過去20年、豪州が世界の市場・世界の工場として急成長を続けた中国への依存度を高めてきた一方で、中国は輸出入先の分散化に比較的成功している。
しかし、豪中貿易を品目別にみると、豪州が中国に一方的に依存している訳ではないことがわかる。2019年の豪州の対中輸出品目の内訳*10(図5 豪州の対中輸出品目の内訳(2019年))をみると、輸出の過半を鉄鉱石や石炭等の鉱物資源が占めており、約20年前(図6 豪州の対中輸出品目の内訳(2001年))と比較してその割合が大きく増加している。特に、鉄鉱石については、2019年には鉄鉱石だけで全体の53.2%を占めている。
次に、豪州の対中輸出の過半数を占める鉄鉱石について、中国の主要輸入先国の推移(図7 中国の鉄鉱石主要輸入先国の推移)を見ると、足元、中国が鉄鉱石輸入の約6割を豪州に依存していることが分かる。また、石炭(図8 中国の石炭主要輸入先国の推移)についても豪州の占める割合は足元で約5割と大きい。このことから、中国も豪州からの資源輸入に大きく依存していると言える。

(2)サービス輸出
豪州は財の輸出入だけでなく、サービス輸出においても中国に大きく依存している。新型コロナウイルス感染拡大前の2019年12月時点の豪州のサービス輸出品目の内訳(図9 豪州のサービス輸出品目の内訳(2019年12月期)*11)をみると、旅行サービス分野が6割以上を占めており、そのうち、教育関連サービス、すなわち留学が半数以上を占める。また、豪州の旅行サービス輸出先国の推移を見ると、2013年以降、特に留学サービスの伸長により、中国が突出してその額を伸ばしている(図10 豪州の旅行サービス輸出先国の推移)。以上より、豪州は財輸出入・サービス輸出の両面において、過去十年で大きく中国への依存度を強めたといえる。

(3)2020年以降の豪中対立による貿易制裁の影響
先述のとおり、2020年以降、豪中関係は決定的に悪化し、中国は豪州に対して貿易制裁*12を発動した。以下では、当該貿易制裁が豪州経済に与えた影響について検証する。ここでは、貿易制裁の対象となった品目のうち、特にWTOに豪州が提訴するまでに至った大麦とワイン、豪州が中国の輸入先の約5割を占める石炭について注目する。

(ア)大麦
2020年5月、中国は豪州産の大麦に対して反ダンピング(不当廉売)関税措置を発動。これに対して、同年12月、豪州は大麦に対する中国の関税措置をWTOに提訴し、2021年5月にWTOにパネル(小委員会)が設置された。豪州産大麦の主要輸出先国の推移(図11 豪州の大麦主要輸出先国の推移)を見ると、これまで中国が大部分を占めてきたが、中国による反ダンピング関税措置の発動以降、中国に対する輸出は激減し、2020年12月以降、対中輸出は殆ど行われていないことが分かる。しかし、2021年以降、特にサウジアラビアの旺盛な需要に支えられ、豪州の大麦輸出額は中国の反ダンピング関税措置発動前の水準まで回復。また、これまでの中国一極集中から輸出先の多角化に成功していることも見て取れる。以上より、中国による大麦に対する豪州への関税制裁の影響は限定的といえる。

(イ)ワイン(酒類)
2020年11月、中国は豪州産ワインに対しても反ダンピング関税措置を発動。これに対して、2021年6月、豪州はワインに対する中国の関税措置をWTOに提訴し、同年10月にWTOにパネルが設置された。
豪州産酒類の主要輸出先国の推移(図12 豪州の酒類主要輸出先国の推移)を見ると、輸出総額は中国に対する輸出額と連動していたことが分かる。中国による反ダンピング関税措置の発動以降、中国に対する豪州産酒類の輸出額は激減した。中国以外の国々に対する輸出額が徐々に伸びてきているものの、中国の抜けた穴を十分には埋められていない。以上より、中国によるワインに対する関税制裁が豪州の輸出額に一定程度の影響を与えているといえる。ただし、ワインを含む「飲料・アルコール及び食酢」が豪の対中輸出全体に占める割合はごく僅か(0.8%)である事実(図5)にも留意が必要だ。

(ウ)石炭
豪州産石炭の主要輸出先国の推移(図13 豪州の石炭主要輸出先国の推移)を見ると、2020年7月頃から既に中国による豪州石炭輸入が減少傾向にある。これは中国政府による石炭輸入引き締めが主な原因と考えられる。その後、豪中関係悪化により、同年10月に中国が石炭の輸入を非公式に停止したことで豪州の対中石炭輸出額がほぼ0となった。しかし、豪州は、世界的な石炭需要に支えられ、中国以外の輸出先への石炭輸出が順調に推移。新型コロナウイルス感染拡大後に落ち込んだ石炭輸出額も2021年5月以降の輸出額急伸によりパンデミック前の水準まで回復。
一方、中国もそれまで輸入の4割を占めていた豪州産石炭の輸入を停止した後、代替先としてインドネシアやロシア等からの輸入量を増やしている。しかし、石炭の供給不足や石炭価格高騰等により、中国では電力不足が深刻化し、各地で停電が相次いでいる。こうした中、2021年10月、中国は、非公式に輸入を禁止してきた豪州産石炭を保税倉庫から放出する動きを見せ始めた*13。ただし、今後豪州からの石炭輸入を中国が本格的に再開するかは依然として不明である。いずれにせよ、豪州にとって中国による石炭輸入停止の影響は限定的である。
以上より、ワインについては制裁の効果が一定程度出ているものの、ワインの豪州輸出額に占める額はごくわずかであり、より輸出額の大きい大麦や石炭については豪州が代替先の確保により中国の抜けた穴を補うことができていることから、2020年以降の一連の制裁措置が豪州貿易に与えた影響は限定的であると言える。この点、フライデンバーグ豪財務大臣も、他国による輸入増などの相殺効果により自国経済に深刻な影響は出ていないとの認識を示している。

2.対内投資 ―二つの統計からみる中国の投資

(1)対内直接投資
豪州に対する対内直接投資額上位国の推移(図14 豪州に対する対内直接投資額上位国の推移)をみると、中国の投資額は徐々に増えてはいるものの、順位は相対的に低く5位、6位を推移している。このデータだけ見れば、対内直接投資という分野では豪州にとって中国はそれほど重要ではないようにみえる。

(2)FIRB(Foreign Investment Review Board,外国投資審査委員会)*14の対内投資承認
しかし、豪州に対する外国の投資を審査するFIRBの豪州対内投資のデータを見ると、状況が一変する。このデータは、外国投資審査制度に基づき、豪州に対する投資のうち、外国人または外国機関によるFIRBの承認を必要とする投資*15についての承認額及び承認数を示すものである*16。当該データは、上記のIMFの算出する対内直接投資に含まれない土地等も、FIRBの承認を要する投資であれば広く承認額に含むという特徴がある。図15 FIRBによる外国投資承認額の主要国国別推移をみると、FIRB承認額では2016-2017年まで中国が1位を維持していたことが分かる。また、承認件数が他の主要国と比較して圧倒的に多いことも中国による投資の特徴である。IMF統計の対内直接投資額とFIRBによる直接投資承認額との間に見られる違いは、中国の投資承認額の内訳をみることで、理由が明らかになる。中国による投資の分野別承認額(図16 中国のFIRB分野別投資承認額の内訳(2019年-2020年))をみると、7割以上を「不動産」が占めている。「不動産」は、対内直接投資(図14)に計上されないため、豪州の「不動産」に対する中国の熱心な投資実態が隠れてしまっていたのだ。事実、中国の投資承認全体額が6位となった2020年においても、不動産投資の承認額では中国は3位と上位を維持している。


4.豪州国民の対中認識(世論)
ここまで豪中関係について、政治・経済という観点からみてきたが、以下では、豪州国民の対中認識について概観する。豪州の独立系シンクタンク、ローウィー研究所が、2021年3月15日から29日にかけて、無作為に抽出された豪州の成人2222人を対象にオンライン調査と電話インタビューで実施した全国調査「Lowy Institute Poll 2021」をもとに紹介したい。

1.世論調査(1)「中国は経済パートナーか、安全保障上の脅威か」
豪州国民の対中認識を知るには図17 世論調査「豪州にとって中国は経済パートナーか、安全保障上の脅威か」の世論調査が有用である。中国による内政干渉が問題視されるようになった2017年頃においても、依然として大半の回答者が中国は安全保障上の脅威ではなく経済パートナーであるという認識を持っている。これは中国との密接な経済関係に伴うリスクを認識しつつも、中国との関係深化による経済的メリットが当該リスクを上回ると感じていたのではないかと推察される。しかし、2020年には中国を経済パートナーだと思う回答者の割合は大きく減少し、安全保障上の脅威だと思う回答者の割合が大きく増加した。そして、2021年には後者の割合が前者の割合を大幅に上回ることとなった。

2.世論調査(2)「対中意識に影響を与えた要因」
では、上記のような豪州国民の対中意識の変化にはどのような要因が影響を与えたのだろうか。次の世論調査を見てみよう。次ページ(図18~図23)は、各項目が中国に対する見方に良い影響を与えたか、悪い影響を与えたかについて、2016年と2021年の調査結果を比較したものである。この5年の間に、全ての項目において中国に対する見方がより悪化したことが分かる。
まず、中国の政府システム(図18 「中国の政府システム」)や周辺地域における中国の軍事行動(図19 「周辺地域における中国の軍事行動」)については、特に悪影響を与えたという見方が強く、回答者の9割以上(2021年)が否定的な回答をしている。しかし、こうした傾向は5年前から大きく変化している訳ではない。
次に、中国の豪州に対する投資(図20 「中国の豪州に対する投資」)については、2016年時点で既に約6割が「悪影響」と回答している。これは先述した中国から豪州への活発な不動産投資が、豪州における住宅価格高騰と結び付けられて考えられる傾向にあったことが一因と思われる。2021年の調査ではさらに悪化し、8割弱が悪影響と回答した。
2016年と2021年を比較して悪化が最も目立つのは、中国の経済成長(図21 「中国の経済成長」)に係る認識である。2016年当時は「良い影響」という回答が大半だったにもかかわらず、2021年には「悪影響」との回答が「良い影響」という回答をわずかながら上回った。豪州にこれまで恩恵を与えてきた中国の経済成長が、2020年以降の中国による貿易制裁後、豪州にとってむしろ脅威と受け止められるようになったと推察される。
以上より、前の世論調査(図17)における対中認識において、中国の印象が「経済パートナー」から「安全保障上の脅威」に逆転したのは、豪州経済に恩恵をもたらす経済パートナーというこれまでの中国の印象が2020年以降の中国の貿易制裁によって低下した結果、以前から問題視されていた軍事行動等の中国の安全保障上の脅威という印象が相対的に上昇したことが主な要因ではないかと推測される。
一方、豪州国民が比較的肯定的な印象を抱いているのは、中国の文化や歴史(図22 「中国の文化や歴史」)、これまで出会った中国人(図23 「これまで出会った中国人」)という項目である。政治体制や安全保障面、経済面では豪州国民の否定的な感情が大きいのに対し、これらの項目については2016年から2021年にかけて多少の悪化が見られるものの、肯定的な見方がいまだに大半を占めている。このことから、豪州社会において中国出生者が一定のプレゼンスを占めており、中国という国家に対する評価と、日々の生活の中で接する個々の中国人に対する評価は切り分けて考えられていると推察される。豪州では、中国を出生国とする人口が約65万人(2020年時点)と豪州全体の2.5%を占め、海外出生者の出生国第3位となっている。また、中国系のルーツを有する連邦議員も複数輩出されている。


5.今後の豪中関係の展望
上記の通り、豪中関係は政治、経済、および国内世論のいずれを見ても悪化傾向にある。こうした状況は今後も続くのだろうか。以下では、今後の豪中関係について、(1)両国を結びつける最も重要な財、鉄鉱石の豪州から中国への輸出、(2)豪州のサービス輸出の要であり、豪中の人的交流の柱といえる中国から豪州への留学、および、(3)2022年5月までに行われる予定の豪州連邦総選挙の3つの視点から考察する。

1.鉄鉱石を通じた結びつきの見通し
第3章で述べたとおり、中国にとって豪州は鉄鉱石の最大輸入先国(図7)であり、現状、鉄鉱石は中国の貿易制裁の対象とはされていない。一方、豪州にとっても中国は鉄鉱石輸出額の約8割を占める最重要輸出先国であり(図24 豪州の鉄鉱石主要輸出先国の推移(2001~2020年))、その額は豪州の財輸出額全体の約26%を占める(2020年)。そのため、何らかの要因によって中国の豪州産鉄鉱石輸入が大幅に落ち込んだ場合、豪州経済に与える影響はこれまでの制裁対象とは比にならない。場合によっては、豪州の中国への強硬な態度に影響を及ぼすことも考えられる。では、中国が豪州からの鉄鉱石輸入を減少させる可能性はあるのか。
中国が豪州への鉄鉱石依存から抜け出すことは短期的には容易ではない。代替先候補となるブラジルでは、2019年に鉱山事故が発生、中国鉄鋼最大手が鉄鉱石鉱山の大規模開発を進めるアフリカのギニアでは、2021年にクーデターがあるなど、代替先の確保は困難を極めている。一方で、長期的な視点でみると、近年、中国は重厚長大産業から、ハイテク・ネット産業への力点を移すとともに、投資主導型から消費主導型経済への移行を目指している。2021~2025年の第14次5カ年計画においても、産業基盤の高度化、産業チェーンの現代化、デジタル化の発展に加え、2030年までの温暖化ガス排出量のピークアウトを掲げ、粗鋼生産量の抑制を発表している。そのため、今後中国による鉄鉱石輸入は徐々に縮小していくと考えられる。また、世界的に産業構造の転換や気候変動対策が進む中、全体の約8割を占める中国の代替先が大麦や石炭のように見つかるかどうかは不透明である。
以上より、短期的には中国の豪州産鉄鉱石輸入が大きく減退することは考えにくいものの、中長期的には鉄鉱石輸入量の減少が見込まれる。こうした流れは長期的に見れば豪州の鉄鉱石を通じた中国への交渉力の低下、中国との経済的な結びつきの希薄化につながり、豪州の対中姿勢に影響を与え得ると考えられる。

2.中国から豪州への留学の見通し
先述のとおり、財輸出における鉄鉱石と同様に、中国への留学サービス輸出は豪州のサービス輸出にとって重要である。豪州への留学生の約30%(図25 豪州留学生の主要出身国の推移(2002~2021年))を占める中国からの留学は、パンデミック以前(2019年)、豪州のサービス輸出額全体の約17%を占めていた。しかし、豪中対立が続く中、新型コロナウイルス感染症が収束し渡航規制が解除された後、果たして中国人留学生はかつてのような規模で豪州に再び戻ってくるのであろうか。
2020年6月、中国文化観光省と中国教育省が相次いで新型コロナウイルス感染症拡大に伴いアジア人に対する差別的な事件が多発しているとして、豪州への渡航、留学のリスクについて見極めるよう中国人旅行者・中国人学生に警告する声明を発表。これに対して、バーミンガム豪貿易・観光・投資相(当時)は「中国政府の主張は誤り」と主張。感染状況が落ち着けば、「安全」な豪州はあらゆる人々の訪問を歓迎すると述べた。一方で、豪政府は中国による豪州の大学への干渉を警戒。2021年6月、豪州大学内で中国や中国共産党を批判する学者の学問の自由が危機にさらされているという報告書を人権NGOヒューマンライトウォッチが公表。同年11月、渡航再開に向け、豪州政府は大学に対する外国の干渉に対抗するためのガイドラインを公表。
2020年以降、確かに中国人留学生数は減少傾向にあるものの、新型コロナウイルスの影響を受け、留学生数が全体として減少傾向にあることや、他国と比較して大幅に減少してはいないことから、中国人留学生数の減少は、豪中の政治的対立によるものではなく新型コロナウイルスの影響だと考えるのが自然だ(図25)。
しかし、パンデミック収束後に中国人留学生が豪州に再び戻ってくるかは不透明である。また、豊富な若年人口と高い経済成長を誇り、豪州との結びつきを強めるインドやインドネシアからの留学生の伸びが中国人留学生の減少を補うことや、豪州以外の国が中国人留学生の受け皿になることも十分に考えられる。引き続き両国が留学生の送り出し、受け入れに対して消極的な方針を維持、あるいは強化していけば、留学を通じた両国の結びつきも弱まっていくであろう。

3.豪州総選挙が豪中関係に与える影響
次回の豪州連邦総選挙は、2022年5月までに実施される予定だが、選挙結果に応じて、豪中関係は今後どのように展開していくと考えられるだろうか。先述の世論調査のとおり、軒並み豪州国民の対中意識は悪化している。また、現地紙の世論調査によると、中国に対する豪州の基本姿勢について、「非難する前に再考すべき」と回答したのは23%にとどまるのに対し、調査対象の6割以上は「価値を固守し、声をあげるべき」と考えており、これまでのモリソン政権の強気な対中政策は総じて支持されている*17。
また、第2章で示した通り、歴史的に、保守連合・労働党間で、対中政策に関して党派ごとの顕著且つ一貫した相違はみられない。これまでの各政権は、情勢の変化に応じて、中国の人権問題に毅然とした態度で挑み、同盟国である米国のスタンスに協調しているものの、中国との経済関係を深化させるという方針は超党派で一致していたように思われる。豪中関係悪化後も、上述の世論の後押しを受け、豪州として自国の価値観を毅然と主張するという対中スタンスに概ね超党派での合意があると推察される。事実、AUKUSの設立や、人権侵害等に関与した外国当局者等に制裁を科すいわゆる「マグニツキー法案」可決についても超党派の合意によるものである。さらに、安全保障面で常に米国と共同歩調をとってきた豪州にとって、米中対立が続く中、中国に対して融和的な態度に転じることは容易でないと考えられる。
豪州の二大政党の選好率(図26 豪州二党選好率(保守連合・労働党))を見ると、2021年6月以降、両者の選好率は反転し、野党労働党が与党保守連合を大きく上回っており、労働党が政権を取ることも考えられる。しかし、たとえ労働党政権となったとしても、上記の(1)国内世論、(2)両党派で一致した方針、(3)同盟国米国との関係を考慮すると、豪州の中国に対する対抗姿勢が選挙結果によって直ちに変更されるとは考えがたい。ただ、豪中関係の今後は依然として不透明であり、引き続き注視していきたい。


6.おわりに
ここまで見てきたとおり、現在、豪中関係は豪中国交樹立以降、最も悪化しているといえる。一方で、豪州は日米との関係をますます強化している。本レポートの出発点である「中国を国際課題解決に建設的に関与させるために、日本と共通の価値観を持つ国々との連携を密にしていく」機運がさらに高まっているのではないかと考えられる。
他方、ラッド政権時のQUAD脱退やアボット政権時のAIIB加盟等、豪州の対中方針によっては必ずしも豪州が日本と同じ方向を向いていたわけではなかった。
そのため、引き続き豪州の対中政策やその背景を注視しながら、二国間・多国間で豪州との連携をますます密にしていきたい。

プロフィール
財務省国際局地域協力課国際調整室調整1係 吉田 有希
滋賀県出身。京都大学法学部を卒業後、2021年に財務省入省。国際調整室では米、豪、加等の経済・政治情勢の調査及び二国間協議等を担当。

図表.(参考)ターンブル政権時及びモリソン政権時における中国の安全保障上の懸念と豪州政府の対応

*1)広報誌「ファイナンス」2月号「ドイツと中国の2国間関係 ~人権と経済のジレンマは続く~」
(https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/index.htm)
*2)豪州が初めて本格的に中国に接触したのは、1850年代のゴールドラッシュ期に中国人金鉱夫が豪州に到来したときである。ただし、本稿では現在の中国(中華人民共和国)と豪州との関係を把握することを目的としているため、主に1972年の豪中国交樹立後の豪中関係について扱う。
*3)「Cabinet papers 1988-89:Bob Hawke acted alone in offering asylum to Chinese students」(2014年12月31日、The Guardian)(https://www-theguardian-com.translate.goog/australia-news/2015/jan/01/cabinet-papers-1988-89-bob-hawke-acted-alone-in-offering-asylum-to-chinese-students?_x_tr_sl=en&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=op,sc)
*4)ラッド首相は豪州国内の長年の人権問題にも向き合った。2008年、ラッド首相は約200年前に白人入植者たちがオーストラリア大陸に上陸して以降初めて、先住民に対する過去の差別的政策について謝罪した首相となった。このラッド首相の議会での「歴史的演説」は、先住民だけでなく非先住民の多くからも歓迎された。(https://www.afpbb.com/articles/-/2350297)
*5)「戦略的経済対話」は、2021年5月に中国側から無期限停止とされるまで、2014年に第1回、2015年に第2回、2017年に第3回が開催された。
*6)「Australia-China Strategic Partnership」(Rahul Mishra, Dr. Rahul Mishra is Research Assistant at the Institute for Defence Studies & Analyses(IDSA), New Delhi)
*7)2021年11月、同法の改正法である「2021年セキュリティ法改正(重要インフラ)(Security Legislation Amendment(Critical Infrastructure)Bill 2021)」が成立。従来の4部門(電力、港湾、水力、ガス)から、通信、金融サービス、ヘルスケア、教育、宇宙産業、防衛産業等を含む11部門に拡大。
*8)「豪、中国企業のダーウィン港賃借見直しへ 国防相が地元紙に発言 安保上の観点で利用制限も検討」(2021年5月3日、日経)(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM030GE0T00C21A5000000/)
*9)グラフにおける「台湾」は、UN COMTRADE Database上の「その他のアジア(Other Asia, nes)」の数値を指す。
(https://unstats.un.org/unsd/tradekb/Knowledgebase/Taiwan-Province-of-China-Trade-data)
(https://unstats.un.org/unsd/tradekb/Knowledgebase/Taiwan-Province-of-China-Trade-data)
*10)「鉱物性生産品」は、「塩、硫黄、土石類、プラスター、石灰及びセメント」(第25類)、「鉱石、スラグ及び灰」(第26類)、「鉱物性燃料及び鉱物油並びにこれらの蒸留物、歴青物質並びに鉱物性ろう」(第27類)を含む。なお、「Commodities not specified according to kind(99)」はその他に含む。
*11)「旅行」サービスのうち、「個人(教育関連)」は留学等(学費、生活費等)、個人(その他)は、一般観光、治療・療養のための滞在等を含む。
*12)中国による豪州に対する貿易制裁は、大麦、ワイン、石炭の他にも、牛肉やロブスター、丸太等多岐に及んだ。
*13)「中国、港に足止めの豪州産石炭を活用 電力不足で=業界筋」(2021年10月6日、ロイター)(https://jp.reuters.com/article/china-power-coal-idJPKBN2GW033)
*14)FIRBは、外資による取得および買収に関する法律(Foreign Acquisitions and Takeovers Act 1975)等の対象となる外国人または外国機関により申請された投資の審査及び財務省に対する助言を行う豪州の法定外機関である。
(出典)Foreign Investment Review Board HP「About FIRB」(https://firb.gov.au/about-firb)
(出典)Foreign Investment Review Board HP「About FIRB」(https://firb.gov.au/about-firb)
*15)なお、FIRBの審査の対象となる投資は、農業、メディア、通信、その他事業に関する一定額以上の有価証券及び事業資産の取得、又は豪州の農地、鉱山、住宅地等の土地の取得である。
*16)本データの主な留意点は以下の通りである。その他詳細な留意点についてはFIRB「Annual Report」を参照。
複数国にまたがる投資については、それぞれの国において1つの承認された投資としてカウントされる。
中国のデータには特別行政区(SAR)と台湾は除外される。
複数国にまたがる投資については、それぞれの国において1つの承認された投資としてカウントされる。
中国のデータには特別行政区(SAR)と台湾は除外される。
*17)「Australians want nation to ‘stick to its values’ in China dealings」(2021年6月18日、The Sydney Morning Herald)(https://www.smh.com.au/politics/federal/australians-want-nation-to-stick-to-its-values-in-china-dealings-20210617-p581q2.html)