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第111回世銀・IMF合同開発委員会 議長声明(仮訳)(2025年4月24日 於:ワシントンD.C.)

4月24日にワシントンD.C.で行われた第111回開発委員会において、開発委員会メンバーは、安定を回復し、持続可能な成長を促進するために平和が不可欠であることを認識しつつ、戦争及び紛争を終わらせるための現在進行中の努力を歓迎した。開発委員会メンバーは、全ての国が国連憲章の目的及び原則に全体として整合的な方法で行動しなければならないことを再確認した。開発委員会メンバーは、しかし、開発委員会が、他のフォーラムで議論されている地政学的及び安全保障問題を解決するフォーラムではないことを認識した。

居住可能な地球で貧困の無い世界を作るためには、持続可能で強靭な成長を加速し、マクロ経済の安定を促進し、民間セクター投資を強化し、より多くのより良い雇用を創出し、生産性を高めるための、断固たる政策行動が必要である。

途上国は、極度の貧困の撲滅と繁栄の共有の促進についての進捗を妨害する様々な課題に直面している。債務負担、脆弱性及び紛争、避難及び移住、貿易摩擦、自然災害、環境悪化、気候ショック、並びに食料不安が、世界中の何百万人もの人々に影響を与えている。我々は、安定性、強靭性、復興及び持続的な経済成長を促進し、最大限の開発効果を生み出すために、資金面、技術面及び政策面での支援並びに能力開発を、官民のパートナーと連携しつつ協働して進めていくことにコミットする。

我々は、世界銀行グループ(WBG)のミッションとビジョンを支持し、WBGが最重要の国際開発機関であると認識する。WBGは、資金、知識、パートナーシップ、動員力を通じて繁栄が広く共有されることを目指す。我々は、業務の効率化及び加速化、プロセスの簡素化、実施のための支援の強化、G20自己資本の十分性に関する枠組(CAF)レビューの提言を含む貸出余力の活用に関する取組が、高い基準と質の高い成果を維持しつつ進行していることに勇気づけられている。我々は、より良い銀行となるための努力の一部として、業務の効率性及び有効性の改善を引き続き求める。我々は、ハイブリッド資本、ポートフォリオ保証、強化された請求払資本、回復措置枠組等の世銀改革プロセスが生み出したイノベーションに留意する。

我々は、WBGが、WBGアカデミー及びナレッジハブを活用することにより、ナレッジバンクとしての役割を深化させることを奨励する。我々は、国別関与及び知見に関する新しくより包括的なアプローチ、新たな危機への備え・対応のためのツールキットの迅速な導入、並びにWBGスコアカードを通じた成果の報告の強化に向けた取組に留意する。我々は、特に共同の国別代表を通じた、one WBGとして機能するための取組を称賛する。全体として、これらの取組は、バランスの取れた卒業政策の価値を認識しつつ、WBGが低所得国や小国を始めとする全ての支援対象国に大きな効果をもたらす能力を高める。

途上国では、今後10年間に10億人以上の若者が就労年齢に達する見込みである。職を見つけられない者は、生活を向上させる機会を失い、世界は未開発の膨大な量の手つかずの潜在能力を失い、不安定性のリスクを高める。民間セクターは雇用創出のために重要であり、人々、特に女性や若者にとって貧困と闘う上で最も効果的な方法である。雇用の創出は、脆弱性、紛争及び暴力(FCV)による影響を受ける状況下において、平和な社会を安定化し、再構築する上で特に重要である。先に目を向けると、WBGの新たなFCV戦略は、この機関が取るべき特定の措置に関する我々の理解を深めることを可能にする。また、それは我々の関与の礎石や今後の付加価値にもなる。雇用創出の文脈では、中所得国は、生産性の低下、限定的な資本形成、抑制された民間セクター投資、及び経済ショックへの脆弱性といった課題にも直面している。我々は、WBGが、このような持続的な課題に対処するため、各国の状況に応じた手段及び対応を特定することを求める。

開発リソースが益々不足する世界において、我々は、WBGが、受益国において雇用のインフラ基盤を確立し、経済及びガバナンスの改革を支援し、民間資金を動員し、更なる国内資金動員を奨励することを求める。我々は、WBGによる民間セクター主導の成長及びイノベーションの可能性を引き出すための取組、並びに特に中小企業のためのビジネス環境の改善に向けた政策立案者や投資家との協働を支持する。また、我々は、制度の強化、信用取引へのアクセスの拡大、デジタルトランスフォーメーションへの支援、イノベーションの促進、及び労働市場の需要に合致するスキル開発と職業訓練の取組を支持する。我々は、WBGが民間セクターの成長の土台となる人的資本への投資を支援する極めて重要な役割を再確認することを奨励する。我々は、WBGが民間資金動員を支援の中心に据えるための取組を拡大することに価値を見出す。

我々は、WBGの、8,000万人の女性と女性主導のビジネスに資本を提供するための活動等の女性起業家の経済機会を拡大するプログラム並びに女性及び女児の人的資本を向上させるプログラムを称賛する。我々はWBGジェンダー戦略とその実施計画に基づき、平等を推進するために、全ての人の参加とリーダーシップを促進するための更なる活動に期待する。また、我々は、2030年までに、15億人に質の高い保健サービスを手頃な価格で提供する、アグリファイナンスとアグリビジネスへのコミットメントを年間90億ドルへと倍増させる、並びに5億人を支援するために社会保護サービスを強化するとのWBGの各目標を歓迎する。

我々は、WBGに対し、原子力エネルギーへの支援の可能性を含め、手頃で信頼できるエネルギーへのアクセス拡大に向けた更なる選択肢を模索することを奨励する。我々は、WBGがアフリカ開発銀行、地域の支援対象国、及びその他のパートナーと協働し、2030年までにアフリカの3億人に信頼できるエネルギーへのアクセスを提供するというミッション300の約束を果たすことを求める。我々は、WBGに対し、気候変動によってもたらされる自然災害への影響に対処するための実用的な解決策を開発するために、パートナーや支援対象国と引き続き協働することを要請する。我々は、気候資金を融資全体の45%以上とするとのコミットメント、及び気候変動行動計画の2026年度までの延長に留意する。我々は、WBGに対し、電力へのアクセス、効果的で強靭な交通解決策、生物多様性、持続可能な食料生産及び基礎的サービス等の緩和への支援に対する支援対象国の要求に応えることを求める。我々は、WBGに対し、適応策を通じて強靭性に投資し、持続可能なインフラ、スマート農業、効率的な水管理、災害リスク管理等の実用的な開発の解決策を通じて、コミュニティやビジネスの対応を支援することを奨励する。

国際金融機関、政府、ビジネス、市民社会及び他の機関との協働は、資源を集め、イノベーションを促進し、データや好事例を共有し、投資のリスクを軽減し、質の高いインフラを開発し、経済成長を促す上で引き続き極めて重要である。我々は、IMFとの債務持続性、透明性、及び脆弱性における連携を含め、WBGが全ての開発パートナーとの協力を継続することを求める。また、我々は、WBGに対し、国際開発金融機関(MDB)システムや国連と引き続き協働し、最も支援を必要とする人々の生活の改善のために、保健、教育、雇用及びスキル開発、食料安全保障・栄養、綺麗な空気、及び清潔な水等の要素を支援することを奨励する。更に、我々は、業務における協調融資や相互信頼枠組の拡大に勇気づけられる。我々は、セビリアにおける第4回開発資金国際会議において、結果に注力し、長期的な開発を促進するための努力を継続し、2024年度には1,200億ドル近くまで融資コミットメントを拡大してきたWBGの取組が認識されるよう注視する。

我々は、国際開発協会(IDA)第21次増資に対するドナーのコミットメントと寛大さに勇気づけられ、IDAの財務能力を活用し、最も脆弱な人々の喫緊のニーズに応えることに期待する。IDAは、低所得国の開発課題に対応するための強力な手段であり、我々はその活動を称賛する。

我々は、開発成果を向上させ、組織の学習とフィードバックを促進させる説明責任のメカニズムの重要性を強調する。

我々は、リマ株式配分原則に即した定期的な株式配分見直しを非常に重視し、2025年の見直しの進捗及び2025年の年次総会における理事会の報告に期待する。

次の開発委員会は、ワシントンD.C.において、2025年10月に開催する。