1.はじめに
世界は、地政学的危機や世界経済の不確実性の高まりに直面し続けています。同時に、貧困の拡大、保健、債務問題、自然災害などの長期的な開発課題への対応も必要です。このような状況において、国際開発協会(IDA)第21次増資(IDA21)の重点分野である、国際保健を含む人的資本(People)、債務問題の解決を含む繁栄(Prosperity)、自然災害への強靱性を含むインフラの整備等にIDAが取り組んでいくため、日本は本年6月に応募証書を寄託しました。日本以外の国々においても、プレッジに沿って速やかに国内手続きを終えることを求めます。
ロシアのウクライナに対する不法かつ不当で、いわれのない侵略について、日本は最も強い言葉で非難します。長期化するロシアの侵略は、ウクライナのみならず世界経済全体の不確実性要素となっており、即時の終結を求めます。こうした厳しい状況下にも関わらず、ウクライナ政府が経済の安定と構造改革に取り組んでいることを高く評価します。
多様な開発課題への対応が求められる中、世界銀行グループ(WBG)がバンガ総裁の下、雇用創出という切り口で開発支援に取り組んでいることを評価します。日本は、「日本社会開発基金(JSDF)」を通じた、途上国における起業家支援や職業訓練等により、今後とも雇用創出を後押ししてまいります。
日本として、途上国が直面する開発課題への対応のためWBGに期待する役割と、日本の貢献につき、以下申し上げます。
2.WBGの機能・役割の強化
世界の直面する開発課題が多様化・複雑化する一方、開発支援に向けた公的資金は限られています。こうした中で、新興国・途上国のニーズに応じながらその成長と自立を促し、効率的・効果的な支援を行うことが求められています。そのため、WBGが国際開発金融機関(MDBs)の中核として効率的・効果的に機能することが肝要です。
既存の資本を効率的に活用する観点から、「自己資本の十分性に関する枠組み(CAF)」レビューの提言に沿った取組によって、融資余力が拡大されてきたことを歓迎します。この融資余力を活用し、真に支援が必要な国に十分な支援が行われることを期待します。
WBGが開発効果を最大化するためには、One WBGアプローチの下でWBGの各機関が有機的に連携することが重要です。特に、開発支援に向けた公的資金が限られている中、民間資金動員が一層必要であり、国際金融公社(IFC)及び多数国間投資保証機関(MIGA)がより積極的な役割を果たすことを期待します。この点に関連し、IFCが、本年6月に東京ビジネス・デベロップメント・ハブを設置したことを歓迎します。これを機に、日本の民間セクターの技術や知見を通じて開発課題の解決に資する機会が更に増加することを期待します。
WBGを含むMDBsの効率性を高める観点からは、MDBsがシステムとして機能していくことも重要です。世銀とアジア開発銀行(ADB)の「完全相互信頼枠組」において、初めての共同実施案件が先月承認されたことを歓迎するとともに、このような取組が他のMDBsにも拡大していくことを期待します。
効率的・効果的な開発支援のためには、WBGが途上国の声をオペレーションにより良く反映することも重要です。そのためには、理事室のキャパシティ向上やマネジメント及び職員との関係強化等に対処すべく、具体的な改革を行うことが喫緊の課題です。ボイス改革の議論が速やかに進展し、迅速に実施されることを期待するとともに、日本は必要な貢献に努めていきます。
3.日本が重視する開発課題への対応
日本が重視する開発課題について、日本の取組やWBGに期待する点は以下のとおりです。
(1)国際保健
日本は、2030年までに15億人に質の高い手頃な保健サービスを提供するという目標に向けたWBGの取組と、その着実な前進を歓迎します。国際保健を取り巻く環境が変化する中においても、日本は世銀と緊密に連携し、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の推進と、パンデミックへの予防・備え・対応(PPR)の強化に、引き続き貢献してまいります。
世銀が、世界保健機関(WHO)と共に、東京に拠点を置く「UHCナレッジハブ」の取組を着実に進めていることを歓迎します。日本は、世銀・WHO及びハブが提供する研修への参加国と一体となって財務・保健当局の人材育成を支援することにより、途上国における持続可能な保健財政の構築を、より一層力強く後押ししてまいります。
本年12月に東京で開催する「UHCハイレベルフォーラム」では、バンガ総裁をはじめとする国際保健分野のリーダーや、UHC達成に取り組む開発途上国と共に、UHCにかかる取組を加速するための方策について議論します。日本は、UHCナレッジハブの活動やUHCハイレベルフォーラムの開催を通じて、UHC達成に向けた国際的なモメンタムを牽引してまいります。
栄養改善は、UHC達成とともに、人的資本の強化のために不可欠な要素です。日本は、本年8月の第9回アフリカ開発会議(TICAD9)にて発表したとおり、アフリカにおける食料・栄養安全保障の向上のための世銀の取組を支援するべく、「日本開発政策・人材育成基金(PHRD)」を通じて3年間で30百万ドルの貢献を行います。日本は、世銀をはじめとする開発パートナーと協力し、引き続き人的資本の強化に取り組んでまいります。
(2)気候変動・防災・インフラ
日本は、「日本―世銀共同防災プログラム」を通じて、自然災害に強いインフラの整備など開発における防災の主流化に努めてきました。本年7月から開始された「東京開発ラーニングセンター(TDLC)」第5フェーズにおいても、途上国の行政官やWBG職員と日本の都市や有識者の連携を深めることで、被災経験の多い日本の知見を活かした都市開発につながるよう期待します。
質の高いインフラ投資の観点からも、ほとんどの国際調達における品質評価割合を50%以上に引き上げるという世銀の方針を歓迎します。支援対象国における確実な実施のため、対象国に対し調達に関する能力構築を行うことが肝要です。また、多様な企業の質の高い技術や知見を活用できるよう、企業を対象にアウトリーチを行っていくことにも期待します。
ネット・ゼロ実現に向け、途上国におけるクリーンエネルギー関連製品のサプライチェーン強靭化に取り組むRISEは、途上国での質の高い雇用の創出と持続的な経済発展に貢献するとともに、サプライチェーンの多様化を通じ世界経済の強靱化に資する重要な取組です。RISEの取組の更なる加速に向け、IFCを含めWBG内での連携を深め民間資金動員を強化するほか、アジア、アフリカ、ラテンアメリカ・カリブ海等の地域で、地域開発金融機関(RDBs)や各国の開発金融機関(DFI)と協働することを期待します。
(3)債務問題・国内資金動員
途上国の持続的な経済成長に向けて、債務問題への対処は引き続き重要な課題です。日本は、来年始動する債務管理ファシリティ(DMF)のフェーズ4に7百万ドルの新規貢献を表明します。
本年春、グローバル・ソブリン債務ラウンドテーブル(GSDR)において、「共通枠組」の下での債務再編を含め、再編プロセスに要するタイムラインの目安等を盛り込んだプレイブックが公表されたことを歓迎します。他方、将来における再編プロセスの更なる迅速化・円滑化に向け、我々は引き続き「共通枠組」の実施の改善に取り組むべきであり、プレイブックのアップデートを含め、今後ともWBG・IMFの役割に期待します。
債務持続可能性の確保には、正確で透明な債務データが不可欠であり、WBGが公表した「抜本的な債務透明性」に係る報告書を歓迎します。報告書が提言するとおり、借入国の債務管理能力の強化が重要であるとともに、債権国側も、データ共有の取組(DSE)に全てのG20国が参加して債務データの突合を通じた債務透明性の向上を図るべきです。また、日本は、世銀がインドネシア向けに実施している、リアルタイムでの債務データのデジタル突合の取組を引き続き進めていきます。
途上国の持続的な経済成長に向けて、財政持続性や財政管理の強化等を通じた国内資金動員(DRM)の強化も喫緊の重要な課題です。
歳入面においては、日本としてかねてより、国内税制と税の執行能力の向上に向けた税の分野における技術支援を重視しています。途上国の課題やニーズを的確に把握し、支援の実効性・効率性を高めていくためには、各国の税の専門家同士が、国際機関と共に定期的な対話を行うべきです。この観点で、世銀・IMF等の関係国際機関から成る「税に関する協働のためのプラットフォーム(PCT)」が、DRMに焦点を当てた「税と開発カンファレンス」を来年3月に東京で開催することを歓迎します。
(4)太平洋島嶼国
狭小性や隔絶性等の地域特有の脆弱性を持つ太平洋島嶼国に対する支援は引き続き重要です。
同地域からのコルレス銀行の撤退は、経済成長のみならず日常生活にとっても悪影響をもたらします。日本は、短期的なセーフティネットの提供や中長期的な代替手段の構築に取り組むIDAのコルレス銀行関係プロジェクトを高く評価しています。短期的なセーフティネットの提供においては、非IDA対象4ヵ国にも支援を行うべく、PHRD及びADBのアジア開発基金(ADF)活用に向け、世銀及びADBと連携しています。また、中長期的な代替手段として、デジタルマネーを活用した集中決済機関を構築することで、AML/CFTのコンプライアンスコスト抑制や利便性向上を目指します。その際、各国の通貨主権維持を念頭に置きつつ、太平洋島嶼国を中心とするステークホルダーと密に相談しながら、検討の具体化に向けた議論をリードしていきます。
DRMの強化を通じた債務持続可能性の確保は、太平洋島嶼国にとっても極めて重要であり、本年5月の第2回日・太平洋島嶼国財務大臣会議においても、持続的な財政運営に向けたDRM強化の重要性を確認しました。日本は引き続き、他のドナー国や世銀をはじめとする国際機関と連携し、支援効率の向上に努めてまいります。
4.結語
日本は、バンガ総裁及びゲオルギエバ専務理事のリーダーシップの下、WBGとIMFの両機関が、他機関とも連携しつつ、複雑化する世界の開発課題に対処していることを高く評価しています。また、本年12月に退任される俣野MIGA長官の下で、保証プラットフォームの設置等によりMIGAの活動が発展したことに深い敬意を表するとともに、山本次期MIGA長官の下で、One WBGとしてMIGAが開発支援に更に貢献することを期待します。WBG・IMF両機関が世界経済の更なる発展において主導的な役割を果たし続けるよう、人的貢献を含め、両機関の取組を引き続き支援してまいります。
世界は、地政学的危機や世界経済の不確実性の高まりに直面し続けています。同時に、貧困の拡大、保健、債務問題、自然災害などの長期的な開発課題への対応も必要です。このような状況において、国際開発協会(IDA)第21次増資(IDA21)の重点分野である、国際保健を含む人的資本(People)、債務問題の解決を含む繁栄(Prosperity)、自然災害への強靱性を含むインフラの整備等にIDAが取り組んでいくため、日本は本年6月に応募証書を寄託しました。日本以外の国々においても、プレッジに沿って速やかに国内手続きを終えることを求めます。
ロシアのウクライナに対する不法かつ不当で、いわれのない侵略について、日本は最も強い言葉で非難します。長期化するロシアの侵略は、ウクライナのみならず世界経済全体の不確実性要素となっており、即時の終結を求めます。こうした厳しい状況下にも関わらず、ウクライナ政府が経済の安定と構造改革に取り組んでいることを高く評価します。
多様な開発課題への対応が求められる中、世界銀行グループ(WBG)がバンガ総裁の下、雇用創出という切り口で開発支援に取り組んでいることを評価します。日本は、「日本社会開発基金(JSDF)」を通じた、途上国における起業家支援や職業訓練等により、今後とも雇用創出を後押ししてまいります。
日本として、途上国が直面する開発課題への対応のためWBGに期待する役割と、日本の貢献につき、以下申し上げます。
2.WBGの機能・役割の強化
世界の直面する開発課題が多様化・複雑化する一方、開発支援に向けた公的資金は限られています。こうした中で、新興国・途上国のニーズに応じながらその成長と自立を促し、効率的・効果的な支援を行うことが求められています。そのため、WBGが国際開発金融機関(MDBs)の中核として効率的・効果的に機能することが肝要です。
既存の資本を効率的に活用する観点から、「自己資本の十分性に関する枠組み(CAF)」レビューの提言に沿った取組によって、融資余力が拡大されてきたことを歓迎します。この融資余力を活用し、真に支援が必要な国に十分な支援が行われることを期待します。
WBGが開発効果を最大化するためには、One WBGアプローチの下でWBGの各機関が有機的に連携することが重要です。特に、開発支援に向けた公的資金が限られている中、民間資金動員が一層必要であり、国際金融公社(IFC)及び多数国間投資保証機関(MIGA)がより積極的な役割を果たすことを期待します。この点に関連し、IFCが、本年6月に東京ビジネス・デベロップメント・ハブを設置したことを歓迎します。これを機に、日本の民間セクターの技術や知見を通じて開発課題の解決に資する機会が更に増加することを期待します。
WBGを含むMDBsの効率性を高める観点からは、MDBsがシステムとして機能していくことも重要です。世銀とアジア開発銀行(ADB)の「完全相互信頼枠組」において、初めての共同実施案件が先月承認されたことを歓迎するとともに、このような取組が他のMDBsにも拡大していくことを期待します。
効率的・効果的な開発支援のためには、WBGが途上国の声をオペレーションにより良く反映することも重要です。そのためには、理事室のキャパシティ向上やマネジメント及び職員との関係強化等に対処すべく、具体的な改革を行うことが喫緊の課題です。ボイス改革の議論が速やかに進展し、迅速に実施されることを期待するとともに、日本は必要な貢献に努めていきます。
3.日本が重視する開発課題への対応
日本が重視する開発課題について、日本の取組やWBGに期待する点は以下のとおりです。
(1)国際保健
日本は、2030年までに15億人に質の高い手頃な保健サービスを提供するという目標に向けたWBGの取組と、その着実な前進を歓迎します。国際保健を取り巻く環境が変化する中においても、日本は世銀と緊密に連携し、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の推進と、パンデミックへの予防・備え・対応(PPR)の強化に、引き続き貢献してまいります。
世銀が、世界保健機関(WHO)と共に、東京に拠点を置く「UHCナレッジハブ」の取組を着実に進めていることを歓迎します。日本は、世銀・WHO及びハブが提供する研修への参加国と一体となって財務・保健当局の人材育成を支援することにより、途上国における持続可能な保健財政の構築を、より一層力強く後押ししてまいります。
本年12月に東京で開催する「UHCハイレベルフォーラム」では、バンガ総裁をはじめとする国際保健分野のリーダーや、UHC達成に取り組む開発途上国と共に、UHCにかかる取組を加速するための方策について議論します。日本は、UHCナレッジハブの活動やUHCハイレベルフォーラムの開催を通じて、UHC達成に向けた国際的なモメンタムを牽引してまいります。
栄養改善は、UHC達成とともに、人的資本の強化のために不可欠な要素です。日本は、本年8月の第9回アフリカ開発会議(TICAD9)にて発表したとおり、アフリカにおける食料・栄養安全保障の向上のための世銀の取組を支援するべく、「日本開発政策・人材育成基金(PHRD)」を通じて3年間で30百万ドルの貢献を行います。日本は、世銀をはじめとする開発パートナーと協力し、引き続き人的資本の強化に取り組んでまいります。
(2)気候変動・防災・インフラ
日本は、「日本―世銀共同防災プログラム」を通じて、自然災害に強いインフラの整備など開発における防災の主流化に努めてきました。本年7月から開始された「東京開発ラーニングセンター(TDLC)」第5フェーズにおいても、途上国の行政官やWBG職員と日本の都市や有識者の連携を深めることで、被災経験の多い日本の知見を活かした都市開発につながるよう期待します。
質の高いインフラ投資の観点からも、ほとんどの国際調達における品質評価割合を50%以上に引き上げるという世銀の方針を歓迎します。支援対象国における確実な実施のため、対象国に対し調達に関する能力構築を行うことが肝要です。また、多様な企業の質の高い技術や知見を活用できるよう、企業を対象にアウトリーチを行っていくことにも期待します。
ネット・ゼロ実現に向け、途上国におけるクリーンエネルギー関連製品のサプライチェーン強靭化に取り組むRISEは、途上国での質の高い雇用の創出と持続的な経済発展に貢献するとともに、サプライチェーンの多様化を通じ世界経済の強靱化に資する重要な取組です。RISEの取組の更なる加速に向け、IFCを含めWBG内での連携を深め民間資金動員を強化するほか、アジア、アフリカ、ラテンアメリカ・カリブ海等の地域で、地域開発金融機関(RDBs)や各国の開発金融機関(DFI)と協働することを期待します。
(3)債務問題・国内資金動員
途上国の持続的な経済成長に向けて、債務問題への対処は引き続き重要な課題です。日本は、来年始動する債務管理ファシリティ(DMF)のフェーズ4に7百万ドルの新規貢献を表明します。
本年春、グローバル・ソブリン債務ラウンドテーブル(GSDR)において、「共通枠組」の下での債務再編を含め、再編プロセスに要するタイムラインの目安等を盛り込んだプレイブックが公表されたことを歓迎します。他方、将来における再編プロセスの更なる迅速化・円滑化に向け、我々は引き続き「共通枠組」の実施の改善に取り組むべきであり、プレイブックのアップデートを含め、今後ともWBG・IMFの役割に期待します。
債務持続可能性の確保には、正確で透明な債務データが不可欠であり、WBGが公表した「抜本的な債務透明性」に係る報告書を歓迎します。報告書が提言するとおり、借入国の債務管理能力の強化が重要であるとともに、債権国側も、データ共有の取組(DSE)に全てのG20国が参加して債務データの突合を通じた債務透明性の向上を図るべきです。また、日本は、世銀がインドネシア向けに実施している、リアルタイムでの債務データのデジタル突合の取組を引き続き進めていきます。
途上国の持続的な経済成長に向けて、財政持続性や財政管理の強化等を通じた国内資金動員(DRM)の強化も喫緊の重要な課題です。
歳入面においては、日本としてかねてより、国内税制と税の執行能力の向上に向けた税の分野における技術支援を重視しています。途上国の課題やニーズを的確に把握し、支援の実効性・効率性を高めていくためには、各国の税の専門家同士が、国際機関と共に定期的な対話を行うべきです。この観点で、世銀・IMF等の関係国際機関から成る「税に関する協働のためのプラットフォーム(PCT)」が、DRMに焦点を当てた「税と開発カンファレンス」を来年3月に東京で開催することを歓迎します。
(4)太平洋島嶼国
狭小性や隔絶性等の地域特有の脆弱性を持つ太平洋島嶼国に対する支援は引き続き重要です。
同地域からのコルレス銀行の撤退は、経済成長のみならず日常生活にとっても悪影響をもたらします。日本は、短期的なセーフティネットの提供や中長期的な代替手段の構築に取り組むIDAのコルレス銀行関係プロジェクトを高く評価しています。短期的なセーフティネットの提供においては、非IDA対象4ヵ国にも支援を行うべく、PHRD及びADBのアジア開発基金(ADF)活用に向け、世銀及びADBと連携しています。また、中長期的な代替手段として、デジタルマネーを活用した集中決済機関を構築することで、AML/CFTのコンプライアンスコスト抑制や利便性向上を目指します。その際、各国の通貨主権維持を念頭に置きつつ、太平洋島嶼国を中心とするステークホルダーと密に相談しながら、検討の具体化に向けた議論をリードしていきます。
DRMの強化を通じた債務持続可能性の確保は、太平洋島嶼国にとっても極めて重要であり、本年5月の第2回日・太平洋島嶼国財務大臣会議においても、持続的な財政運営に向けたDRM強化の重要性を確認しました。日本は引き続き、他のドナー国や世銀をはじめとする国際機関と連携し、支援効率の向上に努めてまいります。
4.結語
日本は、バンガ総裁及びゲオルギエバ専務理事のリーダーシップの下、WBGとIMFの両機関が、他機関とも連携しつつ、複雑化する世界の開発課題に対処していることを高く評価しています。また、本年12月に退任される俣野MIGA長官の下で、保証プラットフォームの設置等によりMIGAの活動が発展したことに深い敬意を表するとともに、山本次期MIGA長官の下で、One WBGとしてMIGAが開発支援に更に貢献することを期待します。WBG・IMF両機関が世界経済の更なる発展において主導的な役割を果たし続けるよう、人的貢献を含め、両機関の取組を引き続き支援してまいります。
(以上)